JP2020072031A - 長尺体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な滑り性、屈曲性、柔軟性を有し、周囲への汚染が少ない長尺体の製造方法を提供する。【解決手段】長尺体100は、複数本の電線120、130、140、150及び/又はチューブ160から少なくとも構成され、被覆層110は、少なくとも中間層と最外層とからなり、中間層には、密度ρ1が0.2g/cm3以上1.8g/cm3以下、かつ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度が1000sec/100mL以下の樹脂膜が使用され、最外層には、密度ρ2が1.2g/cm3以上2.5g/cm3以下、かつ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度が10000sec/100mL以下以上の樹脂膜が使用される。長尺体の製造方法は、少なくとも、長尺体を被覆層で被覆する工程及び複数本の電線及び/又はチューブの位置を固定する工程を含み、以下の式を満たす。ρ2−ρ1≧0.1g/cm3【選択図】図1
Description
本発明は、電線、チューブなどで構成される長尺体とその製造方法に関する。
工作機械などの可動部と固定部とを電気的に接続するために、複数本の電線、チューブなどを平坦状に並列したフラットケーブルや撚り合せたラウンドケーブルが用いられる。このフラットケーブルやラウンドケーブルは、外部からの応力による摩擦あるいは腐食などから保護するために、ケーブルの外周に被覆層が設けられる。一般に、このようなケーブルには柔軟性が求められることが多く、被覆層の材料としてポリ塩化ビニル(PVC)やウレタン、オレフィン系樹脂が使用される。しかし、これらの樹脂には難燃剤や可塑剤、酸化防止剤などの添加剤が配合されており、半導体や有機ELの製造装置におけるクリーンルームなどで使用される場合には、添加剤のブリードアウトなどによる汚染が問題となる。
可塑剤などを含まないクリーン性、滑り性、耐熱性、不燃性、耐薬品性、または低誘電率であるなどの電気的特性のすぐれた特性から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂が被覆層の材料として用いられる。特許文献1には、耐熱性、耐薬品性などの耐環境特性に優れるとともに、優れた屈曲自在性、可とう性、あるいは柔軟性を有すると共に、良好な滑り性を有する平坦状ケーブルとして、被覆層にPTFEシートあるいは多孔質PTFEシートを用いた平坦状ケーブルが開示されている。しかし、特異な環境下で、とくに高真空や高温などの環境で使用される場合にはフッ素樹脂を使用したケーブルでさえクリーン性の要求値を満足できないという問題が生じた。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、良好な滑り性、屈曲性、柔軟性を有するとともに、周囲への汚染が少ない長尺体の製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために発明者らが検討した結果、本発明の製造方法によって製造された長尺体によって解決されることを見出した。すなわち、被覆層で被覆された長尺体の製造方法であって、該長尺体は、複数本の、電線及び/又はチューブから少なくとも構成され、該被覆層は、少なくとも中間層と最外層とからなり、
該中間層には、密度ρ1が0.2g/cm3以上1.8g/cm3以下、かつ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度が1000sec/100mL以下の樹脂膜が使用され、該最外層には、密度ρ2が1.2g/cm3以上2.5g/cm3以下、かつ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度が10000sec/100mL以上の樹脂膜が使用され、少なくとも、該長尺体を該被覆層で被覆する工程、及び、該複数本の、電線及び/又はチューブの位置を固定する工程を含み、以下の式(1)を満たすことを特徴とする、被覆層で被覆された長尺体の製造方法である。
ρ2−ρ1≧0.1 g/cm3 (1)
該中間層には、密度ρ1が0.2g/cm3以上1.8g/cm3以下、かつ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度が1000sec/100mL以下の樹脂膜が使用され、該最外層には、密度ρ2が1.2g/cm3以上2.5g/cm3以下、かつ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度が10000sec/100mL以上の樹脂膜が使用され、少なくとも、該長尺体を該被覆層で被覆する工程、及び、該複数本の、電線及び/又はチューブの位置を固定する工程を含み、以下の式(1)を満たすことを特徴とする、被覆層で被覆された長尺体の製造方法である。
ρ2−ρ1≧0.1 g/cm3 (1)
また、好ましくは、上記中間層が、多孔構造を有するものである。多孔構造を有していることで、長尺体が屈曲するときに中間層の空孔が変形することで負荷を緩和し、高い柔軟性を与える。本発明でいう中間層とは、被覆層の中で最大の厚さを有するものを指す。
また、好ましくは、上記被覆層が、さらに機能層を備えている。最外層と中間層の少なくとも一方をフッ素樹脂などで構成した場合には相手材料との接着性が小さい場合が多く、接着層を設けると被覆層の耐久性が向上し有用である。接着層には最外層を構成する樹脂膜または中間層を構成する樹脂膜よりも融点が低い熱溶融性樹脂などを用いることができる。
本発明によれば、良好な滑り性、屈曲性、柔軟性を有するとともに、周囲への汚染が少ない長尺体とその製造方法を提供することが可能である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の成立に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の製造方法によって作成される長尺体の一例であり、フラット形状の長尺体100の断面の模式図である。長尺体100は、被覆対象物として、複数本の、電線、チューブ、またはその両方を準備し、並置あるいは互いに平行に配列して構成する。図1に示した長尺体の一例では被覆対象物の芯数は5本だが、この芯数に限るものではない。被覆対象物の両側(図1では上下方向)を挟むように被覆層110が配置されているとともに、被覆層110が被覆対象物を介して接合する部分、すなわちウェブ部分111は、被覆層110同士が焼結または融着して結合している。被覆層110の結合により、長尺体100の個々の被覆対象物の電線及び/又はチューブは、所定位置に保持、固定される。
図1に示した本発明の製造方法によって作成される長尺体の一例では、被覆対象物として、電線、チューブ、またはその両方を複数本並列したものを用いる。被覆対象物120は、ここでは1本のFEP電線である。130は、ここでは1本のPFA電線である。140は、ここでは2本のFEP電線を平行に並べた2芯平行ケーブルである。150は、ここでは4本のPFA電線を撚り合わせたケーブルである。160は、ここでは1本のFEPチューブである。これら120から160の被覆対象物は、並列に配置され、その上下に、被覆層110が配置されている。図1に示した実施形態では被覆対象物が5本だが、この本数に限るものではなく、また、被覆対象物として用いられるのは、単線の被覆導体、2心並行ケーブル、複数本のケーブルを撚り合せたもの、同軸ケーブル、チューブなど、必要とされる機能に合わせて選択することが可能である。
図1に示した本発明の製造方法によって作成される長尺体の別の一例として、被覆対象物として、1本の電線と1本のチューブの構成もある。
図2は、図1の長尺体の被覆層110の部分Aの拡大断面図である。被覆層110は、少なくとも中間層112と最外層113とから構成される。
中間層112には密度ρ1が0.2g/cm3以上1.8g/cm3以下の樹脂膜を使用する。中間層112を構成する樹脂膜の王研式試験機法で測定した透気抵抗度が1000sec/100mL以下である。より好ましくは、300sec/100mL以下であり、さらに好ましくは200sec/100mL以下である。中間層112を構成する樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン樹脂などを使用することが好ましい。
先述のように、中間層112には密度ρ1が0.2g/cm3以上1.8g/cm3以下の樹脂膜を使用することが好ましく、0.3g/cm3以上1.3g/cm3以下であることがより好ましく、0.4g/cm3以上1.1g/cm3以下であることが特に好ましい。例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリエチレン(PE)樹脂は、その加工条件により、密度またはを制御することが可能である。これらの樹脂は、延伸することにより多孔構造とすることができるため、密度を小さくするためにはシート状に成形後、加熱しながら延伸することで、複数のフィブリルとフィブリル間の空孔とで構成される多孔構造とすることができる。基本的には延伸率を高くすることで密度は小さくなる。1方向からの延伸である1軸延伸法で延伸する場合、複数の連続したノードが存在し、物理的強度が高い樹脂膜とすることができる。2方向からの延伸である2軸延伸法で延伸する場合、より低密度の樹脂膜とすることが可能であり、柔軟性がさらに高くなる。また、成形後のシートを焼成する焼成温度、焼成時間を調整し、完全焼成、半焼成、または未焼成として焼成の状態を調整することでも密度を制御することが可能である。また、樹脂膜の押出成形時に発泡させて多孔構造としたもの、樹脂と溶剤を高温で混合した後に降温して2層に分離させて多孔構造としたものなどを用いることもできる。中間層112を構成する樹脂膜の王研式試験機法で測定した透気抵抗度は、多孔構造としたその構造と膜厚とで制御される。
最外層113には、密度ρ2が1.2g/cm3以上2.5g/cm3以下の樹脂膜を使用する。
最外層113に使用する樹脂は、PTFEや、テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン‐エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのようなフッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)などのような可塑剤を含まない樹脂であることが好ましく、一般的には最外層は厚さが5μm〜100μmの樹脂膜が用いられる。最外層113は、表面のPeak−to−Valley値(PV値)が25μm以下の樹脂膜であることがより好ましい。 PV値とは、測定で得られるsurface profileのデータを基に算出した、測定面の中で最も高いポイントと最も低いポイントの高さ方向の距離のことをいう。測定には、たとえばZygo社製 白色干渉顕微鏡 New view 6300を使用し、白色LEDを光源にして表面の形状を測定し、解析ソフトMetroProを使用して解析し求めることができる。
最外層113に使用する樹脂は、PTFEや、テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン‐エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのようなフッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)などのような可塑剤を含まない樹脂であることが好ましく、一般的には最外層は厚さが5μm〜100μmの樹脂膜が用いられる。最外層113は、表面のPeak−to−Valley値(PV値)が25μm以下の樹脂膜であることがより好ましい。 PV値とは、測定で得られるsurface profileのデータを基に算出した、測定面の中で最も高いポイントと最も低いポイントの高さ方向の距離のことをいう。測定には、たとえばZygo社製 白色干渉顕微鏡 New view 6300を使用し、白色LEDを光源にして表面の形状を測定し、解析ソフトMetroProを使用して解析し求めることができる。
最外層113を構成する樹脂膜の王研式試験機法で測定した透気抵抗度が10000sec/100mL以上である。透気抵抗度が10000sec/100mL以上であることで、中間層の細孔内部に吸着して残留している吸着物が存在する場合にも、被覆層の外部へ放出されることが抑制される。ここで、ρ2−ρ1≧0.1 g/cm3であることが好ましく、ρ2−ρ1≧0.3g/cm3以上のときがより好ましく、ρ2−ρ1≧1.0g/cm3以上のときが更に好ましい。ρ2−ρ1≧0.1 g/cm3であることで、周囲への汚染を抑制しながら高い柔軟性を有するケーブルとすることができる。
本発明の製造方法で作られる長尺体は、前述の構成により、本発明の課題を解決することが可能である。高い柔軟性を持ちながら、ケーブルのハンドリング時などに被覆層表面に付着残留する、微量の油分、周囲のパーティクル、薬品の付着、周囲の空気中の水分などの異物が付着しにくく、また、除去しやすい。また、被覆層を構成する中間層の細孔内部の吸着物が被覆層の外部へ放出されることが抑制される。そのため、過酷な環境に置かれたときにも、長尺体から放出される化学物質や異物、長尺体自身の摩耗による粉塵などの発生が少なく、周囲を汚染しない長尺体とすることができる。
図3は、本発明の製造方法によって作成される長尺体の被覆層の別の一例を示している。被覆層には、中間層と最外層に加えて機能層を設けることができる。被覆層110aは、中間層112aと最外層113aの間に接着層114 aを配置しており、中間層112aと最外層113aとの接着力を高めて、長尺体を摺動させたときの被覆層110aの耐久性を高めている。また、中間層112aの最外層113a側と反対側の面にもう1層の接着層114aを配置しており、被覆層110a同士を接合させるときに、中間層112aを構成する樹脂膜または最外層113aを構成する樹脂膜の融点よりも低い温度で接合、一体化させることができる。 中間層112aを構成する樹脂膜と最外層113aを構成する樹脂膜への影響が少ない温度で接合させることができるので、被覆層110aの高い機能を保持することができ、高い耐久性が得られる。接着層には、熱溶融性のフッ素樹脂、ポリエチレンなどのオレフィン樹脂などを使用することが可能である。また、接着層以外にも、溶剤バリア性など、長尺体が必要とする機能に合わせて機能層を設けることができる。
図4は、本発明の実施形態の一例のラウンド形状の長尺体の断面図である。長尺体200の被覆層210は、最外層211と中間層212及び接着層213とで構成している。被覆対象物として、電線、チューブ、またはその両方を、1本または複数本を撚り合わせるなどしたものを、さらに撚り合わせて用いる。220は、ここでは1本のFEP電線である。230は、ここでは7本のPFA電線を撚り合わせたケーブルである。240は、ここでは2本のFEP電線を撚り合わせたケーブルである。250は、ここでは1本のPFA電線である。260と270は、ここでは1本のナイロンチューブ、280は、ここではすずメッキ軟銅線(ドレイン線)である。これら220から280が撚り合わされ、その外周に被覆層210が巻回されて配置される。巻回後、加熱することでテープの重なり部分を結合する。被覆層210の結合により、長尺体200の個々の被覆対象物の電線及び/又はチューブは、所定位置に保持、固定される。被覆対象物とする電線、チューブの構成と本数はここで示した例に限定されるものではなく、1本、または複数本の電線を撚り合せたもの、平行に引きそろえたものでもよい。また、撚り合わせた電線の一部をチューブで構成してもよい。
本発明を、下記の実施例でより詳細に説明する。以下に説明する実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
<王研式試験機法で測定した透気抵抗度の測定>
透気抵抗度は、王研式試験機法で測定した。測定にはデジタル型王研式透気度試験機(旭精工株式会社製、EGO2)を使用して、JIS P8117に準拠して測定し、10回の測定の平均を王研式試験機法で測定した透気抵抗度とした。透気抵抗度は、10000sec/100mLまで測定を行い、それ以上は測定値を“10000sec/100mL以上”とした。
<密度ρの測定>
JIS K 6301の水中置換法に準じて、東洋精機製作所製 DENSIMETER Hによって室温で測定された比重を、密度として採用した。
<クリーン性の評価>
長尺体の異物の付着について、異物の難付着性と、易除去性を評価した。難付着性と、易除去性は、インクを表面に塗布し付着状況を確認し、綿布でふき取ったときに残留するインク成分の量を確認した。インク成分の付着状況とインク残留量を5段階で評価した。インク成分が付着しなかったものを5、インク成分がわずかに付着したもののふき取ってインク成分を完全に除去できたものを4、インク成分がわずかに付着し、ふき取った後にもインクの跡がわずかに確認できるものを3、インクが付着し、ふき取った後にもインクの跡が確認できるものを2、インクが付着し、ふき取った後にもインクがほとんど除去できないものを1とした。また、真空環境下に置いたときの長尺体の被覆層自身から発生する汚染物質の量を、最も発生量が少ないものを5、発生量が多いものを1として5段階で評価し、インク成分の付着状況とインク残留量の評価との合計でクリーン性を評価した。合計が8〜10は、非常にクリーン性が高いと評価される。
透気抵抗度は、王研式試験機法で測定した。測定にはデジタル型王研式透気度試験機(旭精工株式会社製、EGO2)を使用して、JIS P8117に準拠して測定し、10回の測定の平均を王研式試験機法で測定した透気抵抗度とした。透気抵抗度は、10000sec/100mLまで測定を行い、それ以上は測定値を“10000sec/100mL以上”とした。
<密度ρの測定>
JIS K 6301の水中置換法に準じて、東洋精機製作所製 DENSIMETER Hによって室温で測定された比重を、密度として採用した。
<クリーン性の評価>
長尺体の異物の付着について、異物の難付着性と、易除去性を評価した。難付着性と、易除去性は、インクを表面に塗布し付着状況を確認し、綿布でふき取ったときに残留するインク成分の量を確認した。インク成分の付着状況とインク残留量を5段階で評価した。インク成分が付着しなかったものを5、インク成分がわずかに付着したもののふき取ってインク成分を完全に除去できたものを4、インク成分がわずかに付着し、ふき取った後にもインクの跡がわずかに確認できるものを3、インクが付着し、ふき取った後にもインクの跡が確認できるものを2、インクが付着し、ふき取った後にもインクがほとんど除去できないものを1とした。また、真空環境下に置いたときの長尺体の被覆層自身から発生する汚染物質の量を、最も発生量が少ないものを5、発生量が多いものを1として5段階で評価し、インク成分の付着状況とインク残留量の評価との合計でクリーン性を評価した。合計が8〜10は、非常にクリーン性が高いと評価される。
実施例
[実施例1]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層として別のPTFE 樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、2つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例2]
最外層としてFEP樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPTFE樹脂膜を、さらにその内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例3]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層として別のPTFE樹脂膜を、その内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物として4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本および4本のFEP電線を撚り合せたものを準備した。その外周に、被覆層が2重に重なるように巻回して被覆し、加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例4]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を、さらにその内側にくる中間層として別のPTFE樹脂膜を、さらに内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、4つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例5]
最外層としてPEEK樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPTFE樹脂膜を、さらにその内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例6]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPE樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、2つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[比較例]
被覆層としてPTFE樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表2に記載した。
次に、被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例1]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層として別のPTFE 樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、2つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例2]
最外層としてFEP樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPTFE樹脂膜を、さらにその内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例3]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層として別のPTFE樹脂膜を、その内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物として4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本および4本のFEP電線を撚り合せたものを準備した。その外周に、被覆層が2重に重なるように巻回して被覆し、加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例4]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を、さらにその内側にくる中間層として別のPTFE樹脂膜を、さらに内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、4つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例5]
最外層としてPEEK樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPTFE樹脂膜を、さらにその内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例6]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPE樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、2つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[比較例]
被覆層としてPTFE樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。樹脂膜の厚さ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度、および密度を測定した。その結果を表2に記載した。
次に、被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
本発明の長尺体は、良好な滑り性、屈曲性、柔軟性を有するとともに、周囲への汚染が少ないため、クリーン性が要求される半導体製造装置や測定機器などに使用することが可能である。
100 長尺体(フラット形状)、 110 被覆層、 112 中間層、 113 最外層、200 長尺体(ラウンド形状)、 210 被覆層
Claims (3)
- 被覆層で被覆された長尺体の製造方法であって、該長尺体は、複数本の、電線及び/又はチューブから少なくとも構成され、該被覆層は、少なくとも中間層と最外層とからなり、
該中間層には、密度ρ1が0.2g/cm3以上1.8g/cm3以下、かつ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度が1000sec/100mL以下の樹脂膜が使用され、該最外層には、密度ρ2が1.2g/cm3以上2.5g/cm3以下、かつ、王研式試験機法で測定した透気抵抗度が10000sec/100mL以上の樹脂膜が使用され、少なくとも、該長尺体を該被覆層で被覆する工程、及び、該複数本の、電線及び/又はチューブの位置を固定する工程を含み、以下の式(1)を満たすことを特徴とする、被覆層で被覆された長尺体の製造方法。
ρ2−ρ1≧0.1 g/cm3 (1) - 前記中間層は、複数の空孔を含む多孔構造を有することを特徴とする請求項1に記載の被覆層で被覆された長尺体の製造方法。
- 前記被覆層が、さらに機能層を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の被覆層で被覆された長尺体の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2018206156A JP2020072031A (ja) | 2018-10-31 | 2018-10-31 | 長尺体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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2018
- 2018-10-31 JP JP2018206156A patent/JP2020072031A/ja active Pending
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