JP7318198B2 - 導電性ポリマーの製造方法 - Google Patents
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Description
従って、露光部分又は荷電粒子線が照射された部分に酸を発生させ、続いてポストエクスポージャーベーク(PEB)処理と呼ばれる加熱処理により架橋反応又は分解反応を促進させる、高感度な化学増幅型レジストの使用が主流となっている。
また、近年、半導体デバイスの微細化の流れに伴い、数nmオーダーでのレジスト形状の管理も要求されるようになってきている。
この課題を解決する手段として、導電性ポリマーを含む導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成し、前記導電膜でレジスト層の表面を被覆する技術が有効であることが既に知られている。
例えば、特許文献1には、酸性基を有する導電性ポリマーと、含窒素官能基及び末端疎水性基を有する水溶性ポリマーと、溶剤とを含む導電性組成物が開示されている。
本発明は、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい導電膜を形成できる導電性ポリマー及びその製造方法と、導電性組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意研究を行なった結果、導電性ポリマーに金属が含まれていると、成膜時に金属が異物として導電膜に現れ、異物が発生した導電膜では、荷電粒子線による描画後にラインの断線等の問題が生じ、パターニング不良が起こることを突き止めた。特に、酸性基を有する導電性ポリマーの場合、酸性基が金属と塩を形成しやすく、金属を取り込みやすい傾向にある。そこで、酸性基を有する導電性ポリマー中の金属を低減することで、パターニング不良を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1] 酸性基を有する導電性ポリマーであって、
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ10質量ppm以下である、導電性ポリマー。
[2] 下記一般式(5)で表される単位を有する、[1]の導電性ポリマー。
重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程を含み、
前記重合溶媒中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であり、
前記酸化剤中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であり、
前記原料モノマー中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下である、導電性ポリマーの製造方法。
[5] 前記原料モノマーを重合して得られる反応生成物を精製する工程をさらに含み、
前記反応生成物を精製する工程が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ0.1質量ppm以下である洗浄溶媒を用いて反応生成物を洗浄する工程である、[4]の導電性ポリマーの製造方法。
[6] 酸性基を有する導電性ポリマーの製造方法であって、
重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程と、
前記原料モノマーを重合して得られる反応生成物を精製する工程とを含み、
前記反応生成物を精製する工程が、前記反応生成物中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ10質量ppm以下になるまで、前記反応生成物をイオン交換樹脂に接触させる工程である、導電性ポリマーの製造方法。
[7] 前記原料モノマーが、下記一般式(7)で表される化合物である、[4]~[6]のいずれか1つの導電性ポリマーの製造方法。
[9] 酸性基を有する導電性ポリマーと、溶剤とを含む導電性組成物の製造方法であって、
重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程と、
前記原料モノマーを重合して得られる反応生成物を精製する工程とを含み、
前記反応生成物を精製する工程が、前記反応生成物中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ10質量ppm以下になるまで、前記反応生成物を前記溶剤に溶解した後にイオン交換樹脂に接触させる工程である、導電性組成物の製造方法。
[10] 前記原料モノマーが、下記一般式(7)で表される化合物である、[9]の導電性組成物の製造方法。
また、本明細書において「溶解性」とは、単なる水、塩基及び塩基性塩の少なくとも一方を含む水、酸を含む水、水と水溶性有機溶媒との混合物のうち、10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。また、「水溶性」とは、上記溶解性に関して、水に対する溶解性のことを意味する。
また、本明細書において、「末端疎水性基」の「末端」とは、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位を意味する。
また、本明細書において「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算)である。
本発明の導電性ポリマー(A)は、酸性基を有する。導電性ポリマー(A)が酸性基を有していれば、水溶性が高まる。その結果、導電性ポリマー(A)を含む導電性組成物の塗布性が高まり、均一な厚さの塗膜が得られやすくなる。
導電性ポリマー(A)としては、分子内にスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有していれば、本発明の効果を有する限り特に限定されず、公知の導電性ポリマーを用いることができる。例えば、特開昭61-197633号公報、特開昭63-39916号公報、特開平1-301714号公報、特開平5-504153号公報、特開平5-503953号公報、特開平4-32848号公報、特開平4-328181号公報、特開平6-145386号公報、特開平6-56987号公報、特開平5-226238号公報、特開平5-178989号公報、特開平6-293828号公報、特開平7-118524号公報、特開平6-32845号公報、特開平6-87949号公報、特開平6-256516号公報、特開平7-41756号公報、特開平7-48436号公報、特開平4-268331号公報、特開2014-65898号公報等に示された導電性ポリマーなどが、溶解性の観点から好ましい。
また、前記π共役系導電性ポリマーがイミノフェニレン、及びガルバゾリレンからなる群から選ばれた少なくとも1種の繰り返し単位を含む場合は、前記繰り返し単位の窒素原子上に、スルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、又はスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたアルキル基、若しくはエーテル結合を含むアルキル基を前記窒素原子上に有する導電性ポリマーが挙げられる。
この中でも、導電性や溶解性の観点から、β位がスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、及びイソチアナフテンからなる群から選ばれた少なくとも1種をモノマーユニット(単位)として有する導電性ポリマーが好ましく用いられる。
ただし、一般式(1)のR1、R2のうちの少なくとも1つ、一般式(2)のR3~R6のうちの少なくとも1つ、一般式(3)のR7~R10のうちの少なくとも1つ、一般式(4)のR11~R15のうちの少なくとも1つは、それぞれ酸性基又はその塩である。
スルホン酸基は、酸の状態(-SO3H)で含まれていてもよく、イオンの状態(-SO3 -)で含まれていてもよい。さらに、スルホン酸基には、スルホン酸基を有する置換基(-R17SO3H)も含まれる。
一方、カルボン酸基は、酸の状態(-COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(-COO-)で含まれていてもよい。さらに、カルボン酸基には、カルボン酸基を有する置換基(-R17COOH)も含まれる。
前記R17は炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアリーレン基、又は炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアラルキレン基を表す。
アルカリ金属塩としては、例えば、硫酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
置換アンモニウム塩としては、例えば脂肪族アンモニウム塩、飽和脂環式アンモニウム塩、不飽和脂環式アンモニウム塩などが挙げられる。
脂肪族アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn-ブチルアンモニウム、テトラsec-ブチルアンモニウム、テトラt-ブチルアンモニウムなどが挙げられる。
飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
不飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピリジニウム、α-ピコリニウム、β-ピコリニウム、γ-ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム、及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
また、導電性ポリマー(A)は、導電性に優れる観点で、前記一般式(5)で表される単位を1分子中に10以上含有することが好ましい。
ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、導電性ポリマー(A)製造時の、モノマーの仕込み比から算出した値のことを指す。
ここで、「成膜性」とは、ハジキ等が無い均一な膜となる性質のことを指し、ガラス上へのスピンコート等の方法で評価することができる。
導電性ポリマー(A)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
以下に、導電性ポリマー(A)の製造方法の一例について説明する。
<<第一の態様>>
本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程(重合工程)含む。また本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程(精製工程)を含んでいてもよい。
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程である。
原料モノマーの具体例としては、上述したモノマーユニットの由来となる重合性単量体が挙げられ、例えば下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
酸性基及びその塩としては、導電性ポリマー(A)の説明において先に例示した酸性基及びその塩が挙げられる。
酸性基置換アニリンとしては、例えば酸性基としてスルホン酸基を有するスルホン酸基置換アニリンが挙げられる。
スルホン基置換アニリンとして代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体的にはo-,m-,p-アミノベンゼンスルホン酸、アニリン-2,6-ジスルホン酸、アニリン-2,5-ジスルホン酸、アニリン-3,5-ジスルホン酸、アニリン-2,4-ジスルホン酸、アニリン-3,4-ジスルホン酸などが好ましく用いられる。
これらの中では、導電性や溶解性に特に優れる導電性ポリマー(A)が得られる点で、アルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、又はハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類が好ましく、製造が容易な点で、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩が特に好ましい。
これらのスルホン酸基置換アニリンは、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
原料モノマー中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
イオン交換処理の方法としては、後述する第二の態様における精製工程と同様である。
原料モノマーの良溶媒としては、後述する重合溶媒が挙げられる。
原料モノマーの貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
重合溶媒としては、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
重合溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
イオン交換処理の方法としては、後述する第二の態様における精製工程と同様である。
これらの酸化剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
酸化剤中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
酸化剤の良溶媒としては、後述する重合溶媒が挙げられる。
酸化剤の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
塩基性反応助剤としては、例えばアンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン等の脂式アミン類;環式飽和アミン類;ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、キノリン等の環式不飽和アミン類などが挙げられる。
これらの中では、脂式アミン類、環式不飽和アミン類が好ましく、環式不飽和アミン類がより好ましい。
これらの塩基性反応助剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
塩基性反応助剤中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
イオン交換処理の方法としては、後述する第二の態様における精製工程と同様である。
塩基性反応助剤の良溶媒としては、後述する重合溶媒が挙げられる。
塩基性反応助剤の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
酸化剤溶液及び原料モノマー溶液の溶媒としては、上述した重合溶媒を用いることができる。
反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、重合溶媒を留去して反応生成物を得る。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、遠心分離器等の濾過器により重合溶媒を濾別して反応生成物を得る。
よって、反応生成物を精製して低分子量成分を除去することが好ましい。
精製工程は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程である。
本実施形態における精製工程は、洗浄溶媒を用いて反応生成物を洗浄する工程である。
洗浄溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、2-ブタノール、3-ブタノール、t-ブタノール、1-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-ペンタノール、n-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチルブチノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルモノアセテート等の多価アルコール誘導体;アセトン;アセトニトリル;N,N-ジメチルホルムアミド;N-メチルピロリドン;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリルが効果的である。
そのため、反応生成物を洗浄する場合は、洗浄溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が、洗浄溶媒の総質量に対してそれぞれ0.1質量ppm以下である洗浄溶媒を用いる。これら金属の含有量は、洗浄溶媒の総質量に対してそれぞれ0.08質量ppm以下が好ましい。洗浄溶媒中のこれら金属の含有量がそれぞれ0.1質量ppm以下であれば、導電性ポリマー(A)中に取り込まれる金属量が軽減されるので、これら金属の含有量が低減された、具体的には各金属の含有量が10質量ppm以下の導電性ポリマー(A)が得られる。
洗浄溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
イオン交換処理の方法としては、後述する第二の態様における精製工程と同様である。
なお、洗浄後の導電性ポリマー(A)を必要に応じてイオン交換処理してもよい。イオン交換処理の方法としては、後述する第二の態様における精製工程と同様である。
本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程(重合工程)と、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程(精製工程)とを含む。
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程である。
第一の態様では重合工程で用いる重合溶媒、酸化剤、原料モノマー及び塩基性反応助剤中の金属量が規定されているが、第二の態様では重合工程で用いる重合溶媒、酸化剤、原料モノマー及び塩基性反応助剤中の金属量が規定されていない以外は、第二の態様の重合工程は第一の態様の重合工程と同様である。
すなわち、第二の態様では重合工程で用いる重合溶媒、酸化剤及び原料モノマー中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、それぞれ1000質量ppm以下であってもよいし、1000質量ppmを超えていてもよい。また、重合工程で塩基性反応助剤を用いる場合、塩基性反応助剤中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、それぞれ1000質量ppm以下であってもよいし、1000質量ppmを超えていてもよい。
第二の態様の重合工程で用いる酸化剤の種類としては、第一の態様の説明において先に例示した酸化剤や、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウムが挙げられる。
第二の態様の重合工程で用いる原料モノマーの種類としては、第一の態様の説明において先に例示した原料モノマーが挙げられる。
第二の態様の重合工程で用いる塩基性反応助剤の種類としては、第一の態様の説明において先に例示した塩基性反応助剤や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基が挙げられる。
精製工程は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程である。
本実施形態における精製工程は、反応生成物中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が、反応生成物の総質量に対してそれぞれ10質量ppm以下になるまで、反応生成物をイオン交換樹脂に接触させてイオン交換処理する工程である。
上述したように、導電性ポリマー(A)の酸性基は、金属と塩を形成しやすく、導電性ポリマー(A)中に金属を取り込みやすいが、反応生成物をイオン交換処理することで、酸性基と塩を形成した状態で存在する金属などを効果的に除去できる。よって重合工程で、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量がそれぞれ1000質量ppmを超えた重合溶媒、酸化剤、原料モノマー及び塩基性反応助剤を用いたとしても、反応生成物をイオン交換処理することで、これら各金属の含有量がそれぞれ10質量ppm以下の導電性ポリマー(A)が得られる。
なお、反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、溶解した状態のままイオン交換樹脂と接触させればよい。反応生成物の濃度が濃い場合は、水性媒体で希釈してもよい。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、重合溶媒を濾別した後に、反応生成物を所望の固形分濃度になるように水性媒体に溶解させ、ポリマー溶液としてからイオン交換樹脂に接触させることが好ましい。
水性媒体としては、後述する溶剤(B)と同様のものが挙げられる。
ポリマー溶液中の導電性ポリマー(A)の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。
なお、イオン交換処理に先立ち、反応生成物を洗浄処理してもよい。洗浄処理に用いる洗浄溶媒の種類としては、第一の態様における精製工程で例示した洗浄溶媒が挙げられる。ただし、第二の態様で用いる洗浄溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、それぞれ0.1質量ppm以下であってもよいし、0.1質量ppmを超えていてもよい。
上述したように、導電性ポリマーに金属が含まれていると、成膜時に金属が異物として導電膜に現れ、異物が発生した導電膜では、荷電粒子線による描画後にラインの断線等の問題が生じ、パターニング不良が起こることがある。
しかし、本発明の導電性ポリマー(A)であれば、酸性基を有していながら、金属、具体的にはNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が充分に低減されているので、金属量の少ない、すなわち異物が少ない導電膜を形成できる。
よって、本発明の導電性ポリマー(A)を用いてレジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。
導電性組成物は、上述した本発明の導電性ポリマー(A)と、溶剤(B)とを含む。導電性組成物は、必要に応じて塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)などを含んでいてもよい。
導電性ポリマー(A)は、上述した本発明の導電性ポリマー(A)であり、その説明を省略する。
導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の総質量に対して、0.1~5質量%が好ましく、0.2~3質量%がより好ましく、0.5~2質量%がさらに好ましい。
また、導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の固形分の総質量に対して、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、95~100質量%がさらに好ましい。なお、導電性組成物の固形分は、導電性組成物から溶剤(B)を除いた残分である。
導電性ポリマー(A)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物の塗布性と、導電性組成物より形成される塗膜の導電性のバランスにより優れる。
溶剤(B)としては、導電性ポリマー(A)と、後述の塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)を溶解することができる溶剤であれば、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水などが挙げられる。
有機溶剤としては、導電性ポリマー(A)の製造方法の説明において先に例示した重合溶媒のうちの有機溶媒が挙げられる。
溶剤(B)として、水と有機溶剤との混合溶剤を用いる場合、これらの質量比(水/有機溶剤)は1/100~100/1であることが好ましく、2/100~100/2であることがより好ましい。
導電性組成物は、塩基性化合物(C)を含んでいてもよい。
導電性組成物が塩基性化合物(C)を含んでいれば、導電性ポリマー(A)の安定性を高めることが可能になると考えられる。
第4級アンモニウム塩(c-1):窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム化合物。
塩基性化合物(c-2):1つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(ただし、第4級アンモニウム塩(c-1)及び塩基性化合物(c-3)を除く。)。
塩基性化合物(c-3):同一分子内に塩基性基と2つ以上のヒドロキシ基とを有し、かつ30℃以上の融点を有する塩基性化合物。
第4級アンモニウム化合物(c-1)において、第4級アンモニウムイオンの窒素原子に結合する炭化水素基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
第4級アンモニウム化合物(c-1)としては、例えば、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
塩基性化合物(c-3)としては、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸などが挙げられる。
これらの中でも、導電性ポリマー(A)の酸性基と塩を形成しやすい点から、第4級アンモニウム塩(c-1)及び塩基性化合物(c-2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
塩基性化合物(C)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
イオン交換処理の方法としては、第二の態様における精製工程と同様である。
塩基性化合物(C)の良溶媒としては、溶剤(B)が挙げられる。
塩基性化合物(C)の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
導電性組成物は、界面活性剤(D)を含んでいてもよい。
導電性組成物が界面活性剤(D)を含んでいれば、導電性組成物を基材やレジスト層の表面に塗布する際の塗布性が向上する。
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
末端疎水性基としては、例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、一級又は二級のアルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、アリールアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基が好ましい。
末端疎水性基の炭素数は、3~100が好ましく、5~50がより好ましく、7~30が特に好ましい。
水溶性ポリマー中の末端疎水性基の数は特に制限されない。また、同一分子内に末端疎水性基を2つ以上有する場合、末端疎水性基は同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
含窒素官能基を有するビニルモノマーとしては、アクリルアミド及びその誘導体、含窒素官能基を有する複素環状モノマー等が挙げられ、その中でもアミド結合を持つものが好ましい。具体的には、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N-ビニル-N-メチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等が挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等が特に好ましい。
その他のビニルモノマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーを共重合可能であれば特に制限されないが、例えば、スチレン、アクリル酸、酢酸ビニル、長鎖α-オレフィンなどが挙げられる。
水溶性ポリマー中の主鎖部分と、末端疎水性基部分(例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基などの部分)との分子量比(主鎖部分の質量平均分子量/末端疎水性基部分の質量平均分子量)は、0.3~170であることが好ましい。
界面活性剤(D)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
イオン交換処理の方法としては、第二の態様における精製工程と同様である。
界面活性剤(D)の良溶媒としては、溶剤(B)が挙げられる。
界面活性剤(D)の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
導電性組成物は、必要に応じて、導電性ポリマー(A)、溶剤(B)、塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えば高分子化合物(導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)を除く)、添加剤などが挙げられる。
添加剤としては、例えば顔料、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、防腐剤などが挙げられる。
導電性組成物は、本発明の導電性ポリマー(A)と、溶剤(B)と、必要に応じて塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上とを混合することで得られる。
上述した第一の態様又は第二の態様の導電性ポリマー(A)の製造方法により製造した導電性ポリマー(A)は固体状であることから、予め固体状の導電性ポリマー(A)と溶剤(B)とを混合して導電性ポリマー溶液を調製し、得られた導電性ポリマー溶液を導電性組成物として用いてもよい。また、必要に応じて、導電性ポリマー溶液に塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上を添加して、導電性組成物としてもよい。
また、例えば以下のようにして導電性組成物を調製してもよい。
本実施形態の導電性組成物の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程(重合工程)と、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程(精製工程)とを含む。
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程である。
第三の態様の重合工程は、第二の態様の重合工程と同様である。
精製工程は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程である。
本実施形態における精製工程は、反応生成物中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が、反応生成物の総質量に対してそれぞれ10質量ppm以下になるまで、反応生成物を溶剤(B)に溶解した後に、イオン交換樹脂に接触させてイオン交換処理する工程である。
なお、本実施形態の精製工程で用いる溶剤(B)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、それぞれ100質量ppb以下であってもよいし、100質量ppbを超えていてもよい。
なお、反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、溶解した状態のままイオン交換樹脂と接触させればよい。反応生成物の濃度が濃い場合は、溶剤(B)で希釈してもよい。また、重合溶媒を留去した後に、反応生成物を所望の固形分濃度になるように溶剤(B)に溶解させてもよい。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、重合溶媒を濾別した後に、反応生成物を所望の固形分濃度になるように溶剤(B)に溶解させ、ポリマー溶液としてからイオン交換樹脂に接触させる。
ポリマー溶液中の導電性ポリマー(A)の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。
このようにして得られる導電性組成物は、導電性ポリマー(A)と溶剤(B)とを含み、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が、導電性ポリマー(A)の総質量に対してそれぞれ10質量ppm以下である。
本発明の導電性組成物は、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が充分に低減されている導電性ポリマー(A)を含むので、金属量の少ない、すなわち異物が少ない導電膜を形成できる。
よって、本発明の導電性組成物を用いてレジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。
本発明の導電性組成物は、荷電粒子線描画時の帯電防止用として好適である。具体的には、本発明の導電性組成物を、化学増幅型レジストを用いた荷電粒子線によるパターン形成法のレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成する。こうして形成された導電膜がレジスト層の帯電防止膜となる。
また、上述した以外にも、本発明の導電性組成物は、例えばコンデンサ、透明電極、半導体等の材料として使用することもできる。
なお、実施例及び比較例における各種測定・評価方法は以下の通りである。
<金属の含有量の測定>
高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS- Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer:Agilent Technologies製7500cs)により、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnを金属分析し、原料モノマー、重合溶媒、酸化剤、塩基性反応助剤、洗浄溶媒及び導電性ポリマー(A)の各総質量に対する各金属の含有量を求めた。
なお、本分析計における検出限界値は0.01質量ppmである。含有量が検出限界値未満であった場合、その結果を「<0.01」と記載した。
基材としてガラス基材上に導電性組成物を2.0mL滴下し、基材表面全体を覆うように、スピンコーターにて2000rpm×60秒間の条件で回転塗布して塗膜を形成した後、ホットプレートにて80℃で2分間加熱処理を行い、基材上に膜厚約30nmの導電膜を形成して導電体を得た。
ハイレスタUX-MCP-HT800(株式会社三菱ケミカルアナリテック製)を用い2端子法(電極間距離20mm)にて、導電膜の表面抵抗値[Ω/□]を測定した。
原料モノマーとして、表1に示す金属含有量の2-アミノアニソール-4-スルホン酸を用いた。
重合溶媒として、表1に示す金属含有量の超純水を用いた。
酸化剤として、表1に示す金属含有量のペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いた。
塩基性反応助剤として、表1に示す金属含有量のピリジンを用いた。
洗浄溶媒として、表1に示す金属含有量のメタノールを用いた。
2-アミノアニソール-4-スルホン酸100mmolに、ピリジン100mmolと水100mLを添加して、モノマー溶液を得た。
得られたモノマー溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液(酸化剤溶液)を10℃で滴下した。滴下終了後、25℃で15時間さらに攪拌した後、35℃まで昇温してさらに2時間撹拌して、反応生成物が沈殿した反応液を得た(重合工程)。
得られた反応液を遠心濾過器にて濾過し、沈殿物(反応生成物)を回収して、1Lのメタノールにて反応生成物を洗浄した後に乾燥させ、粉末状の導電性ポリマー(A1)を得た(精製工程)。
精製工程で用いたメタノールの量は、導電性ポリマー(A1)100質量部に対して5000質量部に相当する。
得られた導電性ポリマー(A1)について、金属の含有量を測定した。結果を表1に示す。
導電性ポリマー(A1)2質量部と、水93.1質量部と、イソプロピルアルコール(IPA)4.9質量部とを混合し、導電性組成物を得た。
得られた導電性組成物について、導電性を評価した。結果を表1に示す。
原料モノマーとして表1に示す金属含有量の2-アミノアニソール-4-スルホン酸を用い、酸化剤として表1に示す金属含有量のペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いた以外は実施例1と同様にして導電性ポリマー(A2)を製造し、金属の含有量を測定した。結果を表1に示す。
原料モノマーとして表1に示す金属含有量の2-アミノアニソール-4-スルホン酸を用い、酸化剤として表1に示す金属含有量のペルオキソ二硫酸ナトリウムを用いた以外は実施例1と同様にして重合工程を行った。
得られた反応液を遠心濾過器にて濾過し、沈殿物(反応生成物)を回収して、実施例1と同様にして反応生成物を洗浄した後に、乾燥させた。
洗浄及び乾燥後の反応生成物20gを、実施例1で用いた重合溶媒と同じ金属含有量の超純水980gに溶解させ、固形分濃度2質量%の導電性ポリマー溶液(A3-1)を1000g得た。
実施例1で用いた重合溶媒と同じ金属含有量の超純水により洗浄した陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIR-120B」)500mLをカラムに充填した。
このカラムに、導電性ポリマー溶液(A3-1)1000gを、50mL/分(SV=6)の速度で通過させて、導電性ポリマー溶液(A3-2)を900g得た。
次に、実施例1で用いた重合溶媒と同じ金属含有量の超純水により洗浄した陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIRA410」)500mLをカラムに充填した。
このカラムに、導電性ポリマー溶液(A3-2)900gを、50mL/分(SV=6)の速度で通過させて、導電性ポリマー溶液(A3-3)を800g得た。
導電性ポリマー溶液(A3-3)の一部を採取し、溶媒を留去して導電性ポリマー(A3)を得た。
得られた導電性ポリマー(A3)について、金属の含有量を測定した。結果を表1に示す。
また、導電性ポリマー溶液(A3-3)を導電性組成物として用い、導電性を評価した結果を表1に示す。
酸化剤として表1に示す金属含有量のペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いた以外は実施例1と同様にして導電性ポリマー(A3)を製造し、金属の含有量を測定した。結果を表1に示す。
洗浄溶媒として表1に示す金属含有量のメタノールを用いた以外は実施例1と同様にして導電性ポリマー(A4)を製造し、金属の含有量を測定した。結果を表1に示す。
一方、比較例1、2で得られた導電性ポリマー(A)は各金属の含有量が多かった。よって、レジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりやすい。
Claims (3)
- 酸性基を有する導電性ポリマーの製造方法であって、
重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程を含み、
前記重合溶媒中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であり、
前記酸化剤中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であり、
前記原料モノマー中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下である、導電性ポリマーの製造方法。 - 前記原料モノマーを重合して得られる反応生成物を精製する工程をさらに含み、
前記反応生成物を精製する工程が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ0.1質量ppm以下である洗浄溶媒を用いて反応生成物を洗浄する工程である、請求項1に記載の導電性ポリマーの製造方法。
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