JP2020083998A - 粘接着剤層、粘接着シート及び積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、「アクリル系樹脂」とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
上記アクリル系樹脂(A)としては、(メタ)アクリル系モノマーを主成分とし、必要に応じて、他の各種の重合性モノマーを含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂があげられる。
なお、「主成分とする」とは、重合成分全体に対して通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上含有することを意味する。
本発明で用いられるエポキシ系化合物(B)としては、単官能エポキシ系化合物、エポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ系化合物が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。そして、硬化後の剪断強度が高くなる傾向がある点で、エポキシ基を2つ以上有するエポキシ系化合物を含むことが好ましい。
ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラグリシジルエーテル等の4官能エポキシ系化合物;
ポリグリセロールペンタグリシジルエーテル、ペンタエリストールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリストールペンタグリシジルエーテル等の5官能エポキシ系化合物;
ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ジペンタエリストールヘキサグリシジルエーテル等の6官能エポキシ系化合物;
ポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ系化合物、クレゾールノボラック型エポキシ系化合物等の、他の多官能エポキシ系化合物;
等が挙げられる。
これらの中でも、特に、2官能以上のエポキシ系化合物が好ましく、3官能以上のエポキシ系化合物が更に好ましい。
上記エポキシ系化合物(B)の硬化剤として用いられる粉体硬化剤(C)は、エポキシ基と反応しうる活性基を有するものであって、粉体として調製されているものである。
その他の任意成分としては、例えば、カーボンや金属等の導電剤;金属粒子やガラス粒子等の無機フィラー;ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂等の粘着付与剤;充填剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;シランカップリング剤;イオン性化合物、過酸化物、ウレタン化触媒等の架橋促進剤;アセチルアセトン等の架橋遅延剤;等の各種添加剤が挙げられる。
後記の表1に示す3種類のアクリル系樹脂(A−1〜3)を、従来公知の手順にしたがって調製した。なお、アクリル系樹脂(A−1)を例にとってその詳細を具体的に説明する。
[アクリル系樹脂(A−1)の調製]
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、酢酸エチル72部、メチルエチルケトン24部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.036部仕込み、フラスコ加熱して内温が沸点に到達した後、メチルアクリレート(a1)74.5部、メチルメタクリレート20部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)5部、アクリル酸(a1)0.5部、酢酸エチル4部、重合開始剤0.036部の混合溶液を2時間にわたって滴下した。
その後反応を継続しながら、重合開始剤(AIBN)を2度追加し、7時間反応させたあと、酢酸エチルにて希釈し、アクリル系樹脂(A)溶液[固形分濃度38.0%、粘度13500mPa・s/25℃、アクリル系樹脂(A):重量平均分子量(Mw)40.2万、分散度(Mw/Mn)3.3、ガラス転移温度(Tg)21.5℃]を得た。
エポキシ系化合物(B)として、以下のものを用いた。
(B−1):トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル骨格、エポキシ当量140g/mol、粘度130mPa・s(25℃)、全塩素量7.5(長瀬ケムテックス社製、デナコールEX−321)
粉体硬化剤(C)として、以下のものを用いた。
(C−1):アジピン酸ジヒドラジド(三菱ケミカル社製、ADH)
(C−2):ジシアンジアミド(三菱ケミカル社製、DICY7、50%粒径3μm、最大粒径25μm)
また、液状硬化剤(C')として、下記のものを用いた。
(C'−1):ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(KJケミカルズ社製、DMAPAA)
架橋剤(D)として、以下のものを用いた。
(D−1):トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(東ソー社製、コロネートL55E)
上記の成分を、後記の表2にしたがって配合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を30〜60%の範囲に調整することにより、粘接着剤組成物[I]を得た。
また、上記粘接着シートPの粘接着剤層の保存安定性を評価するために、上記粘接着シートPを、40℃で14日間静置した後、上記と同様にして、そのゲル分率(G2)を測定するとともに、剪断強度(H2)を評価した。そして、作製直後と14日後の、ゲル分率の変化量(G2−G1)と、剪断強度の変化率[(H2/H1)×100]を算出して、後記のとおり評価した。なお、剪断強度及びゲル分率の測定方法は前述のとおりである。
これらの結果を、後記の表2、表3に併せて示す。
粘接着剤組成物[I]を、厚み38μmの重剥離シリコンセパレータ(三井東セロ社製、SP PET 03 38BU)に、乾燥後の厚みが50μmとなるようにコンマコータを用いて塗工し、100℃×3分間乾燥した。そして、乾燥した粘接着剤層の表面に、厚み38μmの軽剥離シリコンセパレータ(三井東セロ社製、SPPET01 38BU)を貼り合わせた後、40℃で3日間エージング処理を行うことにより、粘接着シートPを作製した(軽剥離シリコンセパレータ/粘接着剤層/重剥離シリコンセパレータ)。
上記粘接着シートPを粘接着剤層の端部を含むように幅25mm、長さ100mmにカットした後、軽剥離シリコンセパレータを剥離して、厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラーT60)に2kgローラーを用いて貼り合わせた。その後、重剥離シリコンセパレータを剥がした際に、粘接着剤層がPETフィルムにきれいに転写できているかを観察し、下記の基準で評価した。
〇・・・きれいに転写されていた
△・・・粘接着シートに泣き別れが発生した
×・・・殆どもしくは全く転写できなかった
上記粘接着シートPの軽剥離シリコンセパレータを剥離し、PETフィルムに転写した後、重剥離シリコンセパレータを剥離して、貼着面積が25mm×25mmとなるように粘接着剤層側を研磨SUS板に貼着し、23℃×50%RHの条件下で30分間静置した後、40℃の条件下にて1kgの荷重をかけて、JIS Z 0237の保持力の測定法に準じてズレを評価した。評価基準は下記の通りである。
○・・・24時間ではズレなし
△・・・24時間でズレあり
×・・・24時間で落下
上記粘接着シートPを25mm×12.5mmにカットし、SUS板に転写した。転写したSUS板と反対側に同じサイズのSUS板を貼り合わせ、貼り合わせた部分をクリップで止めて140℃で1時間硬化した後、23℃×50%RH条件下でAUTO Graph AG−X Plus(Shimadzu社製)を用い、5mm/minの速度で剪断強度(MPa)を測定した。評価基準は下記の通りである。
◎・・・15MPa以上
〇・・・10MPa以上、15MPa未満
△・・・5MPa以上、10MPa未満
×・・・5MPa以下
評価基準は下記のとおりである。
〇・・・5%以下
△・・・5を超え、10%未満
×・・・10以上
評価基準は下記のとおりである。
◎・・・80%以上、120%以下
〇・・・70%以上80未満、もしくは120%を超え130%以下
×・・・70%未満、もしくは130%を超える
一方、作製後のゲル分率が本発明の要件から外れている比較例1、3、4品は、粘接着剤層が可塑化しすぎていたり、硬くなりすぎていたりするため、保持力や転写性に劣るものである。また、エポキシ系化合物(B)の硬化剤として粉体硬化剤(C)ではなく液状の硬化剤(C'−1)を用いた比較例2品は、エポキシ系化合物(B)の硬化反応が部材を貼り合わせる前に進行してしまうため、転写性が悪く、粘接着剤として機能しない。
Claims (13)
- アクリル系樹脂(A)、エポキシ系化合物(B)及び上記エポキシ系化合物(B)の粉体硬化剤(C)を含有する粘接着剤組成物[I]からなる粘接着剤層であり、上記粘接着剤層のゲル分率が20〜70重量%であることを特徴とする粘接着剤層。
- 上記エポキシ系化合物(B)が25℃で液状のエポキシ系化合物であることを特徴とする請求項1記載の粘接着剤層。
- 上記粉体硬化剤(C)が、ジシアンジアミド及びヒドラジド系化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の粘接着剤層。
- 上記エポキシ系化合物(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して25〜300重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘接着剤層。
- 上記粉体硬化剤(C)の含有量が、エポキシ系化合物(B)100重量部に対して15〜50重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘接着剤層。
- 上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が15万以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘接着剤層。
- 上記アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が15℃以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘接着剤層。
- 上記アクリル系樹脂(A)が、水酸基含有モノマー及びカルボキシ基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマーを含む官能基含有モノマーを重合成分として含有する重合成分の重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘接着剤層。
- 上記粉体硬化剤(C)が、粘接着剤層中に分散されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘接着剤層。
- 100〜250℃の加熱により硬化されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の粘接着剤層。
- 硬化前の剪断強度(MPa)に対する、硬化後の剪断強度(MPa)の比が、10以上であることを特徴とする請求項10記載の粘接着剤層。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の粘接着剤層を有することを特徴とする粘接着シート。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の粘接着剤層と他の部材とが積層されていることを特徴とする積層体。
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