JP2020094094A - 自動車補修用パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法 - Google Patents

自動車補修用パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020094094A
JP2020094094A JP2018231439A JP2018231439A JP2020094094A JP 2020094094 A JP2020094094 A JP 2020094094A JP 2018231439 A JP2018231439 A JP 2018231439A JP 2018231439 A JP2018231439 A JP 2018231439A JP 2020094094 A JP2020094094 A JP 2020094094A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
putty
extender pigment
putty composition
composition
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018231439A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7215816B2 (ja
Inventor
昌典 平野
Masanori Hirano
昌典 平野
安明 西澤
Yasuaki Nishizawa
安明 西澤
優志 立花
Masashi Tachibana
優志 立花
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=71085991&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2020094094(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Kansai Paint Co Ltd filed Critical Kansai Paint Co Ltd
Priority to JP2018231439A priority Critical patent/JP7215816B2/ja
Publication of JP2020094094A publication Critical patent/JP2020094094A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7215816B2 publication Critical patent/JP7215816B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

【課題】安定して厚盛りが可能で、かつ、ヘラ付け性などの作業性、平滑性及び耐水性に優れたパテ層を形成しうる自動車補修用のパテ組成物を提供すること。【解決手段】不飽和ポリエステル樹脂(A)、重合性不飽和化合物(B)及び体質顔料(C)を含有する自動車補修用パテ組成物であって、前記体質顔料(C)の成分の少なくとも1種に、中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μmかつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)を含有し、前記体質顔料(C)の顔料容積濃度(PVC)が5〜70%の範囲内であることを特徴とする自動車補修用パテ組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車補修用パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法に関する。
自動車ボディー等の塗装損傷箇所の補修塗装方法は、塗装損傷箇所のへこみを必要に応じて専用の道具を用いてボディー本体の鋼板を叩いたり引き出したりして素材を出来るだけ元の形へと加工し、この損傷箇所及びその周辺の塗膜の少なくとも一部を、素地に達するまで損傷箇所を中心にして、広く滑らかなテーパー状(フェザーエッジともいう)に塗膜を剥離または削りとり加工する工程がある(この工程を板金工程ともいう)。つづけて、損傷箇所を正常な塗膜と同様の外観に仕上げるために、下地補修材としてパテ組成物を塗装する。パテ組成物は、板金工程後の鋼板素地面と旧塗膜がなだらかに残る面とを含む被塗面に広範囲にわたって塗装され、得られるパテ層は平滑かつ、正常塗膜と同等以上の耐水性及び防錆性を付与する役割がある。このようなパテ組成物は、厚付け用の板金パテ、中間パテ、ポリパテ及び仕上げパテ等、その損傷部の損傷具合(凹凸の大きさなど)に応じて適宜使用される。これらのパテ組成物には不飽和ポリエステル樹脂を主成分として含むものが多く使用されているが、これまで、パテ組成物には硬化性や研磨性、耐水性等の物性の面から、不飽和ポリエステル樹脂の反応性希釈剤やその樹脂骨格中に、スチレンモノマーが用いられていた。
しかしながら近年、スチレンモノマーが特定化学物質障害予防規則での規制対象となり、スチレンを含まないパテ組成物、いわゆるノンスチレン型パテ組成物の開発が必要とされてきた。
ノンスチレン型パテ組成物として、例えば特許文献1には、スチレンモノマーに代えてヒドロキシアルキルメタクリレートを反応性希釈剤として用いた不飽和ポリエステル樹脂組成物が記載されている。この組成物は、臭気が低く、硬化安定性及び表面乾燥性に優れるものの、基材との付着性が不十分な場合があった。
また、特許文献2〜3には、反応性希釈剤として特定の重合性不飽和化合物、硬化促進剤として特定の芳香族アミン化合物、防錆剤を含むパテ組成物が開示されている。かかる組成物によれば、表面乾燥性が良好で、上塗り塗装後の仕上がり面が黄変することなく良好な外観を有し、また厚塗りにした際の内部乾燥性にも優れ、基材と上塗り塗膜の双方に対する付着性にも優れたパテ層を形成できるものである。しかしながら、パテ組成物は、厚く盛る必要がありその後研磨する必要もあることから、一般的に顔料割合が高く、ペーパー研磨時の抵抗が重く、研磨に時間がかかっていた。ペーパー研磨時の抵抗感をなくすために、顔料濃度を押えてその粘度を下げることも考えられるが、厚く盛れなくなるだけでなく、また、薄膜成型時でのパテ層の平滑性とその耐水性等のパテ層の物性がしばしば問題となる場合があった。
一方、特許文献4には、鉄道車両外板用に、パテ塗膜を不飽和ポリエステル樹脂に平均粒子径10〜100μmの微小中空球体を特定量、特定硬化剤の組合せで含有せしめて特定の抗張力、特定の伸び率とするパテ塗膜とすることを開示している。しかしながら、この特許文献に開示のパテ組成物を自動車補修用に用いた場合には、厚盛性は向上するものの、ヘラ付け性等の塗装作業性や仕上り性また、耐水性などの塗膜物性が不十分であった。
特開2005−162830号公報 特開2005−206781号公報 特開2006−206863号公報 特開平05−123645号公報
本発明の目的は、安定して厚盛りが可能で、かつ、ヘラ付け性などの作業性、平滑性及び耐水性に優れたパテ層を形成しうるパテ組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、不飽和ポリエステル樹脂(A)、重合性不飽和化合物(B)及び体質顔料(C)を含有し、かつ、スチレンを実質的に含まない自動車補修用パテ組成物であって、体質顔料成分として中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μmかつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)を含有し、その体質顔料(C)の顔料容積濃度(PVC)を特定の範囲内とすることによって、ヘラ付け作業性に極めて優れ、かつ、平滑性及び耐水性に優れたパテ層が得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
項1.不飽和ポリエステル樹脂(A)、重合性不飽和化合物(B)及び体質顔料(C)を含有する自動車補修用パテ組成物であって、前記体質顔料(C)の成分の少なくとも1種に、中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μmかつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)を含有し、前記体質顔料の顔料容積濃度(PVC)が5〜70%の範囲内であることを特徴とする自動車補修用パテ組成物。
項2.前記体質顔料(c2)が、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)、炭酸カルシウム、カオリンクレーから選ばれる少なくとも1種である項1に記載の自動車補修用パテ組成物。
項3.前記体質顔料(C)のうち、中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μm以下かつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)の併用比率が、顔料容積濃度比で成分(c1)/成分(c2)=20/80〜80/20の範囲内である項1又は項2に記載の自動車補修用パテ組成物。
項4.前記体質顔料(C)の全質量に対して、中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μm以下かつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)合計質量が、70質量%以上である項1〜3のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物。
項5.前記体質顔料(C)のうち、中空粒子(c1)及び体質顔料(c2)以外の体質顔料として、熱伝導性フィラーを含有する項1〜4のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物。
項6.前記成分(B)が、その成分の一部として、環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)を含有する項1〜5のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物。
項7.前記自動車補修用パテ組成物の比重が0.5〜1.7の範囲内である項1〜6のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物。
項8.前記項1〜7のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物の乾燥塗膜における表面粗度が3以下である自動車補修用パテ組成物。
項9.塗装体の損傷部に、項1〜8のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物を充填する工程(1)、充填されたパテ組成物を乾燥する工程(2)、乾燥して形成したパテ層を研磨する工程(3)、研磨されたパテ層上に補修用塗料組成物を塗装する工程(4)、を順次行う補修塗装方法。
本発明のパテ組成物によれば、乾燥性に優れ、ヘラ付け性等の塗装作業性に極めて優れ、かつ、平滑性に優れたパテ層を得ることができる。また、厚盛りした際にパテ層のタレが発生しにくく、厚盛性に優れる。
本発明のパテ組成物を用いた補修塗装方法によれば、平滑性のあるパテ層を得ることができ、また、ペーパー研磨時における抵抗感が従来のものに比べて低減し、研磨性と塗装作業性に優れるパテ層を得ることができる。また、耐水性等の塗膜物性が向上したパテ層を得ることができる。
<パテ組成物>
本発明のパテ組成物は、不飽和ポリエステル樹脂(A)、重合性不飽和化合物(B)及び体質顔料(C)を含有し、かつ、スチレンを実質的に含まない自動車補修用パテ組成物であって、体質顔料(C)の成分の少なくとも1種に、中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μmかつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)を含有し、かつ、体質顔料(C)の顔料容積濃度(PVC)が、5〜70%の範囲内であることを特徴とする。
体質顔料の顔料容積濃度(以下PVCと略すことがある)は厚盛性とヘラ付け性のバランスの観点から、体質顔料容積濃度は、好ましくは15〜60%、さらに好ましくは25〜50%の範囲内にある。
ここで「顔料容積濃度/Pigment Volume Concentration;PVC」は、乾燥塗膜中に含まれる顔料の容積百分率であり、具体的にはパテ組成物中の不揮発分全体(合計固形分)に占める顔料分の体積割合である。より具体的には、各成分の質量を比重(または真比重)で除した値を用いて算出される。
体質顔料(C)のPVCが、5%未満では、パテ組成物を厚く盛ることができず、ヘラ付け性及び特にキワ部の仕上り性が劣り、一方70%を超えるとヘラ付け性、仕上り性が悪いだけでなく、乾燥経時で塗膜が割れやすくなり、耐水性が劣る。又次工程の補修用塗料組成物を塗装しても良好な仕上り性が得られないことがある。
ここで、本明細書において、「実質的に含まない」なる用語の意味は、特定化学物質障害予防規則での規制対象となり得るスチレンをパテ組成物中に実質的に含まないことを指し、具体的には、含有量が1.0質量%未満、好ましくは0.5質量%未満であることをいう。
不飽和ポリエステル樹脂(A)
不飽和ポリエステル樹脂(A)としては、多塩基酸を含む酸成分(a1)とアルコール成分(a2)をエステル化反応することにより得られる従来公知のポリエステル樹脂が制限なく使用できる。
酸成分(a1)
前記酸成分(a1)は、少なくとも1種の多塩基酸を含む。
多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸の不飽和多塩基酸;フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステルなどの飽和多塩基酸;等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上併用できる。
中でも、硬化性の点から、多塩基酸として不飽和多塩基酸を含有することが望ましい。
また、表面乾燥性をより向上できる点から、不飽和多塩基酸として、環状脂肪族不飽和多塩基酸を含有することが望ましい。かかる環状脂肪族不飽和多塩基酸としては、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、特にメチルテトラヒドロ無水フタル酸が好適である。さらに特に、前記メチルテトラヒドロ無水フタル酸が、3−メチル−△4−テトラヒドロ無水フタル酸(別名、前記△(デルタ)は二重結合を示す記号であり、右肩の数が該二重結合の位置番号を示す。)の4つの立体異性体の中の1つであるシス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス,シス−1,2−ジカルボン酸無水物(以下、β−PMAAと略記することがある)の純度が、3−メチル−△4−テトラヒドロ無水フタル酸の総量に対して、50%を超える、さらに80%を超え、特に85%を超えるものを用いることが好ましい。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂(A)は、硬化性と乾燥性の点から前記環状脂肪族不飽和多塩基酸単位を樹脂骨格中に有することが好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(A)中の前記環状脂肪族不飽和多塩基酸から誘導される単位の含有率は、全構造単位の合計モル数に基づいて1〜40モル%、好ましくは5〜35モル%含有することが望ましい。
特に不飽和ポリエステル樹脂(A)の全多塩基酸中、β−PMAAの含有率は、表面乾燥性の点から、1〜80モル%、さらに5〜60モル%、さらに特に10〜50モル%の範囲内が好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(A)の全多塩基酸中、β−PMAA以外のその他の多塩基酸の含有率は、ラジカル重合性の点から、20〜99モル%、さらに40〜95モル%、さらに特に50〜90モル%の範囲内が好適である。
上記その他の多塩基酸のうち、不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸との含有比率は、表面乾燥性と耐水性の点から、不飽和多塩基酸/飽和多塩基酸=100/0〜50/50、好ましくは100/0の範囲内が好適である。
また、酸成分(a1)として、上記多塩基酸以外の酸化合物(例えば、単官能の脂肪酸など)を使用することもできる。
アルコール成分(a2)
前記アルコール成分としては、分子内に水酸基を1つ以上有する化合物であり、具体的には、分子内に水酸基を2個以上有する多価アルコール、アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物等があげられる。
水酸基を2個以上有する多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ビスフェノール類又はビスフェノール類とアルキレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4´−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併用して使用できる。
また、表面乾燥性を更に向上できる点から、アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物を含有してもよい。
該アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物としては、例えばエチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
酸化硬化が進行するアリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物を用いることにより、表面乾燥性並びに耐水性等の塗膜物性を向上させることができる。
特に、表面乾燥性及び耐水性向上の点から、1分子中にアリルエーテル基を2個有するヒドロキシ化合物を使用することが好ましい。
前記不飽和ポリエステル樹脂(A)のうち、多価アルコール中のアリルエーテル単位の含有率は、全構造単位の合計モル数に基づいて5〜50モル%、好ましくは7〜40モル%含有することが望ましい。
また、不飽和ポリエステル樹脂(A)は、ビスフェノール類から誘導される単位を含有していても良い。かかるビスフェノール類の導入方法としては、多価アルコールとして、ビスフェノール類又は該ビスフェノール類とアルキレンオキシドの付加物を使用する方法を挙げることができる。ビスフェノール類としてはビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFが挙げられ、アルキレンオキシドとしてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。中でもビスフェノールAとプロピレンオキシドとの付加反応物が好適である。上記ビスフェノール類から誘導される単位の含有率としては全構造単位の合計モル数に基づいて0.5〜10モル%、好ましくは1〜8モル%含有することが望ましい。
上記不飽和ポリエステル樹脂(A)は、定法によって製造することができ、例えば、前記酸成分とアルコール成分とを窒素雰囲気下で縮合反応させることにより得られる。縮合反応時の加熱温度は、140〜250℃、好ましくは160〜200℃の範囲内であることがゲル化防止の点から望ましい。
不飽和ポリエステル樹脂の製造において、重縮合触媒、重金属酸化物及び重合禁止剤を使用してもよい。
重縮合触媒として、強プロトン酸、重金属酸化物等を使用することができる。強プロトン酸としては、例えば、硫酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられる。また、重金属酸化物としては、例えばテトラブチルチタネート、モノブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、二酸化マンガン等が挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、トリハイドロベンゼン、メチルハイドロキノン、1,4−ナフトキノン、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等を挙げることができる。
得られた不飽和ポリエステル樹脂に、さらに、酸成分で変性しても良い。変性に使用する際の酸成分としては、前記酸成分(a1)の項で挙げたものを好適に使用することができ、特に環状酸無水物が特に好ましい。環状カルボン酸無水構造とは、1分子内にカルボキシル基を2つ以上有する化合物を、分子内脱水縮合させて環状となる構造のことである。特に好ましい環状酸無水物として具体的には、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ブロモマレイン酸、無水フタル酸、無水クロロマレイン酸、無水マロン酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水スベリン酸、無水アゼライン酸などが挙げられ、貯蔵安定性、耐水付着性及びコスト等の点から無水コハク酸及び無水フタル酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
酸成分として、環状酸無水物を用いると、酸無水物の開環反応(以後ハーフエステル化反応と称することがある)により、不飽和ポリエステル樹脂(A)のポリエステルのポリマー鎖の側鎖又は末端にカルボキシル基を安定的に導入することができ、基材との付着性、特に耐水付着性が向上するため好ましい。
上記不飽和ポリエステル樹脂(A)は、酸基を有するものであることが好ましく、酸価としては、5〜50mgKOH/g、さらに10〜40mgKOH/gの範囲内であることが、耐水性の向上の観点から好適である。
また、不飽和ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000、さらに2,000〜50,000の範囲内が好適である。
本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、ポリスチレン換算した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置としては「HLC8120GPC」(東ソー社製、商品名)が使用でき、これに用いるカラムとしては、「TSKgelG−4000H×L」、「TSKgelG−3000H×L」、「TSKgelG−2500H×L」、「TSKgelG−2000H×L」(いずれも東ソー社製、商品名)の4本を使用することができる。ここでは、移動相としてテトラヒドロフランを用い、測定温度40℃、流速1cc/分とし、検出器としてRI屈折計を用いた。
重合性不飽和化合物(B)
重合性不飽和化合物(B)としては、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)以外の重合性不飽和基を分子内に1つ以上有する化合物であり、単官能重合性不飽和化合物と多官能重合性不飽和化合物が挙げられる。
上記重合性不飽和基としては、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。
例えば、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)プロパン、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどの1価又は多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のジシクロペンテニル基含有重合性モノマー、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂肪族脂環式(メタ)アクリレート、;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、酢酸ビニル等;エチレングリコールジマレエート、プロピレングリコールジイタコネートなど;4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などの4−(メタ)アクリロイルオキシル基含有芳香族ポリカルボン酸及びその酸無水物;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル化合物;(メタ)アクリル酸とビスフェノールAのグリシジルエーテルとの付加反応生成物等のエポキシ(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリジメチルシリコンジ(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートまたはメタクリレート」、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」、(メタ)アクリロイルは、「アクリロイルとメタクリロイル」を意味する。
重合性不飽和化合物(B)としては、特に、塗膜硬度及び耐水性の点から環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)を含有することが好適である。
環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)は、環状構造及び重合性不飽和基の両方を同一分子内に有する化合物である。
環状構造を有する重合性不飽和化合物としては、環状構造を有する多官能重合性不飽和化合物及び芳香族ビニル化合物や脂肪族脂環式(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
環状構造を有する多官能重合性不飽和化合物としては、例えば、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、また、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、水素化ヘキサフルオロビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシ)ヘキサヒドロフタル酸などの脂環構造を有する二官能(メタ)アクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジ(メタ)アクリレート、1,4−ジ(メタ)アクリロイルピペラジン、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシアルキル)イソシアヌレートなどの複素環構造を有する多官能(メタ)アクリレート、ビスフェノール骨格、ナフタレン骨格又はビフェニル骨格を有するジエポキシ化合物若しくはジオール化合物から誘導される芳香環を有する二官能(メタ)アクリレート、さらにはこれら多官能(メタ)アクリレートのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、カプロラクトンなどの変性物が挙げられる。
なかでも、塗膜硬度、耐水性及び表面乾燥性の点から、下記一般式(I)で表されるビスフェノール型(メタ)アクリレート化合物
Figure 2020094094
(式中、Rはそれぞれ同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、RおよびRはそれぞれ同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R及びRはそれぞれ同一又は異なってハロゲンで置換されていても良い炭素数1〜4の有機基を示し、n及びmはそれぞれ同一又は異なって1〜10の平均値を示し、かつ、nとmの平均値の和が2〜15の範囲内である。)が好適である。
は水素原子又はメチル基を示し、塗膜硬度の点から、好ましくはメチル基である。
およびRはそれぞれ同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、好ましくはメチル基である。
およびRのハロゲンに置換されていても良い炭素数1〜4の有機基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
n及びmはそれぞれ同一又は異なって1〜10の平均値を示し、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)との相溶性と耐水性のバランスの観点から、nとmの平均値の和が2〜15モル、さらに2.1〜11.0モル、さらに特に2.2〜5.0モルとなる範囲内が好適である。
環状構造を有する多官能重合性不飽和化合物の1種として用いることができる環状構造を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、市販品を用いることができ、例えば、NKエステル A−B1206PE、同ABE−300、同A−BPE−4、同A−BPE−6、同A−BPE−10、同A−BPE−20、同A−BPE−30、同A−9300、同A−9300−1CL、同A−BPP−3、同A−DCP、同BPE−80N、同BPE−100、同BPE−200、同BPE−500、同BPE−900、同BPE−1300N、同DCP、以上、新中村化学工業社製)、ファンクリルFA−324A、同FA−312A、同FA−731A、同FA−320M、同FA−321M(以上、日立化成社製)、KAYARAD(登録商標)R−712、同R−551、同R−684(以上、日本化薬社製)、アロニックスM−211B(A−BPE4)、M−315(以上、東亞合成社製)等を挙げることができる。
本発明に使用されるパテ組成物に含有する重合不飽和化合物(B)として、環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)を含有させた場合、パテ組成物のヘラ付け性及び仕上がり性を向上させ、かつ、パテ組成物を塗布した後の塗膜硬度、耐水性及び表面乾燥性の全てに優れるパテ層をえることができる。これは、環状構造を有する化合物が、比較的剛直かつ疎水な骨格であることから、パテ組成物が硬化した際の塗膜を強靭にして、塗膜物性(特に塗膜硬度)を向上させるものと考えられる。また、自動車補修用パテ組成物に最適な粘度範囲への調整が可能となり、かつ、特定の体質顔料との組合せの相乗効果により、特にヘラ付け性及び仕上り性を向上させることができる。
また、他の成分、特に前記不飽和ポリエステル樹脂と重合することができることから、表面乾燥性を損なうことなく塗膜全体の架橋密度を向上させ、塗膜が緻密になることから、塗膜硬度および耐水性を向上させることができる。
上記重合性不飽和化合物(B)の含有量としては、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量を基準として10〜70質量%、好ましくは25〜55質量%の範囲内が適している。
重合性不飽和化合物(B)のうち、その成分の一部として、環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)を含有する場合、その含有量は、表面乾燥性と基材に対する耐水付着性を両立させることができる点から、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量を基準として4〜50質量%、さらに7〜38質量%の範囲内が好ましい。
また、環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)以外の重合性不飽和化合物を併用することができる。
上記環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)以外の重合性不飽和化合物は、塗布時には組成物の粘度を低くし、塗布作業性を向上させつつ、かつ、膜形成成分ともなりうる反応性希釈剤として作用するものである。
上記環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)以外の重合性不飽和化合物を併用する場合としては、特に限定されないが、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)のうち、単官能重合性不飽和化合物と多官能重合性不飽和化合物とを併用する場合、その併用比率は、塗膜硬度及び表面乾燥性並びに基材に対する耐水付着性を両立させることができる点から、単官能重合性不飽和化合物/多官能重合性不飽和化合物の質量比で95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90の範囲内が好適である。
重合性不飽和化合物(B)のうち、ヒドロキシエチルメタクリレート及び/又はヒドロキシプロピルメタクリレートを含有する場合、その含有量は、表面乾燥性と基材に対する耐水付着性を両立させることができる点から、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量を基準として15〜50質量%、さらに20〜40質量%が好ましい。
重合性不飽和化合物(B)のうち、環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)とその他の重合性不飽和化合物とを併用する場合その含有比率は、成分(b1)/その他の重合性不飽和化合物の質量比で95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90の範囲内が好適である。
体質顔料(C)
本発明のパテ組成物は、体質顔料(C)として中空粒子(c1)と平均粒子径2〜25μmかつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)を含有することを特徴とする。
体質顔料とは、塗料分野で一般的に用いられる体質顔料のことで、無機物または有機物の顔料及び/又は粒子等であり、ほとんど着色しない、屈折率の低い顔料を指す。その果たす役割としては、一般的には塗料の補強、増量効果、塗装作業性の改良、被塗物の目止め等の特性付与が目的である。
本発明の自動車補修用パテ組成物は、中空粒子(c1)と特定の体質顔料(c2)を特定PVCの範囲内で併用することによって、鋼板に直接厚塗りが出来る鈑金パテや鈑金パテ層の凹みや巣穴を埋めるための中間パテ、仕上がり重視のポリパテ等、幅広く調整可能で、厚く塗装することができるにもかかわらず、薄膜部の仕上り性及びペーパー磨耗性及び耐水性に優れるパテ層を形成できる。
中空粒子(c1)
本発明で使用される中空粒子(c1)は、パテ組成物の比重の低減、かつ、塗装作業性向上の観点から配合されるものである。中空粒子(バルーンと呼ばれることもある)としては特に限定されず、例えば、発泡ポリスチレン粒子、発泡ポリエチレン粒子、発泡ポリプロピレン粒子、発泡ポリウレタンなどの樹脂発泡体粒子;パーライト、火山れき、バーミキュライト焼成物などの無機発泡体粒子;アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、アクリル−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリル−スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合樹脂、アクリル−アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合樹脂等の樹脂系中空粒子;シリカバルーン、シラスバルーン等のガラスバルーン、アルミナシリカバルーン等のセラミックバルーン等の無機バルーン;前記樹脂系中空粒子の表面をシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機材料で装飾した有機無機複合バルーン等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、パテ組成物への混合作業性、相溶性の観点から、樹脂系中空粒子、特に、無機顔料で表面がコーティングされた樹脂系中空粒子(有機無機複合バルーンとも呼ぶ場合がある)が好ましい。
上記中空粒子(c1)の平均粒子径としては、特に制限されないが、好ましくは0.1〜150μm、さらに好ましくは1〜70μmであり、特に好ましくは5〜50μmである。中空粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡の拡大画像(約千倍〜1万倍)から無作為に選定した20個程度の微粒子を平均した数値から求めることもできる。
前記中空粒子(c1)の真比重は、パテ組成物中への均一な分散性及び研磨性、付着性の観点から、0.01〜0.95、好ましくは0.02〜0.50の範囲内にあるものが適している。より好ましくは0.05〜0.4であり、特に好ましくは0.1〜0.3である。なお、中空粒子の真比重は、例えば、気体置換型ピクノメーター法(定容積膨張法)により、島津製作所製乾式自動密度計アキュピック1330(商品名)等を使用し、測定することが可能である。また、真比重とは、一般的に、間隙部分(中空部分)を無視し、中空粒子等を微粉砕して求めた比重である。
前記中空粒子(c1)は市販品でもよく、マツモトマイクロスフェアーMFL−SEVEN(平均粒子径20〜40μm、真比重0.14、炭酸カルシウム粉体被覆アクリロニトリル樹脂)、MFL−81GTA(平均粒子径10〜30μm、真比重0.23、タルク粉体被覆アクリロニトリル樹脂)、MFL−81GCA(平均粒子径10〜30μm、真比重0.23、炭酸カルシウム粉体被覆アクリロニトリル樹脂)、MFL−HD30CA(平均粒子径20〜40μm、真比重0.14、炭酸カルシウム粉体被覆アクリロニトリル樹脂)、MFL−HD60CA(平均粒子径50〜70μm、真比重0.12、炭酸カルシウム粉体被覆アクリロニトリル樹脂)、MFL−100MCA(平均粒子径60〜70μm、真比重0.12、炭酸カルシウム粉体被覆アクリロニトリル樹脂)等が挙げられる(以上、松本油脂製薬株式会社製、商品名、「マツモトマイクロスフェアー」は登録商標)などが挙げられる。
平均粒子径2〜25μmかつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)
本願発明のパテ組成物は、平均粒子径2〜25μmかつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)を含有する。前記体質顔料(c2)としては、平均粒子径が2〜25μ、かつ、モース硬度が1〜3の範囲内であれば良く、鉱物(天然無機質材料)又は化合物(沈降性金属化合物等の合成無機質材料)であっても良い。モース硬度とは、標準物質に対しての傷の付き方を元に硬度を数値化するものである。モース硬度は、柔らかいものから順に1から10までの標準物質が指定されており、具体的な標準物質としては、モース硬度1がタルク、2が石こう、3が方解石、4が蛍石、5が燐灰石、6が正長石、7が石英、8がトパーズ、9がコランダム、および10がダイヤモンドである。モース硬度はモース硬度計を用いて常法により測定できる。
特に好ましい体質顔料(c2)としては、(〔 〕内の数値はモース硬度を示す)タルク:含水ケイ酸マグネシウム〔1〕、カオリンクレー:カオリナイト〔1.5〕、石膏:硫酸カルシウムを主成分とする鉱物〔2〕、マイカ:雲母〔2.5〕、炭酸カルシウム:カルサイト〔3〕、ブルース石:水酸化マグネシウム〔2.5〕、ボーキサイト:水酸化アルミニウム〔2.5〕などの鉱物や、合成炭酸カルシウム〔3〕、が挙げられる。これらの体質顔料(c2)を原材料として機械的に粉砕、分級して得られるものや、粉砕、分級した鉱物を脂肪酸、ロジン酸塩や各種の表面処理剤により表面処理(被覆処理)されたものであって良い。なお、熱伝導率が10W/m・K以上のフィラーは後述する前述の(c1)及び(c2)以外の体質顔料の項に上げる熱伝導性フィラーに分類される。
上記体質顔料(c2)のなかでも、ペーパー磨耗性などの研磨性の点から、特に鉱物が好ましい。
さらに特に、ヘラ付け性、研磨性等の作業性及びコストの観点から、タルク、炭酸カルシウム及びカオリンクレーから選ばれる少なくとも1種が好ましく、タルクと炭酸カルシウムの組合せ、さらにタルクが最も好ましい。これらは全て、平均粒子径2〜25μmの範囲内に調整されたものを使用し、かつ前記体質顔料(C)の顔料容積濃度(PVC)の要件を満たす。
また、前記体質顔料(c2)の平均粒子径は、2〜25μの範囲内、さらに好ましくは3〜22μm、さらに好ましくは4〜19μmである。平均粒子径が2μmより小さいとパテ組成物中への均一な分散が難しく、また、粘度が高くなりすぎたてヘラ付け性が悪化したり、粘度コントロールがしにくく厚盛りがしにくくなったりするおそれがあり、また25μmより大きいと、パテ組成物を塗装した際の、薄膜部の仕上り性が低下するだけでなく、耐水性が悪化する恐れがある。
前記体質顔料(C)は、前述の(c1)及び(c2)以外の体質顔料として、例えば、(〔 〕内の数値はモース硬度を示す)、硫酸バリウム〔3.5〕、シリカ〔9〕、石英〔8〕、ガラス〔7〕、酸化亜鉛〔4.5〕、スピネル〔8〕、第二リン酸カルシウム無水物〔3.5〕、第三リン酸カルシウム〔5〕等のリン酸カルシウム、チタン酸カリウム〔4〕などの合成無機質などの粉末状、繊維状もしくは粒状の無機質材料平均粒子径が25μmを超えるタルク、熱伝導性フィラーなどが挙げられる。
中でも、中空粒子(c1)及び体質顔料(c2)以外の体質顔料として、熱伝導性フィラーを含有することが好ましい。ここで、本明細書中において、熱伝導性フィラーとは、高い熱伝導率を有するフィラーをいい、例えば、25℃における熱伝導率が10W/m・K以上のフィラーをいい、好ましくは15W/m・K以上のフィラーをいう。なお、熱伝導性フィラーの25℃における熱伝導率の上限値は限定されないものの、通常、300W/m・K以下である。
特に、熱伝導性フィラーとしては、研磨性及び乾燥性の点から、窒化ホウ素〔モース硬度2、熱伝導率30〜50W/m・K〕、窒化アルミ〔モース硬度7、熱伝導率150〜250W/m・K〕、酸化アルミニウム〔アルミナ;モース硬度9、熱伝導率20〜35W/m・K〕、酸化マグネシウム〔マグネシア;モース硬度6、熱伝導率45〜60W/m・K〕及び炭酸マグネシウム及びその無水物〔無水炭酸マグネシウム;モース硬度3.5、熱伝導率15W/m・K〕又はこれらと炭化ケイ素との混合物から選ばれる少なくとも1種の熱伝導性の高い体質顔料を含むことが好ましく、特にコストや耐水性及び研磨性の点から酸化アルミニウム、無水炭酸マグネシウムが好ましく、さらに無水炭酸マグネシウムが好ましい。熱伝導性フィラーとしては、天然無機質材料又は合成無機質材料でもあっても良く、伝導性フィラーを高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アマイド、高級アルコール、硬化油、シランカップリング剤、アルコール燐酸エステル等の表面処理剤により表面処理(被覆処理)されたものであって良い。
本発明のパテ組成物中における体質顔料(C)の含有量は、前記体質顔料(C)の顔料容積濃度(PVC)が5〜70%の範囲内である。目安としては、体質顔料の比重に応じて変動するが、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量100質量部に対して0.5〜300質量部、さらに70〜250質量部の範囲内が好適である。
本発明においては、中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μm以下かつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)の併用比率は、乾燥性と厚盛性、タレ性、研磨作業性、ヘラ付け作業性のバランスの点から、顔料容積濃度比で成分(c1)/成分(c2)=20/80〜80/20の範囲内、特に30/70〜70/30の範囲内となるよう調整されることが好ましい。
また、特に、ペーパー研磨性、及び付着性の点から体質顔料(C)の全質量に対して、中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μm以下かつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)合計質量が、70質量%以上、特に80〜100質量%の範囲内、さらに、82〜95質量%が好ましい。パテ組成物中の成分(c1)及び成分(c2)の合計質量としては、パテ組成物の合計質量に対して、10質量%以上、好ましくは30〜55質量%が好ましい。
さらに特に、体質顔料(C)中の中空粒子(c1)の顔料容積濃度は、3〜55%の範囲内、さらに4〜50%の範囲内、特に9〜30%の範囲内が好ましい。
前記体質顔料のうち中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μm以下かつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)の合計顔料容積濃度は、5%〜70%の範囲内、さらに25〜60%の範囲内、特に30〜50%の範囲内が好ましい。
その他
本発明のパテ組成物には、さらに必要に応じて、例えば、硬化促進剤(4−ジメチルアミノ安息香酸、3−ジメチルアミノ安息香等のジメチルアミノ基含有安息香酸等などの芳香族アミン化合物や、オクチル酸コバルトなどの金属ドライヤー、脂肪族アミン、3級アミン類、4級アンモニウム塩などのアミン化合物など)や重合禁止剤、着色顔料(有機顔料やチタン白、酸化鉄等の無機顔料、好ましくは無機顔料)、防錆顔料(リン酸化合物、モリブデン化合物などの無機系防錆顔料や、ケトカルボン酸系などの有機防錆剤)、有機溶剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、低収縮剤、酸化防止剤、皮張り防止剤、可塑剤、骨材、難燃剤、安定剤、強化材、減粘剤等の粘度調節剤、顔料分散剤、改質用樹脂、チキソ剤、チキソ助剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、パラフィン等の空気遮断剤、アルデヒド捕捉剤、脱水剤(オルソ蟻酸トリメチル、イソシアネート化合物などの有機系脱水剤やモレキュラーシーブなどの無機系脱水剤)等を配合することが可能である。
本発明に用いるパテ組成物は、主剤成分及び硬化剤成分からなる2成分系であっても良い。この場合、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)及び体質顔料(C)を必須として、必要に応じて脱水剤、多価金属化合物、硬化促進剤、着色顔料及び重合禁止剤を含有する場合にはそれらを含む成分を主剤成分とし、有機過酸化物を含む成分を硬化剤成分とする多成分系であることができる。
上記有機過酸化物としては、具体的には、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の従来公知のものを使用することができ、これらは1種で又は2種以上を用いてもよい。
上記有機過酸化物の含有量は、特に制限されるものではなく、塗装環境や塗膜物性に応じて適宜調整可能であるが、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量100質量部に対して、0.1〜6質量部の範囲内が好適である。
以上の通り得られるパテ組成物はスチレンを含まなくても表面乾燥性、内部硬化性に優れたパテ層が得られ、ノンスチレン型として供することができる。
以上述べた主剤の粘度は、パテ組成物の使用目的に応じて適宜調整できるが、厚塗り性、ヘラ付け性、表面仕上がり性の点から一般に、100〜1,500Pa・sec、好ましくは200〜1,300Pa・secの範囲内にあることが適している。
本明細書において上記パテ組成物の粘度は、B型粘度計「VISCOMETERTV−22」(商品名、東機産業社製)にて試料の温度を25℃に調整し、No.7ロータ、回転速度2rpmで測定したものである。
また、パテ組成物の比重は、0.5〜1.7の範囲内が好ましく、特にヘラ付け性、仕上り性及び研磨性の観点から、1.0〜1.6の範囲内が好ましい。
パテ組成物の比重〔g/l〕の測定:JIS K−5400 4.6.2による比重カップ法によって測定することができる。
<補修塗装方法>
本発明のパテ組成物が適用される基材面としては、特に制限なく、鉄、亜鉛、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属素材やその化学処理面、各種プラスチック素材など、またこれらに塗装された塗装体などが挙げられる。
本発明のパテ組成物は、自動車等の車両等の塗装体の補修塗装に特に有用である。
補修塗装方法としては、塗装体の損傷部に、本発明のパテ組成物を充填する工程(1)、充填されたパテ組成物を乾燥する工程(2)、乾燥して形成したパテ層を研磨する工程(3)、研磨されたパテ層上に補修用塗料組成物を塗装する工程(4)、を順次行う方法を好適に使用できる。
工程(1)において、塗装体の損傷部にパテ組成物を充填する方法としては、例えばヘラ等を用いることができる。
工程(1)のパテ組成物を充填する前に、前記塗装体の損傷部を中心にその周辺までを予めサンディング等により旧塗膜やゴミ物等の不要物の除去等の素地調整を行っても良い。
工程(2)において、乾燥する方法としては、例えば、常温乾燥または強制乾燥が挙げられ、本乾燥工程によりパテ組成物内部まで硬化することができる。常温乾燥の場合は、具体的には、常温で5時間以上静置するか、強制乾燥の場合は、40℃〜120℃で5〜60分間加熱することができる。前記強制乾燥の場合、仕上り性の点から、加熱硬化前に予め2〜30分間常温でセッティング(静置)することができる。
工程(3)において、研磨する方法としては、例えば、耐水ペーパーやサンドペーパー等の研磨用ペーパーを用いることができる。研磨用ペーパーとしては荒目の#200未満でゴミ・ブツ等をとり、その後より目の細かいペーパーを併用しても良い。前記研磨用ペーパー等を用いて平滑に研磨することが仕上り性の点で好ましい。
かくして上述のようにパテ層を形成した後、該パテ層上の研磨面に、さらに補修用塗料組成物を塗装することができる。
本発明のパテ組成物はヘラ付け性に優れ、該組成物から得られるパテ層は、補修下地層としてペーパー研磨時における抵抗感が従来のものに比べて格段に低減し、研磨性が良好で塗面をより少ない回数の研磨で平滑にかつ所望の形状に調整することができる。また、得られるパテ層は耐水性、損傷部や次工程の補修用塗料等に対する付着性などにも優れているため、プライマーサーフェーサーなどの下塗塗料及び/又は着色ベース塗料や上塗り塗料等の補修用塗料組成物としては従来公知の水系及び有機溶剤系のものを制限なく使用することができる。
補修用塗料組成物としては、特に制限されず、例えば、水酸基などの架橋性官能基を含有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂やフッ素樹脂等を主剤とし、ブロックポリイソシアネート、ポリイソシアネートやメラミン樹脂或いはエポキシ樹脂などを硬化剤として含有する硬化型塗料、あるいはセルロースアセテートブチレート変性のアクリル樹脂を主成分とするラッカー塗料などが好適に使用でき、さらに必要に応じて顔料類、繊維素誘導体類、添加樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、硬化触媒などの塗料用添加剤を含有したものを用いることができる。補修用塗料組成物の形態としては、有機溶剤系、水系、粉体等のいずれの下塗り塗料、着色ベース塗料及びトップクリヤー塗料等公知のものを特に制限なく適宜組合せて使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明する。ここで、『部』および『%』はそれぞれ『質量部』および『質量%』を意味する。
<不飽和ポリエステル樹脂の製造>
(製造例1)
攪拌機、窒素ガス導入管、水分離器、温度計及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、ジエチレングリコール(分子量106.12)4.74mol、トリメチロールプロパンジアリルエーテル(分子量214.31)0.63mol、フマル酸(分子量116.07)3.15mol、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス,シス−1,2−ジカルボン酸無水物(β−PMAA;分子量116.17)1.93molを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら加熱を開始した。内温190℃にて脱水縮合反応を行い、酸価が26mgKOH/gになったところでメチルハイドロキノン0.33gを添加し、不飽和ポリエステル樹脂No.1を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂No.1のβ−PMAA含有率は30モル%、重量平均分子量は7,000であった。
(製造例2)
攪拌機、窒素ガス導入管、水分離器、温度計及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、無水フタル酸(分子量148.10) 1.35mol、フマル酸(分子量116.07) 3.15mol、ジエチレングリコール 4.75mol及びトリメチロールプロパンジアリルエーテル 0.63molを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら加熱を開始した。内温190℃にて脱水縮合反応を行い、酸価が20mgKOH/gになったところで、ハーフエステル化用の無水フタル酸(環状酸無水物、飽和多塩基酸) 0.25mol(全酸成分中5モル%)を追加投入し、内温130℃にて無水物のハーフエステル化反応を行い、メチルハイドロキノン0.33gを添加し、酸価30mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂No.2を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂No.2の環状酸無水物の割合は、全酸成分の合計モル数に対して34モル%、重量平均分子量は7,000であった。
<パテ組成物の製造>
(実施例1)
上記製造例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂No.1樹脂固形分55部に、重合性不飽和化合物として2−ヒドロキシエチルメタクリレート30部及びNKエステルBPE−80N(商品名、新中村化学工業社製、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート〔平均エトキシ化モル数2.3モル〕の化合物)5部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート10部を加え、さらにモレキュラーシーブ5部、3−ジメチルアミノ安息香酸0.2部、オクチル酸コバルト1部、ハイドロキノン0.1部、酸化チタン5部、体質顔料として、中空粒子No.1を3部、タルクNo.1を35部、タルクNo.2を35部、炭酸カルシウムを20部及び無水炭酸マグネシウムを10部(体質顔料の合計質量103部)配合攪拌し、高速混練機で20分間混合分散して、主剤成分を得た。主剤成分に対し、シクロヘキサノンパーオキサイド30部及びエステル系有機溶剤70部含む硬化剤成分を2質量%添加し手攪拌で均一に混合しパテ組成物(P−1)を得た。
(実施例2〜19、比較例1〜8)
実施例1と同様に、表1に示す配合組成となるように各成分を夫々配合攪拌し、高速混練機で20分間混合分散して、各主剤成分を得た。各主剤成分に対して、シクロヘキサノンパーオキサイド30部及びエステル系有機溶剤70部含む硬化剤成分を2質量%、各々添加し手攪拌で均一に混合しパテ組成物(P−2)〜(P−27)を得た。各パテ組成物のポットライフは従来と同等レベルで特に問題なく使用できるレベルであった。
Figure 2020094094
表中の*は下記を示す。
*1)中空粒子No.1:炭酸カルシウム粉体被覆アクリロニトリル樹脂粒子、平均粒子径30μm、真比重0.14g/cm
*2)タルクNo.1:平均粒子径5μm、モース硬度1、真比重2.80g/cm
*3)タルクNo.2、平均粒子径14μm、モース硬度1、真比重2.77g/cm
*4)タルクNo.3、平均粒子径20μm、モース硬度1、真比重2.80g/cm
*5)炭酸カルシウム:平均粒子径13μm、モース硬度3、真比重2.70g/cm
*6)無水炭酸マグネシウム:導電性フィラー、熱伝導率15W/m・K、平均粒子径1.2μm、モース硬度3.5、真比重2.96g/cm
*7)酸化マグネシウム:導電性フィラー、熱伝導率55W/m・K、平均粒子径3.5μm、モース硬度6、真比重3.65g/cm
*8)微粉末シリカ:粉末状シリカ、平均粒子径5.2μm、モース硬度9、真比重2.20g/cm
*9)タルクNo.4:平均粒子径55μm、モース硬度1、真比重2.70g/cm
*10)タルクNo.5:平均粒子径1μm、モース硬度1、真比重2.70g/cm
パテ組成物の比重〔g/l〕の測定:JIS K−5400 4.6.2による比重カップ法によって測定した。得られた結果を表1に示す。
<試験塗板の作製>
(実施例20〜38、比較例9〜16)
上記で得られた各パテ組成物(P−1)〜(P−27)を、基材1面上にヘラで塗布し、ならして2mm厚に塗布した試験塗板を作製し、各種試験に供して評価を行った。キワ(薄膜)部の想定は0−500ミクロン厚で傾斜塗装し試験塗板とし、パテ塗装部・未塗装部の間の薄膜部をキワ部と想定し、下記評価試験に供した。結果を表2に示す。基材としては、下記のものを使用した。
基材1:軟鋼板、「SPCC−SB」(日本テストパネル(株)製、商品名)を用い、この表面を耐水ペーパー#240で軽く研磨し、これを基材面とした。
Figure 2020094094
(評価試験項目)
試験項目1.ヘラ付け性(塗装作業性)
各主剤パテベースと硬化剤を混合し、ヘラを用いて試験片にヘラ付けをする時の伸ばしやすさを調べた。その時のノビ、ヘラ切れ、ヘラサバキを調べた。
◎:ノビ、ヘラ切れ、ヘラサバキのすべてが極めて良好でキワ部(薄膜部)をヘラで極めて形成しやすい
〇:ヘラ切れ、ヘラサバキが極めて良好、ノビはやや劣るが実用レベル
△:ノビ、ヘラ切れ、ヘラサバキのすべてがやや劣る
×:ノビ、ヘラ切れ、ヘラサバキのすべてが劣り、キワ部(薄膜部)をヘラ形成することが困難である。
試験項目2.仕上り性
上記で得られた各パテ組成物を基材1面上にヘラで塗布し、ならして2mm厚に塗布した試験塗板を作成し、仕上がり性を目視と表面粗度の測定により評価した。キワ(薄膜)部の想定は0−500ミクロン厚で傾斜塗装し試験塗板とし、パテ塗装部・未塗装部の間の薄膜部をキワ部と想定し、下記基準にて評価を行った。
〔目視〕
◎:キワ部(薄膜部)が非常になめらかである
〇:キワ部(薄膜部)がなめらかである
△:キワ部(薄膜部)の部分的に粗い
×:キワ部(薄膜部)が全体的に粗くキワ部が形成できていない。
〔表面粗度:測定〕
キワ部(パテ塗装部・未塗装部の間の薄膜部)の表面粗度を、JIS B 0601(表面粗さの定義と表示、1982年)に基づいて、サーフコム301(株式会社 ミツトヨ社製、商品名、表面粗さ測定機)を用いて、パテ膜の表面粗度「中心線平均粗さ(Ra)」を測定した。キワ部は3回測定しその平均値を求め下記の基準で評価した。
◎:Ra値が3以下であり、研磨作業性に影響はなく非常に良好
〇:Ra値が3〜4であり、研磨作業性にほとんど影響はなく、良好
△:Ra値が4〜6であり、研磨作業にやや時間がかかり影響がある
×:Ra値が6以上であり、研磨作業に大幅な時間がかかり、磨きにくい。
試験項目3.厚盛性
垂直面にパテを所定の厚さまで厚く盛った際のタレやすさを評価した。
◎:5mmを超えてもタレずにパテを厚く盛れる
○:1mm以上5mm以下の膜厚までタレずにパテを盛れる
△:0.5mm以上1mm未満の膜厚でタレてしまい、1mm以上パテを厚く盛るのが難しい
×:0.5mm以下の膜厚でタレてしまい、パテを厚く盛るのが難しい。
試験項目4.研磨性
上記各試験塗板の表面を#400耐水ペーパーにて研磨し研磨のし易さを評価した。
◎:極めて研磨しやすい
○:研磨しやすい
△:若干研磨しづらい
×:研磨しづらい。
試験項目5.耐水性
各上塗り塗装板を40℃の水に10日間浸漬した後、水中より取り出し、取り出した塗膜表面のフクレ(ブリスター)の有無を観察し、下記の基準で評価した。
◎:塗膜全面にフクレが無い
○:塗膜の一部に極僅かにフクレが認められるが、実用上問題ないレベル
△:塗膜の一部にフクレが認められる
×:塗膜全面に著しいフクレが認められる。

Claims (9)

  1. 不飽和ポリエステル樹脂(A)、重合性不飽和化合物(B)及び体質顔料(C)を含有する自動車補修用パテ組成物であって、前記体質顔料(C)の成分の少なくとも1種に、中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μmかつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)を含有し、前記体質顔料(C)の顔料容積濃度(PVC)が5〜70%の範囲内であることを特徴とする自動車補修用パテ組成物。
  2. 前記体質顔料(c2)が、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)、炭酸カルシウム、カオリンクレーから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の自動車補修用パテ組成物。
  3. 前記体質顔料(C)のうち、中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μm以下かつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)の併用比率が、顔料容積濃度比で成分(c1)/成分(c2)=20/80〜80/20の範囲内である請求項1又は請求項2に記載の自動車補修用パテ組成物。
  4. 前記体質顔料(C)の全質量に対して、中空粒子(c1)及び平均粒子径2〜25μm以下かつモース硬度が1〜3の体質顔料(c2)合計質量が、70質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物。
  5. 前記体質顔料(C)のうち、中空粒子(c1)及び体質顔料(c2)以外の体質顔料として、熱伝導性フィラーを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物。
  6. 前記成分(B)が、その成分の一部として、環状構造を有する重合性不飽和化合物(b1)を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物。
  7. 前記自動車補修用パテ組成物の比重が0.5〜1.7の範囲内である請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物。
  8. 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物の乾燥塗膜における表面粗度が3以下である自動車補修用パテ組成物。
  9. 塗装体の損傷部に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動車補修用パテ組成物を充填する工程(1)、充填されたパテ組成物を乾燥する工程(2)、乾燥して形成したパテ層を研磨する工程(3)、研磨されたパテ層上に補修用塗料組成物を塗装する工程(4)、を順次行う補修塗装方法。
JP2018231439A 2018-12-11 2018-12-11 自動車補修用パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法 Active JP7215816B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018231439A JP7215816B2 (ja) 2018-12-11 2018-12-11 自動車補修用パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018231439A JP7215816B2 (ja) 2018-12-11 2018-12-11 自動車補修用パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020094094A true JP2020094094A (ja) 2020-06-18
JP7215816B2 JP7215816B2 (ja) 2023-01-31

Family

ID=71085991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018231439A Active JP7215816B2 (ja) 2018-12-11 2018-12-11 自動車補修用パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7215816B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114106617A (zh) * 2021-12-03 2022-03-01 清远市浩宇化工科技有限公司 一种车辆用原子灰及其制备方法和应用

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5028592A (ja) * 1973-07-16 1975-03-24
JPS6291572A (ja) * 1985-10-17 1987-04-27 Nippon Paint Co Ltd 新規なるパテ組成物
US4980414A (en) * 1989-04-06 1990-12-25 Oatey Company Plastic body filler
JP2005023783A (ja) * 2003-06-10 2005-01-27 Kansai Paint Co Ltd 壁の補修方法及び該壁のリフォーム方法
JP2010522261A (ja) * 2007-03-19 2010-07-01 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 中空要素が充填された硬化性本体修復化合物
JP2018048304A (ja) * 2016-07-13 2018-03-29 イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド 金属基材への付着性が改善されたオートボディ修理用の不飽和ポリエステル組成物
JP2018135497A (ja) * 2016-02-29 2018-08-30 関西ペイント株式会社 パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5028592A (ja) * 1973-07-16 1975-03-24
JPS6291572A (ja) * 1985-10-17 1987-04-27 Nippon Paint Co Ltd 新規なるパテ組成物
US4980414A (en) * 1989-04-06 1990-12-25 Oatey Company Plastic body filler
JP2005023783A (ja) * 2003-06-10 2005-01-27 Kansai Paint Co Ltd 壁の補修方法及び該壁のリフォーム方法
JP2010522261A (ja) * 2007-03-19 2010-07-01 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 中空要素が充填された硬化性本体修復化合物
JP2018135497A (ja) * 2016-02-29 2018-08-30 関西ペイント株式会社 パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法
JP2018048304A (ja) * 2016-07-13 2018-03-29 イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド 金属基材への付着性が改善されたオートボディ修理用の不飽和ポリエステル組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114106617A (zh) * 2021-12-03 2022-03-01 清远市浩宇化工科技有限公司 一种车辆用原子灰及其制备方法和应用
CN114106617B (zh) * 2021-12-03 2022-05-10 清远市浩宇化工科技有限公司 一种车辆用原子灰及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP7215816B2 (ja) 2023-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6852765B2 (en) Low gloss free radical powder coatings
AU2006251434B2 (en) Thermosetting powder compositions
JP4657073B2 (ja) 塗料組成物
JP4359575B2 (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いた塗装方法
JP5511675B2 (ja) 複層塗膜形成方法
TW201720878A (zh) 低光澤塗料用輻射硬化性組成物
JP6716274B2 (ja) パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法
JP7215816B2 (ja) 自動車補修用パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法
JP4863464B2 (ja) 虹彩色を発現する積層物の製造方法
JP4936776B2 (ja) 低vocウレタン系樹脂組成物及びその用途
JP2009102548A (ja) アルミホイール用紫外線硬化型粉体塗料組成物及びアルミホイールの塗装方法
JP2005139336A (ja) 2液型塗料組成物、塗装仕上げ方法及び塗装物品
JP2017057297A (ja) 床材用エネルギー線硬化型樹脂組成物、被膜付き床材、被膜付き床材の製造方法および床材の防汚方法
JP2019167525A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂及びこれを用いたパテ組成物及び塗装方法
JP6218981B1 (ja) パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法
JP2020097708A (ja) 水性塗料組成物
JP2012072320A (ja) 硬化型塗料用組成物及びそれを用いたプラスチック成型体の製造方法
JP4272500B2 (ja) 樹脂組成物
JP2008063528A (ja) 塗料組成物
JP4911485B2 (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物
JP2017048280A (ja) パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法
JP2022108455A (ja) 塗料組成物、部材、及び鉄道車両
WO2020189333A1 (ja) 塗料組成物及び塗膜形成方法
JP2010241854A (ja) 塗料組成物及び塗膜形成方法
JPH01156374A (ja) 塗料用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220905

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230118

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7215816

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150