JP2020097802A - シート製造装置、記録用シート、及び、シート製造方法 - Google Patents

シート製造装置、記録用シート、及び、シート製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】情報セキュリティーの強化ために用いられるセキュリティーペーパーを、多量の水を必要としない方法により製造する。【解決手段】繊維を含む原料を気中で堆積させて第2ウェブW2を形成するウェブ形成部102と、第2ウェブW2が搬送される間に第2ウェブW2に磁性体を配置する配置部30と、磁性体が配置された第2ウェブW2をシートに加工する加工部80と、を備えるシート製造装置100。【選択図】図1

Description

本発明は、シート製造装置、記録用シート、及び、シート製造方法に関する。
従来、セキュリティーの強化を図る一つの手法として、セキュリティーペーパーと呼ばれる紙の利用が提案されている。この種の紙は、例えば、磁性ワイヤーが漉き込まれて構成される(例えば、特許文献1参照)。この種の紙は、所定周波数の交番磁界が与えられた場合、紙にすき込まれた磁性ワイヤーが磁化反転時に急峻なパルス信号を発する。このパルス信号を検知装置で検出することにより、磁性ワイヤーを含む紙の存在を検知できるものである。
特開2005−146477号公報
従来のセキュリティーペーパーの製造方法は、磁性ワイヤーを含む水懸濁液を製紙原料の上に供給し、その後に水分を脱水することで、シート状に形成する方法であった。この方法では、セキュリティーペーパーの製造に多量の水を必要とするという課題があった。
上記課題を解決する一態様は、繊維を含む原料を気中で堆積させてウェブを形成するウェブ形成部と、前記ウェブが搬送される間に前記ウェブに磁性体を配置する配置部と、前記磁性体が配置された前記ウェブをシートに加工する加工部と、を備えるシート製造装置である。
上記シート製造装置において、前記配置部は、前記ウェブの搬送経路に対する定位置に前記磁性体を配置する構成であってもよい。
上記シート製造装置において、前記磁性体は長手形状を有し、前記配置部は、複数の前記磁性体を、前記磁性体の方向が3以上の異なる方向となるように配置する構成であってもよい。
上記シート製造装置において、前記配置部は、互いの方向が60°±5°異なるように配置される3つの前記磁性体を含む、複数の前記磁性体を配置する構成であってもよい。
上記シート製造装置において、前記配置部は、前記磁性体として、磁性体を含む所定長さの線材を配置する構成であってもよい。
上記シート製造装置において、前記配置部は、前記ウェブの搬送方向に対する角度を変化させる方向に回動可能なガイドを有し、前記ガイドに沿って前記磁性線材を配置する構成であってもよい。
上記シート製造装置において、前記加工部によって加工された前記シートを所定の長さで切断する切断部を更に備え、前記切断部は、切断後の前記シート100重量部に対する前記磁性体の含まれる割合が1.0重量部未満となる位置で、前記シートを切断する構成であってもよい。
上記シート製造装置において、前記繊維を含む原料には加熱により溶融して前記繊維を結合させる樹脂が混合され、前記加工部は、前記磁性体が配置された前記ウェブを加熱して前記シートに加工する構成であってもよい。
上記シート製造装置において、前記ウェブまたは前記シートに配置された前記磁性体に被覆材料を付着させる被覆処理部を有する構成であってもよい。
上記課題を解決する一態様は、繊維を含む原料で構成されたシートと、前記シートに配置された磁性体を含む磁性線材と、を有し、前記シートの100重量部に対して1.0重量部未満の前記磁性線材が含まれており、複数の前記磁性線材が、互いに異なる3以上の異なる方向を向いて配置されている、記録用シートである。
上記記録用シートにおいて、複数の前記磁性線材が、互いの方向が60°±5°異なるように配置されている構成であってもよい。
上記課題を解決する一態様は、繊維を含む原料を気中で堆積させてウェブを形成するウェブ形成工程と、前記ウェブを搬送し、搬送される前記ウェブに磁性体を配置する配置工程と、前記磁性体が配置された前記ウェブをシートに加工する加工工程と、を含むシート製造方法である。
上記シート製造方法において、前記加工工程によって加工された前記シートを所定の長さで切断する切断工程を更に備え、前記切断工程は、切断後の前記シート100重量部に対する前記磁性体の含まれる割合が1.0重量部未満となる位置で、前記シートを切断するステップであってもよい。
第1実施形態のシート製造装置の構成を示す図。 配置部の構成および動作を示す側面視図。 配置部の構成および動作を示す平面視図。 シート製造装置が製造するシートの例を示す図。 シート製造装置が製造するシートの例を示す図。 シート製造装置が製造するシートの例を示す図。 シート製造装置が製造するシートの例を示す図。 第1実施形態のシートの製造工程を示す図。 第2実施形態の配置部の構成を示す平面図。 第3実施形態のシート製造装置の構成を示す図。 第3実施形態のシート製造装置が製造するシートの例を示す図。 第3実施形態のシートの製造工程を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
[1.第1実施形態]
[1−1.シート製造装置の全体構成]
図1は、第1実施形態のシート製造装置100の構成を示す図である。
シート製造装置100は、繊維を含む原料MAを繊維化して、シートSを製造する装置である。原料MAは、繊維を含むものであればよい。例えば、木質系パルプ材料やクラフトパルプ、古紙、合成パルプ等を用いることができる。原料MAとして古紙を使用する場合、シート製造装置100は、古紙を新しいシートSに再生する再生処理を実行する再生装置ということができる。シートSは、記録用シートの一例に対応する。後述するシートS1〜S5も同様である。
シート製造装置100は、複数の種別のシートSを製造可能であり、例えば、原料MAに添加物を混合することにより、用途に合わせて、シートSの結合強度や白色度の調製や、色、香り、難燃等の機能を付加することもできる。また、シート製造装置100は、シートSの密度や厚さ、サイズ、形状を調整可能である。シートSの代表的な例として、A4やA3の定型サイズの印刷用紙、床掃除用シート等の掃除用シート、油汚れ用シート、トイレ掃除用シート等のシート状の製品の他に、紙皿形状等が挙げられる。
シート製造装置100は、供給部10、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、分散部60、第2ウェブ形成部70、ウェブ搬送部79、加工部80、及び、切断部90を備える。また、シート製造装置100は、配置部30を備える。
これらの各部は、上記の順序で、原料MAからシートSを製造する製造工程を実行する。シート製造装置100は、シートSを製造する工程における中間製造物として、後述する加圧後シートSS1及び加熱後シートSS2を形成する。
シート製造装置100は、解繊処理部101、及び、ウェブ形成部102を有する。解繊処理部101は混合物MXを製造し、ウェブ形成部102は混合物MXから第2ウェブW2を製造する。解繊処理部101は、換言すれば、第2ウェブW2を製造するための材料である混合物MXを製造する。
解繊処理部101は、供給部10、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49及び混合部50を含む構成であってもよい。また、混合部50が、シート製造装置100の外部から直接、材料MCの供給を受ける場合、解繊処理部101は混合部50を含む。
ウェブ形成部102は、分散部60及び第2ウェブ形成部70を含む。また、ウェブ形成部102に、ウェブ搬送部79を含めてもよいし、後述する配置部30を含めてもよい。
供給部10は、原料MAを収容し、粗砕部12に原料MAを連続的に投入する自動投入装置である。原料MAは、繊維を含むものであればよく、例えば、古紙、廃棄紙、パルプシートである。
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料MAを裁断する粗砕刃14を備え、原料MAを粗砕刃14により空気中で裁断して、数cm角の細片にする。細片の形状や大きさは任意である。粗砕部12は、例えばシュレッダーを用いることができる。粗砕部12で裁断された原料MAは、ホッパー9により集められて、管2を介して解繊部20に搬送される。
解繊部20は、粗砕部12によって裁断された粗砕片を解繊する。解繊とは、複数の繊維が結着された状態の原料MAを、1本または少数の繊維に解きほぐす加工である。原料MAは、被解繊物と呼ぶこともできる。解繊部20が原料MAを解繊することにより、原料MAに付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる効果も期待できる。解繊部20を通過したものを解繊物という。解繊物は、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離された樹脂粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止材、紙力増強剤等の添加剤を含んでいてもよい。解繊物に含まれる樹脂粒は、原料MAの製造時に複数の繊維同士を結着させるために混合された樹脂である。解繊物に含まれる繊維は、他の繊維と絡み合っていない、独立した状態で存在してもよい。或いは、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となり、いわゆるダマを形成している状態で存在してもよい。
解繊部20は、粗砕部12によって裁断された粗砕片を、乾式で解繊する装置である。解繊部20は、例えば、インペラーミルなどの解繊機で構成できる。本実施形態の解繊部20は、筒状の固定子22と、固定子22の内部で回転するローター24とを備え、固定子22の内周面およびローター24の外周面に解繊刃が形成されたミルである。ローター24の回転により、粗砕片が固定子22とローター24との間に挟まれて解繊される。解繊部20が解繊した解繊物MBは、解繊部20の排出口から管3に送られる。乾式とは、液体中ではなく、空気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを指す。
粗砕部12から解繊部20には、気流により粗砕片が搬送される。また、解繊物MBは、気流により、解繊部20から管3を介して選別部40に移送される。これらの気流は、解繊部20が発生させてもよいし、図示しないブロアーを設けて上記気流を発生させてもよい。
選別部40は、解繊物MBに含まれる成分を繊維のサイズによって選別する。繊維のサイズとは、主に繊維の長さを指す。
本実施形態の選別部40は、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43とを有する。ドラム部41は、例えば、開口を有する網、フィルター、スクリーン等の、いわゆる篩である。具体的には、ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒形状であり、周面の少なくとも一部が網となっている。ドラム部41は、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、パンチングメタル等で構成されてもよい。
導入口42からドラム部41の内部に導入された解繊物MBは、ドラム部41の回転により、ドラム部41の開口を通過する通過物と、開口を通過しない残留物とに分けられる。開口を通過した通過物は、開口より小さい繊維または粒子を含み、これを第1選別物とする。残留物は、開口より大きい繊維や未解繊片やダマを含み、これを第2選別物と呼ぶ。第1選別物は、ハウジング部43内の内部を、第1ウェブ形成部45に向けて下降する。第2選別物は、ドラム部41の内部に連通する排出口44から、管8を介して解繊部20に搬送される。
シート製造装置100は、選別部40に代えて、第1選別物と第2選別物とを分離する分級機を備えてもよい。分級機は、例えば、フィルターやサイクロン分級機、エルボージェット分級機等の気流を応用したものである。
第1ウェブ形成部45は、ドラム部41の下方に位置するメッシュベルト46を有し、選別部40で分離された第1選別物をウェブ状に成形することにより、第1ウェブW1を形成する。
第1ウェブ形成部45は、メッシュベルト46と、張架ローラー47と、吸引部48と、を備える。メッシュベルト46は、無端形状の金属製ベルトであり、複数の張架ローラー47に架け渡される。いずれか1以上の張架ローラー47は、図示しないモーター等により駆動されて回転し、メッシュベルト46を移動させる。メッシュベルト46は、張架ローラー47により構成される軌道を周回する。メッシュベルト46の軌道の一部は、ドラム部41の下方で平坦であり、メッシュベルト46は平坦面を構成する。
メッシュベルト46には多数の開口が形成され、ドラム部41から降下する第1選別物のうち、メッシュベルト46の開口より大きい成分がメッシュベルト46に堆積する。第1選別物のうちメッシュベルト46の開口より小さい成分は、開口を通過する。メッシュベルト46の開口を通過する成分を第3選別物と呼び、例えば、メッシュベルト46の開口より短い繊維や、解繊部20によって繊維から分離された樹脂粒、インク、トナー、にじみ防止剤等を含む粒子を含む。
吸引部48は、図示しないブロアーに接続され、ブロアーの吸引力により、メッシュベルト46の下方から空気を吸引する。吸引部48から吸引された空気は、メッシュベルト46の開口を通過した第3選別物とともに、排出される。
吸引部48が吸引する気流はドラム部41から降下する第1選別物をメッシュベルト46に引き寄せるので、堆積を促進する効果がある。
メッシュベルト46に堆積した成分は、ウェブ形状となり、第1ウェブW1を構成する。つまり、第1ウェブ形成部45は、選別部40で選別された第1選別物から第1ウェブW1を形成する。
第1ウェブW1は、第1選別物に含まれる成分のうち、メッシュベルト46の開口より大きい繊維を主たる成分としており、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態に形成される。第1ウェブW1は、メッシュベルト46の移動に伴い回転体49に搬送される。
回転体49は、複数の板状の羽根を備え、図示しないモーター等により駆動されて、回転する。回転体49は、メッシュベルト46の軌道の端部に配置され、メッシュベルト46が搬送する第1ウェブW1がメッシュベルト46から突出したところに接触する。第1ウェブW1は、第1ウェブW1に衝突する回転体49によって解きほぐされ、小さい繊維の塊となり、管7を通って混合部50に搬送される。第1ウェブW1が回転体49で分断された材料を、材料MCとする。材料MCは上述した第1選別物から、第3選別物を除去したものであり、主な成分は繊維である。
このように、選別部40及び第1ウェブ形成部45は、解繊物MBから、主として繊維を含む材料MCを分離する機能を有する。
メッシュベルト46の搬送経路において、第1ウェブ形成部45と回転体49との間に、調湿部77が設けられる。調湿部77は、水をミスト状にしてメッシュベルト46に向けて供給するミスト式加湿器であり、例えば、水を貯留するタンクや、水をミスト状にする超音波振動子を備える。調湿部77が供給するミストにより、第1ウェブW1の含有水分量が調整され、静電気によるメッシュベルト46への繊維の吸着等を抑制する。調湿部77は、空気を調湿する気化式加湿器に接続され、気化式加湿器で加湿された空気をメッシュベルト46に供給する構成であってもよい。
混合部50は、添加物供給部52、及び、混合ブロアー56を備える。材料MC及び添加材料ADを混合ブロアー56に搬送する管54を、混合部50に含めてもよい。
添加物供給部52は、管54に添加材料ADを供給する装置であり、添加物供給部52によって材料MCに添加材料ADが添加される。
添加物供給部52は、添加材料ADを蓄積する添加物カートリッジ52aを備える。添加物カートリッジ52aは、添加材料ADを収容するタンクであり、添加物供給部52に着脱可能であってもよい。添加物供給部52は、添加物カートリッジ52aから添加材料ADを取り出す添加物取出部52bと、添加物取出部52bにより取り出された添加材料ADを管54に排出する添加物投入部52cとを備える。添加物取出部52bは、添加材料ADを添加物投入部52cに送り出すフィーダーを備える。フィーダーは原料に応じて送り出し量を変化させることができる。添加物投入部52cは、開閉可能なシャッターを備え、シャッターを開くことにより添加材料ADを管54に送り出す。
添加材料ADは、複数の繊維を結着させるための結合材料を含んでもよい。結合材料は、例えば合成樹脂、または天然樹脂である。添加材料ADに含まれる樹脂は、加工部80を通過する際に溶融して、複数の繊維を結着させる。この樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であり、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などである。これらの樹脂は、単独または適宜混合して用いてもよい。
添加材料ADは、繊維を結着させる樹脂以外の成分を含んでもよい。例えば、製造されるシートSの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や樹脂の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤等が含まれていてもよい。また、添加材料ADは繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。
混合ブロアー56は、管7と分散部60とを繋ぐ管54に気流を発生させ、材料MCと添加材料ADとを混合する。混合ブロアー56は、例えば、モーター、モーターにより駆動されて回転する羽根、及び、羽根を収容するケースを備える。また、混合ブロアー56は、気流を発生させる羽根の他に、材料MCと添加材料ADとを混合させるミキサーを備えてもよい。混合部50で混合された混合物を、以下、混合物MXとする。混合物MXは、混合ブロアー56が発生する気流により、分散部60に搬送され、分散部60に導入される。
分散部60は、混合物MXの繊維をほぐして、大気中で分散させながら第2ウェブ形成部70に降下させる。添加材料ADが繊維状である場合、これらの繊維も分散部60で解きほぐされ、第2ウェブ形成部70に降下する。
分散部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング63と、を有する。ドラム部61は、例えばドラム部41と同様に構成される円筒形状の構造体である。り、ドラム部61は、図示しないモーター等により駆動されて回転し、篩として機能する。ドラム部61は、開口を有し、ドラム部61の回転によって解きほぐされた混合物MXを、開口から下降させる。これにより、ハウジング63の内部に形成される内部空間62では、ドラム部61から混合物MXが降下する。
ドラム部61の下方には第2ウェブ形成部70が配置される。第2ウェブ形成部70は、メッシュベルト72と、張架ローラー74と、サクション機構76と、を有する。
メッシュベルト72は、メッシュベルト46と同様の無端形状の金属製ベルトで構成され、複数の張架ローラー74に架け渡される。いずれか1以上の張架ローラー74は、図示しないモーター等によって駆動されて回転し、メッシュベルト72を駆動する。メッシュベルト72は、張架ローラー74により構成される軌道を周回しながら、符号F1で示す搬送方向に移動する。メッシュベルト72の軌道の一部は、ドラム部61の下方で平坦であり、メッシュベルト72は平坦面を構成する。
メッシュベルト72には多数の開口が形成され、ドラム部61から降下する混合物MXのうち、メッシュベルト72の開口より大きい成分がメッシュベルト72に堆積する。また、混合物MXのうちメッシュベルト72の開口より小さい成分は、開口を通過する。
サクション機構76は、図示しないブロアーの吸引力により、メッシュベルト72に対してドラム部61とは反対側から、空気を吸引する。メッシュベルト72の開口を通過した成分はサクション機構76によって吸い込まれる。サクション機構76が吸引する気流は、ドラム部61から降下する混合物MXをメッシュベルト72に引き寄せて、堆積を促進する。また、サクション機構76の気流は、ドラム部61から混合物MXが落下する経路にダウンフローを形成し、落下中に繊維が絡み合うことを防ぐ効果も期待できる。
メッシュベルト72の搬送経路において、分散部60の下流側には、調湿部78が設けられる。調湿部78は、水をミスト状にしてメッシュベルト72に向けて供給するミスト式加湿器であり、例えば、水を貯留するタンクや、水をミスト状にする超音波振動子を備える。調湿部78が供給するミストにより、第2ウェブW2の含有水分量が調整され、静電気によるメッシュベルト72への繊維の吸着等を抑制する。調湿部78は、空気を調湿する気化式加湿器に接続され、気化式加湿器で加湿された空気をメッシュベルト72に供給する構成であってもよい。
第2ウェブW2は、ウェブ搬送部79によって、メッシュベルト72から剥がされて加工部80へと搬送される。ウェブ搬送部79は、メッシュベルト79aと、ローラー79bと、サクション機構79cと、を有する。サクション機構79cは、図示しないブロアーを備え、ブロアーの吸引力によってメッシュベルト79aを通じて上向きの気流を発生させる。メッシュベルト79aは、メッシュベルト46、及び、メッシュベルト72と同様に、開口を有する無端形状の金属製ベルトで構成できる。メッシュベルト79aは、ローラー79bの回転により移動され、周回軌道上を移動する。ウェブ搬送部79では、サクション機構79cの吸引力により、第2ウェブW2がメッシュベルト72から離れてメッシュベルト79aに吸着される。第2ウェブW2は、メッシュベルト79aとともに移動し、加工部80に搬送される。
加工部80は、加圧部82、及び、加熱部84を備える。加圧部82は、一対の加圧ローラー85、85を備え、第2ウェブW2を所定のニップ圧で加圧して、第2ウェブW2の厚みを調整し、第2ウェブW2を高密度化する。加圧部82の加工により、第2ウェブW2から加圧後シートSS1が形成される。
加熱部84は、一対の加熱ローラー86を備え、加圧後シートSS1に対して熱を加えることにより、材料MC由来の繊維を、添加材料ADに含まれる樹脂により結着させる。これにより、加圧後シートSS1から加熱後シートSS2が形成される。加熱後シートSS2は、加工部80により加圧および加熱されて、第2ウェブW2の強度、弾性および密度が増したシート状の中間製造物である。加熱後シートSS2は、切断部90に搬送される。
切断部90は、カッター91を備える。カッター91は、図示しないアクチュエーター等によって駆動されて、加熱後シートSS2を挟んで切断する加工を行い、設定されたサイズのシートSを製造する。カッター91は、例えば、搬送方向Fと交差する方向に加熱後シートSS2を切断する。また、切断部90は、搬送方向Fに平行な方向に加熱後シートSS2を切断する第2のカッターを備えてもよい。
切断部90でカットされたシートSは排出部96に排出される。排出部96は、シートSを収容するトレイやスタッカーを備える。ユーザーは、排出部96に収容されたシートSを取り出して使用できる。
シート製造装置100は、第1ウェブW1を、回転体49以降の工程に搬送する構成に限定されず、例えば、第1ウェブW1をシート製造装置100から取り出して貯留することも可能である。また、第1ウェブW1を所定のパッケージに封入し、搬送および取引可能な形態としてもよい。この場合、シート製造装置100において、貯留された第1ウェブW1を回転体49または混合部50に供給して、シートSを製造可能な構成としてもよい。
以上のシート製造装置100の動作は、制御装置110によって制御される。制御装置110は、少なくとも、解繊部20、添加物供給部52、混合ブロアー56、分散部60、第2ウェブ形成部70、加工部80、及び切断部90を制御して、シートSの製造方法を実行させる。また、制御装置110は、供給部10、選別部40、第1ウェブ形成部45、及び、回転体49の動作を制御するものであってもよい。
[1−2.配置部の構成]
第2ウェブ形成部70の下流には、配置部30が設けられる。配置部30は、例えば、メッシュベルト72の搬送経路において、分散部60と調湿部78との間に配置される。配置部30は、第2ウェブW2に、磁性材料で構成される磁性体を配置する。磁性体の形状やサイズは任意であるが、好ましい磁性体の一例として、長手形状を有する磁性体が挙げられる。具体的な例として、磁性材料を、長さが数ミリ以上の線状とした磁性体線材が挙げられる。本実施形態では、配置部30により、磁性材料をワイヤー形状に成形した磁性ワイヤーMWを、第2ウェブW2の表面に配置する例を説明する。磁性ワイヤーMWは、磁性体線材の一例である。
図2は、配置部30の構成を示す側面視図である。図3は、配置部30の構成を示す平面視図である。
本実施形態では、配置部30は、ワイヤー配置機構31、32を有する。ワイヤー配置機構31及びワイヤー配置機構32は、それぞれ、第2ウェブW2の搬送経路FWに対応する位置に配置される。詳細には、メッシュベルト72に載置された第2ウェブW2の上方に、ワイヤー配置機構31及びワイヤー配置機構32が各々配置されている。支持台311が平面視で第2ウェブW2から外れた位置にあってもよいし、ワイヤー配置機構31、32の全体が平面視で第2ウェブW2に重なる位置にあってもよい。
ワイヤー配置機構31、32の各々には、ロールMRがセットされる。ロールMRは、磁性体線材をロール状に巻き回したものである。
ワイヤー配置機構31は、支持台311、カッター313、及び、ガイド315を有する。ワイヤー配置機構32も同様に構成される。
支持台311には、ロールMRから引き出された磁性ワイヤーMWが載置される。カッター313は、支持台311上の磁性ワイヤーMWを切断する。図3に、カッター313がロールMRを切断するカット位置を符号CPで示す。
支持台311に、ロールMRから磁性ワイヤーMWを繰り出す繰出機構を設けてもよい。繰出機構は、具体的には、モーターと、モーターの動力によりロールMRを回転させるギヤまたはリンク機構と、ロールMRの回転により繰り出される磁性ワイヤーMWを支持台311に導くガイドとを備える構成とすることができる。あるいは、繰出機構は、ロールMRから引き出された磁性ワイヤーMWを挟む一対の繰出ローラーと、繰出ローラーを回転させて磁性ワイヤーMWを支持台311に向けて引っ張るモーターとを備える構成とすることができる。
ガイド315は、切断された磁性ワイヤーMWを第2ウェブW2の上に導く。ガイド315は、支持台311に連結され、ガイド315の先端は第2ウェブW2の上方に達する。一例として、ガイド315は、磁性ワイヤーMWを第2ウェブW2へ滑らせる樋である。ガイド315は、第2ウェブW2側の端部が、支持台311側の端部よりも低い位置になるように、傾斜して配置される。ガイド315は平板形状であってもよいし、ローラーコンベアーのように可動部を有する構成であってもよいし、磁性ワイヤーMWを輸送する駆動部を有する構成であってもよい。
カッター313により切断された磁性ワイヤーMWは、自重によりガイド315を滑って、第2ウェブW2の上に落下する。
ガイド315は、図3に示すように、カット位置CPから第2ウェブW2の中央側に延出して配置される。ワイヤー配置機構31が備えるガイド315は、支持台311に対して、符号R1で示すように回動可能である。また、ワイヤー配置機構32が備えるガイド315は、符号R2で示すように支持台311に対して回動可能である。
ガイド315が回動することにより、第2ウェブW2の搬送方向Fに対するガイド315の角度が変わる。磁性ワイヤーMWはガイド315を滑って第2ウェブW2に到達するので、搬送方向Fに対する磁性ワイヤーMWの角度は、ガイド315の角度により決定される。
ガイド315には、磁気ワイヤーMWを移送できる機構が備えられてもよい。この機構は、例えば、搬送ベルトやスクリューで構成される。
配置部30が磁性ワイヤーMWを第2ウェブW2に配置することにより、磁性ワイヤーMWを含むシートSが製造される。シートSには、ガイド315の角度に対応する向きの磁性ワイヤーMWが配置される。また、第2ウェブW2が搬送されている状態で、ワイヤー配置機構31、32が周期的に磁性ワイヤーMWを切断して第2ウェブW2に供給することにより、第2ウェブW2に、複数の磁性ワイヤーMWが分散して配置される。
[1−3.シートの構成例]
図4は、シート製造装置100により製造されるシートSの一例として、シートS1を示す平面図である。
シートS1は、切断部90により、例えばA4サイズにカットされた矩形のシートであり、普通紙等の紙と同様に、印刷用紙として、プリンターで印刷する用途に用いることができる。シートS1は、9本の磁性ワイヤーMWを有する。これらの磁性ワイヤーに符号401〜409を付す。
磁性ワイヤー401、402、403は、シートS1の面内において、互いに異なる角度で配置されている。ここで、シートS1の短辺方向をX方向とし、シートS1の長辺方向をY方向として、X−Y直交座標を設定する。この場合、磁性ワイヤー401はX軸に平行であり、磁性ワイヤー402はX軸に対して角度θ1の傾きを有し、磁性ワイヤー403はX軸に対して角度θ2の傾きを有する。同様に、磁性ワイヤー404、407はX軸に平行であり、磁性ワイヤー405、408はX軸に対して角度θ1の傾きを有し、磁性ワイヤー406、409はX軸に対して角度θ2の傾きを有する。
このように、シートS1では、9本の磁性ワイヤー401〜409が、3つの方向を向くように配置されている。角度θ1、θ2は、それぞれ60°±5°(60°=60[arc degree]=π/3[rad])、120°±5°(120°=120[arc degree]=2π/3[rad])とすることが好ましい。この場合、磁性ワイヤー401、402、403は、互いの方向が60°±5°異なる向きでシートS1に配置される。磁性ワイヤー404〜409も同様である。また、シートS1において、3の方向に、3本の磁性ワイヤー401〜409が配置されている。磁性ワイヤー401がX軸に平行でなく角度を持つ場合は、θ1、θ2はそれぞれその分補正される。
シートSは、磁性ワイヤーMWを有することで、セキュリティーペーパーとして利用できる。
セキュリティーペーパーとは、励磁コイルと検知コイルとを備える検知システムによって検出可能なタグを、紙の形状で実現したものである。励磁コイルに交番電流を流して交番磁界を発生させ、その交番磁界中にシートSを置くと、磁化反転時に、磁性ワイヤーMWの近傍に位置する検知コイルにパルス状の電流が流れる。このパルス状の電流により、シートSの存在を検知できる。
このため、人や車両が通行可能なゲートに励磁コイルと検知コイルとを配置することにより、ゲートを通過するシートSを検知できるので、シートSの持ち出しを検知できる。例えば、シートSに機密情報等が印刷されている場合に、機密情報の漏洩を防止できるという利点がある。
磁性ワイヤーMWを構成する磁性材料は、大バルクハウゼン効果を起こす磁性材料であることが好ましい。例えば、FeCr系、FeCo系、FeNi、FeSiB、FeCoSiB系合金である。これらの材料は、後加工によってひずみを加えることにより大バルクハウゼン効果を与えてもよいが、アモルファスワイヤーは作成されたままの状態でも大バルクハウゼン効果を発現するので、本実施形態の用途に有利である。アモルファスリボンを切断してワイヤーとしてもよい。また、同金属を溶融状態からガラスと一緒に引いて冷却し、ガラス被覆ワイヤーとしてもよい。
大バルクハウゼン効果を起こすのに適した磁性ワイヤーMWの形状として、線状や棒状など、縦長の形状であれば特に限定されない。大バルクハウゼン効果を起こすには、断面積に対して所定の長さがあることが好ましく、基本的にはワイヤー状や帯状であることが好ましく、ワイヤー状であることがより好ましい。
磁性材料がワイヤー状である場合には、上述のように、大バルクハウゼン効果を起こすためにその直径は10μm以上であることが好ましい。また、最大直径としては特に限定はされないが、磁性ワイヤーMWがシートSの表面から極端に大きく突出しなければよい。例えば、磁性ワイヤーMWの太さは、直径100μm以下とすることができる。
磁性ワイヤーMWの長さは、大バルクハウゼン効果を起こすために10mm以上が好ましく、50mmより長い方がより好ましい。また、磁性ワイヤーMWの長さの上限は特に定義されないが、カットされたシートSのサイズを超えないことが好ましい。なお、磁性ワイヤーMWの直径や長さは、シートSに含まれる全ての磁性ワイヤーMWの直径や長さが上述した範囲を満たすことが好ましいが、値に分布がある場合には、平均値として上述した範囲を満たすことが好ましい。
シートSに配置される磁性ワイヤーMWの数および方向は、セキュリティーペーパーとしての検知性能に影響する。
ここで、シートSを検出する検出装置として、通路を挟むように通路の両側に配置される一対の検出器を有する装置を想定する。各検出器は交番磁界を発生する励磁コイルと、検知コイルとを有する。一対の検出器により、通路には、通路と交差する交番磁界が発生する。検出器の間をシートSが通過する際には、シートSに配置された磁性ワイヤーMWに、磁化反転時に電圧パルスが発生し、このパルスが検知コイルによって検知される。
この構成では、シートSに配置された磁性ワイヤーMWと磁界との角度が小さい場合、検知コイルによってシートSが検知されやすい。このため、シートSが、異なる方向を向く複数の磁性ワイヤーMWを有している場合、検出装置によってシートSが容易に検知される状態が、高頻度で発生する。
このため、シートSでは、異なる方向を向く複数の磁性ワイヤーMWが配置されていることが好ましく、3以上の方向を向く磁性ワイヤーMWが配置されていることが、より好ましい。シートS1は、互いに60°±5°異なるように配置される磁性ワイヤー401、402、403を有している。この構成では、シートSが検出器の間に位置する状態で、シートS1が容易に検知される状態が、より高頻度で発生する。従って、検知コイルによって検知されやすく、いわばセキュリティーペーパーとしての被検知性能が高いといえる。
ワイヤー配置機構31、32は、ガイド315を回動させることにより、第2ウェブW2の搬送方向Fに対して異なる方向で磁性ワイヤーMWを配置できる。このため、ガイド315を3以上の異なる方向で静止させて磁性ワイヤーMWを第2ウェブW2に送り出すことで、第2ウェブW2に、3以上の異なる方向を向く磁性ワイヤーMWを配置できる。
シートSに配置される磁性ワイヤーMWの数量は、例えば、切断部90でカットされたシートSにおける重量により規定することができる。例えば、シートSの重量を100重量部とした場合に、磁性ワイヤーMWの重量が1.00重量部未満であることが好ましい。例えば、A4サイズにカットされた、坪量60g/m〜80g/mの1枚のシートSに、径100μm、長さ52mmの磁性ワイヤーMWを9本配置した場合、磁性ワイヤーMWの重量はシートSの重量の1%未満となり、上記の条件を満たす。
換言すれば、シート製造装置100は、切断部90により、シートSの重量を100重量部とした場合の磁性ワイヤーMWの重量が1.00重量部未満となる位置で、加熱後シートSS2を切断し、シートSを製造する。
上記のように構成されるシートSは、印刷用紙等として利用する際に、PPC用紙などの通常の印刷用紙に比べて重量の差異が小さい。このため、通常の印刷用紙と同様に利用することができる。このため、セキュリティーペーパーとしてのセキュリティー性を有し、手軽に利用できるシートSを実現できる。
図5、図6、及び図7は、シートSの別の構成例を示す図である。
図5のシートS2、図6のシートS3、及び図7のシートS4は、シートS1と同様に、例えばA4サイズにカットされた矩形のシートである。また、普通紙等の紙と同様に、印刷用紙として、プリンターで印刷する用途に用いることができる。
シートS2は、シートS1と同様に9本の磁性ワイヤーMWを有する。これらの磁性ワイヤーに符号411〜419を付す。
磁性ワイヤー411、412、413は、シートS2の短辺に平行に配置される。磁性ワイヤー414、415、416は、磁性ワイヤー411に対して、例えば60°±5°の傾きを有するように配置される。また、磁性ワイヤー417、418、419は、磁性ワイヤー414に対して、例えば60°±5°の傾きを有するように配置される。従って、シートS2には、異なる3つの方向を向くように9本の磁性ワイヤーMWが配置され、各方向の磁性ワイヤーMWは3本である。
上述したシートS1では磁性ワイヤー401〜409が、3本ずつ集合して、規則的にシートS1に配置されている。これに対し、シートS2では、磁性ワイヤー411〜419が、シートS2の面内で不規則に配置されている。シートS1、及びシートS2のいずれも、異なる3以上の方向に配置された磁性ワイヤーMWを有し、各方向の磁性ワイヤーMWが3本以上であるため、セキュリティーペーパーとしての被検知性能が高く、有用性に富む。
図6のシートS3には、複数の磁性ワイヤーMWで構成される磁性体421が、複数配置されている。磁性体421は、異なる方向を向く3本の磁性ワイヤーMWが重ねて配置されて構成される。シートS3には、6個の磁性体421が配置されており、磁性ワイヤーMWは18本である。
図7のシートS4は、複数の磁性ワイヤーMWで構成される磁性体422が、複数配置されている。磁性体422は、異なる方向を向く3本の磁性ワイヤーMWが隣接するように配置されたものである。シートS4には、6個の磁性体422が配置されており、磁性ワイヤーMWは18本である。
図6及び図7に示す例では、いずれもシートS(シートS3、S4)の重量を100重量部とした場合に、磁性ワイヤーMWの重量が1.00重量部未満となっている。例えば、A4サイズにカットされた、坪量60g/m〜80g/mの1枚のシートSに、径50μm、長さ60mmの磁性ワイヤーMWが18本配置されている。この場合、シートS及び磁性ワイヤーMWの重量比は上記の条件を満たす。
シートS3、S4には、異なる方向を向くように複数の磁性ワイヤーMWが配置され、各方向の磁性ワイヤーMWが6本であるため、セキュリティーペーパーとしての被検知性能が高い。また、磁性体421、422が規則的に配置されているため、シートS3、S4の単位長さあたりの磁性ワイヤーMWの数が一定に維持される。従って、シートS3、S4を切断部90でカットするサイズをもとに、シートS3、S4の磁性ワイヤーMWの本数を管理できるという利点がある。
[1−4.シートの製造工程]
図8は、第1実施形態のシートSの製造工程を示す図である。
ステップSA1は、原料MAを粗砕する粗砕工程である。シート製造装置100は、粗砕部12により粗砕工程を実行する。
ステップSA2は、ステップSA1で粗砕された原料MAの粗砕片を、大気中で解繊して解繊物MBを生成する解繊工程である。シート製造装置100は、解繊部20により、解繊工程を実行する。
ステップSA3は、分離工程である。分離工程では、繊維や樹脂粒等を含む解繊物MBから、樹脂や添加剤等の粒子が分離され、繊維を主な成分とする材料MCが取り出される。シート製造装置100は、選別部40及び第1ウェブ形成部45により、分離工程を実行する。分離工程を実行する機能部に回転体49を含めてもよい。
ステップSA4は、材料MCに添加材料ADを添加する添加工程である。シート製造装置100は、添加物供給部52により、添加工程を実行する。
ステップSA5は、添加工程で添加された添加材料ADと材料MCとを混合する混合工程である。シート製造装置100は、混合部50の混合ブロアー56により、混合工程を実行する。
ステップSA6は、混合物MXを篩にかけて大気中に分散させ、降下させる篩工程である。シート製造装置100は、分散部60により、分散工程を実行する。
ステップSA7は、ステップSA6の篩工程で降下する混合物MXを堆積させて、ウェブを形成するウェブ形成工程である。シート製造装置100は、第2ウェブ形成部70により、ウェブ形成工程を実行し、ステップSA7で形成されるウェブは第2ウェブW2である。
ステップSA8は、ステップSA7で形成されたウェブに磁性ワイヤーMWを配置する配置工程である。シート製造装置100は、配置部30により、配置工程を実行する。
ステップSA9は、第2ウェブW2に対し、加圧及び加熱を施す加工工程である。加圧加熱工程では、第2ウェブW2に対し、加圧及び加熱を行い、加熱後シートSS2を形成する。加圧加熱工程における加圧と加熱の順序は限定されないが、本実施形態では加圧が先に行われる。すなわち、ステップSA9において、第2ウェブW2を加圧して加圧後シートSS1を形成し、加圧後シートSS1を加熱して加熱後シートSS2を形成する。シート製造装置100は、加工部80により、加工工程を実行する。
ステップSA10は、加熱後シートSS2を設定されたサイズ及び形状に合わせてカットし、シートSを形成する切断工程である。シート製造装置100は、切断部90により、切断工程を実行する。
シート製造装置100は、第2ウェブW2に磁性ワイヤーMWを配置した後に、加工部80で第2ウェブW2を加工する。このため、加圧部82で第2ウェブW2が加圧される際に、磁性ワイヤーMWが、第2ウェブW2に含まれる材料MCの繊維、及び添加材料ADの粒子に密着する。加圧部82で加圧される前の第2ウェブW2は、表面に柔軟な繊維および添加材料ADが露出しているため、磁性ワイヤーMWが繊維と密着しやすい。磁性ワイヤーMWが配置された第2ウェブW2または加圧後シートSS1を加熱部84で加熱すると、添加材料ADが溶融して、材料MCの繊維と繊維、及び、繊維と磁性ワイヤーMWとを接合する。従って、加熱後シートSS2及びシートSでは、磁性ワイヤーMWが、原料MAに由来する繊維と強く接着されている。このため、シートSから磁性ワイヤーMWが脱落することはなく、シートSを、PPC用紙等の紙として利用できる。
以上説明したように、シート製造装置100は、ウェブ形成部102と、配置部30と、加工部80と、を備える。ウェブ形成部102は、繊維を含む原料を気中で堆積させて第2ウェブW2を形成する。配置部30は、第2ウェブW2が搬送される間に第2ウェブW2に磁性体を配置する。加工部80は、磁性体が配置された第2ウェブW2をシートに加工する。
また、シート製造装置100により実現されるシート製造方法は、ウェブ形成工程と、配置工程と、加工工程とを含む。ウェブ形成工程は、繊維、及び、繊維を結合させる添加材料ADを含む原料を気中で堆積させて第2ウェブW2を形成する。配置工程は、第2ウェブW2を搬送し、搬送される第2ウェブW2に磁性体を配置する。加工工程は、磁性体が配置された第2ウェブW2をシートSに加工する。
本実施形態では、磁性体として、磁性体を含む所定長さの磁性線材である磁性ワイヤーMWが第2ウェブW2に配置される。
また、本実施形態では、第2ウェブW2の原料は、繊維、及び、繊維を結合させる添加材料ADを含む原料を気中で堆積させて第2ウェブW2を形成する。
シート製造装置100、及び、シート製造装置100により実現されるシート製造方法によれば、繊維および添加材料ADを含む第2ウェブW2に磁性体を配置することにより、セキュリティーペーパーとして利用可能なシートSを製造できる。このシートSの製造工程は多量の水を必要としない乾式の工程であり、給排水の処理が必要ないため湿式に比べて有利である。また、シートSにおける磁性体の位置を高精度で把握できるので、セキュリティーペーパーとしての被検知性能を管理できる。
シート製造装置100において、配置部30は、第2ウェブW2の搬送経路FWに対する定位置に磁性ワイヤーMWを配置する。従って、シート製造装置100が製造するシートSは、定位置に磁性ワイヤーMWが配置されているので、シートSのセキュリティーペーパーとしての被検知性能のばらつきを抑えることができる。
シート製造装置100は、磁性体として長手形状を有する磁性ワイヤーMWを用いる。配置部30は、複数の磁性ワイヤーMWを、磁性ワイヤーMWの方向が3以上の異なる方向となるように配置する。このため、磁気により磁性ワイヤーMWを検知する検知装置によって、高い確度でシートSを検知できる。従って、セキュリティーペーパーとしての被検知性能が高いシートSを製造できる。
配置部30は、互いの方向が60°±5°異なるように配置される3つの磁性ワイヤーMWを含む、複数の磁性ワイヤーMWを配置する。このシートSは、シートSと検知装置との相対位置に関して、検知装置によって磁性ワイヤーMWを検知可能な範囲が広い。従って、検知装置によりシートSを検知するための制約が小さいので、被検知性能の高いセキュリティーペーパーを製造できる。
配置部30は、第2ウェブW2の搬送方向Fに対する角度を変化させる方向に回動可能なガイド315を有し、ガイド315に沿って磁性ワイヤーMWを配置する。これにより、シンプルな構成の配置部30によって、磁性ワイヤーMWを、第2ウェブW2において異なる方向を向くように配置できる。
シート製造装置100は、加工部80によって加工された加熱後シートSS2を所定の長さで切断する切断部90を備える。切断部90は、切断後のシートSの100重量部に対する磁性ワイヤーMWの含まれる割合が1.0重量部未満となる位置で、加熱後シートSS2を切断する。これにより、磁性ワイヤーMWが配置されていない通常の印刷用紙と同等の重量を有するセキュリティーペーパーを製造できる。
添加材料ADは、加熱により溶融して繊維を結合させる樹脂を含む。加工部80は、磁性ワイヤーMWが配置された第2ウェブW2を加熱して加熱後シートSS2に加工する。このため、加工部80で第2ウェブW2が加熱される際に、添加材料ADによって、磁性ワイヤーMWと繊維とが結合される。従って、磁性ワイヤーMWが容易に脱落しない、扱いやすいセキュリティーペーパーを製造できる。
本実施形態で製造されるシートSは、繊維と、繊維を結合させる添加材料ADと、を含む原料で構成される。シートSは、繊維および添加材料ADで構成されるシートに配置された磁性体を含む磁性ワイヤーMWと、を有する。シートSの100重量部に対して1.0重量部未満の磁性ワイヤーMWが含まれており、複数の磁性ワイヤーMWが、互いに異なる3以上の異なる方向を向いて配置されている。
このシートSは、磁気により磁性ワイヤーMWを検知する検知装置によってシートSを検知する場合に、シートSの位置や姿勢に関する制約が小さく、高い確度で検知される。従って、セキュリティーペーパーとしての被検知性能が高いという特徴がある。
シートSにおいて、シートSに配置された複数の磁性線材は、互いの方向が60°±5°異なるように配置されている。このため、シートSと検知装置との相対位置に関して、検知装置によって磁性ワイヤーMWを検知可能な範囲が広い。従って、検知装置によりシートSを検知するための制約が小さいので、被検知性能の高いセキュリティーペーパーを製造できる。
[2.第2実施形態]
図9は、第2実施形態の配置部30Aの構成を示す平面図である。配置部30Aは、本発明の配置部の一例に対応する機能部であり、第1実施形態で説明した配置部30に代えて、シート製造装置100に搭載される。
配置部30Aは、搬送経路FWをまたぐように配置された基台34に、複数のワイヤー配置機構31を搭載して構成される。基台34は、搬送方向Fと交差する方向に設置され、第2ウェブW2に接触しない高さに設置される。
ワイヤー配置機構31は、配置部30が備えるものと共通の構成を有する。ワイヤー配置機構31は、ロールMRを支持し、ロールMRから引き出された磁性ワイヤーMWを、支持台311上でカッター313によりカットする。ワイヤー配置機構31は、カットした磁性ワイヤーMWを、ガイド315によって第2ウェブW2上に配置する。
図9の例では、配置部30Aは3つのワイヤー配置機構31を備える。このうち2つのワイヤー配置機構31は、搬送方向Fにおいて基台34より上流にガイド315が突出するように配置される。他の1のワイヤー配置機構31は、搬送方向Fにおいて基台34の下流にガイド315が突出するように配置される。また、3つのワイヤー配置機構31は、第2ウェブW2の幅方向にずれた位置に固定される。
各々のワイヤー配置機構31は、ガイド315が図中R3で示す方向に回動可能である。方向R3は、第2ウェブW2の幅方向、すなわち搬送方向Fと交差する方向にガイド315を振る方向である。従って、各々のワイヤー配置機構31は、第2ウェブW2の幅方向において異なる位置に磁性ワイヤーMWを配置できる。また、ガイド315は、搬送方向Fに対して異なる方向を向くように磁性ワイヤーMWを配置できる。例えば、搬送方向Fに沿った方向と、搬送方向Fに対して第2ウェブW2の幅方向の一方側に60°(60°±5°)傾いた方向と、他方側に60°(60°±5°)傾いた方向とに、磁性ワイヤーMWを配置できる。この場合、第2ウェブW2に配置される磁性ワイヤーMWは、互いに60°(60°±5°)の角度の違いを有しているため、図4〜図7に示したシートS1、S2、S3、S4のような配置を配置部30Aにより実現できる。
配置部30Aは、配置部30と同様に、第2ウェブW2に磁性ワイヤーMWを載せることができ、異なる方向を向くように複数の磁性ワイヤーMWを配置する。従って、第1実施形態で説明した構成と同様の効果を得ることができる。
シート製造装置100が備えるワイヤー配置機構31の数、及び配置の状態は、配置部30、30Aとして示した例に限定されない。例えば、搬送経路FWの一方側に、搬送方向Fに沿って複数のワイヤー配置機構31を配置してもよい。また、4以上のワイヤー配置機構31を配置してもよいし、1つのワイヤー配置機構31を配置してもよい。また、ワイヤー配置機構31を、搬送方向Fと交差する方向に移動させる移動機構を設けてもよい。
[3.第3実施形態]
図10は、第3実施形態のシート製造装置100Aの構成を示す図である。
第3実施形態で説明するシート製造装置100Aは、被覆処理部38を備える点を除き、第1実施形態で説明したシート製造装置100と同様に構成される。第3実施形態では、シート製造装置100と共通する構成部については同符号を付して説明を省略する。
シート製造装置100Aには、加圧部82と加熱部84との間に被覆処理部38が配置されている。これら加圧部82、被覆処理部38、及び加熱部84を含む構成部を加工部80Aとする。被覆処理部38は、被覆処理部の一例に対応する。
被覆処理部38は、加圧部82で加圧された加圧後シートSS1の表面に被覆材料COを付着させる。被覆処理部38は、制御装置110の制御に従って、被覆材料COを加圧後シートSS1に向けて噴射する噴射ヘッドを有する。噴射ヘッドは、例えば、ピエゾ素子を利用したインクジェット式プリンターの印刷ヘッドと同様に構成される。
被覆処理部38が加圧後シートSS1に被覆材料COを付着させた後、加圧後シートSS1は加熱部84により加熱される。加熱部84によって加熱されることで、加圧後シートSS1に含まれる添加材料ADが、繊維と繊維、及び、繊維と磁性ワイヤーMWとを結合させる。さらに、加圧後シートSS1に付着した被覆材料COが加熱によって乾燥及び/または定着する。
被覆処理部38が加圧後シートSS1に付着させる被覆材料COは、合成樹脂を含む液体であり、好ましくは絶縁性を有する合成樹脂を含む。被覆材料COは、合成樹脂を水系溶媒または有機溶媒に溶解させた溶液であってもよいし、合成樹脂の微粒子を分散させた混合液であってもよい。被覆材料COは、被覆処理部38が噴射する際、または、加熱部84により加熱された後に、加熱後シートSS2と同色であることが好ましい。
図11は、第3実施形態のシート製造装置100Aが製造するシートの例として、シートS5を示す平面図である。
シートS5には、図4に示したシートS1と同様に、磁性ワイヤー401〜409が配置されている。各々の磁性ワイヤー401〜409に重なるように、コート層441が配置されている。コート層441は、磁性ワイヤー401〜409の表面を覆う合成樹脂の層である。被覆処理部38が付着させた被覆材料COが乾燥することで、コート層441が形成される。
被覆処理部38は、磁性ワイヤー401〜409の位置に合わせて被覆材料COを付着させる。被覆処理部38が被覆材料COを付着させる範囲は、シートS5の全面、すなわち加圧後シートSS1の全体であってもよいし、図11に示すように、磁性ワイヤー401〜409に重なる範囲に限ってもよい。少なくとも、加圧後シートSS1の表面に露出する磁性ワイヤー401〜409を覆う範囲に被覆材料COが付着することが好ましい。
コート層441を有するシートS5は、磁性ワイヤーMWが露出していないため、シートS5の表面の特性において、磁性ワイヤーMWの影響を軽減する効果がある。これにより、シートS5を印刷用紙として使用する場合の印刷品位の向上が期待できる。例えば、シートS5にレーザープリンターで印刷する場合、磁性ワイヤーMWの表面における放電特性を、磁性ワイヤーMWがない部分に近づけることができる。このため、磁性ワイヤーMWと、シートS5を構成する繊維との放電特性の差異に起因する、印刷の定着性への影響を軽減できる。また、コート層441が親水性を有する構成とすることもできる。この場合、シートS5にインクジェット式のプリンターで印刷を施す際に、磁性ワイヤーMWの表面にもインクがよく定着する。従って、様々な印刷方式において、シートS5に対する印刷品位の向上を図ることができる。また、磁性ワイヤーMWをコート層441で被覆することにより、シートS5の手触りが向上することも期待できる。さらに、コート層441が不透明の層、または透明度が低い層である場合、磁性ワイヤーMWを視覚的に目立たないようにする効果がある。
図12は、第3実施形態におけるシートSの製造工程を示す図である。
ステップSA1〜SA8は、第1実施形態で説明した製造工程と共通である。
ステップSA8に続いて実行されるステップSA11は、磁性ワイヤーMWが配置されたウェブを加圧する加圧工程である。シート製造装置100Aは、加圧工程で、加圧部82により、磁性ワイヤーMWが配置された第2ウェブW2を加圧して加圧後シートSS1を形成する。
ステップSA12は、加圧後シートSS1に被覆材料COを付着させる被覆工程である。シート製造装置100Aは、被覆処理部38により被覆工程を実行し、加圧後シートSS1において、磁性ワイヤーMWを覆う部分に被覆材料COを付着させる。
ステップSA13は、被覆工程で被覆材料COが付着したウェブを加熱する加熱工程である。シート製造装置100Aは、加熱工程で、被覆材料COが付着した加圧後シートSS1を、加熱部84によって加熱し、加熱後シートSS2を形成する。
ステップSA13の後、ステップSA10の切断工程で、加熱後シートSS2が設定されたサイズ及び形状に合わせてカットされる。
このように、シート製造装置100Aは、磁性体である磁性ワイヤーMWに被覆材料としての被覆材料COを付着させる被覆処理部38を有する。このため、シート製造装置100Aは、シートSに配置された磁性ワイヤーMWを被覆材料COによって被覆するので、磁性ワイヤーMWの表面の露出を避けることができる。従って、シートSの触感や色の改良、及び、シートSを印刷用紙として用いる場合の印刷品位の向上を図ることができる。
第3実施形態で、被覆処理部38は、磁性ワイヤーMWが配置された加圧後シートSS1に対して被覆材料COを付着させる構成としたが、この構成に限定されない。例えば、被覆処理部38を、搬送方向Fにおいて加圧部82より上流に配置し、加圧前の第2ウェブW2に被覆材料COを付着させてもよい。また、被覆処理部38を、加熱部84より下流に配置し、加熱後シートSS2に被覆材料COを付着させる構成であってもよい。
[4.他の実施形態]
上述した各実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明を実施する具体的態様に過ぎず、本発明を限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、例えば以下に示すように、種々の態様において実施することが可能である。
例えば、上記各実施形態では、配置部30が第2ウェブW2に配置する磁性体として、ロールMRからカットされる磁性ワイヤーMWを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、予め所定サイズにカットされた磁性ワイヤーMWを、ワイヤー配置機構31、32にストックしておき、これらの磁性ワイヤーMWを、1本または数本ずつ第2ウェブW2に向けて送り出す構成であってもよい。磁性線材である磁性ワイヤーMWをシートSに配置すると、シートSの厚みが過度に増大せず、シートSを印刷用紙等として利用する際に、PPC用紙などの通常の紙に比べて厚みや凹凸の差異が小さく、利便性が高い。なお、磁性線材である磁性ワイヤーMWに変えて、磁性線材にコイルが巻かれた素子を、第2ウェブW2に配置してもよい。例えば、ウィーガントワイヤーとして知られる双安定磁気素子を、第2ウェブW2に配置してもよい。
また、上記実施形態において、シート製造装置100、100Aは、原料MAを解繊部20により解繊し、シートSを製造する装置として説明したが、解繊処理部101を備えていない構成とすることもできる。例えば、予め解繊された繊維を含む材料MCが混合部50に供給される構成であってもよい。また、予め解繊された繊維を含む材料MCと添加材料ADとを混合させた混合物MXが、分散部60に供給される構成であってもよい。
その他の細部構成についても、任意に変更可能であることは勿論である。
2、3、7、8、54…管、9…ホッパー、10…供給部、12…粗砕部、14…粗砕刃、20…解繊部、22…固定子、24…ローター、30、30A…配置部、31、32…ワイヤー配置機構、34…基台、38…被覆処理部、40…選別部、41…ドラム部、42…導入口、43…ハウジング部、44…排出口、45…第1ウェブ形成部、46…メッシュベルト、47…張架ローラー、48…吸引部、49…回転体、50…混合部、52…添加物供給部、52a…添加物カートリッジ、52b…添加物取出部、52c…添加物投入部、56…混合ブロアー、60…分散部、61…ドラム部、62…内部空間、63…ハウジング、70…第2ウェブ形成部、72…メッシュベルト、74…張架ローラー、76…サクション機構、77、78…調湿部、79…ウェブ搬送部、79a…メッシュベルト、79b…ローラー、79c…サクション機構、80、80A…加工部、82…加圧部、84…加熱部、85…加圧ローラー、86…加熱ローラー、90…切断部、91…カッター、96…排出部、100、100A…シート製造装置、101…解繊処理部、102…ウェブ形成部、110…制御装置、311…支持台、313…カッター、315…ガイド、401〜409、411〜419…磁性ワイヤー、421、422…磁性体、441…コート層、AD…添加材料、F…搬送方向、FW…搬送経路、MA…原料、MB…解繊物、MC…材料、MR…ロール、MW…磁性ワイヤー(磁性体、磁性線材)、MX…混合物、S、S1、S2、S3、S4、S5…シート(記録用シート)、SS1…加圧後シート、SS2…加熱後シート、W1…第1ウェブ、W2…第2ウェブ(ウェブ)。

Claims (13)

  1. 繊維を含む原料を気中で堆積させてウェブを形成するウェブ形成部と、
    堆積された前記ウェブに磁性体を配置する配置部と、
    前記磁性体が配置された前記ウェブをシートに加工する加工部と、
    を備えるシート製造装置。
  2. 前記配置部は、前記ウェブの搬送経路に対する定位置に前記磁性体を配置する、請求項1記載のシート製造装置。
  3. 前記磁性体は長手形状を有し、
    前記配置部は、複数の前記磁性体を、前記磁性体の方向が3以上の異なる方向となるように配置する、請求項2記載のシート製造装置。
  4. 前記配置部は、互いの方向が60°±5°異なるように配置される3つの前記磁性体を含む、複数の前記磁性体を配置する、請求項3記載のシート製造装置。
  5. 前記配置部は、前記磁性体として、磁性体を含む所定長さの磁性線材を配置する、請求項1から4のいずれか1項に記載のシート製造装置。
  6. 前記配置部は、前記ウェブの搬送方向に対する角度を変化させる方向に回動可能なガイドを有し、前記ガイドに沿って前記磁性線材を配置する、請求項5記載のシート製造装置。
  7. 前記加工部によって加工された前記シートを所定の長さで切断する切断部を更に備え、
    前記切断部は、切断後の前記シート100重量部に対する前記磁性体の含まれる割合が1.0重量部未満となる位置で、前記シートを切断する、請求項1から6のいずれか1項に記載のシート製造装置。
  8. 前記繊維を含む原料には加熱により溶融して前記繊維を結合させる樹脂が混合され、
    前記加工部は、前記磁性体が配置された前記ウェブを加熱して前記シートに加工する、請求項1から7のいずれか1項に記載のシート製造装置。
  9. 前記ウェブまたは前記シートに配置された前記磁性体に被覆材料を付着させる被覆処理部を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載のシート製造装置。
  10. 繊維を含む原料で構成されたシートと、前記シートに配置された磁性体を含む磁性線材と、を有し、
    前記シートの100重量部に対して1.0重量部未満の前記磁性線材が含まれており、
    複数の前記磁性線材が、互いに異なる3以上の異なる方向を向いて配置されている、記録用シート。
  11. 複数の前記磁性線材が、互いの方向が60°±5°異なるように配置されている、請求項10記載の記録用シート。
  12. 繊維を含む原料を気中で堆積させてウェブを形成するウェブ形成工程と、
    前記ウェブを搬送し、搬送される前記ウェブに磁性体を配置する配置工程と、
    前記磁性体が配置された前記ウェブをシートに加工する加工工程と、
    を含むシート製造方法。
  13. 前記加工工程によって加工された前記シートを所定の長さで切断する切断工程を更に備え、
    前記切断工程は、切断後の前記シート100重量部に対する前記磁性体の含まれる割合が1.0重量部未満となる位置で、前記シートを切断する、請求項12記載のシート製造方法。
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