以下、本発明のシート製造装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1に示すシート製造装置100は、繊維を含む材料を解繊する解繊部13と、解繊された繊維に、繊維同士を結合させる結合素材P1を添加、混合する混合部17と、を備えており、また、結合素材P1と共に、存在を検出可能なマーカー物質を添加する。
これにより、本発明のシート製造装置100により製造されたシートSは、マーカー物質を含むシートとなる。よって、マーカー物質の存在を検出することにより、供給された原料M1が本発明のシート製造装置100によって製造されたシートSであることを検出することができる。
また、本発明の結合素材P1は、本発明のシート製造装置100に使用される結合素材であって、マーカー物質を含んでいることを特徴とする。
これにより、結合素材P1とマーカー物質とを別々に用意するのを省略することができる。
また、本発明のシートSは、本発明のシート製造装置100で製造されたことを特徴とする。
これにより、シートSが前記シート製造装置100で製造されたシートかどうかを判別することができる。
<第1実施形態>
図1は、本発明のシート製造装置(第1実施形態)の概略構成図である。図2は、図1に示すシート製造装置が実行する工程を順に示す図である。図3は、図1に示すシート製造装置が備える制御部および検出ユニットの模式図である。図4は、図1に示すシート製造装置の制御動作を示すフローチャートである。
なお、以下では、説明の都合上、図1の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言い、左側を「左」または「上流側」、右側を「右」または「下流側」と言うことがある。
図1および図3に示すシート製造装置100は、原料供給部11と、粗砕部12と、解繊部13と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、ほぐし部18と、第2ウェブ形成部19と、シート形成部20と、切断部21と、ストック部22とを備えている。また、シート製造装置100は、加湿部231と、加湿部232と、加湿部233と、加湿部234と、加湿部235と、加湿部236と、制御部3と、検出ユニット6と、を備えている。シート製造装置100が備える各部の作動は、制御部3によって制御されている。
図2に示すように、本実施形態では、シートの製造方法は、シート製造装置100によって、行われるものであり、原料供給工程と、粗砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、ほぐし工程と、第2ウェブ形成工程と、シート形成工程と、切断工程とを有する。
以下、シート製造装置100が備える各部の構成について説明する。
原料供給部11(材料供給部)は、粗砕部12に原料M1を供給する原料供給工程(図2参照)を行なう部分である。この原料M1としては、繊維(セルロース繊維)を含む繊維含有材料で構成された、例えばシート状をなすものである。また、原料M1は、本実施形態では、古紙となっているが、これに限定されず、未使用のシートであってもよい。なお、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロース(狭義のセルロース)を主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロース(狭義のセルロース)の他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。
粗砕部12は、原料供給部11から供給された原料M1を気中(空気中)で粗砕する粗砕工程(図2参照)を行なう部分である。粗砕部12は、一対の粗砕刃121と、シュート(ホッパー)122とを有している。
一対の粗砕刃121は、互いに反対方向に回転することにより、これらの間で原料M1を粗砕して、すなわち、裁断して粗砕片M2にすることができる。粗砕片M2の形状や大きさは、解繊部13における解繊処理に適しているのが好ましく、例えば、1辺の長さが100mm以下の小片であるのが好ましく、10mm以上70mm以下の小片であるのがより好ましい。
シュート122は、一対の粗砕刃121の下方に配置され、例えば漏斗状をなすものとなっている。これにより、シュート122は、粗砕刃121によって粗砕されて落下してきた粗砕片M2を受けることができる。
また、シュート122の上方には、加湿部231が一対の粗砕刃121に隣り合って配置されている。加湿部231は、シュート122内の粗砕片M2を加湿するものである。この加湿部231は、水分を含むフィルター(図示せず)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を粗砕片M2に供給する気化式(または温風気化式)の加湿器で構成されている。加湿空気が粗砕片M2に供給されることにより、粗砕片M2が静電気によってシュート122等に付着するのを抑制することができる。
シュート122は、管(流路)241を介して、解繊部13に接続されている。シュート122に集められた粗砕片M2は、管241を通過して、解繊部13に搬送される。このように、原料供給部11から供給された原料M1は、粗砕部12を経て解繊部13に向う。
解繊部13は、粗砕片M2(繊維を含む繊維含有材料)を気中(空気中)で、すなわち、乾式で解繊する解繊工程(図2参照)を行なう部分である。この解繊部13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物M3を生成することができる。ここで「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる粗砕片M2を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。そして、この解きほぐされたものが解繊物M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。また、解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
解繊部13は、例えば本実施形態では、高速回転するローターと、ローターの外周に位置するライナーとを有するインペラーミルで構成されている。解繊部13に流入してきた粗砕片M2は、ローターとライナーとの間に挟まれて解繊される。
また、解繊部13は、ローターの回転により、粗砕部12から選別部14に向かう空気の流れ(気流)を発生させることができる。これにより、粗砕片M2を管241から解繊部13に吸引することができる。また、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
解繊部13は、解繊物M3(粗砕片M2)に付着した樹脂粒や、インク、トナー等の色材、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能も有する。
また、解繊部13は、管(流路)242を介して、選別部14に接続されている。解繊物M3(解繊後の繊維含有材料)は、管242を通過して、選別部14に搬送される。
管242の途中には、ブロアー261が設置されている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、選別部14への解繊物M3の送り出しが促進される。
選別部14は、解繊物M3を、繊維の長さの大小によって選別する選別工程(図2参照)を行なう部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4−1と、第1選別物M4−1よりも大きい第2選別物M4−2とに選別される。第1選別物M4−1は、その後のシートS(シート材)の製造に適した大きさのものとなっている。第2選別物M4−2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊された繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
選別部14は、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング部142とを有する。
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部141には、解繊物M3が流入してくる。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4−1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4−2として選別される。
第1選別物M4−1は、ドラム部141から落下する。
一方、第2選別物M4−2は、ドラム部141に接続されている管(流路)243に送り出される。管243は、ドラム部141と反対側(下流側)が管241とに接続されている。この管243を通過した第2選別物M4−2は、管241内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに解繊部13に流入する。これにより、第2選別物M4−2は、解繊部13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
また、ドラム部141からの第1選別物M4−1は、空気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部(分離部)15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4−1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程(図2参照)を行なう部分である。第1ウェブ形成部15は、メッシュベルト(分離ベルト)151と、3つの張架ローラー152と、吸引部(サクション機構)153とを有している。
メッシュベルト151は、無端ベルトであり、第1選別物M4−1が堆積する。このメッシュベルト151は、3つの張架ローラー152に掛け回されている。そして、張架ローラー152の回転駆動により、メッシュベルト151上の第1選別物M4−1は、下流側に搬送される。
なお、メッシュベルト151の上方には、マーカー物質を検出する検出ユニット6(マーカー物質検出部)が設けられている。この検出ユニット6は、後述するマーカー物質供給部(混合部17)よりも上流側に設けられている。このことについては、後に詳述する。
第1選別物M4−1は、メッシュベルト151の目開き以上の大きさとなっている。これにより、第1選別物M4−1は、メッシュベルト151の網目の通過が規制され、よって、メッシュベルト151上に堆積することができる。また、第1選別物M4−1は、メッシュベルト151上に堆積しつつ、メッシュベルト151ごと下流側に搬送されるため、層状の第1ウェブM5として形成される。
また、第1選別物M4−1には、色材CMが混在している。この色材CMは、メッシュベルト151の目開きよりも小さい。これにより、色材CMは、メッシュベルト151を通過して、さらに下方に落下する。
原料M1にマーカー物質を含む結合素材P1が含まれている場合、第1選別物M4−1に含まれる繊維には、結合素材P1の一部が融着している。すなわち、第1ウェブM5には、結合素材P1が混在することとなる。解繊部13で解繊されたときに繊維から脱落した結合素材P1は、色材CMと同様にメッシュベルト151を通過して下方に落下する。
吸引部153は、メッシュベルト151の下方から空気を吸引することができる。これにより、メッシュベルト151を通過した色材CMを空気ごと吸引することができる。
また、吸引部153は、管(流路)244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された色材CMは、回収部27に回収される。
回収部27には、管(流路)245がさらに接続されている。また、管245の途中には、ブロアー262が設置されている。このブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、メッシュベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。この第1ウェブM5は、色材CMが除去されたものとなる。また、色材CMは、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
ハウジング部142は、加湿部232と接続されている。加湿部232は、加湿部231と同様の気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部142内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、第1選別物M4−1を加湿することができ、よって、第1選別物M4−1がハウジング部142の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
選別部14の下流側(右側)には、検出ユニット6および加湿部235がこの順で配置されている。加湿部235は、水を噴霧する超音波式加湿器で構成されている。これにより、第1ウェブM5に水分を供給(加湿)することができ、よって、第1ウェブM5の水分量が調整される。この調整により、静電力による第1ウェブM5のメッシュベルト151への吸着を抑制することができる。これにより、第1ウェブM5は、メッシュベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、メッシュベルト151から容易に剥離される。
加湿部235の下流側には、細分部16が配置されている。細分部16は、メッシュベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程(図2参照)を行なう部分である。細分部16は、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング部162とを有している。そして、回転するプロペラ161に第1ウェブM5が巻き込まれることにより、第1ウェブM5を分断することができる。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。また、細分体M6は、ハウジング部162内を下降する。
ハウジング部162は、加湿部233と接続されている。加湿部233は、加湿部231と同様の気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部162内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、細分体M6がプロペラ161やハウジング部162の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
細分部16の下流側には、混合部17が配置されている。混合部17は、細分体M6と結合素材P1とを混合する混合工程(図2参照)を行なう部分である。この混合部17は、結合素材供給部171と、管(流路)172と、ブロアー173とを有している。なお、本実施形態では、混合部17がマーカー物質を供給するマーカー物質供給部として機能する。これにより、マーカー物質を供給することができる。
管172は、細分部16のハウジング部162と、ほぐし部18のハウジング部182とを接続しており、細分体M6と結合素材P1との混合物M7が通過する流路である。
管172の途中には、結合素材供給部171が接続されている。結合素材供給部171は、スクリューフィーダー174を有している。このスクリューフィーダー174が回転駆動することにより、結合素材P1を粉体または粒子として管172に供給することができる。管172に供給された結合素材P1は、管172の上流側から送られてくる細分体M6に添加され、混合されて混合物M7となる。
なお、シート製造装置100では、例えば、スクリューフィーダー174の回転数を調整することにより、結合素材P1の供給量を調整することができる。
なお、結合素材P1は、後の工程で繊維同士を結合(結着)させるものであり、樹脂材料を含む。樹脂材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等を用いることができるが、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66等のポリアミド(ナイロン)、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、熱可塑性樹脂としては、ポリエステルまたはこれを含むものを用いる。
シート製造装置100では、結合素材P1と共にマーカー物質が添加される。すなわち、スクリューフィーダー174に投入される結合素材P1の原料中にマーカー物質が既に添加されている場合や、または、スクリューフィーダー174の上流側(マーカー物質投入口)に結合素材P1とマーカー物質とを投入し、スクリューフィーダー174の排出口からマーカー物質入りの結合素材P1が排出される場合とがある。このマーカー物質については、後に詳述する。
なお、結合素材P1は、例えば、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集や樹脂の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤等が含まれていてもよい。また、澱粉等の植物性の材料でもよい。
また、管172の途中には、結合素材供給部171よりも下流側にブロアー173が設置されている。ブロアー173は、ほぐし部18に向かう気流を発生させることができる。この気流により、管172内で、細分体M6と、マーカー物質を含む結合素材P1とを撹拌することができる。これにより、混合物M7は、細分体M6と結合素材P1とが均一に分散した状態で、ほぐし部18に流入することができる。また、混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
ほぐし部18は、混合物M7における、互いに絡み合った繊維同士をほぐすほぐし工程(図2参照)を行なう部分である。ほぐし部18は、ドラム部181と、ドラム部181を収納するハウジング部182とを有する。
ドラム部181は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部181には、混合物M7が流入してくる。そして、ドラム部181が回転することにより、混合物M7のうち、網の目開きよりも小さい繊維等が、ドラム部181を通過することができる。その際、混合物M7がほぐされることとなる。
また、ドラム部181でほぐされた混合物M7は、空気中に分散しつつ落下して、ドラム部181の下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。第2ウェブ形成部19は、混合物M7から第2ウェブM8を形成する第2ウェブ形成工程(図2参照)を行なう部分である。第2ウェブ形成部19は、メッシュベルト(分離ベルト)191と、張架ローラー192と、吸引部(サクション機構)193とを有している。
メッシュベルト191は、無端ベルトであり、混合物M7が堆積する。このメッシュベルト191は、4つの張架ローラー192に掛け回されている。そして、張架ローラー192の回転駆動により、メッシュベルト191上の混合物M7は、下流側に搬送される。
また、メッシュベルト191上のほとんどの混合物M7は、メッシュベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、メッシュベルト191の網目を通過してしまうのが規制され、よって、メッシュベルト191上に堆積することができる。また、混合物M7は、メッシュベルト191上に堆積しつつ、メッシュベルト191ごと下流側に搬送されるため、層状の第2ウェブM8として形成される。
吸引部193は、メッシュベルト191の下方から空気を吸引することができる。これにより、メッシュベルト191上に混合物M7を吸引することができ、よって、混合物M7のメッシュベルト191上への堆積が促進される。
吸引部193には、管(流路)246が接続されている。また、この管246の途中には、ブロアー263が設置されている。このブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
ハウジング部182は、加湿部234と接続されている。加湿部234は、加湿部231と同様の気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部182内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、ハウジング部182内を加湿することができ、よって、混合物M7がハウジング部182の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
ほぐし部18の下流側(右側)には、加湿部236が配置されている。加湿部236は、加湿部235と同様の超音波式加湿器で構成されている。これにより、第2ウェブM8に水分を供給することができ、よって、第2ウェブM8の水分量が調整される。この調整により、静電力による第2ウェブM8のメッシュベルト191への吸着を抑制することができる。これにより、第2ウェブM8は、メッシュベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、メッシュベルト191から容易に剥離される。
なお、加湿部231〜加湿部236までに加えられる水分量は、例えば、加湿前の材料100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下であるのが好ましい。
第2ウェブ形成部19の下流側には、シート形成部20が配置されている。シート形成部20は、第2ウェブM8からシートSを形成するシート形成工程(図2参照)を行なう部分である。このシート形成部20は、加圧部201と、加熱部202とを有している。
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有し、これらの間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧することができる。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。そして、この第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、モーター(図示せず)の作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有し、これらの間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧することができる。この加熱加圧により、第2ウェブM8内では、結合素材P1が溶融して、この溶融した結合素材P1を介して繊維同士が結着する。これにより、シートSが形成される。そして、このシートSは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、モーター(図示略)の作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
シート形成部20の下流側には、切断部21が配置されている。切断部21は、シートSを切断する切断工程(図2参照)を行なう部分である。この切断部21は、第1カッター211と、第2カッター212とを有する。
第1カッター211は、シートSの搬送方向と交差する方向にシートSを切断するものである。
第2カッター212は、第1カッター211の下流側で、シートSの搬送方向に平行な方向にシートSを切断するものである。
このような第1カッター211と第2カッター212との切断により、所望の大きさのシートSが得られる。そして、このシートSは、さらに下流側に搬送されて、ストック部22に蓄積される。
図3に示すように、制御部3は、CPU31(Central Processing Unit)と、記憶部32と、を有している。また、制御部3は、後述するように、検出ユニット6(マーカー物質検出部)の検出結果に応じて、混合部17において添加、混合される結合素材P1の量を調整する機能を有する。これにより、製造されたシートS中の結合素材P1および導電性物質の量を所望の量(目標含有量X0)にすることができる。
CPU31は、シート製造装置100の作動を制御する。また、CPU31は、記憶部32に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御する。
記憶部32は、例えば、書き換え可能な不揮発性メモリーで構成され、記憶部32には、シート製造に関する各種プログラム等が記憶されている。この各種プログラムは、CPU31によって実行される。
さて、前述したように、シート製造装置100では、結合素材P1に、マーカー物質が含まれているとして以下説明をする(図4参照)。これにより、シート製造装置100により製造されたシートSは、外部から検出可能なマーカー物質を含むシートSとなる。よって、シートSが原料M1として供給された場合、原料M1中のマーカー物質を検出することにより、原料M1が、本発明のシート製造装置100によって製造されたシートSであることを把握することができる。
以下、マーカー物質について説明する。
マーカー物質は、本実施形態では、導電性を有する導電性物質である。これにより、後述するような検出ユニット6(導電性物質検出部)により、導電性物質の存在を検出することができる。
導電性物質としては、例えば、金属材料、炭素材料、導電性金属酸化物等の無機導電性物質や有機導電性物質、これらの複合材料等が挙げられる。また、導電性物質としては、イオン液体を用いることもできる。
導電性物質として用いることのできる金属材料としては、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、リチウム、鉄、白金、スズ、クロム、鉛、チタン、マンガンやこれらのうちの少なくとも1種を含む合金(例えば、黄銅、ステンレス鋼、ニクロム等)等が挙げられる。
導電性物質として用いることのできる炭素材料としては、例えば、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、炭素繊維等が挙げられる。
導電性金属酸化物としては、例えば、ITO、IZO、ATO等が挙げられる。
有機導電性物質としては、例えば、ポリチオフェン系、ポリアセチレン系、ポリアニリン系、ポリピロール系等の各種導電性高分子材料等が挙げられる。
また、混合部17で添加、混合される結合素材P1に導電性物質が含まれていることにより、導電性物質を単独で添加、混合する部位を省略することができ、装置構成を簡素にすることができる。
ここで、シート製造装置100は、当該シート製造装置100に供された原料M1が、シート製造装置100によって製造されたものであるか、すなわち、原料M1が導電性物質(マーカー物質)を含むものであるか否かを把握することができる。以下、このことについて説明する。
図1および図3に示すように、解繊部13と混合部17との間、すなわち、メッシュベルト151の近傍には、導電性物質(マーカー物質)を検出する検出ユニット6が設けられている。
検出ユニット6は、第1極板61と、第2極板62とを有する静電容量センサーで構成されている。第1極板61と第2極板62とは、メッシュベルト151の第1ウェブM5が形成される部分を介して配向配置されている。また、第1極板61および第2極板62は、制御部3とそれぞれ電気的に接続されている。
制御部3は、第1極板61および第2極板62に電圧を印加し、第1極板61および第2極板62の間の静電容量を検出する。メッシュベルト151上の第1ウェブM5が導電性物質を含んでいた場合と、メッシュベルト151上の第1ウェブM5が導電性物質を含んでいない場合とでは、第1極板61および第2極板62の間の静電容量が異なる。この静電容量の差異に基づいて、制御部3は、第1ウェブM5が導電性物質を含んでいた場合、第1ウェブM5中の導電性物質の存在を検出することができ、さらには、その含有の程度(含有量)を検出することができる。
なお、検出精度を高めるために、メッシュベルト151は、例えば、プラスチックのような非金属材料で構成されているのが好ましい。また、メッシュベルト151を金属材料で構成し、第2極板62に代えて、メッシュベルト151を第1極板61の対向電極として用いることもできる。
このような導電性物質を検出する導電性物質検出部としての検出ユニット6をさらに備えることにより、シート製造装置100に供された原料M1に導電性物質が含まれていた場合、導電性物質の存在を検出することができる。よって、これから製造しようとする、または、製造中のシートSの原料M1が、以前、シート製造装置100または同種のシート製造装置によって製造されたものであったか否かを把握することができる。このようにして得られた情報によれば、例えば、シートSの偽造防止等に活用することができる。
検出ユニット6(導電性物質検出部)は、第1極板61と、第2極板62とを有する静電容量センサーで構成されている。これにより、第1ウェブM5に対して非接触で、かつ、簡単な構成で導電性物質の存在を検出することができる。
また、原料M1を解繊部13にて解繊した後に、混合部17にて導電性物質を含む結合素材を供給することにより、製造されたシートSにおいて全体的に導電性物質が分散することとなる。よって、例えば、原料M1の一部が欠損していたり、原料M1の一部に汚れが付着していたとしても、導電性物質を検出することができる。
また、検出ユニット6は、解繊部13と混合部17との間に設けられており、解繊部13により解繊された材料である第1ウェブM5中の導電性物質を検出するものである。これにより、シート製造装置100に供された原料M1の厚さや、原料M1における導電性物質が含まれている位置によらず、導電性物質を検出することができる。
次に、図4に示すフローチャートを用いて、制御部3の制御動作について説明する。
まず、ステップS101において、製造されるシートSにおける結合素材P1の目標含有量X0を決定する。本ステップは、図示はしないが、例えば操作パネル上で操作者が結合素材P1の量を設定し、それに基づいて行われる。
次に、ステップS102において、図3に示す第1極板61および第2極板62に電圧を印加し、導電性物質の検出を行う。
次に、ステップS103において、第1極板61および第2極板62の間の静電容量が変化したか否かを検出する。ステップS103において、静電容量が変化(増加)したと判断した場合、ステップS104において、第1ウェブM5中の結合素材P1の含有量(残存量Yn)を取得する。
なお、本明細書中では、第1ウェブM5に導電性物質が含まれていない場合には、第1極板61および第2極板62の間の静電容量は、変化していないとみなすこととする。
ステップS104における第1ウェブM5中の結合素材P1の残存量Ynの取得方法としては、以下の方法が挙げられる。結合素材P1の残存量Ynが多くなるに連れて第1ウェブM5の誘電率は高くなり、静電容量も大きくなる傾向を示す。このため、静電容量の変化量(増加量)と、結合素材P1の量との検量線またはテーブルを記憶部32に記憶しておき、これらに基づいて静電容量の変化量から結合素材P1の含有量を取得することができる。なお、静電容量の変化量とは、単位時間当たりに変化した静電容量の平均値であるのが好ましい。これにより、導電性物質の含有量をより正確に検出することができる。
ステップS103において、静電容量が変化していないと判断した場合、導電性物質が第1ウェブM5に入っていない、すなわち、原料M1がシート製造装置100によって製造されたものではないとみなす(ステップS105)。
そして、ステップS106において、混合部17において新たに供給する結合素材P1の供給量Xnを決定する。この供給量Xnは、ステップS101で決定した、製造されるシートSにおける結合素材P1の目標含有量X0から、ステップS104またはステップS105で取得した第1ウェブM5中の結合素材P1の残存量Ynを減算することにより得られる。すなわち、Xn=X0−Ynを求める(演算する)。
そして、ステップS106の演算結果に基づいて、時間t後に、供給量Xnの結合素材P1を供給する。なお、時間tは、予め定められた値であり、検出ユニット6の設置位置に応じて求められた値である。例えば、本実施形態では、検出ユニット6は、メッシュベルト151上に設けられているため、メッシュベルト151上の第1ウェブM5がどの程度の時間で混合部17に到達するかを予め実験的に求め、その値を時間tとして設定することができる。
以上説明したように、シート製造装置100によれば、原料M1に導電性物質(マーカー物質)が含まれているか否かを検出することにより、供給された原料M1がシート製造装置100によって製造されたものであるか否かを判断することができる。
シート製造装置100は、検出ユニット6の検出結果により、原料M1に含まれている結合素材P1の量を推測できる。すなわち、検出ユニット6の検出結果に応じて、混合部17において新たに添加、混合される結合素材P1の量を調整することにより、製造されたシートS中の結合素材P1および導電性物質の量を所望の量(目標含有量X0)にすることができる。
なお、本実施形態において、導電性物質を結合素材P1と共に添加、混合する構成として、導電性物質(マーカー物質)を含んだ結合素材P1を供給する構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、導電性物質(マーカー物質)を結合素材P1に混合せずに、すなわち、導電性物質(マーカー物質)を結合素材P1とは別に、解繊された繊維に添加する構成であってもよい。この場合、導電性物質(マーカー物質)を供給する導電性物質供給部(マーカー物質供給部)は、検出部6の下流側からほぐし部18の任意の位置に設置することができる。このような構成とした場合、マーカー物質が添加される以前の結合素材P1の供給量とマーカー物質の供給量とをそれぞれ独立して設定することができるので、後に、より正確な検出およびシートSの製造を行うことができるという利点がある。
<第2実施形態>
図5は、本発明のシート製造装置の第2実施形態が備える検出ユニットの拡大図である。
以下、この図を参照して本発明のシート製造装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、検出ユニットの配置位置が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図5に示すように、本実施形態では、検出ユニット6(マーカー物質検出部)は、粗砕刃121とシュート122との間に設けられている。すなわち、検出ユニット6は、原料供給部11(材料供給部)と解繊部13との間に設けられていると言える。
また、第1極板61および第2極板62は、本実施形態では、それぞれ、粗砕片M2の流れを挟んで、図中左右方向に対向して配置されている。また、第1極板61は、一方の粗砕刃121の下方に配置され、第2極板62は、他方の粗砕刃121の下方に配置されている。このため、粗砕刃121によって粗砕された粗砕片M2が、第1極板61および第2極板62の間を通過する。この通過の際、第1極板61および第2極板62の間の静電容量の変化を検出することにより、導電性物質の存在を検出することができる。
このような本実施形態によっても、第1実施形態と同様に、原料M1に導電性物質(マーカー物質)が含まれているか否か、さらにはその含有の程度(含有量)を検出することにより、供給された原料M1がシート製造装置100によって製造されたものであるか否かを判断することができる。
さらに、本実施形態では、検出ユニット6が、解繊部13により解繊される以前の粗砕片M2中の導電性物質を検出可能である。すなわち、第1ウェブM5よりも大きい粗砕片M2中の導電性物質を検出可能である。これにより、粗砕片M2が導電性物質を含んでいた場合、第1極板61および第2極板62の間の静電容量の変化が比較的大きくなる。よって、導電性物質の存在をより正確に検出することができる。
<第3実施形態>
図6は、本発明のシート製造装置の第3実施形態が備える検出ユニットの拡大図である。
以下、この図を参照して本発明のシート製造装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、検出ユニットの配置位置が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図6に示すように、本実施形態では、検出ユニット6(マーカー物質検出部)は、原料供給部11と粗砕刃121との間に設けられている。すなわち、検出ユニット6は、原料供給部11(材料供給部)と解繊部13との間に設けられていると言える。
また、第1極板61および第2極板62は、本実施形態では、それぞれ、原料M1の流れを挟んで、図中左右方向に対向して配置されている。また、第1極板61は、一方の粗砕刃121の上方に配置され、第2極板62は、他方の粗砕刃121の上方に配置されている。このため、粗砕刃121に向う原料M1は、第1極板61および第2極板62の間を通過する。この通過の際、第1極板61および第2極板62の間の静電容量の変化を検出することにより、導電性物質の存在を検出することができる。
このような本実施形態によっても、第1実施形態と同様に、原料M1に導電性物質(マーカー物質)が含まれているか否か、さらにはその含有の程度(含有量)を検出することにより、供給された原料M1がシート製造装置100によって製造されたものであるか否かを判断することができる。
さらに、本実施形態では、検出ユニット6が、解繊部13により解繊される以前の原料M1中の導電性物質を検出可能である。すなわち、第1ウェブM5よりも大きい原料M1中の導電性物質を検出可能である。これにより、原料M1が導電性物質を含んでいた場合、第1極板61および第2極板62の間の静電容量の変化がさらに大きくなる。よって、導電性物質の存在をより正確に検出することができる。また、原料M1中の結合素材P1の量が多すぎた場合には、原料M1をシート製造装置100に供給するのをやめることもできる。
<第4実施形態>
図7は、本発明のシート製造装置の第4実施形態が備える制御部および検出ユニットの模式図である。
以下、この図を参照して本発明のシート製造装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、マーカー物質の構成材料および検出ユニットの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
本実施形態では、マーカー物質は、X線不透過性物質で構成されている。X線不透過性物質としては、例えば、タンタル、金、銀、白金、イリジウム、タングステン、パラジウム等の単体金属やこれらのうちの少なくとも1種を含む合金(例えば、18金、白金−イリジウム合金等)等の各種金属材料、硫酸バリウム等の無機系X線不透過性物質;イオメプロール、イオキサグル酸、イオパミドール、イオへキソール、イオキシラン、イオベルソール、イオジキサノール、イオプロミド等の有機系X線不透過性物質等が挙げられる。
マーカー物質がX線不透過性物質であることにより、以下で述べるように、第1ウェブM5(原料)にX線65を照射し、第1ウェブM5におけるX線65の透過量を検出することにより、第1ウェブM5中のX線不透過性物質の存在を検出することができる。
図7に示すように、シート製造装置100は、X線不透過性物質を検出するX線不透過性物質検出部としての検出ユニット6A(マーカー物質検出部)をさらに備える。これにより、第1ウェブM5中のX線不透過性物質の存在を検出することができる。
検出ユニット6Aは、メッシュベルト151の第1ウェブM5が形成される部分の上方に設けられたX線照射部63と、メッシュベルト151の第1ウェブM5が形成される部分の下方に設けられ、X線65を検出するX線検出部64とを有している。すなわち、X線照射部63とX線検出部64とは、メッシュベルト151の第1ウェブM5が形成される部分を介して対向配置されている。
X線照射部63は、下方、すなわち、メッシュベルト151上の第1ウェブM5(材料)に向ってX線65を照射する。照射されたX線65は、第1ウェブM5を介してX線検出部64に照射される。すなわち、X線検出部64は、X線照射部63が照射したX線65を、第1ウェブM5(材料)を介して検出する。また、X線検出部64は、X線65の強度に応じた信号を制御部3に送信する。
このような検出ユニット6Aによれば、第1ウェブM5にX線不透過性物質が含まれていた場合、X線検出部64が検出するX線65の強度が低下する。このX線65の強度の低下に基づいて、第1ウェブM5中のX線不透過性物質の存在を検出することができる。よって、これから製造しようとする、または、製造中のシートSの原料M1が、以前、シート製造装置100または同種のシート製造装置によって製造されたものであったか否かを把握することができる。さらに、第1ウェブM5に対して非接触で、かつ、簡単な構成により、X線不透過性物質の存在、さらにはその含有の程度を検出することができる。
さらに、X線検出部64が検出するX線65の強度に基づいて、第1ウェブM5中のX線不透過性物質の含有量、すなわち、第1ウェブM5中の結合素材P1の含有量を算出することができる。検出ユニット6Aの検出結果に応じて、混合部17において添加、混合される結合素材P1の量を調整することにより、原料M1に含まれる結合素材P1の量によらず、製造されたシートS中の結合素材P1およびX線不透過性物質の量を所望の量にすることができる。
なお、メッシュベルト151は、は、例えばプラスチックのような、X線65を透過する材料で構成されているのが好ましい。これにより、第1ウェブM5中の結合素材P1の存在をさらに正確に検出することができる。
<第5実施形態>
図8は、本発明のシート製造装置の第5実施形態が備える制御部および検出ユニットの模式図である。
以下、この図を参照して本発明のシート製造装置の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、マーカー物質の構成材料および検出ユニットの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
本実施形態では、マーカー物質は、磁性物質(磁性材料)である。磁性物質としては、軟磁性材料、強(硬)磁性材料、磁歪材料、磁気抵抗材料等の強磁性体が挙げられる。
軟磁性材料としては、例えば、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金等が挙げられる。
硬磁性材料としては、例えば、アルニコ磁石、フェライト磁石、希土類磁石(例えば、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石等)等が挙げられる。
磁歪材料としては、例えば、ニッケル、フェライト、超磁歪材料等が挙げられる。
このように、マーカー物質が磁性物質であることにより、以下で述べるように、第1ウェブM5中の磁性物質の存在を、検出ユニット6B(磁性物質検出部)により検出することができる。
図8に示すように、本実施形態のシート製造装置100は、磁性物質を検出する磁性物質検出部としての検出ユニット6B(マーカー物質検出部)をさらに備える。検出ユニット6Bは、メッシュベルト151の第1ウェブM5が形成される部分の上方に設けられた磁気センサー66である。磁気センサー66としては、磁性物質の存在を検出可能であれば特に限定されないが、例えば、磁界の変化によって素子の抵抗値が変化する磁気抵抗素子や、磁界の変化によって素子の出力電圧が変化するホール素子等が用いられる。また、単にコイルから生じた起電力を出力する端子を有する簡単な構成であってもよい。
このような検出ユニット6B(磁性物質検出部)によれば、第1ウェブM5中の磁性物質の存在、さらにはその含有量を検出することができる。よって、これから製造しようとする、または、製造中のシートSの原料M1が、以前、シート製造装置100または同種のシート製造装置によって製造されたものであったか否かを把握することができる。
さらに、検出ユニット6Bとして磁気抵抗素子を用いた場合、素子の抵抗値の程度に応じて、第1ウェブM5中の磁性物質の含有量、すなわち、第1ウェブM5中の結合素材P1の含有量を算出することができる。また、検出ユニット6Bとしてホール素子を用いた場合、素子の出力電圧に応じて、第1ウェブM5中の磁性物質の含有量、すなわち、第1ウェブM5中の結合素材P1の含有量を算出することができる。その結果、検出ユニット6Bの検出結果に応じて、混合部17において添加、混合される結合素材P1の量を調整することにより、原料M1に含まれる結合素材P1の量によらず、製造されたシートS中の結合素材P1および磁性物質の量を所望の量にすることができる。
以上、本発明のシート製造装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、シート製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明のシート製造装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
なお、マーカー物質の構成は、上述した各実施形態のものに限定されず、その他、例えば、放射性物質(RI)またはそれを含むもの等が挙げられる。また、上述した各マーカー物質のうちの2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
また、マーカー物質を検出するマーカー物質検出部は、複数設けられてもよい。この場合、1つのマーカー物質検出部がマーカー物質供給部の上流側、他のマーカー物質検出部がマーカー物質供給部の下流側に設けられていてもよい。この場合、マーカー物質供給部の上流側のマーカー物質検出部が上述した実施形態の効果を奏し、マーカー物質供給部の下流側のマーカー物質検出部がマーカー物質供給部にてマーカー物質が添加されたかを検出(確認)することができる。
なお、前記各実施形態で述べた検出ユニット6、検出ユニット6A、検出ユニット6Bは、マーカー物質を側材に検出することができるため、マーカー物質を含む材料が比較的高速で搬送されていても、正確に検出することができる。その結果、シートの製造時間の短縮を図ることができる。