図1は、本発明に係る温度式膨張弁ユニットの第1実施例の外観を示す。
後述する弁本体および弁体機構駆動ユニットを有するカセット式膨張弁を複数個備える温度式膨張弁ユニット10は、例えば、図3に示されるように、複数の蒸発器6A〜6Dを持つ冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器4の出口と複数の蒸発器6A、6B、6C、および、6Dの入口との間に配置されている。温度式膨張弁ユニット10は、ハウジングのジョイント部10Iの入口ポート10IPで、アルミニウム合金製の一次側配管Du2に接続されており、冷媒が流出されるハウジングの出口ポート10E1、10E2、10E3、および、10E4(図6参照)でそれぞれ、アルミニウム合金製の二次側配管Du3、Du4、Du5、Du6に接続されている。一次側配管Du2は、凝縮器4の出口と温度式膨張弁ユニット10のハウジングのジョイント部10Iの入口ポート10IPとを接続し、二次側配管Du3は、蒸発器6Aの入口と温度式膨張弁ユニット10のハウジングの出口ポート10E1とを接続するものとされる。また、二次側配管Du4は、蒸発器6Bの入口と温度式膨張弁ユニット10のハウジングの出口ポート10E2とを接続するものとされる。二次側配管Du5は、蒸発器6Cの入口と温度式膨張弁ユニット10のハウジングの出口ポート10E3とを接続するものとされる。二次側配管Du6は、蒸発器6Dの入口と温度式膨張弁ユニット10のハウジングの出口ポート10E4とを接続するものとされる。
蒸発器6Aの出口と蒸発器6Bの出口とは、各出口に接続される分岐供給路Du7A、および、分岐供給路Du7Bの一端を互いに連結する連結路Du8に接続されている。また、蒸発器6Cの出口と蒸発器6Dの出口とは、各出口に接続される分岐供給路Du7C、および、分岐供給路Du7Dの一端を互いに連結する連結路Du9に接続されている。連結路Du8および連結路Du9の下流側の端部は、互いに連結され、他端が圧縮機2の吸入口に接続される配管Du12の一端に接続されている。
圧縮機2の吐出口に接続される配管Du1の一端は、凝縮器4の入口に接続されている。圧縮機2は、図示が省略される制御部により駆動制御される。これにより、冷凍サイクルシステムにおける冷媒が、例えば、図3に示される矢印に沿って循環されることとなる。冷凍サイクル運転時の温度式膨張弁ユニット10の入口から出口の冷媒の状態としては、入口は、凝縮器4の出口から流出した液冷媒が、一次側配管Du2を通って温度式膨張弁ユニット10のバルブハウジング10Hの下面の入口ポート10IPから鉛直上方に供給され、液状態で4つの分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpに分配され、各カセット式膨張弁で減圧された気液二相流の冷媒が、バルブハウジング10Hの出口10E1、10E2、10E3、10E4を通って各蒸発器6A〜6Dに供給される。
なお、凝縮器4の出口から4つの分岐路10ap〜10dpまでの間は、通常、液冷媒である。しかし、冷凍サイクルシステムにおける冷媒が抜けて少なくなってきた場合等では、凝縮器4の出口から4つの分岐路10ap〜10dpまでの間は、フラッシュ状態(気液2相状態)となる場合がある。この場合でも、気液2相状態の冷媒は、後述されるバルブハウジング10Hの一端面(下面)10Lの1次側供給口10Mから鉛直上方に供給されるので、冷媒における液状成分は、重力の影響を受けずに、4つの分岐路10ap〜10dpに均等に分配される。
図1において、温度式膨張弁ユニット10は、複数個のカセット式膨張弁、例えば、4個のカセット式膨張弁12と、4個のカセット式膨張弁12を個別に収容するハウジングとしてのバルブハウジング10Hと、バルブハウジング10Hにおける上流側の一端面(下面)10Lに固定され一次側配管Du2に接続される接続用ジョイント部材10Iと、を主な構成要素として含んで構成される。
バルブハウジング10Hは、例えば、アルミニウム合金で作られている。バルブハウジング10Hにおける下流側の他端面10Tには、図5および図6に示されるように、4個のカセット式膨張弁12が、それぞれ、収容される膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dの開口端が、互いに均等に離隔した4箇所に縦横に形成されている。膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dは、それぞれ、出口通路10ep(図5、図13参照)に連通している。出口通路10epは、図5において、直交座標系におけるX座標軸に沿って延びている。膨張弁収容室10A、および、10Bに連通する出口通路10epは、共通の一直線上に形成され互いに逆方向に延びている。また、膨張弁収容室10C、および、10Dに連通する出口通路10epは、共通の一直線上に形成され、互いに逆方向に延びている。出口通路10epの内径は、膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dの内径に比して小に設定されている。
さらに、膨張弁収容室10Aに連通する出口通路10epは、膨張弁収容室10Dに連通する出口通路10epに対し略平行に形成されている。膨張弁収容室10Bおよび膨張弁収容室10Cに連通する出口通路10epの一端は、接続用ジョイント部材10EAの出口10E1、10E2に連通している。接続用ジョイント部材10EAの接続端部は、出口通路10epに連通する孔に挿入されている。その孔は、接続端部の溝に設けられるOリングにより封止されている。
膨張弁収容室10Aおよび膨張弁収容室10Dに連通する出口通路10epの一端は、接続用ジョイント部材10EBの出口10E4、10E3に連通している。接続用ジョイント部材10EBの接続端部は、出口通路10epに連通する孔に挿入されている。その孔は、接続端部の溝に設けられるOリングにより封止されている。
なお、図5において、X座標軸は、バルブハウジング10Hにおける一端面10Lおよび他端面10Tに対し平行にとられ、Z座標軸は、バルブハウジング10Hにおける一端面10Lおよび他端面10Tに対し垂直にとられている。Y座標軸は、X座標軸およびZ座標軸に対し直交するものとされる。このようにバルブハウジング10Hが使用される場合、バルブハウジング10Hにおける一端面10Lは、例えば、バルブハウジング10Hの下面であり、他端面10Tは、例えば、バルブハウジング10Hの上面である。
膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dの入口は、それぞれ、分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpを介して共通の1次側供給口10Mに接続されている。分岐路10apおよび10bpは、それぞれ、図5において中心軸線(対称軸線)ASに対し対称形となるように形成されている。また、分岐路10cp、および、10dpは、それぞれ、図5において対称軸線ASに対し対称形となるように形成されている。
さらに、接続用ジョイント部材10EAを真正面に見たとき、分岐路10bpおよび分岐路10cpも、対称軸線ASに対し対称形となるように形成されている。分岐路10apおよび10dpも、それぞれ、対称軸線ASに対し対称形となるように形成されている。
分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpの1次側供給口10Mの端面から膨張弁収容室までの流路の長さが同一、かつ、流路の内径は、互いに同一に設定されている。分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpの内径は、膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dの内径に比して小に設定されている。
また、分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpの対称軸線ASに対する所定の傾斜角度も互いに同一に設定されている。分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpにおける1次側供給口10Mに開口している一端部は、それぞれ、図8に示されるように、対称軸線ASの回りに均等の角度、例えば、90°間隔で形成されている。
1次側供給口10Mには、接続用ジョイント部材10Iの接続端部が挿入されている。1次側供給口10Mの内径は、図7に示されるように、上述の膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dの入口の真下の位置に1次側供給口10Mが形成されるように設定されている。1次側供給口10Mは、好ましくは、バルブハウジング10Hにおける一端面(下面)10Lに設けられる。冷媒は、バルブハウジング10Hの下面の1次側供給口10Mから鉛直上方に供給されるので、冷媒液が重力の影響を受けずに、4つの分岐路10ap〜10dpに均等に分配される。
接続用ジョイント部材10Iは、バルブハウジング10Hにおける一端面10Lに結合されるフランジ部と、1次側供給口10M内に挿入される接続端部とから構成されている。フランジ部は、配管Du2が接続される入口ポート10IPを中央部に有している。入口ポート10IPは、接続端部内に末広状に形成されるテーパ孔10IRに連通している。テーパ孔10IRの最大径(φd1)は、図8に示されるように、分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpにおける1次側供給口10Mに開口している一端部をそれぞれ取り囲むように、設定されている。即ち、図8に示されるように、ジョイント部材10Iのテーパ孔10IRの最大径(φd1)の円の範囲内に、複数の分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpにおける該テーパ孔10IRに向けて開口する各開口端部の開口が入っている。具体的には、図8において、テーパ孔10IRの最大径(φd1)は、破線で示される対称軸線ASを中心とした外接円の直径Dよりも大に設定されている。その外接円は、分岐路10ap〜10dpにおける1次側供給口10Mに開口している開口端周縁の中心軸線(対称軸線)ASから一番離れた各点Ap,Bp、Cp、および、Dpに外接するものとされる。外接円の直径Dは、中心軸線(対称軸線)ASから上述の各点Ap,Bp、Cp、および、Dpまでの長さをrとしたとき、2rを意味する。
これにより、液冷媒が入口ポート10IPから末広状に形成されるテーパ孔10IRを通り各複数の分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpに流入する際に、テーパ孔10IRの最大径(φd1)の円の範囲内に各複数の分岐路の開口がある為、特許文献3に記載の発明に比して液冷媒がスムーズに流れ、圧力損失が少ない。
なお、分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpにおける1次側供給口10Mに開口している一端部により取り囲まれる略中央部分が、冷媒をより円滑に分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dp内に誘導するように所定の曲率半径をもった湾曲面であってもよい。
上述の接続端部の外周部の回りに形成される溝には、Oリングが挿入されている。これにより、1次側供給口10Mの内部が外部に対し封止される。また、接続用ジョイント部材10Iは、図9および図10に示されるように、フランジ部に形成される取付孔を介して小ネジがバルブハウジング10Hにおける上流側の一端面10Lに形成される雌ねじ部に捩じ込まれることにより、バルブハウジング10Hにおける上流側の一端面10Lに固定される。
段付き孔に形成された膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dは、それぞれ、図13に示されるように、カセット式膨張弁12を収容している。膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dは、互いに同一の構造を有しているので膨張弁収容室10Aについて説明し、膨張弁収容室10B、10C、および、10Dの説明は、省略する。
カセット式膨張弁12は、図11および図12に示されるように、膨張弁収容室10Aの大径孔に挿入される弁本体12Bと、弁本体12Bの上部に取り付けられ弁本体12B内の弁体機構を駆動させる弁体機構駆動ユニットとを主な要素として含んで構成されている。
弁本体12Bは、例えば、樹脂材料で一体に成形され、膨張弁収容室10Aの出口通路10epに連通する連通路12P2を有する大径部と、大径部に連なる円筒状の小径部内に形成され上述の分岐路10apに連通する弁体収容部およびコイルスプリング収容部とを含んで構成されている。
大径部における連通路12P2は、弁本体12Bの中心軸線に対し直交するように大径部を貫通している。2箇所の連通路12P2は、中心軸線で十字状に交差している。
膨張弁収容室10Aの小径孔に挿入される小径部における弁体収容室、および、コイルスプリング収容部は、弁本体12Bの中心軸線に沿って同心上に形成されている。弁体収容室には、円錐台状の先細部を有する円筒状の弁体12Nが移動可能に配されている。弁体12Nの先細部は、弁体収容室に開口する弁座の弁ポート12PTを介して後述する連結ピン12Pの円柱状の細い先端部に当接している。弁体12Nは、その内周部と弁体収容室とを連通させる連通孔12Ncを有している。小径部における弁体収容室は、コイルスプリング収容部に連通している。バルブハウジング10Hにおける小径孔の周縁の段差部には、Oリングが設けられている。これにより、膨張弁収容室10Aの小径孔の内周面と弁本体12Bの小径部の弁体収容室の外周面との間の隙間が封止される。
コイルスプリング収容部には、弁体12Nの先細部を弁ポート12PTに対し近接させる方向、即ち、弁ポート12PTを閉じる方向に付勢するコイルスプリング(調整ばね)12NSと、コイルスプリング12NSの付勢力(復元力)を調整する調整ねじ部材13とが配されている。コイルスプリング12NSの一端は、弁体12Nにおける端部の段差部に係合され、コイルスプリング12NSの他端は、調整ねじ部材13の段差部に当接されている。調整ねじ部材13の下端部は、コイルスプリング収容部の開口端部の内周部に形成される雌ねじ部に捩じ込まれる雄ねじ部を有している。これにより、雄ねじ部がコイルスプリング12NSの付勢力に抗してコイルスプリング収容部に対し前進または後退させることによって、コイルスプリング12NSの付勢力が調整されることとなる。調整ねじ部材13は、弁本体12Bの中心軸線に沿って貫通孔を有している。コイルスプリング収容部を形成する円筒状の壁部には、円周方向に均等に4個の貫通孔12P1を有している。これにより、分岐路10apから供給された冷媒が、膨張弁収容室10Aの小径孔の内周面と弁本体12Bの小径部の外周面との間の隙間、貫通孔12P1、調整ねじ部材13の貫通孔、および、弁体12Nの連通孔12Ncを介して弁ポート12PTに導かれる。
弁本体12Bにおける上部には、弁体機構駆動ユニットの一部を構成する下蓋12Lがインサート成形されている。下蓋12Lの一部は、上述の弁座も形成している。
図13に示されるように、弁体機構駆動ユニットは、上述の蒸発器6Aの出口に接続される配管Du7Aに当接し固定される感温筒16(図3参照)、および、一端が感温筒16に接続されるキャピラリチューブ14Aの他端が接続される円形の上蓋12Uと、上蓋12Uの周縁に接合され内部空間を上蓋12Uと協働して形成する下蓋12Lと、上蓋12Uと下蓋12Lとの間の内部空間に配される金属製のダイアフラム12Dと、ダイアフラム12Dにおける下蓋12Lに向き合う表面に当金12Fを介して連結される連結ピン12Pと、を含んで構成されている。
上蓋12Uは、例えば、薄板金属材料でプレス加工により成形され、下蓋12Lの周縁と接合される環状の接合部と、接合部に連なる円盤状部とからなる。円盤状部は、ダイアフラム12Dと協働して作動圧力室12Aを内側に形成する半球状の凸部を有している。凸部には、キャピラリチューブ14Aの他端が接続されている。キャピラリチューブ14Aおよび作動圧力室12A内には、所定の圧力の作動ガスが充填されている。なお、キャピラリチューブ14A、14B、14C、および、14Dの長さは、温度式膨張弁ユニット10から各蒸発器6A〜6Dまでの距離が様々であるので互いに異なる。
上蓋12Uと下蓋12Lとの間の内部空間を仕切るダイアフラム12Dの周縁は、上蓋12Uの接合部と下蓋12Lの接合部とにより挟持され溶接されている。これにより、作動圧力室12Aが、ダイアフラム12Dと上蓋12Uの内周部により囲まれて形成される。
ダイアフラム12Dの中央部に当接される当金12Fを介して連結される連結ピン12Pは、その中心軸線がダイアフラム12Dの受圧面に対し略垂直となるように配置されている。連結ピン12Pは、当金12Fに固定される固定部と、固定部から連通路12P2に向けて突出し延びる軸部と、軸部の一端に形成される円柱状の細い先端部とからなる。軸部は、弁本体12Bにおける連通路12P2の真上中央部に形成されるガイド部の案内孔に摺動可能に配されている。円柱状の細い先端部の直径は、軸部の直径に比して小に設定されている。円柱状の細い先端部の一部は、弁座の弁ポート12PT内に挿入され、弁体12Nの先細部の端面に当接している。
下蓋12Lは、例えば、薄板金属材料でプレス加工により成形されるとともに、弁本体12Bにインサート成形されている。下蓋12Lは、上蓋12Uの周縁と接合される接合部と、接合部に連なる円筒状部と、接合部と円筒状部とを連結する環状の連結部とから構成されている。インサート成形された下蓋12Lにおける円筒状部の一端部には、弁ポート12PTを有する平坦な弁座が形成されている。環状の連結部は、膨張弁収容室10Aの開口端周縁に形成される溝に挿入されたOリングに当接されている。これにより、膨張弁収容室10Aが外部に対し封止される。上蓋12Uは、例えば、膨張弁収容室10Aの開口端周縁に設けられる止め輪(不図示)により、バルブハウジング10Hの他端面10Tに係止されてもよい。下蓋12Lの円筒状部の内周部とガイド部の外周部との間の環状部分には、ダイアフラム12Dおよび当金12Fを介して連結される連結ピン12Pを作動圧力室12Aの方向に付勢する付勢ばね12Sが設けられている。これにより、連結ピン12Pの振動を抑制し、また部品同士(連結ピン12P、ダイヤアラム12D)の接触による異音も防止できる。
なお、上述のカセット式膨張弁12は、樹脂によりインサート成形されたものであるが、斯かる例に限られることなく、例えば、弁本体12Bおよび弁体機構駆動ユニットが、それぞれ、金属材料で作られたものであってもよい。
斯かる構成において、凝縮器4から配管Du2を介して温度式膨張弁ユニット10のジョイント部10Iの入口ポート10IP、共通の1次側供給口10M(テーパ孔10IR)に供給された冷媒は、分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpの開口端が形成される1次側供給口10Mの端面の各分岐路10ap〜10dpの開口内に衝突することなく、分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dp内にそれぞれ円滑に導かれる。従って、凝縮器4から配管Du2を介して温度式膨張弁ユニット10のジョイント部10Iの入口ポート10IP、共通の1次側供給口10M(テーパ孔10IR)に供給された冷媒の流量は、1次側供給口10Mの端面から膨張弁収容室までの流路の長さが同一、かつ、流路の内径が同一とされるので圧力損失が略同一とされる分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpを通じて均等に分配された流量で膨張弁収容室10A〜10Dに供給されるとともに、各出口通路10epおよび配管Du3、DU4、Du5、Du6を通じて蒸発器6A〜6Dに供給されるので隣接する温度式膨張弁に流入する冷媒の流量がばらつくことがなく、しかも、温度式膨張弁ユニットの流入部から各温度式膨張弁に至る流路の圧力損失を低減できる。
図5に示される例においては、バルブハウジング10Hにおける分岐路10ap、10bp、10cp、および、10dpの一端が開口する共通の1次側供給口10Mを形成する端面は、平坦面とされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、図14および図15に示されるように、分岐路10´ap、10´bp、10´cp、および、10´dpの一端が開口する共通の1次側供給口10´Mを形成する端面が、例えば、円錐面10´ccとされてもよい。なお、図14および図15において、図5および図6に示される例における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図14および図15において、温度式膨張弁ユニット10´は、複数個のカセット式膨張弁、例えば、4個のカセット式膨張弁12と、4個のカセット式膨張弁12を個別に収容するハウジングとしてのバルブハウジング10´Hと、バルブハウジング10´Hにおける上流側の一端面(下面)10´Lに固定され一次側配管Du2に接続される接続用ジョイント部材10Iと、を主な構成要素として含んで構成される。
バルブハウジング10´Hは、例えば、アルミニウム合金で作られている。バルブハウジング10´Hにおける下流側の他端面10´Tには、4個のカセット式膨張弁12が、それぞれ、収容される膨張弁収容室10´A、10´B、10´C、および、10´Dの開口端が、互いに均等に離隔した4箇所に形成されている。膨張弁収容室10´A、10´B、10´C、および、10´Dは、それぞれ、出口通路10´epに連通している。出口通路10´epは、図14において、直交座標系におけるX座標軸に沿って延びている。膨張弁収容室10´A、および、10´Bに連通する出口通路10´epは、共通の一直線上に形成され互いに逆方向に延びている。また、膨張弁収容室10´C、および、10´Dに連通する出口通路10´epは、共通の一直線上に形成され、互いに逆方向に延びている。さらに、膨張弁収容室10´Aに連通する出口通路10´epは、膨張弁収容室10´Dに連通する出口通路10´epに対し略平行に形成されている。膨張弁収容室10´Bおよび膨張弁収容室10´Cに連通する出口通路10´epの一端は、接続用ジョイント部材10´EAの出口10´E1、10´E2に連通している。接続用ジョイント部材10´EAの接続端部は、出口通路10´epに連通する孔に挿入されている。その孔は、接続端部の溝に設けられるOリングにより封止されている。
膨張弁収容室10´Aおよび膨張弁収容室10´Dに連通する出口通路10´epの一端は、接続用ジョイント部材10´EBの出口10´E4、10´E3に連通している。接続用ジョイント部材10´EBの接続端部は、出口通路10´epに連通する孔に挿入されている。その孔は、接続端部の溝に設けられるOリングにより封止されている。
なお、図14において、X座標軸は、バルブハウジング10´Hにおける一端面10´Lおよび他端面10´Tに対し平行にとられ、Z座標軸は、バルブハウジング10´Hにおける一端面10´Lおよび他端面10´Tに対し垂直にとられている。Y座標軸は、X座標軸およびZ座標軸に対し直交するものとされる。このようにバルブハウジング10´Hが使用される場合、バルブハウジング10´Hにおける一端面10´Lは、例えば、バルブハウジング10Hの下面であり、他端面10´Tは、例えば、バルブハウジング10´Hの上面である。
膨張弁収容室10´A、10´B、10´C、および、10´Dの入口は、それぞれ、分岐路10´ap、10´bp、10´cp、および、10´dpを介して共通の1次側供給口10´Mに接続されている。分岐路10´apおよび10´bpは、それぞれ、図14において中心軸線(対称軸線)ASに対し対称形となるように形成されている。また、分岐路10´cp、および、10´dpは、それぞれ、図14において対称軸線ASに対し対称形となるように形成されている。さらに、分岐路10´bpおよび分岐路10´cpは、対称軸線ASに対し対称形となるように形成されている。分岐路10´apおよび10´dpは、それぞれ、対称軸線ASに対し対称形となるように形成されている。分岐路10´ap、10´bp、10´cp、および、10´dpの1次側供給口10´Mの端面から膨張弁収容室までの流路の長さが同一、かつ、流路の内径は、互いに同一に設定されている。また、分岐路10´ap、10´bp、10´cp、および、10´dpの対称軸線ASに対する所定の傾斜角度も互いに同一に設定されている。
分岐路10´ap、10´bp、10´cp、および、10´dpにおける1次側供給口10´Mに開口している一端部は、それぞれ、対称軸線ASの回りに均等の角度、例えば、90°間隔で形成されている。
1次側供給口10´Mには、接続用ジョイント部材(不図示)の接続端部が挿入されている。接続用ジョイント部材の入口ポートは、接続端部内に末広状に形成されるテーパ孔に連通している。テーパ孔の最大径(φd1)は、分岐路10´ap、10´bp、10´cp、および、10´dpにおける1次側供給口10´Mの円錐面10´ccに開口している一端部をそれぞれ取り囲むように、設定されている。即ち、ジョイント部材のテーパ孔の最大径(φd1)の円の範囲内に、複数の分岐路10´ap、10´bp、10´cp、および、10´dpにおける該テーパ孔に向けて開口する各開口端部の開口が入っている。具体的には、図8に示される例と同様に、テーパ孔10IRの最大径(φd1)は、対称軸線ASを中心とした外接円の直径Dよりも大に設定されている。その外接円は、分岐路10´ap〜10´dpにおける1次側供給口10´Mに開口している開口端周縁の中心軸線(対称軸線)ASから一番離れた各点Ap,Bp、Cp、および、Dpに外接するものとされる。外接円の直径Dは、中心軸線(対称軸線)ASから上述の各点Ap,Bp、Cp、および、Dpまでの長さをrとしたとき、2rを意味する。
これにより、液冷媒が入口ポートから末広状に形成されるテーパ孔を通り各複数の分岐管に流入する際に、テーパ孔の最大径(φd1)の円の範囲内に各複数の分岐管の開口がある為、特許文献3に記載の発明に比して液冷媒がスムーズに流れ、圧力損失が少ない。
斯かる構成においては、共通の1次側供給口10´Mを形成する端面が、円錐面10´ccにより形成されているので図7に示される例に比して共通の1次側供給口10´Mから分岐路10´ap、10´bp、10´cp、および、10´dpに至る流路における圧力損失がさらに低減される。従って、キャビテーションやフラッシュもさらに発生しにくい。また、共通の1次側供給口10’M(テーパ孔)に供給された冷媒の流量は、1次側供給口10’Mの端面から膨張弁収容室までの流路の長さが同一、かつ、流路の内径が同一とされることにより、圧力損失が略同一とされる分岐路10’ap、10’bp、10’cp、および、10’dpを通じて均等に分配された流量で膨張弁収容室10’A〜10’Dに供給されるとともに、各出口通路10’ep、および配管Du3、DU4、Du5、Du6を通じて蒸発器6A〜6Dに供給されるので隣接する温度式膨張弁12に流入する冷媒の流量がばらつくことがないことは、第1実施例の説明と同様に言うまでもない。
図16(A)および(B)は、本発明に係る温度式膨張弁ユニットの第2実施例の外観を示す。
図1に示される例においては、膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dの開口端が互いに均等に離隔した4箇所に縦横に形成されているが、一方、図16(A)および(B)、図18に示される例においては、膨張弁収容室20A、20B、20C、および、20Dが一列に等間隔で形成されている。なお、図16(A)および(B)乃至図19において、図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
カセット式膨張弁を備える温度式膨張弁ユニット20は、例えば、図3に示されるように、冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器4の出口と複数の蒸発器6A、6B、6C、および、6Dの入口との間に配置されている。温度式膨張弁ユニット20は、図示しないハウジングのジョイント部の入口ポートで、アルミニウム合金製の一次側配管Du2に接続されており、冷媒が流出されるハウジングの出口ポート20a、20b、20c、および、20dでそれぞれ、アルミニウム合金製の二次側配管Du3、Du4、Du5、Du6に接続されている。
温度式膨張弁ユニット20は、複数個のカセット式膨張弁、例えば、4個のカセット式膨張弁12と、4個のカセット式膨張弁12を個別に収容するハウジングとしてのバルブハウジング20Hと、バルブハウジング20Hにおける上流側の一端面(下面)20Lに固定され一次側配管Du2に接続される接続用ジョイント部材と、を主な構成要素として含んで構成される。
バルブハウジング20Hは、例えば、アルミニウム合金で作られている。バルブハウジング20Hにおける下流側の他端面20Tには、4個のカセット式膨張弁12が、それぞれ、収容される膨張弁収容室20A、20B、20C、および、20Dの開口端が、一列に等間隔で4箇所に形成されている。膨張弁収容室20A、20B、20C、および、20Dは、それぞれ、出口通路(不図示)に連通している。各出口通路の一端は、ハウジングの出口ポート20a、20b、20c、および、20dに連通している。
図19に示されるように、膨張弁収容室20A、20B、20C、および、20Dの入口は、それぞれ、分岐路20ap、20bp、20cp、および、20dpを介して共通の1次側供給口20Mに接続されている。分岐路20apおよび20dpは、それぞれ、図19において中心軸線(対称軸線)ASに対し対称形となるように形成されている。また、分岐路20bp、および、20cpは、それぞれ、対称軸線ASに対し対称形となるように形成されている。分岐路20ap、20bp、20cp、および、20dpの内径は、互いに同一に設定されている。また、分岐路20ap、および、20bpの対称軸線ASに対する所定の傾斜角度も分岐路20cp、および、20dpにおける対応する傾斜角度と同一に設定されている。分岐路20apおよび20dpの流路の長さは、互いに同一であり、分岐路20bp、および、20cpの流路の長さも互いに同一である。
なお、1次側供給口20Mには、接続用ジョイント部材の接続端部(不図示)が挿入されてもよい。接続用ジョイント部材は、バルブハウジング20Hにおける一端面20Lに結合されるフランジ部と、1次側供給口20M内に挿入される接続端部とから構成されている。フランジ部は、配管Du2が接続される入口ポートを有している。
段付き孔に形成された膨張弁収容室20A、20B、20C、および、20Dは、図19に示されるように、カセット式膨張弁12を収容している。膨張弁収容室20A、20B、20C、および、20Dは、互いに同一の構造を有し、また、膨張弁収容室20Aの構造は、上述の膨張弁収容室10Aの構造と同一構造を有するので膨張弁収容室20A、膨張弁収容室20B、20C、および、20Dの説明は、省略する。
斯かる構成において、凝縮器4から配管Du2を介して温度式膨張弁ユニット20のジョイント部の入口ポート、共通の1次側供給口20Mに供給された冷媒の流量は、圧力損失が略同一とされる分岐路20bp、20cp、ならびに、分岐路20ap、20dpを通じて略均等に分配された流量で膨張弁収容室20A〜20Dに供給されるとともに、各出口通路および配管Du3、DU4、Du5、Du6を通じて蒸発器6A〜6Dに供給されるので隣接する温度式膨張弁に流入する冷媒の流量が、特許文献2の図2に示される様に、ばらつくことがなく、しかも、温度式膨張弁ユニットの流入部から各温度式膨張弁に至る流路の圧力損失を低減できる。
図18および図19に示される例においては、複数の分岐路に連通する4個の膨張弁収容室が一列に配置されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、一列に均等間隔で3個の膨張弁収容室または5個の膨張弁収容室が、配置されてもよい。このような場合、3個の膨張弁収容室に連通する複数の分岐路は、1次側供給口20Mの中心を通る中心軸線(対称軸線)AS上に1本、および、中心軸線(対称軸線)ASに対し対称形となるように、2本形成されてもよい。また、5個の膨張弁収容室に連通する複数の分岐路の場合、分岐路は、1次側供給口20Mの中心を通る中心軸線(対称軸線)AS上に1本、中心軸線(対称軸線)ASに対し対称形となるように、中心軸線(対称軸線)ASを挟んで2本ずつ、合計4本形成されてもよい。
また、第2実施例では、4個、5個等の複数の膨張弁収容室は、図18の上面図に示す様に、一列の直列に均等間隔で配置の場合を述べてきたが、上面図で一列に限ることはなく、二列等の複数列を直列配置してもよい。例えば、5個配置の場合、一列目が2個で、二列目が3個の配置としてもよい。
図20は、本発明に係る温度式膨張弁ユニットの第3実施例の外観を示す。
図1に示される例においては、膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dの開口端が互いに均等に離隔した4箇所に縦横に形成されているが、一方、図20に示される例においては、膨張弁収容室30A、30B、および、30Cが、所定の円周上に均等の間隔で3箇所に形成されている。なお、図20および図21において、図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
カセット式膨張弁を備える温度式膨張弁ユニット30は、例えば、図3に示されるように、車両に搭載される冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器4の出口と複数の蒸発器のそれぞれの入口との間に配置されている。温度式膨張弁ユニット30は、ハウジングのジョイント部30Iの入口ポート30IPで、アルミニウム合金製の一次側配管Du2に接続されており、冷媒が流出されるハウジングの出口ポート30E1、30E2、および、30E3でそれぞれ、複数の蒸発器の入口にそれぞれ接続されるアルミニウム合金製の二次側配管に接続されている。
温度式膨張弁ユニット30は、複数個のカセット式膨張弁、例えば、3個のカセット式膨張弁12と、3個のカセット式膨張弁12を個別に収容するハウジングとしてのバルブハウジング30Hと、バルブハウジング30Hにおける上流側の一端面(下面)30Lに固定され一次側配管Du2に接続される接続用ジョイント部材30Iと、を主な構成要素として含んで構成される。
バルブハウジング30Hは、例えば、アルミニウム合金で作られている。バルブハウジング30Hにおける下流側の他端面30Tには、図20に示されるように、3個のカセット式膨張弁12が、それぞれ、収容される膨張弁収容室30A、30B、および、30Cの開口端が、所定の円周上に均等の間隔で3箇所に形成されている。膨張弁収容室30A、30B、および、30Cは、それぞれ、出口通路30ep(図22参照)に連通している。各出口通路30epは、出口ポート30E1、30E2、および、30E3に向って延びている。膨張弁収容室30A、膨張弁収容室30B、および、膨張弁収容室30Cに連通する出口通路30epの一端は、それぞれ、側面30S1,30S2,30S3に設けられる接続用ジョイント部材30EA、30EB、および、30ECの出口ポート30E1、30E2、および、30E3に連通している。接続用ジョイント部材30EA、30EB、および、30ECの接続端部は、それぞれ、出口通路30epに連通する孔に挿入されている。その孔は、各接続端部の溝に設けられるOリングにより封止されている。
膨張弁収容室30A、30B、および、30Cの入口は、それぞれ、分岐路30ap、30bp、および、30cpを介して共通の1次側供給口30Mに接続されている。分岐路30apおよび30cpは、それぞれ、図21において中心軸線(対称軸線)ASに対し対称形となるように形成されている。また、分岐路30cp、および、30bp、分岐路30ap、および、30bpは、それぞれ、図23において対称軸線ASに対し対称形となるように形成されている。分岐路30ap、30bp、および、30cpの内径、および、1次側供給口30Mの端面から膨張弁収容室30A、30B、および、30Cの入口までの長さは、互いに同一に設定されている。また、分岐路30ap、30bp、および、30cpの対称軸線ASに対する所定の傾斜角度も互いに同一に設定されている。
分岐路30ap、30bp、および、30cpにおける1次側供給口30Mに開口している一端部は、それぞれ、図23に示されるように、対称軸線ASの回りに均等の角度、例えば、120°間隔で共通の円周上に形成されている。
1次側供給口30Mには、接続用ジョイント部材30Iの接続端部が挿入されている。接続用ジョイント部材30Iは、バルブハウジング30Hにおける一端面30Lに結合されるフランジ部と、1次側供給口30M内に挿入される接続端部とから構成されている。フランジ部は、配管Du2が接続される入口ポート30IPを中央部に有している。入口ポート30IPは、接続端部内に末広状に形成されるテーパ孔30IRに連通している。テーパ孔30IRの最大径(φd1)は、図23に示されるように、分岐路30ap、30bp、および、30cpにおける1次側供給口30Mに開口している一端部をそれぞれ取り囲むように、設定されている。即ち、図23に示されるように、接続用ジョイント部材30Iのテーパ孔30IRの最大径(φd1)の円の範囲内に、複数の分岐路30ap、30bp、および、30cpにおける該テーパ孔30IRに向けて開口する各開口端部の開口が入っている。 具体的には、図23において、テーパ孔30IRの最大径(φd1)は、破線で示される対称軸線ASを中心とした外接円の直径Dよりも大に設定されている。その外接円は、分岐路30ap〜30cpにおける1次側供給口30Mに開口している開口端周縁の中心軸線(対称軸線)ASから一番離れた各点Ap,Bp、および、Cpに外接するものとされる。外接円の直径Dは、中心軸線(対称軸線)ASから上述の各点Ap,Bp、および、Cpまでの長さをrとしたとき、2rを意味する。
これにより、液冷媒が入口ポート30IPから末広状に形成されるテーパ孔30IRを通り各複数の分岐路30ap、30bp、および、30cpに流入する際に、テーパ孔30IRの最大径(φd1)の円の範囲内に各複数の分岐路の開口がある為、特許文献3に記載の発明に比して液冷媒がスムーズに流れ、圧力損失が少ない。
接続端部の外周部の回りに形成される溝には、Oリングが挿入されている。これにより、1次側供給口30Mの内部が外部に対し封止される。また、接続用ジョイント部材30Iは、図24に示されるように、フランジ部に形成される取付孔を介して小ネジがバルブハウジング30Hにおける上流側の一端面30Lに形成される雌ねじ部に捩じ込まれることにより、バルブハウジング30Hにおける上流側の一端面30Lに固定される。
段付き孔に形成された膨張弁収容室30A、30B、および、30Cは、図20に示されるように、カセット式膨張弁12を収容している。膨張弁収容室30A、30B、および、30Cは、互いに同一の構造を有し、また、膨張弁収容室30Aの構造は、上述の膨張弁収容室10Aの構造と同一構造を有するので膨張弁収容室30A、膨張弁収容室30B、および、30Cの説明は、省略する。
斯かる構成において、凝縮器4から配管Du2を介して温度式膨張弁ユニット30のジョイント部30Iの入口ポート30IP、共通の1次側供給口30Mに供給された冷媒の流量は、1次側供給口30Mの端面から膨張弁収容室までの流路の長さおよび内径が同一とされるので圧力損失が略同一とされる分岐路30ap、30bp、および、30cpを通じて均等に分配された流量で膨張弁収容室30A〜30Cに供給されるとともに、各出口通路および配管を通じて蒸発器に供給されるので隣接する温度式膨張弁に流入する冷媒の流量がばらつくことがなく、しかも、温度式膨張弁ユニットの流入部から各温度式膨張弁に至る流路の圧力損失を低減できる。
図25は、本発明に係る温度式膨張弁ユニットの第4実施例の外観を示す。
図1に示される例においては、膨張弁収容室10A、10B、10C、および、10Dの開口端が互いに均等に離隔した4箇所に縦横に形成されているが、一方、図25に示される例においては、膨張弁収容室40A、40B、40C、40D、および、40Eが、所定の円周上に均等の間隔で5箇所に形成されている。なお、図25および図26において、図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
カセット式膨張弁を備える温度式膨張弁ユニット40は、例えば、図3に示されるように、複数の蒸発器を持つ冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器4の出口と複数の蒸発器のそれぞれの入口との間に配置されている。温度式膨張弁ユニット40は、ハウジングのジョイント部40Iの入口ポート40IPで、アルミニウム合金製の一次側配管に接続されており、冷媒が流出されるハウジングの出口ポート40E1、40E2、40E3、40E4、および、40E5でそれぞれ、複数の蒸発器の入口にそれぞれ接続されるアルミニウム合金製の二次側配管に接続されている。
温度式膨張弁ユニット40は、複数個のカセット式膨張弁、例えば、5個のカセット式膨張弁12と、5個のカセット式膨張弁12を個別に収容するハウジングとしてのバルブハウジング40Hと、バルブハウジング40Hにおける上流側の一端面(下面)40Lに固定され一次側配管に接続される接続用ジョイント部材40Iと、を主な構成要素として含んで構成される。
バルブハウジング40Hは、例えば、アルミニウム合金で作られている。バルブハウジング40Hにおける下流側の他端面40Tには、図27に示されるように、5個のカセット式膨張弁12が、それぞれ、収容される膨張弁収容室40A、40B、40C、40D、および、40Eの開口端が、所定の円周上に均等の間隔で5箇所に形成されている。膨張弁収容室40A、40B、40C、40D、および、40Eは、それぞれ、出口通路40ex(図27参照)に連通している。各出口通路40exは、出口ポート40E1、40E2、40E3、40E4、および、40E5に向って延びている。膨張弁収容室40A、膨張弁収容室40B、40C、40D、および、膨張弁収容室40Eに連通する出口通路40exの一端は、それぞれ、側面40S1、40S2、40S3、40S4、および、40S5に設けられる接続用ジョイント部材40EA、40EB、40EC、40ED、および、40EEの出口ポート40E1、40E2、40E3、40E4、および、40E5に連通している。接続用ジョイント部材40EA、40EB、40EC、40ED、および、40EEの接続端部は、出口通路40exに連通する孔に挿入されている。その孔は、接続端部の溝に設けられるOリングにより封止されている。
膨張弁収容室40A、40B、40C、40D、および、40Eの入口は、それぞれ、分岐路40ap、40bp、40cp、40dp、および、40epを介して共通の1次側供給口40Mに接続されている。分岐路40ap、40bp、40cp、40dp、および、40epの内径、および、1次側供給口40Mの端面から膨張弁収容室40A、40B、40C、40D、および、40Eの入口までの長さは、互いに同一に設定されている。また、分岐路40ap、40bp、40cp、40dp、および、40epの対称軸線ASに対する所定の傾斜角度も互いに同一に設定されている。
分岐路40ap、40bp、40cp、40dp、および、40epにおける1次側供給口40Mに開口している一端部は、それぞれ、図28に示されるように、対称軸線ASの回りに均等の角度、例えば、72°間隔で共通の円周上に形成されている。
1次側供給口40Mには、接続用ジョイント部材40Iの接続端部が挿入されている。接続用ジョイント部材40Iは、バルブハウジング40Hにおける一端面40Lに結合されるフランジ部と、1次側供給口40M内に挿入される接続端部とから構成されている。フランジ部は、配管が接続される入口ポート40IPを中央部に有している。入口ポート40IPは、接続端部内に末広状に形成されるテーパ孔40IRに連通している。テーパ孔40IRの最大径(φd1)は、図28に示されるように、分岐路40ap、40bp、40cp、40dp、および、40epにおける1次側供給口40Mに開口している一端部をそれぞれ取り囲むように、設定されている。即ち、ジョイント部材40Iのテーパ孔40IRの最大径(φd1)の円の範囲内に、複数の分岐路40ap、40bp、40cp、40dp、および、40epにおける該テーパ孔40IRに向けて開口する各開口端部の開口が入っている。 具体的には、図28において、テーパ孔40IRの最大径(φd1)は、破線で示される対称軸線ASを中心とした外接円の直径Dよりも大に設定されている。その外接円は、分岐路40ap〜40epにおける1次側供給口40Mに開口している開口端周縁の中心軸線(対称軸線)ASから一番離れた各点Ap,Bp、Cp、Dp、および、Epに外接するものとされる。外接円の直径Dは、中心軸線(対称軸線)ASから上述の各点Ap,Bp、Cp、Dp、および、Epまでの長さをrとしたとき、2rを意味する。
これにより、液冷媒が入口ポート40IPから末広状に形成されるテーパ孔40IRを通り各複数の分岐路に流入する際に、テーパ孔40IRの最大径(φd1)の円の範囲内に各複数の分岐路の開口がある為、特許文献3に記載の発明に比して液冷媒がスムーズに流れ、圧力損失が少ない。
接続端部の外周部の回りに形成される溝には、Oリングが挿入されている。これにより、1次側供給口40Mの内部が外部に対し封止される。また、接続用ジョイント部材40Iは、図29に示されるように、フランジ部に形成される取付孔を介して小ネジがバルブハウジング40Hにおける上流側の一端面40Lに形成される雌ねじ部に捩じ込まれることにより、バルブハウジング40Hにおける上流側の一端面40Lに固定される。
段付き孔に形成された膨張弁収容室40A、40B、40C、40D、および、40Eは、図25に示されるように、カセット式膨張弁12を収容している。膨張弁収容室40A、40B、40C、40D、および、40Eは、互いに同一の構造を有し、また、膨張弁収容室30Aの構造は、上述の膨張弁収容室40Aの構造と同一構造を有するので膨張弁収容室40A、膨張弁収容室40B、40C、40D、および、40Eの説明は、省略する。
斯かる構成において、凝縮器4から配管を介して温度式膨張弁ユニット40のジョイント部40Iの入口ポート40IP、共通の1次側供給口40Mに供給された冷媒の流量は、1次側供給口40Mの端面から膨張弁収容室までの流路の長さが同一、かつ、流路の内径が同一とされることにより、圧力損失が略同一とされる分岐路40ap、40bp、40cp、40dp、および、40epを通じて均等に分配された流量で膨張弁収容室40A〜40Eに供給されるとともに、各出口通路および配管を通じて蒸発器に供給されるので隣接する温度式膨張弁に流入する冷媒の流量がばらつくことがなく、しかも、温度式膨張弁ユニットの流入部から各温度式膨張弁に至る流路の圧力損失を低減できる。
なお、上述の本発明に係る温度式膨張弁ユニットの各実施例においては、図3に示されるように、温度式膨張弁ユニット10、20、30、および、40は、1次側供給口10M、20M、30M、および、40Mがバルブハウジングの下方の位置となるように横置きに配置された状態で使用されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、温度式膨張弁ユニット10、20、30、および、40は、図3において、冷媒がバルブハウジングの内部を左右方向に流れるように、1次側供給口10M、20M、30M、および、40Mがバルブハウジングの側方の位置(左右方向の位置)となるように縦置きに配置された状態で使用されてもよいことは勿論である。
以上、本発明の複数の実施例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の設計変更などがあっても、その変更されたものも、本発明の範囲内に含まれるものとする。