JP2020088164A - 電気化学キャパシタ - Google Patents
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Abstract
Description
なお、亜鉛電極は、電解液に水を使えるため安全性に優れ、出力できる電圧と重量当たりの電力量が高く、しかも安価である。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の電気化学キャパシタは、正極、亜鉛負極、及び、ガス透過性のセパレータを含んで構成される電気化学キャパシタであって、該正極は、水素分解触媒を含む。
亜鉛負極を含んで構成される電気化学キャパシタにおける亜鉛負極近傍の反応は下記反応式で表される。
充放電反応:(充電)Zn+4OH−⇔Zn(OH)4 2−+2e−(放電)
亜鉛負極は、電極内に含まれる不純物と亜鉛との間で内部電池構造を形成しやすく、その際には、不純物近傍で下記水素発生反応を生じ、亜鉛側で上式の放電反応を生じる。
水素発生反応:2H2O+2e−→H2+2OH−
水素分解反応:H2+2OH−→2H2O+2e−
なお、水素発生反応で生じた水酸化物イオン(OH−)も、電解液等の電解質中で平衡状態を保つために自然に拡散され、セパレータを透過して正極側に供給される。
以下では、本発明の電気化学キャパシタを構成する正極、セパレータ、亜鉛負極、及び、電解質について順に説明する。
本発明の電気化学キャパシタにおける正極は、水素分解触媒を含む。
上記水素分解触媒は、水素分解反応を行うための触媒であり、例えば、Pt、Ru、Ir、Co、P、Ni、Fe、及び、Mnからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むもの;FeやCoを中心金属として有する多環化合物;タンタルを添加したタングステンカーバイド;周期表の第4族、第5族遷移金属(例えば、ジルコニウム)の酸化物、酸窒化物、窒化物;水素吸蔵合金として知られる合金(水素吸蔵合金)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
正極は、結着剤や導電助剤、溶媒等を加えてスラリー状とし、これを基板に塗布、乾燥して得ることができる。また、プレス成形してペレットとすることもできる。結着剤や導電助剤については、後述する。
本発明に係るセパレータは、正極と亜鉛負極とを隔離し、正極と亜鉛負極との間のイオン伝導性を確保する部材であるとともに、ガス透過性(水素ガス透過性)であればよい。
ガス透過性とは、透気度がガーレー値で10000秒以下であればよく、これにより亜鉛負極から発生する水素ガスを充分に透過することができる。該ガーレー値は、9500秒以下であることが好ましい。
また上記ガーレー値は、500秒以上であることが好ましく、1000秒以上であることがより好ましい。
上記ガーレー値は、実施例に記載のガーレー法により測定されるものである。ガーレー値は、気体の通過しやすさを表す指標であり、値が大きいほど気体を通しにくい。
なお、上記ガーレー値は、セパレータが複数の層が積層された積層体である場合は、積層体について測定されたガーレー値である。
本明細書中、上記アニオン伝導性膜は、電気化学キャパシタの反応に関与する水酸化物イオン等のアニオンを透過する膜であって、ポリマーと、無機化合物を含むものである。上記アニオン伝導性膜は、後述する無機化合物等の作用により、透過するアニオンの選択性を有する。なお、当該アニオンの選択性は、水酸化物イオン等のアニオンは透過しやすく、アニオンであってもイオン半径の大きな、活物質に由来する金属含有イオン(例えば、Zn(OH)4 2−)等の透過は充分に防止する。本明細書中、アニオン伝導性とは、水酸化物イオン等のイオン半径の小さなアニオンを充分に透過すること、ないし、当該アニオンの透過性能を意味する。金属含有イオン等のイオン半径の大きなアニオンは、より透過しにくいものであり、全く透過しなくても構わない。
上記ポリマーとしては、種々のものを用いることができ、熱可塑性、熱硬化性のいずれであってもよく、例えば、共役ジエン系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、含フッ素エチレン系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリエーテルケトン等が挙げられるが、中でも、共役ジエン系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、含フッ素エチレン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、及び、ポリスルホン系ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、上記ポリマーは、バインダーポリマーとして機能するものであることが好ましい。
モノマー成分の重合方法としては特に限定されず、例えば、水溶液重合法、乳化重合法、逆相懸濁重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の方法が挙げられる。
上記無機化合物は、特に限定されないが、例えば、酸化物、水酸化物、層状複水酸化物、及び、リン酸化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、中でも水酸化物及び/又は層状複水酸化物がより好ましい。なお、本明細書中、水酸化物は、ヒドロキシ基を有する化合物であって、層状複水酸化物以外のものを言う。
[M1 1−xM2 x(OH)2](An−)x/n・mH2O
(M1は、Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、Co、Cu、Mnのいずれかである二価金属イオンを表す。M2は、Al、Fe、Mn、Co、Cr、Inのいずれかである三価金属イオンを表す。An−は、Cl−、NO3 −、CO3 2−、COO−等の1価以上、3価以下のアニオンを表す。中でも、An−は、2価以下のアニオンを表すことが好ましい。mは0以上の数であり、nは1以上、3以下の数である。xは0.20以上、0.40以下の数である。)に代表される化合物であり、このような層状複水酸化物としては、例えば、ハイドロタルサイト、マナッセイト、モツコレアイト、スティッヒタイト、ショグレナイト、バーバートナイト、パイロアウライト、イオマイト、クロロマガルミナイト、ハイドロカルマイト、グリーン ラスト1、ベルチェリン、タコバイト、リーベサイト、ホネサイト、イヤードライト、メイキセネライト等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。中でも、工業的に利用が容易である点で、前記一般式におけるM1がMg、M2がAlであるハイドロタルサイトが好ましい。
なお、これら層状水酸化物は、例えば、150℃以上、900℃以下で焼成することにより脱水した化合物や層間内の陰イオンを分解させた化合物、層間内の陰イオンを水酸化物イオン等に交換した化合物であってもよい。
上記層状複水酸化物には、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が配位していてもよい。また、上記層状複水酸化物は層間内にポリマー等の有機物を有していてもよい。
上記無機化合物は、体積平均粒子径が2μm以下であるものが好ましい。また、該体積平均粒子径は、0.001μm以上であることが好ましく、0.01μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましい。
上記体積平均粒子径とは、体積基準の粒度分布における平均粒子径であり、無機化合物粒子を分散媒(0.2%ヘキサメタりん酸ナトリウム含有イオン交換水)で希釈し、得られた希釈液約10mLをガラスセルに採取し、これを動的光散乱法による粒度分布測定器(パーティクルサイジングシステムズ〔Particle Sizing Systems〕社製、商品名:NICOMP Model 380)を用いて測定されるものである。
上記セパレータがアニオン伝導性膜である場合、上記セパレータは、更に、ポリオレフィン系ポリマー等からなる多孔質支持体(多孔質基材)を有し、多孔質支持体にポリマーと無機化合物の混合物(樹脂組成物)が含浸した樹脂含浸層であってもよい。該セパレータは、通常、樹脂組成物を剥離基材上に塗工した後、多孔質支持体に接触・含浸させ、膜を乾燥させたうえで剥離基材から剥離して得ることができる。
上記セパレータは更に、従来公知の分散剤、増粘剤、導電性カーボン、導電性セラミックス等のその他の成分を含んでいてもよい。
上記セパレータにおけるその他の成分の含有割合は、セパレータの強度の観点からセパレータ100質量%中、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以下である。
上記平均膜厚は、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて任意の10点を測定した平均値である。
本発明の電気化学キャパシタは、亜鉛負極を含んで構成されるものである。
上記亜鉛負極は、負極活物質として亜鉛単体又は亜鉛化合物を含むものを意味する。亜鉛化合物は、活物質として用いることができるものであればよく、例えば、酸化亜鉛(JIS K1410(2006年)に規定する1種/2種/3種)や、水酸化亜鉛・硫化亜鉛・テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ金属塩・テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ土類金属塩・亜鉛ハロゲン化合物・亜鉛カルボキシラート化合物・亜鉛合金・亜鉛固溶体・ホウ酸亜鉛・リン酸亜鉛・リン酸水素亜鉛・ケイ酸亜鉛・アルミン酸亜鉛・炭酸化合物・炭酸水素化合物・硝酸化合物・硫酸化合物等に代表される周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する亜鉛(合金)化合物、有機亜鉛化合物、亜鉛化合物塩等が挙げられる。これらの中でも、亜鉛単体及び/又は酸化亜鉛が好ましい。
上記活物質層の平均厚みは、マイクロメーターにより任意に5点を測定して算出することができる。
上記集電体としては、(電解)銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板、導電性を付与した不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等を添加した(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等によりメッキされた(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;銀;電気化学キャパシタに集電体や容器として使用される材料等が挙げられる。
本発明の電気化学キャパシタに用いる電解質としては、固体電解質を使用してもよいが、電気化学キャパシタの電解液として通常用いられる電解液(より好適には、水系電解液)を好適に用いることができる。水系電解液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、硫酸亜鉛水溶液、硝酸亜鉛水溶液、リン酸亜鉛水溶液、酢酸亜鉛水溶液等が挙げられる。これらの中でも、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液といったアルカリ性電解質が好ましい。上記水系電解液における電解質は、1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液は、有機溶剤を含んでいてもよい。
本発明はまた、正極、亜鉛負極、及び、ガス透過性のセパレータを含んで構成される電気化学キャパシタを得るために用いられる正極であって、該正極は、水素分解触媒を含む正極であってもよい。
<膜厚の測定>
平均膜厚(μm)は、株式会社ミツトヨ製 デジマチックインジケータ 543−394を用いて任意に5点を測定し、その平均値として算出した。
JIS P 8117に準じて、ガーレー測定器を用いて、100ccの空気が透過する時間を測定した。
<平均粒子径>
上述した方法に従って測定されたものである。
下記セパレータで互いに隔離されるように下記2つの電極を、下記電解液を保持する正極槽と負極槽に配置して、真空ラミネートで密閉して、電気化学キャパシタ(ハイブリッドキャパシタ)を構築し、下記駆動条件等に沿って駆動した。
親水粒子として水酸化マグネシウム(平均粒子径250nm)、疎水粒子としてPTFE(平均粒子径300nm)を用い、体積比1:1となるように混合しスラリー化した分散液を不織布に含浸させてセパレータとした。ガーレー値は5000秒程度であった。
活性炭(比表面積1098m2/g)とPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)エマルション(Nv〔固形分〕60%)と水を20:2:50の質量割合で混合し、スラリー化したものをニッケル箔上へ塗布して作成した。
亜鉛と酸化亜鉛を1:1の質量割合で混合し、その混合粉とPTFEエマルション(Nv60%)と水を40:2:10の質量割合で混練し、ペースト化した後、Snメッキされたパンチング鋼板に圧延して作成した。
7mol/Lに調整したKOH水溶液(ZnO飽和量添加)
電極サイズ:3cm×3cm
駆動電流:1000mA(100C相当)
停止条件:充電1.5V、放電0.5V
正極に活性炭に対して5wt%のPt/C粉末(和光純薬社製)を添加し、その他は比較例1と同様としたところ、10000サイクル経過時にも膨張しなかった。
正極に活性炭に対して5wt%の水素吸蔵合金(AB5型のLaNi5、シグマアルドリッチ社製)を添加し、その他は比較例1と同様としたところ、10000サイクル経過時にも膨張しなかった。
正極に活性炭に対して5wt%の水素吸蔵合金(AB2型のZrMn2、シグマアルドリッチ社製)を添加し、その他は比較例1と同様としたところ、10000サイクル経過時にも膨張しなかった。
正極に活性炭に対して5wt%の水素吸蔵合金(AB型のTiFe、シグマアルドリッチ社製)を添加し、その他は比較例1と同様としたところ、10000サイクル経過時にも膨張しなかった。
正極に活性炭に対して5wt%の水素吸蔵合金(A2B型のMg2Ni、シグマアルドリッチ社製)を添加し、その他は比較例1と同様としたところ、10000サイクル経過時にも膨張しなかった。
Claims (5)
- 正極、亜鉛負極、及び、ガス透過性のセパレータを含んで構成される電気化学キャパシタであって、
該正極は、水素分解触媒を含むことを特徴とする電気化学キャパシタ。 - 前記水素分解触媒は、水素吸蔵合金を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学キャパシタ。
- 前記水素分解触媒は、Pt、Ru、Ir、Co、P、Ni、Fe、及び、Mnからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学キャパシタ。
- 前記電気化学キャパシタは、密閉されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気化学キャパシタ。
- 正極、亜鉛負極、及び、ガス透過性のセパレータを含んで構成される電気化学キャパシタを得るために用いられる正極であって、
該正極は、水素分解触媒を含むことを特徴とする正極。
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