JP2020090865A - 壁面構築方法および壁面構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】壁面を迅速にかつ安価にしかも堅固に構築することが可能な壁面構築方法、および、安価で堅固な壁面構造を提供する。【解決手段】3段目のパネル2の背面に形成される下層の層3b上の空間に、層3bに下端側が固定された第2の補強鉄筋112の余剰部分11aを残す高さで、3層目の層3cが上層として形成される。次に、層3cが固化する前に、新たな下層となる4層目の層3dの表面に余剰部分11aを突出することとなる新たな補強鉄筋113の下端側部分が、層3c中に埋設される。3層目の層3cが上層として打設された翌日、次に、層3cの前面を覆う3段目のパネル2の上に、次段の4段目のパネル2が積み上げられる。次に、4段目のパネル2の背面の寸切りボルト7と、層3cの表面に突出する第2の補強鉄筋112の余剰部分11aとの間に転倒防止部材4が設けられ、4段目のパネル2の転倒が防止される。【選択図】図2

Description

本発明は、パネルを積み上げながらパネルの背面に順次裏込めコンクリートを複数層形成して壁面を構築する壁面構築方法および壁面構造に関するものである。
従来、この種の壁面構築方法および壁面構造としては、例えば、特許文献1に開示された擁壁ブロックの施工方法および施工構造がある。
この施工方法では、まず、擁壁法面側に第1擁壁ブロックを立てて、裏型枠と第1擁壁ブロックとの中間に胴込めコンクリートが打設される。次に、胴込めコンクリートが固化しない間にその胴込めコンクリート内に支持鉄筋が差し込まれて、胴込めコンクリートが固化される。次に、予め裏面側に固定受け鉄筋を突設させた第2擁壁ブロックが第1擁壁ブロック上に立てられる。次に、第2擁壁ブロックが所定の勾配に設定されて、支持鉄筋と固定受け鉄筋とが連結部材を介して溶接固定される。次に、裏型枠と第2擁壁ブロックとの中間に胴込めコンクリートが打設される。その後、同様の工程が繰り返されて、第1擁壁ブロック上に第2擁壁ブロックが順に立てられて、擁壁が構築される。
特開2002−105972号公報
しかしながら、特許文献1に開示された上記従来の擁壁ブロックの施工方法では、第1擁壁ブロックの背後に打設される胴込めコンクリートが固化しない間に支持鉄筋を差し込み、差し込んでから、その胴込めコンクリートが固化するまで待つ養生時間が必要とされる。この養生時間は、胴込めコンクリートに差し込まれた支持鉄筋が、第2擁壁ブロックの裏面側に突設された固定受け鉄筋に連結部材によって連結された後、第2擁壁ブロックの背後に打設される胴込めコンクリートの側圧によって擁壁の前面側へ付勢される第2擁壁ブロックから連結部材を介して支持鉄筋にかかる引張り力に支持鉄筋が耐えられる強度にまで、第1擁壁ブロックの背後に打設される胴込めコンクリートが固化する時間となる。一般的にこのような養生時間は1日程度は必要とされる。したがって、第1擁壁ブロック上に第2擁壁ブロックを積み上げて、1段の擁壁ブロック層を構築するには、少なくとも1日は必要とされ、次段の擁壁ブロックを形成する胴込めコンクリートを打設するのは翌々日となる。このため、従来の壁面構築方法によっては、擁壁ブロックを多段に積み上げて壁面を完成させるまでに、多くの日数がかかってしまう。
また、従来の壁面構築方法および壁面構造では、擁壁ブロックの転倒を防止するために、1つの擁壁ブロック毎に複数の支持鉄筋が必要とされる。したがって、壁面全体に使われる支持鉄筋の数は膨大になる。このため、従来の壁面構築方法および壁面構造によっては、支持鉄筋の材料費がかさんでしまう。
また、従来の壁面構築方法および壁面構造では、各擁壁ブロック層を形成する胴込めコンクリートは単に打ち重ねられた構造をしている。このため、擁壁等では、胴込めコンクリートの打ち継ぎ境界面の、背後の土圧に対抗する強度が低いため、胴込めコンクリートの打ち継ぎ部に上下の胴込めコンクリート間の一体性を向上させる処理、例えば、上下の胴込めコンクリートにわたって補強鉄筋を設ける処理などが必要になる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
転倒防止部材によって転倒を防止したパネルの背面にコンクリートを打設する工程を繰り返し行って、パネルを積み上げながらパネルの背面に順次裏込めコンクリートを複数層形成して壁面を構築する壁面構築方法において、
2層分の裏込めコンクリートより所定長の余剰部分だけ長い長さの補強鉄筋の、下層の裏込めコンクリートの表面から突出する余剰部分に一端を固定した転倒防止部材によって転倒を防止して、下層の裏込めコンクリートの前面を覆うパネル上に次段のパネルを積み上げる工程と、
下層の裏込めコンクリート上にコンクリートを打設して次段のパネルの背後に形成される上層の裏込めコンクリート中に、下層の裏込めコンクリートに下端側が埋設された第2の補強鉄筋の上端側を余剰部分を残して埋設する工程と、
上層の裏込めコンクリートが固化する前に、新たな下層の裏込めコンクリートの表面に余剰部分を突出することとなる新たな補強鉄筋の下端側を上層の裏込めコンクリートに埋設する工程と、
固化した下層の裏込めコンクリートに下端側が埋設されて固定され、上層の裏込めコンクリートの表面に突出する第2の補強鉄筋の余剰部分に一端を固定した転倒防止部材によって転倒を防止して、上層の裏込めコンクリートの前面を覆う次段のパネル上に次々段のパネルを積み上げる工程と、
上層の裏込めコンクリート上にコンクリートを打設して次々段のパネルの背後に形成される新たな下層の裏込めコンクリート中に、上層の裏込めコンクリートに下端側が固定された新たな補強鉄筋の上端側を余剰部分を残して埋設する工程と
を備えることを特徴とする。
本構成によれば、下層の裏込めコンクリート上に上層の裏込めコンクリートが打設され、上層の裏込めコンクリート上に新たな下層の裏込めコンクリート、新たな下層の裏込めコンクリート上に新たな上層の裏込めコンクリートが打設されて行くことで、多段に積み上げられるパネルの背後に複数層の裏込めコンクリートが形成される。
下層の裏込めコンクリートの前面を覆うパネル上に次段のパネルを積み上げる際、次段のパネルは、補強鉄筋の、下層の裏込めコンクリートの表面から突出する余剰部分に一端を固定した転倒防止部材により、転倒が防止される。補強鉄筋は、2層分の裏込めコンクリートより所定長の余剰部分だけ長い長さを有するため、下層の裏込めコンクリートの表面に余剰部分を突出させる補強鉄筋は、下層の裏込めコンクリートに上端側、下層の裏込めコンクリートのさらに下層にある古い上層の裏込めコンクリートに下端側が埋設されている。したがって、下層の裏込めコンクリートの表面に余剰部分を突出させる補強鉄筋は、下端側が、古い上層の裏込めコンクリートに埋設されて、次段のパネルから転倒防止部材を介して余剰部分にかかる引張り力に耐えられる強度にまで、古い上層の裏込めコンクリートによって固定されている。このため、下層の裏込めコンクリートの前面を覆うパネル上に積み上げる次段のパネルの転倒を防止する際、下層の裏込めコンクリートの固化を待つ必要なく、下層の裏込めコンクリートの打設後直ちに、下層の裏込めコンクリートの表面から突出する余剰部分に転倒防止部材の一端を固定して、転倒防止部材によって次段のパネルの転倒を防止することもできる。
ただし、下層の裏込めコンクリートの打設後直ちに、下層の裏込めコンクリート上に上層の裏込めコンクリートを打設すると、補強鉄筋の強度が弱い場合には、下層の裏込めコンクリートに埋設される補強鉄筋の上端側は、上層の裏込めコンクリートの側圧によって壁面前面側に付勢される次段のパネルから転倒防止部材を介してかかる引張り力によって変形する可能性もある。しかし、下層の裏込めコンクリートを打設して、補強鉄筋の上端側を埋設する下層の裏込めコンクリートが補強鉄筋の上端側が変形しない程度に固化した翌日には、その引張り力に下層の裏込めコンクリートが対抗できるようになり、補強鉄筋の余剰部分が表面から突出する下層の裏込めコンクリート上に上層の裏込めコンクリートを打設することが可能になる。つまり、従来のように、胴込めコンクリートを打設した翌日に、支持鉄筋が差し込まれたこの胴込めコンクリートの養生時間を設ける必要がなくなる。この結果、パネルの転倒を転倒防止部材によって防止しながら、パネルの背後に裏込めコンクリートを連日打設して、パネルを多段に積み上げ、壁面を迅速に構築することが可能になる。
また、補強鉄筋の余剰部分が転倒防止部材のアンカーとなって従来の支持鉄筋として使われるため、従来の支持鉄筋は不要になる。このため、壁面構築に必要とされる部材が減ると共に、補強鉄筋の施工とは別に支持鉄筋の施工をする工程が削減され、材料費および施工費の両観点から安価に壁面を構築することができる。
また、1本の補強鉄筋が裏込めコンクリートの下層および上層にわたって埋設され、上方に設けられる補強鉄筋の下端側および下方に設けられる補強鉄筋の上端側が裏込めコンクリートの各層に重複する。したがって、補強鉄筋の余剰部分によって支持鉄筋を構成しながら、余剰部分以外の補強鉄筋の残余の部分によって裏込めコンクリートの一体化が図れる。また、裏込めコンクリートの打ち継ぎ境界面に補強鉄筋の余剰部分が介在するため、この余剰部分も裏込めコンクリートの一体化に寄与する。また、転倒防止部材を補強鉄筋に固定するための溶接は余剰部分に対して行われ、余剰部分以外の補強鉄筋の、裏込めコンクリートと共に構造体を構成する残余の部分にこの溶接の影響は及ばない。このため、安価で堅固な壁面を迅速に構築することができる。
また、本発明は、
転倒防止部材によって転倒を防止したパネルの背面にコンクリートを打設する工程を繰り返し行って、パネルを積み上げながらパネルの背面に順次裏込めコンクリートを複数層形成して壁面を構築する壁面構築方法において、
2層分の裏込めコンクリートより所定長の余剰部分だけ長い長さの補強鉄筋の、下層の裏込めコンクリートの表面から突出する余剰部分に一端を固定した転倒防止部材によって転倒を防止して、下層の裏込めコンクリートの前面を覆うパネル上に次段のパネルを積み上げる工程と、
下層の裏込めコンクリートに下端側が埋設された第2の補強鉄筋の上端側に、新たな下層の裏込めコンクリートの表面に余剰部分を突出することとなる新たな補強鉄筋の下端側を固定する工程と、
下層の裏込めコンクリート上にコンクリートを打設して次段のパネルの背後に形成される上層の裏込めコンクリート中に、新たな補強鉄筋の下端側と共に、第2の補強鉄筋の上端側を余剰部分を残して埋設する工程と、
固化した下層の裏込めコンクリートに下端側が埋設されて固定され、上層の裏込めコンクリートの表面に突出する第2の補強鉄筋の余剰部分に一端を固定した転倒防止部材によって転倒を防止して、上層の裏込めコンクリートの前面を覆う次段のパネル上に次々段のパネルを積み上げる工程と、
上層の裏込めコンクリートに下端側が埋設された新たな補強鉄筋の上端側に、新たな上層の裏込めコンクリートに上端側が埋設されることとなる新たな第2の補強鉄筋の下端側を固定する工程と、
上層の裏込めコンクリート上にコンクリートを打設して次々段のパネルの背後に形成される新たな下層の裏込めコンクリート中に、新たな第2の補強鉄筋の下端側と共に、上層の裏込めコンクリートに下端側が固定された新たな補強鉄筋の上端側を余剰部分を残して埋設する工程と
を備えることを特徴とする。
本構成によれば、下層の裏込めコンクリートの前面を覆うパネル上に積み上げられる次段のパネルは、下層の裏込めコンクリートの表面に突出する補強鉄筋の余剰部分に一端が固定された転倒防止部材によって転倒が防止されると共に、下層の裏込めコンクリートに下端側が埋設された第2の補強鉄筋の上端側に、新たな下層の裏込めコンクリートの表面に余剰部分を突出することとなる新たな補強鉄筋の下端側が固定されてから、背後にコンクリートが打設される。したがって、新たに設けられる補強鉄筋の下端側は、下層の裏込めコンクリート上に上層の裏込めコンクリートが打設される前に配置されてから、上層の裏込めコンクリートに埋設されて本固定される。
壁面の背面側に作業スペースを確保できる現場では、下層の裏込めコンクリート上に上層の裏込めコンクリートを打設して、壁面の背後側の地山等から、上層の裏込めコンクリートが固化する前に、新たに設けられる補強鉄筋の下端側を上層の裏込めコンクリートに埋設させることができる。しかし、壁面の背面側に作業スペースを確保できない現場では、壁面の背後側から、固化する前の上層の裏込めコンクリートに新たに設けられる補強鉄筋の下端側を埋設させることはやり難く、壁面の前面側に足場を組んで、壁面前面側の足場上から補強鉄筋の下端側を埋設させる等の作業が必要になる。しかしながら、本構成によれば、前日の打設である程度固化した下層の裏込めコンクリートに作業者が乗って、上層の裏込めコンクリートが打設されることとなる空間に、新たに設けられる補強鉄筋の下端側を予め配置することができる。このため、壁面の前面側に足場を組んだりする作業等を行うことなく、壁面を構築する現場に応じて、最適な壁面構築方法を選択することができる。
また、本構成によっても、下層の裏込めコンクリートを打設して、補強鉄筋の上端側を埋設する下層の裏込めコンクリートが補強鉄筋の上端側が変形しない程度に固化した翌日には、補強鉄筋の余剰部分が表面から突出する下層の裏込めコンクリート上に上層の裏込めコンクリートを打設することが可能になり、従来の養生時間を設ける必要はない。また、本構成でも、従来の支持鉄筋は不要になるため、壁面構築に必要とされる部材が減ると共に、補強鉄筋の施工とは別に支持鉄筋の施工をする工程が削減される。また、補強鉄筋の余剰部分によって支持鉄筋を構成しながら、余剰部分以外の補強鉄筋の残余の部分によって裏込めコンクリートの一体化が図れる。この結果、壁面を迅速にかつ安価にしかも堅固に構築することが可能な壁面構築方法を、壁面の各施工現場に合った方法で提供することが可能になる。
また、本発明は、パネルを積み上げる前記工程が、
下段のパネルに設けられた連結部材の下段のパネルから突出した端部が上段のパネルの背面に当接して上段のパネルの背面を押さえることで、上段のパネルの壁面背面側へ倒れる力を受け、上段のパネルに設けられた連結部材の上段のパネルから突出した端部が下段のパネルの背面に当接して下段のパネルの背面を押さえることで、上段のパネルの下部が壁面表面側へ迫り出すのを止めて、上段のパネルを下段のパネル上に自立させてから、
補強鉄筋の余剰部分に転倒防止部材の一端を固定して、下段のパネル上の次段の上段のパネルが転倒するのを転倒防止部材によって防止する
ことを特徴とする。
本構成によれば、下段および上段のパネルの双方から突出して各パネルに設けられた連結部材の端部が隣接するパネルの背面を押さえることにより、上下のパネルを壁面の敷設延長方向における所望の位置で支え合わせて、自立させることができる。したがって、パネルを支える仮設サポート材などを設けることなくパネルを自立させて、作業効率よく、補強鉄筋の余剰部分とパネルとの間に転倒防止部材を設けて、パネルの転倒を防止することができる。このため、壁面をより迅速に構築することが可能になる。
また、本発明は、
転倒防止部材によって転倒がそれぞれ防止されて多段に積み上げられた複数のパネルと、各パネルの背面にコンクリートが打設されて複数層に形成される裏込めコンクリートとから構成される壁面構造において、
2層分の裏込めコンクリートより所定長の余剰部分だけ長い長さを有し、下端側が下層の裏込めコンクリートに固定され、上端側が上層の裏込めコンクリートの表面に余剰部分を突出させて固定されて、上方に設けられるものの下端側および下方に設けられるものの上端側が最下層および最上層を除く裏込めコンクリートの各層に重複して配される複数の補強鉄筋を備え、
余剰部分に、余剰部分が突出する裏込めコンクリートの層の前面を覆うパネルの上段に積まれるパネルの転倒を防止する転倒防止部材の一端が固定される
ことを特徴とする。
本構成によれば、補強鉄筋の余剰部分が転倒防止部材のアンカーとなって従来の支持鉄筋として使われるため、従来の支持鉄筋は不要になる。このため、壁面構築に必要とされる部材が減り、材料費の観点から安価に壁面を構築することができる。また、1本の補強鉄筋が裏込めコンクリートの下層および上層にわたって埋設され、上方に設けられる補強鉄筋の下端側および下方に設けられる補強鉄筋の上端側が裏込めコンクリートの各層に重複する。したがって、補強鉄筋の余剰部分によって支持鉄筋を構成しながら、余剰部分以外の補強鉄筋の残余の部分によって裏込めコンクリートの一体化が図れる。また、裏込めコンクリートの打ち継ぎ面に補強鉄筋の余剰部分が介在するため、この余剰部分も裏込めコンクリートの一体化に寄与する。また、転倒防止部材を補強鉄筋に固定するための溶接は余剰部分に対して行われ、余剰部分以外の補強鉄筋の、裏込めコンクリートと共に構造体を構成する残余の部分にこの溶接の影響は及ばない。このため、安価で堅固な壁面構造を提供することができる。
また、本発明は、
下段のパネルから突出した端部が上段のパネルの背面に当接して上段のパネルの背面を押さえることで、上段のパネルの壁面背面側へ倒れる力を受ける、下段のパネルに設けられた連結部材と、
上段のパネルから突出した端部が下段のパネルの背面に当接して下段のパネルの背面を押さえることで、上段のパネルの下部が壁面表面側へ迫り出すのを止めて、上段のパネルを下段のパネル上に自立させる、上段のパネルに設けられた連結部材と
を備えて、壁面構造を構成した。
本構成によれば、下段および上段のパネルの双方から突出して各パネルに設けられた連結部材の端部が隣接するパネルの背面を押さえることにより、上下のパネルを壁面の敷設延長方向における所望の位置で支え合わせて、自立させることができる。したがって、パネルを支える仮設サポート材などを設けることなくパネルを自立させて、補強鉄筋の余剰部分とパネルとの間に転倒防止部材を設けて、パネルの転倒を防止することができる。このため、安価で堅固な壁面構造を効率的に構築することができる。
本発明によれば、壁面を迅速にかつ安価にしかも堅固に構築することが可能な壁面構築方法、および、安価で堅固な壁面構造を提供することができる。
(a)は、施工途中における本発明の一実施形態による壁面の構造を壁面裏側から見た斜視図、(b)は、(a)に示す壁面における上側連結部材および下側連結部材を各パネル背面に固定する各寸切りボルトと各転倒防止部材との固定部分を一部拡大した一部拡大図、(c)は、(a)に示す壁面における最下段のパネルの転倒を防止する転倒防止部材とアンカーボルトおよびアンカー鉄筋との固定部分を一部拡大した一部拡大図である。 一実施形態による壁面の断面図である。 本発明の他の実施形態による壁面構築方法によって構築される途中の壁面の第1の断面図である。 本発明の他の実施形態による壁面構築方法によって構築される途中の壁面の第2の断面図である。 本発明の他の実施形態による壁面構築方法によって構築される途中の壁面の第3の断面図である。 本発明の他の実施形態による壁面構築方法によって構築される途中の壁面の第4の断面図である。 本発明の他の実施形態による壁面構築方法によって構築される途中の壁面の第5の断面図である。
次に、本発明による壁面構築方法および壁面構造の一実施形態について説明する。
図1(a)は、施工途中における一実施形態による壁面1の構造を壁面裏側から見た斜視図である。同図では、一実施形態による壁面構築方法が理解しやすいように、図の左方から右方へ壁面1の施工順に壁面1が描かれており、裏込めコンクリート3の層3a,3b,3c…が3層目まで形成された状態を表わしている。図2は、施工途中における一実施形態による壁面1の構造の断面図である。同図では裏込めコンクリート3の層3a,3b,3c…が4層目の層3dまで形成された状態を表わしている。
壁面1は、多段に積み上げられた複数のパネル2と、各パネル2の背面にコンクリートが打設されて複数層に形成される裏込めコンクリート3とから構成される。各パネル2は、転倒防止部材4によって転倒がそれぞれ防止されている。
パネル2は、所定厚さの矩形状をしたコンクリートから成り、金属製の上側の連結部材(上側連結部材)5および下側の連結部材(下側連結部材)6が取り付けられて構成されている。これらの上側連結部材5および下側連結部材6は、図1(a)の中央上方に宙に浮かせて図示したように、パネル2の上端部および下端部の双方から外方に突出してパネル2に設けられている。図1(b)にも一部拡大して示すように、上側連結部材5は、パネル2の背面上部に一端が固定され、他端が背面上部から上方に突出してパネル2に設けられている。下側連結部材6は、パネル2の背面下部に一端が固定され、他端が背面下部から下方に突出してパネル2に設けられている。
各連結部材5,6は、パネル2に止められる一端側およびその反対側の先端側の2箇所にそれぞれ穴が設けられている。一端側の一方の穴は、寸切りボルト7の外径より口径が大きく、先端側の他方の穴には直接雌ネジ溝が刻まれている。連結部材5,6の一方の穴に寸切りボルト7が差し込まれて、パネル2に埋め込まれたインサートナットに寸切りボルト7が螺合し、ナット8で締め付けることにより、連結部材5,6はパネル2の背面に固定されている。また、直接雌ネジ溝が刻まれた他方の穴には調整ボルト9が螺合している。
寸切りボルト7は、パネル2の背面から所定長突出するように長く形成されており、パネル2の背面の裏込めコンクリート3に埋設されることで、パネル2を裏込めコンクリート3に止めるアンカー材の役割を果たすと共に、転倒防止部材4の他端を後述するように固定する役割も果たす。調整ボルト9は、回転されることで、その先端が連結部材5,6からパネル2の前面側へ突出する長さが調整されて、連結部材5,6の先端とパネル2の背面との間に形成される隙間に介在して、パネル2の背面を支持する役割を果たす。
下段のパネル2に設けられた上側連結部材5は、下段のパネル2から突出した端部が上段のパネル2の背面に調整ボルト9を介して当接して上段のパネル2の背面を調整ボルト9を介して押さえることで、上段のパネル2の壁面背面側へ倒れる力を受ける。また、下側連結部材6は、上段のパネル2に設けられ、上段のパネル2から突出した端部が下段のパネル2の背面に調整ボルト9を介して当接して下段のパネル2の背面を調整ボルト9を介して押さえることで、上段のパネル2の下部が壁面表面側へ迫り出すのを止めて、上段のパネル2を下段のパネル2上に自立させる。
壁面1は、複数の補強鉄筋11,11,11,11,…を備える。以下、これらを総称して補強鉄筋11と称する。補強鉄筋11は、図2に示すように、2層分の裏込めコンクリート3の長さ2L1より所定長の余剰部分11aの長さL2だけ長い長さ(=2L1+L2)を有する。また、各補強鉄筋11は、下端側が下層の裏込めコンクリート3に固定され、上端側が上層の裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出させて固定される。したがって、上方に設けられる補強鉄筋11の下端側および下方に設けられる補強鉄筋11の上端側が最下層および最上層を除く裏込めコンクリート3の各層に重複して配される。転倒防止部材4は、その一端が補強鉄筋11の余剰部分11a、その他端が寸切りボルト7に溶接されて固定され、余剰部分11aが突出する裏込めコンクリート3の層の前面を覆うパネル2の上段に積まれるパネル2の転倒を防止する。
次に、このような構造をした壁面1の一実施形態による構築方法について、説明する。
壁面1は基礎ブロック12の上方に構築される。基礎ブロック12は、パネル2が設置される立脚部12aと、この立脚部12aを支える支持脚部12bとから構成される。支持脚部12bは、立脚部12aに交差する方向に延出している。支持脚部12bの延出端における所定の位置には、アンカーボルト13が立設されている。また、立脚部12aの上端の傾斜壁面には、パネル2の上端に設けられる上側連結部材5が設けられている。この上側連結部材5は、その一端が立脚部12aの傾斜壁面に寸切りボルト7によって取り付けられており、その先端が立脚部12aの上端から上方に突出している。なお、上側連結部材5は下側連結部材6と同じである。
壁面1の構築に際して、最初に、立脚部12aの上端に設けられた上側連結部材5と、最下段のパネル2の下端に設けられた下側連結部材6とにより、基礎ブロック12の上方に最下段のパネル2が積み上げられる。この際、立脚部12aの上端に設けられた上側連結部材5の上方に突出した端部が最下段のパネル2の背面に調整ボルト9を介して当接して、最下段のパネル2の背面を押さえることで、最下段のパネル2の壁面背面側へ倒れる力が受けられる。また、最下段のパネル2に設けられた下側連結部材6の下方に突出した端部が立脚部12aの傾斜壁面に調整ボルト9を介して当接して、立脚部12aの傾斜壁面を押さえることで、最下段のパネル2の下部が壁面表面側へ迫り出すのが止められる。これにより、最下段のパネル2が基礎ブロック12上に自立する。
次に、最下段のパネル2の背面に下側連結部材6を取り付ける寸切りボルト7と、基礎ブロック12の支持脚部12bに立設されたアンカーボルト13との間、および、最下段のパネル2の背面に上側連結部材5を取り付ける寸切りボルト7と、基礎ブロック12の支持脚部12bに立設されたアンカーボルト13との間に、それぞれ転倒防止部材4が設けられ、最下段のパネル2の転倒が防止される。この際、各転倒防止部材4は、その一端が、図1(c)の一部拡大図に示すようにアンカーボルト13と溶接され、その他端が、図1(b)の一部拡大図に示すように寸切りボルト7と溶接される。
次に、図1(c)の一部拡大図に示すように、アンカー鉄筋14の一端がアンカーボルト13に溶接される。アンカー鉄筋14は、図2に示すように、1層分の裏込めコンクリート3の長さL1より所定長の余剰部分14aの長さL2だけ長い長さ(=L1+L2)を有する。次に、最下段のパネル2の背面と、図1(a)の左方に斜線を付して示す引き抜き型枠20の前面との間に形成される空間に、アンカー鉄筋14の余剰部分14aを残す高さにコンクリートが打設されて、裏込めコンクリート3の1層目の層3aが形成される。なお、引き抜き型枠20の背後には図示しない裏込め砕石等がある。この際、アンカー鉄筋14は、層3aの表面にその余剰部分14aを突出させて、長さL1の部分が層3aに埋設される。次に、層3aの裏込めコンクリート3が固化する前に、層3bの裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出することとなる補強鉄筋11の長さL1の下端側部分が、層3aの裏込めコンクリート3中に埋設される。次に、層3aと裏込め砕石等との間にある引き抜き型枠20が層3aの背後から斜め上方に引き抜かれる。
裏込めコンクリート3の最下層の層3aが打設された翌日、次に、最下段のパネル2の上端に設けられた上側連結部材5と、2段目のパネル2の下端に設けられた下側連結部材6とにより、1層目の層3aの前面を覆う最下段のパネル2の上に、次段の2段目のパネル2が積み上げられる。この際、最下段のパネル2の上端に設けられた上側連結部材5の上方に突出した端部が2段目のパネル2の背面に調整ボルト9を介して当接して、2段目のパネル2の背面を押さえることで、2段目のパネル2の壁面背面側へ倒れる力が受けられる。また、2段目のパネル2に設けられた下側連結部材6の下方に突出した端部が最下段のパネル2の背面に調整ボルト9を介して当接して、最下段のパネル2の背面を押さえることで、2段目のパネル2の下部が壁面表面側へ迫り出すのが止められる。これにより、2段目のパネル2が最下段のパネル2上に自立する。
次に、2段目のパネル2の背面に下側連結部材6を取り付ける寸切りボルト7と、層3aの表面に突出するアンカー鉄筋14の余剰部分14aとの間、および、2段目のパネル2の背面に上側連結部材5を取り付ける寸切りボルト7と、層3aの表面に突出するアンカー鉄筋14の余剰部分14aとの間に、それぞれ転倒防止部材4が設けられ、2段目のパネル2の転倒が防止される。この際、各転倒防止部材4は、その一端がアンカー鉄筋14の余剰部分14aと溶接され、その他端が、図1(b)の一部拡大図に示すように寸切りボルト7と溶接される。
次に、引き抜かれた引き抜き型枠20の下端が層3aの背面上端と裏込め砕石等との間に僅かに差し込まれることで係止させられて、2段目のパネル2の背面に対向する裏込め砕石等の前面に引き抜き型枠20が設置される。引き続いて、2段目のパネル2の背面と引き抜き型枠20の前面との間に形成される層3a上の空間に、層3aの裏込めコンクリート3に下端側が固定された補強鉄筋11の余剰部分11aを残す高さにコンクリートが打設されて、裏込めコンクリート3の2層目の層3bが下層として形成される。この際、補強鉄筋11は、層3bの表面にその余剰部分11aを突出させて、長さL1の上端側部分が層3b中に埋設される。次に、層3bの裏込めコンクリート3が固化する前に、上層となる層3cの裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出することとなる第2の補強鉄筋11の長さL1の下端側部分が、層3bの裏込めコンクリート3中に埋設される。次に、層3bと裏込め砕石等との間にある引き抜き型枠20が層3bの背後から斜め上方に引き抜かれる。
裏込めコンクリート3の2層目の層3bが下層として打設された翌日、次に、2段目のパネル2の上端に設けられた上側連結部材5と、3段目のパネル2の下端に設けられた下側連結部材6とにより、2層目の層3bの前面を覆う2段目のパネル2の上に、次段の3段目のパネル2が積み上げられる。この際、2段目のパネル2の上端に設けられた上側連結部材5の上方に突出した端部が3段目のパネル2の背面に調整ボルト9を介して当接して、3段目のパネル2の背面を押さえることで、3段目のパネル2の壁面背面側へ倒れる力が受けられる。また、3段目のパネル2に設けられた下側連結部材6の下方に突出した端部が2段目のパネル2の背面に調整ボルト9を介して当接して、2段目のパネル2の背面を押さえることで、3段目のパネル2の下部が壁面表面側へ迫り出すのが止められる。これにより、3段目のパネル2が2段目のパネル2上に自立する。
次に、3段目のパネル2の背面に下側連結部材6を取り付ける寸切りボルト7と、層3bの表面に突出する補強鉄筋11の余剰部分11aとの間、および、3段目のパネル2の背面に上側連結部材5を取り付ける寸切りボルト7と、層3bの表面に突出する補強鉄筋11の余剰部分11aとの間に、それぞれ転倒防止部材4が設けられ、3段目のパネル2の転倒が防止される。この際、各転倒防止部材4は、その一端が補強鉄筋11の余剰部分11aと溶接され、その他端が寸切りボルト7と溶接される。
この結果、固化した最下層の層3aの裏込めコンクリート3に下端側が埋設されて固定され、下層の層3bの裏込めコンクリート3の表面に突出する補強鉄筋11の余剰部分11aに一端を固定した転倒防止部材4によって転倒を防止して、下層の層3bの裏込めコンクリート3の前面を覆う次段の2段目のパネル2上に次々段の3段目のパネル2が積み上げられる。
次に、引き抜かれた引き抜き型枠20の下端が層3bの背面上端と裏込め砕石等との間に僅かに差し込まれることで係止させられて、3段目のパネル2の背面に対向する裏込め砕石等の前面に引き抜き型枠20が設置される。引き続いて、3段目のパネル2の背面と引き抜き型枠20の前面との間に形成される層3b上の空間に、層3bの裏込めコンクリート3に下端側が固定された第2の補強鉄筋11の余剰部分11aを残す高さにコンクリートが打設されて、裏込めコンクリート3の3層目の層3cが上層として形成される。この際、第2の補強鉄筋11は、層3cの表面にその余剰部分11aを突出させて、長さL1の上端側部分が層3c中に埋設される。次に、上層としての層3cの裏込めコンクリート3が固化する前に、新たな下層となる4層目の層3d(図2参照)の裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出することとなる、新たな補強鉄筋11の長さL1の下端側部分が、層3cの裏込めコンクリート3中に埋設される。次に、層3cと裏込め砕石等との間にある引き抜き型枠20が層3cの背後から斜め上方に引き抜かれる。
裏込めコンクリート3の3層目の層3cが上層として打設された翌日、次に、3段目のパネル2の上端に設けられた上側連結部材5と、4段目のパネル2の下端に設けられた下側連結部材6とにより、3層目の層3cの前面を覆う3段目のパネル2の上に、次段の4段目のパネル2が積み上げられる。この際、3段目のパネル2の上端に設けられた上側連結部材5の上方に突出した端部が4段目のパネル2の背面に調整ボルト9を介して当接して、4段目のパネル2の背面を押さえることで、4段目のパネル2の壁面背面側へ倒れる力が受けられる。また、4段目のパネル2に設けられた下側連結部材6の下方に突出した端部が3段目のパネル2の背面に調整ボルト9を介して当接して、3段目のパネル2の背面を押さえることで、4段目のパネル2の下部が壁面表面側へ迫り出すのが止められる。これにより、4段目のパネル2が3段目のパネル2上に自立する。
次に、4段目のパネル2の背面に下側連結部材6を取り付ける寸切りボルト7と、層3cの表面に突出する第2の補強鉄筋11の余剰部分11aとの間、および、4段目のパネル2の背面に上側連結部材5を取り付ける寸切りボルト7と、層3cの表面に突出する第2の補強鉄筋11の余剰部分11aとの間に、それぞれ転倒防止部材4が設けられ、4段目のパネル2の転倒が防止される。この際、各転倒防止部材4は、その一端が第2の補強鉄筋11の余剰部分11aと溶接され、その他端が寸切りボルト7と溶接される。
この結果、固化した下層の層3bの裏込めコンクリート3に下端側が埋設されて固定され、上層の層3cの裏込めコンクリート3の表面に突出する第2の補強鉄筋の余剰部分11aに一端を固定した転倒防止部材4によって転倒を防止して、上層の層3cの裏込めコンクリート3の前面を覆う次段の3段目のパネル2上に次々段の4段目のパネル2が積み上げられる。
次に、引き抜かれた引き抜き型枠20の下端が層3cの背面上端と裏込め砕石等との間に僅かに差し込まれることで係止させられて、4段目のパネル2の背面に対向する裏込め砕石等の前面に引き抜き型枠20が設置される。引き続いて、4段目のパネル2の背面と引き抜き型枠20の前面との間に形成される層3c上の空間に、層3cの裏込めコンクリート3に下端側が固定された新たな補強鉄筋11の余剰部分11aを残す高さにコンクリートが打設されて、裏込めコンクリート3の4層目の層3dが新たな下層として形成される。この際、新たな補強鉄筋11は、図2に示すように、層3dの表面にその余剰部分11aを突出させて、長さL1の上端側部分が層3d中に埋設される。次に、新たな下層としての層3dの裏込めコンクリート3が固化する前に、新たな上層となる5層目の図示しない層の裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出することとなる、図示しない新たな第2の補強鉄筋11の長さL1の下端側部分が、層3dの裏込めコンクリート3中に埋設される。次に、層3dと裏込め砕石等との間にある引き抜き型枠20が層3dの背後から斜め上方に引き抜かれる。
以後、同様な工程が繰り返されて、多段に積み上げられるパネル2の背後に複数層の裏込めコンクリート3が形成され、壁面1が構築される。
このような本実施形態による壁面構築方法によれば、下層の裏込めコンクリート3の前面を覆うパネル2上に次段のパネル2を積み上げる際、次段のパネル2は、補強鉄筋11の、下層の裏込めコンクリート3の表面から突出する余剰部分11aに一端を固定した転倒防止部材4により、転倒が防止される。補強鉄筋11は、2層分の裏込めコンクリート3の長さ2L1より所定長の余剰部分11aの長さL2だけ長い長さを有するため、下層の裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出させる補強鉄筋11は、下層の裏込めコンクリート3に上端側、下層の裏込めコンクリート3のさらに下層にある、前日に打設された古い上層の裏込めコンクリート3に下端側が埋設されている。したがって、下層の裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出させる補強鉄筋11は、下端側が、古い上層の裏込めコンクリート3に埋設されて、次段のパネル2から転倒防止部材4を介して余剰部分11aにかかる引張り力に耐えられる強度にまで、古い上層の裏込めコンクリート3によって固定されている。このため、下層の裏込めコンクリート3の前面を覆うパネル2上に積み上げる次段のパネル2の転倒を防止する際、下層の裏込めコンクリート3の固化を待つ必要なく、下層の裏込めコンクリート3の打設後直ちに、下層の裏込めコンクリート3の表面から突出する余剰部分11aに転倒防止部材4の一端を固定して、転倒防止部材4によって次段のパネル2の転倒を防止することもできる。
ただし、下層の裏込めコンクリート3の打設後直ちに、下層の裏込めコンクリート3上に上層の裏込めコンクリート3を打設すると、補強鉄筋11が例えば本実施形態のように細長くてその強度が弱い場合には、下層の裏込めコンクリート3に埋設される補強鉄筋3の上端側は、上層の裏込めコンクリート3の側圧によって壁面前面側に付勢される次段のパネル2から転倒防止部材4を介してかかる引張り力によって変形する可能性もある。しかし、上述した本実施形態のように、下層の裏込めコンクリート3を打設して、補強鉄筋11の上端側を埋設する下層の裏込めコンクリート3が、補強鉄筋11の上端側が変形しない程度に固化した翌日には、その引張り力に下層の裏込めコンクリート3が対抗できるようになり、補強鉄筋11の余剰部分11aが表面から突出する下層の裏込めコンクリート3上に上層の裏込めコンクリート3を打設することが可能になる。つまり、従来のように、胴込めコンクリートを打設した翌日に、支持鉄筋が差し込まれたこの胴込めコンクリートの養生時間を設ける必要がなくなる。この結果、パネル2の転倒を転倒防止部材4によって防止しながら、パネル2の背後に裏込めコンクリート3を連日打設して、パネル2を多段に積み上げ、壁面1を迅速に構築することが可能になる。
また、補強鉄筋11の余剰部分11aが転倒防止部材4のアンカーとなって従来の支持鉄筋として使われるため、従来の支持鉄筋は不要になる。このため、壁面構築に必要とされる部材が減ると共に、補強鉄筋11の施工とは別に支持鉄筋の施工をする工程が削減され、材料費および施工費の両観点から安価に壁面1を構築することができる。
また、1本の補強鉄筋11が裏込めコンクリート3の下層および上層にわたって埋設され、上方に設けられる補強鉄筋11の下端側および下方に設けられる補強鉄筋11の上端側が裏込めコンクリート3の各層に重複する。したがって、補強鉄筋11の余剰部分11aによって支持鉄筋を構成しながら、余剰部分11a以外の補強鉄筋11の残余の部分によって裏込めコンクリート3の一体化が図れる。また、裏込めコンクリート3の打ち継ぎ境界面に補強鉄筋11の余剰部分11aが介在するため、この余剰部分11aも裏込めコンクリート3の一体化に寄与する。また、転倒防止部材4を補強鉄筋11に固定するための溶接は余剰部分11aに対して行われ、余剰部分11a以外の補強鉄筋11の、裏込めコンクリート3と共に構造体を構成する残余の部分にこの溶接の影響は及ばない。このため、安価で堅固な壁面1を迅速に構築することができる。
また、本実施形態による壁面構築方法によれば、下段および上段のパネル2の双方から突出して各パネル2に設けられた連結部材5,6の端部が隣接するパネル2の背面を押さえることにより、上下のパネル2を壁面1の敷設延長方向における所望の位置で支え合わせて、自立させることができる。したがって、パネル2を支える仮設サポート材などを設けることなくパネル2を自立させて、作業効率よく、補強鉄筋11の余剰部分11aとパネル2との間に転倒防止部材4を設けて、パネル2の転倒を防止することができる。このため、本実施形態による壁面構築方法によれば、壁面1をより迅速に構築することが可能になる。
また、本実施形態による壁面1の構造によれば、上記のように、補強鉄筋11の余剰部分11aが転倒防止部材4のアンカーとなって従来の支持鉄筋として使われるため、従来の支持鉄筋は不要になる。このため、壁面構築に必要とされる部材が減り、材料費の観点から安価に壁面1を構築することができる。また、上記のように、1本の補強鉄筋11が裏込めコンクリート3の下層および上層にわたって埋設され、上方に設けられる補強鉄筋11の下端側および下方に設けられる補強鉄筋11の上端側が裏込めコンクリート3の各層に重複する。したがって、補強鉄筋11の余剰部分11aによって支持鉄筋を構成しながら、余剰部分11a以外の補強鉄筋11の残余の部分によって裏込めコンクリート3の一体化が図れる。また、上記のように、裏込めコンクリート3の打ち継ぎ面に補強鉄筋11の余剰部分11aが介在するため、この余剰部分11aも裏込めコンクリート3の一体化に寄与する。また、転倒防止部材4を補強鉄筋11に固定するための溶接は余剰部分11aに対して行われ、余剰部分11a以外の補強鉄筋11の、裏込めコンクリート3と共に構造体を構成する残余の部分にこの溶接の影響は及ばない。このため、安価で堅固な壁面1の構造を提供することができる。
また、本実施形態による壁面1の構造によれば、上記のように、下段および上段のパネル2の双方から突出して各パネル2に設けられた連結部材5,6の端部が隣接するパネル2の背面を押さえることにより、上下のパネル2を壁面1の敷設延長方向における所望の位置で支え合わせて、自立させることができる。したがって、パネル2を支える仮設サポート材などを設けることなくパネル2を自立させて、補強鉄筋11の余剰部分11aとパネル2との間に転倒防止部材4を設けて、パネル2の転倒を防止することができる。このため、安価で堅固な壁面1の構造を効率的に構築することができる。
なお、上記の実施形態の説明では、補強鉄筋11の下端側を裏込めコンクリート3へ埋設した後に、引き抜き型枠20を引き抜く場合について説明したが、引き抜き型枠20を引き抜いた後に、補強鉄筋11の下端側を裏込めコンクリート3へ埋設するようにしてもよい。また、引き抜き型枠20でなく、型枠を埋設したままにする埋設型枠を使用するようにしてもよい。
次に、本発明の他の実施形態による壁面構築方法について、図3〜図7に段階的に示す施工中における壁面1の断面図を参照して説明する。なお、図3〜図7において図2と同一または相当する部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
この他の実施形態による壁面構築方法によっても、転倒防止部材4によって転倒を防止したパネル2の背面にコンクリートを打設する工程を繰り返し行って、パネル2を積み上げながらパネル2の背面に順次裏込めコンクリート3を複数層形成して、上記の実施形態による壁面構築方法によって構築される壁面1と同じ構造の壁面1が構築される。
この他の実施形態による壁面構築方法においては、最下段のパネル2の背面に連結される転倒防止部材4およびアンカー鉄筋14の一端がアンカーボルト13に溶接されて固定された後、図3に示すように、アンカー鉄筋14と補強鉄筋11の下端側とが結束筋15によって固定される。その後、アンカー鉄筋14の余剰部分14aを残す高さまで最下段のパネル2の背面にコンクリートが打設されて、最下層の層3aの裏込めコンクリート3が形成される。
最下層の層3aの裏込めコンクリート3が打設された翌日、次に、図4に示すように、アンカー鉄筋14の、最下層の層3aの裏込めコンクリート3の表面から突出する余剰部分14aに一端を固定した転倒防止部材4によって転倒を防止して、最下層の層3aの裏込めコンクリート3の前面を覆う最下段のパネル2上に次段の2段目のパネル2を積み上げる工程が行われる。
次に、最下層の層3aの裏込めコンクリート3に下端側が埋設された補強鉄筋11の上端側に、上層の層3cの裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出することとなる第2の補強鉄筋11の下端側が結束筋15によって固定される。その後、補強鉄筋11の余剰部分11aを残す高さまで2段目のパネル2の背面にコンクリートが打設されて、下層の層3bの裏込めコンクリート3が形成される。この結果、次段の2段目のパネル2の背後に形成される下層の層3bの裏込めコンクリート3中に、第2の補強鉄筋11の下端側と共に、補強鉄筋11の上端側がその余剰部分11aを残して埋設されて本固定される。
下層の層3bの裏込めコンクリート3が打設された翌日、次に、図5に示すように、補強鉄筋11の、下層の層3bの裏込めコンクリート3の表面から突出する余剰部分11aに一端を固定した転倒防止部材4によって転倒を防止して、下層の層3bの裏込めコンクリート3の前面を覆う2段目のパネル2上に次段の3段目のパネル2を積み上げる工程が行われる。
次に、下層の層3bの裏込めコンクリート3に下端側が埋設された第2の補強鉄筋11の上端側に、新たな下層の層3dの裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出することとなる新たな補強鉄筋11の下端側が結束筋15によって固定される。その後、第2の補強鉄筋11の余剰部分11aを残す高さまで3段目のパネル2の背面にコンクリートが打設されて、上層の層3cの裏込めコンクリート3が形成される。この結果、次段の3段目のパネル2の背後に形成される上層の層3cの裏込めコンクリート3中に、新たな補強鉄筋11の下端側と共に、第2の補強鉄筋11の上端側がその余剰部分11aを残して埋設されて本固定される。
上層の層3cの裏込めコンクリート3が打設された翌日、次に、図6に示すように、第2の補強鉄筋11の、上層の層3cの裏込めコンクリート3の表面から突出する余剰部分11aに一端を固定した転倒防止部材4によって転倒を防止して、上層の層3cの裏込めコンクリート3の前面を覆う3段目のパネル2上に次段の4段目のパネル2を積み上げる工程が行われる。
次に、上層の層3cの裏込めコンクリート3に下端側が埋設された新たな補強鉄筋11の上端側に、図示しない新たな上層の裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出することとなる新たな第2の補強鉄筋11の下端側が結束筋15によって固定される。その後、新たな補強鉄筋11の余剰部分11aを残す高さまで4段目のパネル2の背面にコンクリートが打設されて、新たな下層の層3dの裏込めコンクリート3が形成される。この結果、次段の4段目のパネル2の背後に形成される新たな下層の層3dの裏込めコンクリート3中に、新たな第2の補強鉄筋11の下端側と共に、新たな補強鉄筋11の上端側がその余剰部分11aを残して埋設されて本固定される。
新たな下層の層3dの裏込めコンクリート3が打設された翌日、次に、図7に示すように、新たな補強鉄筋11の、新たな下層の層3dの裏込めコンクリート3の表面から突出する余剰部分11aに一端を固定した転倒防止部材4によって転倒を防止して、新たな下層の層3dの裏込めコンクリート3の前面を覆う4段目のパネル2上に次段の5段目のパネル2を積み上げる工程が行われる。
このような他の実施形態による壁面構築方法によれば、下層の裏込めコンクリート3の前面を覆うパネル2上に積み上げられる次段のパネル2は、下層の裏込めコンクリート3の表面に突出する補強鉄筋11の余剰部分11aに一端が固定された転倒防止部材4によって転倒が防止されると共に、下層の裏込めコンクリート3に下端側が埋設された第2の補強鉄筋11の上端側に、新たな下層の裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出することとなる新たな補強鉄筋11の下端側が固定されてから、背後にコンクリートが打設される。したがって、新たに設けられる補強鉄筋11の下端側は、下層の裏込めコンクリート3上に上層の裏込めコンクリート3が打設される前に配置されてから、上層の裏込めコンクリート3に埋設されて本固定される。
壁面1の背面側に作業スペースを確保できる現場では、下層の裏込めコンクリート3上に上層の裏込めコンクリート3を打設して、壁面1の背後側の地山等から、上層の裏込めコンクリート3が固化する前に、新たに設けられる補強鉄筋11の下端側を上層の裏込めコンクリート3に埋設させることができる。しかし、壁面1の背面側に作業スペースを確保できない現場では、壁面1の背後側から、固化する前の上層の裏込めコンクリート3に新たに設けられる補強鉄筋11の下端側を埋設させることはやり難く、壁面1の前面側に足場を組んで、壁面前面側の足場上から補強鉄筋11の下端側を埋設させる等の作業が必要になる。しかしながら、この他の実施形態による壁面構築方法によれば、前日の打設である程度固化した下層の裏込めコンクリート3に作業者が乗って、上層の裏込めコンクリート3が打設されることとなる空間に、新たに設けられる補強鉄筋11の下端側を予め配置することができる。このため、壁面1の前面側に足場を組んだりする作業等を行うことなく、壁面1を構築する現場に応じて、最適な壁面構築方法を選択することができる。
また、この他の実施形態による壁面構築方法によっても、下層の裏込めコンクリート3を打設して、補強鉄筋11の上端側を埋設する下層の裏込めコンクリート3が補強鉄筋11の上端側が変形しない程度に固化した翌日には、補強鉄筋11の余剰部分11aが表面から突出する下層の裏込めコンクリート3上に上層の裏込めコンクリート3を打設することが可能になり、従来の養生時間を設ける必要はない。また、この他の実施形態による壁面構築方法でも、従来の支持鉄筋は不要になるため、壁面構築に必要とされる部材が減ると共に、補強鉄筋11の施工とは別に支持鉄筋の施工をする工程が削減される。また、補強鉄筋11の余剰部分11aによって支持鉄筋を構成しながら、余剰部分11a以外の補強鉄筋11の残余の部分によって裏込めコンクリート3の一体化が図れる。この結果、壁面1を迅速にかつ安価にしかも堅固に構築することが可能な壁面構築方法を、壁面1の各施工現場に合った方法で提供することが可能になる。
なお、上記の一実施形態による壁面構築方法および他の実施形態による壁面構築方法では、下層の裏込めコンクリート3が打設された翌日、パネル2を転倒防止部材4によって転倒を防止して積み上げ、下層の裏込めコンクリート3上に上層の裏込めコンクリートを打設する場合について説明した。しかし、前述したように、下層の裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出させる補強鉄筋11は、下端側が、古い上層の裏込めコンクリート3に埋設されて、古い上層の裏込めコンクリート3によって固定されている。このため、下層の裏込めコンクリート3が打設された直後に、パネル2を転倒防止部材4によって転倒を防止して積み上げるようにしてもよい。
このような壁面構築順によれば、壁面1の敷設延長長さが10m〜20m程度の短い場合、1日に、上層と下層との2層分についての裏込めコンクリート3を打ち重ねることができる。例えば、下層の裏込めコンクリート3を早朝に打設した後、直ちにパネル2を積み上げ、転倒防止部材4を取り付けて転倒を防止し、例えば午後3時頃まで下層の裏込めコンクリート3の養生時間を取る。その後、その当日に、上層の裏込めコンクリート3を打設して、その後、直ちにパネル2を積み上げ、転倒防止部材4を取り付けて転倒を防止する。翌日、同様な作業工程を繰り返していくことで、1日当たり2層分の裏込めコンクリート3を打ち重ねることができ、迅速に壁面1を上方向に構築することができる。
したがって、壁面1の敷設延長長さが短く、直ぐに10m〜20m程度の敷設延長長さに1層分の壁面1の施工が終わってしまい、その日の作業時間が余って作業ロスが生じてしまう場合などに、極めて有効な壁面構築順となる。また、壁面1を迅速に上方向に構築する必要がある場合、例えば、法面等の地山に擁壁を構築する現場で、掘削した不安定な法面が降雨などで崩壊するリスクがある場合などに、上記の施工順で1日当たり2層分の裏込めコンクリートを打ち重ねることで、壁面1を必要な高さまで迅速に構築してリスクを低減させたりすることができる。なお、1日当たり2層分を構築する上記の施工において、硬化が早い早強コンクリートを裏込めコンクリート3に使用することで、裏込めコンクリート3の養生が短時間でより確実に行えるようになる。
また、裏込めコンクリート3が打設された直後に、パネル2を転倒防止部材4によって転倒を防止して積み上げ、その日のうちにパネル2の設置を済ませて作業工程をできる限り進めておくことで、翌日の作業に余裕をとって他の作業を入れることなども可能になる。
また、上記の一実施形態による壁面構築方法および他の実施形態による壁面構築方法は、壁面1の敷設延長長さが100m程度あり、1層分の壁面1の施工に2日かかるような現場において、迅速に壁面1を上方向に構築する必要がある場合、例えば、上記のように法面等の地山に擁壁を構築する現場で、掘削した不安定な法面が降雨などで崩壊するリスクがある場合などにも、有効となる。
つまり、壁面1の敷設延長長さが100m程度あって長い場合、通常は、裏込めコンクリート3の1層目の最初の50m分を1日目、残りの1層目の50m分を2日目、2層目の最初の50m分を3日目、残りの2層目の50m分を4日目と施工して行くところ、上記のように迅速に壁面1を上方向に構築する必要がある場合には、裏込めコンクリート3の1層目の最初の50m分を1日目に構築した翌日の2日目に、2層目の最初の50m分を1層目の上に構築し、2層目を構築した翌日の3日目に、3層目の最初の50m分を2層目の上に構築する、というように層を連日積み重ねて、必要高さまで迅速に上方向に壁面1を構築することができる。100mの残りの50m分の構築は、必要高さまで最初の50m分を構築した後に行うことで、上記の崩壊リスクを低減させることができる。
このように上記の一実施形態による壁面構築方法および他の実施形態による壁面構築方法は、各現場の施工条件や施工長等に合わせて適宜1日の施工順を選択することで、作業ロスを低減して効率よく迅速に壁面1を構築することができる。
また、上記の各実施形態による壁面構築方法および壁面構造では、1段分のパネル2の背後に1層分の裏込めコンクリート3を設ける場合について説明したが、次のように、2段分のパネル2の背後に1層分の裏込めコンクリート3を設けるように構成することもできる。つまり、パネル2の背後の裏込めコンクリート3の層の厚さが厚くなる、高い高さの壁面1においては、パネル2から補強鉄筋11の余剰部分11aまでの距離が長くなる。したがって、余剰部分11aとパネル2の背後の寸切りボルト7との間を連結する転倒防止部材4の傾斜角は緩くなる。このため、パネル2を2段設置する毎に、下段のパネル2の背後の空間において裏込めコンクリート3の層の表面から突出する余剰部分11aと、下段および上段の各パネル2の背後の寸切りボルト7との間に転倒防止部材4を連結させても、各転倒防止部材4が裏込めコンクリート3の層の表面と成す角度は鋭角に保たれる。つまり、各転倒防止部材4は、のけぞることなく、下段および上段の各パネル2からかかる荷重を受け止め、また、背後からの裏込めコンクリート3の側圧によって下段および上段の各パネル2から引っ張られる引張り力を余剰部分11aに伝えて、下段および上段の各パネル2の転倒を防止することができる。
よって、パネル2を2段積み上げる毎に、2段分のパネル2について転倒を防止する転倒防止部材4を取り付け、それら2段分のパネル2の背後に1層分の裏込めコンクリート3を打設して行くことで、パネル2を多段に積み上げながらパネル2の背面に順次裏込めコンクリート3を複数層形成して、壁面1を構築することができる。この場合においても、補強鉄筋11の長さを、2層分の裏込めコンクリート3より所定長の余剰部分11aだけ長い長さに設定することで、下層の裏込めコンクリート3の表面に余剰部分11aを突出させる補強鉄筋11は、下層の裏込めコンクリート3に上端側、下層の裏込めコンクリート3のさらに下層にある、前日に打設された古い上層の裏込めコンクリート3に下端側が埋設されて固定される。したがって、このような構成によっても、上記の各実施形態による壁面構築方法および壁面構造と同様な作用効果が奏される。
上記の各実施形態による壁面構築方法および壁面構造は、擁壁に適用したり、ダムにおける砂や水の堰き止め壁などに適用することができる。
1…壁面、2…パネル、3…裏込めコンクリート、3a,3b,3c,3d…層、4…転倒防止部材、5,6…連結部材、7…寸切りボルト、8…ナット、9…調整ボルト、11(11,11,11,11)…補強鉄筋、11a…余剰部分、12…基礎ブロック、13…アンカーボルト、14…アンカー鉄筋、14a…余剰部分、15…結束筋、20…引き抜き型枠

Claims (5)

  1. 転倒防止部材によって転倒を防止したパネルの背面にコンクリートを打設する工程を繰り返し行って、パネルを積み上げながらパネルの背面に順次裏込めコンクリートを複数層形成して壁面を構築する壁面構築方法において、
    2層分の裏込めコンクリートより所定長の余剰部分だけ長い長さの補強鉄筋の、下層の裏込めコンクリートの表面から突出する前記余剰部分に一端を固定した転倒防止部材によって転倒を防止して、下層の裏込めコンクリートの前面を覆うパネル上に次段のパネルを積み上げる工程と、
    前記下層の裏込めコンクリート上にコンクリートを打設して前記次段のパネルの背後に形成される上層の裏込めコンクリート中に、前記下層の裏込めコンクリートに下端側が埋設された第2の前記補強鉄筋の上端側を前記余剰部分を残して埋設する工程と、
    前記上層の裏込めコンクリートが固化する前に、新たな前記下層の裏込めコンクリートの表面に前記余剰部分を突出することとなる新たな前記補強鉄筋の下端側を前記上層の裏込めコンクリートに埋設する工程と、
    固化した前記下層の裏込めコンクリートに下端側が埋設されて固定され、前記上層の裏込めコンクリートの表面に突出する第2の前記補強鉄筋の前記余剰部分に一端を固定した転倒防止部材によって転倒を防止して、前記上層の裏込めコンクリートの前面を覆う前記次段のパネル上に次々段のパネルを積み上げる工程と、
    前記上層の裏込めコンクリート上にコンクリートを打設して前記次々段のパネルの背後に形成される新たな前記下層の裏込めコンクリート中に、前記上層の裏込めコンクリートに下端側が固定された新たな前記補強鉄筋の上端側を前記余剰部分を残して埋設する工程と
    を備えることを特徴とする壁面構築方法。
  2. 転倒防止部材によって転倒を防止したパネルの背面にコンクリートを打設する工程を繰り返し行って、パネルを積み上げながらパネルの背面に順次裏込めコンクリートを複数層形成して壁面を構築する壁面構築方法において、
    2層分の裏込めコンクリートより所定長の余剰部分だけ長い長さの補強鉄筋の、下層の裏込めコンクリートの表面から突出する前記余剰部分に一端を固定した転倒防止部材によって転倒を防止して、下層の裏込めコンクリートの前面を覆うパネル上に次段のパネルを積み上げる工程と、
    前記下層の裏込めコンクリートに下端側が埋設された第2の前記補強鉄筋の上端側に、新たな前記下層の裏込めコンクリートの表面に前記余剰部分を突出することとなる新たな前記補強鉄筋の下端側を固定する工程と、
    前記下層の裏込めコンクリート上にコンクリートを打設して前記次段のパネルの背後に形成される上層の裏込めコンクリート中に、新たな前記補強鉄筋の下端側と共に、第2の前記補強鉄筋の上端側を前記余剰部分を残して埋設する工程と、
    固化した前記下層の裏込めコンクリートに下端側が埋設されて固定され、前記上層の裏込めコンクリートの表面に突出する第2の前記補強鉄筋の前記余剰部分に一端を固定した転倒防止部材によって転倒を防止して、前記上層の裏込めコンクリートの前面を覆う前記次段のパネル上に次々段のパネルを積み上げる工程と、
    前記上層の裏込めコンクリートに下端側が埋設された新たな前記補強鉄筋の上端側に、新たな前記上層の裏込めコンクリートに上端側が埋設されることとなる新たな第2の前記補強鉄筋の下端側を固定する工程と、
    前記上層の裏込めコンクリート上にコンクリートを打設して前記次々段のパネルの背後に形成される新たな前記下層の裏込めコンクリート中に、新たな第2の前記補強鉄筋の下端側と共に、前記上層の裏込めコンクリートに下端側が固定された新たな前記補強鉄筋の上端側を前記余剰部分を残して埋設する工程と
    を備えることを特徴とする壁面構築方法。
  3. パネルを積み上げる前記工程は、
    下段のパネルに設けられた連結部材の下段のパネルから突出した端部が上段のパネルの背面に当接して上段のパネルの背面を押さえることで、上段のパネルの壁面背面側へ倒れる力を受け、上段のパネルに設けられた連結部材の上段のパネルから突出した端部が下段のパネルの背面に当接して下段のパネルの背面を押さえることで、上段のパネルの下部が壁面表面側へ迫り出すのを止めて、上段のパネルを下段のパネル上に自立させてから、
    前記余剰部分に転倒防止部材の一端を固定して、下段のパネル上の次段の上段のパネルが転倒するのを転倒防止部材によって防止する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の壁面構築方法。
  4. 転倒防止部材によって転倒がそれぞれ防止されて多段に積み上げられた複数のパネルと、各パネルの背面にコンクリートが打設されて複数層に形成される裏込めコンクリートとから構成される壁面構造において、
    2層分の裏込めコンクリートより所定長の余剰部分だけ長い長さを有し、下端側が下層の裏込めコンクリートに固定され、上端側が上層の裏込めコンクリートの表面に前記余剰部分を突出させて固定されて、上方に設けられるものの前記下端側および下方に設けられるものの前記上端側が最下層および最上層を除く裏込めコンクリートの各層に重複して配される複数の補強鉄筋を備え、
    前記余剰部分に、前記余剰部分が突出する裏込めコンクリートの層の前面を覆うパネルの上段に積まれるパネルの転倒を防止する前記転倒防止部材の一端が固定される
    ことを特徴とする壁面構造。
  5. 下段のパネルから突出した端部が上段のパネルの背面に当接して上段のパネルの背面を押さえることで、上段のパネルの壁面背面側へ倒れる力を受ける、下段のパネルに設けられた連結部材と、
    上段のパネルから突出した端部が下段のパネルの背面に当接して下段のパネルの背面を押さえることで、上段のパネルの下部が壁面表面側へ迫り出すのを止めて、上段のパネルを下段のパネル上に自立させる、上段のパネルに設けられた連結部材と
    を備えることを特徴とする請求項4に記載の壁面構造。
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