JP2019167525A - 不飽和ポリエステル樹脂及びこれを用いたパテ組成物及び塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】乾燥性に優れ、かつ基材が亜鉛メッキ鋼板であっても極めて優れた付着性を有するパテ層を形成可能な不飽和ポリエステル樹脂及びパテ組成物を提供すること。【解決手段】不飽和ポリエステル樹脂の酸価が10〜60mgKOH/gの範囲内であり、かつ、不飽和ポリエステル樹脂を構成する全酸成分中に、pKa2が5.8以下である環状酸無水物を全酸成分の合計モル数に基づいて、1〜50モル%使用することを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂及びパテ組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、不飽和ポリエステル樹脂及びこれを用いたパテ組成物に関する。
不飽和ポリエステル樹脂は、一般に、他の樹脂に比べて比較的安価であり、また常温でも短時間で硬化するため作業性に優れ、さらに主原料の選択によって種々のすぐれた物理的および化学的特性を有するため、パテ、塗料、FRP成形品、レジンコンクリート、注型品等の各種用途に使われている。
従来のパテ組成物には不飽和ポリエステル樹脂の反応性希釈剤として、硬化性や物性の面からスチレンモノマーが用いられていた。しかしながら近年、スチレンモノマーが特定化学物質障害予防規則での規制対象となり、スチレンを含まないパテ組成物、いわゆるノンスチレン型パテ組成物の開発が必要とされている。
ノンスチレン型パテ組成物(スチレンフリーパテ組成物と呼ぶこともある)として、例えば、特許文献1には、スチレンモノマーに代えてヒドロキシアルキルメタクリレートを反応性希釈剤として用いた不飽和ポリエステル樹脂組成物が用いられたパテ組成物について開示されている。この組成物は、臭気が低く、硬化安定性及び表面乾燥性に優れるものの、基材が亜鉛メッキ鋼板の場合に、付着性特に耐水付着性が著しく不足する場合があった。
また、特許文献2〜3には、反応性希釈剤として特定の重合性不飽和化合物、硬化促進剤として特定の芳香族アミン化合物、防錆剤を含むパテ組成物が開示されている。かかる組成物によれば、表面乾燥性が良好で、上塗り塗装後の仕上がり面が黄変することなく良好な外観を有し、また厚塗りにした際の内部乾燥性にも優れ、基材と上塗り塗膜の双方に対する付着性にも優れたパテ層を形成できるものである。しかしながら、基材が亜鉛メッキ鋼板の場合に付着性が不十分な場合があった。
亜鉛メッキ鋼板は、鋼板の表面に亜鉛メッキを施した鋼板であり、防錆性・防食性に優れる。近年、さらに長期防錆性等の耐久性が必要とされる用途、例えば欧州車や鉄道車両等用の基材などは、亜鉛の塗布量(目付量)の多い溶融亜鉛メッキ鋼板を素材の一部として含む場合がある。亜鉛メッキ鋼板は通常、次に塗装される組成物との付着性と防錆性向上の観点から、基材表層がリン酸等で化成処理されたものが一般的であるが工数削減の観点からリン酸処理がされていないものや、亜鉛メッキ処理鋼板を含む基材にパテ組成物を塗装する際、該基材に研磨等の下地処理をすることがあり、その際前記化成処理層が削られたりする場合も考えられる。この場合、従来の不飽和ポリエステル樹脂を含むパテ組成物で亜鉛メッキ鋼板上にパテ層を形成すると、該亜鉛メッキ鋼板とパテ組成物層との間を基点にハクリ、ブリスター等の付着不良が多発するという問題があった。
特許文献4には、亜鉛メッキへの付着性を改良する目的で、空乾性不飽和ポリエステル樹脂、充填剤、ビニル系単量体を特定割合でなる組成物に、特定量の不飽和カルボン酸を配合することを特徴とする塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物が開示されている。この組成物を用いた場合、亜鉛メッキ鋼板との付着性がわずかながら改善するものの、特に耐水付着性は十分ではなかった。
特開2005−162830号公報 特開2005−206781号公報 特開2006−206863号公報 特公平06−102753号公報
本発明の目的は、スチレンモノマーを含むことなく乾燥性に優れ、かつ基材が亜鉛メッキ鋼板であっても極めて優れた付着性を有するパテ層を形成可能な不飽和ポリエステル樹脂及びパテ組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、不飽和ポリエステル樹脂の多塩基酸成分中に、特定の環状酸無水物を特定量含ませることによって、付着性(特に耐水付着性)に優れるパテ層が得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
項1.pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を含む酸成分(a)と、水酸基含有成分(b)と、を構成単位とする、酸価が10〜60mgKOH/gの範囲内の不飽和ポリエステル樹脂であって、前記不飽和ポリエステル樹脂が、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基及び水酸基を有するポリエステル樹脂であり、
該pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)の使用量が酸成分(a)の合計モル数に基づいて、1〜50モル%の範囲内にあることを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂(A)。
項2.不飽和ポリエステル樹脂(A)が有するカルボキシル基の酸源として、pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を使用する、項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)。
項3.酸成分(a)が、さらにメチルテトラヒドロフタル酸及び/又はその無水物を含む、項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)。
項4.酸成分(a)が、不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸を、モル比で不飽和多塩基酸/飽和多塩基酸比が99/1〜50/50の範囲内で含む、項1乃至3のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)。
項5.前記不飽和ポリエステル樹脂(A)が、カルボキシル基及び水酸基を有するポリエステル中間体(X)に、pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を反応させることにより得られる樹脂である、項1乃至4のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)。
項6.項1乃至5のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)を含むパテ組成物。
項7.前記項1乃至6のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)を含有し、前記重合性不飽和化合物(B)が、その成分の一部として、2級水酸基含有重合性不飽和モノマー(b1)を含有するパテ組成物。
項8.前記成分(b1)を、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して10〜200質量部含有する項7に記載のパテ組成物。
項9.脱水剤(C)を含有する項6乃至8のいずれか1項に記載のパテ組成物。
項10.中空粒子(E)を含有する項6乃至9のいずれか1項に記載のパテ組成物。
項11.基材面に、項6乃至10のいずれか1項に記載のパテ組成物を塗装し、パテ層を形成する塗装方法。
項12.項11に記載の基材面が、新幹線車両、鉄道車両及び自動車車両から選ばれるいずれか1種の基材面である塗装方法。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、特にパテ組成物とした場合に、乾燥性や塗装作業性(ポットライフ)や他の塗膜物性を維持又は損なうことなく、亜鉛メッキ鋼板に対しても付着性が飛躍的に向上し、塗膜耐久性に優れた安定したパテ層を得ることができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂(A)は、特定の酸価を有し、かつ、特定の環状酸無水物を特定量含有するものであり、特にパテ組成物用として好適である。本発明の不飽和ポリエステル樹脂(A)を次に詳しく説明する。
<<不飽和ポリエステル樹脂(A)>>
本発明の不飽和ポリエステル樹脂(A)は、特定の酸成分(a)と、水酸基含有成分(b)と、を構成単位とし、酸成分(a)として、pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を酸成分(a)の合計モル数に基づいて、1〜50モル%使用することを特徴とするものである。
〔pKaが5.8以下の環状酸無水物(a1)〕
本発明において、環状酸無水物とは、分子中に1個以上の環状カルボン酸無水構造を有する化合物である。環状カルボン酸無水構造とは、1分子内にカルボキシル基を2つ以上有する化合物を、分子内脱水縮合させて環状となる構造のことである。酸成分(a)として、環状酸無水物を用いると、酸無水物の開環反応(以後ハーフエステル化反応と称することがある)により、不飽和ポリエステル樹脂(A)のポリエステルのポリマー鎖の側鎖又は末端にカルボキシル基を安定的に導入することができ、基材との付着性、特に耐水付着性が向上するため好ましい。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂(A)に適用されうるpKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)とは、二段階目の酸解離定数をKaとしたとき酸解離指数pKa=−logKaで算出される値であり、pKaが5.8以下の多塩基酸を分子内脱水させて環状カルボン酸無水物構造となり得る化合物のことである。酸解離指数pKa値は、この値が小さいほど、酸性度が強いことを示し、通常、解離段が一段階目のpKaより二段階目のpKaの数値の方が大きい数値となるが、本発明においては、二段階目の酸解離指数pKaが5.8以下であることが重要である。
本発明では、不飽和ポリエステル樹脂(A)を構成する環状酸無水物(a1)としてpKa値が5.8以下のものを用いることによって、基材面、特に亜鉛メッキ鋼板に対する付着性に優れた効果を発揮することができる。pKa値の下限は、特に限定されないが、0を超える数値であることが好ましい。
pKa値は、Brown, H.C. et al., in Braude, E.A. and F.C. Nachod Determination of Organic Structures by Physical Methods, Academic Press, New York, 1955より与えられ、これに記載のないものについては電位差滴定により求めることができる。
前記pKaが5.8以下の環状酸無水物(a1)として具体的には、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ブロモマレイン酸、無水フタル酸、無水クロロマレイン酸、無水マロン酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水スベリン酸、無水アゼライン酸、などが挙げられ、貯蔵安定性、耐水付着性及びコスト等の点から無水コハク酸及び無水フタル酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)の含有量としては、基材面、特に亜鉛メッキ鋼板に対する付着性の点から、酸成分(a)の合計モル数に基づいて、1〜50モル%の範囲内であり、さらに2〜40モル%が好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(A)が有するカルボキシル基の酸源として、前記pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を使用するものが好ましい。
〔酸成分(a)〕
本発明において不飽和ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分(a)としては、分子内に酸基を1つ以上有する化合物であり、多塩基酸、脂肪酸、ロジン酸等の化合物があげられる。
多塩基酸は、具体的には1分子中にカルボン酸などの酸基を2個以上有する化合物のことである。また、本発明では酸無水物も多塩基酸に包含される。
多塩基酸としては、ラジカル重合性不飽和基の有無によって不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸に分類される。
本発明では、酸成分(a)が環状酸無水物(a1)を含むものであり、また、酸成分(a)が不飽和多塩基酸を含有することが適している。酸成分(a)がその成分の一部として不飽和多塩基酸を含むことによって、不飽和ポリエステル樹脂(A)に対してラジカル重合性不飽和基を導入することができ、乾燥性を向上させることができるからである。
〔不飽和多塩基酸(分子内にラジカル重合性不飽和基あり)〕
前記不飽和多塩基酸としては、分子内にラジカル重合性を示す炭素−炭素二重結合を有する官能基と2個以上の酸基を有する化合物であり、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、テトラクロロフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、メチルテトラヒドロフタル酸〔メチルテトラヒドロフタル酸は、メチル基と二重結合の位置で異性体が存在する。例えば、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス,シス−1,2−ジカルボン酸(以下β−PMAAと略すことがある)、トランス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス,シス−1,2−ジカルボン酸、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス,トランス−1,2−ジカルボン酸、トランス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス,トランス−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸(3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸の構造異性体)などが挙げられる〕及びこれらの無水物等が挙げられ、表面乾燥性の点から、メチルテトラヒドロフタル酸及び/又はその無水物、特にβ−PMMA(シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス,シス−1,2−ジカルボン酸及び/又はその無水物)を含むことが好ましい。また、塗膜内部の硬化性の点からは、フマル酸やマレイン酸特にフマル酸を併用することが好ましい。
不飽和多塩基酸成分としてメチルテトラヒドロフタル酸及び/又はその無水物を使用する場合、その使用量としては、酸成分(a)の合計モル数に対して、1〜50モル%、2〜45モル%、さらに3〜40モル%の範囲内が好ましい。
〔飽和多塩基酸(分子内にラジカル重合性不飽和基なし)〕
前記飽和多塩基酸としては、分子内にラジカル重合性を示す炭素−炭素二重結合を有する官能基を有さず2個以上の酸基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、並びにそれらのジアルキルエステル等を挙げることができる。
以上に述べた不飽和多塩基酸又は飽和多塩基酸は1種でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
本発明では、不飽和ポリエステル樹脂(A)を構成する不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸との含有比率は、表面乾燥性と耐水性の点から、モル比で不飽和多塩基酸/飽和多塩基酸が99/1〜50/50、好ましくは96/4〜60/40の範囲内で適宜調整可能である。
〔水酸基含有成分(b)〕
本発明の不飽和ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分(a)の反応相手となる水酸基含有成分(b)としては、分子内に水酸基を1つ以上有する化合物である。具体的には、分子内に水酸基を2個以上有する多価アルコール、アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物等があげられる。
〔多価アルコール〕
多価アルコールとしては、例えば、アルカンポリオール、オキシアルキレンポリオール、ポリオキシアルキレンポリオール、脂環式ポリオール等のポリオールが挙げられる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ビスフェノール化合物、ビスフェノールA等のビスフェノール化合物とプロピレンオキシド及びエチレンオキシド等のアルキレンオキシドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール、ビスヒドロキシエチルテレフタレート等が挙げられ、これらは1種でまたは2種以上を組合せて使用できる。
前記不飽和ポリエステル樹脂(A)は、前記多価アルコールを、酸成分(a)及び水酸基含有成分(b)の合計モル数に基づいて、40〜70モル%、好ましくは45〜60モル%の範囲内で含有することができる。
〔アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物〕
本発明では、表面乾燥性の向上の点から、水酸基含有成分(b)としてラジカル重合性を有するヒドロキシ化合物、特に、アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物を用いることが好ましい。
アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物は、1分子中にアリルエーテル基を少なくとも1つ有する化合物であり、例えば、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等を挙げることができる。
前記不飽和ポリエステル樹脂(A)は、アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物を、酸成分(a)及び水酸基含有成分(b)の合計モル数に基づいて、1〜30モル%、好ましくは3〜20モル%の範囲内で使用することができる。
不飽和ポリエステル樹脂(A)の製造時において、水酸基含有成分として、アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物を使用する場合には、予め多価アルコールと混合しても、後から添加して縮合反応させてもよい。
また、酸成分(a)及び水酸基含有成分(b)として上記以外のその他の酸成分及び水酸基含有成分を必要に応じて使用することもできる。かかるその他の酸成分としては、特に限定されず、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ロジン等が挙げられ、その他の水酸基含有成分としては、特に限定されず、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、「カージュラE10P」(商品名、Momentive Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物と酸を反応させて得られたアルコール化合物等が挙げられる。
酸成分(a)と水酸基含有成分(b)の反応比率は、酸成分(a)1モルに対して、1.0〜1.25モルとなるように水酸基含有成分(b)の含有量が調整されることが好ましい。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂(A)は、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、及び水酸基を有するポリエステル樹脂であり、該不飽和ポリエステル樹脂(A)が有するカルボキシル基の酸源として、pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を使用することが適している。特に、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)が、カルボキシル基及び水酸基を有するポリエステル中間体(X)に、pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を反応させることにより得られる樹脂であることが好ましい。
<不飽和ポリエステル樹脂(A)の製造方法>
前記不飽和ポリエステル樹脂(A)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、酸成分(a)と水酸基含有成分(b)とを反応させてカルボキシル基及び水酸基を有するポリエステル中間体(X)を得る工程と、次いで該ポリエステル中間体(X)とpKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)とを反応させる工程とを含む製造方法が好ましい。
上記ポリエステル中間体(X)は、公知のポリエステル樹脂の製造方法で得ることができ、具体的には前記酸成分(a)と水酸基含有成分(b)とを縮合反応させることで製造することができる。
ポリエステル中間体(X)を製造するための縮合反応は、酸成分(a)と水酸基含有成分(b)を一括で仕込み、1段階で行ってもよいし、該材料を2回以上に分けて多段階で行ってもよい。ポリエステル中間体(X)を製造するための反応を多段階で行う場合、用いる酸成分(a)と水酸基含有成分(b)の種類と量は適宜調整可能である。
本発明では、pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を必須成分として用いるにより、比較的酸強度が高く活性なカルボキシル基が安定的に導入された不飽和ポリエステル樹脂(A)であることから、このような不飽和ポリエステル樹脂(A)をパテ用組成物とした際、基材に対して、特に基材が難付着性基材である亜鉛メッキ鋼板であっても耐水付着性に優れるという効果がある。
本発明において、pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)は、使用量が本発明範囲内にあるかぎり、不飽和ポリエステル樹脂(A)製造のどの段階で用いてもよいが、ポリエステル中間体(X)とハーフエステル化反応をする段階の製造原料として用いることが基材との耐水付着性を向上させることが出来る観点から適している。このような製造方法により得られる不飽和ポリエステル樹脂(A)は、比較的酸強度の強いカルボキシル基を効率的にポリエステル中間体(X)のポリマー鎖の末端及び/又は側鎖に配置できるものと推察される。即ちハーフエステル化反応に用いる環状酸無水物(a1)の量としては、酸成分(a)の合計モル数に基づいて、好ましくは1〜30モル%の範囲内、さらに好ましくは2〜20モル%の範囲内である。
本発明において、不飽和ポリエステル樹脂(A)及びポリエステル中間体(X)の製造においては、重縮合触媒、重金属酸化物及び重合禁止剤を必要に応じて使用してもよい。 上記ポリエステル中間体(X)を製造するための縮合反応時の温度条件は、150〜250℃、好ましくは160〜200℃の範囲内であることがゲル化防止の点から望ましい。また、ポリエステル中間体(X)と酸無水物(a1)とのハーフエステル化反応時の加熱温度条件は、80℃〜150℃、好ましくは100〜140℃の範囲内であることが、製造安定性の点から望ましい。
本発明において不飽和ポリエステル樹脂(A)の酸価は、10〜60mgKOH/gの範囲内であり、好ましくは12〜50mgKOH/g、さらに15〜40mgKOH/gの範囲内であることが、耐水性の向上の観点から好適である。
前記不飽和ポリエステル樹脂(A)がハーフエステル化反応を行うことにより得られるものである場合には、ハーフエステル化前のポリエステル中間体(X)の酸価は、3〜50mgKOH/g、好ましくは5〜40mgKOH/gの範囲内が好ましい。ここで、本明細書中における酸価とは樹脂1gが含有するプロトン酸を中和するのに必要な水酸化カリウムの質量をmgで表した時の数値であり、測定は、JIS K−6901(2008)液状不飽和ポリエステル樹脂試験方法に準拠して行うことができる。
また、本発明の不飽和ポリエステル樹脂(A)の水酸基価は、5〜100mgKOH/gの範囲内、好ましくは20〜80mgKOH/g、さらに好ましくは35〜80mgKOH/gの範囲内であることが、耐水付着性の点のから好適である。
上記不飽和ポリエステル樹脂(A)が、ハーフエステル化反応を行うことにより得られるものである場合には、ハーフエステル化前のポリエステル中間体(X)の水酸基価は、20〜120mgKOH/gの範囲内、好ましくは40〜100mgKOH/gの範囲内であることが、製造安定性の点から好適である。ここで、本明細書中における水酸基価の値は、配合量に基づく計算値(mgKOH/g樹脂)である。
以上に述べた、不飽和ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000、さらに2,000〜50,000の範囲内が好適である。本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、ポリスチレン換算した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置としては「HLC8120GPC」(東ソー(株)社製、商品名)が使用でき、これに用いるカラムとしては、「TSKgelG−4000H×L」、「TSKgelG−3000H×L」、「TSKgelG−2500H×L」、「TSKgelG−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を使用することができる。ここでは、移動相としてテトラヒドロフランを用い、測定温度40℃、流速1cc/分とし、検出器としてRI屈折計を用いた。
<<パテ組成物>>
本発明では、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)を用いて、パテ組成物とすることができる。本発明のパテ組成物としては、前記特定の不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)を含有する。
<重合性不飽和化合物(B)>
重合性不飽和化合物(B)は、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)以外の化合物であり、分子内に1個以上の重合性不飽和基を有する化合物である。重合性不飽和基とは、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味し、「(メタ)アリル基」は、アリル基又はメタアリル基を意味する。
重合性不飽和化合物(B)としては、特に、耐水付着性の点から2級水酸基含有重合性不飽和モノマー(b1)を含有することが好適である。
2級水酸基含有重合性不飽和モノマー(b1)としては、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のエステル部のアルキル基の炭素数が2〜8、特に3〜6、さらに特に3又は4の2級水酸基を有する重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸とエポキシ基含有化合物(例えば、カージュラE10、商品名、ヘキシオン・スペシャリティー・ケミカル社製、ネオデカン酸グリシジルエステル)との付加物等を挙げることができる。これらの中でも特に、耐水性及び耐水付着性の点から2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の不飽和基含有ポリエステル樹脂(A)と、重合不飽和化合物(B)として2級水酸基含有重合性不飽和モノマー(b1)と、を含有させてパテ組成物とした場合に、該パテ組成物を基材に塗布した後の臭気を抑えつつ、塗膜硬度及び表面乾燥性を維持し、かつ耐水付着性を向上させることができるため特に好ましい。
前記成分(b1)以外の水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜10の2価アルコールとのモノエステル化物(2級水酸基を有するものを除く);ε−カプロラクトンを開環重合反応させることにより変性した水酸基含有重合性不飽和モノマー(2級水酸基を有するものを除く)等を挙げることができる。
その他の重合性不飽和化合物の具体例としては、例えば、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの1価のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)プロパン、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(前項(b1)で挙げた2級水酸基含有重合性不飽和モノマーを除く);エチレングリコールジマレエート、プロピレングリコールジイタコネートなど;4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などの4−(メタ)アクリロイルオキシ基含有芳香族ポリカルボン酸およびその酸無水物;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルフタレート等のアリル化合物;エポキシ(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリジメチルシリコンジ(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシアルキル)イソシアヌレートなどの複素環構造を有する多官能(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のジシクロペンテニル基含有重合性不飽和化合物、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する単官能または多官能(メタ)アクリレート、ビスフェノール骨格、ナフタレン骨格又はビフェニル骨格を有するジエポキシ化合物若しくはジオール化合物から誘導される芳香環を有する二官能(メタ)アクリレート、又はこれら多官能(メタ)アクリレートのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、カプロラクトンなどの変性物等の環状構造を有する単官能及び/又は多官能(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは1種でまたは2種以上を組合せて使用できる。環状構造を有する単官能及び/又は多官能(メタ)アクリレートのうち、耐水性の点から、分子内に水酸基を有さない環状構造を有する単官能及び/又は多官能(メタ)アクリレートが特に好ましい。
ここで、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
上記重合性不飽和化合物(B)の含有量としては、不飽和ポリエステル樹脂(A)の樹脂固形分100質量部を基準として10〜200質量部、好ましくは40〜120質量部が適している。
上記重合性不飽和化合物(B)のうち前記成分(b1)を含有する場合その含有量は、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して10〜200質量部さらに40〜80質量部の範囲内が好ましい。
<脱水剤(C)>
本発明のパテ組成物は、脱水剤(C)を含有することが好ましい。脱水剤(C)を含有することによりパテ層の表面乾燥性、耐水性、付着性の経時による低下を抑制し、安定した品質のパテ組成物を得ることができる。本発明を拘束することを望むものではないが、脱水剤(C)が組成物中の水分量を適度に調整し、パテ層の表面乾燥性、耐水性、付着性の経時による低下を抑制し、安定した品質のパテ組成物を得ることができると考えられる。上記脱水剤(C)としては、従来公知の無機系脱水剤及び有機系脱水剤を制限なく使用することができる。
無機系脱水剤の具体例としては、水素化カルシウム、酸化カルシウム(生石灰)、塩化カルシウム、硫酸カルシウム(石膏)等のカルシウム化合物;酸化バリウム等のバリウム化合物;硫酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物;硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのナトリウム化合物;硫酸銅などの銅化合物;シリカゲルなどの無機珪素化合物;酸化アルミニウム(水硬性アルミナ、水素化アルミニウムリチウム、非結晶性シリカアルミナ、結晶性アルミノ珪酸塩(モレキュラーシーブ)などのアルミニウム化合物等を挙げることができる。
有機系脱水剤の具体例としては、オルソ蟻酸アルキル;オルソ酢酸アルキル;オルソほう酸アルキル;ビニルシラン;アルコキシシラン化合物;モノイソシアネート化合物;脂肪族ジイソシアネート化合物;脂環式ジイソシアネート化合物;芳香族ジイソシアネート化合物;3価以上の有機ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の2量体又は3量体;これらのポリイソシアネート化合物と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂又は水とをイソシアネート基過剰の条件でウレタン化反応させてなるプレポリマー等;無水酢酸等の脂肪族酸無水物、無水安息香酸等の芳香族酸無水物;N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物等を挙げることができる。以上に述べた例示物は1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記脱水剤(C)は、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量100質量部を基準にして0.1〜50質量部、好ましくは2〜30質量部の範囲内であることが好ましい。
<多価金属化合物(D)>
本発明のパテ組成物は、多価金属化合物(D)を含有することが適している。多価金属化合物を含むことによって、耐水性、付着性に優れたパテ層を形成する効果がある。多価金属化合物とは、2価以上(1価以外)の多価金属を含有する化合物を意味する。
多価金属化合物(D)としては、具体的には、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化銅等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩;水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等を挙げることができる。
本発明では、多価金属化合物として、元素周期表2族元素、特にマグネシウムを含有する化合物が好適である。
かかる多価金属化合物(D)を含有する場合、その含有量は、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量100質量部を基準として0.1〜50質量部、好ましくは5〜30質量部であることが適している。
本発明のパテ組成物は、硬化速度を調整するために硬化促進剤や重合禁止剤を含有してもよい。
<硬化促進剤>
硬化促進剤を含有することにより、さらに硬化性を向上させることができる場合がある。硬化促進剤としては、特に制限なく従来公知のものが使用できるが、特に、硬化性、乾燥性の観点から芳香族アミンが好ましい。具体的には、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、m−トルイジン、ピリジン、フェニルモルホリン、ピペリジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒドや、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、3−ジメチルアミノ安息香酸、3−ジメチルアミノ安息香酸エチル、3−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、3−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−ジメチルアミノ安息香酸、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、2−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のジメチルアミノ基含有安息香酸等が挙げられ、これらは1種でまたは2種以上を組合せて使用できる。
さらにパテ組成物上に塗装した上塗り塗膜の黄変が少ないことから、かかる芳香族アミンの中でも、ジメチルアミノ基を有する化合物が好適である。これらの中でも4−ジメチルアミノ安息香酸、3−ジメチルアミノ安息香酸が特に適している。
芳香族アミンを含有する場合、その含有量は、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.01〜2.0質量部、好ましくは0.05〜1.5質量部の範囲内であることが、ポットライフ(ゲル化時間)、形成塗膜の空気乾燥性や研磨性、上塗り塗膜の耐熱黄変性などの観点から望ましい。
上記芳香族アミン以外の他の硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム等の金属ドライヤー;上記に例示した芳香族アミン以外のトリエタノールアミン、ジエチレントリアミンなどの脂肪族アミン、3級アミン類、4級アンモニウム塩が挙げられ、これらは1種でまたは2種以上を組合せて使用できる。上記芳香族アミン以外の他の硬化促進剤を使用する場合、その量は不飽和ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲が適している。
重合禁止剤としては、例えば、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)の重合禁止剤の項で述べたものを好適に使用することができる。
<着色顔料>
本発明のパテ組成物は、着色顔料を含有してもよい。着色顔料としては、例えば、チタン白、ベンガラ、カーボンブラック、鉄黒、亜鉛華等の無機顔料;モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等の有機顔料が挙げられる。これら着色顔料成分は、1種で又は2種以上組合せて使用できる。
上記着色顔料は、比較的少量の使用で着色できかつ、パテ用途での研磨作業性や仕上り性の面から、無機顔料が好ましく、チタン白を含むことが好ましい。
上記着色顔料を使用する場合、その含有量は、所望の意匠を得られる範囲であれば特に限定されないが、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量100質量部に対して、例えば1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部の範囲内が適している。
<体質顔料>
本発明のパテ組成物は、体質顔料を含有してもよい。
前記体質顔料としては、例えば、タルク、マイカ、硫酸バリウム、カオリン、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、石英、ガラスなどが挙げられる。さらに中空粒子(E)も含むことができる。これら体質顔料成分は、1種で又は2種以上組合せて使用できる。上記体質顔料は、パテ用途での研磨作業性や仕上り性やコストの点から、タルク、硫酸バリウム、カオリン、クレー、シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にタルクが含まれることが好ましい。
上記体質顔料を使用する場合その含有量は、パテ用途での研磨作業性や仕上り性の面から、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量100質量部に対して1〜300質量部、さらに70〜250質量部の範囲内が好適である。
<中空粒子(E)>
前記体質顔料のうち、中空粒子(E)を含有することが、得られるパテ層を軽量化させ、かつ、研磨作業性及び耐水付着性が向上する効果があることから好ましい。
中空粒子(E)(中空粒子はバルーンと呼ばれることもある)としては特に限定されず、例えば、発泡ポリスチレン粒子、発泡ポリエチレン粒子、発泡ポリプロピレン粒子、発泡ポリウレタンなどの樹脂発泡体粒子;パーライト、火山れき、バーミキュライト焼成物などの無機発泡体粒子;アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、アクリル−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリル−スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合樹脂、アクリル−アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合樹脂等の樹脂系中空粒子;シリカバルーン、シラスバルーン等のガラスバルーン、アルミナシリカバルーン等のセラミックバルーン等の無機バルーン;前記樹脂系中空粒子の表面をシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機材料で変性した有機無機複合バルーン等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
特に、研磨性及び耐水付着性の点から、シラスバルーン及び無機材料で変性した有機無機複合バルーンが好ましい。
上記中空粒子(E)を使用する場合、その含有量は、パテ用途での研磨作業性や仕上り性の面から、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量100質量部に対して、1〜20質量部、さらに2〜10質量部の範囲内が好適である。
<防錆剤>
本発明のパテ組成物は、防錆剤を含有してもよい。
防錆剤としては、例えば、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム等のリン酸塩系;トリポリリン酸二水素アルミニウム等のポリリン酸塩系;モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム等のモリブデン酸塩系、リンモリブデン酸アルミニウム等のリンモリブデン酸塩系;ホウ酸塩系;メタホウ酸バリウム等のメタホウ酸塩系;シアナミド亜鉛カルシウム系;カルシウム、亜鉛、コバルト、鉛、ストロンチウム、バリウム等のカチオンを多孔質シリカ粒子に結合させた変性シリカ、カチオンをイオン交換によって結合させたイオン交換シリカ;ピロリン酸アルミニウム系;酸化亜鉛などの防錆顔料や、さらに1−(ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸、(2−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸ジ−(C12〜14アルキル)アンモ
ニウム塩などのベンゾチアゾール系化合物;4−メチル−γオキソ−ベンゼンブタン酸とN−エチルモルホリンとの付加反応物、4−メチル−γオキソ−ベンゼンブタン酸とジルコニウムとの付加反応物などのケトカルボン酸系などの有機防錆剤が挙げられ、これらは1種でまたは2種以上を組合せて使用できる。
防錆剤を含有する場合、その含有量は、パテ層の研磨作業性や仕上り性、硬化性や乾燥性、ヘラ付け性、耐熱黄変性等の観点から、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量100質量部に対して、0.1〜50質量部、好ましくは5〜45質量部の範囲であるのがよい。
本発明のパテ組成物は、その他例えば、有機溶剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、低収縮剤、酸化防止剤、皮張り防止剤、可塑剤、前記中空粒子以外の骨材、難燃剤、安定剤、強化材、減粘剤等の粘度調節剤、顔料分散剤、改質用樹脂、チキソ剤、チキソ助剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、アルデヒド捕捉剤等を含有していてもよい。
本発明のパテ組成物は、有機溶剤を実質的に配合しなくても、ヘラ付け作業性が良好で、諸物性に優れるパテ層を与えることができるが、粘度調整の点から、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン等の有機溶剤を含有してもよい。
以上の述べた不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)を含む組成物はパテ組成物の主剤として用いることができ、その粘度は、パテ組成物の使用目的に応じて適宜調整できるが、厚塗り性、ヘラ付け性、表面仕上がり性の点から一般に、100〜2,000Pa・sec、好ましくは200〜1,300Pa・secの範囲内にあることが適している。
本明細書において上記パテ組成物の粘度は、B型粘度計「VISCOMETERTV−22」(商品名、東機産業社製)にて試料の温度を25℃に調整し、No.7ロータ、回転速度2rpmで測定したものである。
本発明のパテ組成物は、上記不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)を含む成分を主剤成分とし、有機過酸化物を含む成分を硬化剤成分とする多成分系であることができる。
上記有機過酸化物としては、具体的には、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の従来公知のものを使用することができ、これらは1種で又は2種以上を用いてもよい。
上記有機過酸化物の含有量は、特に制限されるものではなく、塗装環境や塗膜物性に応じて適宜調整可能であるが、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計質量100質量部に対して、0.1〜6質量部の範囲内が好適である。
本発明のパテ組成物は、主剤成分及び硬化剤成分からなる2成分系であってもよい。この場合、パテ組成物が必要に応じて脱水剤(C)、多価金属化合物(D)、硬化促進剤、着色顔料、体質顔料、重合禁止剤等を含有する場合には、それらを主剤成分に含ませることができる。
本発明のパテ組成物は、主剤成分、硬化剤成分、並びに、脱水剤(C)、多価金属化合物(D)、硬化促進剤、着色顔料、体質顔料、重合禁止剤等を別成分として含有する、3成分以上からなる多成分系であってもよい。例えば、脱水剤(C)として、水反応性脱水剤を含有する場合には、前記主剤、架橋剤のどちらに配合しても良いが、貯蔵安定性及び塗装作業性の観点から、使用直前に前記主剤、硬化剤及び脱水剤を混合して使用する3成分系であることが好適である。
以上の通り得られるパテ組成物はスチレンを含まなくても表面乾燥性、内部硬化性に優れたパテ層が得られ、ノンスチレン型パテ組成物(スチレンフリーパテ組成物)として供することができるがスチレンを含むことを排除するものではない。
<基材>
本発明のパテ組成物が適用される基材面としては、特に制限なく、鉄、亜鉛、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)、メッキ鋼、アルミニウム合金等の金属素材面やその化学処理面、各種プラスチック素材、これらの複合材料などが挙げられる。
本発明のパテ組成物が適用される用途としては特に制限されないが、塗装作業性及び耐水付着性等に優れる点から、新幹線、電車等の鉄道等の車両の新設塗装又は塗装体の補修塗装、自動車等の車両等の塗装体の補修塗装に有用である。特に、新幹線車両、鉄道車両及び自動車車両から選ばれるいずれか1種を基材面とすることが好ましい。
<<塗装方法>>
前記パテ組成物を基材面に塗装し、パテ層を形成することができる。
パテ組成物を塗装する方法としては、例えばヘラ等を用いることができる。
パテ組成物を塗装する前に、前記基材の塗装部に洗浄やサンディング等の下地処理を行ってもよい。
パテ組成物を乾燥する方法としては、例えば、常温乾燥または強制乾燥が挙げられ、本乾燥工程により塗膜内部まで硬化することができる。常温乾燥の場合は、具体的には、常温(5〜40℃程度)で5時間以上静置するか、強制乾燥の場合は、40℃〜120℃で5〜60分間加熱することができる。前記強制乾燥の場合、仕上り性の点から、加熱硬化前に予め2〜30分間常温でセッティング(静置)することができる。
得られたパテ層を研磨しても良く、研磨する方法としては、例えば、耐水ペーパーやサンドペーパーなどを用いることができる。
得られたパテ層を研磨した後の研磨面上に、さらにベース塗料組成物等の塗料組成物を塗装しても良い。パテ層上に塗装してもよい塗料組成物としては、アクリルラッカー、アクリルメラミン樹脂系塗料、水酸基含有樹脂とポリイソシアネート化合物を含む2液型のウレタン硬化型塗料、酸−エポキシ硬化型塗料、フッ素樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、アルキドメラミン樹脂系塗料、ポリエステルメラミン樹脂系塗料などの通常使用されている有機溶剤系、水系、粉体等の下塗り塗料、着色ベース塗料、トップクリヤー塗料等特に制限なく使用できる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂(A)を含むパテ組成物を使用することにより、基材が亜鉛メッキ鋼板であっても極めて優れた付着性を有するパテ層を形成可能で、さらに基材と上塗り塗膜の双方に対する付着性、仕上り性にも優れる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明する。ここで、『部』および『%』はそれぞれ『質量部』および『質量%』を意味する。
(実施例1)不飽和ポリエステル樹脂No.1
攪拌機、窒素ガス導入管、水分離器、温度計及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、無水フタル酸(*1) 1.35mol、フマル酸(*5) 3.15mol、ジエチレングリコール 4.75mol及びトリメチロールプロパンジアリルエーテル 0.63molを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら加熱を開始した。内温190℃にて脱水縮合反応を行い、酸価が20mgKOH/gになったところで、ハーフエステル化用の無水フタル酸(*1) 0.25mol(全酸成分中5モル%)を追加投入し、内温130℃にて無水物のハーフエステル化反応を行い、メチルハイドロキノン0.33gを添加し、酸価30mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂No.1を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂No.1の酸価、水酸基価及び重量平均分子量並びにハーフエステル化前の酸価と水酸基価を表1に示した。なお、不飽和ポリエステル樹脂No.1を製造する際に配合される酸成分のうち、pKaが5.8以下の環状酸無水物(a1)の割合は、全酸成分の合計モル数に対して34モル%であった。
(実施例2〜6及び比較例1〜6)不飽和ポリエステル樹脂No.2〜12
実施例1において、配合を表1に記載の配合にした以外は、実施例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂No.2〜12を得た。ハーフエステル化反応がないものは(a1)成分を追加投入せず、後の工程を同様にして不飽和ポリエステル樹脂を得た。
Figure 2019167525
表1又は実施例中の*は下記の通りである。
(*1)無水フタル酸(Phthalic Anhydride:表中PAと略記):pKaが5.8以下の環状酸無水物(a1)、飽和多塩基酸、分子量148.10、pKa=5.41、
(*2)無水コハク酸(Succinic Anhydride、表中SAと略記):pKaが5.8以下の環状酸無水物(a1)、飽和多塩基酸、分子量100.07、pKa=5.48、
(*3)β−PMMA:シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス,シス−1,2−ジカルボン酸無水物、pKaが5.8以下でない環状酸無水物、不飽和多塩基酸、分子量166.17、
(*4)ヘキサヒドロ無水フタル酸:pKaが5.8以下でない環状酸無水物、(Hexahydrophthalic Anhydride、表中HHPAと略記)、不飽和多塩基酸、分子量154.17、
(*5)フマル酸(Fumaric Acid、FAと略):不飽和多塩基酸、分子量116.07、
(*6)無水マレイン酸(Maleic Anhydride、表中MAと略記):pKaが5.8以下でない環状酸無水物、不飽和多塩基酸、分子量98.10、pKa=6.23。
(実施例7〜25及び比較例7〜12)
上記実施例及び比較例で得られた各不飽和ポリエステル樹脂に、表2−1に示す配合組成となるように各成分を夫々配合攪拌し、高速混練機で20分間混合分散して、各主剤成分を得た。各主剤成分に対して、シクロヘキサノンパーオキサイド30部及びエステル系有機溶剤70部含む硬化剤成分を2質量%、各々添加し手攪拌で均一に混合しパテ組成物(P−1)〜(P−25)を得た。各パテ組成物のポットライフを評価した結果を表2−1に示す。
<試験塗板の作成>
上記で得られた各パテ組成物を基材1面上にヘラで塗布し、ならして2mm厚に塗布した試験塗板を作成し、表面乾燥性、塗膜硬度(マルテンス強度)及び研磨性を評価した。結果を表2−2に示す。
基材としては、下記のものを使用した。
基材1:溶融亜鉛メッキ鋼板(厚さ0.8mm、化成処理なし)を用い、この表面を耐水ペーパー#240で軽く研磨し、これを基材面とした。
基材2:軟鋼板、「SPCC−SB」(商品名、日本テストパネル(株)製)を用い、この表面を耐水ペーパー#240で軽く研磨し、これを基材面とした。
基材3:ステンレス鋼板、「SUS#304」(商品名、(株)パルテック製)を用い、この表面を耐水ペーパー#240で軽く研磨し、これを基材面とした。
基材4:アルミニウム鋼板、「A5052P」(商品名、(株)パルテック製)を用い、この表面を耐水ペーパー#240で軽く研磨し、これを基材面とした。
<上塗り塗装板の作成>
上記で得られた各パテ組成物が塗布された試験塗板を室温(20℃)で6時間放置乾燥させパテ層を形成させた後、該塗面を#400耐水ペーパーで軽く研磨し、前記パテ層の上に「レタンPG80ホワイトベース」(商品名、アクリルポリオール及びポリイソシアネート系上塗り塗料、関西ペイント(株)社製)を乾燥膜厚50μmになるようスプレー塗装し、60℃で30分間乾燥させて、各パテ層上に上塗り塗装膜を形成した塗装板をそれぞれ作成し、没水試験〔耐水性(フクレ評価)及び付着性〕に供した。結果を表2−2に示す。
各パテ組成物の配合組成を表2−1に、対応する各評価試験の結果を表2−2に示す。尚、表2−1記載の不飽和ポリエステル樹脂量は固形分表示である。
Figure 2019167525
表2中の*は下記の通りである。
(*7)エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO:2.3モル):(製品名:NKエステルBPE−80N、平均エトキシ化モル数2.3モル)、新中村化学工業(株)製、分子内に水酸基を有さない環状構造を有するジメタクリレート
(*8)エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO:10モル):(製品名:NKエステルBPE−500、平均エトキシ化モル数10モル)、新中村化学工業(株)製、分子内に水酸基を有さない環状構造を有するジメタクリレート、
(*9)トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート:(製品名:NKエステルDCP)、新中村化学工業(株)製、分子内に水酸基を有さない環状構造を有するジメタクリレート。
(*10)中空粒子:シラファイン(登録商標)MSB−301、商品名、アクシーズケミカル社製、シラスバルーン(無機系中空粒子)、平均粒子径50μm。
(*11)ポットライフ(塗装作業性):
各主剤に硬化剤を均一に混合したパテ組成物を、常温(20℃)で所定の時間放置した後、再度手攪拌して均一に混合しパテ組成物を基材面上にヘラで塗布した際のノビやヘラ切れ、ヘラさばきなどのヘラ付け作業が困難(不良)となる時間を計測して評価した。
S:10分以上放置で、パテ組成物に粘度上昇が見られはじめるが、10分未満であれば、ヘラ付け作業上全く問題ない、
A:5分以上10分未満放置で、パテ組成物に粘度上昇が見られはじめるが、ヘラ付け作業上問題ないレベル、
D:5分未満で、パテ組成物に粘度上昇が見られはじめ、ヘラ付け作業は困難であった。
Figure 2019167525
表2−2中の*は下記の通りである。
(*12)表面乾燥性:
各試験塗板(基材1:溶融亜鉛メッキ鋼板)を常温(20℃)で所定の時間で放置した後、各試験塗板の表面乾燥性を指触にて調べた。
S:20分後、表面にタック無く良好、
A:25分後、表面にタック無く良好、
D:30分後、表面にタック有り。
(*13)塗膜硬度:
各試験塗板(基材1:溶融亜鉛メッキ鋼板)を常温(20℃)で12時間放置した後、ヘルムト・フィッシャー社製FISCHERSCOPE HM2000Sを用いて塗膜硬度を調べた(条件:最大試験力1,000mN/20秒かつ最小試験力0.100mN/5秒)。
S:マルテンス硬度80以上、
A:マルテンス硬度80未満60以上、
D:マルテンス硬度60未満。
(*14)研磨性:
各試験塗板(基材1:溶融亜鉛メッキ鋼板)を常温(20℃)で12時間放置した後、#400耐水ペーパーにて研磨し、研磨状態を評価した。
S:目詰まりなく良好、
A:極少量目詰まりがあるものの実用上問題ないレベル、
D:目詰まりがあり、研磨が重い。
(*15)耐水性(フクレ)
各上塗り塗装板(基材1:溶融亜鉛メッキ鋼板)を40℃の水に10日間浸漬した後、水中より取り出し、取り出した塗膜表面のフクレの有無を観察した。
S:塗膜全面にフクレが無い、
A:一部塗膜端部あるいは薄膜部にフクレが認められるが実用上問題ないレベル、
D:塗膜全面に著しいフクレが認められる。
(*16)耐水付着性:
各基材1〜4(溶融亜鉛メッキ鋼板、軟鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム鋼板)上のパテ層上に上塗り塗装して上塗り塗膜層を形成した塗装板を40℃の水に10日間浸漬した後、水中より取り出し、各塗装板を中央部より180度折り曲げて、折り曲げ部の塗膜状態を観察した。
S:パテ塗膜の剥離が全く認められない、
A:パテ塗膜が、鋼板−パテ間から極僅かに剥離しているが、実用上問題ないレベル
D:パテ塗膜が、鋼板−パテ間から著しく剥離している。

Claims (12)

  1. pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を含む酸成分(a)と、水酸基含有成分(b)と、を構成単位とする、酸価が10〜60mgKOH/gの範囲内の不飽和ポリエステル樹脂であって、前記不飽和ポリエステル樹脂が、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基及び水酸基を有するポリエステル樹脂であり、
    該pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)の使用量が酸成分(a)の合計モル数に基づいて、1〜50モル%の範囲内にあることを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂(A)。
  2. 不飽和ポリエステル樹脂(A)が有するカルボキシル基の酸源として、pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を使用する、請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)。
  3. 酸成分(a)が、さらにメチルテトラヒドロフタル酸及び/又はその無水物を含む、請求項1又は請求項2に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)。
  4. 酸成分(a)が、不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸を、モル比で不飽和多塩基酸/飽和多塩基酸比が99/1〜50/50の範囲内で含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)。
  5. 前記不飽和ポリエステル樹脂(A)が、カルボキシル基及び水酸基を有するポリエステル中間体(X)に、pKaが5.8以下である環状酸無水物(a1)を反応させることにより得られる樹脂である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)を含むパテ組成物。
  7. 前記請求項1乃至6のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)を含有し、前記重合性不飽和化合物(B)が、その成分の一部として、2級水酸基含有重合性不飽和モノマー(b1)を含有するパテ組成物。
  8. 前記成分(b1)を、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して10〜200質量部含有する請求項7に記載のパテ組成物。
  9. 脱水剤(C)を含有する請求項6乃至8のいずれか1項に記載のパテ組成物。
  10. 中空粒子(E)を含有する請求項6乃至9のいずれか1項に記載のパテ組成物。
  11. 基材面に、請求項6乃至10のいずれか1項に記載のパテ組成物を塗装し、パテ層を形成する塗装方法。
  12. 請求項11に記載の基材面が、新幹線車両、鉄道車両及び自動車車両から選ばれるいずれか1種の基材面である塗装方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113045925A (zh) * 2019-12-28 2021-06-29 雅图高新材料有限公司 一种轨道交通专用弹性原子灰及其制备方法

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