JP2020078274A - 水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

水中油型乳化油脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、優れた物性及び呈味性を有する生クリーム含有ホイップドクリームを得ることができる、生クリームにブレンドして用いるための水中油型乳化組成物を提供することにある。【解決手段】融点が34℃以上である高融点エステル交換油をハードストックとして含有し、且つ、乳清ミネラルを含有する、生クリームにブレンドして用いるための水中油型乳化油脂組成物、及び前記水中油型乳化油脂組成物と生クリームとを含む生クリーム含有水中油型乳化油脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、生クリームにブレンドして用いるための水中油型乳化組成物に関する。
生クリームは、牛乳から遠心分離によって作られ、風味・コク味の点で他に類するものがないほど優れているとされる。そして、油分含量が40%以上の生クリームは起泡性を有することから、起泡(ホイップ)させることで「ホイップドクリーム」として製菓、製パン用途に広く使用されている。油分含量が48%のものが最適の起泡性を有していることから、油分含量が45〜48%程度の生クリームがこれらの用途に広く使用されている(非特許文献1参照)。
しかし、生クリームは、高価であることに加え、牛乳の産地や生産時期による物性や風味の変動、及び気候や輸入量の変動による価格や供給量の変動が大きく、品質の安定化や安定供給が難しいという問題がある。
また、生クリームは、ホイップ後の硬化(シマリ現象)が起こりやすく、短時間で口溶けが悪くなる、経時的な離水・軟化(保形性の低下、モドリ現象)等の発生により、ホイップ後の安定性が悪いという問題があった。さらに、ホイップ前の状態でも、保存中の品温上昇や輸送中の振動によって、いわゆるボテと呼ばれる急激な粘度の上昇や固化が起こりやすく、乳化安定性や取り扱いの面でも問題があった。
このような問題に対して、品質の安定化や安定供給の面から、生クリームの油分、すなわち乳脂肪を使用し、さらに乳蛋白質、乳化剤、水等を使用して水中油型乳化油脂を再構成した合成クリームが作られた。この合成クリームは、品質と供給の安定性が高く、物性面でも保存中の安定性にある程度の改善がなされている。
しかし、この合成クリームは、生クリームの風味成分が含まれる水相成分が多く失われていること、製造の際に加熱工程が含まれることから風味が失われ、生クリームのような優れたおいしさは感じられなくなってしまう。また、製造の際に均質化工程を経るために乳化物の粒径が小さくなり、生クリームのおいしさの主成分である乳脂肪の呈味性が、生クリームに比べて悪くなってしまう問題があった。そして、なにより高価である点については根本的な改善はなされず、乳脂肪に起因する物性の諸問題についても何ら改善されるものではなかった。
そのため、上記合成クリームの乳脂肪の一部を植物油脂に置き換えたコンパウンドクリームが製造された。このコンパウンドクリームは、生クリームのおいしさをある程度有していながら、乳脂肪に起因する物性の諸問題を大きく改善できることから、現在、製菓、製パン業界等において広く利用されている。
このコンパウンドクリームは、高価である点については添加する植物性脂肪の量に応じて改善されるが、乳風味については乳脂肪含量以上のおいしさは感じられない。また、前記合成クリームにおける、製造の際に加熱工程が含まれることによる乳風味の低下、及び、製造の際に均質化工程を経るために乳化物の粒径が小さくなることによる乳脂肪の呈味性の悪化については改善されるものではなかった。
近年、植物油脂を使用したホイップドクリームに、あとから生クリームをブレンドする方法が行われることが増えてきた。具体的には、植物油脂を使用したホイップドクリーム
に生クリームを混合してからホイップする方法、さらには、植物油脂を使用したホイップドクリームをホイップしたあとに生クリームを混合する方法が行われている。
この方法であれば、生クリームの水相成分が失われることなくそのまま保たれ、また生クリームの粒径はほぼ保持されるので、同じ乳脂肪含量のコンパウンドクリームと比較して生クリームのおいしさを格段に高めることができる。
ただし、この方法によっても、乳脂肪含量に応じた乳風味しか得られないこと、乳脂肪の特性に起因する物性の不安定化、例えばホイップドクリームの経時的な軟化などの問題が存在するため、それらの問題の解消に向けた各種の提案が行われている。
例えば、炭素数20以上の飽和脂肪酸と炭素数16〜22の不飽和脂肪酸を少なくとも各1個ずつ含む混酸基トリグリセリドを主成分として含む水中油型乳化物を生クリームに添加する方法(例えば特許文献1参照)、SUS型トリグリセリドを25%以上、及び、
ラウリン系油脂を5〜60%含む乳化物を生クリームと混合して低油分クリームを製造する方法(例えば特許文献2参照)、SUS型トリグリセリドを25〜90重量%含む乳化
物を生クリームと混合する方法(例えば特許文献3参照)、油脂の上昇融点が28℃以下
であり、かつ、ラウリン系油脂を油脂中で70重量%以上含有し、起泡時間が短い水中油型乳化物を生クリームと混合する方法(例えば特許文献4参照)などが提案されている。
しかし、特許文献1に記載の方法は、口どけが悪いという問題があり、特許文献2に記載の方法は、保形性が悪いという問題があり、特許文献3に記載の方法は、乳化安定性が悪いという問題があり、特許文献4に記載の方法は、風味発現性が悪いという問題があった。
特開平05−276888号公報 特開平05−328928号公報 特開平08−000205号公報 特開平11−056283号公報
乳製品製造I、乳業技術講座編集委員会編、朝倉書店、11頁
本発明の目的は、優れた物性及び呈味性を有する生クリーム含有ホイップドクリームを得ることができる、生クリームにブレンドして用いるための水中油型乳化組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく種々検討した結果、生クリームにブレンドして用いる水中油型乳化組成物の油相に使用する油脂、特にハードストックとして使用する油脂が前記の問題に大きく関わることを見出し、さらに検討したところ、特定のエステル交換油を使用することで上記課題を解決可能であることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、融点が34℃以上である高融点エステル交換油をハードストックとして含有し、且つ、乳清ミネラルを含有する、生クリームにブレンドして用いるための水中油型乳化油脂組成物を提供するものである。
本発明の水中油型乳化油脂組成物と生クリームをブレンドして得られる生クリーム含有ホイップドクリームは、優れた物性(キメとコシ)及び優れた呈味性を有する。
以下、本発明の水中油型乳化油脂組成物について詳述する。
まず、本発明の水中油型乳化油脂組成物に使用される高融点エステル交換油脂について述べる。
本発明において、高融点エステル交換油脂とは、融点が34℃以上、好ましくは36〜48℃、特に38〜46℃のエステル交換油脂を意味する。
本発明においては、上記高融点エステル交換油脂が、構成脂肪酸組成における炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が15〜60質量%、好ましくは20〜50質量%、より好ましくは30〜45質量%であり、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が30〜80質量%、好ましくは35〜75質量%、より好ましくは40〜65質量%である油脂配合物を、ランダムエステル交換してなる油脂であることが、得られるホイップドクリームの物性及び呈味性の観点から好ましい。
上記油脂配合物においては、構成脂肪酸組成における炭素数4以下の飽和脂肪酸は1質量%以下とすることが好ましい。また、構成脂肪酸組成における炭素数20以上の飽和脂肪酸は2質量%以下とすることが好ましい。2質量%超であると得られるホイップドクリームの口溶けが悪化してしまうおそれがある。
上記油脂配合物は、構成脂肪酸中に炭素数14以下の飽和脂肪酸を含有する油脂、及び構成脂肪酸中に炭素数16以上の飽和脂肪酸を含有する油脂を用いて、上記構成脂肪酸組成となるように配合することにより得ることができる。上記の炭素数14以下の飽和脂肪酸を含有する油脂において、炭素数14以下の飽和脂肪酸の含有量は、構成脂肪酸中に好ましくは30〜100%、より好ましくは65〜100%である。上記の炭素数16以上の飽和脂肪酸を含有する油脂において、炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量は、構成脂肪酸中に好ましくは30〜100%、より好ましくは70〜100%である。
炭素数14以下の飽和脂肪酸を含有する油脂としては、例えば、パーム核油、ヤシ油、ババス油、並びにこれらに対し硬化、分別及びエステル交換のうちの1種又は2種以上の操作を施した油脂を挙げることができ、これらの油脂の中の1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、好ましくはパーム核油及び/又はヤシ油を使用する。
炭素数16以上の飽和脂肪酸を含有する油脂としては、例えば、パーム油、米油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油(キャノーラ油)、ハイエルシンナタネ油、カカオ脂、ラード、牛脂、豚脂、魚油並びにこれらに対し硬化、分別及びエステル交換のうちの1種又は2種以上の操作を施した油脂を挙げることができ、これらの油脂の中の1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、好ましくは、パーム硬化油、大豆硬化油、米硬化油及びコーン硬化油の中の1種又は2種以上、さらに好ましくはこれらの中でも飽和脂肪酸含量を最大限に高めた極度硬化油、すなわちパーム極度硬化油、大豆極度硬化油、米極度硬化油及びコーン極度硬化油の中の1種又は2種以上、最も好ましくはパーム極度硬化油を使用する。
上記油脂配合物において、炭素数14以下の飽和脂肪酸を含有する油脂は、上記油脂配合物の構成脂肪酸組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が15〜60質量%、好ましくは20〜50質量%、より好ましくは30〜45質量%となるように配合される
。ここで、炭素数14以下の飽和脂肪酸が15質量%未満であると、最終的に得られるホイップドクリームの呈味性が悪くなる。また、炭素数14以下の飽和脂肪酸が60質量%より多いと、最終的に得られるホイップドクリームの造花性と耐熱性の悪い物性となる。
上記油脂配合物において、炭素数16以上の飽和脂肪酸を含有する油脂は、上記油脂配合物の構成脂肪酸組成において、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が30〜80質量%、好ましくは35〜75質量%、より好ましくは40〜65質量%となるように配合される。ここで、炭素数16以上の飽和脂肪酸が30質量%より少ないと、最終的に得られるホイップドクリームの造花性と耐熱性の悪い物性となる。また、炭素数16以上の飽和脂肪酸が80質量%より多いと、最終的に得られるホイップドクリームの口溶けや呈味性が悪くなる。
上記油脂配合物には、その構成脂肪酸組成における炭素数14以下の飽和脂肪酸の含量及び炭素数16以上の飽和脂肪酸の含量が上記の範囲であれば、その他の油脂を加えてもよい。
上記油脂配合物に対してランダムエステル交換を行なうことにより、本発明で使用する高融点エステル交換油が得られる。ランダムエステル交換の方法は、常法によればよく、例えばリパーゼ等の酵素による方法でも、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒による方法でもよく、特に制限されるものではない。
上記高融点エステル交換油は、その構成脂肪酸組成において、不飽和脂肪酸含量が1〜15質量%、特に3〜13質量%であることが好ましい。不飽和脂肪酸が1質量%未満であると、口溶けが悪くなる場合がある。また、不飽和脂肪酸が15質量%より多いと、ホイップ後に造花性と耐熱性の悪い物性となる場合がある。
本発明の水中油型乳化油脂組成物において、上記高融点エステル交換油脂は、低融点油脂、すなわち常温(30℃)で液状の油脂に添加して、水中油型乳化油脂組成物の油相を構成するために使用するハードストックである。
ハードストックの融点と常温で液状の油脂の融点差が近接しているとハードストックとしての機能が著しく減じられてしまうため、両者の融点差が10℃以上であることが必要であり、好ましくは融点差を15℃以上とする。融点差の上限については特に制限はないが、JAS(日本農林規格)において0℃で5.5時間清澄であることとされているサラダ油の融点がマイナス5〜10℃であることから、実質的に融点差の上限は60℃となるが、最終的に得られるホイップドクリームの口溶けの極端な悪化を防止するには、50℃以下とする。
上記常温で液状の油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、綿実油、米油、ヤシ油、パーム核油、ヤシ分別軟部油、パーム核分別軟部油、パーム分別軟部油、豚脂分別軟部油、牛脂分別軟部油等の食用油脂や分別軟部油から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。中でも、口溶けが良く且つ特に高い耐熱性を有するホイップドクリームを得ることができる点で、ヤシ油、パーム核油、ヤシ分別軟部油、パーム核分別軟部油、及びパーム分別軟部油のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、少なくとも上記高融点エステル交換油をハードストックとして含有し、且つ、常温(30℃)で液状の油脂を使用したものである。本発明の水中油型乳化油脂組成物は、上記高融点エステル交換油脂を、油相中に、該油相中の全油脂量基準で1〜30質量%、好ましくは3〜25質量%、より好ましくは3〜10質量%含有する。油相中の上記高融点エステル交換油脂の含有量が1質量%未満であると、最
終的に得られるホイップドクリームのキメが荒れて造花性が悪くなることに加え、耐熱性も悪くなる。また、30質量%より多いと、口溶けが悪くなる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、油相の固体脂含量(SFC)が10℃で50〜80、好ましくは60〜75、且つ、25℃で20〜50、好ましくは20〜45である。油相のSFCが10℃で50未満であると、最終的に得られるホイップドクリームの耐熱性が悪くなることに加え、ホイップタイムも長くなる。また、80より多いと、最終的に得られるホイップドクリームの口溶けが悪くなる。また、油相のSFCが25℃で20未満であると、最終的に得られるホイップドクリームのキメが荒れて造花性が悪くなることに加え、耐熱性も悪くなる。また、50より多いと、最終的に得られるホイップドクリームの口溶けが悪くなる。
油相のSFCは、次のようにして測定する。まず、油相に使用する全油脂を混合して配合油脂とし、該配合油脂を60℃で30分保持して油脂を完全に融解し、その後0℃で30分保持して固化させる。次に25℃で30分保持してテンパリングを行った後、0℃で30分保持する。これを各測定温度で順次30分保持した後、SFCを測定する。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、上記の常温(30℃)で液状の油脂の含有量を、油相中に、該油相中の全油脂量基準で60〜95質量%含有することが好ましく、65〜85質量%含有することがさらに好ましい。
本発明の水中油型乳化油脂組成物には、上記高融点エステル交換油脂と上記常温(30℃)で液状の油脂に加え、本発明の効果を阻害しない範囲において、必要に応じてその他の油脂を使用することもできる。
上記その他の油脂としては、例えば、パーム油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固形の油脂、並びに各種動植物油脂に水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂からなる群から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。上記その他の油脂の使用量は、油相中の全油脂量基準で、好ましくは0〜25質量%、より好ましくは0〜20質量%である。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、トランス脂肪酸を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、本発明の水中油型乳化油脂組成物の油相に使用した全油脂の構成脂肪酸組成において、全脂肪酸に占めるトランス脂肪酸の割合が5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下とする。上記常温(30℃)で液状の油脂、及び必要に応じ使用するその他の油脂として、部分水素添加油脂を使用しないことにより、トランス脂肪酸の割合を低減することができきる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、生クリームとブレンドして用いるため、生クリームの呈味がその分減少するのを防ぎ、さらには、より乳風味が良好で、且つ、他の風味成分が引き立つ水中油型乳化油脂組成物を得るために、乳清ミネラルを含有する。
上記乳清ミネラルとは、乳又はホエイ(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエイ中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用する乳清ミネラルとしては、乳蛋白質を多く含有する場合であっても殺菌時に焦げが生じない点、良好な乳風味と口溶けを有する水中油型乳化油脂組成物が得られる点で、固形分中のカルシウム含有量が2質量%未満、好ましくは1質量%未満の乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含有量は低いほど好ましい。
牛乳から通常の製法で製造された乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含有量が5質量%以上である。このため、上記カルシウム含有量が2質量%未満の乳清ミネラルを得るためには、乳又はホエイから、膜分離及び/又はイオン交換、更には冷却により、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエイを用いる方法、或いは甘性ホエイから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法等を採ることができるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエイから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここで使用する脱カルシウムの方法としては、特に限定されず、調温保持による沈殿法等の公知の方法を採ることができる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物における上記乳清ミネラルの含有量は、固形分として0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜1.5質量%、より好ましくは0.1〜0.8質量%である。上記乳清ミネラルの含有量が固形分として0.01質量%未満であると、乳風味の増強効果が見られず、また、5質量%を超えると、最終的に得られるホイップドクリームに苦味を感じる場合がある。
また、本発明の水中油型乳化油脂組成物は、生クリームとブレンドして用いるため、生クリームの呈味がその分減少することとなるのを防ぎ、さらには、より乳風味が良好で、且つ、乳化剤の使用量を増やすことなく乳化安定性が良好なホイップドクリームを得ることが可能な点から、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を使用することが好ましい。
上記乳原料としては、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、該固形分を基準として、3質量%以上である乳原料を使用することが好ましく、更に好ましくは4質量%以上、最も好ましくは5〜40質量%である乳原料を使用する。
上記乳由来の固形分中のリン脂質とは、乳由来の固形分中に含まれる乳由来のリン脂質のことを指す。
また、上記乳原料は、液体状でも、粉末状でも、濃縮物でも構わない。但し、溶剤を用いて乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上となるように濃縮した乳原料は、風味上の問題から、本発明においては、上記乳原料として用いないのが好ましい。
乳由来のリン脂質を含有する乳原料の固形分中のリン脂質の定量方法としては、例えば下記の定量方法が挙げられる。但し、抽出方法等については乳原料の形態等によって適正な方法が異なるため、下記の定量方法に限定されるものではない。
先ず、乳由来のリン脂質を含有する乳原料の脂質をFolch法により抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1
食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から、以下の計算式を用いて、乳由来のリン脂質を含有する乳原料の固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳由来のリン脂質を含有する乳原料−乳由来のリン脂質を含有する乳原料の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)
上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である
乳原料としては、例えば、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分が挙げられる。該クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクとは組成が大きく異なり、リン脂質を多量に含有しているという特徴がある。バターミルクは、その製法の違いによって大きく異なるが、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、通常0.5〜1.5質量%程度であるのに対して、上記クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、おおよそ2〜15質量%であり、多量のリン脂質を含有している。
本発明において、上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料として、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクそのものを用いることはできないが、バターミルクを乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上となるように濃縮した濃縮物、或いはその乾燥物を用いることは可能である。
上記クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法の一例を以下に説明する。
上記クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。
先ず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
一方、上記バターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。
先ず、バターを溶解機で溶解し、熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明で用いることができる上記水相成分としては、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上であれば、上記クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分をそのまま用いてもよく、また、噴霧乾燥、濃縮、冷凍等の処理を施したものを用いてもよい。
但し、乳由来のリン脂質は、高温加熱するとその機能が低下するため、上記加温処理や上記濃縮処理中或いは殺菌等により加熱する際の温度は、100℃未満であることが好ましい。
また、本発明の水中油型乳化油脂組成物では、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料として、上記乳原料中のリン脂質の一部又は全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできる。該リゾ化物は、上記乳原料をそのままリゾ化したものであってもよく、また上記乳原料を濃縮した後にリゾ化したものであってもよい。また、得られたリゾ化物に、更に濃縮或いは噴霧乾燥処理等を施してもよい。
本発明の水中油型乳化油脂組成物では、上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を、固形分として、好ましくは0.1〜8質量%、更に好ましくは0.5〜7質量%、最も好ましくは0.5〜4質量%含有する。
尚、上記乳原料の起源となる乳としては、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳を例示することができるが、特に牛乳が好ましい。
本発明の水中油型乳化油脂組成物の油分含有量は、特に制限されず、一般的な水中油型乳化油脂組成物の油分含有量(約45質量%)であってもよいが、本発明の水中油型乳化油脂組成物は、油分含有量が通常の水中油型乳化油脂組成物や生クリームの油分含有量である45質量%未満であってもその効果が高いこと、また、生クリームにブレンドする際の作業性に優れること、さらには生クリームの油分含量を下げることができ、結果としてすっきりした風味のホイップドクリームが得られる点で、油分含有量は好ましくは40質量%以下、より好ましくは20〜40質量%、更に好ましくは25〜35質量%である。尚、ここでいう油分含有量には、下記の「その他の成分」に含まれる油脂分も含めたものとする。
本発明の水中油型乳化油脂組成物では、必要に応じ、乳化剤、安定剤、蛋白質、乳及び乳製品、糖類及び甘味料、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、食塩、酸味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等の、その他の成分を、必要に応じ任意に配合してもよい。このその他の成分の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲において、通常の使用量の範囲で使用することができる。
上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。乳化剤を使用する場合、本発明の水中油型乳化油脂組成物中の乳化剤の含有量は0.1〜2質量%とすることが好ましい。
上記安定剤としては、リン酸塩(ヘキサメタリン酸、第2リン酸、第1リン酸)、クエン酸のアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等の安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。安定剤を使用する場合、本発明の水中油型乳化油脂組成物中の安定剤の含有量は0.01〜3質量%とすることが好ましい。
上記蛋白質としては、特に限定されないが、例えば、α−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、血清アルブミン等のホエイ蛋白質、カゼイン、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム等のカゼイン蛋白質、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン等の小麦蛋白質、プロラミン、グルテリン等の米蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて1種ないし2種以上の蛋白質として、或いは1種ないし2種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添加してもよい。蛋白質を使用する場合、本発明の水中油型乳化油脂組成物中の蛋白質の含有量は0.3〜8質量%とすることが好ましい。
上記蛋白質としては、乳蛋白質、即ちホエイ蛋白質、カゼイン蛋白質、その他の乳蛋白
質を使用することが好ましく、また、乳蛋白質を含有する食品素材を使用することも好ましい。乳蛋白質を含有する食品素材としては、脱脂粉乳、トータルミルクプロテイン、ホエイパウダー、ミネラル濃縮ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー(WPC)、バターミルクパウダー、カゼインナトリウム等が挙げられる。乳蛋白質を含有する食品素材を使用する場合は、本発明の水中油型乳化油脂組成物において、該食品素材の含有量は0.1〜10質量%とすることが好ましい。
上記糖類としては、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム等の糖類が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
以下に、本発明の水中油型乳化油脂組成物の製造方法を説明する。本発明の水中油型乳化油脂組成物は、その製造方法が特に制限されるものではないが、例えば以下の方法により製造することができる。
まず、常温(30℃)で液状の油脂と上記高融点エステル交換油を含有し、必要によりその他の油脂、その他の原料を含有させた油相と、水及び必要によりその他の原料を含有させた水相とをそれぞれ個別に調製する。次いで、該油相と該水相とを混合し、水中油型に乳化することにより、本発明の水中油型乳化油脂組成物が得られる。
得られた水中油型乳化油脂組成物は、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。また、必要によりインジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、プレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌又は加熱殺菌処理を施してもよく、直火等の加熱調理により加熱してもよい。さらに、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよく、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、起泡してホイップドクリームとして使用することももちろん可能であり、コーヒーホワイトナーとして、また、食品練り込み用クリームとしても用いることができるが、本発明においては、生クリームとのブレンド用として使用する。本発明の水中油型乳化油脂組成物と生クリームをブレンドすることにより、本発明の生クリーム含有水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。
生クリームとしては、特に制限されず、乳等省令で定められた「生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分が18.0質量%以上にしたもの」を使用することができ、市販のものを使用することができる。
また、生クリームに、水、生乳、牛乳、加糖練乳、加糖脱脂れん乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、乳蛋白質、乳化剤、安定剤、香料等のその他の食品素材を添加して調製したものであって、水中油型乳化物の形態の組成物と本発明の水中油型乳化油脂組成物とをブレンドすることもできる。ただし、その他の食品素材として、乳脂以外の油脂分を含むものは使用しないことが好ましい。
上記水中油型乳化油脂組成物と生クリームとをブレンドする際の混合比は、本発明の効果が安定して得られる点で、質量比で好ましくは20:1〜1:20、より好ましくは1
0:1〜1:10である。
ブレンド方法としては特に制限されず、ボール中での混合や、連続ミキサー等を例示できる。尚、ブレンド後、必要に応じ、殺菌、均質化、エージング等を行なってもよいが、均質化については行わないほうが好ましい。
このようにして得られた本発明の生クリーム含有水中油型乳化油脂組成物は、起泡することで生クリーム含有ホイップドクリームとすることができる。また、ブレンドと起泡を同時に行うことにより、上記水中油型乳化油脂組成物と生クリームとから、直接、生クリーム含有ホイップドクリームとすることもできる。
ブレンドと起泡を同時に行う場合は、水中油型乳化油脂組成物と生クリームのブレンド後に起泡してもよく、水中油型乳化油脂組成物の起泡中に生クリームを徐々にブレンドする方法でもよい。また、水中油型乳化油脂組成物の起泡後に生クリームをブレンドする方法でもよく、起泡済みの水中油型乳化油脂組成物と起泡済の生クリームをブレンドする方法であってもよいが、十分なオーバーランを有し、且つ、生クリームの良好な口溶けを残すためには、水中油型乳化油脂組成物と生クリームのブレンド後に起泡するか、水中油型乳化油脂組成物の起泡中に生クリームを徐々にブレンドする方法によることが好ましい。
このようにして得られた生クリーム含有ホイップドクリームは、主として製菓製パン用のフィリングクリームとして用いられる。
ホイップドクリームとする場合は、ホイップする際に、グラニュー糖、砂糖、液糖等の糖類、ブランデー、ラム酒、リキュール等のアルコール類、香料、増粘安定剤、生クリーム等を添加してもよい。得られたホイップドクリームは、フィリング用、サンド用、トッピング用、ナッペ用、センター用等として使用することができる。
起泡を行わない上記生クリーム含有水中油型乳化油脂組成物は、洋菓子用素材、コーヒーホワイトナー、アイスクリーム、及びパン練り込み等の用途に用いることもできる。また、カスタードクリーム等のフラワーペースト類、ジャム、果汁、チョコレートペースト等のカカオ製品等の呈味性素材と混合しブレンド物として用いることもできる。
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
〔実施例1〕
パーム核油及びパーム極度硬化油を50:50(前者:後者)の質量比率で混合した油脂配合物を、化学触媒を用いてランダムエステル交換し、融点43℃のエステル交換油脂aを得た。
上記エステル交換油脂aの製造時における油脂配合物の構成脂肪酸組成(炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量、不飽和脂肪酸含量、及びトランス脂肪酸含量)は表1に記載した。
続いて、上記エステル交換油脂aをハードストックとして使用し、下記の配合及び製法で水中油型乳化油脂組成物Aを製造した。
まず、エステル交換油脂a5質量部、パーム核油(融点27℃)80質量部、パーム分別中部油(融点35℃)15質量部からなる混合油脂30質量%、レシチン0.15質量%、グリセリンモノステアリン酸エステル0.05質量部からなる油相を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、水63.7質量%、乳糖2質量部、乳清ミネラル(固形分97%)0.4質量部、トータルミルクプロテイン0.5質量部、クリームからバタ
ーオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(固形分30%)3質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=16)0.15質量%、グアーガム0.05質量%を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記水相と上記油相を混合、乳化して、水中油型の予備乳化物を調製し、バルブ式ホモジナイザー(アルファラバル社製:ホモジナイザー)を用いて、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、油分含量が30質量%である水中油型乳化油脂組成物Aを得た。
〔実施例2〕
パーム核油及び大豆極度硬化油を50:50(前者:後者)の質量比率で混合した油脂配合物を、化学触媒を用いてランダムエステル交換し、融点45℃のエステル交換油脂bを得た。
上記エステル交換油脂bの製造時における上記油脂配合物の構成脂肪酸組成(炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量、不飽和脂肪酸含量、及びトランス脂肪酸含量)は表1に記載した。
上記エステル交換油脂aに代えて、上記エステル交換油脂bを使用した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、水中油型乳化油脂組成物Bを得た。
〔実施例3〕
ヤシ油及びパーム極度硬化油を50:50(前者:後者)の質量比率で混合した油脂配合物を、化学触媒を用いてランダムエステル交換し、融点41℃のエステル交換油脂cを得た。
上記エステル交換油脂cの製造時における上記油脂配合物の構成脂肪酸組成(炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量、不飽和脂肪酸含量、及びトランス脂肪酸含量)は表1に記載した。
上記エステル交換油脂aに代えて、上記エステル交換油脂cを使用した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、水中油型乳化油脂組成物Cを得た。
〔実施例4〕
実施例1の水中油型乳化油脂組成物の製造に使用した混合油脂を、上記エステル交換油脂a20質量部、パーム核油(融点27℃)70質量部、パーム分別中部油(融点35℃)10質量部からなる混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、水中油型乳化油脂組成物Dを得た。
〔実施例5〕
実施例1の水中油型乳化油脂組成物の製造に使用した混合油脂を、上記エステル交換油脂a20質量部、パーム核油(融点27℃)80質量部からなる混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、水中油型乳化油脂組成物Eを得た。
〔実施例6〕
実施例1の水中油型乳化油脂組成物の製造に使用した混合油脂を、上記エステル交換油脂a8質量部、パーム核油(融点27℃)80質量部、パーム分別中部油(融点35℃)12質量部からなる混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、水中油型乳化油脂組成物Fを得た。
〔比較例1〕
ハードストックとして、上記エステル交換油脂aに代えてパーム硬化油(融点40℃)を使用した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、比較例の水中油型乳化油脂組成物Gを得た。
〔比較例2〕
実施例1の水中油型乳化油脂組成物の製造に使用したパーム核油(融点27℃)に代えてパーム核分別硬部油(融点32℃)を使用した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、液状油を含有しない比較例の水中油型乳化油脂組成物Hを得た。
〔比較例3〕
パーム核油及びパーム極度硬化油を75:25(前者:後者)の質量比率で混合した油脂配合物を、化学触媒を用いてランダムエステル交換した融点32℃のエステル交換油脂dを得た。
上記エステル交換油脂dの製造時における上記油脂配合物の構成脂肪酸組成(炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量、不飽和脂肪酸含量、及びトランス脂肪酸含量)は表1に記載した。
実施例1の水中油型乳化油脂組成物の製造に使用した混合油脂を、上記エステル交換油脂d5質量部、パーム核油(融点27℃)80質量部、パーム分別中部油(融点35℃)15質量部からなる混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、比較例の水中油型乳化油脂組成物Iを得た。
〔実施例7〕
パーム油及びパーム極度硬化油を65:35(前者:後者)の質量比率で混合した油脂配合物を、化学触媒を用いてランダムエステル交換した融点50℃のエステル交換油脂eを得た。
上記エステル交換油脂e製造時の上記油脂配合物の構成脂肪酸組成(炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量、不飽和脂肪酸含量、及びトランス脂肪酸含量)は表1に記載した。
実施例1の水中油型乳化油脂組成物の製造に使用した混合油脂を、上記エステル交換油脂e5質量部、パーム核油(融点27℃)80質量部、パーム分別中部油(融点35℃)15質量部からなる混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、比較例の水中油型乳化油脂組成物Jを得た。
〔実施例8〕
パーム核油及びパーム極度硬化油を66:34(前者:後者)の質量比率で混合した油脂配合物を、化学触媒を用いてランダムエステル交換した融点41℃のエステル交換油脂fを得た。
上記エステル交換油脂fの製造時における上記油脂配合物の構成脂肪酸組成(炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量、不飽和脂肪酸含量、及びトランス脂肪酸含量)は表1に記載した。
実施例1の水中油型乳化油脂組成物の製造に使用した混合油脂を、上記エステル交換油脂f5質量部、パーム核油(融点27℃)80質量部、パーム分別中部油(融点35℃)15質量部からなる混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、水中油型乳化油脂組成物Kを得た。
〔実施例9〕
パーム核油及びパーム極度硬化油を33:67(前者:後者)の質量比率で混合した油脂配合物を、化学触媒を用いてランダムエステル交換した融点45℃のエステル交換油脂gを得た。
上記エステル交換油脂gの製造時における上記油脂配合物の構成脂肪酸組成(炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量、不飽和脂肪酸含量、及びトランス脂肪酸含量)は表1に記載した。
実施例1の水中油型乳化油脂組成物の製造に使用した混合油脂を、上記エステル交換油
脂g5質量部、パーム核油(融点27℃)80質量部、パーム分別中部油(融点35℃)15質量部からなる混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、水中油型乳化油脂組成物Lを得た。
〔比較例4〕
実施例1の水中油型乳化油脂組成物の製造に使用した乳清ミネラル0.4質量部を無添加とし、水の配合量を63.7質量部から64.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、比較例の水中油型乳化油脂組成物Mを得た。
〔実施例10〕
実施例1の水中油型乳化油脂組成物の製造に使用した、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物3質量部を無添加とし、水の配合量を63.7質量部から66.7質量部に変更した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、水中油型乳化油脂組成物Nを得た。
Figure 2020078274
上記水中油型乳化油脂組成物A〜Nの油相のSFC(固体脂含量)、及びトランス脂肪酸含量について表2に記載した。

Figure 2020078274

上記水中油型乳化油脂組成物A〜Nを、下記の方法で生クリームとブレンドして生クリーム含有ホイップドクリームを製造し、乳風味の発現性、造花性、耐熱性の評価を行った。
<生クリーム含有ホイップドクリームの製造>
ミキサーボウルに上記水中油型乳化油脂組成物A〜Nをそれぞれ500g、生クリーム500g、グラニュー糖80gを投入し、ワイヤーホイッパーを使用して中速で最適起泡状態までホイップした。
<ホイップドクリームの評価:乳風味の発現性>
得られたホイップドクリームを直接味わい、その乳風味の発現性について、15人のパネラーにて官能試験した。評価は、乳風味の発現性が良好なもの、乳風味の発現性が不良なもの、及びどちらともいえないもの、の3段階で評価し、良好なものに2点、どちらともいえないものに1点、不良なものに0点を与え、合計点が25点以上を◎、20〜24点を○、15〜19点を△、14点以下を×とした。結果を表3に記載した。
得られたホイップドクリームを直接味わい、その乳のコク味について、15人のパネラーにて官能試験した。評価は、乳のコク味が良好なもの、乳のコク味が不良なもの、及びどちらともいえないもの、の3段階で評価し、良好なものに2点、どちらともいえないものに1点、不良なものに0点を与え、合計点が25点以上を◎、20〜24点を○、15〜19点を△、14点以下を×とした。結果を表3に記載した。
<ホイップドクリームの評価:造花性>
得られたホイップドクリームを絞り袋で星型口金を用いて造花した際のキメの程度について、下記の4段階評価を行なった。
◎:絞り袋から抵抗なく絞り出すことができ、得られた造花は滑らかな表面で先端もきちんとツノがある状態であった。
○:絞り袋から抵抗なく絞り出すことができ、得られた造花はやや表面が荒れたが、きちんとツノがある状態であった。
△:絞り袋からの絞り出しが経時的に抵抗があるものとなり、得られた造花も徐々に表面が荒れツノの先端が切れた状態のものとなってしまった。
×:絞り袋からの絞り出しが経時的に抵抗があるものとなり、得られた造花も徐々に表面が激しく荒れた、ツノの中途から切れた状態のものとなってしまった。
<ホイップドクリームの評価:耐熱性>
得られたホイップドクリームを絞り袋で星型口金を用いて造花し、20℃の恒温槽中で24時間放置した場合の嵩落ちを測定した。嵩落ち量が1mm未満を◎、1mm以上5mm未満を○、5mm以上を×とした。
Figure 2020078274



Claims (5)

  1. 融点が34℃以上である高融点エステル交換油をハードストックとして含有し、且つ、乳清ミネラルを含有する、生クリームにブレンドして用いるための水中油型乳化油脂組成物。
  2. 前記高融点エステル交換油脂が、構成脂肪酸組成における炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が15〜60質量%であり、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が30〜80質量%である油脂配合物を、ランダムエステル交換してなる油脂である請求項1に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  3. 前記高融点エステル交換油脂を油分中1〜30質量%含有する請求項1又は2に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油型乳化油脂組成物と生クリームとを含む生クリーム含有水中油型乳化油脂組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油型乳化油脂組成物と生クリームをブレンドし、起泡する工程を有するホイップドクリームの製造方法。

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