JP2015183366A - 盛土構造体の構造および構築方法 - Google Patents

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冬樹 南條
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Seiji Konishi
成治 小西
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光平 權藤
敬徳 白川
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敬徳 白川
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Takashi Shirakawa
岳 白川
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Kunitomo Sawara
邦朋 佐原
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正成 森岡
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【課題】切土量の大幅削減を図り、斜面谷側の作業足場や支保工を省略した簡易な施工で以て、安定性の高い盛土構造体を構築すること。
【解決手段】盛土体40の重量を支持する断面形状が逆台形を呈する場所打ちコンクリート製の床版10と、床版10から放射状に延出させた複数の補強杭50と、床版を貫通させて立設した支柱杭20とを具備し、擁壁30に作用する盛土体40の側圧を、支柱杭20を経由して床版10へ伝達し、床版10の接地面および複数の補強杭50を通じて斜面60に支持させるようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、安定性に優れた軽量盛土構造体または補強土壁構造体(以下「盛土構造体」という)の構造および構築方法に関する。
擁壁の設置位置にコンクリート製の基礎を設け、この基礎上に擁壁を組み立てる工程と、擁壁の背面に盛土材を充填する工程とを繰り返して構築する盛土構造体は広く知られている。
特許文献1には、盛土体の安定性を高める手段として、二枚の支圧板を具備したロックボルトを斜面に定着し、ロックボルトの頭部側を盛土体に埋設して一体化することが開示されている。
また特許文献2には擁壁から地山にかけてグラウンドアンカーを打設し、擁壁に作用する盛土材の側圧をグラウンドアンカーで支持することが開示されている。
特開2009−97176号公報 特開2009−221777号公報
前記した盛土構造体は次の問題点を有する。
<1>特許文献1,2に記載された盛土構造体を急峻な斜面上に構築する場合、擁壁の組み立て作業のために斜面谷側に作業足場や支保工等の仮設資材を設置しなければならない。
仮設資材を使用することで施工コストが高くなるだけでなく、仮設資材の組み立てと撤去に多くの時間と労力を要して作業性が悪い。
<2>支圧板付きの多数のロックボルトを使用する特許文献1に記載された盛土構造体では、資材コストが嵩む問題を有しているだけでなく、ロックボルトを設置するためにボーリングマシンを使った穿孔作業と、ボーリング孔内に長尺のロックボルトを挿入する作業と、ロックボルトの頭部側に二枚の支圧板を設置する作業が必要であり、ロックボルトの設置に多くの作業工数がかかるといった問題がある。
さらに擁壁の自立性が低いために、盛土材の充填作業時に盛土材の側圧によって擁壁が倒れる恐れがある。
<3>特許文献1に記載された盛土構造体は盛土体の背面側をロックボルトで支持する構造であり、盛土体の全体を支持する構造にはなっていない。
したがって、盛土構造体の大型化や、地震の発生に伴い擁壁に作用する盛土体の側圧が大きくなると、擁壁が崩壊する危険がある。
<4>長尺のグラウンドアンカーで盛土体の全体を支持する特許文献2に記載された盛土構造体は、盛土体の安定性が高いものの、長尺で大型のグラウンドアンカーを使用することから資材コストと施工コストが高くつくといった問題がある。
<5>盛土構造体の設置現場の斜面が軟弱である場合は、斜面から反力を得るためのロックボルトやグラウンドアンカーの定着長を長くしたり、ボルトやアンカーの設置数を増やしたりしなければならず、工期が長くかかるだけでなく工費も高くつく。
<6>図9に示すように、一般的な盛土構造体において、擁壁aを支持する基礎として、断面が略台形を呈するコンクリート製の基礎bを設置する場合がある。
この場合には、基礎bの底面の斜面山側端部pを起点として斜面cの本来の位置より水平距離L分だけ後退させて切土して、山側斜面c1を安定勾配に形成しなければならない。
そのため、大量の切土が発生するだけでなく、地上部に住宅や道路等の既設構造物が存在すると、山側斜面c1の安定勾配を得るために山側斜面c1を水平距離L分だけ後退することができない
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところはつぎの盛土構造体の構造および構築方法を提供することにある。
<1>斜面谷側の作業足場や支保工を省略した簡易な施工で以て、安定性の高い盛土構造体を構築すること。
<2>支持地盤が軟弱であったり、大規模地震が発生したりしたときでも、盛土構造体の安定姿勢を保持できること。
<3>切土量の大幅削減が図れること。
本発明は、斜面に複数のパネルを組み立てて立設した擁壁の背面に盛土材を充填して盛土体を構築した盛土構造体であって、前記盛土体の重量を支持する場所打ちコンクリート製の床版と、前記床版に全長に亘って形成し、該床版の底面または背面から地中へ向けて放射状に延出させた複数の補強杭と、前記床版を貫通させて立設し、床版の上方へ突出した部位で擁壁を支持する複数の支柱杭とを具備し、前記床版の断面形状が逆台形を呈しており、前記擁壁に作用する盛土体の側圧を、支柱杭を経由して床版へ伝達し、床版の接地面および複数の補強杭を通じて斜面に支持させたことを特徴とする。
本発明の他の形態において、支柱杭の床版の上方へ突出した部位と斜面との間に単数または複数の控材を設け、擁壁に作用する盛土体の側圧を、支柱杭を介して控材に支持させてもよい。
本発明の他の形態において、前記床版から延出した複数の補強杭により床版の周囲に補強地盤を形成し、支柱杭を経由して床版へ伝達する盛土体の側圧を前記複数の補強杭を通じて補強地盤に支持させる。
本発明の他の形態において、前記支柱杭は床版の上面から上向きに突出して擁壁を支える支柱部と、床版の底面から下向きに突出して床版を安定化させる杭部とを有する。
前記支柱杭の支柱部と杭部とは別部材として形成してもよい。
さらに本発明は、斜面に複数のパネルを組み立てて擁壁を立設し、該擁壁の背面に盛土材を充填して盛土体を構築する盛土構造体の構築方法であって、斜面に開設した横溝内に断面形状が逆台形を呈する場所打ちコンクリート製の床版を構築し、前記床版は該床版の底面または背面から地中へ向けて放射状に延出させた複数の補強杭と、前記床版を貫通させて立設した複数の支柱杭とを具備し、前記擁壁と床版の上方へ突出した支柱杭との間を連結要素で連結し、擁壁に作用する盛土材の側圧を支柱杭、床版、および複数の補強杭で支持しながら、擁壁の背面に盛土材を充填して盛土体を構築することを特徴とする。
本発明の他の形態において、前記床版の上方へ突出した支柱杭と斜面との間に単数または複数の控材を設け、擁壁に作用する盛土材の側圧を前記控材で支持した状態で、擁壁の背面に盛土材を充填して盛土体を構築してもよい。
本発明の他の形態において、前記横溝の谷側面に捨型枠を設置し、溝底に支柱杭を貫入し、溝底および山側の背面に補強杭を先行して構築した横溝内にコンクリートを打設して、床版に支柱杭および複数の補強杭を一体化する。
本発明の他の形態において、前記床版から延出した複数の補強杭により床版の周囲に補強地盤を形成する。
前記支柱杭は、床版の上面から上向きに突出して擁壁を支える支柱部と、床版の底面から下向きに突出して床版を安定化させる杭部とを有する。
前記盛土材としては軽量盛土を用いてもよい。
本発明は以上説明したとおりであるから、つぎの効果のうち少なくともひとつを得ることができる。
<1>床版や硬化した盛土材の上面を利用して作業を行えるとともに、擁壁を支柱杭に支持させるようにした。
したがって、斜面谷側の作業足場や支保工を省略して、効率よく盛土構造体を構築することができる。
<2>床版から放射状に複数の補強杭を延出させて床版の安定性を高めた。
したがって、擁壁および支柱杭を通じて作用する盛土体の側圧を床版および複数の補強杭で効率よく分散して支持できるとともに、擁壁の孕み変形も効果的に阻止できる。
<3>床版に複数の補強杭を延出させたことで、床版の安定性が格段に向上する。
そのため、斜面が軟弱であったり、大規模地震が発生したりしても、盛土構造体の安定した姿勢を保持することができる。
<4>床版の断面形状が逆台形を呈することで斜面の切土量を大幅に削減できるとともに、斜面の勾配に影響を受けずに施工できるから、急斜面に面して盛土構造体を構築することができる。
<5>支柱杭を介して盛土体の側圧を控材で支持することで、少ない控材で以て多数のパネルを同時に支持できるだけでなく、盛土構造体の安定性がより高くなる。
本発明に係る一部を破断した盛土構造体の斜視図 盛土構造体の横断面図 床版の拡大断面図 盛土構造体の構築方法の説明図で、補強杭の構築工程の説明図 盛土構造体の構築方法の説明図で、捨型枠の設置工程の説明図 盛土構造体の構築方法の説明図で、跳ねるの組み立てと盛土材の充填工程の説明図 本発明の変形例に係る一盛土構造体の横断面図 控材を用いた本発明の他の実施形態に係る盛土構造体の部分断面図 断面が台形の基礎を斜面に設置するときの斜面の断面図
以下、図1〜6を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
<1>盛土構造体の概要。
図1,2を参照して説明すると、本発明に係る盛土構造体は、斜面60の横方向に向けて設置する床版10と、床版10に立設した支柱杭20と、支柱杭20に支持させて組み立てた擁壁30と、擁壁30の背面に盛土材を充填して構築した盛土体40とを具備する。
床版10は地中に放射状に打設した複数の補強杭50を具備する。
<2>床版。
床版10は擁壁30に作用する流動性を有する盛土材の側圧を、支柱杭20を介して支持する構造体である。
図3を参照して説明すると、床版10は断面が逆台形を呈していて、床版10の前面(谷側側面)11は鉛直であり、背面(山側側面)12は斜面60の傾斜方向と同一方向に傾斜させたオーバーハング面として形成してあり、さらに略水平に形成した上面13の横断幅L1は底面14の横断幅L2より大きい関係にある。
床版10の背面12を斜面60の傾斜方向と同一方向に傾斜させたのは、斜面60の切土量を削減するためであり、床版10の上面13の横断幅L1を底面14より大きくしたのは、上面13を作業ヤードや資材のストックヤードとして有効活用するためである。
床版10の素材としては、場所打ちコンクリート以外に、例えばALC(軽量気泡コンクリート)、繊維補強コンクリート、ポリマーコンクリート、樹脂含浸コンクリート等を適用することができる。
床版10の安定性確保のためには床版10に所定の重量を付与することが望ましいが、床版10に具備させた複数の補強杭50で床版10の安定性を確保できることから、特に床版10を重量物として形成する必要性はない。
<3>擁壁。
擁壁30は盛土体40の前面を覆う複数のパネル31で構成する。
パネル31としては、公知のコンクリート製の擁壁パネルや擁壁ブロックの他に、樹脂製パネルや捨て型枠等を使用することもできる。
各パネル31は公知の連結要素32を介して支柱杭20に支持させる。連結要素32はパネル31と支柱杭20との間を、一定間隔を保持して連結するための連結具であり、例えば棒体、ベルト等を適用できる。
<4>盛土体。
盛土体40を構成する盛土材としては、例えば気泡混合材等を含む軽量盛土、発泡ウレタン、発泡スチロールブロック、土砂、コンクリート等を使用できる。
擁壁30の側圧負担を考慮すると、盛土材としては軽量盛土を使用することが望ましい。
<5>支柱杭。
支柱杭20は擁壁30を支える支柱機能と、床版10を安定化させる杭機能を併有した剛性部材であり、支柱部21と杭部22とを有する。
支柱杭20の素材としては、高剛性の管体、棒体、各種鋼材(H鋼、丸鋼、角鋼等)、コンクリート充填鋼管、またはPC材入りコンクリート充填鋼管等を使用でき、支柱杭20に求められる曲げ耐力に応じて適宜選択する。
床版10の上面13から上向きに突出した支柱部21は、連結要素32を介して擁壁30を支持するために機能し、擁壁30に作用する盛土材40の側圧に対抗可能な剛性を有する。
床版10の底面14から下向きに突出した杭部22は、補強杭50と協働して床版10の鉛直変位、横滑り、および転倒を防止するために機能する。
<6>補強杭。
補強杭50は床版10と一体に設けた杭体であり、床版10の変位を拘束する抵抗部材として機能するだけでなく、床版10を設置した周辺地盤の補強機能を有する。
従来の鉛直方向に設ける支持杭と異なり、補強杭50は床版10の背面12および底面14を貫通して放射状(斜め)に設ける。
補強杭50としては、鋼棒等の芯材51を直接地中に打設してもよいが、図示するようにグラウト材52を注入した杭孔53に芯材51を貫入して構築すると、上記した補強杭50の機能をより発揮することができる。
また本例では芯材51の頭部に支圧板54を付設して補強杭50と床版10の一体性を高める形態を示すが、支圧板54は必須ではなく、省略する場合もある。
[盛土構造体の構築方法]
つぎに既述した盛土構造体の構築方法について説明する。
<1>横溝の開設。
図4を参照して説明すると、擁壁を設置予定の斜面60に連続した横溝61を開削する。横溝61は床版10の底面14および背面12の寸法と勾配に合わせて形成する。
本例では、横溝61の谷側面を鉛直に形成し、溝底を水平に形成し、横溝61の山側面を斜面60の傾斜方向と同一方向に傾斜させて形成している。
<1.1>断面台形の床版の場合の切土量について。
仮に断面形状が台形の床版を構築しようとすると、床版の背面の傾斜方向が斜面の傾斜方向と交錯する。そのため、横溝を開削するためには、床版の底面の斜面山側端部を起点として斜面を大量に切土しなければならない。
<1.2>断面逆台形の床版の場合の切土量について。
これに対し本発明では、断面形状が逆台形を呈する床版10を構築するに際し、床版10の背面12の傾斜方向が斜面60の傾斜方向と同じになる。
そのため、横溝61の上方の山側斜面を大幅に切土せずに施工ができ、また切土する場合でも必要最小限の切土で済む。
<2>補強杭の構築。
図4に示すように、横溝61の溝底と山側面に所定の深さの杭孔53を削孔し、グラウト材52を充填した各杭孔53に芯材51を貫入して、複数の補強杭50を構築する。
各補強杭50を構成する芯材51の頭部は横溝61内に露出させておく。
補強杭50の本数、設置方向、貫入深さは、現場の状況に応じて適宜選択する。
<3>支柱杭の立設。
図5を参照して説明すると、横溝61の溝底に所定の間隔を隔てて複数の支柱杭20を鉛直に立設する。
本例では支柱杭20の下半の杭部22を直接地山へ圧入する場合を示すが、既述した補強杭50と同様にグラウト材を充填した杭孔に挿入して定着するようにしてもよい。
横溝61の溝底を作業ヤードとして活用できるので、支柱杭20の立設作業のために斜面谷側に作業足場を設ける必要がない。
<4>床版の構築。
以下の工程を経て横溝61内に床版10を構築する。
<4.1>捨型枠の組み立て。
図5に示すように横溝61の谷側面に床版構築用の捨型枠35を組み立て、支柱杭20から反力を得て捨型枠35を支持し得るように、捨型枠35の背面と支柱杭20との間を連結要素32で連結する。横溝61の両端開放部も図示しない捨型枠を使用して封鎖する。
捨型枠35はコンクリートの打設後に脱型しない型枠であり、鋼製、コンクリート製、樹脂製、木製等の型枠を適用することができる。
横溝61の溝底を作業ヤードに活用して捨型枠35の組み立て作業が行えるとともに、捨型枠35を支柱杭20で支持できるので、斜面谷側に作業足場や支保工を設ける必要がない。
<4.2>コンクリートの打設。
捨型枠35で包囲した横溝61内にコンクリートを打設して、図3に示すような断面逆台形の床版10を構築する。
横溝61内にコンクリートを打設することで、支柱杭20の中間部と各補強杭50の頭部が床版10と一体化する。
床版10の上面13には支柱杭20を構成する支柱部21が鉛直に突出する。
<4.2.1>支柱杭によるコンクリ―ト打設圧の支持。
捨型枠35は連結要素32を介して支柱杭20に固定してあるので、捨型枠35に作用するコンクリートの打設圧を支柱杭20の剛性で支持することができる。
したがって、捨型枠35の外面にコンクリートの打設圧を支持するための支保工等を設けなくてよい。
さらに、コンクリートの打設後において、捨型枠35は勿論のこと、連結要素32も撤去せずに埋め殺しにするので、床版10の構築作業を簡略化できる。
<4.2.2>補強杭による地盤補強。
床版10はその全長に亘って背面12および底面14から放射状に延出した複数の補強杭50、および支柱杭20の杭部22を具備し、これらの複数の補強杭50、および杭部22が床版10の周囲の地山を補強して、図3の二点鎖線で示す範囲に補強地盤62を形成する。
したがって、斜面60が不安定な軟弱地盤であっても高い支持力で床版10を支持できるとともに、床版60の安定姿勢を確保できる。
<5>擁壁の構築。
図6を参照して床版10の上部に盛土体40を構築する工程について説明する。
本例では、擁壁30の組み立て作業と盛土材41の充填作業を複数回に分けて行う場合について説明するが、擁壁30の全高を組み立てた後に、擁壁30の背面側へ盛土材41を一括充填して盛土体40を構築してもよい。
<5.1>パネルの組み立て。
捨型枠35の上部、または床版10の上面13に複数のパネル31を組み立てた後、各パネル31の背面と支柱杭20の支柱部21との間を連結要素32で連結する。
床版10の上面13は、資材置き場として活用できるだけでなく、パネル31の組み立て作業やパネル31と支柱杭20の連結作業を行う際の作業足場としても活用できるので、斜面谷側の作業足場を省略できる。さらに連結要素32を介して各パネル31を支柱杭20の支柱部21に固定するので、パネル31の外面に支保工を設ける必要がない。
<5.2>盛土材の充填。
パネル31の背面側に盛土材41を層状に充填して盛土材41と床版10の間、および盛土材41とパネル31との間を一体化する。
擁壁30を構成する複数のパネル31は連結要素32を介して支柱杭20の支柱部21に固定してあるので、パネル31の背面に作用する盛土材41の側圧を支柱杭20、床版10、および複数の補強杭50で支持することができる。
<5.3>パネルの組み立てと盛土材の充填の繰り返し。
図2に示すように、硬化した既設の盛土材41の上面を利用して、既設のパネル31の上部に次段用のパネル31を組み立てる作業と、パネル31の背面に盛土材41を充填する作業を繰り返して、所定の高さの盛土体40を構築する。
擁壁30を支持する連結要素32および支柱杭20の支柱部21は盛土体30に埋設される。
擁壁30に作用する盛土体40の側圧は、支柱部21を経由して床版10へ伝達され、最終的に床版10の接地面および複数の補強杭50を通じて補強した補強地盤62で支持される。
なお、盛土体40の内部に水平にメッシュ状の補強材を埋設して盛土体40を補強する場合もある。
<6>盛土構造体の特性。
既述した他に盛土構造体は以下の特性を有する。
<6.1>盛土体の重量の分散支持。
盛土体40の全重量は、盛土体40が接する擁壁30の背面に位置する斜面60と、床版10の上面13とにより分担して支持される。
殊に、床版10はその底面14および背面12を支持面として盛土体40の重量を支持するだけでなく、床版10から延出した複数の補強杭50と支柱杭20の杭部22と協働して分散して支持することができる。
<6.2>盛土体の側圧の支持。
本発明では、連結要素32を介して擁壁30を支柱杭20の支柱部21に固定するとともに、支柱杭20と一体の床版10から放射状に複数の補強杭50を延出させて床版10の安定性を高めた支持構造になっている。
したがって、擁壁30に盛土体40の側圧が作用しても、この側圧を支柱杭20の支柱部21を通じて床版10および複数の補強杭50で効率よく支持できるだけでなく、擁壁30の孕み変形も効果的に阻止できる。
<6.3>回転モーメントに対する耐力。
断面逆台形の床版10の背面12が斜面60と同一方向に傾斜していることから、床版10には図面の時計回り方向の回転モーメントが発生する。
また床版10には、擁壁30および支柱杭20を通じて盛土体40の側圧に起因した半時計回り方向の回転(転倒)モーメントが発生する。
両回転モーメントの作用方向が逆の関係となるから、一部の回転モーメントが打ち消し合って、最終的に床版10に作用する回転モーメントが減少する。
本発明では、上記した回転モーメントの打ち消し合いの要因と、床版10から放射状に複数の補強杭50と支柱杭20の杭部22とを延出させて床版10の回転モーメントに対する耐力を高めた構造要因とにより、斜面谷側へ向けた床版10の転倒を確実に防止することができる。
<6.4>横滑りの防止。
床版10から放射状に延出した複数の補強杭50と支柱杭20の杭部22が床版10の横滑りの抵抗要因となる。
したがって、床版10の底面14が上面13と比べて小面積であっても、床版10の谷側へ向けた横滑りを確実に防止できる。
以降に他の変形例や実施形態について説明するが、その説明に際し、前記した実施形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
[変形例]
先の実施形態では支柱杭20を連続した一本もので構成する場合について説明したが、図7に示すように支柱杭20はそれぞれ独立して形成した支柱部21と杭部22とをジョイント具23で連結して構成してもよい。
本例では支柱部21の強度を杭部22と比べて高くした形態を示す。
支柱部21と杭部22とを分離して形成できれば、それぞれの部位に応じた要求強度(剛性)に合せて支柱杭20を経済的に形成することができる。
さらに、支柱杭20を分割したことで、支柱部21と杭部22の運搬性と取扱性がよくなる。
また先の実施形態では、床版10の構築に先行して支柱杭20を立設する場合について説明したが、床版10を先行して構築した後に、床版10に貫通させて支柱杭20を立設することも可能である。
この場合、床版10を構築する際に支柱杭20を貫挿可能な縦孔を形成しておく。
[他の実施形態]
図8には支柱杭20の支柱部21と背面の斜面60との間に単数または複数の控材25を設け、支柱部21に作用する盛土体40の側圧を控材25で分散して支持するようにした他の実施形態を示す。
控材25は引張耐力に優れた鋼材、ロープ材、ベルト材等を含み、連結具24を介して控材25の先端を固定し、控材25の基端を斜面60に固定する。
本例では擁壁30に作用する盛土材41の側圧を控材60で支持した状態で、擁壁30の背面に盛土材41を充填して盛土体40を構築する。
本例にあっては、支柱部21の剛性を高めずに支柱部21の曲げ抵抗を高めることができるので、盛土構造体の大型化、或いは大規模地震時において盛土体40の側圧が高くなったときでも盛土体40を安定して支持することができる。
また従来技術のように各パネルに控材を個別に接続しようとすると、多数の控材を必要とするが、控材25を支柱部21に接続することで、少ない控材25で以て多数のパネル31を同時に支持することができる。
10・・・・・床版
11・・・・・床版の前面
12・・・・・床版の背面
13・・・・・床版の上面
14・・・・・床版の底面
20・・・・・支柱杭
21・・・・・支柱部
22・・・・・杭部
23・・・・・ジョイント具
24・・・・・連結具
25・・・・・控材
30・・・・・擁壁
31・・・・・パネル
32・・・・・連結要素
35・・・・・捨型枠
40・・・・・盛土体
41・・・・・盛土材
50・・・・・補強杭
51・・・・・芯材
52・・・・・グラウト材
53・・・・・杭孔
54・・・・・支圧板
60・・・・・斜面
61・・・・・横溝
62・・・・・補強地盤

Claims (10)

  1. 斜面に複数のパネルを組み立てて立設した擁壁の背面に盛土材を充填して盛土体を構築した盛土構造体であって、
    前記盛土体の重量を支持する場所打ちコンクリート製の床版と、
    前記床版に全長に亘って形成し、該床版の底面または背面から地中へ向けて放射状に延出させた複数の補強杭と、
    前記床版を貫通させて立設し、床版の上方へ突出した部位で擁壁を支持する複数の支柱杭とを具備し、
    前記床版の断面形状が逆台形を呈しており、
    前記擁壁に作用する盛土体の側圧を、支柱杭を経由して床版へ伝達し、床版の接地面および複数の補強杭を通じて斜面に支持させたことを特徴とする、
    盛土構造体の構造。
  2. 支柱杭の床版の上方へ突出した部位と斜面との間に単数または複数の控材を設け、擁壁に作用する盛土体の側圧を、支柱杭を介して控材に支持させたことを特徴とする、請求項1に記載の盛土構造体の構造。
  3. 前記床版から延出した複数の補強杭により床版の周囲に補強地盤を形成し、支柱杭を経由して床版へ伝達する盛土体の側圧を前記複数の補強杭を通じて補強地盤に支持させたことを特徴とする、請求項1または2に記載の盛土構造体の構造。
  4. 前記支柱杭が床版の上面から上向きに突出して擁壁を支える支柱部と、床版の底面から下向きに突出して床版を安定化させる杭部とを有することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の盛土構造体の構造。
  5. 前記支柱杭の支柱部と杭部とを別部材で形成したことを特徴とする、請求項4に記載の盛土構造体の構造。
  6. 斜面に複数のパネルを組み立てて擁壁を立設し、該擁壁の背面に盛土材を充填して盛土体を構築する盛土構造体の構築方法であって、
    斜面に開設した横溝内に断面形状が逆台形を呈する場所打ちコンクリート製の床版を構築し、
    前記床版は該床版の底面または背面から地中へ向けて放射状に延出させた複数の補強杭と、
    前記床版を貫通させて立設した複数の支柱杭とを具備し、
    前記擁壁と床版の上方へ突出した支柱杭との間を連結要素で連結し、
    擁壁に作用する盛土材の側圧を支柱杭、床版、および複数の補強杭で支持しながら、擁壁の背面に盛土材を充填して盛土体を構築することを特徴とする、
    盛土構造体の構築方法。
  7. 前記床版の上方へ突出した支柱杭と斜面との間に単数または複数の控材を設け、擁壁に作用する盛土材の側圧を前記控材で支持した状態で、擁壁の背面に盛土材を充填して盛土体を構築することを特徴とする、請求項6に記載の盛土構造体の構築方法。
  8. 前記床版から延出した複数の補強杭により床版の周囲に補強地盤を形成したことを特徴とする、請求項6に記載の盛土構造体の構築方法。
  9. 前記横溝の谷側面に捨型枠を設置し、溝底に支柱杭を貫入し、溝底および山側の背面に補強杭を先行して構築した横溝内にコンクリートを打設して、床版に支柱杭および複数の補強杭を一体化したことを特徴とする、請求項6または7に記載の盛土構造体の構築方法。
  10. 前記支柱杭が床版の上面から上向きに突出して擁壁を支える支柱部と、床版の底面から下向きに突出して床版を安定化させる杭部とを有することを特徴とする、請求項6乃至9の何れか一項に記載の盛土構造体の構築方法。
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