JP2020084031A - 導電性ポリマー及びその製造方法と、導電性組成物及びその製造方法 - Google Patents

導電性ポリマー及びその製造方法と、導電性組成物及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020084031A
JP2020084031A JP2018220386A JP2018220386A JP2020084031A JP 2020084031 A JP2020084031 A JP 2020084031A JP 2018220386 A JP2018220386 A JP 2018220386A JP 2018220386 A JP2018220386 A JP 2018220386A JP 2020084031 A JP2020084031 A JP 2020084031A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive polymer
group
solvent
raw material
reaction product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018220386A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7318198B2 (ja
Inventor
正志 鵜澤
Masashi Uzawa
正志 鵜澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Holdings Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2018220386A priority Critical patent/JP7318198B2/ja
Publication of JP2020084031A publication Critical patent/JP2020084031A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7318198B2 publication Critical patent/JP7318198B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

【課題】レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい導電膜を形成できる導電性ポリマー及びその製造方法と、導電性組成物及びその製造方法の提供。【解決手段】本発明の酸性基を有する導電性ポリマーは、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量がそれぞれ10質量ppm以下である。本発明の導電性ポリマーの製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程を含み、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量がそれぞれ1000質量ppm以下である重合溶媒と酸化剤と原料モノマーを用いるか、原料モノマーを重合して得られる反応生成物を、反応生成物中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量がそれぞれ10質量ppm以下になるまでイオン交換樹脂に接触させて精製する。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性ポリマー及びその製造方法と、導電性組成物及びその製造方法に関する。
電子線やイオン線等の荷電粒子線を用いたパターン形成技術は、光リソグラフィーの次世代技術として期待されている。荷電粒子線を用いる場合、生産性向上にはレジスト層の感度向上が重要である。
従って、露光部分又は荷電粒子線が照射された部分に酸を発生させ、続いてポストエクスポージャーベーク(PEB)処理と呼ばれる加熱処理により架橋反応又は分解反応を促進させる、高感度な化学増幅型レジストの使用が主流となっている。
また、近年、半導体デバイスの微細化の流れに伴い、数nmオーダーでのレジスト形状の管理も要求されるようになってきている。
ところで、荷電粒子線を用いるパターン形成方法においては、特に基板が絶縁性の場合、基板の帯電(チャージアップ)によって発生する電界が原因で、荷電粒子線の軌道が曲げられ、所望のパターンが得られにくいという課題がある。
この課題を解決する手段として、導電性ポリマーを含む導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成し、前記導電膜でレジスト層の表面を被覆する技術が有効であることが既に知られている。
導電性ポリマーとして、酸性基を有する導電性ポリマーが知られている。酸性基を有する導電性ポリマーは、ドープ剤を添加することなく導電性を発現できる。
例えば、特許文献1には、酸性基を有する導電性ポリマーと、含窒素官能基及び末端疎水性基を有する水溶性ポリマーと、溶剤とを含む導電性組成物が開示されている。
特開2002−226721号公報
しかしながら、特許文献1に記載の導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成し、荷電粒子線を用いたパターン形成すると、パターニング不良が起こることがある。
本発明は、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい導電膜を形成できる導電性ポリマー及びその製造方法と、導電性組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
これまで、パターニング不良の要因の1つとして、レジスト層中の異物が考えられてきた。
本発明者は鋭意研究を行なった結果、導電性ポリマーに金属が含まれていると、成膜時に金属が異物として導電膜に現れ、異物が発生した導電膜では、荷電粒子線による描画後にラインの断線等の問題が生じ、パターニング不良が起こることを突き止めた。特に、酸性基を有する導電性ポリマーの場合、酸性基が金属と塩を形成しやすく、金属を取り込みやすい傾向にある。そこで、酸性基を有する導電性ポリマー中の金属を低減することで、パターニング不良を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1] 酸性基を有する導電性ポリマーであって、
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ10質量ppm以下である、導電性ポリマー。
[2] 下記一般式(5)で表される単位を有する、[1]の導電性ポリマー。
Figure 2020084031
式(5)中、R18〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R18〜R21のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
[3] 荷電粒子線描画時の帯電防止用である、[1]又は[2]の導電性ポリマー。
[4] 酸性基を有する導電性ポリマーの製造方法であって、
重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程を含み、
前記重合溶媒中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であり、
前記酸化剤中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であり、
前記原料モノマー中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下である、導電性ポリマーの製造方法。
[5] 前記原料モノマーを重合して得られる反応生成物を精製する工程をさらに含み、
前記反応生成物を精製する工程が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ0.1質量ppm以下である洗浄溶媒を用いて反応生成物を洗浄する工程である、[4]の導電性ポリマーの製造方法。
[6] 酸性基を有する導電性ポリマーの製造方法であって、
重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程と、
前記原料モノマーを重合して得られる反応生成物を精製する工程とを含み、
前記反応生成物を精製する工程が、前記反応生成物中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ10質量ppm以下になるまで、前記反応生成物をイオン交換樹脂に接触させる工程である、導電性ポリマーの製造方法。
[7] 前記原料モノマーが、下記一般式(7)で表される化合物である、[4]〜[6]のいずれか1つの導電性ポリマーの製造方法。
Figure 2020084031
式(7)中、R38〜R42は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R38〜R42のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
[8] [1]〜[3]のいずれかの導電性ポリマーと、溶剤とを含む、導電性組成物。
[9] 酸性基を有する導電性ポリマーと、溶剤とを含む導電性組成物の製造方法であって、
重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程と、
前記原料モノマーを重合して得られる反応生成物を精製する工程とを含み、
前記反応生成物を精製する工程が、前記反応生成物中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ10質量ppm以下になるまで、前記反応生成物を前記溶剤に溶解した後にイオン交換樹脂に接触させる工程である、導電性組成物の製造方法。
[10] 前記原料モノマーが、下記一般式(7)で表される化合物である、[9]の導電性組成物の製造方法。
Figure 2020084031
式(7)中、R38〜R42は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R38〜R42のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
本発明によれば、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい導電膜を形成できる導電性ポリマー及びその製造方法と、導電性組成物及びその製造方法を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
なお、本発明において「導電性」とは、1×1011Ω/□以下の表面抵抗値を有することである。表面抵抗値は、一定の電流を流した場合の電極間の電位差より求められる。
また、本明細書において「溶解性」とは、単なる水、塩基及び塩基性塩の少なくとも一方を含む水、酸を含む水、水と水溶性有機溶媒との混合物のうち、10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。また、「水溶性」とは、上記溶解性に関して、水に対する溶解性のことを意味する。
また、本明細書において、「末端疎水性基」の「末端」とは、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位を意味する。
また、本明細書において「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算)である。
[導電性ポリマー]
本発明の導電性ポリマー(A)は、酸性基を有する。導電性ポリマー(A)が酸性基を有していれば、水溶性が高まる。その結果、導電性ポリマー(A)を含む導電性組成物の塗布性が高まり、均一な厚さの塗膜が得られやすくなる。
導電性ポリマー(A)としては、分子内にスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有していれば、本発明の効果を有する限り特に限定されず、公知の導電性ポリマーを用いることができる。例えば、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平1−301714号公報、特開平5−504153号公報、特開平5−503953号公報、特開平4−32848号公報、特開平4−328181号公報、特開平6−145386号公報、特開平6−56987号公報、特開平5−226238号公報、特開平5−178989号公報、特開平6−293828号公報、特開平7−118524号公報、特開平6−32845号公報、特開平6−87949号公報、特開平6−256516号公報、特開平7−41756号公報、特開平7−48436号公報、特開平4−268331号公報、特開2014−65898号公報等に示された導電性ポリマーなどが、溶解性の観点から好ましい。
導電性ポリマー(A)としては、具体的には、α位若しくはβ位が、スルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたフェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、及びカルバゾリレンからなる群から選ばれた少なくとも1種を繰り返し単位として含む、π共役系導電性ポリマーが挙げられる。
また、前記π共役系導電性ポリマーがイミノフェニレン、及びガルバゾリレンからなる群から選ばれた少なくとも1種の繰り返し単位を含む場合は、前記繰り返し単位の窒素原子上に、スルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、又はスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたアルキル基、若しくはエーテル結合を含むアルキル基を前記窒素原子上に有する導電性ポリマーが挙げられる。
この中でも、導電性や溶解性の観点から、β位がスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、及びイソチアナフテンからなる群から選ばれた少なくとも1種をモノマーユニット(単位)として有する導電性ポリマーが好ましく用いられる。
導電性ポリマー(A)は、高い導電性や溶解性を発現できる観点から、下記一般式(1)〜(4)で表される単位からなる群より選ばれた1種以上のモノマーユニットを、導電性ポリマーを構成する全単位(100mol%)中に20〜100mol%含有する導電性ポリマーが好ましい。
Figure 2020084031
Figure 2020084031
Figure 2020084031
Figure 2020084031
式(1)〜(4)中、Xは硫黄原子、又は窒素原子を表し、R〜R15は各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)、−N(R16、−NHCOR16、−SR16、−OCOR16、−COOR16、−COR16、−CHO、又は−CNを表す。R16は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアリール基、又は炭素数1〜24のアラルキル基を表す。
ただし、一般式(1)のR、Rのうちの少なくとも1つ、一般式(2)のR〜Rのうちの少なくとも1つ、一般式(3)のR〜R10のうちの少なくとも1つ、一般式(4)のR11〜R15のうちの少なくとも1つは、それぞれ酸性基又はその塩である。
ここで、「酸性基」とは、スルホン酸基(スルホ基)又はカルボン酸基(カルボキシ基)を意味する。
スルホン酸基は、酸の状態(−SOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−SO )で含まれていてもよい。さらに、スルホン酸基には、スルホン酸基を有する置換基(−R17SOH)も含まれる。
一方、カルボン酸基は、酸の状態(−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−COO)で含まれていてもよい。さらに、カルボン酸基には、カルボン酸基を有する置換基(−R17COOH)も含まれる。
前記R17は炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアリーレン基、又は炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアラルキレン基を表す。
酸性基の塩としては、スルホン酸基又はカルボン酸基のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又は置換アンモニウム塩などが挙げられる。
アルカリ金属塩としては、例えば、硫酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
置換アンモニウム塩としては、例えば脂肪族アンモニウム塩、飽和脂環式アンモニウム塩、不飽和脂環式アンモニウム塩などが挙げられる。
脂肪族アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラsec−ブチルアンモニウム、テトラt−ブチルアンモニウムなどが挙げられる。
飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
不飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピリジニウム、α−ピコリニウム、β−ピコリニウム、γ−ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム、及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
導電性ポリマー(A)としては、高い導電性を発現できる観点から、上記一般式(4)で表される単位を有することが好ましく、その中でも特に、溶解性にも優れる観点から、下記一般式(5)で表されるモノマーユニットを有することがより好ましい。
Figure 2020084031
式(5)中、R18〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)を表す。また、R18〜R21のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
前記一般式(5)で表される単位としては、製造が容易な点で、R18〜R21のうち、いずれか1つが炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、他のいずれか1つがスルホン酸基であり、残りが水素であるものが好ましい。
導電性ポリマー(A)は、pHに関係なく水及び有機溶媒への溶解性に優れる観点から、該導電性ポリマー(A)を構成する全単位(100mol%)のうち、前記一般式(5)で表される単位を10〜100mol%含有することが好ましく、50〜100mol%含有することがより好ましく、100mol%含有することが特に好ましい。
また、導電性ポリマー(A)は、導電性に優れる観点で、前記一般式(5)で表される単位を1分子中に10以上含有することが好ましい。
また、導電性ポリマー(A)において、溶解性がより向上する観点から、ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。
ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、導電性ポリマー(A)製造時の、モノマーの仕込み比から算出した値のことを指す。
また、導電性ポリマー(A)において、モノマーユニットの芳香環上の酸性基以外の置換基は、モノマーへの反応性付与の観点から電子供与性基が好ましく、具体的には、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアルコキシ基、ハロゲン基(−F、−Cl、−Br又はI)等が好ましく、このうち、電子供与性の観点から、炭素数1〜24のアルコキシ基であることが最も好ましい。
さらに、導電性ポリマー(A)は、前記一般式(5)で表される単位以外の構成単位として、溶解性、導電性及び性状に影響を及ぼさない限り、置換又は無置換のアニリン、チオフェン、ピロール、フェニレン、ビニレン、二価の不飽和基、二価の飽和基からなる群より選ばれる1種以上の単位を含んでいてもよい。
導電性ポリマー(A)としては、高い導電性と溶解性を発現できる観点から、下記一般式(6)で表される構造を有する化合物であることが好ましく、下記一般式(6)で表される構造を有する化合物の中でも、ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)が特に好ましい。
Figure 2020084031
式(6)中、R22〜R37は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)を表す。また、R22〜R37のうち少なくとも1つは酸性基又はその塩である。また、nは重合度を示す。本発明においては、nは5〜2500の整数であることが好ましい。
導電性ポリマー(A)に含有される酸性基は、導電性向上の観点から少なくともその一部が遊離酸型であることが望ましい。
導電性ポリマー(A)の質量平均分子量は、GPCのポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算で、導電性、溶解性及び成膜性の観点から、1000〜100万が好ましく、1500〜80万がより好ましく、2000〜50万がさらに好ましく、2000〜10万が特に好ましい。導電性ポリマー(A)の質量平均分子量が1000未満の場合、溶解性には優れるものの、導電性及び成膜性が不足する場合がある。一方、質量平均分子量が100万を超える場合、導電性には優れるものの、溶解性が不充分な場合がある。
ここで、「成膜性」とは、ハジキ等が無い均一な膜となる性質のことを指し、ガラス上へのスピンコート等の方法で評価することができる。
導電性ポリマー(A)中のナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及び亜鉛(Zn)の含有量は、導電性ポリマー(A)の総質量に対してそれぞれ10質量ppm以下である。導電性ポリマー(A)中のこれら金属の含有量がそれぞれ10質量ppm以下であれば、導電性ポリマー(A)を含む導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して得られる導電膜中の金属量を軽減できる。すなわち、異物の少ない導電膜が得られので、荷電粒子線による描画後にラインの断線等の問題が生じにくく、パターニング不良を抑制できる。Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、導電性ポリマー(A)の総質量に対してそれぞれ7質量ppm以下が好ましい。
導電性ポリマー(A)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
なお、金属の含有量は、高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS−Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)により金属分析することにより求められる。
導電性ポリマー(A)中の上記各金属の含有量をそれぞれ10質量ppm以下にするためには、例えば以下に示す重合工程と精製工程とを行い、導電性ポリマー(A)を製造すればよい。
以下に、導電性ポリマー(A)の製造方法の一例について説明する。
<導電性ポリマー(A)の製造方法>
<<第一の態様>>
本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程(重合工程)含む。また本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程(精製工程)を含んでいてもよい。
(重合工程)
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程である。
原料モノマーの具体例としては、上述したモノマーユニットの由来となる重合性単量体が挙げられ、例えば下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020084031
式(7)中、R38〜R42は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R38〜R42のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
酸性基及びその塩としては、導電性ポリマー(A)の説明において先に例示した酸性基及びその塩が挙げられる。
一般式(7)で表される化合物としては、具体的には酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
酸性基置換アニリンとしては、例えば酸性基としてスルホン酸基を有するスルホン酸基置換アニリンが挙げられる。
スルホン基置換アニリンとして代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体的にはo−,m−,p−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスルホン酸などが好ましく用いられる。
アミノベンゼンスルホン酸類以外のスルホン基置換アニリンとしては、例えばメチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベンゼンスルホン酸、n−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、iso−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、t−ブチルアミノベンゼンスルホン酸等のアルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類;メトキシアミノベンゼンスルホン酸、エトキシアミノベンゼンスルホン酸、プロポキシアミノベンゼンスルホン酸等のアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ニトロ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;フルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロアミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホン酸等のハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類などを挙げることができる。
これらの中では、導電性や溶解性に特に優れる導電性ポリマー(A)が得られる点で、アルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、又はハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類が好ましく、製造が容易な点で、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩が特に好ましい。
これらのスルホン酸基置換アニリンは、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
原料モノマー中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、原料モノマーの総質量に対してそれぞれ1000質量ppm以下であり、500質量ppm以下が好ましい。原料モノマーや導電性ポリマー(A)の酸性基は、金属と塩を形成しやすく、導電性ポリマー(A)中に金属を取り込みやすい。原料モノマー中のこれら金属の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であれば、導電性ポリマー(A)中に取り込まれる金属量が軽減されるので、これら金属の含有量が低減された、具体的には各金属の含有量が10質量ppm以下の導電性ポリマー(A)が得られる。
原料モノマー中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
原料モノマー中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量を、原料モノマーの総質量に対してそれぞれ1000質量ppm以下にするには、原料モノマーが液状の場合は原料モノマーをイオン交換処理して原料モノマーを精製すればよい。原料モノマーが固体の場合は、原料モノマーを良溶媒に溶解させた後、貧溶媒を加えて再結晶することで原料モノマーを精製すればよい。
イオン交換処理の方法としては、後述する第二の態様における精製工程と同様である。
原料モノマーの良溶媒としては、後述する重合溶媒が挙げられる。
原料モノマーの貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
重合溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。
重合溶媒としては、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
重合溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、重合溶媒の総質量に対してそれぞれ1000質量ppm以下であり、500質量ppm以下が好ましい。重合溶媒中のこれら金属の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であれば、導電性ポリマー(A)中に取り込まれる金属量が軽減されるので、これら金属の含有量が低減された、具体的には各金属の含有量が10質量ppm以下の導電性ポリマー(A)が得られる。
重合溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
重合溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量を、重合溶媒の総質量に対してそれぞれ1000質量ppm以下にするには、重合溶媒をイオン交換処理したり、蒸留したりして、重合溶媒を精製すればよい。
イオン交換処理の方法としては、後述する第二の態様における精製工程と同様である。
酸化剤としては、標準電極電位が0.6V以上である酸化剤であれば限定はないが、例えばペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等のペルオキソ二硫酸類;過酸化水素などが挙げられる。特に、ペルオキソ二硫酸類は分解して硫酸イオンが生成するが、この硫酸イオンも金属と塩を形成する。よって、ペルオキソ二硫酸類の分解物(硫酸イオン)と金属が塩を形成することで金属が消費されるので、原料モノマーや導電性ポリマー(A)の酸性基と塩を形成する金属が減り、導電性ポリマー(A)中に取り込まれる金属量が軽減される。そのため、酸化剤としてはペルオキソ二硫酸類が好ましい。
これらの酸化剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
酸化剤中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、酸化の総質量に対してそれぞれ1000質量ppm以下であり、800質量ppm以下が好ましい。酸化剤中のこれら金属の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であれば、導電性ポリマー(A)中に取り込まれる金属量が軽減されるので、これら金属の含有量が低減された、具体的には各金属の含有量が10質量ppm以下の導電性ポリマー(A)が得られる。
酸化剤中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
酸化剤中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量を、酸化剤の総質量に対してそれぞれ1000質量ppm以下にするには、酸化剤を良溶媒に溶解させた後、貧溶媒を加えて再結晶することで酸化剤を精製すればよい。
酸化剤の良溶媒としては、後述する重合溶媒が挙げられる。
酸化剤の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤に加えて、塩基性反応助剤の存在下で原料モノマーを重合してもよい。
塩基性反応助剤としては、例えばアンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン等の脂式アミン類;環式飽和アミン類;ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン等の環式不飽和アミン類などが挙げられる。
これらの中では、脂式アミン類、環式不飽和アミン類が好ましく、環式不飽和アミン類がより好ましい。
これらの塩基性反応助剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
塩基性反応助剤中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、塩基性反応助剤の総質量に対してそれぞれ1000質量ppm以下が好ましく、800質量ppm以下がより好ましい。塩基性反応助剤中のこれら金属の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であれば、導電性ポリマー(A)中に取り込まれる金属量が軽減されるので、これら金属の含有量が低減された、具体的には各金属の含有量が10質量ppm以下の導電性ポリマー(A)が得られる。
塩基性反応助剤中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
塩基性反応助剤中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量を、塩基性反応助剤の総質量に対してそれぞれ1000質量ppm以下にするには、塩基性反応助剤が液状の場合は塩基性反応助剤を蒸留して塩基性反応助剤を精製すればよい。塩基性反応助剤が固体の場合は、塩基性反応助剤を良溶媒に溶解させた後、貧溶媒を加えて再結晶することで塩基性反応助剤を精製すればよい。
イオン交換処理の方法としては、後述する第二の態様における精製工程と同様である。
塩基性反応助剤の良溶媒としては、後述する重合溶媒が挙げられる。
塩基性反応助剤の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
重合の方法としては、例えば、酸化剤溶液中に原料モノマー溶液を滴下する方法、原料モノマー溶液に酸化剤溶液を滴下する方法、反応容器等に原料モノマー溶液と、酸化剤溶液を同時に滴下する方法などが挙げられる。原料モノマー溶液には、必要に応じて塩基性反応助剤が含まれていてもよい。
酸化剤溶液及び原料モノマー溶液の溶媒としては、上述した重合溶媒を用いることができる。
重合反応の反応温度は、50℃以下が好ましく、−15〜30℃がより好ましく、−10〜20℃がさらに好ましい。重合反応の反応温度が50℃以下、特に30℃以下であれば、副反応の進行や、生成する導電性ポリマー(A)の主鎖の酸化還元構造の変化による導電性の低下を抑止できる。重合反応の反応温度が−15℃以上であれば、十分な反応速度を維持し、反応時間を短縮できる。
重合工程により、反応生成物である導電性ポリマー(A)が重合溶媒に溶解または沈殿した状態で得られる。
反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、重合溶媒を留去して反応生成物を得る。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、遠心分離器等の濾過器により重合溶媒を濾別して反応生成物を得る。
反応生成物には、未反応の原料モノマー、副反応の併発に伴うオリゴマー、酸性物質(導電性ポリマー(A)から脱離した遊離の酸性基や、酸化剤の分解物である硫酸イオンなど)、塩基性物質(塩基性反応助剤や、酸化剤の分解物であるアンモニウムイオンなど)等の低分子量成分が含まれている場合がある。これら低分子量成分は不純物であり、導電性を阻害する要因となる。
よって、反応生成物を精製して低分子量成分を除去することが好ましい。
(精製工程)
精製工程は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程である。
本実施形態における精製工程は、洗浄溶媒を用いて反応生成物を洗浄する工程である。
洗浄溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブチノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルモノアセテート等の多価アルコール誘導体;アセトン;アセトニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリルが効果的である。
上述したように、導電性ポリマー(A)の酸性基は、金属と塩を形成しやすく、導電性ポリマー(A)中に金属を取り込みやすい。そのため、反応生成物の洗浄に用いる洗浄溶媒に金属が含まれていると、洗浄溶媒由来の金属と酸性基とで塩を形成してしまう。
そのため、反応生成物を洗浄する場合は、洗浄溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が、洗浄溶媒の総質量に対してそれぞれ0.1質量ppm以下である洗浄溶媒を用いる。これら金属の含有量は、洗浄溶媒の総質量に対してそれぞれ0.08質量ppm以下が好ましい。洗浄溶媒中のこれら金属の含有量がそれぞれ0.1質量ppm以下であれば、導電性ポリマー(A)中に取り込まれる金属量が軽減されるので、これら金属の含有量が低減された、具体的には各金属の含有量が10質量ppm以下の導電性ポリマー(A)が得られる。
洗浄溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
洗浄溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量を、洗浄溶媒の総質量に対してそれぞれ0.1質量ppm以下にするには、洗浄溶媒をイオン交換樹脂に接触させたり、蒸留したりして、洗浄溶媒を精製すればよい。
イオン交換処理の方法としては、後述する第二の態様における精製工程と同様である。
洗浄後の反応生成物、すなわち洗浄後の導電性ポリマー(A)を乾燥することで、固体状の導電性ポリマー(A)が得られる。
なお、洗浄後の導電性ポリマー(A)を必要に応じてイオン交換処理してもよい。イオン交換処理の方法としては、後述する第二の態様における精製工程と同様である。
<<第二の態様>>
本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程(重合工程)と、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程(精製工程)とを含む。
(重合工程)
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程である。
第一の態様では重合工程で用いる重合溶媒、酸化剤、原料モノマー及び塩基性反応助剤中の金属量が規定されているが、第二の態様では重合工程で用いる重合溶媒、酸化剤、原料モノマー及び塩基性反応助剤中の金属量が規定されていない以外は、第二の態様の重合工程は第一の態様の重合工程と同様である。
すなわち、第二の態様では重合工程で用いる重合溶媒、酸化剤及び原料モノマー中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、それぞれ1000質量ppm以下であってもよいし、1000質量ppmを超えていてもよい。また、重合工程で塩基性反応助剤を用いる場合、塩基性反応助剤中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、それぞれ1000質量ppm以下であってもよいし、1000質量ppmを超えていてもよい。
第二の態様の重合工程で用いる重合溶媒の種類としては、第一の態様の説明において先に例示した重合溶媒が挙げられる。
第二の態様の重合工程で用いる酸化剤の種類としては、第一の態様の説明において先に例示した酸化剤や、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウムが挙げられる。
第二の態様の重合工程で用いる原料モノマーの種類としては、第一の態様の説明において先に例示した原料モノマーが挙げられる。
第二の態様の重合工程で用いる塩基性反応助剤の種類としては、第一の態様の説明において先に例示した塩基性反応助剤や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基が挙げられる。
(精製工程)
精製工程は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程である。
本実施形態における精製工程は、反応生成物中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が、反応生成物の総質量に対してそれぞれ10質量ppm以下になるまで、反応生成物をイオン交換樹脂に接触させてイオン交換処理する工程である。
上述したように、導電性ポリマー(A)の酸性基は、金属と塩を形成しやすく、導電性ポリマー(A)中に金属を取り込みやすいが、反応生成物をイオン交換処理することで、酸性基と塩を形成した状態で存在する金属などを効果的に除去できる。よって重合工程で、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量がそれぞれ1000質量ppmを超えた重合溶媒、酸化剤、原料モノマー及び塩基性反応助剤を用いたとしても、反応生成物をイオン交換処理することで、これら各金属の含有量がそれぞれ10質量ppm以下の導電性ポリマー(A)が得られる。
イオン交換処理は、反応生成物中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が、反応生成物の総質量に対してそれぞれ、好ましくは7質量ppm以下になるまで行う。
イオン交換処理の方法としては、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂等のイオン交換樹脂を用いたカラム式、バッチ式の処理;電気透析法などが挙げられる。
なお、反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、溶解した状態のままイオン交換樹脂と接触させればよい。反応生成物の濃度が濃い場合は、水性媒体で希釈してもよい。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、重合溶媒を濾別した後に、反応生成物を所望の固形分濃度になるように水性媒体に溶解させ、ポリマー溶液としてからイオン交換樹脂に接触させることが好ましい。
水性媒体としては、後述する溶剤(B)と同様のものが挙げられる。
ポリマー溶液中の導電性ポリマー(A)の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
イオン交換樹脂を用いたイオン交換法の場合、イオン交換樹脂に対する試料液の量は、例えば固形分濃度5質量%のポリマー溶液の場合、イオン交換樹脂に対して10倍の容積までが好ましく、5倍の容積までがより好ましい。陽イオン交換樹脂としては、例えばオルガノ株式会社製の「アンバーライトIR−120B」などが挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、例えばオルガノ株式会社製の「アンバーライトIRA410」などが挙げられる。
イオン交換処理後の導電性ポリマー(A)は、重合溶媒又は水性媒体に溶解した状態である。従って、エバポレータなどで重合溶媒又は水性媒体を全て除去することで固体状の導電性ポリマー(A)が得られる。
なお、イオン交換処理に先立ち、反応生成物を洗浄処理してもよい。洗浄処理に用いる洗浄溶媒の種類としては、第一の態様における精製工程で例示した洗浄溶媒が挙げられる。ただし、第二の態様で用いる洗浄溶媒中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、それぞれ0.1質量ppm以下であってもよいし、0.1質量ppmを超えていてもよい。
<作用効果>
上述したように、導電性ポリマーに金属が含まれていると、成膜時に金属が異物として導電膜に現れ、異物が発生した導電膜では、荷電粒子線による描画後にラインの断線等の問題が生じ、パターニング不良が起こることがある。
しかし、本発明の導電性ポリマー(A)であれば、酸性基を有していながら、金属、具体的にはNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が充分に低減されているので、金属量の少ない、すなわち異物が少ない導電膜を形成できる。
よって、本発明の導電性ポリマー(A)を用いてレジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。
[導電性組成物]
導電性組成物は、上述した本発明の導電性ポリマー(A)と、溶剤(B)とを含む。導電性組成物は、必要に応じて塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)などを含んでいてもよい。
<導電性ポリマー(A)>
導電性ポリマー(A)は、上述した本発明の導電性ポリマー(A)であり、その説明を省略する。
導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の総質量に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。
また、導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の固形分の総質量に対して、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、95〜100質量%がさらに好ましい。なお、導電性組成物の固形分は、導電性組成物から溶剤(B)を除いた残分である。
導電性ポリマー(A)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物の塗布性と、導電性組成物より形成される塗膜の導電性のバランスにより優れる。
<溶剤(B)>
溶剤(B)としては、導電性ポリマー(A)と、後述の塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)を溶解することができる溶剤であれば、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水などが挙げられる。
有機溶剤としては、導電性ポリマー(A)の製造方法の説明において先に例示した重合溶媒のうちの有機溶媒が挙げられる。
溶剤(B)として、水と有機溶剤との混合溶剤を用いる場合、これらの質量比(水/有機溶剤)は1/100〜100/1であることが好ましく、2/100〜100/2であることがより好ましい。
溶剤(B)の含有量は、導電性組成物の総質量に対して、1〜99.9質量%が好ましく、10〜98質量%がより好ましく、50〜98質量%がさらに好ましい。溶剤(B)の含有量が上記範囲内であれば、塗布性がより向上する。
<塩基性化合物(C)>
導電性組成物は、塩基性化合物(C)を含んでいてもよい。
導電性組成物が塩基性化合物(C)を含んでいれば、導電性ポリマー(A)の安定性を高めることが可能になると考えられる。
塩基性化合物(C)としては、塩基性を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記の4級アンモニウム塩(c−1)、塩基性化合物(c−2)、塩基性化合物(c−3)などが挙げられる。
第4級アンモニウム塩(c−1):窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム化合物。
塩基性化合物(c−2):1つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(ただし、第4級アンモニウム塩(c−1)及び塩基性化合物(c−3)を除く。)。
塩基性化合物(c−3):同一分子内に塩基性基と2つ以上のヒドロキシ基とを有し、かつ30℃以上の融点を有する塩基性化合物。
第4級アンモニウム化合物(c−1)において、4つの置換基が結合する窒素原子は、第4級アンモニウムイオンの窒素原子である。
第4級アンモニウム化合物(c−1)において、第4級アンモニウムイオンの窒素原子に結合する炭化水素基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
第4級アンモニウム化合物(c−1)としては、例えば、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
塩基性化合物(c−2)としては、例えば、アンモニア、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノメチルピリジン、3,4−ビス(ジメチルアミノ)ピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、及びそれらの誘導体などが挙げられる。
塩基性化合物(c−3)において、塩基性基としては、例えば、アレニウス塩基、ブレンステッド塩基、ルイス塩基等で定義される塩基性基が挙げられる。具体的には、アンモニア等が挙げられる。ヒドロキシ基は、−OHの状態であってもよいし、保護基で保護された状態であってもよい。保護基としては、例えば、アセチル基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等のシリル基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基等のアセタール型保護基;ベンゾイル基;アルコキシド基などが挙げられる。
塩基性化合物(c−3)としては、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸などが挙げられる。
これらの塩基性化合物は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
これらの中でも、導電性ポリマー(A)の酸性基と塩を形成しやすい点から、第4級アンモニウム塩(c−1)及び塩基性化合物(c−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
レジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際のパターニング不良をより抑制できる観点から、塩基性化合物(C)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、塩基性化合物(C)の総質量に対してそれぞれ10質量ppb以下が好ましく、5質量ppb以下がより好ましい。
塩基性化合物(C)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
塩基性化合物(C)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量を、塩基性化合物(C)の総質量に対してそれぞれ10質量ppb以下にするには、塩基性化合物(C)が液状の場合は塩基性化合物(C)を蒸留して塩基性化合物(C)を精製すればよい。塩基性化合物(C)が固体の場合は、塩基性化合物(C)を良溶媒に溶解させた後、貧溶媒を加えて再結晶することで塩基性化合物(C)を精製すればよい。
イオン交換処理の方法としては、第二の態様における精製工程と同様である。
塩基性化合物(C)の良溶媒としては、溶剤(B)が挙げられる。
塩基性化合物(C)の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
塩基性化合物(C)の含有量は、導電性組成物の塗布性がより向上する観点から、導電性ポリマー(A)を構成する単位のうち、酸性基を有する単位1molに対して、0.1〜1mol当量が好ましく、0.1〜0.9mol当量がより好ましい。さらに、導電膜としての性能の保持性に優れ、導電性ポリマー(A)中の酸性基をより安定にできる観点から、0.25〜0.85mol当量が特に好ましい。
<界面活性剤(D)>
導電性組成物は、界面活性剤(D)を含んでいてもよい。
導電性組成物が界面活性剤(D)を含んでいれば、導電性組成物を基材やレジスト層の表面に塗布する際の塗布性が向上する。
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ペルフルオロノナン酸、N‐ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウムなどが挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩、塩化ブチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン、ラウリルジメチルアミン−N−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシドなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤として、上述した以外にも、含窒素官能基及び末端疎水性基を有する水溶性ポリマーを用いてもよい。この水溶性ポリマーは従来の界面活性剤とは異なり、含窒素官能基を有する主鎖部分(親水性部分)と、末端の疎水性基部分とによって界面活性能を有し、塗布性の向上効果が高い。よって、他の界面活性剤を併用しなくても、優れた塗布性を導電性組成物に付与できる。しかも、この水溶性ポリマーは酸や塩基を含まないうえ、加水分解により副生成物が生じにくいことから、レジスト層等への悪影響が特に少ない。
含窒素官能基としては、溶解性の観点から、アミド基が好ましい。
末端疎水性基としては、例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、一級又は二級のアルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、アリールアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基が好ましい。
末端疎水性基の炭素数は、3〜100が好ましく、5〜50がより好ましく、7〜30が特に好ましい。
水溶性ポリマー中の末端疎水性基の数は特に制限されない。また、同一分子内に末端疎水性基を2つ以上有する場合、末端疎水性基は同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
水溶性ポリマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーのホモポリマー、又は含窒素官能基を有するビニルモノマーと、含窒素官能基を有さないビニルモノマー(その他のビニルモノマー)とのコポリマーを主鎖構造とし、かつ、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位に疎水性基を有する化合物が好ましい。
含窒素官能基を有するビニルモノマーとしては、アクリルアミド及びその誘導体、含窒素官能基を有する複素環状モノマー等が挙げられ、その中でもアミド結合を持つものが好ましい。具体的には、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が特に好ましい。
その他のビニルモノマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーを共重合可能であれば特に制限されないが、例えば、スチレン、アクリル酸、酢酸ビニル、長鎖α−オレフィンなどが挙げられる。
水溶性ポリマーへの末端疎水性基の導入方法としては特に制限されないが、通常、ビニル重合時の連鎖移動剤を選択することにより導入するのが簡便で好ましい。この場合、連鎖移動剤としてはアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基等の疎水性基を含む基が、得られる重合体の末端に導入されるものであれば特に限定はされない。例えば、末端疎水性基としてアルキルチオ基、アラルキルチオ基、又はアリールチオ基を有する水溶性ポリマーを得る場合は、これらの末端疎水性基に対応する疎水性基を有する連鎖移動剤、具体的にはチオール、ジスルフィド、チオエーテルなどを用いてビニル重合することが好ましい。
水溶性ポリマーの主鎖部分は水溶性であり、含窒素官能基を有する。主鎖部分の単位数(重合度)は、1分子中に2〜1000が好ましく、3〜1000がより好ましく、5〜10が特に好ましい。含窒素官能基を有する主鎖部分の単位数が大きすぎる場合は、界面活性能が低下する傾向がある。
水溶性ポリマー中の主鎖部分と、末端疎水性基部分(例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基などの部分)との分子量比(主鎖部分の質量平均分子量/末端疎水性基部分の質量平均分子量)は、0.3〜170であることが好ましい。
界面活性剤(D)としては、上述した中でもレジスト層への影響が少ない点で、非イオン系界面活性剤が好ましい。
レジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際のパターニング不良をより抑制できる観点から、界面活性剤(D)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、界面活性剤(D)の総質量に対してそれぞれ20質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましい。
界面活性剤(D)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は少ないほど好ましい。
界面活性剤(D)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量を、界面活性剤(D)の総質量に対してそれぞれ20質量ppm以下にするには、界面活性剤(D)が液状の場合は界面活性剤(D)をイオン交換処理して界面活性剤(D)を精製すればよい。界面活性剤(D)が固体の場合は、界面活性剤(D)を良溶媒に溶解させた後、貧溶媒を加えて再結晶することで界面活性剤(D)を精製すればよい。
イオン交換処理の方法としては、第二の態様における精製工程と同様である。
界面活性剤(D)の良溶媒としては、溶剤(B)が挙げられる。
界面活性剤(D)の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
界面活性剤(D)の含有量は、導電性ポリマー(A)と塩基性化合物(C)と界面活性剤(D)の合計を100質量部としたときに、5〜80質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、10〜60質量部がさらに好ましい。界面活性剤(D)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物のレジスト層への塗布性がより向上する。
<任意成分>
導電性組成物は、必要に応じて、導電性ポリマー(A)、溶剤(B)、塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えば高分子化合物(導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)を除く)、添加剤などが挙げられる。
高分子化合物としては、例えばポリビニールホルマール、ポリビニールブチラール等のポリビニルアルコール誘導体類、ポリアクリルアミド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等のポリアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルスチレン共重合体樹脂、水溶性酢酸ビニルアクリル共重合体樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性スチレンマレイン酸共重合樹脂、水溶性フッ素樹脂及びこれらの共重合体が挙げられる。
添加剤としては、例えば顔料、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、防腐剤などが挙げられる。
<導電性組成物の製造方法>
導電性組成物は、本発明の導電性ポリマー(A)と、溶剤(B)と、必要に応じて塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上とを混合することで得られる。
上述した第一の態様又は第二の態様の導電性ポリマー(A)の製造方法により製造した導電性ポリマー(A)は固体状であることから、予め固体状の導電性ポリマー(A)と溶剤(B)とを混合して導電性ポリマー溶液を調製し、得られた導電性ポリマー溶液を導電性組成物として用いてもよい。また、必要に応じて、導電性ポリマー溶液に塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上を添加して、導電性組成物としてもよい。
また、例えば以下のようにして導電性組成物を調製してもよい。
<<第三の態様>>
本実施形態の導電性組成物の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程(重合工程)と、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程(精製工程)とを含む。
(重合工程)
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程である。
第三の態様の重合工程は、第二の態様の重合工程と同様である。
(精製工程)
精製工程は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程である。
本実施形態における精製工程は、反応生成物中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が、反応生成物の総質量に対してそれぞれ10質量ppm以下になるまで、反応生成物を溶剤(B)に溶解した後に、イオン交換樹脂に接触させてイオン交換処理する工程である。
なお、本実施形態の精製工程で用いる溶剤(B)中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量は、それぞれ100質量ppb以下であってもよいし、100質量ppbを超えていてもよい。
反応生成物をイオン交換処理することで、酸性基と塩を形成した状態で存在する金属などを効果的に除去できる。よって重合工程で、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量がそれぞれ1000質量ppmを超えた重合溶媒、酸化剤、原料モノマー及び塩基性反応助剤を用いたとしても、反応生成物を溶剤(B)に溶解した後にイオン交換処理することで、これら各金属の含有量がそれぞれ10質量ppm以下の導電性ポリマー(A)が溶剤(B)に溶解した導電性ポリマー溶液が得られる。また、精製工程で、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量がそれぞれ10質量ppbを超えた溶剤(B)を用いたとしても、反応生成物を溶剤(B)に溶解した後にイオン交換処理することで、これら各金属の含有量がそれぞれ10質量ppmの導電性ポリマー(A)が溶剤(B)に溶解した導電性ポリマー溶液が得られる。
イオン交換処理は、反応生成物中のNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が、反応生成物の総質量に対してそれぞれ、好ましくは7質量ppm以下になるまで行う。
イオン交換処理の方法としては、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂等のイオン交換樹脂を用いたカラム式、バッチ式の処理;電気透析法などが挙げられる。
なお、反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、溶解した状態のままイオン交換樹脂と接触させればよい。反応生成物の濃度が濃い場合は、溶剤(B)で希釈してもよい。また、重合溶媒を留去した後に、反応生成物を所望の固形分濃度になるように溶剤(B)に溶解させてもよい。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、重合溶媒を濾別した後に、反応生成物を所望の固形分濃度になるように溶剤(B)に溶解させ、ポリマー溶液としてからイオン交換樹脂に接触させる。
ポリマー溶液中の導電性ポリマー(A)の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
イオン交換樹脂に対する試料液の量、イオン交換樹脂の種類は、第二の態様の精製工程と同様である。
イオン交換処理後の導電性ポリマー溶液をそのまま導電性組成物として用いてもよいし、溶剤(B)でさらに希釈してもよい。また、必要に応じて、導電性ポリマー溶液に塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上を添加して、導電性組成物としてもよい。
このようにして得られる導電性組成物は、導電性ポリマー(A)と溶剤(B)とを含み、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が、導電性ポリマー(A)の総質量に対してそれぞれ10質量ppm以下である。
<作用効果>
本発明の導電性組成物は、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量が充分に低減されている導電性ポリマー(A)を含むので、金属量の少ない、すなわち異物が少ない導電膜を形成できる。
よって、本発明の導電性組成物を用いてレジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。
<用途>
本発明の導電性組成物は、荷電粒子線描画時の帯電防止用として好適である。具体的には、本発明の導電性組成物を、化学増幅型レジストを用いた荷電粒子線によるパターン形成法のレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成する。こうして形成された導電膜がレジスト層の帯電防止膜となる。
また、上述した以外にも、本発明の導電性組成物は、例えばコンデンサ、透明電極、半導体等の材料として使用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
なお、実施例及び比較例における各種測定・評価方法は以下の通りである。
[測定・評価方法]
<金属の含有量の測定>
高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS− Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer:Agilent Technologies製7500cs)により、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnを金属分析し、原料モノマー、重合溶媒、酸化剤、塩基性反応助剤、洗浄溶媒及び導電性ポリマー(A)の各総質量に対する各金属の含有量を求めた。
なお、本分析計における検出限界値は0.01質量ppmである。含有量が検出限界値未満であった場合、その結果を「<0.01」と記載した。
<導電性の評価>
基材としてガラス基材上に導電性組成物を2.0mL滴下し、基材表面全体を覆うように、スピンコーターにて2000rpm×60秒間の条件で回転塗布して塗膜を形成した後、ホットプレートにて80℃で2分間加熱処理を行い、基材上に膜厚約30nmの導電膜を形成して導電体を得た。
ハイレスタUX−MCP−HT800(株式会社三菱ケミカルアナリテック製)を用い2端子法(電極間距離20mm)にて、導電膜の表面抵抗値[Ω/□]を測定した。
[実施例1]
原料モノマーとして、表1に示す金属含有量の2−アミノアニソール−4−スルホン酸を用いた。
重合溶媒として、表1に示す金属含有量の超純水を用いた。
酸化剤として、表1に示す金属含有量のペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いた。
塩基性反応助剤として、表1に示す金属含有量のピリジンを用いた。
洗浄溶媒として、表1に示す金属含有量のメタノールを用いた。
<導電性ポリマー(A)の製造>
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolに、ピリジン100mmolと水100mLを添加して、モノマー溶液を得た。
得られたモノマー溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液(酸化剤溶液)を10℃で滴下した。滴下終了後、25℃で15時間さらに攪拌した後、35℃まで昇温してさらに2時間撹拌して、反応生成物が沈殿した反応液を得た(重合工程)。
得られた反応液を遠心濾過器にて濾過し、沈殿物(反応生成物)を回収して、1Lのメタノールにて反応生成物を洗浄した後に乾燥させ、粉末状の導電性ポリマー(A1)を得た(精製工程)。
精製工程で用いたメタノールの量は、導電性ポリマー(A1)100質量部に対して5000質量部に相当する。
得られた導電性ポリマー(A1)について、金属の含有量を測定した。結果を表1に示す。
<導電性組成物の調製>
導電性ポリマー(A1)2質量部と、水93.1質量部と、イソプロピルアルコール(IPA)4.9質量部とを混合し、導電性組成物を得た。
得られた導電性組成物について、導電性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
原料モノマーとして表1に示す金属含有量の2−アミノアニソール−4−スルホン酸を用い、酸化剤として表1に示す金属含有量のペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いた以外は実施例1と同様にして導電性ポリマー(A2)を製造し、金属の含有量を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
原料モノマーとして表1に示す金属含有量の2−アミノアニソール−4−スルホン酸を用い、酸化剤として表1に示す金属含有量のペルオキソ二硫酸ナトリウムを用いた以外は実施例1と同様にして重合工程を行った。
得られた反応液を遠心濾過器にて濾過し、沈殿物(反応生成物)を回収して、実施例1と同様にして反応生成物を洗浄した後に、乾燥させた。
洗浄及び乾燥後の反応生成物20gを、実施例1で用いた重合溶媒と同じ金属含有量の超純水980gに溶解させ、固形分濃度2質量%の導電性ポリマー溶液(A3−1)を1000g得た。
実施例1で用いた重合溶媒と同じ金属含有量の超純水により洗浄した陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIR−120B」)500mLをカラムに充填した。
このカラムに、導電性ポリマー溶液(A3−1)1000gを、50mL/分(SV=6)の速度で通過させて、導電性ポリマー溶液(A3−2)を900g得た。
次に、実施例1で用いた重合溶媒と同じ金属含有量の超純水により洗浄した陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIRA410」)500mLをカラムに充填した。
このカラムに、導電性ポリマー溶液(A3−2)900gを、50mL/分(SV=6)の速度で通過させて、導電性ポリマー溶液(A3−3)を800g得た。
導電性ポリマー溶液(A3−3)の一部を採取し、溶媒を留去して導電性ポリマー(A3)を得た。
得られた導電性ポリマー(A3)について、金属の含有量を測定した。結果を表1に示す。
また、導電性ポリマー溶液(A3−3)を導電性組成物として用い、導電性を評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
酸化剤として表1に示す金属含有量のペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いた以外は実施例1と同様にして導電性ポリマー(A3)を製造し、金属の含有量を測定した。結果を表1に示す。
[比較例2]
洗浄溶媒として表1に示す金属含有量のメタノールを用いた以外は実施例1と同様にして導電性ポリマー(A4)を製造し、金属の含有量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2020084031
表1から明らかなように、実施例1〜3で得られた導電性ポリマー(A)は各金属の含有量が10質量ppm以下であった。よって、異物が少ない導電膜を形成できるので、レジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。
一方、比較例1、2で得られた導電性ポリマー(A)は各金属の含有量が多かった。よって、レジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりやすい。
本発明の導電性ポリマー及び導電性組成物は、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい導電膜を形成でき、荷電粒子線描画時の帯電防止用として有用である。

Claims (10)

  1. 酸性基を有する導電性ポリマーであって、
    ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ10質量ppm以下である、導電性ポリマー。
  2. 下記一般式(5)で表される単位を有する、請求項1に記載の導電性ポリマー。
    Figure 2020084031
    式(5)中、R18〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R18〜R21のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
  3. 荷電粒子線描画時の帯電防止用である、請求項1又は2に記載の導電性ポリマー。
  4. 酸性基を有する導電性ポリマーの製造方法であって、
    重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程を含み、
    前記重合溶媒中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であり、
    前記酸化剤中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下であり、
    前記原料モノマー中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ1000質量ppm以下である、導電性ポリマーの製造方法。
  5. 前記原料モノマーを重合して得られる反応生成物を精製する工程をさらに含み、
    前記反応生成物を精製する工程が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ0.1質量ppm以下である洗浄溶媒を用いて反応生成物を洗浄する工程である、請求項4に記載の導電性ポリマーの製造方法。
  6. 酸性基を有する導電性ポリマーの製造方法であって、
    重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程と、
    前記原料モノマーを重合して得られる反応生成物を精製する工程とを含み、
    前記反応生成物を精製する工程が、前記反応生成物中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ10質量ppm以下になるまで、前記反応生成物をイオン交換樹脂に接触させる工程である、導電性ポリマーの製造方法。
  7. 前記原料モノマーが、下記一般式(7)で表される化合物である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の導電性ポリマーの製造方法。
    Figure 2020084031
    式(7)中、R38〜R42は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R38〜R42のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
  8. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ポリマーと、溶剤とを含む、導電性組成物。
  9. 酸性基を有する導電性ポリマーと、溶剤とを含む導電性組成物の製造方法であって、
    重合溶媒及び酸化剤の存在下、前記導電性ポリマーの原料モノマーを重合する工程と、
    前記原料モノマーを重合して得られる反応生成物を精製する工程とを含み、
    前記反応生成物を精製する工程が、前記反応生成物中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛の含有量がそれぞれ10質量ppm以下になるまで、前記反応生成物を前記溶剤に溶解した後にイオン交換樹脂に接触させる工程である、導電性組成物の製造方法。
  10. 前記原料モノマーが、下記一般式(7)で表される化合物である、請求項9に記載の導電性組成物の製造方法。
    Figure 2020084031
    式(7)中、R38〜R42は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R38〜R42のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
JP2018220386A 2018-11-26 2018-11-26 導電性ポリマーの製造方法 Active JP7318198B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018220386A JP7318198B2 (ja) 2018-11-26 2018-11-26 導電性ポリマーの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018220386A JP7318198B2 (ja) 2018-11-26 2018-11-26 導電性ポリマーの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020084031A true JP2020084031A (ja) 2020-06-04
JP7318198B2 JP7318198B2 (ja) 2023-08-01

Family

ID=70906503

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018220386A Active JP7318198B2 (ja) 2018-11-26 2018-11-26 導電性ポリマーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7318198B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010222588A (ja) * 2004-10-13 2010-10-07 Air Products & Chemicals Inc ドーパントとしてフッ化イオン交換ポリマーを有するポリチエノチオフェンの水性ディスパージョン
JP2013253125A (ja) * 2012-06-05 2013-12-19 Mitsubishi Rayon Co Ltd 導電性組成物および前記導電性組成物を用いた導電体
JP2013256631A (ja) * 2012-06-14 2013-12-26 Mitsubishi Rayon Co Ltd ナノカーボン含有組成物およびそれを用いた導電体
JP2014065870A (ja) * 2012-09-27 2014-04-17 Mitsubishi Rayon Co Ltd ナノカーボン含有導電性組成物及び前記組成物からなる導電体
JP2014065898A (ja) * 2012-09-06 2014-04-17 Tosoh Corp ポリチオフェン及びその水溶液、並びにそのチオフェンモノマー
JP2014231540A (ja) * 2013-05-28 2014-12-11 三菱レイヨン株式会社 導電性ポリマー前駆体、および導電性ポリマーとその製造方法
JP2016080964A (ja) * 2014-10-21 2016-05-16 三菱レイヨン株式会社 レジストパターンの形成方法、パターンが形成された基板の製造方法、パターンが形成された基板

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010222588A (ja) * 2004-10-13 2010-10-07 Air Products & Chemicals Inc ドーパントとしてフッ化イオン交換ポリマーを有するポリチエノチオフェンの水性ディスパージョン
JP2013253125A (ja) * 2012-06-05 2013-12-19 Mitsubishi Rayon Co Ltd 導電性組成物および前記導電性組成物を用いた導電体
JP2013256631A (ja) * 2012-06-14 2013-12-26 Mitsubishi Rayon Co Ltd ナノカーボン含有組成物およびそれを用いた導電体
JP2014065898A (ja) * 2012-09-06 2014-04-17 Tosoh Corp ポリチオフェン及びその水溶液、並びにそのチオフェンモノマー
JP2014065870A (ja) * 2012-09-27 2014-04-17 Mitsubishi Rayon Co Ltd ナノカーボン含有導電性組成物及び前記組成物からなる導電体
JP2014231540A (ja) * 2013-05-28 2014-12-11 三菱レイヨン株式会社 導電性ポリマー前駆体、および導電性ポリマーとその製造方法
JP2016080964A (ja) * 2014-10-21 2016-05-16 三菱レイヨン株式会社 レジストパターンの形成方法、パターンが形成された基板の製造方法、パターンが形成された基板

Also Published As

Publication number Publication date
JP7318198B2 (ja) 2023-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6604357B2 (ja) 導電性組成物
JP7318198B2 (ja) 導電性ポリマーの製造方法
JP7206852B2 (ja) 導電性組成物の製造方法
JP7293649B2 (ja) 導電性組成物及びその製造方法
JP7415382B2 (ja) 導電性組成物
JP2020100775A (ja) 導電性組成物
JP7443722B2 (ja) 導電性組成物、帯電防止膜の製造方法及びパターンの形成方法
JP2020084004A (ja) 導電性ポリマー及び導電性組成物
JP7259320B2 (ja) 導電性ポリマー及び導電性組成物並びにそれらの製造方法
JP2021095519A (ja) 導電性組成物
EP4098702A1 (en) Conductive composite, resist coating material, resist, and resist pattern formation method
WO2020100791A1 (ja) 導電性組成物及びその製造方法と、導電体及びその製造方法
JP7279389B2 (ja) 導電性ポリマーの製造方法、及び導電性組成物の製造方法
JP7298291B2 (ja) 導電性組成物、塗膜、レジストパターンの形成方法
JP2020152748A (ja) 導電性ポリマー及びその製造方法と、導電性組成物
JP7135570B2 (ja) 導電性組成物、導電体の製造方法及びレジストパターンの形成方法
JP7310204B2 (ja) 導電膜の形成方法、導電体の製造方法、レジストパターンの形成方法
JP2020158576A (ja) 導電性組成物
JP2020158575A (ja) 導電性組成物
TW202414447A (zh) 導電膜的製造方法、罩幕的製造方法、半導體元件的製造方法、導電膜的缺陷檢查方法以及缺陷檢查裝置
JP2021038357A (ja) 導電性ポリマーの製造方法と、導電性組成物の製造方法
JP2021017519A (ja) 導電性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210630

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220531

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221108

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20221223

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230620

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230703

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7318198

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151