JP7300705B2 - 膨張弁 - Google Patents

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Description

本発明は、膨張弁に関する。
従来、自動車に搭載される空調装置等に用いる冷凍サイクルにおいては、冷媒の通過量を温度に応じて調整する感温式の膨張弁が使用されている(特許文献1)。
特開2016-90067号公報
このような膨張弁においては、各部の摩耗を抑制すべく冷凍サイクル内を循環する冷媒に潤滑油を混入させている。
ところで、衝突安全性や流体力学を考慮した自動車のデザイン設計によって、空調装置の設置スペースが制限される場合がある。かかる場合、膨張弁を傾けて使用することを余儀なくされることもあるが、それによりパワーエレメントの近傍に潤滑油が溜まり、膨張弁の動作に影響を与える虞れがある。
これに対し特許文献1の膨張弁は、シャフトの軸線が鉛直方向を向いて使用されることを前提としている。したがって、例え感温室の下流側端部壁面に沿って連通孔を設けたとしても、シャフトの軸線が傾いた状態で膨張弁が使用された場合には、その連通孔を介して潤滑油を排出させることは困難である。
そこで本発明は、パワーエレメントの近傍に潤滑油が溜まることを抑制できる、改良された膨張弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による膨張弁は、
弁座とオリフィス部とを備えた弁本体と、
前記弁座に着座することにより流体の通過を制限し、前記弁座から離間することにより前記流体の通過を許容する弁体と、
前記弁体を前記弁座に向かって付勢するコイルばねと、
前記オリフィス部に挿通され、前記弁体に一端を当接させた作動棒と、
前記弁本体に取り付けられて、前記作動棒を駆動するパワーエレメントと、を有し、
前記弁本体は、前記流体が流れる流路と、凹部と、前記流路と前記凹部との間に形成された隔壁部と、前記隔壁部を貫通する貫通孔と、を有し、
前記パワーエレメントは、前記凹部に取り付けられたケースと、前記ケースを仕切るダイアフラムと、前記ダイアフラムに当接するストッパ部材と、を有し、
前記作動棒は、前記貫通孔を介して延在し、前記作動棒の端部が前記ストッパ部材に当接しており、
前記作動棒の軸線が鉛直方向に対して傾いた姿勢で、前記弁本体が設置されており、
前記隔壁部の前記作動棒より鉛直方向下方の位置に、前記凹部と前記流路とをつなぐ排出路が設けられ、前記作動棒の軸線から前記排出路までの最大距離は、前記作動棒の軸線から鉛直方向上方における前記貫通孔の内周までの最大距離より大きく、
前記流路の軸線は、略水平方向に延在しており、
前記流路の断面形状は円形状であり、
前記排出路は、前記隔壁部に形成され、潤滑油が通過可能なエスケープ孔により形成され、前記排出路を形成する前記エスケープ孔は前記貫通孔より鉛直方向下方にて前記流路に連通している、ことを特徴とする。
本発明により、パワーエレメントの近傍に潤滑油が溜まることを抑制できる、改良された膨張弁を提供することができる。
図1は、本実施形態における膨張弁1の概略断面図である。 図2は、パワーエレメントの周辺を示す拡大断面図である。 図3は、図2のA-A線における断面を側面視した図である。 図4は、リングばねを示す斜視図である。 図5は、参考例にかかる膨張弁の図2と同様な断面図である。 図6は、第1変形例にかかる図3と同様な断面図である。 図7は、第2変形例にかかる図3と同様な断面図である。 図8は、第3変形例にかかる図2と同様な断面図である。
以下、図面を参照して、本発明にかかる実施形態について説明する。
(方向の定義)
本明細書において、水平方向をX方向とし、鉛直方向をY方向とする。
(膨張弁の概要)
図1を参照して、本実施形態における膨張弁1の概要について説明する。図1は、本実施形態における膨張弁1の概略断面図である。膨張弁1は冷媒が循環する冷媒循環システムの循環路内に配置される。膨張弁1の軸線をLとする。
図1において、膨張弁1は、弁室VSを備える弁本体2と、弁体3と、付勢装置4と、作動棒5とを具備する。ここで、軸線Lが略水平面上にあるように、膨張弁1が取り付けられているものとする。「軸線Lが略水平面上にある」とは、水平面に対する軸線Lの傾き角が±10度以内である場合をいう。以下、軸線Lが水平面上にあるとして説明を行う。
弁本体2は、弁室VSに加え、弁室VSに冷媒(流体ともいう)が供給される供給側流路(不図示)と、排出側流路22と、戻り流路23とを備える。戻り流路23の軸線O(図3参照)は、図1では略水平方向に延在しており、ここでは膨張弁1の軸線Lと直交している。なお、軸線Oが略水平方向に延在するとは、±20度以内で水平面に対して傾いていることをいう。
弁室VS内の流体は、オリフィス部27及び排出側流路22を介して膨張弁外に排出され、またエバポレータ(不図示)を介して戻り流路23を通過する。
図1において、オリフィス部27に対し排出側流路22を挟んで形成された作動棒挿通孔28は、作動棒5をガイドする機能を有し、作動棒挿通孔28に隣接して形成された環状凹部29は、リングばね6を収容する機能を有する。リングばね6の詳細については、後述する。
弁体3は弁室VS内に配置される。弁体3が弁本体2の弁座20に着座しているとき、オリフィス部27の冷媒の流れが制限される。この状態を非連通状態という。ただし、弁体3が弁座20に着座した場合でも、制限された量の冷媒を流すこともある。一方、弁体3が弁座20から離間しているとき、オリフィス部27を通過する冷媒の流れが増大する。この状態を連通状態という。
作動棒5は、オリフィス部27に所定の隙間を持って挿通されている。作動棒5の端部は、弁体3の表面に接触している。
作動棒5は、弁本体2と共通の軸線Lを有し、また軸線Lに沿って移動可能となっており、付勢装置4による付勢力に抗して弁体3を開弁方向に押圧することができる。
図1において、付勢装置4は、断面円形の線材を螺旋状に巻いたコイルばね41と、弁体サポート42と、ばね受け部材43とを有する。
弁体サポート42は、コイルばね41の端部に取り付けられており、その端面には球状の弁体3が溶接され、両者は一体となっている。
コイルばね41の端部を支持するばね受け部材43は、弁本体2に対して螺合可能となっていて、弁室VSを密封する機能と、コイルばね41の付勢力を調整する機能とを有する。
弁本体2の端部に設けられたパワーエレメント8は、栓81と、上蓋部材82と、ダイアフラム83と、ストッパ部材84と、受け部材85とを有する。上蓋部材82と受け部材85とにより、ケースを構成する。
略円錐形状の上蓋部材82の頂部には開口82aが形成され、栓81により封止可能となっている。
ダイアフラム83は、同心円の凹凸形状を複数個形成した薄い板材からなり、上蓋部材82及び受け部材85の外径とほぼ同じ外径を有する。
上蓋部材82側が円錐形状に広がった略円筒形状の受け部材85は、その端部外周に雄ねじ85aを有している。
ストッパ部材84は、円盤部84aと、円盤部84aに同軸に接合された円筒部84bとを有する。円筒部84bの端部中央には、嵌合孔84cが形成されている。
図2は、パワーエレメント8の周辺を示す拡大断面図である。図3は、図2のA-A線における断面を側面視したものを示す図である。弁本体2のX方向端部には、円筒状の凹部2aが形成されている。凹部2aの内周には、雌ねじ2bが形成されている。凹部2a内の空間を、感温室TDという。
凹部2aと戻り流路23との間には、隔壁部2cが形成されており、更に隔壁部2cの中央には、凹部2aと戻り流路23とに連通する貫通孔2dが形成されている。貫通孔2dの内径はDである(図2、3)。
貫通孔2dには、戻り流路23側から凹部2aまで作動棒5が挿通されており、作動棒5の端部は、ストッパ部材84の嵌合孔84cに挿入されている。
作動棒5の鉛直方向下方において、隔壁部2cにエスケープ孔2eが形成され、凹部2aと戻り流路23とに連通している。作動棒5の軸線Lからエスケープ孔2eのY方向最下面までの距離は、作動棒5の軸線Lから貫通孔2dのY方向最上面までの距離より大きい。なお、エスケープ孔2eは、作動棒5の軸線Lと平行であり、貫通孔2dの内径より小さな内径を有するが、それに限られない。ここでは、エスケープ孔2eのY方向最下面が、排出路を構成する。
次に、リングばね6について説明する。図4は、リングばね6を示す斜視図である。
リングばね6は、板状の部材を図4に示されるように円筒形状に湾曲させ、かつ第1の弾性片61、第2の弾性片62及び第3の弾性片63を内側に折り曲げて構成される。
第1の弾性片61、第2の弾性片62、第3の弾性片63は内側に切り起こすようにして折り曲げられるが、それぞれ先端近傍に設けられた第1の凸状当接部61a、第2の凸状当接部62a、第3の凸状当接部63aは、円周を3等分した位置になるように設計されている。
軸線L(図1)に直交する面内において、第1の凸状当接部61a、第2の凸状当接部62a、第3の凸状当接部63aの頂部を結ぶ内接円の直径寸法は、作動棒5の外径より小さな径に形成される。これにより、第1の凸状当接部61a、第2の凸状当接部62a、第3の凸状当接部63aから作動棒5の外周に対して所定の押圧力が付与されることとなる。
図4に示すリングばね6の最大外径dは、図2に示す隔壁部2cの貫通孔2dの内径Dより小さい。したがって、図1を参照して、貫通孔2dを通して凹部2a側より弁本体2の内部へとリングばね6を挿入することができ、環状凹部29内に配置することができる。貫通孔2dと環状凹部29とは、同じ工具により同時に穿孔されると好ましい。
次に、パワーエレメント8の組み立て手順を説明する。上蓋部材82と、ダイアフラム83と、受け部材85のそれぞれ外周部を重ね合わせた状態で、当該外周部を例えばTIG溶接やレーザ溶接、プラズマ溶接等により周溶接して一体化する。これによりケースが形成される。
続いて、上蓋部材82に形成された開口82aから、上蓋部材82とダイアフラム83とで囲われる空間(圧力作動室POという)内に作動ガスを封入した後、開口82aを栓81で封止し、更にプロジェクション溶接等を用いて、栓81を上蓋部材82に固定する。
このとき、圧力作動室POに封入された作動ガスにより、ダイアフラム83は、受け部材85側に張り出す形で圧力を受けるため、ストッパ部材84の端面と当接して支持される。なお、ストッパ部材84の円盤部84aは、受け部材85の内面により保持されるため、ストッパ部材84がパワーエレメント8から抜け出ることはない。
以上のようにアッセンブリ化したパワーエレメント8を、弁本体2に組み付けるときは、リングばね6を環状凹部29に組み込んだ後、受け部材85の端部外周の雄ねじ85aを、凹部2aの雌ねじ2bに螺合させる。雄ねじ85aを雌ねじ2bに対して螺進させてゆくと、受け部材85の外面が、弁本体2の端面に当接する。これによりパワーエレメント8を弁本体2に固定できる。
このとき、パワーエレメント8と弁本体2との間には、パッキンPKが介装され、弁本体2にパワーエレメント8を取り付けた際の凹部2aからの冷媒のリークを防止する。
(膨張弁の動作)
図1を参照して、膨張弁1の動作例について説明する。不図示のコンプレッサで加圧された冷媒は、更にコンデンサで液化され、膨張弁1に送られる。また、膨張弁1で断熱膨張された冷媒はエバポレータに送り出され、エバポレータで、エバポレータの周囲を流れる空気と熱交換される。エバポレータから戻る冷媒は、膨張弁1の戻り流路23を通ってコンプレッサ側へ戻される。
膨張弁1には、コンデンサから高圧冷媒が供給される。より具体的には、コンデンサからの高圧冷媒は、弁室VSに供給される。
弁体3が、弁座20に着座しているとき(非連通状態のとき)には、弁室VSからオリフィス部27及び排出側流路22を通ってエバポレータへ送り出される冷媒の流量が制限される。他方、弁体3が、弁座20から離間しているとき(連通状態のとき)には、弁室VSからオリフィス部27及び排出側流路22を通って、エバポレータへ送り出される冷媒の流量が増大する。膨張弁1の閉状態と開状態との間の切り換えは、パワーエレメント8に接続された作動棒5によって行われる。
図1において、パワーエレメント8の内部には、ダイアフラム83により仕切られた圧力作動室POと感温室TDとが設けられている。感温室TDには、貫通孔2dを通過して冷媒が流れこむため、その冷媒の温度が金属製のストッパ部材84の円筒部84b及びダイアフラム83を介して、圧力作動室PO内の作動ガスに伝わる。
冷媒の温度が低い場合、圧力作動室PO内の作動ガスが液化されるため、ストッパ部材84が受ける冷媒の圧力と付勢装置4の付勢力とが勝ることで、ダイアフラム83が収縮し、作動棒5は図1で左方に押圧されて弁体3を閉弁させる。一方、冷媒の温度が高い場合、液化された作動ガスが気化するため、ストッパ部材84が受ける冷媒の圧力と付勢装置4の付勢力とに勝ることで、ダイアフラム83が膨張し、作動棒5は図1で右方に押圧されて弁体3を開弁させる。こうして、膨張弁1の開状態と閉状態との間の切り換えが行われ、冷媒の量が自動的に調整される。
ところで、冷媒中には冷媒循環システム各部の摩耗を抑制すべく潤滑油を混入させている。軸線Lが鉛直方向を向くように、膨張弁1が倒立して使用される場合は特に問題がないが、軸線Lが傾くような姿勢で膨張弁1が使用される場合には、潤滑油の存在が問題となる。かかる問題を、参考例を参照して説明する。
図5は、参考例にかかる膨張弁の図2と同様な断面図である。参考例の膨張弁の弁本体2’は、隔壁部2c’にエスケープ孔を形成していない。それ以外は、本実施形態の構成と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
図5の参考例において、軸線Lが水平方向に延在するよう傾けた場合、隔壁部2c’が鉛直方向に延在するため、戻り流路23を通過する冷媒に含まれる潤滑油OLが貫通孔2dから流入した後、感温室TD内に溜まる虞れがある。ただし、潤滑油OLのレベル(油面位置)が貫通孔2dのY方向下端を超えた場合、それ以上の潤滑油OLは戻り流路23から排出される。したがって、参考例において感温室TD内に溜まる潤滑油OLの最大レベルは、ストッパ部材84の円筒部84bのY方向最下端から貫通孔2dのY方向最下端までの距離Δ2となる。
これに対し、本実施形態においては、図2、3に示すように隔壁部2cにエスケープ孔2eを形成しているため、感温室TD内の潤滑油OLはエスケープ孔2eを介して戻り流路23に流れ出る。従って、感温室TD内に溜まる潤滑油OLの最大レベルは、ストッパ部材84の円筒部84bのY方向最下端からエスケープ孔2eのY方向最下端(排出路)までの距離Δ1となる(図2)。Δ1<Δ2であることから明らかなように、参考例と比較すると、本実施形態の潤滑油OLの最大レベルは、より低い位置となる。
ここで、一般的に潤滑油の比熱は比較的高いため、潤滑油OLが感温室TD内に溜まることで、ストッパ部材84に接する潤滑油OLの面積が拡大すると、ストッパ部材84を介して冷媒の温度が圧力作動室PO内の作動ガスに伝わりにくくなる。すなわち、本実施形態によれば、隔壁部2cにエスケープ孔2eを形成することにより、感温室TD内に溜まる潤滑油OLの最大レベルを低下させて、冷媒の温度が作動ガスに伝わりやすいようにしている。
なお、単純に隔壁部2cの貫通孔2dの径を大きくすれば、感温室TD内に溜まる潤滑油OLの量を減少させることはできる。しかしながら、貫通孔2dの径を大きくすることにより、戻り流路23から凹部2a側に新たな冷媒が流れ込む頻度が上がり、冷媒温度の変動を受けやすくなる。それに応じて、作動ガスの圧力が敏感に変化するようになって、膨張弁1の制御性を悪化させる懸念がある。
そこで、貫通孔2dの径は、上述したようにリングばね6を通過させることができる程度に留めたいという要請がある。本実施の形態によれば、貫通孔2dより小さなエスケープ孔2eを形成することで、膨張弁1の良好な制御性を確保できる。
また図3において、作動棒5の中心(軸線L)から、潤滑油OLのレベルと凹部2aの内周面とが交差する点P1、P2を通る線を引いた時、この2線の交差角θが110度以下となるように、エスケープ孔2eを形成することが望ましい。
軸線Lは、鉛直面に対して傾いている。軸線Lが水平面に対して±45度以内で傾き、好ましくは水平面と略一致するよう、膨張弁1が傾けられて設置されたとき、本実施形態の効果が十分発揮されるため好ましい。
(第1変形例)
図6は、第1変形例にかかる図3と同様な断面図である。本変形例の弁本体2Aにおいて、隔壁部2Acにおける、作動棒5を挟んでエスケープ孔2eとY方向に対向する位置に、同じ形状のエスケープ孔2fが形成されている。それ以外の構成は上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
図6に示すように、作動棒5を挟んで一対のエスケープ孔2e、2fを形成することにより、弁本体2Aの姿勢にかかわらず、Y方向最下方に位置するエスケープ孔により、凹部内における潤滑油のレベルを低下させることができる。これにより、膨張弁の設置方向が制限される場合にも対応できる。
(第2変形例)
図7は、第2変形例にかかる図3と同様な断面図である。本変形例の弁本体2Bにおいて、隔壁部2Bcにおける貫通孔2Bdを、Y方向下方に延長して長穴としている。すなわち、本変形例では、貫通孔2Bdはエスケープ孔と共通である。貫通孔2Bdが長穴形状を有するため、作動棒5の軸線Lから貫通孔2BdのY方向最下面までの距離は、貫通孔2BdのY方向最上面までの距離より大きくなっている。それ以外の構成は上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
長穴とした貫通孔2Bdにより、凹部内における潤滑油のレベルを低下させることができる。また、貫通孔2Bdの幅は、上記実施形態と変わらないため、貫通孔2Bdから凹部内に流入する冷媒の量を抑制できる。これにより、膨張弁1の良好な制御性を確保できる。
(第3変形例)
図8は、第3変形例にかかる図2と同様な断面図である。本変形例の弁本体2Cにおいて、隔壁部2Ccに拡径孔2Cdが形成されている。そして、拡径孔2Cdをふさぐようにして、弁本体2Cとは別体の仕切り板CPが取り付けられている。
円形である仕切り板CPには、作動棒5を挿通させる貫通孔CP1と、作動棒5のY方向下方に形成されたエスケープ孔CP2とを有する。リングばね6(図4)は、仕切り板CPを取り付ける前に、拡径孔2Cdを介して取り付けられる。それ以外の構成は上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
本変形例においては、貫通孔CP1の内径は作動棒5の外径にほぼ等しいため、両者間を通過して冷媒が戻り流路23から凹部2a側に進入することはない。その代り、エスケープ孔CP2を介して、冷媒が戻り流路23から凹部2a側に進入し、また潤滑油が凹部2a側から戻り流路23へと流出する。
このように、弁本体2Cとは別体の仕切り板CPを用いることで、冷媒と潤滑油が通過する孔をエスケープ孔CP2のみにできるため、その径を適宜変更することで冷媒と潤滑油の流入量や排出量を制御できる。これにより、膨張弁の良好な制御性を確保できる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の実施形態の任意の構成要素の変形が可能である。また、上述の実施形態において任意の構成要素の追加または省略が可能である。
1 :膨張弁
2、2A、2B、2C :弁本体
2e、2e、2f、CP2 :エスケープ孔
2d、2Bd、CP1 :貫通孔
3 :弁体
4 :付勢装置
5 :作動棒
6 :リングばね
8 :パワーエレメント
20 :弁座
22 :排出側流路
23 :戻り流路
27 :オリフィス部
28 :作動棒挿通孔
29 :環状凹部
41 :コイルばね
42 :弁体サポート
43 :ばね受け部材
VS :弁室

Claims (3)

  1. 弁座とオリフィス部とを備えた弁本体と、
    前記弁座に着座することにより流体の通過を制限し、前記弁座から離間することにより前記流体の通過を許容する弁体と、
    前記弁体を前記弁座に向かって付勢するコイルばねと、
    前記オリフィス部に挿通され、前記弁体に一端を当接させた作動棒と、
    前記弁本体に取り付けられて、前記作動棒を駆動するパワーエレメントと、を有し、
    前記弁本体は、前記流体が流れる流路と、凹部と、前記流路と前記凹部との間に形成された隔壁部と、前記隔壁部を貫通する貫通孔と、を有し、
    前記パワーエレメントは、前記凹部に取り付けられたケースと、前記ケースを仕切るダイアフラムと、前記ダイアフラムに当接するストッパ部材と、を有し、
    前記作動棒は、前記貫通孔を介して延在し、前記作動棒の端部が前記ストッパ部材に当接しており、
    前記作動棒の軸線が鉛直方向に対して傾いた姿勢で、前記弁本体が設置されており、
    前記隔壁部の前記作動棒より鉛直方向下方の位置に、前記凹部と前記流路とをつなぐ排出路が設けられ、前記作動棒の軸線から前記排出路までの最大距離は、前記作動棒の軸線から鉛直方向上方における前記貫通孔の内周までの最大距離より大きく、
    前記流路の軸線は、略水平方向に延在しており、
    前記流路の断面形状は円形状であり、
    前記排出路は、前記隔壁部に形成され、潤滑油が通過可能なエスケープ孔により形成され、前記排出路を形成する前記エスケープ孔は前記貫通孔より鉛直方向下方にて前記流路に連通している、
    ことを特徴とする膨張弁。
  2. 前記隔壁部に複数の前記エスケープ孔が形成されており、前記排出路は、鉛直方向最下方に配置された前記エスケープ孔により形成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
  3. 前記隔壁部は、前記弁本体と一体の壁部であるか、又は前記弁本体と別体の仕切り板を有し、前記壁部又は前記仕切り板に、前記貫通孔と前記排出路とが形成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
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