以下、本発明の一実施形態に係る画像読取装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置を含む画像形成装置の外観を示す斜視図である。図2は、画像読取装置の内部構成を示す図である。図3は、画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。図1乃至図3を参照して、画像形成装置1は、ファクシミリ機能、コピー機能、プリンター機能、及びスキャナー機能等の複数の機能を兼ね備える複合機である。
画像形成装置1は、スキャナー機能によってID(Identification)カードの一方の面と他方の面とを順番に読取って、一枚の記録紙に集約して印刷するIDカード印刷機能を備える。IDカードとは、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、運転免許証、健康保険証、クレジットカード、又はパスポートである。
図1及び図3を参照して、画像形成装置1の筐体7には、画像形成装置1の様々な機能を実現するための複数の機器が収容されている。例えば、筐体7には、画像読取装置2、画像形成部12、定着部13、及び給紙部14等が収容されている。
画像読取装置2は、原稿を搬送するADF(Auto Document Feeder)である原稿搬送部30と、原稿が載置される原稿載置面31Aを含む原稿載置台としてのプラテンガラス31と、原稿カバー部材32と、開閉検出部33と、を備える。プラテンガラス31は、透明なガラスによって構成される板状部材である。プラテンガラス31は、短辺が、矢印X1によって示される主走査方向に伸び、長辺が、矢印X2によって示される副走査方向に伸びる矩形形状を有する。副走査方向X2は、主走査方向X1に対して直交する方向である。
原稿カバー部材32は、回転軸を介して筐体7に接続されており、回転軸を中心として回動することによって、プラテンガラス31の原稿載置面31Aに対して開閉可能に設けられている。原稿カバー部材32は、白色の板状部材を含む。原稿カバー部材32は、原稿載置面31Aに対して閉じられている状態(以下、「閉状態」と記す。)にある場合に、原稿載置面31Aに載置されている原稿を、上記板状部材によって押さえ付けることによって、原稿を覆うように構成されている。ユーザーは、原稿カバー部材32を原稿載置面31Aに対して開放される状態(以下、「開状態」と記す。)にすることによって、原稿載置面31Aに原稿を載置することができる。
開閉検出部33は、原稿カバー部材32の開状態又は閉状態を検出する機械式のスイッチ機構である。原稿カバー部材32によって開閉検出部33が押下されているときには、開閉検出部33は、閉状態を示す検出信号を出力する。原稿カバー部材32によって開閉検出部33が押下されていないときには、開閉検出部33は、開状態を示す検出信号を出力する。
図2を参照して、画像読取装置2はさらに、画像読取部11を備える。画像読取部11は、キャリッジ34と、集光レンズ36と、CCD(Charge Coupled Device)センサー38と、を備える。
キャリッジ34は、原稿搬送部30により搬送される原稿又はプラテンガラス31の原稿載置面31Aに載置されている原稿に向けて光を照射する光源34Aと、原稿によって反射される反射光をCCDセンサー38に向けて反射する複数のミラー34Bと、を含む。光源34Aは、主走査方向X1に沿って並ぶように配置される複数のLED(Light Emitting Diode)素子を含む。キャリッジ34は、副走査方向X2に沿って往復移動可能に構成されている。
集光レンズ36は、ミラー34Bによって反射される反射光を集光してCCDセンサー38の受光面に結像させる。CCDセンサー38は、集光レンズ36から受光する光を光電変換して電気信号を出力する。CCDセンサー38は、主走査方向X1に沿って並ぶように配置される複数の光電変換素子を含む。
図1及び図3を再び参照して、画像形成部12は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、及び転写装置を含む。画像形成部12は、画像読取部11によって生成される画像データ、ネットワークを介して接続されるPC(Personal Computer)から送られる画像データ、又は他のファクシミリ装置から送られる画像データ等に基づいて、給紙部14から供給される記録紙にトナー像によって構成される画像を形成する。
定着部13は、画像形成部12によって表面にトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧することによってトナー像を記録紙に定着させる。定着部13によってトナー像が定着された記録紙は排紙トレイ8に排出される。
給紙部14は、用紙カセットに収容される記録紙、又は手差しトレイに載置される記録紙を図略のピックアップローラーによって1枚ずつ引出して画像形成部12へと送り出す。
画像形成装置1は、操作部15を備える。ユーザーは、操作部15を介して、画像形成装置1によって実行可能な各種機能についての指示等を入力する。操作部15はまた、表示部16を含む。表示部16は、液晶ディスプレイを含む表示装置である。表示部16は、画像形成装置1によって実行可能な各種機能に関する各種の画面を表示する。操作部15はさらに、表示部16に重ねて配置されるタッチパネル15Aを含む。操作部15は、特許請求の範囲における入力部の一例である。表示部16は、特許請求の範囲における出力部の一例である。
画像形成装置1は、制御ユニット100を含む。制御ユニット100は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含む。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御ユニット100は、内蔵するROM又はHDD(Hard Disk Drive)19に記憶されている制御プログラムが上記のプロセッサーによって実行されることにより、制御部10として機能する。
制御ユニット100は、原稿搬送部30、画像読取部11、開閉検出部33、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部15、画像処理部17、画像メモリー18、HDD19、ファクシミリ通信部20、及び通信部21等と電気的に接続される。本実施の形態において、原稿搬送部30、画像読取部11、開閉検出部33、操作部15、表示部16、及び制御ユニット100は、画像読取装置2として機能する。
制御部10は、画像形成装置1の全体制御を司る。より詳細には、制御部10は、画像形成装置1の各部の動作、及び、ネットワークを介して接続されるPC又はサーバー等の情報処理装置22との通信等を制御する。
画像処理部17は、画像読取部11によって生成される画像データに対して、必要に応じて画像処理を実行する。
画像メモリー18は、画像読取部11によって生成される印刷対象の画像データを一時的に記憶する領域を含む。
HDD19は、画像読取部11によって生成される画像データを含む各種データを記憶する大容量の記憶装置である。HDD19は、画像形成装置1の一般的な動作を実現するための各種制御プログラムを記憶する。HDD19は、特許請求の範囲における記憶部の一例である。
HDD19は、本実施の形態に係るIDカード印刷処理を実行するための印刷プログラムを記憶している。上記のプロセッサーは、印刷プログラムに従って動作することにより、制御部10として、IDカード印刷処理を実行する。印刷プログラムは、上記制御プログラムに含まれているものとする。
なお、制御部10は、制御プログラムに基づく動作によらず、ハード回路により動作可能に構成されてもよいし、2つ以上の制御ユニットによって実現される構成であってもよい。
HDD19は、IDカードの種類と、IDカードのサイズとを対応付けて、サイズ情報として予め記憶する。IDカードは、略矩形形状を有する。したがって、HDD19は、IDカードのサイズとして、IDカードの短辺の長さ及び長辺の長さを記憶している。サイズ情報は、操作部15を介したユーザーによる入力によって、任意に追加又は削除することができる。
図4は、サイズ情報の一例を示す図である。図4を参照して、HDD19は、サイズ情報40として、例えば、「パスポート」というIDカードの種類を示す情報と、「88mm×125mm」というIDカードのサイズを示す情報とを対応付けて記憶している。HDD19はまた、サイズ情報40として、例えば、「運転免許証」というIDカードの種類を示す情報と、「54mm×85.6mm」というIDカードのサイズを示す情報とを対応付けて記憶している。サイズ情報40として記憶されているIDカードのサイズは、全てA5サイズである「148mm×210mm」よりも小さいサイズである。
HDD19はまた、上記サイズ情報とは別に、A5サイズを示す情報として、「148mm×210mm」という情報を予め記憶している。
ファクシミリ通信部20は、公衆回線への接続を行ない、公衆回線を介して画像データの送受信を行なう。
通信部21は、LANボード等の通信モジュールを含む。画像形成装置1は、通信部21を介して、ネットワーク上のPC又はサーバー等の情報処理装置22とデータ通信を行なう。
画像形成装置1の各部には図示しない電源が接続され、この電源から電力が供給されることによって、画像形成装置1の各部が動作する。
[動作]
図5は、IDカード印刷処理を示すフローチャートである。以下、IDカード印刷処理を実行するために、画像形成装置1で実行される印刷プログラムの制御構造について、画像形成装置1の動作と併せて説明する。印刷プログラムは、ユーザーによって、操作部15を介して、IDカード印刷機能を選択する指示が入力されることによって、制御部10により実行される。
以下の説明では、ユーザーによる操作部15を介した入力によって、制御部10により、A4サイズの記録紙が、印刷に用いる記録紙として設定されているものとする。このように、A4サイズの記録紙が用いられる場合、制御部10による制御の下、IDカード印刷機能によって、IDカードの一方の面の画像が、A4サイズの記録紙の長手方向一方側に位置するA5サイズの領域に割付けられ、IDカードの他方の面の画像が、記録紙の長手方向他方側に位置するA5サイズの領域に割付けられて、印刷される。
したがって、IDカードの一方の面のサイズ及び他方の面のサイズが共に、集約が可能なサイズであるA5サイズ以下である場合に、IDカード印刷機能による集約が可能になる。IDカードの一方の面又は他方の面のサイズがA5サイズよりも大きい場合、IDカード印刷機能による集約が不可能となる。
画像形成装置1の電源が投入されると、制御部10は、表示部16に、画像形成装置1によって実行可能な複数の機能のうちのいずれかを選択するためのホーム画面を表示させる。図6は、ホーム画面の一例を示す図である。図6を参照して、ホーム画面60は、ソフトキーとして、コピー機能を選択するためのキー62、送信機能を選択するためのキー64、ファクシミリ機能を選択するためのキー66、及び、IDカード印刷機能を選択するためのキー68等を含む。
(1)原稿カバー部材32が開状態の場合
(1−1)原稿の輪郭を抽出可能である場合
ユーザーは、IDカード印刷機能の利用を所望して、キー68を押下したものとする。図5を参照して、制御部10は、タッチパネル15Aを介してキー68の押下を検出すると、表示部16に、IDカードの一方の面の読取りを開始する指示を入力するための第1の案内画面を表示させる(ステップS10)。
図7は、第1の案内画面の一例を示す図である。図7を参照して、第1の案内画面70は、「IDカードの表面を読取ります。プラテンガラスにIDカードを載置して下さい。」というメッセージ72を含む。第1の案内画面70は、ソフトキーとして、画像読取部11によるIDカードの読取りを開始する指示を入力するためのスタートキー74を含む。第1の案内画面70の表示後、制御部10は、スタートキー74が押下されるまで待機する(ステップS11にてNO)。
図1を参照して、ユーザーは、第1の案内画面70を確認した後、原稿カバー部材32を開放して、予め定められる読取領域6におけるプラテンガラス31の角部に、運転免許証5の角部の1つが重なるように、運転免許証5を載置する。このとき、ユーザーは、運転免許証5を、一方の面としての表面が読取り面となるように読取領域6に載置する。読取領域6は、プラテンガラス31の角部の1つを含むA5サイズの領域である。
運転免許証5の載置後、ユーザーは、原稿カバー部材32を開状態にしたままで、スタートキー74を押下したものとする。このとき、画像形成装置1の上方に取り付けられている蛍光灯が点灯しているものとする。
制御部10は、タッチパネル15Aを介してスタートキー74の押下を検出すると、IDカードの読取りを開始する指示を受け付けたと判定し(ステップS11にてYES)、開閉検出部33から出力される検出信号に基づいて、原稿カバー部材32が開状態であるか否かを判定する(ステップS12)。
この場合、原稿カバー部材32は開状態であるので、制御部10は、原稿カバー部材32が開状態であると判定し(ステップS12にてYES)、画像読取部11に対し、プラテンガラス31の原稿載置面31A全体を読取らせて、原稿載置面31Aの全体に対応する第1画像データを生成させる(ステップS13)。このとき生成される第1画像データは、IDカードの一方の面である、運転免許証5の表面の画像を示す画像データである。
図8は、画像読取部11による原稿の読取りによって生成された第1画像データの一例を示す。以下、第1画像データによって示される画像を用いて、第1画像データのデータ構造を説明する。図8を参照して、第1画像データ80は、運転免許証5の表面に対応する原稿部分82と、蛍光灯の光に対応する白筋部分84,86と、を含む。原稿部分82及び白筋部分84,86の画素は、白色を示す低濃度値の画素である。第1画像データ80における、原稿部分82及び白筋部分84,86以外の部分の画素は、黒色を示す高濃度値の画素である。
このように、原稿カバー部材32が開状態である場合に画像読取部11による原稿の読取りが実行されると、画像読取部11は、プラテンガラス31における原稿が載置されている部分からの反射光を取得するため、第1画像データ80における原稿部分82の画素は、白色を示す低濃度値の画素となる。一方、画像読取部11は、プラテンガラス31における原稿が載置されていない部分からの反射光を取得することができないため、第1画像データ80における原稿部分82以外の部分の画素は、黒色を示す高濃度値の画素となる。
したがって、原稿カバー部材32が開状態である場合には、原稿部分の濃度値と、原稿部分以外の部分の濃度値との差を用いたエッジ検出が容易になる。したがって、原稿カバー部材32が開状態である場合には、制御部10は、以下に説明するように、第1画像データから原稿部分に対応する第2画像データを切出すオートクロップ機能を実行するように設定されている。
なお、原稿カバー部材32が開状態である場合に画像形成装置1の上方に取り付けられている蛍光灯が点灯している場合には、画像読取部11は、原稿からの反射光とは異なる蛍光灯の光を取得するため、第1画像データ80における白筋部分84,86の画素は、白色を示す低濃度値の画素となる。
第1画像データの生成後、制御部10は、一般的に使用される濃淡エッジ検出技術を用いて、第1画像データからエッジを検出する(ステップS14)。この場合、制御部10は、第1画像データ80から、原稿部分82のエッジ82Aと、白筋部分84のエッジ84A,84Bと、白筋部分86のエッジ86A,86Bと、を検出する。
エッジの検出後、制御部10は、第1画像データから原稿の輪郭を抽出可能であるか否かを判定する(ステップS15)。具体的には、制御部10は、第1画像データから、検出されたエッジによって囲まれる略矩形の領域を抽出可能な場合には、原稿の輪郭を抽出可能であると判定する。制御部10は、上記略矩形の領域を抽出可能でない場合には、原稿の輪郭を抽出可能でないと判定する。
この場合、第1画像データ80から、エッジ82Aで囲まれる略矩形の原稿部分82を抽出可能であるので、制御部10は、第1画像データから原稿の輪郭を抽出可能であると判定し(ステップS15にてYES)、上記略矩形の領域に基づいて、読取られた原稿のサイズを決定する(ステップS16)。
具体的には、制御部10はまず、検出されたエッジによって囲まれる略矩形の領域を抽出し、抽出した領域の主走査方向X1の長さを示す情報と、副走査方向X2の長さを示す情報とを取得する。制御部10は次いで、HDD19に記憶されているサイズ情報30から、取得された主走査方向X1の長さ及び副走査方向X2の長さに最も近い短辺の長さ及び長辺の長さを有するサイズを抽出し、抽出したサイズを原稿のサイズとして決定する。
この場合、制御部10はまず、エッジ82Aで囲まれる原稿部分82を抽出し、原稿部分82の主走査方向X1の長さを示す「54mm」という値と、副走査方向X2の長さを示す「85.6mm」という値とを取得する。制御部10は次いで、サイズ情報30から、取得された主走査方向X1の長さ及び副走査方向X2の長さと同じ短辺の長さ及び長辺の長さを有する運転免許証のサイズを抽出し、抽出した運転免許証のサイズを原稿のサイズとして決定する。
原稿のサイズの決定後、制御部10は、決定された原稿のサイズが、A5サイズ以下であるか否かを判定する(ステップS17)。この場合、決定された原稿のサイズは、A5サイズよりも小さい運転免許証のサイズであるので、制御部10は、決定された原稿のサイズがA5サイズ以下であると判定し(ステップS17にてYES)、制御部10は、第1画像データから、検出されたエッジによって囲まれる略矩形の領域に対応する第2画像データを切出す(ステップS18)。この場合、制御部10は、第1画像データ80から、エッジ82Aで囲まれる原稿部分82に対応する第2画像データを切出す。切出された第2画像データは、集約用の一方の画像データとして、HDD19に記憶される。
第2画像データの切出し後、制御部10は、IDカードの両面が読取られたか否かを判定する(ステップS19)。この場合、IDカードの一方の面のみが読取られている状態であるので、制御部10は、IDカードの両面が読み取られていないと判定し(ステップS19にてNO)、表示部16に、IDカードの他方の面の読取りを開始する指示を入力するための第2の案内画面を表示させる(ステップS20)。
図9は、第2の案内画面の一例を示す図である。図9を参照して、第2の案内画面90は、「IDカードの裏面を読取ります。プラテンガラスにIDカードを載置して下さい。」というメッセージ92を含む。第2の案内画面90は、ソフトキーとして、画像読取部11によるIDカードの読取りを開始する指示を入力するためのスタートキー94を含む。第2の案内画面90の表示後、制御部10は、ステップS11に進み、スタートキー94が押下されるまで待機する(ステップS11にてNO)。
一方、制御部10は、HDD19にA5サイズを示す情報として予め記憶されている「148mm×210mm」と、取得された原稿の主走査方向X1の長さを示す値及び副走査方向X2の長さを示す値とを比較して、プラテンガラス31に載置されている原稿がA5サイズよりも大きいと判定すると、決定された原稿のサイズがA5サイズ以下ではないと判定し(ステップS17にてNO)、表示部10に、第1の警告画面を表示させる(ステップS21)。
図10は、第1の警告画面の一例を示す図である。図10を参照して、第1の警告画面100は、「原稿サイズが非対応です。プラテンガラスにIDカードを載置して下さい。」というメッセージ102を含む。メッセージ102は、ユーザーに対して、原稿のサイズが、IDカード印刷機能による集約が不可能なサイズであることを示す情報である。第1の警告画面100は、ソフトキーとして、画像読取部11によるIDカードの読取りを開始する指示を入力するためのスタートキー104を含む。第1の警告画面100の表示後、制御部10は、ステップS11に進み、スタートキー104が押下されるまで待機する(ステップS11にてNO)。
(1−2)原稿の輪郭を抽出可能でない場合
図1を参照して、ユーザーは、第2の案内画面90を確認した後、原稿カバー部材32を開放して、予め定められる読取領域6におけるプラテンガラス31の角部に、運転免許証5の角部の1つが重なるように、運転免許証5を載置する。このとき、ユーザーは、運転免許証5を、他方の面としての裏面が読取り面となるように読取領域6に載置する。
運転免許証5の載置後、ユーザーは、原稿カバー部材32を開状態にしたままで、スタートキー94を押下したものとする。このとき、画像形成装置1の上方に取り付けられている蛍光灯が点灯しているものとする。
制御部10は、タッチパネル15Aを介してスタートキー94の押下を検出すると、IDカードの読取りを開始する指示を受け付けたと判定し(ステップS11にてYES)、開閉検出部33から出力される検出信号に基づいて、原稿カバー部材32が開状態であるか否かを判定する(ステップS12)。
この場合、原稿カバー部材32は開状態であるので、制御部10は、原稿カバー部材32が開状態であると判定し(ステップS12にてYES)、画像読取部11に対し、プラテンガラス31の原稿載置面31A全体を読取らせて、原稿載置面31Aの全体に対応する第1画像データを生成させる(ステップS13)。このとき生成される第1画像データは、IDカードの他方の面である、運転免許証5の裏面の画像を示す画像データである。
図11は、画像読取部11による原稿の読取りによって生成された第1画像データの他の一例を示す。以下、第1画像データによって示される画像を用いて、第1画像データのデータ構造を説明する。図11を参照して、第1画像データ110は、運転免許証5の裏面に対応する原稿部分111と、蛍光灯の光に対応する白筋部分112,113と、を含む。原稿部分111及び白筋部分112,113の画素は、白色を示す低濃度値の画素である。第1画像データ110における、原稿部分111及び白筋部分112,113以外の部分の画素は、黒色を示す高濃度値の画素である。
第1画像データの生成後、制御部10は、一般的に使用される濃淡エッジ検出技術を用いて、第1画像データ110からエッジを検出する(ステップS14)。この場合、制御部10は、原稿部分111のエッジの一部と、白筋部分112のエッジの一部と、白筋部分113のエッジの一部とからなるエッジ114,115を検出する。
エッジの検出後、制御部10は、第1画像データから原稿の輪郭を抽出可能であるか否かを判定する(ステップS15)。この場合、原稿部分111のエッジと、白筋部分112,113のエッジとが重なっているため、制御部10は、第1画像データ110から、検出したエッジで囲まれる略矩形の領域を抽出できない。
したがって、制御部10は、原稿の輪郭を抽出可能でないと判定し(ステップS15にてNO)、表示部16に、第2の警告画面を表示させる(ステップS22)。
図12は、第2の警告画面の一例を示す図である。図12を参照して、第2の警告画面120は、「原稿読取中に検出された光が画像に影響を与える可能性があります。光の影響を取り除いて読取りを再試行して下さい。」というメッセージ122を含む。メッセージ122は、ユーザーに対して、画像読取部11によって照射される光とは異なる光の影響を受けた状態で、第1画像データが生成されていることを示す情報である。
第2の警告画面120は、ソフトキーとして、画像読取部11によるIDカードの読取りを開始する指示を入力するためのスタートキー124を含む。第2の警告画面120の表示後、制御部10は、ステップS11に進み、スタートキー124が押下されるまで待機する(ステップS11にてNO)。
(2)原稿カバー部材32が閉状態の場合
図1を参照して、ユーザーは、第2の警告画面120を確認した後、光の影響を取り除くために、原稿カバー部材32を回動して閉状態にして、スタートキー124を押下したものとする。このとき、画像形成装置1の上方に取り付けられている蛍光灯が点灯しているものとする。
制御部10は、タッチパネル15Aを介してスタートキー124の押下を検出すると、IDカードの読取りを開始する指示を受け付けたと判定し(ステップS11にてYES)、開閉検出部33から出力される検出信号に基づいて、原稿カバー部材32が開状態であるか否かを判定する(ステップS12)。
この場合、原稿カバー部材32は閉状態であるので、制御部10は、原稿カバー部材32が開状態ではないと判定し(ステップS12にてNO)、画像読取部11に対し、原稿載置面31Aの読取領域6に向けて光を照射させることで読取領域6を読取らせて、読取領域6に対応する第3画像データを生成させる(ステップS23)。このとき生成される第3画像データは、IDカードの他方の面である、運転免許証5の裏面の画像を示す画像データである。
第3画像データは、集約用の他方の画像データとして、HDD19に記憶される。この場合、原稿カバー部材32が閉状態でIDカードの読取りが実行されたため、他方の画像データは、蛍光灯の光の影響を受けていない。
画像データの生成後、制御部10は、IDカードの両面が読み取られたか否かを判定する(ステップS19)。この場合、IDカードの一方の面及び他方の面が読取られている状態であるので、制御部10は、IDカードの両面が読み取られたと判定し(ステップS19にてYES)、記録紙の長手方向一方側に位置するA5サイズの領域に原稿部分82の画像が割付けられ、記録紙の長手方向他方側に位置するA5サイズの領域に原稿部分111の画像が割付けられるように、一方の画像データ及び他方の画像データを合成して、印刷用の画像データを生成する(ステップS24)。
印刷用の画像データの生成後、制御部10は、画像形成部12等に対し、A4サイズの記録紙に、印刷用の画像データによって示される画像を印刷させる(ステップS25)。印刷後、IDカード印刷処理は終了し、制御部10は、表示部16に、ホーム画面60を再度表示させる。
なお、ユーザーが、第2の警告画面120を確認した後、光の影響を取り除くために、画像形成装置1の上方に取り付けられている蛍光灯を消灯して、原稿カバー部材32が開状態のままでスタートキー124を押下した場合には、上記と同様にしてステップS11乃至ステップS18の処理が実行されて、集約用の他方の画像データが生成される。
上記実施の形態によれば、制御部10は、開閉検出部33によって原稿カバー部材32の開状態が検出されている場合に、画像読取部11に対し、原稿載置面31Aの全体に対応する第1画像データを生成させ、第1画像データから原稿の輪郭を抽出可能である場合に、第1画像データから、原稿を示す部分に対応する第2画像データを切出す。制御部10はまた、第1画像データから原稿の輪郭を抽出可能でない場合に、表示部16に、第1画像データから原稿の輪郭を抽出できないことを示す情報を表示させる。
このように、原稿カバー部材32が開状態であって、第1画像データから原稿の輪郭を抽出可能でない場合に、第1画像データから原稿の輪郭を抽出できないことを示す情報が表示されるので、ユーザーは、生成された画像データに不具合が生じていることを容易に知ることができる。したがって、ユーザーは、画像読取装置の上方に取り付けられている蛍光灯を消灯する等して、画像データに生じている不具合を解消するための適切な対応を迅速に取ることができる。
また上記実施の形態によれば、制御部10は、表示部16に、原稿の輪郭を抽出できないことを示す情報として、画像読取部11によって照射される光とは異なる光の影響を受けた状態で、第1画像データが生成されていることを示す情報を表示させる。
これによって、ユーザーは、画像データに生じている不具合の原因を容易に知ることができる。したがって、ユーザーは、画像データに生じている不具合を解消するためのより一層適切な対応を迅速に取ることができる。
また上記実施の形態によれば、制御部10は、操作部15を介して、IDカードの一方の面の画像を含む原稿と、他方の面の画像を含む原稿とを集約する指示を受け付けると、第1画像データから原稿の輪郭を抽出し、抽出された輪郭によって示される原稿のサイズが、集約が可能なサイズとして予め定められるA5サイズ以下である場合には、第1画像データから第2画像データを切出して、集約を行なうための画像データを生成する。制御部10はまた、抽出された輪郭によって示される原稿のサイズが、予め定められるA5サイズよりも大きい場合には、表示部16に、原稿のサイズが、集約が不可能なサイズであることを示す情報を出力させる。
これによって、ユーザーは、原稿のサイズが、集約が不可能なサイズであることを容易に知ることができる。したがって、ユーザーは、プラテンガラス31に載置されている原稿を、集約が可能なサイズの原稿に交換する等の適切な対応を迅速に取ることができる。
また上記実施の形態によれば、制御部10は、開閉検出部33によって原稿カバー部材32の閉状態が検出されている場合は、画像読取部11に、プラテンガラス31における原稿載置面31Aの読取領域6に向けて光を照射することによって得られる反射光に基づいて、読取領域6に対応する第3画像データを生成させる。
これによって、原稿の集約が可能なサイズの画像データを容易に取得することができるので、制御部10は、集約を円滑に実行することができる。
また上記実施の形態によれば、制御部10は、第1画像データからエッジを検出し、検出されたエッジによって囲まれる略矩形の領域を抽出可能な場合に、原稿の輪郭を抽出可能であると判定し、上記略矩形の領域を抽出可能でない場合には、原稿の輪郭を抽出可能でないと判定する。
これによって、制御部10は、原稿の輪郭を抽出可能であるか否かの判定を容易に実行することができる。
(その他の変形例)
上記実施の形態では、第1の警告画面100は、「原稿サイズが非対応です。プラテンガラスにIDカードを載置して下さい。」というメッセージ102を含んでいたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。メッセージ102は、原稿のサイズが、IDカード印刷機能による集約が不可能なサイズであることを示す情報であれば特に限定されず、例えば「集約が不可能な原稿サイズです。」というメッセージ、又は、「A5以下のサイズの原稿をプラテンガラスに載置して下さい。」というメッセージ等であってもよい。
また上記実施の形態では、第2の警告画面120は、「原稿読取中に検出された光が画像に影響を与える可能性があります。光の影響を取り除いて読取りを再試行して下さい。」というメッセージ122を含んでいたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。
メッセージ122は、ユーザーに対して、画像データから原稿の輪郭を抽出できないことを示すための情報であれば特に限定されず、例えば「画像データから原稿の輪郭を抽出できません。」というメッセージ、又は、「原稿のサイズを検知できません。」というメッセージ等であってもよい。
また、メッセージ122は、「原稿カバー部材を閉じて読取りを再試行して下さい。」というメッセージ、又は、「蛍光灯を消灯して下さい。」というメッセージ等の、光の影響を取り除くための具体的な処置の内容を示す情報を含んでいてもよい。
また上記実施の形態では、出力部の一例として表示部16が用いられたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、画像読取装置2が、出力部としての図略のスピーカーを備えており、制御部10が、当該スピーカーを介して、メッセージ102,122によって示される情報を、音声によって出力する構成であってもよい。
また上記実施の形態では、オートクロップ機能を利用する場合としてIDカード印刷機能を例示して説明したが、本発明はそのような実施の形態に限定されず、例えば、マルチクロップ機能が用いられてもよい。
また上記実施の形態では、制御部10は、原稿カバー部材32が開状態である場合に、オートクロップ機能を実行するように構成されたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、制御部10は、原稿カバー部材32が閉状態である場合にも、オートクロップ機能を実行するように構成されていてもよい。この場合、制御部10は、IDカードの端部近傍に光を照射することによって生じる影に起因する黒筋部分を利用して、第1画像データから原稿の輪郭を抽出する処理を実行する。
また上記実施の形態では、開閉検出部33の一例として、機械式のスイッチ機構を例示したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。開閉検出部33は、原稿カバー部材32の開状態又は閉状態を検出する構成であれば特に限定されず、例えば、原稿カバー部材32が閉状態になる直前に導通する構成の電気式スイッチであってもよい。
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、本発明に係る画像読取装置の一実施形態としてカラー複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、モノクロ複合機、コピー機、又はファクシミリ装置等の他の電子機器であってもよい。
また、図1乃至図12を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。