JP2020100713A - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
また、文献2に開示された技術によれば、ホルムアルデヒド発生の抑制効果は発現されるものの、モールドデポジット抑制効果が不十分であり、安定的な成形技術ではなかった。
(A)ポリアセタール重合体100質量部、
(B)脂肪族カルボン酸ヒドラジド0.01〜0.50質量部、
(C)2つのヒドラジノカルボニルアルキル基を有するヒダントイン化合物0.001〜0.50質量部、
(D)脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩0.001〜0.30質量部、
とを含有してなり、
前記(B)と(C)の合計量が、(A)ポリアセタール重合体100質量部に対して0.03〜0.55質量部であるポリアセタール樹脂組成物。
2. 前記(B)脂肪族カルボン酸ヒドラジドが、セバシン酸ジヒドラジドである前記1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
3. 前記(D)脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩が、ステアリン酸カルシウムおよび12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも1種である前記1または2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
4. 前記(C)2つのヒドラジノカルボニルアルキル基を有するヒダントイン化合物が、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントインである前記1〜3いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
<(A)ポリアセタール重合体>
本発明に使用される(A)ポリアセタール重合体は、オキシメチレン基(−OCH2−)を構成単位とするホモポリマーでもよいし、オキシメチレン単位以外に他のコモノマー単位を有する共重合体であってもよく、共重合体であることが好ましい。
コモノマーとしては、一般的な環状エーテル及び環状ホルマール、また分岐構造や架橋構造を形成可能なグリシジルエーテル化合物などを単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明において使用する(B)脂肪族カルボン酸ヒドラジドとしては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、ステアリン酸ヒドラジド、等が挙げられる。好ましくは、セバシン酸ジヒドラジドが挙げられ、ホルムアルデヒドを捕捉し、更にヒダントイン系ヒドラジドと併用することで本来発生するモールドデポジットを著しく抑えることができる。
本発明の(C)2つのヒドラジノカルボニルアルキル基を有するヒダントイン化合物(以下、ヒダントイン化合物と略すこともある)としては、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)ヒダントイン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−メチルヒダントイン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5、5−ジメチルヒダントイン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等が挙げられ、ヒダントインの5位には1又は2つの置換基(メチル基などの直鎖又は分岐鎖状炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基などの炭素数6〜10のアリール基など)を有していてもよく、5位の2つの置換基は5位の炭素原子とともに環を形成してもよい。好ましくは、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントインが用いられる。
この本発明の(C)ヒダントイン化合物は、本発明の(B)脂肪族カルボン酸ヒドラジドと併用することによって、モールドデポジットを抑制する。とくに、セバシン酸ジヒドラジドとの併用で効果が大きい。
また本発明において(B)脂肪族カルボン酸ヒドラジドと(C)ヒダントイン化合物の両方が含有されていれば本発明の効果が得られるが、合計量として、(A)ポリアセタール重合体100質量部に対して、0.03〜0.55質量部であることが好ましい。そして(B)と(C)の含有質量比は(B):(C)=10:90〜99:1であることが好ましい。
本発明の(D)脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩を構成する脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸であってもよく、不飽和脂肪族カルボン酸であってもよい。このような脂肪族カルボン酸としては、炭素数10以上の1価又は2価の脂肪族カルボン酸、例えば、炭素数10以上の1価の飽和脂肪族カルボン酸[カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の炭素数10〜34飽和脂肪族カルボン酸(好ましくは炭素数10〜30飽和脂肪族カルボン酸)等]、炭素数10以上の1価の不飽和脂肪族カルボン酸[オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸等の炭素数10〜34不飽和脂肪族カルボン酸(好ましくは炭素数10〜30不飽和脂肪族カルボン酸)等]、炭素数10以上の2価の脂肪族カルボン酸(二塩基性脂肪族カルボン酸)[セバシン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、タプシア酸等の2価の炭素数10−30飽和脂肪族カルボン酸(好ましくは2価の炭素数10〜20飽和脂肪族カルボン酸)等]、炭素数10以上の2価の不飽和脂肪族カルボン酸[デセン二酸、ドデセン二酸等の2価の炭素数10〜30不飽和脂肪族カルボン酸(好ましくは2価の炭素数10〜20不飽和脂肪族カルボン酸)等]が例示できる。
本発明において、特に好ましい脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩は、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムである。
本発明においては、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を通常の酸化防止剤として使用することができる。一般的に使用される単環式ヒンダードフェノール化合物、炭化水素基又はイオウ原子を含む基で連結された多環式ヒンダードフェノール化合物、エステル基又はアミド基を有するヒンダードフェノール化合物などが挙げられ、具体的には、特開2009−286874号公報記載の化合物、IRGANOX1010、同1035、同1076、同1098、同1135、同1330、同1425、同245、同259、同565、同3114等(以上製品名、BASFジャパン社製)等、市販の化合物を使用することができる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、さらに、熱安定性、長期熱安定性等を向上させるために、金属酸化物、金属水酸化物から選ばれた化合物を添加することが可能である。その添加量は、(A)ポリアセタール重合体100質量部に対し、0.01〜1質量部が好ましい。
なお、全ての試料において、溶融混錬の際に(A)ポリアセタール重合体成分100質量部に対して(E)エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert―ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](BASFジャパン社製 IRGANOX245)0.35質量部を添加した。
実施例で使用した表1、2に記載の各成分は以下のものである。
・(A)ポリアセタール重合体
a−1:トリオキサン96.7質量%と1,3−ジオキソラン3.3質量%とを共重合させてなるポリアセタール共重合体(メルトインデックス(190℃,荷重2160gで測定):27g/10min)
・(B)脂肪族カルボン酸ヒドラジド化合物
b−1:セバシン酸ジヒドラジド
b−2:アジピン酸ジヒドラジド
b−3:ドデカン二酸ジヒドラジド
・(C)ヒダントイン化合物
c−1:1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(味の素ファインテクノ社製 「アミキュア」VDH)
・(D)脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩
d−1:ステアリン酸カルシウム
d−2:12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム
実施例における特性評価項目及び評価方法は以下の通りである。
実施例及び比較例で調製したポリアセタール樹脂組成物を用い、下記条件で平板状試験片(100mm×40mm×2mmt)を成形した。この平板状試験片2枚を、10Lのポリフッ化ビニル製サンプリングバッグに封入し脱気して、4Lの窒素を入れ、65℃で2時間加熱した後、サンプリングバッグ内の窒素を0.5ml/minで3L抜き取り、発生したホルムアルデヒドをDNPH(2,4-ジニトロフェニルヒドラジン)捕集管(Waters社製 Sep―Pak DNPH―Silica)に吸着させた。
*成形条件:シリンダー温度(℃) ノズル−C1− C2− C3
190 190 180 160℃
射出圧力 60(MPa)
射出速度 1.0(m/min)
金型温度 80(℃)
実施例および比較例で調製したポリアセタール樹脂組成物を用い、下記条件でモールドデポジット試験片(33mm×23mm×1mmt)を成形した。
[評価方法]
5000shot連続成形した後、金型内のキャビティ部表面を目視にて観察し、以下の基準に従って付着物量を目視で判定した。
◎:付着物は全く確認されない
○:付着物はほとんど確認されない
△:一部付着物が確認される。
×:全体に付着物が確認される
××:全体に多量の付着物が確認される
*成形条件:シリンダー温度(℃) ノズル−C1−C2− C3
205 215 205 185℃
射出圧力 40(MPa)
射出速度 1.5(m/min)
金型温度 80(℃)
Claims (4)
- 少なくとも
(A)ポリアセタール重合体100質量部、
(B)脂肪族カルボン酸ヒドラジド0.01〜0.50質量部、
(C)2つのヒドラジノカルボニルアルキル基を有するヒダントイン化合物0.001〜0.50質量部、
(D)脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩0.001〜0.30質量部、
とを含有してなり、
前記(B)と(C)の合計量が、(A)ポリアセタール重合体100質量部に対して0.03〜0.55質量部であるポリアセタール樹脂組成物。 - 前記(B)脂肪族カルボン酸ヒドラジドが、セバシン酸ジヒドラジドである請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(D)脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩が、ステアリン酸カルシウムおよび12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(C)2つのヒドラジノカルボニルアルキル基を有するヒダントイン化合物が、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントインである請求項1〜3いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
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