JP7259320B2 - 導電性ポリマー及び導電性組成物並びにそれらの製造方法 - Google Patents

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本発明は導電性ポリマー及び導電性組成物に関する。
電子線やイオン線等の荷電粒子線を用いたパターン形成技術は、光リソグラフィーの次世代技術として期待されている。荷電粒子線を用いる場合、生産性向上にはレジスト層の感度向上が重要である。
従って、露光部分又は荷電粒子線が照射された部分に酸を発生させ、続いてポストエクスポージャーベーク(PEB)処理と呼ばれる加熱処理により架橋反応又は分解反応を促進させる、高感度な化学増幅型レジストの使用が主流となっている。
また、近年、半導体デバイスの微細化の流れに伴い、数nmオーダーでのレジスト形状の管理も要求されるようになってきている。
ところで、荷電粒子線を用いるパターン形成方法においては、特に基板が絶縁性の場合、基板の帯電(チャージアップ)によって発生する電界が原因で、荷電粒子線の軌道が曲げられ、所望のパターンが得られにくいという課題がある。
この課題を解決する手段として、導電性ポリマーを含む導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成し、前記導電膜でレジスト層の表面を被覆する技術が有効であることが既に知られている。
導電性ポリマーとして、酸性基を有する導電性ポリマーが知られている。酸性基を有する導電性ポリマーは、ドープ剤を添加することなく導電性を発現できる。
例えば、特許文献1には、酸性基を有する導電性ポリマーと、含窒素官能基及び末端疎水基を有する水溶性ポリマーと、溶剤とを含む導電性組成物が開示されている。
特開2002-226721号公報
しかしながら、特許文献1に記載の導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成し、荷電粒子線を用いたパターン形成すると、パターニング不良が起こることがある。
本発明は、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい導電膜を形成できる導電性ポリマー及び導電性組成物を提供することを目的とする。
これまで、パターニング不良の要因の1つとして、レジスト層中の異物が考えられてきた。
本発明者は鋭意研究を行なった結果、酸性基を有する導電性ポリマー中に、酸性基を有しない化合物や、酸性基の含有量が少ないポリマーなど、導電性ポリマーよりも溶解性が劣る成分が含まれていると、これらが導電膜中の異物となり、パターニング不良の原因となることを突き止めた。そして、導電性ポリマー中のかかる成分を低減することで、パターニング不良を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記式(1)で表される化合物(1)に基づく構成単位を有する重合体であり、下記化合物(a)と下記ポリマー(b)の合計の含有量が0.1質量%以下である、導電性ポリマー。
化合物(a):下記式(1)における酸性基が、水素原子で置換された化合物。
ポリマー(b):1分子中の芳香環の総数に対して、酸性基が結合していない芳香環の数が30~100%であるポリマー。
Figure 0007259320000001
(式中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は酸性基であり、R~Rのうち、少なくとも1つは水素原子、少なくとも1つはアルコキシ基、かつ少なくとも1つは酸性基である。)
[2] 前記式(1)におけるアルコキシ基がメトキシ基である、[1]の導電性ポリマー。
[3] 荷電粒子線描画時の帯電防止用である、[1]または[2]の導電性ポリマー。
[4] 前記[1]~[3]のいずれかの導電性ポリマーと、溶剤とを含む、導電性組成物。
本発明によれば、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい導電膜を形成できる導電性ポリマー、及び導電性組成物を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
なお、本発明において「導電性」とは、1×1011Ω/□以下の表面抵抗値を有することである。表面抵抗値は、一定の電流を流した場合の電極間の電位差より求められる。
また、本明細書において「溶解性」とは、単なる水、塩基及び塩基性塩の少なくとも一方を含む水、酸を含む水、水と水溶性有機溶媒との混合物のうち、10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。また、「水溶性」とは、上記溶解性に関して、水に対する溶解性のことを意味する。
また、本明細書において、「末端疎水性基」の「末端」とは、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位を意味する。
また、本明細書において「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算)である。
本明細書において、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本明細書において、化合物(1)に基づく構成単位を「構成単位(1)」と記す。他の構成単位も同様に記す。
<導電性ポリマー>
本発明の導電性ポリマー(A)は、下記式(1)で表される化合物(1)に基づく構成単位(1)を有する。
構成単位(1)は、化合物(1)の窒素原子に結合している水素原子の1個又は2個と、ベンゼン環に結合している水素原子の1個を除いたものである。
本発明の導電性ポリマー(A)は、酸性基を有する。導電性ポリマー(A)が酸性基を有していれば、水溶性が高まる。その結果、導電性ポリマー(A)を含む導電性組成物の塗布性が高まり、均一な厚さの塗膜が得られやすくなる。
[化合物(1)]
式(1)において、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は酸性基である。R~Rのうち、少なくとも1つは水素原子、少なくとも1つはアルコキシ基、かつ少なくとも1つは酸性基である。
Figure 0007259320000002
式(1)中のアルコキシ基は、炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
式(1)中の酸性基は、スルホン酸基(スルホ基)又はカルボン酸基(カルボキシ基)である。酸性基は塩を形成していてもよい。
スルホン酸基は、酸の状態(-SOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(-SO )で含まれていてもよい。さらに、スルホン酸基には、スルホン酸基を有する置換基(-R11SOH)も含まれる。
一方、カルボン酸基は、酸の状態(-COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(-COO)で含まれていてもよい。さらに、カルボン酸基には、カルボン酸基を有する置換基(-R11COOH)も含まれる。
前記R11は炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアリーレン基、又は炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアラルキレン基を表す。
酸性基の塩としては、スルホン酸基又はカルボン酸基のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又は置換アンモニウム塩などが挙げられる。
アルカリ金属塩としては、例えば、硫酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
置換アンモニウム塩としては、例えば脂肪族アンモニウム塩、飽和脂環式アンモニウム塩、不飽和脂環式アンモニウム塩などが挙げられる。
脂肪族アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn-ブチルアンモニウム、テトラsec-ブチルアンモニウム、テトラt-ブチルアンモニウムなどが挙げられる。
飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
不飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピリジニウム、α-ピコリニウム、β-ピコリニウム、γ-ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム、及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
式(1)において、製造が容易な点で、R~Rのうち、いずれか1つが炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、他のいずれか1つが酸性基であり、残りが水素原子であるものが好ましい。
製造が容易な点で、R、Rのいずれか一方が酸性基であり、R、Rのいずれか一方がアルコキシ基であることがより好ましい。
前記酸性基はスルホン酸基がより好ましい。
化合物(1)は、式(1)において、R、R、Rが水素原子であり、Rがスルホン酸基であり、Rがメトキシ基である化合物(2-アミノアニソール-4-スルホン酸)、又はその塩が好ましい。
導電性ポリマー(A)としては、高い導電性と溶解性を発現できる観点から、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることが好ましく、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物の中でも、ポリ(2-スルホ-5-メトキシ-1,4-イミノフェニレン)が特に好ましい。
Figure 0007259320000003
式(2)中、R12~R27は、各々独立に、水素原子、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は酸性基を表す。R12~R27のうち、少なくとも1つは酸性基であり、少なくとも1つはアルコキシ基である。また、nは重合度を示す。本発明においては、nは5~2500の整数であることが好ましい。
導電性ポリマー(A)に含有される酸性基は、導電性向上の観点から少なくともその一部が遊離酸型であることが望ましい。
導電性ポリマー(A)の質量平均分子量は、GPCのポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算で、導電性、溶解性及び成膜性の観点から、1000~100万が好ましく、1500~80万がより好ましく、2000~50万がさらに好ましく、2000~10万が特に好ましい。導電性ポリマー(A)の質量平均分子量が1000未満の場合、溶解性には優れるものの、導電性及び成膜性が不足する場合がある。一方、質量平均分子量が100万を超える場合、導電性には優れるものの、溶解性が不充分な場合がある。
ここで、「成膜性」とは、ハジキ等が無い均一な膜となる性質のことを指し、ガラス上へのスピンコート等の方法で評価することができる。
[化合物(a)]
化合物(a)は、式(1)における酸性基が水素原子で置換された化合物である。化合物(a)は、酸性基を有しないため水に溶け難い。
[ポリマー(b)]
本発明の導電性ポリマー(A)は、化合物(1)を含む原料モノマーを重合して得られる。
化合物(1)が化合物(a)を含む場合、導電性ポリマー(A)は、未反応の化合物(a)、および化合物(a)に基づく構成単位(a)を有するポリマー(ホモポリマー又はコポリマー。オリゴマーも含む。)を副生物として含み得る。構成単位(a)の芳香環には酸性基が結合していない。
1分子中の芳香環の総数に対して、酸性基が結合していない芳香環の数が30~100%であるポリマー(b)は、水溶性が不充分となりやすい。
導電性ポリマー(A)の総質量に対して、化合物(a)とポリマー(b)の合計の含有量は0.1質量%以下であり、0.08質量%以下が好ましい。
前記化合物(a)とポリマー(b)の合計の含有量が上記範囲の上限値以下であると、導電性ポリマー(A)を含む導電性組成物をレジスト層上に塗布して導電膜を形成し、荷電粒子線を用いたパターン形成した際のパターニング不良を抑制できる。
化合物(1)中の化合物(a)の含有量、又は導電性ポリマー(A)中の化合物(a)の含有量は、高速液体クロマトグラフィーにより測定できる。具体的には、以下のようにして測定できる。
まず、試料(化合物(1)又は導電性ポリマー(A))を溶離液に溶解させて、試験溶液を調製する。
得られた試験溶液について、高速液体クロマトグラフィーを用いて化合物(a)の濃度を測定し、クロマトグラムを得る。このクロマトグラム上の化合物(a)に相当するピークの面積または高さを読み取り、予め作成しておいた検量線から、試料(化合物(1)又は導電性ポリマー(A))中の化合物(a)の含有量を求める。
導電性ポリマー(A)中のポリマー(b)の含有量は、元素分析法により測定できる。
例えば、燃焼法により窒素原子と硫黄原子のモル比率を測定し、この結果からポリマー(b)の含有量を求める。
<導電性ポリマー(A)の製造方法>
本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、化合物(1)を含む原料モノマーを重合する工程(重合工程)を含む。また本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程(精製工程)を含んでいてもよい。
導電性ポリマー(A)中の、前記化合物(a)とポリマー(b)の合計の含有量を0.1質量%以下にする方法としては、例えば、
方法(I):原料として、化合物(1)の総質量に対して化合物(a)の含有量が0.1質量%以下である化合物(1)を用いる方法、又は
方法(II):重合工程で得られた反応生成物を精製する工程において、化合物(a)とポリマー(b)を除去する方法、が挙げられる。
方法(I)において、化合物(1)中の化合物(a)の含有量が0.1質量%より多い場合は、化合物(1)を精製する。精製後の化合物(1)の総質量に対して化合物(a)の含有量は0.1質量%以下であり、0.08質量%以下が好ましい。
化合物(1)の精製方法としては、例えば下記方法(I-1)又は方法(I-2)を用いることができる。
方法(I-1):化合物(1)を洗浄溶媒で洗浄して、化合物(1)中の化合物(a)を除去する。
方法(I-2):化合物(1)を良溶媒に溶解させた後、貧溶媒を加えて再結晶することで、化合物(1)中の化合物(a)を除去する。
方法(II)において、反応生成物の精製方法としては、例えば下記方法(II-1)を用いることができる。
方法(II-1):反応生成物を洗浄溶媒で洗浄して、洗浄後の精製品(導電性ポリマー(A))中の化合物(a)およびポリマー(b)を除去する。
以下に、導電性ポリマー(A)の製造方法の一例について説明する。
(重合工程)
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、化合物(1)を含む原料モノマーを重合する工程である。
重合溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。
重合溶媒としては、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
酸化剤としては、標準電極電位が0.6V以上である酸化剤であれば限定はないが、例えばペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等のペルオキソ二硫酸類;過酸化水素などが挙げられる。
これらの酸化剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤に加えて、塩基性反応助剤の存在下で原料モノマーを重合してもよい。
塩基性反応助剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン等の脂式アミン類;環式飽和アミン類;ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、キノリン等の環式不飽和アミン類などが挙げられる。
これらの中では、無機塩基、脂式アミン類、環式不飽和アミン類が好ましく、環式不飽和アミン類がより好ましい。
これらの塩基性反応助剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合の方法としては、例えば、酸化剤溶液中に原料モノマー溶液を滴下する方法、原料モノマー溶液に酸化剤溶液を滴下する方法、反応容器等に原料モノマー溶液と、酸化剤溶液を同時に滴下する方法などが挙げられる。原料モノマー溶液には、必要に応じて塩基性反応助剤が含まれていてもよい。
酸化剤溶液及び原料モノマー溶液の溶媒としては、上述した重合溶媒を用いることができる。
重合反応の反応温度は、50℃以下が好ましく、-15~30℃がより好ましく、-10~20℃がさらに好ましい。重合反応の反応温度が50℃以下、特に30℃以下であれば、副反応の進行や、生成する導電性ポリマー(A)の主鎖の酸化還元構造の変化による導電性の低下を抑止できる。重合反応の反応温度が-15℃以上であれば、十分な反応速度を維持し、反応時間を短縮できる。
重合工程により、反応生成物である導電性ポリマー(A)が重合溶媒に溶解または沈殿した状態で得られる。
反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、重合溶媒を留去して反応生成物を得る。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、遠心分離器等の濾過器により重合溶媒を濾別して反応生成物を得る。
(精製工程)
重合工程で得られた反応生成物を、必要に応じて精製して、導電性ポリマー(A)の総質量に対して化合物(a)とポリマー(b)の合計の含有量が0.1質量%以下である精製品を得る。
反応生成物を精製する方法としては、洗浄溶媒を用いた洗浄法、膜濾過法、イオン交換法、加熱処理による不純物の除去、中和析出など公知の方法を用いることができる。2種以上の精製方法を組み合わせてもよい。
精製前の反応生成物(導電性ポリマー(A))中の、化合物(a)とポリマー(b)の合計の含有量が0.1質量%を超える場合は、前記方法(II-1)又は方法(II-2)を用いて精製することが好ましい。
<作用効果>
上述したように、導電性ポリマー(A)に化合物(a)やポリマー(b)が含まれていると、成膜時にこれらが異物として導電膜に現れ、異物が発生した導電膜では、荷電粒子線による描画後にラインの断線等の問題が生じ、パターニング不良が起こることがある。化合物(a)およびポリマー(b)は導電性ポリマー(A)よりも溶解性が劣るためと考えられる。
しかし、本発明の導電性ポリマー(A)であれば、化合物(a)及びポリマー(b)の含有量が充分に低減されているので、異物が少ない導電膜を形成できる。
よって、本発明の導電性ポリマー(A)を用いてレジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。
[導電性組成物]
導電性組成物は、上述した本発明の導電性ポリマー(A)と、溶剤(B)とを含む。導電性組成物は、必要に応じて塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)などを含んでいてもよい。
<導電性ポリマー(A)>
導電性ポリマー(A)は、上述した本発明の導電性ポリマー(A)であり、その説明を省略する。
導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の総質量に対して、0.1~5質量%が好ましく、0.2~3質量%がより好ましく、0.5~2質量%がさらに好ましい。
また、導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の固形分の総質量に対して、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、95~100質量%がさらに好ましい。なお、導電性組成物の固形分は、導電性組成物から溶剤(B)を除いた残分である。
導電性ポリマー(A)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物の塗布性と、導電性組成物より形成される塗膜の導電性のバランスにより優れる。
<溶剤(B)>
溶剤(B)としては、導電性ポリマー(A)と、後述の塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)を溶解することができる溶剤であれば、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水などが挙げられる。
有機溶剤としては、導電性ポリマー(A)の製造方法の説明において先に例示した重合溶媒のうちの有機溶媒が挙げられる。
溶剤(B)として、水と有機溶剤との混合溶剤を用いる場合、これらの質量比(水/有機溶剤)は1/100~100/1であることが好ましく、2/100~100/2であることがより好ましい。
溶剤(B)の含有量は、導電性組成物の総質量に対して、1~99.9質量%が好ましく、10~98質量%がより好ましく、50~98質量%がさらに好ましい。溶剤(B)の含有量が上記範囲内であれば、塗布性がより向上する。
なお、導電性ポリマー(A)を、精製などして水性媒体に溶解した状態(以下、この状態の導電性ポリマー(A)を「導電性ポリマー溶液」ともいう。)で用いる場合、導電性ポリマー溶液由来の水性媒体も導電性組成物中の溶剤(B)の含有量に含まれる。
<塩基性化合物(C)>
導電性組成物は、塩基性化合物(C)を含んでいてもよい。
導電性組成物が塩基性化合物(C)を含んでいれば、塩基性化合物(C)が導電性ポリマー(A)中の酸性基へ効率良く作用して塩を形成することで、導電性ポリマー(A)の安定性を高めることが可能になると考えられる。その結果、網目構造が形成されやすくなり、導電膜に電流が均一に流れやすくなり、導電性がより均一となる。
塩基性化合物(C)としては、塩基性を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記の4級アンモニウム塩(c-1)、塩基性化合物(c-2)、塩基性化合物(c-3)などが挙げられる。
第4級アンモニウム塩(c-1):窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム化合物。
塩基性化合物(c-2):1つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(ただし、第4級アンモニウム塩(c-1)及び塩基性化合物(c-3)を除く。)。
塩基性化合物(c-3):同一分子内に塩基性基と2つ以上のヒドロキシ基とを有し、かつ30℃以上の融点を有する塩基性化合物。
第4級アンモニウム化合物(c-1)において、4つの置換基が結合する窒素原子は、第4級アンモニウムイオンの窒素原子である。
第4級アンモニウム化合物(c-1)において、第4級アンモニウムイオンの窒素原子に結合する炭化水素基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
第4級アンモニウム化合物(c-1)としては、例えば、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
塩基性化合物(c-2)としては、例えば、アンモニア、ピリジン、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジメチルアミノメチルピリジン、3,4-ビス(ジメチルアミノ)ピリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、及びそれらの誘導体などが挙げられる。
塩基性化合物(c-3)において、塩基性基としては、例えば、アレニウス塩基、ブレンステッド塩基、ルイス塩基等で定義される塩基性基が挙げられる。具体的には、アンモニア等が挙げられる。ヒドロキシ基は、-OHの状態であってもよいし、保護基で保護された状態であってもよい。保護基としては、例えば、アセチル基;トリメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基等のシリル基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基等のアセタール型保護基;ベンゾイル基;アルコキシド基などが挙げられる。
塩基性化合物(c-3)としては、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸などが挙げられる。
これらの塩基性化合物は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
これらの中でも、導電性ポリマー(A)の酸性基と塩を形成しやすい点から、第4級アンモニウム塩(c-1)及び塩基性化合物(c-2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
塩基性化合物(C)の含有量は、導電性組成物の塗布性がより向上する観点から、導電性ポリマー(A)を構成する単位のうち、酸性基を有する単位1molに対して、0.1~1mol当量が好ましく、0.1~0.9mol当量がより好ましい。さらに、導電膜としての性能の保持性に優れ、導電性ポリマー(A)中の酸性基をより安定にできる観点から、0.25~0.85mol当量が特に好ましい。
<界面活性剤(D)>
導電性組成物は、界面活性剤(D)を含んでいてもよい。
導電性組成物が界面活性剤(D)を含んでいれば、導電性組成物を基材やレジスト層の表面に塗布する際の塗布性が向上する。
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ペルフルオロノナン酸、N‐ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウムなどが挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩、塩化ブチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、塩化セチルピリジニウムなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル-β-アラニン、ラウリルジメチルアミン-N-オキシド、オレイルジメチルアミンN-オキシドなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤として、上述した以外にも、含窒素官能基及び末端疎水性基を有する水溶性ポリマーを用いてもよい。この水溶性ポリマーは従来の界面活性剤とは異なり、含窒素官能基を有する主鎖部分(親水性部分)と、末端の疎水性基部分とによって界面活性能を有し、塗布性の向上効果が高い。よって、他の界面活性剤を併用しなくても、優れた塗布性を導電性組成物に付与できる。しかも、この水溶性ポリマーは酸や塩基を含まないうえ、加水分解により副生成物が生じにくいことから、レジスト層等への悪影響が特に少ない。
含窒素官能基としては、溶解性の観点から、アミド基が好ましい。
末端疎水性基としては、例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、一級又は二級のアルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、アリールアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基が好ましい。
末端疎水性基の炭素数は、3~100が好ましく、5~50がより好ましく、7~30が特に好ましい。
水溶性ポリマー中の末端疎水性基の数は特に制限されない。また、同一分子内に末端疎水性基を2つ以上有する場合、末端疎水性基は同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
水溶性ポリマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーのホモポリマー、又は含窒素官能基を有するビニルモノマーと、含窒素官能基を有さないビニルモノマー(その他のビニルモノマー)とのコポリマーを主鎖構造とし、かつ、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位に疎水性基を有する化合物が好ましい。
含窒素官能基を有するビニルモノマーとしては、アクリルアミド及びその誘導体、含窒素官能基を有する複素環状モノマー等が挙げられ、その中でもアミド結合を持つものが好ましい。具体的には、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N-ビニル-N-メチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等が挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等が特に好ましい。
その他のビニルモノマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーを共重合可能であれば特に制限されないが、例えば、スチレン、アクリル酸、酢酸ビニル、長鎖α-オレフィンなどが挙げられる。
水溶性ポリマーへの末端疎水性基の導入方法としては特に制限されないが、通常、ビニル重合時の連鎖移動剤を選択することにより導入するのが簡便で好ましい。この場合、連鎖移動剤としてはアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基等の疎水性基を含む基が、得られる重合体の末端に導入されるものであれば特に限定はされない。例えば、末端疎水性基としてアルキルチオ基、アラルキルチオ基、又はアリールチオ基を有する水溶性ポリマーを得る場合は、これらの末端疎水性基に対応する疎水性基を有する連鎖移動剤、具体的にはチオール、ジスルフィド、チオエーテルなどを用いてビニル重合することが好ましい。
水溶性ポリマーの主鎖部分は水溶性であり、含窒素官能基を有する。主鎖部分の単位数(重合度)は、1分子中に2~1000が好ましく、3~1000がより好ましく、5~10が特に好ましい。含窒素官能基を有する主鎖部分の単位数が大きすぎる場合は、界面活性能が低下する傾向がある。
水溶性ポリマー中の主鎖部分と、末端疎水性基部分(例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基などの部分)との分子量比(主鎖部分の質量平均分子量/末端疎水性基部分の質量平均分子量)は、0.3~170であることが好ましい。
界面活性剤(D)としては、上述した中でもレジスト層への影響が少ない点で、非イオン系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤(D)の含有量は、導電性ポリマー(A)と塩基性化合物(C)と界面活性剤(D)の合計を100質量部としたときに、5~80質量部が好ましく、10~70質量部がより好ましく、10~60質量部がさらに好ましい。界面活性剤(D)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物のレジスト層への塗布性がより向上する。
<任意成分>
導電性組成物は、必要に応じて、導電性ポリマー(A)、溶剤(B)、塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えば高分子化合物(導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)を除く)、添加剤などが挙げられる。
高分子化合物としては、例えばポリビニールホルマール、ポリビニールブチラール等のポリビニルアルコール誘導体類、ポリアクリルアミド、ポリ(N-t-ブチルアクリルアミド)、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等のポリアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルスチレン共重合体樹脂、水溶性酢酸ビニルアクリル共重合体樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性スチレンマレイン酸共重合樹脂、水溶性フッ素樹脂及びこれらの共重合体が挙げられる。
添加剤としては、例えば顔料、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、防腐剤などが挙げられる。
<導電性組成物の製造方法>
導電性組成物は、本発明の導電性ポリマー(A)と、溶剤(B)と、必要に応じて塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上とを混合することで得られる。
固体状で得られた導電性ポリマー(A)と溶剤(B)とを混合して導電性ポリマー溶液を調製し、得られた導電性ポリマー溶液を導電性組成物として用いてもよい。また、必要に応じて、導電性ポリマー溶液に塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上を添加して、導電性組成物としてもよい。
溶液状で得られた導電性ポリマー溶液は、そのまま導電性組成物として用いてもよいし、溶剤(B)でさらに希釈してもよい。また、必要に応じて、導電性ポリマー溶液に塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上を添加して、導電性組成物としてもよい。
<作用効果>
本発明の導電性組成物は、化合物(a)及びポリマー(b)の含有量が充分に低減されている導電性ポリマー(A)を含むので、異物が少ない導電膜を形成できる。
よって、本発明の導電性組成物を用いてレジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。
<用途>
本発明の導電性組成物は、荷電粒子線描画時の帯電防止用として好適である。具体的には、本発明の導電性組成物を、化学増幅型レジストを用いた荷電粒子線によるパターン形成法のレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成する。こうして形成された導電膜がレジスト層の帯電防止膜となる。
また、上述した以外にも、本発明の導電性組成物は、例えばコンデンサ、透明電極、半導体等の材料として使用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
なお、実施例及び比較例における各種測定・評価方法は以下の通りである。
[測定・評価方法]
<化合物(1)中の化合物(a)の測定>
化合物(1)に溶離液を加えて試験溶液を調製した。得られた試験溶液について、高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて、化合物(a)の濃度を測定し、クロマトグラムを得た。得られたクロマトグラム上の化合物(a)に相当するピークの面積又は高さを読み取り、予め作成しておいた検量線から、化合物(1)の総質量に対する化合物(a)の含有量を求めた。
<<HPLC測定条件>>
・測定装置:Agilent 1100(アジレント・テクノロジー社製品名)
・カラム: ZORBAX SB-C18 150mm×4.6mmφ
・溶離液: 2.0mM 酢酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル
・グラジエント:アセトニトリル 20→20→90→90%(0→10→20→25min)
・流速: 1.0ml/min
・カラム温度:40℃
・試料注入量:5μL
・測定波長:254nm
<導電性ポリマー(A)中の化合物(a)の測定>
導電性ポリマー(A)に溶離液を加えて試験溶液を調製した。得られた試験溶液について、高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて、化合物(a)の濃度を測定し、クロマトグラムを得た。得られたクロマトグラム上の化合物(a)に相当するピークの面積又は高さを読み取り、予め作成しておいた検量線から、導電性ポリマー(A)の総質量に対する化合物(a)の含有量を求めた。
HPLC測定条件は、上記「化合物(1)中の化合物(a)の測定」と同じである。
<導電性ポリマー(A)中のポリマー(b)の測定方法>
導電性ポリマー(A)について、燃焼法により、窒素原子と硫黄原子のモル比率を測定し、この結果からポリマー(b)の含有量を求めた。
<導電膜中の異物抑制性の評価>
基材として4インチシリコンウエハ上に導電性組成物を2.0mL滴下し、基材表面全体を覆うように、スピンコーターにて2000rpm×60秒間の条件で回転塗布して塗膜を形成した後、ホットプレートにて80℃で2分間加熱処理を行い、基材上に膜厚約30nmの導電膜を形成して導電体を得た。
得られた導電膜を金属顕微鏡にて倍率100倍にて観察し、導電膜1cmあたりに存在する異物の数を計測した。異物の数が少ないほど、導電膜中の異物抑制性に優れる。下記の評価基準で評価した。
[評価基準]
A:異物の数が3個/cm以下である。
B:異物の数が3個/cm超、10個/cm以下である。
C:異物の数が10個/cm超である。
<原料>
化合物(1)として、2-アミノアニソール-4-スルホン酸(式(1)において、R、R、Rが水素原子であり、Rがスルホン酸基であり、Rがメトキシ基である化合物)を用いた。
化合物(1)の原料である化合物(a)は、アニシジン(式(1)において、R、R、R、Rが水素原子であり、Rがメトキシ基である化合物)である。
市販品から入手した2-アミノアニソール-4-スルホン酸中のアニシジン含有量は0.5質量%であった。
[実施例1]
<導電性ポリマー(A)の製造>
本例では、2-アミノアニソール-4-スルホン酸を予めメタノールで洗浄して用いた。洗浄後のアニシジン含有量は50質量ppmであった。
洗浄した2-アミノアニソール-4-スルホン酸100mmolに、ピリジン100mmolと水100mLを添加して、モノマー溶液を得た。
得られたモノマー溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液(酸化剤溶液)を10℃で滴下した。滴下終了後、25℃で15時間さらに攪拌した後、35℃まで昇温してさらに2時間撹拌して、反応生成物が沈殿した反応液を得た(重合工程)。
得られた反応液を遠心濾過器にて濾過し、沈殿物(反応生成物)を回収し、乾燥させ、粉末状の導電性ポリマー(A1)を得た。
得られた導電性ポリマー(A1)について、化合物(a)(アニシジン)の含有量およびポリマー(b)の含有量を測定した。結果を表1に示す。
<導電性組成物の調製>
導電性ポリマー(A1)2質量部と、水93.1質量部と、イソプロピルアルコール(IPA)4.9質量部とを混合し、導電性組成物を得た。
得られた導電性組成物について、導電性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
本例では、アニシジン含有量が0.5質量%である2-アミノアニソール-4-スルホン酸を洗浄せずに用い、重合工程後に洗浄を行った。
実施例1と同様の重合工程を行って反応生成物が沈殿した反応液を得た。
得られた反応液を遠心濾過器にて濾過し、沈殿物(反応生成物)を回収し、1Lのメタノールにて反応生成物を洗浄した後に乾燥させ、粉末状の導電性ポリマー(A2)を得た。
得られた導電性ポリマー(A2)について、アニシジンの含有量およびポリマー(b)の含有量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られた導電性ポリマー(A2)を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を調製し、導電性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
本例では、アニシジン含有量が3質量%である2-アミノアニソール-4-スルホン酸を洗浄せずに用い、重合工程後の洗浄も行わなかった。
実施例1と同様の重合工程を行って反応生成物が沈殿した反応液を得た。
得られた反応液を遠心濾過器にて濾過し、沈殿物(反応生成物)を回収し、乾燥させ、粉末状の導電性ポリマー(A3)を得た。
得られた導電性ポリマー(A3)について、アニシジンの含有量およびポリマー(b)の含有量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られた導電性ポリマー(A3)を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を調製し、導電性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007259320000004
表1から明らかなように、実施例1、2で得られた導電性ポリマー(A)は、化合物(a)およびポリマー(b)の含有量の合計が0.1質量%以下であった。したがって、レジスト層上に導電膜を形成したときに、導電膜中の異物が充分に抑制され、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。
一方、比較例1で得られた導電性ポリマー(A)は、導電膜中の異物の原因となる化合物(a)およびポリマー(b)の含有量の合計が多かった。このため、レジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりやすい。
本発明の導電性ポリマー及び導電性組成物は、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい導電膜を形成でき、荷電粒子線描画時の帯電防止用として有用である。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表される化合物(1)に基づく構成単位を有する重合体であり、下記化合物(a)と下記ポリマー(b)の合計の含有量が0.1質量%以下(ただし、0質量%を除く)である、導電性ポリマー。
    化合物(a):下記式(1)における酸性基が、水素原子で置換された化合物。
    ポリマー(b):1分子中の芳香環の総数に対して、酸性基が結合していない芳香環の数が30~100%であるポリマー。
    Figure 0007259320000005
    (式中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は酸性基であり、R~Rのうち、少なくとも1つは水素原子、少なくとも1つはアルコキシ基、かつ少なくとも1つは酸性基である。)
  2. 前記式(1)におけるアルコキシ基がメトキシ基である、請求項1に記載の導電性ポリマー。
  3. 荷電粒子線描画時の帯電防止用である、請求項1または2に記載の導電性ポリマー。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性ポリマーと、溶剤とを含む、導電性組成物。
  5. 下記式(1)で表される化合物(1)に基づく構成単位を有する重合体であり、下記化合物(a)と下記ポリマー(b)の合計の含有量が0.1質量%以下(ただし、0質量%を除く)である、導電性ポリマーを製造する方法であって、
    前記化合物(1)を含む原料モノマーを重合する重合工程を有し、
    前記重合工程に用いる前記化合物(1)を、前記重合工程の前に精製する原料精製工程を有する、導電性ポリマーの製造方法。
    化合物(a):下記式(1)における酸性基が、水素原子で置換された化合物。
    ポリマー(b):1分子中の芳香環の総数に対して、酸性基が結合していない芳香環の数が30~100%であるポリマー。
    Figure 0007259320000006
    (式中、R ~R はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は酸性基であり、R ~R のうち、少なくとも1つは水素原子、少なくとも1つはアルコキシ基、かつ少なくとも1つは酸性基である。)
  6. 前記原料精製工程において、精製後の前記化合物(1)の総質量に対して前記化合物(a)の含有量が0.1質量%以下となるように精製する、請求項5に記載の導電性ポリマーの製造方法。
  7. 前記原料精製工程において、前記重合工程に用いる前記化合物(1)を、前記化合物(1)中の化合物(a)を除去できる洗浄溶媒で洗浄する、請求項5又は6に記載の導電性ポリマーの製造方法。
  8. 前記化合物(1)が2-アミノアニソール-4-スルホン酸であり、前記化合物(a)がアニシジンであり、前記洗浄溶媒がメタノールである、請求項7に記載の導電性ポリマーの製造方法。
  9. さらに、前記重合工程で得られた反応生成物を、前記反応生成物中の前記化合物(a)及び前記ポリマー(b)を除去できる洗浄溶媒で洗浄する工程を有する、請求項5~8のいずれか一項に記載の導電性ポリマーの製造方法。
  10. 請求項5~9のいずれか一項に記載の製造方法で導電性ポリマーを製造し、得られた導電性ポリマーと、溶剤を混合する工程を有する、導電性組成物の製造方法。
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