JP2010168808A - 防護壁及び防護壁形成方法 - Google Patents

防護壁及び防護壁形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、骨材のまわり込みを確実なものとし、且つ、厚さを低減することが可能な防護壁及び防護壁形成方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 地盤に埋め込まれる杭部2Aと、当該杭部2Aに連接されて地盤より立ち上がる柱部2Bとを有して柱状に形成され、前面の敷地Aよりも高位に地盤面を有する急傾斜面Bに沿って所定間隔で建てこまれる複数の親杭鋼材2と、該複数の親杭鋼材2の柱部2Bと、これら柱部2Bの一部又は全部の周囲に設けられる複数本の鉄筋6とを覆って形成されるコンクリート壁体4とを備え、該コンクリート壁体4は、急傾斜面Bに沿いつつ、該複数の親杭鋼材2の柱部2Bを横切って配設される複数本の横筋6aと、各横筋6aを親杭鋼材2に当接させた状態で支持する鉄筋支持手段7とを備えて構成したことを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、居室を有する建物等の周囲に形成される防護壁及び防護壁形成方法に関する。
従来、高さ2m程度の切土、或いは、高さ1mを超える盛土等によって生じる崖や、急傾斜地又は水路等の如く高低差が生じる地盤条件において、高地盤の側面となる急傾斜面に対向させて建物を建設する場合には、地震や豪雨後の地すべり等に起因する高地盤の崩壊による土砂流出に対し、建物の安全を確保するため、建物本体の外壁や基礎の構造的配慮を行う以外に、当該建物と急傾斜地との間に防護壁を設置することが知られている。土砂の傾れ込み発生時に防護壁に作用する荷重に起因する防護壁の転倒を防止すべく比較的大型の基礎底盤が建物側に向けて延設されることが一般的な設計として知られている。
この様に従来の防護壁においては、基礎底盤が建物側に比較的大きく延設されるため、当該防護壁の基礎底盤が建物の基礎や当該基礎を支持する杭と交叉してしまい、著しく施工が困難となってしまう虞がある。また、当該施工を避けるべく建物を設計することとなると、建物の設計が防護壁の存在によって著しく制限されてしまうという問題も生じる。
また、施工現場の環境、地層、地形、地盤性状又は施工条件等によっては、大型の基礎底盤を施工し難い状態が生じる。
かかる問題を解決すべく、特許文献1には、上記急傾斜面に対向して設けられる防護壁であって、杭と、杭に立設される柱材と、柱材間に掛け渡される面材と、該面材及び柱材と急傾斜面間に設けられる充填部と、を備えた構成が提案されている。当該構成においては、充填部により土砂が受け止められる。また、杭先端と、柱材及び面材の先端の間に充填部が存在しているため、柱材や面材の先端に土砂によるモーメントが作用する場合であっても、当該モーメントの殆どは充填材に受け止められ、僅かなモーメントが杭先端に作用するのみであるので、当該防護壁構造の転倒は防止されることとなる。
特開2008−82042号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の構成は、柱材及び面材からなる壁部と急傾斜面との間に充填部が存在するものであって、例えば当該急傾斜面が隣地境界線よりも向こう側に存在する場合には、充填部を設けることができないという問題があった。また、壁部と充填部とにより形成される構成であるため、防護壁構造としての厚さが著しく長大となり、狭小敷地には採用することができないという問題もある。(かかる問題を解決すべく、充填部を除去することが考えられるが、そうすると、杭、柱材、面材のみで土砂に対向することとなり、当該土砂からの荷重によるモーメントに充分対抗することができないことが考えられる。)さらには、上記特許文献1の構成においては、柱材の一部が露出しているため、当該柱材に錆等を生じる可能性は少なくなく、そうすると、当該錆等によって柱材の性能が局所的に低下し、これによって壁部全体の耐力をも低下させてしまう虞もあった。また、面材の後面側に補強コンクリートを打設する構成となっているが、当該面材は縦断面視でコ字状を呈しており、当該面材を積層する構成に対して補強コンクリート中の骨材等を充分に充填することができず、これによって、施工不良を招来してしまう虞がある。
そこで、本発明は、急傾斜面が隣地境界線の向こう側に位置する場合でも設置することができ、さらに、厚さを低減することを可能とし且つコンクリートの骨材のまわり込みを確実なものとすることができる防護壁及び防護壁形成方法を提供する。
前記目的を達成するための本発明に係る防護壁の第1の構成は、地盤に埋め込まれる杭部と、当該杭部に連接されて地盤より立ち上がる柱部と、を有して柱状に形成され、急傾斜面に沿って所定間隔で建てこまれる複数の親杭鋼材と、前記複数の親杭鋼材の柱部をコンクリートにより覆って形成されるコンクリート壁体とを備え、該コンクリート壁体は、前記急傾斜面に沿いつつ、前記複数の親杭鋼材の柱部の前面を横切って配設される前側鉄筋と、前記複数の親杭鋼材の柱部の後面を横切って配設される後側鉄筋と、これら各鉄筋を親杭鋼材に当接させた状態で支持する鉄筋支持手段と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明に係る防護壁の第2の構成は、前記第1の構成において、前記鉄筋支持手段は、前記親杭鋼材の柱部に留め付けられる留付け部と、前記鉄筋に締結される又は前記鉄筋を載置する座部と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明に係る防護壁の第3の構成は、前記第2の構成において、前記親杭鋼材の柱部は、前記コンクリート壁体の壁芯に平行又は略平行な法線を有する小口面を備え、該小口面に前記鉄筋支持手段の留付け部が溶接固定されていることを特徴とする。
また、本発明に係る防護壁の第4の構成は、地盤に埋め込まれる杭部と、当該杭部に連接されて地盤より立ち上がる柱部と、を有して柱状に形成され、急傾斜面に沿って所定間隔で建てこまれる複数の親杭鋼材と、前記複数の親杭鋼材をコンクリートにより覆って形成されるコンクリート壁体とを備え、該コンクリート壁体は、前記複数の親杭鋼材の柱部に当接した状態で設けられる自立可能な金網鉄筋を柱部の前側と後ろ側に夫々備えていることを特徴とする。
また、本発明に係る防護壁形成方法は、地盤に埋め込まれる杭部と、当該杭部に連接されて地盤より立ち上がる柱部と、を有して柱状に形成される親杭鋼材を、急傾斜面に沿って前記杭部を地盤に埋設した状態で所定間隔で建てこみ、前記親杭鋼材の柱部に鉄筋を当接させた状態で当該鉄筋を支持する鉄筋支持手段を各親杭鋼材の柱部に取り付けた後、当該鉄筋支持手段に支持させた状態で複数本の鉄筋を前記急傾斜面に沿わせつつ、且つ複数の親杭鋼材の柱部の前側と後側を横切らせた状態で配設し、その後、前記親杭鋼材の柱部と前記複数本の鉄筋とを覆うコンクリートを打設してコンクリート壁体を形成することを特徴とする。
本発明において、急傾斜面とは、客観的に防護壁が必要であると判断し得るような傾斜面であれば良く、傾斜の角度や高低差を限定するものではない。このような急傾斜面としては、例えば、がけ地、切土、盛土、法面などがあり、更に、耐用年数に達した土留め構造や擁壁によって補強されている傾斜面といった構造上不健全な傾斜面等も含むものである。
本発明の防護壁及び防護壁形成方法によれば、骨材のまわり込みを確実なものとし、且つ、厚さを低減することができる。
即ち、本発明に係る防護壁の第1の構成によれば、親杭鋼材の柱部と鉄筋とが互いに当接しあった状態で設けられるので、そもそもこれらの間に骨材を回り込ませることなくコンクリートを打設することができ、コンクリートの打設不良に起因する施工不良を確実に抑制することができる。また、鉄筋を親杭鋼材の柱部に当接させた状態で設けるので、当該鉄筋からのかぶり厚を確保した状態で型枠を形成してコンクリートを打設することで防護壁が形成されることとなり、これによって、防護壁全体の厚さを低減させることができる。即ち、{かぶり厚+鉄筋径+親杭鋼材の厚さ+鉄筋径+かぶり厚}で防護壁の厚さを規定することができ、厚さを抑えた防護壁の設計が可能となる。
また、コンクリート壁体によって土砂を受け止めると共に、当該土砂によるモーメントを地中に埋設された杭部で受けることとなり、かかる荷重にも充分に対抗することができる。
また、本発明に係る防護壁の第2の構成によれば、親杭鋼材の柱部に鉄筋支持手段の留め付け部を予め留めつけておき、当該鉄筋支持手段の座部に鉄筋を載置することで配筋を完了させることができ、きわめて簡便且つ高効率な作業で施工を行うことができる。
ところで、防護壁は、背土からの土圧に充分に対抗すべく、防護壁の厚さ方向に対する曲げ強度を可及的に向上させることを要するが、本発明に係る防護壁の第3の構成によれば、鉄筋支持手段は親杭鋼材の小口面に溶接されるため、当該親杭鋼材の低地盤側の側面又は高地盤側の側面を溶接により損傷又は靭性を低下させる虞はなく、これによって、当該親杭鋼材の柱部の防護壁の厚さ方向に対する曲げ強度を低下させることなく、鉄筋支持手段を親杭鋼材に溶接により固着させことができるのである。
尚、ここで、親杭鋼材の小口面とは、親杭鋼材がH型鋼であれば、フランジの端面を小口面とし、親杭鋼材が角型鋼管であれば両側の面を小口面とする。
また、本発明に係る壁防護壁の第4の構成によれば、親杭鋼材と金網鉄筋とが互いに当接しあった状態で設けられるので、そもそもこれらの間に骨材を回り込ませることなくコンクリートを打設することができ、コンクリートの打設不良に起因する施工不良を確実に抑制することができる。また、金網鉄筋を親杭鋼材に当接させた状態で設けるので、当該金網鉄筋からのかぶり厚を確保した状態で型枠を形成してコンクリートを打設することで防護壁が形成されることとなり、これによって、防護壁全体の厚さを低減させることができる。即ち、{かぶり厚+金網鉄筋の厚さ+親杭鋼材の厚さ+金網鉄筋の厚さ+かぶり厚}で防護壁の厚さを規定することができ、著しく厚さの小さい防護壁の設計が可能となる。
また、本発明に係る防護壁形成方法によれば、親杭鋼材と鉄筋とが互いに当接しあった状態で設けられるので、そもそもこれらの間に骨材を回り込ませることなくコンクリートを打設することができ、コンクリートの打設不良に起因する施工不良を確実に抑制することができる。また、鉄筋を親杭鋼材に当接させた状態で設けるので、当該鉄筋からのかぶり厚を確保した状態で型枠を形成してコンクリートを打設することで防護壁が形成されることとなり、これによって、防護壁全体の厚さを低減させることができる。
本発明に係る防護壁と急斜面との関係の説明図である。 本発明に係る防護壁の構成を示す正面説明図である。 本発明に係る防護壁の構成を示す断面説明図である。 本発明に係る防護壁の構成を示す平面図である。 H型鋼からなる親杭鋼材の小口面に取り付けた鉄筋支持手段に鉄筋を載置した様子を示す斜視図である。 鉄筋支持手段の他の構成を示す平明説明図である。 親杭鋼材の柱部に金網鉄筋を自立して当接させ、鉄筋金網同士を鉄線等により締結した様子を示す断面説明図である。 親杭鋼材の柱部に金網鉄筋を自立して当接させ、親杭鋼材の小口面に取り付けた鉄筋支持手段に鉄筋金網を引っ掛けて支持した様子を示す断面説明図である。
以下、図1〜図8に基づき、本発明を住宅の防護壁に実施した形態につき、詳細に説明する。
本発明に係る防護壁1は、図1(a)、(b)に示すように、建物建設予定地や建物建設地等を含む敷地Aが急傾斜面Bに接しているような場合、当該敷地A内における急傾斜面Bとの間に設けられるものであって、急傾斜面Bが敷地Aに向けて崩れたときに、崩れた土砂に対抗して敷地Aに入り込むことを防止するものである。
前述したように、急傾斜面Bの傾斜角度や高低差等の条件は限定するものではなく、がけ地、切土、盛土、法面を含み、同図(b)に示すように、現在は土留め構造50が構成されているものの、この土留め構造50が耐用年数に達しているなど万全とはいえず、将来崩壊する虞があるような斜面も含んでいる。
防護壁1の高さは限定するものではなく、急傾斜面Bの高さに応じて適宜設定される。また、防護壁1の厚さも同様に該防護壁1の高さに応じて適宜設定される。すなわち、高さが低い急傾斜面Bに対応する部位に構成される防護壁1は低い高さであって良く、高い急傾斜面Bに対応する部位に構成される防護壁1は高い高さで且つ充分な厚さに構成される。
<第1実施形態>
防護壁1は、該防護壁1の壁芯に沿って所定間隔を隔てて形成される地中杭部5と、当該地中杭部5に立設される親杭鋼材2と、当該親杭鋼材2を包囲する鉄筋コンクリート構造のコンクリート壁体4とを備えている。
地中杭部5は、アースオーガー等の掘削機を用いて敷地Aを円筒状に掘削するプレボーリング施工により、所定の径Dで深さLにまで掘進して杭孔3を形成し、各杭孔3にモルタルやその他の凝固材を混合し、凝固材を固化させることにより柱状の地中杭部5を構築する。また、当該モルタルが硬化する前に親杭鋼材2を各杭孔3に挿入して埋設する。そして、地中杭部5の凝固材が固化することにより、地中杭部5と親杭鋼材2とが一体化された防護壁1の基礎部が構築される。
図4及び図5に示す如く、親杭鋼材2は、一対のフランジ2aの中央部をウェブ2bで連結して形成されるH型鋼(或いはI型鋼)により形成されている。また、図3に示す如く、親杭鋼材2は、地中杭部5内に埋設される杭部2Aと、該杭部2Aに連接されると共に、当該地中杭部5から立設されてコンクリート壁体4に埋設される柱部2Bとを備えている。杭部2Aと柱部2Bとをあわせた親杭鋼材2の全長は、防護壁1の高さと地中杭部5の長さとをあわせた長さに相当する長さに形成されており、該親杭鋼材2は、地中杭部5内に埋設した状態で杭部2Aの下端縁部が地中杭部5の底部に達すると共に、柱部2Bの上端縁部は防護壁1の高さよりも僅かに低い位置に達している。
また、親杭鋼材2は、図4に示すように、一対のフランジ2aを壁芯に沿って平行とした状態で設置されており、これによって、一方のフランジ2aは急傾斜面Bに沿って対向するとともに、他方のフランジ2aは敷地A側の空間に対向することとなる。
なお、本実施形態においては、親杭鋼材2の一例として、高さが低い急傾斜面Bに対応する防護壁1では、[H−125×125×6×9]のH型鋼が採用されており、その全長は5850mmのものが採用されている。また、高さが高い急傾斜面Bに対応する防護壁1では、[H−125×125×7×10]のH型鋼が採用されており、その全長は7200mmのものが採用されている。しかし、親杭鋼材2を前記仕様に限定するものではないことは当然である。
コンクリート壁体4は、縦横の壁筋を配筋した鉄筋コンクリート構造によって構築されている。該鉄筋6は、親杭鋼材2の柱部2B間に所定間隔で設けられる複数本の縦筋6bと、防護壁1の壁芯に沿って伸びて該複数本の縦筋6b及び親杭鋼材2と交叉する複数本の横筋6aとを備えている。鉄筋6は親杭鋼材2の柱部2Bと該柱部2Bの一部又は全部の周囲に設けられる。
縦筋6bは、隣接する親杭鋼材2の柱部2Bの間に複数本(本実施形態においては3本〜5本)所定間隔を空けて配置されている。また、これら各縦筋6bのうち、敷地A側に配置される縦筋6bは、親杭鋼材2の柱部2Bの敷地A側に対向する他方のフランジ2aの表面よりも急傾斜面B側となる位置に配置されており、これによって、これら親杭鋼材2の柱部2Bの敷地A側に対向する他方のフランジ2a、縦筋6bの敷地A側端縁は同一平面上、若しくは略同一平面上に位置している。なお、縦筋6bは、D10〜D13の異形鉄筋を採用することが好ましく、本実施形態の縦筋6bは、D10の異形鉄筋を採用している。
横筋6aは、親杭鋼材2の柱部2Bのフランジ2aの外方側にて上下方向に所定間隔を空けて複数本(本実施形態においては6本〜7本)水平状に配置されており、鉄筋支持手段7を介して親杭鋼材2に支持され、複数の親杭鋼材2の柱部2Bを横切って配設される。
鉄筋支持手段7は、横筋6aを親杭鋼材2の柱部2Bに当接させた状態で位置付けるものであって、図5に示す如く、親杭鋼材2の一方のフランジ2a表面から他方のフランジ2a表面までの長さに夫々のフランジ2aに沿って当接配置される横筋6aの鉄筋径を加えた長さを有する棒状に形成されており、該鉄筋支持手段7の各端部を親杭鋼材2の柱部2Bのフランジ2aの表面よりも外側に突出させた状態で当該柱部2Bの一対のフランジ2a間に架設されている。
また、該鉄筋支持手段7は、その留付け部が親杭鋼材2の柱部2Bの各フランジ2aの小口面(フランジ2aの端面)に溶接により結合されて親杭鋼材2の柱部2Bに留め付けられており、これによって、鉄筋支持手段7は親杭鋼材2の柱部2Bに強固に固着される一方、溶接時に発生する熱等により該親杭鋼材2の柱部2Bの各フランジ2aの表面に対し部分的な靭性の低下(脆性の向上)や強度変化が可及的に抑制されることとなる。また、両端部がそれぞれ親杭鋼材2の柱部2Bのフランジ2a表面よりも外方に突出することとなり、これによって両端部が横筋6aを支持する座部を形成する。
即ち、親杭鋼材2の柱部2Bは、該親杭鋼材2の設置方向と交叉する方向に延設されて敷地A側の側面と急傾斜面B側の側面とを連結する小口面を備え、該小口面に鉄筋支持手段7の留付け部が溶接固定されている。また、当該小口面は、親杭鋼材2の柱部2Bの側面のうち、コンクリート壁体4の壁芯(防護壁1の厚み方向の中央となる面)に平行又は略平行な法線を有する面であれば、いずれの面でも構わない。
尚、本実施形態では、H型鋼からなる親杭鋼材2の小口面は、フランジ2aの端面を小口面としたが、親杭鋼材2を角型鋼管で構成することも出来、この場合の小口面は角型鋼管の両側の面とすることが出来る。
横筋6aは、上述の如く親杭鋼材2の柱部2Bに架設された鉄筋支持手段7の端部に載置された状態で配置されており、該鉄筋支持手段7に溶接又は鉄線による締結により固定されている。これによって、横筋6aは、親杭鋼材2の柱部2Bのフランジ2aの表面に当接した状態で配置されることとなり、横筋6aと親杭鋼材2の柱部2Bのフランジ2aの間にコンクリート8の骨材等が侵入可能な隙間が生じることはない。
なお、横筋6aは、D10〜D13の異形鉄筋を採用することが好ましく、本実施形態の横筋6aは、D13の異形鉄筋を採用している。
また、これら鉄筋6及び親杭鋼材2の柱部2Bを覆うコンクリート8は、セメント成分、水、粗骨材、細骨材、混和材を適当な割合で調合して構成されるものであって、上記親杭鋼材2の柱部2B及び鉄筋6を包囲した状態で型枠を配し、当該型枠内に流し込んだ後、所定期間を設けることで壁形状に形成されて硬化する。
また、親杭鋼材2の柱部2Bの間となる複数の位置には、比較的下部となる位置に水抜き管9を設けておくことが好ましい。該水抜き管9は、急傾斜面Bが崩壊してコンクリート壁体4に土砂が堰き止められた後、急傾斜面Bからのコンクリート壁体4に作用する水圧を減少させるべく、当該急傾斜面B内の水分を敷地Aに向けて排水するためのものであって、少なくともコンクリート壁体4の壁厚以上の長さを有してコンクリート壁体4の表裏を貫通して設けられている。もちろん、水抜き管9を設けない構成も採用可能である。
本実施形態は以上の構成からなるものであって、次に、本実施形態の防護壁1の形成方法について説明する。図1に示す如く、敷地Aは、地中杭部5、親杭鋼材2の設置及び型枠の配置等の施工のために略平坦面に整地される。
なお、防護壁1の施工において、敷地Aの整地範囲は、上記施工を作業可能な最小限の範囲に限定される。即ち、防護壁1の施工においては、従来の防護壁施工方法と異なり、フーチング(底盤)を敷設するための施工のために敷地Aを大きく掘削することを要しない。
次に、オーガ併用の杭打ち機等によって、杭孔3を掘削した後、当該杭孔3にモルタルを投入して地中杭部5を形成する。この際、モルタル投入と前後して各杭孔3に親杭鋼材2を挿入し、当該親杭鋼材2の下端部を杭孔3の底部に到達させる。また、地中杭部5の深さや親杭鋼材2の高さは、防護壁1の設計によって隣接する親杭鋼材2間でも適宜異なる場合があるので、親杭鋼材2は、地中杭部5の杭長と設計予定の防護壁1の高さとをあわせた長さ以上のものを予め搬入しておき、親杭鋼材2の杭部2Aを杭孔3内に挿入し、モルタルを硬化させた後に上部を切断することで所望の高さを確保することとしている。
また、親杭鋼材2を杭孔3に挿入するにつき、各親杭鋼材2は、フランジ2aの表面を山留防護壁防護壁1の壁芯(防護壁1の厚み方向の中央となる面)に平行な状態として(或いはウェブ2bの向きを壁芯に垂直として)各杭孔3に挿入する。そして、全杭孔3に対して親杭鋼材2を挿入した後、地中杭部5のモルタルが硬化する前に、各親杭鋼材2を地盤に対し鉛直に立設させるべく位置調整を行う。その後、モルタルが硬化することにより、各親杭鋼材2は地盤に対し鉛直を維持した状態で固定され、一方の親杭鋼材2の柱部2Bの一方のフランジ2aは急傾斜面B側に対向し、他方のフランジ2aは敷地A側に対向する。
次に、配筋施工に移行することとなるが、当該配筋施工においては、先ず、鉄筋支持手段7を各親杭鋼材2の柱部2Bに取り付ける。ここで、鉄筋支持手段7は、その軸心を山留防護壁防護壁1の壁芯(防護壁1の厚み方向の中央となる面)に対し垂直となる姿勢で各親杭鋼材2の一方の側方にて一対のフランジ2a間に架け渡された状態で設けられ、各フランジ2aの小口面に溶接により固定されている。また、鉄筋支持手段7は、この様に各親杭鋼材2の側部に取り付けられた状態で、各端部がフランジ2aの表面よりも外方に突出している。これにより、当該鉄筋支持手段7は、小口面との溶接箇所が留付け部となり、フランジ2aの表面より突出する端部が座部となる。
この様に各親杭鋼材2の柱部2Bの上下に亘って複数個の鉄筋支持手段7を取り付けた後、横筋6aを配筋していく。具体的には、各親杭鋼材2のフランジ2aを横切らせた状態で防護壁1の壁芯(防護壁1の厚み方向の中央となる面)方向に平行な姿勢で、或いは急傾斜面Bに沿う姿勢で横筋6aを配置すると共に、かかる姿勢で各鉄筋支持手段7の端部上に横筋6aを載置し、当該横筋6aと鉄筋支持手段7とを溶接により接合又は鉄線により締結する。これによって、各親杭鋼材2のフランジ2aの表面に横筋6aが当接することとなり、これらの間にコンクリート8の骨材が通過可能な隙間が形成されることはない。
その後、横筋6aよりも防護壁1の内側となる位置に縦筋6bを配筋し、横筋6aと縦筋6bとを適宜締結する。そして、この様に鉄筋6を組み上げた後に水抜き管9を設置し、その後、これら親杭鋼材2、鉄筋6を包囲して型枠を組み上げ、当該型枠内にコンクリート8を打設する。なお、本実施形態においては、防護壁1の壁芯(防護壁1の厚み方向の中央となる面)方向に垂直となる方向で対向する型枠の対向面間の間隔は240mm〜280mm程度に設定されている。上述の如く横筋6aを親杭鋼材2に当接させた状態で配筋すると共に縦筋6bを横筋6aよりも防護壁1の内側となる位置で配筋しているため、配筋上最外となる横筋6aからのかぶり厚を適正に設けたとしても、この様に壁厚の小さい構成を採用可能となっているのである。
その後、コンクリート8の硬化後に型枠を解体し、急傾斜面Bおよび敷地A側に掘削土を埋め戻してコンクリート壁体4の下端部を埋設することにより、図2に示す防護壁1を形成する。
本実施形態の防護壁1によれば、骨材のまわり込みを確実なものとし、且つ、厚さを低減することができる。
即ち、親杭鋼材2と鉄筋6の横筋6aとが互いに当接しあった状態で設けられるので、そもそもこれらの間に骨材を回り込ませることなくコンクリート8を打設することができ、コンクリート8の打設不良に起因する施工不良を確実に抑制することができる。また、鉄筋6の横筋6aを親杭鋼材2に当接させた状態で設けるので、当該鉄筋6の横筋6aからのかぶり厚を確保した状態で型枠を形成してコンクリート8を打設することで防護壁1が形成されることとなり、これによって、防護壁1全体の厚さを低減させることができる。即ち、{かぶり厚+横筋6aの鉄筋径+親杭鋼材2の厚さ+横筋6aの鉄筋径+かぶり厚}で防護壁1の厚さを規定することができ、著しく厚さを抑えた防護壁1が形成されることとなる。
また、親杭鋼材2の柱部2Bに鉄筋支持手段7の留め付け部を予め留めつけておき、当該鉄筋支持手段7の座部に横筋6aを配備することで配筋を完了させることができ、きわめて簡便な作業での施工が行われることとなる。
また、防護壁1は、急傾斜面Bが崩壊したときや崩壊後に受け止めた土砂を長期にわたって受け止めておく場合に当該土砂からなる背土からの土圧に対向すべく、防護壁1の厚さ方向となる面外方向に対する曲げ強度を可及的に向上させることを要するが、上記構成によれば、鉄筋支持手段7は親杭鋼材2の小口面に溶接されるため、当該親杭鋼材2の敷地A側の側面又は急傾斜面B側の側面を溶接により損傷又は靭性を低下させる虞はなく、これによって、当該親杭鋼材2の柱部2Bの防護壁1の厚さ方向に対する曲げ強度を低下を防ぎつつ鉄筋支持手段7を親杭鋼材2に溶接により固着させことができるのである。
また、親杭鋼材2と横筋6aとが互いに当接しあった状態で設けられるので、そもそもこれらの間に骨材を回り込ませることなくコンクリート8を打設することができ、コンクリート8の打設不良に起因する施工不良を確実に抑制することができる。また、横筋6aを親杭鋼材2に当接させた状態で設けるので、当該横筋6aからのかぶり厚を確保した状態で型枠を形成してコンクリート8を打設することで防護壁1が形成されることとなり、これによって、防護壁1全体の厚さを低減させることができる。
また、親杭鋼材2のフランジ2aの面が溶接等による強度上の損傷から免れることとなるので、親杭鋼材2の柱部2Bは、急傾斜面B側から加えられる可能性のある土圧による曲げモーメント等の加重にも耐えることができ、これによって、親杭鋼材2を土圧に対する支持部材として有効に機能させることができる。
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態を示している。当該実施形態においては、鉄筋支持手段7の構成が上記第1実施形態と異なるものの、他の構成は同一であるので、鉄筋支持手段7の構成についてのみ詳述し、他の構成については上記第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
図6に示す如く、本実施形態の鉄筋支持手段7は、鉄筋6の横筋6aを支持する鉄筋支持部材7aと、当該鉄筋支持部材7aを親杭鋼材2の柱部2Bに留め付けるための留め付け部材(留め付け部)7bとを備えている。
鉄筋支持部材7aは、親杭鋼材2の一対のフランジ2a間を伸びる架け渡し部7a1と、当該架け渡し部7a1の先端から突設されてフランジ2aの裏面に当接する平板状の当接部7a2と、当該当接部7a2の先端からフランジ2aの表面側に向けて延設されて鉄筋6の横筋6aを載置して支持する座部となる鉄筋支持台部7a3とを備えている。
また、留め付け部材7bは、前記鉄筋支持部材7aの当接部7a2を押圧する脚部7b1を有する一対の棒状の押圧部材7b2と、これら一対の押圧部材7b2に螺合するターンバックル7b3とを備えている。
当該鉄筋支持手段7においては、鉄筋支持部材7aの各当接部7a2をそれぞれ親杭鋼材2の柱部2Bのフランジ2aの裏面に当接させた状態でこれら一対のフランジ2a間に鉄筋支持部材7aを収容し、その後、これら一対の当接部7a2間に留め付け部材7bを配備し、当該留め付け部材7bのターンバックル7b3を捻ることによって押圧部材7b2を当接部7a2にそれぞれ当接させ、当該当接部7a2をフランジ2aに押圧させることによってこれら一対のフランジ2a間に鉄筋支持手段7を固定させるのである。
上記鉄筋支持手段7によれば、溶接等を要することなく親杭鋼材2に取り付けることが可能となり、取付が著しく容易となるばかりでなく、取付に伴って親杭鋼材2のフランジ2aに損傷を与える虞はなく、これによって、上記第1実施形態よりもさらに親杭鋼材2の強度維持が図られることとなるのである。
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態を示している。当該実施形態においては、鉄筋6の構成が上記第1実施形態と異なるものの、他の構成は同一であるので、急傾斜面B側のコンクリート壁体4の構成についてのみ詳述し、他の構成については上記第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
本実施形態においては、鉄筋6の代わりに自立可能な鉄筋金網(溶接金網)13を採用している。当該鉄筋金網13は、縦筋13bと横筋13aとを予め溶接等により所定間隔で接合したものであって、親杭鋼材2の柱部2Bに立掛けることで起立状態を維持することが可能である。
一対の鉄筋金網13を親杭鋼材2の柱部2Bのフランジ2aに沿ってそれぞれ起立させて互いに対向させ、これら互いに対向している鉄筋金網13どうしを鉄線14等により締結することにより、鉄筋金網13を親杭鋼材2の柱部2Bのフランジ2aに当接させた状態で起立させる。この後、コンクリート8を打設することによってコンクリート壁体4を形成し、防護壁1が完成する。
本実施形態においては、一対の鉄筋金網13どうしを締結することで当該鉄筋金網13を親杭鋼材2の柱部2Bのフランジ2aに当接させた状態で起立させることができ、上記第1実施形態よりもさらに容易に防護壁1の施工を行うことが可能となっている。
また、本実施形態においては、図8に示す如く、親杭鋼材2の適当な高さ位置に鉄筋支持手段7を取り付け、当該鉄筋支持手段7に鉄筋金網13の横筋13a部を引っ掛ける(載置する)ことで、当該鉄筋金網13を親杭鋼材2の柱部2Bに当接させた状態で支持する構成を採用することも可能である。
以上、本発明の防護壁1の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではない。また、鉄筋支持手段の座部は、横筋を載置する構成となっているが、当該横筋を懸下する構成を採用することも可能である。
本発明の活用例として、急傾斜面に隣接した居室を有する建物等の敷地形成に供する防護壁及び防護壁形成方法に適用出来る。
A…敷地
B…急傾斜面
1…防護壁
2…親杭鋼材
2A…杭部
2B…柱部
2a…フランジ
2b…ウェブ
3…杭孔
4…コンクリート壁体
5…地中杭部
6…鉄筋
6a…横筋
6b…縦筋
7…鉄筋支持手段
7a…鉄筋支持部材
7a1…架け渡し部
7a2…当接部
7a3…鉄筋支持台部
7b…留め付け部材
7b1…脚部
7b2…押圧部材
7b3…ターンバックル
8…コンクリート
9…水抜き管
13…鉄筋金網
13a…横筋
13b…縦筋
14…鉄線

Claims (5)

  1. 地盤に埋め込まれる杭部と、当該杭部に連接されて地盤より立ち上がる柱部と、を有して柱状に形成され、急傾斜面に沿って所定間隔で建てこまれる複数の親杭鋼材と、前記複数の親杭鋼材の柱部をコンクリートにより覆って形成されるコンクリート壁体とを備え、
    該コンクリート壁体は、前記急傾斜面に沿いつつ、前記複数の親杭鋼材の柱部の前面を横切って配設される前側鉄筋と、前記複数の親杭鋼材の柱部の後面を横切って配設される後側鉄筋と、これら各鉄筋を親杭鋼材に当接させた状態で支持する鉄筋支持手段と、を備えていることを特徴とする防護壁。
  2. 前記鉄筋支持手段は、前記親杭鋼材の柱部に留め付けられる留付け部と、前記鉄筋に締結される又は前記鉄筋を載置する座部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の防護壁。
  3. 前記親杭鋼材の柱部は、前記コンクリート壁体の壁芯に平行又は略平行な法線を有する小口面を備え、該小口面に前記鉄筋支持手段の留付け部が溶接固定されていることを特徴とする請求項2に記載の防護壁。
  4. 地盤に埋め込まれる杭部と、当該杭部に連接されて地盤より立ち上がる柱部と、を有して柱状に形成され、急傾斜面に沿って所定間隔で建てこまれる複数の親杭鋼材と、前記複数の親杭鋼材をコンクリートにより覆って形成されるコンクリート壁体とを備え、
    該コンクリート壁体は、前記複数の親杭鋼材の柱部に当接した状態で設けられる自立可能な金網鉄筋を柱部の前側と後ろ側に夫々備えていることを特徴とする防護壁。
  5. 地盤に埋め込まれる杭部と、当該杭部に連接されて地盤より立ち上がる柱部と、を有して柱状に形成される親杭鋼材を、急傾斜面に沿って前記杭部を地盤に埋設した状態で所定間隔で建てこみ、
    前記親杭鋼材の柱部に鉄筋を当接させた状態で当該鉄筋を支持する鉄筋支持手段を各親杭鋼材の柱部に取り付けた後、当該鉄筋支持手段に支持させた状態で複数本の鉄筋を前記急傾斜面に沿わせつつ、且つ複数の親杭鋼材の柱部の前側と後側を横切らせた状態で配設し、その後、
    前記親杭鋼材の柱部と前記複数本の鉄筋とを覆うコンクリートを打設してコンクリート壁体を形成する、
    ことを特徴とする防護壁形成方法。
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