JP2020070645A - Cltの接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡潔な構成でありながら、強固な接合が可能な、CLTの接合構造を提供する。【解決手段】CLT10を接合具21、22を用いて接合するCLT10の接合構造20であって、前記接合具21、22は、フランジ部21aとウェブ部21bとを有する断面T形状の第1の金物21と、線状の鋼製接合具22を備え、前記CLT10の外周面10cに前記第1の金物21の前記フランジ部21aを当接させ、当該フランジ部21aを挟んで前記鋼製接合具22が前記CLT10を形成するラミナ11の板目層または柾目層14に貫入され、固着されていることを特徴とするCLT10の接合構造20を提供する。【選択図】図6

Description

本発明は、建物の構造躯体に用いる直交集成板CLTの接合構造に関する。
従来より、木造の建物を施工するに際し、CLT(Cross Laminated Timber、直交集成板)が使用されている。CLTは、ラミナと呼ばれるひき板を水平面内に並べた層(プライ)を、板の繊維方向が直交するように積層、接着した、板材である。CLTは、構造躯体として建物を支えると共に、断熱性や遮炎性、遮熱性、遮音性等の様々な効果も期待できるため、近年、特に広く使用されている。
特許文献1〜3には、CLTと他の部材との、またはCLT同士の、さまざまな接合方法が開示されている。
特許文献1には、木質梁材と、木質梁材の上面に接合したCLTの床材により構成された合成梁が開示されている。木質梁材とCLTは、木質梁材の上面とCLTの床材の下面との間に配設され、木質梁材とCLTの床材とを接合するブルドッグジベル接合具と、木質梁材とCLTの床材とを貫通して、木質梁材とCLTの床材とを緊結するボルトにより接合されている。ブルドッグジベル接合具は、中央に開口部を形成した平面部と、平面部の周囲に平面部に対して交互に上下に立ち上がった歯を有し、これらの歯が木質梁材やCLTにめり込ませられて固定される。
特許文献2には、プライやラミナをずらして配置させてCLTの側面に凹凸を設け、CLT同士をこの凹凸を嵌合させて接合することが開示されている。
特許文献3には、格子状に設けられた梁の上にCLTをかけ渡し、その上にコンクリート層を設けて形成されるスラブが開示されている。CLTの上面には凹部が形成され、この凹部に対応するようにコンクリート層にコッターが形成され、凹部とコッターが係合して設けられている。CLTの端面にも凹部が形成され、この端面の凹部にもコンクリート層が形成されて、凹部に係合する凸部が形成されている。
特許文献1の合成梁においては、木質梁材とCLTの接合に用いられるブルドッグジベル接合具は特殊でかつ複雑な形状を成しており、構造が簡潔ではない。
特許文献2のCLTは、CLT同士を、側面に設けられた凹凸を嵌合させることにより接合するため、凹凸の形成に高い精度を要する、複雑な構造となっている。
特許文献3のスラブにおいては、CLTの各所に凹部を設けるために、CLT自体を複雑な形状に加工しなければならない。
特許文献1〜3のように、これら構造を実現するために特殊な形状の冶具やCLTが必要となり構造が簡潔ではなくなると、施工により多くの時間を要したり、施工コストが嵩んだりする可能性がある。
CLTと他の部材との、またはCLT同士の、簡潔で、かつ、より強固な接合構造が望まれている。
特開2017−128981号公報 特開2017−119436号公報 特開2017−78307号公報
本発明が解決しようとする課題は、簡潔な構成でありながら、強固な接合が可能な、CLTの接合構造を提供することである。
本発明者らは、建物の構造躯体とCLTの接合構造として、CLTの外周面にT形状金物を添わせ、そのT形状金物の外側から鋼製接合具をCLTを形成するラミナの板目層または柾目層に列状に千鳥配置で打ち込むことで、CLTの木材内部に鋼製接合具が多数埋設することができ、CLTと他部材を強固に接合できる点に着眼して、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、CLTを接合具を用いて接合するCLTの接合構造であって、前記接合具は、フランジ部とウェブ部とを有する断面T形状の第1の金物と、線状の鋼製接合具を備え、前記CLTの外周面に前記第1の金物の前記フランジ部を当接させ、当該フランジ部を挟んで前記鋼製接合具が前記CLTを形成するラミナの板目層または柾目層に貫入され、固着されていることを特徴とするCLTの接合構造を提供する。
上記のような構成によれば、CLTと第1の金物を接合するに際し、CLTの外周面に第1の金物のフランジ部を当接させた上で、線状の鋼製接合具が、第1の金物のフランジ部を挟んだ外側からCLTに向けて、CLTを形成するラミナの板目層または柾目層に貫入され、固着されている。CLTを接合する線状の鋼製接合具の、1本あたりのせん断剛性及び耐力は、鋼製接合具をラミナの木口が現れる木口層に設ける場合よりも、ラミナの板目が現れる板目層、または柾目が現れる柾目層に設ける場合のほうが高いことが、実験により確認された。したがって、CLTを接合する、CLTの外周面に当接させた接合具に沿った水平力に対して特に強固な、接合構造を実現可能である。
また、このような接合構造を実現するに際し、フランジ部とウェブ部とを有する断面T形状の第1の金物と、線状の鋼製接合具が必要とされる。ここで、第1の金物としては、例えば適切な長さに伐ったT形鋼を用いることもできるし、2枚の鋼板を断面T字状になるように接合したものを用いることもできる。また、鋼製接合具としては、例えば釘、ビス等を用いることができる。更に、CLTに特別な加工を要しない。このように、既存の建築材を簡単に組み合わせることで接合構造を実現可能であり、構造が簡潔である。
本発明の一態様においては、前記接合具は、さらに、フランジ部とウェブ部とを有する断面T形状の第2の金物と、円筒状の胴体ネジ部と、当該胴体ネジ部に挿入され固定される材端ネジ部とを有するラグスクリューボルトと、を備え、前記CLTには、前記ラグスクリューボルトの前記胴体ネジ部がねじ込まれて内蔵され、前記材端ネジ部が前記第1の金物の前記フランジ部に固定されており、前記第2の金物の前記フランジ部が別部材に固定され、前記第2の金物の前記ウェブ部と前記第1の金物の前記ウェブ部がボルト接合されている。
上記のような構成によれば、床上に断面T形状の第2の金物のフランジ部が固定され、この第2の金物のウェブ部と、CLTの外周面にフランジ部が固定された第1の金物のウェブ部とが、ボルト接合されている。すなわち、CLTは別部材(例えば、床、基礎部)に対して立てて設けられた、例えば壁として建物を構成している。
このような場合において、第1の金物とCLTは、鋼製接合具に加えて、引張抵抗用の伸び性能を有するラグスクリューボルトによって接合されているため、CLTに対して引き抜き力が作用した際における、変形追従性能を確保できる。
また、第1の金物と別部材は、第2の金物とボルトにより接合されている。したがって、既存の建築材を簡単に組み合わせることで接合構造を実現可能であり、構造が簡潔である。
また、本発明は、CLT同士を、鉛直方向に立てて上下に並べ、接合具を用いて接合するCLTの接合構造であって、前記接合具は、板状金物と、線状の鋼製接合具を備え、前記CLT同士の外周面を上下に跨ぐように前記板状金物が添えられ、当該板状金物を挟んで前記鋼製接合具が前記CLTを形成するラミナの板目層または柾目層に貫入され、固着されていることを特徴とするCLTの接合構造を提供する。
上記のような構成によれば、CLT同士を鉛直方向に立てて上下に並べて接合するに際し、CLT同士の外周面を上下に跨ぐように板状金物を添えた上で、線状の鋼製接合具が、板状金物を挟んだ外側からCLTに向けて、CLTを形成するラミナの板目層または柾目層に貫入され、固着されている。CLT同士を接合する線状の鋼製接合具のせん断剛性及び耐力は、鋼製接合具をラミナの木口が現れる木口層に設ける場合よりも、ラミナの板目が現れる板目層、または柾目が現れる柾目層に設ける場合のほうが高いことが、実験により確認された。したがって、CLT同士を接合する、強固な接合構造を実現可能である。
また、このような接合構造を実現するに際し、板状金物と、線状の鋼製接合具が必要とされる。ここで、板状金物としては、例えば鋼板を用いることができる。また、鋼製接合具としては、例えば釘、ビス等を用いることができる。更に、CLTに特別な加工を要しない。このように、既存の建築材を簡単に組み合わせることで接合構造を実現可能であり、構造が簡潔である。
本発明によれば、簡潔な構成でありながら、強固な接合が可能な、CLTの接合構造を提供することができる。
本発明の各実施形態及び変形例におけるCLTの接合構造が適用された建物の模式的な斜視図である。 本発明の各実施形態及び変形例において使用されるCLTの斜視図である。 本発明の第1実施形態におけるCLTの接合構造の正面図である。 図3のD−D部分の横断面図である。 図3のE−E部分の縦断面図である。 図3のF−F部分の縦断面図である。 第1実施形態によるCLTの接合構造の要素試験体の、(a)は正面図、(b)は側面図である。 CLTの接合構造の比較試験体の、(a)は正面図、(b)は側面図である。 図7に示すCLTの接合構造の要素試験体による荷重−変位関係の実験結果である。 CLTの接合構造の実験結果による鋼製接合具1本あたりが負担する荷重、変位の比較表(第1実施形態の要素試験体)である。 CLTの接合構造の実験結果による鋼製接合具1本あたりが負担する荷重、変位の比較表(比較例)である。 第1実施形態の変形例におけるCLTの接合構造の分解斜視図である。 本発明の第2実施形態におけるCLTの接合構造の正面図である。 図13のH部分の側面拡大図である。
本発明は、CLTと他部材、またはCLT同士の接合構造として、CLTの外周面にT形状金物または板状金物を添わせ、そのT形状金物または板状金物の外側から鋼製接合具をCLTを形成するラミナの板目層または柾目層に列状に打ち込んでいる。第1実施形態においては、T形状金物の他方端部が他部材またはCLTに固着させている。第2実施形態においては、板状金物により2枚のCLTが接合されている。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、以下に説明する第1実施形態、第1実施形態の変形例、及び第2実施形態の各々における、CLTの接合構造が適用された建物の模式的な斜視図である。
建物1は、二階建ての建物である。一階1Fは、コンクリートにより形成された基礎または床2上に、CLTの壁3が設けられて形成されている。二階2Fは、一階1Fを構成する壁3の上にCLTによって床4が設けられ、その上に更にCLTの壁3が設けられて形成されている。
第1実施形態としては、耐力壁脚部を対象としたA矢視部分で示されている、CLTの壁3とコンクリートの床2との接合構造を説明する。また、第1実施形態の変形例、及び第2実施形態として、B矢視部分として示されている、CLTの壁3と、他の壁3との接合構造を説明する。
各実施形態及び変形例を説明する前に、まず、CLTについて説明する。図2は、CLTの斜視図である。
CLT(Cross Laminated Timber、直交集成板)10は、ラミナ11と呼ばれるひき板を水平面内に並べて層(プライ12)を形成し、このプライ12を、ラミナ11の繊維方向が直交するように積層、接着した、板材である。
CLT10は、長さ方向CXに延在する辺と幅方向CYに延在する辺を外輪郭とする2つの表裏面10aと、長さ方向CXに延在する辺と厚さ方向CZに延在する辺を外輪郭とする2つの外周面10bと、及び、幅方向CYに延在する辺と厚さ方向CZに延在する辺を外輪郭とする2つの他の外周面10cを備えている。
各実施形態及び変形例において説明に使用するCLT10は、7層構造であり、第1〜第7のプライ12A〜12Gを備えている。
図2において最も上に示される第1プライ12A、及び、この第1プライ12Aから下に向かって数えたときに奇数番目に位置する第3、第5、第7プライ12C、12E、12Gは、ラミナ11の長さ方向がCLT10の長さ方向CXに一致するように設けられている。これに対し、上から数えて偶数番目に位置する第2、第4、第6プライ12B、12D、12Fは、ラミナ11の長さ方向がCLT10の幅方向CYに一致するように設けられている。
各ラミナ11は、木口面11a、板目面11b、及び柾目面11cを備えている。木口面11aは、木材を繊維方向に直交して切断することにより、年輪が現れている表面である。板目面11bは、木材を年輪の接線方向に切断することにより、木目が平行ではなく、山形や不規則な波形となって表れている表面である。柾目面11cは、木材を、その中心に向かう半径方向に切断することにより、木目が略平行に表れている表面である。
例えば、図2に示されるCLT10の表裏面10aには、ラミナ11の板目面11bが表れている。外周面10bには、第1プライ12Aから下に向けて順に、柾目面11c、木口面11a、板目面11b、木口面11a、柾目面11c、木口面11a、柾目面11cが表れている。外周面10cには、同様に上から下に、木口面11a、板目面11b、木口面11a、柾目面11c、木口面11a、柾目面11c、木口面11aが表れている。
以下、CLT10の外周面10b、10cにおいて、ラミナ11の木口面11a、板目面11b、柾目面11cが表れているプライ12を、それぞれ、CLT10の木口層13、板目層、柾目層と記載する。以下の説明においては、特に、板目層と柾目層を木口層13と区別する必要があるため、これらを板目・柾目層(板目層または柾目層)14とまとめて記載する。
以降の説明において使用される図4、図12、図14においては、CLT10の外周面に露出して描かれている板目・柾目層14は、ドットの模様がつけて示されている。
[第1実施形態]
第1実施形態として、図1にA矢視部分として示されている、CLTの壁3とコンクリートの床2との接合構造を説明する。図3は、本実施形態におけるCLTと床との接合構造の正面図である。図4は、図3のD−D部分の横断面図である。図5は、図3のE−E部分の縦断面図である。図6は、図3のF−F部分の縦断面図である。
CLT10は、壁3を形成する板材として、床2上に垂直に設けられている。CLT10の表裏面10aによって、壁面が形成されている。CLT10は、図2に示される幅方向CYに延在する辺と厚さ方向CZに延在する辺を外輪郭とする外周面10cが下を向くように設けられている。
本実施形態における接合構造20においては、図3に示すようにCLT10と床2とが、接合具21、22、23、25を用いて接合されている。接合具21、22、23、25は、第1の金物21と、鋼製接合具22、ラグスクリューボルト23、及び第2の金物25を備えている。
第1の金物21は、図3、図5に示すようにフランジ部21aとウェブ部21bとを有し、断面がT形状となるように形成されている。第1の金物21は、より詳細には、例えば、フランジ部21aとして用いられる長尺の鋼板の一方の表面21dの、幅方向の中心位置に、ウェブ部21bとして用いられる他の長尺の鋼板を、これらが互いに垂直となるように接合して形成されている。第1の金物21は、例えばT形鋼を適切な長さに伐って形成されてもよい。フランジ部21aの幅は、CLT10の厚さ方向CZの長さ以下となるように形成されている。本実施形態においては、第1の金物21の長さは、CLT10の幅方向CYの長さと略同等となるように形成されている。フランジ部21aとウェブ部21bの間には、これらの各々に垂直に、複数のリブ21eが接合されている。リブ21eは、図3に示されて後に説明する第2の金物25のリブ25eと同様に、第1の金物21の長さ方向の中央21f近傍よりも、端部21g近傍に、高い密度で設けられている。
鋼製接合具22は、線状に形成された、例えば釘、ビス等の接合具である。
第1の金物21は、床2に対向して下向きに設けられた外周面10cに、フランジ部21aの、ウェブ部21bとは反対側の表面21cを当接させ、フランジ部21aのCLT10とは反対側すなわち下側から、鋼製接合具22を、第1の金物21に形成された孔21h(図6参照)を挿通させてCLT10の外周面10cに貫入、例えば打ち込み、またはねじ込むことで、CLT10に固定されている。
後に説明するように、第1の金物21のウェブ部21bは、第2の金物25を介して、床2に接続、接合されている。
特に図4に示されるように、鋼製接合具22は、CLT10の外周面10cのラミナ11の板目・柾目層14に打ち込み、またはねじ込まれて、固定、固着されている。より詳細には、本実施形態においては、CLT10の外周面10cに表れている、第2プライ12Bに対応するラミナ11の板目層と、第6プライ12Fに対応するラミナ11の柾目層の各々に固定されている。
第2プライ12Bと第6プライ12Fの各々において、鋼製接合具22は、CLT10の厚さ方向CZに直交する方向G(この場合においては幅方向CYに一致)と平行な、二点鎖線で示される2つの仮想直線L1、L2(図4においては第2プライ12B上のみに図示)上に、方向Gに向かうにつれて鋼製接合具22がこれら2つの仮想直線L1、L2上に交互に現れるように設けられている。このように、各板目・柾目層14に対し、鋼製接合具22は、千鳥状に設けられている。
本実施形態においては、鋼製接合具22は、第1の金物21の長さ方向における中央21f近傍に、集中して設けられている。
ラグスクリューボルト23は、第1の金物21の長さ方向における端部21g近傍に設けられている。
ラグスクリューボルト23は、胴体ネジ部23aと材端ネジ部23bを備えている。胴体ネジ部23aは、一方が閉塞された円筒状の部材であり、外周部に雄ネジが形成されている。胴体ネジ部23aは、CLT10の外周面10cから内部にねじ込まれ、CLT10に内蔵されて設けられている。胴体ネジ部23aは、鋼製接合具22と同様に、CLT10の外周面10cに表れている板目・柾目層14、より詳細には、第2プライ12Bに対応するラミナ11の板目層と、第6プライ12Fに対応するラミナ11の柾目層の各々に固定されている。
材端ネジ部23bは、円柱状に形成された長尺な軸部23cと、軸部23cの一端から半径方向に突出するように設けられた頭部23dを備えている。材端ネジ部23bは、CLT10の外周面10cに当接された第1の金物21のフランジ部21aの、CLT10とは反対側すなわち下側から、軸部23cが第1の金物21に形成された孔21iを挿通してCLT10に内蔵された胴体ネジ部23aの内部に挿入されている。軸部23cは、胴体ネジ部23aと機械的に固定(スウェージ定着)されている。頭部23dは、フランジ部21aのウェブ部21b側の表面21dに係合されている。
上記に示すように、CLT10の接合構造20では、CLT10の外周面10cを塞ぐように、外周面10cに添わせてT形状の金物(第1の金物)21のフランジ部21aを配置するとともに、当該フランジ部21aを挟んでT形状の金物21の長さ方向の両端部21gにラグスクリューボルト23が設けられ、T形状の金物21の長さ方向の中央部21fに鋼製接合具22が設けられている。よって、CLT10の接合構造20では、CLT10の両端部21gに埋設させるラグスクリューボルト23を引き抜き抵抗材として機能させ、CLT10の中央部21fに打ち込む鋼製接合具22をせん断抵抗材とする。
床2を形成するコンクリート上には、図3と、図5、図6に示すように第2の金物25が載置され、固定されている。
第2の金物25は、第1の金物21と同様に、フランジ部25aとウェブ部25bとを有し、断面がT形状となるように形成されている。本実施形態においては、第2の金物25の長さは、第1の金物21の長さと略同等となるように形成されている。フランジ部25aとウェブ部25bの間には、これらの各々に垂直に、複数のリブ25eが接合されている。リブ25eは、第2の金物25の長さ方向の中央25f近傍よりも、端部25g近傍に、高い密度で設けられている。
第2の金物25は、床2の上に設けられた高さ調整用の無収縮モルタル28の上面に設けられている。フランジ部25aに形成された孔25hを挿通するように、アンカーボルト26が設けられている。アンカーボルト26の上端はフランジ部25aに固定され、下側は、床2を形成するコンクリートに埋設されて、コンクリートに定着されている。
上記のように設けられた第2の金物25に対し、CLT10に接合された第1の金物21が、第2の金物25のウェブ部25bと第1の金物21のウェブ部21bが当接するように設けられている。第2の金物25のウェブ部25bと第1の金物21のウェブ部21bは、これらに形成された図示されない孔を挿通するように、ボルト・ナット27により接合されている。
このように、第2の金物25を介して、第1の金物21のウェブ部21bが床2に接続、固定されている。
本実施形態においては、上記のように、鋼製接合具22は、CLT10の外周面10cのラミナ11の板目・柾目層14に貫入され、固着されている。鋼製接合具22を、CLT10の木口層13に固定する場合に比べると、板目・柾目層14に固定した場合のほうが、鋼製接合具22一本あたりの接合剛性及び耐力が向上することが、実験により明らかとなった。ここでは次に、当該実験の仕様及び結果を説明する。
図7は、耐力壁脚部を対象とした第1実施形態によるCLTの接合構造の要素試験体と、変位計測位置を示す。図7(a)は、本実施形態に基づいた実施例を対象とする要素試験体の正面図、図7(b)は側面図である。
実施例の要素試験体となるCLT100は、日本農林規格におけるCLT(Mx60−5−7、t=210mm、平均密度0.42g/cm、平均含水率11.3%)相当で、サイズが700×1700mmのものを使用した。CLT100の外周面に表れているCLTの外周面10cに左右から先孔を開けた2枚の鋼板101(t=16mm)を添えて全ネジビス102(PX8−140)にて止めつけた。ビス性能の加算則を確認するため、ビス本数は20本、40本、59本の3種類として各1体とした。ビス102を柾目層、板目層に打つように配置した。反力側には、谷径φ20.1mm、外径φ26.5mm、長さ400mmのラグスクリューボルト103を10本打ち込み、M24ボルトで加力用架台に取り付けた。加力は1方向1回繰り返し加力とし、繰り返し変位は、別途実施した集成材を対象としたビスのせん断実験で求めたビスのせん断降伏変位δyの1/2、1、2、4、6、8、12、16倍とした。
図8(a)は、第1実施形態によるCLTの接合構造と比較するために、CLTの外周面に表れているラミナの木口層に全ネジビスを打ち込んだもので、図7に示すCLTの接合構造に対する比較試験体の正面図であり、図8(b)は側面図である。
比較例の試験体となるCLT110は、上記のCLT110と同構成で、平均密度0.42g/cm、平均含水率11.6%、サイズが300×300mmのものを使用した。CLT110の側面を鋼板111で挟み込み、1枚の鋼板111に対して2本ずつ、上記と同様の全ネジビス112で鋼板111をCLT110の外周面に表れているラミナの木口層に打ちとめた。試験体数は7体とした。加力はCLT110の面内方向に左右の鋼板111を引っ張ることで行った。1方向1回繰り返し加力とし繰り返し変位は、1体目に実施して求めたビスのせん断降伏変位δyの1/2、1、2、4、6、8、12、16倍とした。
図9は、図7に示すCLTの接合構造の要素試験体による鋼板1枚あたりの荷重−変位関係の実験結果である。図10は、CLTの接合構造の実験結果で得られた鋼製接合具1本あたりが負担する荷重、変位の比較表(第1実施形態の要素試験体)である。
ビス本数20本では、最大荷重到達後、荷重がその0.8倍に低下するまで載荷した。破壊性状としては、ビスによるCLTの支圧破壊と繰り返し加力によるビスの破断が確認された。ビス本数40本では、試験機の加力限界となったこと、ビス本数59本では反力側のラグスクリューボルトで破壊したことにより引ききれず、それぞれ444kN、449kNで加力を終了したため、最大荷重は計測できなかった。したがって、図10に示す40本、59本の特性値は参考とする。なお、加力終了時点の荷重まで隣接するビス同士の間で木材が割れる集合型せん断破壊を生じることなく、ビス59本では設計荷重の260kNを超え、十分な耐力を有することが確認できた。
図11は、図8に示すCLTの接合構造の比較試験体による鋼製接合具が負担する荷重、変位の比較表である。破壊性状としては、CLTラミナが引き裂かれるような破壊とビスの破断が確認された。降伏荷重Pyは、ビスをCLTのラミナの柾目層14に打ち込んだ図10に示す20本の要素試験体では5.44kNであったが、ビスをCLTのラミナの木口層13に打ち込んだ図11に示す比較試験体では4.04kNであった。本実験結果では、第1実施形態に基づく実施例を模擬した要素試験体に比べて、比較試験体では降伏荷重Pyが80%程度と低いことが確認された。
次に、上記のCLTの接合構造の効果について説明する。
本実施形態におけるCLT10の接合構造20は、CLT10を接合具21、22を用いて接合するものであって、接合具21、22は、フランジ部21aとウェブ部21bとを有する断面T形状の第1の金物21と、線状の鋼製接合具22を備え、CLT10の外周面10cに第1の金物21のフランジ部21aを当接させ、フランジ部21aを挟んで鋼製接合具22がCLT10を形成するラミナ11の板目層または柾目層14に貫入され、固着されていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、CLT10と第1の金物21を接合するに際し、CLT10の外周面10cに第1の金物21のフランジ部21aを当接させた上で、線状の鋼製接合具22が、第1の金物21のフランジ部21aを挟んだ外側からCLT10に向けて、CLT10を形成するラミナ11の板目層または柾目層14に貫入され、固着されている。CLT10を接合する線状の鋼製接合具22の、1本あたりのせん断剛性及び耐力は、既に説明したように、鋼製接合具22をラミナ11の木口が現れる木口層13に設ける場合よりも、ラミナ11の板目が現れる板目層14、または柾目が現れる柾目層14に設ける場合のほうが高いことが、実験により確認された。したがって、CLT10を接合する、強固な接合構造20を実現可能である。
また、このような接合構造20を実現するに際し、フランジ部21aとウェブ部21bとを有する断面T形状の第1の金物21と、線状の鋼製接合具22が必要とされる。ここで、第1の金物21としては、例えば適切な長さに伐ったT形鋼を用いることもできるし、2枚の鋼板を断面T字状になるように接合したものを用いることもできる。また、鋼製接合具22としては、例えば釘、ビス等を用いることができる。更に、CLT10に特別な加工を要しない。このように、既存の建築材を簡単に組み合わせることで接合構造20を実現可能であり、構造が簡潔である。
上記のように、鋼製接合具22を、CLT10を形成するラミナ11の板目層または柾目層14に固着することにより、鋼製接合具22の1本あたりの耐力が向上する。このため、鋼製接合具22を木口層13に設ける場合と比べると、同等の性能を実現する際に要する鋼製接合具22の本数が少なくなる。これに伴い、例えば鋼製接合具22を設ける部分を局所的に集中させることで、本実施形態においてはCLT10の幅方向に沿って設けられていた第1の金物21及び第2の金物25の長さを低減することも可能となる。この場合においては、施工コストを低減可能である。
また、接合構造20は、さらに、フランジ部25aとウェブ部25bとを有する断面T形状の第2の金物25と、円筒状の胴体ネジ部23aと、胴体ネジ部23aに挿入され固定される材端ネジ部23bとを有するラグスクリューボルト23と、を備え、CLT10には、ラグスクリューボルト23の胴体ネジ部23aがねじ込まれて内蔵され、材端ネジ部23bが第1の金物21のフランジ部21aに固定されており、第2の金物25のフランジ部25aが床(別部材)2に固定され、第2の金物25のウェブ部25bと第1の金物21のウェブ部21bがボルト接合されていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、床2上に断面T形状の第2の金物25のフランジ部25aが固定され、この第2の金物25のウェブ部25bと、CLT10の外周面10cにフランジ部21aが固定された第1の金物21のウェブ部21bとが、ボルト接合されている。すなわち、CLT10は床2に対して立てて設けられた、例えば壁3として建物1を構成している。
このような場合において、第1の金物21とCLT10は、鋼製接合具22に加えて、引張抵抗用の伸び性能を有するラグスクリューボルト23によって接合されているため、CLT10に対して引き抜き力が作用した際における、変形追従性能を確保できる。
また、第1の金物21と床2は、第2の金物25とボルト・ナット27により接合されている。したがって、既存の建築材を簡単に組み合わせることで接合構造20を実現可能であり、構造が簡潔である。
また、鋼製接合具22は、一直線上に埋設させるのではなく、千鳥状に整列して設けられている。
上記のような構成によれば、ラミナ11の割裂破壊を抑えて脆性的な破壊を効果的に回避することができる。
また、鋼製接合具22を1列に整列して設けた場合に比べると、第1の金物21の長さ方向における鋼製接合具22の配置密度を高くすることができる。このため、鋼製接合具22を設ける部分を更に局所的に集中させることで、第1の金物21及び第2の金物25の長さをより低減することも可能となる。この場合においては、施工コストを更に低減可能である。
また、ラグスクリューボルト23は、第1の金物21の長さ方向における端部21g近傍に設けられている。
更に、第1の金物21及び第2の金物25には、これらのフランジ部21a、25aとウェブ部21b、25bに直交するようにリブ21e、25eが接合されており、リブ21e、25eは、第1の金物21及び第2の金物25の長さ方向の中央21f、25f近傍よりも、端部21g、25g近傍に、高い密度で設けられている。
上記のような構成によれば、壁3として設けられたCLT10に、水平力作用時に発生する偏心モーメントに起因する引き抜き力が作用した際に、これに効果的に抵抗することが可能となる。
また、CLT10の接合構造20では、CLT10の外周面10cに添わせて、一般にCLT10より高い剛性を有するT形状の金物(第1の金物)21のフランジ部21aを配置することで、フランジ部21aがCLT10の損傷、損壊を防止し、CLT10を補剛することができる。具体的には、CLT10に外部荷重が作用した際には、フランジ部21aの金物がCLT10への局部的な変形の集中を阻止して、損傷を防止することができる。
また、CLT10の接合構造20では、CLT10の外周面10cを覆うT形状の金物21を挟んで、T形状の金物21の長さ方向の両端部21gでは引き抜き抵抗用のラグスクリューボルト23を埋設させ、一方中央部21fにはせん断抵抗材として鋼製接合具22を打ち込むことで、T形状の金物21の部位によって所定の接合部強度が確保された接合構造20を実現することができる。
CLT10の接合構造20では、T形状の金物(第1の金物)21が外周面10cに設置されたCLT10と、T形状の金物(第2の金物)25が設置された他方の部材2、または他方のCLT10とは、双方のT形状の金物21、25をボルト接合することで、一体化される。よって、CLT10の接合構造20では、CLT21と別部材2が双方のT形状の金物21、25を介してピン接合状態で連結されており、CLT10の外周部に作用する曲げモーメントは小さく、強固なCLT10の接合構造20が実現可能である。また、CLT10の接合構造20では、予めT形状の金物21が埋設されたCLT10を製作しておき、建設現場で、各プレキャスト化されたCLT10同士を連結して接合することができ、短工期化、及び高品質化が可能である。
[第1実施形態の変形例]
次に、図12を用いて、上記第1実施形態として示したCLTの接合構造の変形例を説明する。図12は、本変形例におけるCLTの接合構造の分解斜視図である。本変形例におけるCLTの接合構造は、上記第1実施形態のCLTの接合構造20とは、第1の金物31を対象となる部材に接合する構造が異なっている。
本変形例は、図1にB矢視部分として示されている、CLT10を壁材として、CLTで形成された他の壁33に接合する場合の接合構造を説明する。しかし、同様な接合が可能な範囲において、対象となる部材はCLT以外により形成された壁でも良いし、柱、土台や、梁等でも良い。
本変形例においては、CLT10は、板目・柾目層14が第2、第4、第6プライ12B、12D、12Fに表れる外周面10cが、下方向ではなく、横方向を向くように設けられている。
第1の金物31は、第1実施形態と同様に、フランジ部31aとウェブ部31bとを有し、断面がT形状となるように形成されている。本変形例における第1の金物31は、第1実施形態の第1の金物21に比べると、短尺に形成されている。
第1の金物31は、第1実施形態と同様に、横向きに設けられた外周面10cに、フランジ部31aの、ウェブ部31bとは反対側の表面31cを当接させ、フランジ部31aのCLT10とは反対側から、鋼製接合具22を、第1の金物31に形成された孔31hを挿通させてCLT10の外周面10cに貫入、例えば打ち込み、またはねじ込むことで、CLT10に固定されている。
ウェブ部31bは、外周面10cに直交し、かつ長さ方向が鉛直方向に一致するように設けられている。
第1の金物31のウェブ部31bには、複数の孔31jが開設されている。
本変形例におけるCLT10が接合される対象となる壁33は、図12に示すようにCLT10が接合される側の表面33aに、壁33の内部へと切り込むスリット33sが、表面33aに直交して鉛直方向に延在するように設けられている。スリット33sの鉛直方向の長さは、少なくとも第1の金物31のウェブ部31bの長さよりも長くなるように、スリット33sは形成されている。
壁33の、表面33aに隣接して鉛直平面内に位置する表面33bには、第1の金物31のウェブ部31bの孔31jに対応する位置に、表面33bからスリット33sへと貫通する貫通孔33hが開設されている。
上記のように形成された壁33に対し、第1の金物31が固定されたCLT10が、外周面10cが第1の金物31を挟んで壁33の表面33aと対向し、かつ、第1の金物31のウェブ部31bが壁33のスリット33s内に挿入して位置づけられる。この状態で、壁33の表面33bの外側から、ドリフトピン32を、壁33の貫通孔33hと第1の金物31のウェブ部31bの孔31jを挿通させることで、CLT10が壁33に固定される。
なお、本変形例では、CLT10と壁33を第1の金物31で接合させているが、CLT10を接合される対象は壁33に限定するものではなく、CLT10と梁を第1の金物31で接合させてもよい。
本変形例が、既に説明した第1実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。図13は、第2実施形態におけるCLT同士の接合構造の正面図である。図14は、図13のH部分の側面拡大図である。
本第2実施形態は、例えば第1実施形態として説明したような接合構造20によって床2上に壁3として設けられたCLT(下側のCLT)10Bの上方に、更にCLT(上側のCLT)10Aを載置して接合することで、CLT10同士を鉛直方向に立てて並べ、壁3を形成する場合に用い得る。
下側のCLT10Bは、図13、図14に示すように壁3を形成する板材として、床2上に垂直に設けられている。上側のCLT10Aは、その表裏面10aが下側のCLT10Bの表裏面10aと同一の面内に位置するように設けられており、下側のCLT10Bと同様に表裏面10aによって、壁面が形成されている。各CLT10A、10Bは、板目・柾目層14が第2、第4、第6プライ12B、12D、12Fに表れる外周面10cが横方向を向くように設けられている。上側のCLT10Aと下側のCLT10Bは、この外周面10cが、鉛直方向に揃えられて設けられている。
本実施形態における接合構造40においては、CLT10同士が、接合具41、42を用いて接合されている。接合具41、42は、板状金物41と鋼製接合具42を備えている。
板状金物41は、例えば幅がCLT10の厚さ方向CZの長さと同等かそれ以下となるように形成された鋼板である。
鋼製接合具22は、線状に形成された、例えば釘、ビス等の接合具である。特に本実施形態においては、鋼製接合具22は、軸部の表面に全体的にネジが形成された、全ネジ型のビスである。
板状金物41は、上下方向に互いに揃えられたCLT10A、10Bの外周面10cを上下に跨ぐように、これら外周面10cに添えられて設けられている。この板状金物41の、CLT10A、10Bに接触する表面とは反対側すなわち外側から、鋼製接合具42を、板状金物41に形成された図示されない孔を挿通させてCLT10A、10Bの外周面10cに貫入、例えば打ち込み、またはねじ込むことで、板状金物41はCLT10A、10Bに固定されている。
特に図14に示されるように、鋼製接合具42は、CLT10A、10Bの外周面10cのラミナ11の板目・柾目層14に打ち込み、またはねじ込まれて、固定、固着されている。より詳細には、本実施形態においては、CLT10の外周面10cに表れている、第2プライ12Bに対応するラミナ11の板目層と、第4プライ12D及び第6プライ12Fの各々に対応するラミナ11の柾目層の各々に固定されている。
第2、第4、第6プライ12B、12D、12Fの各々において、鋼製接合具42は、CLT10の厚さ方向CZに直交する方向G(この場合においては幅方向CYに一致)と平行な、二点鎖線で示される2つの仮想直線L1、L2(図14においては第2プライ12B上のみに図示)上に、方向Gに向かうにつれて鋼製接合具42がこれら2つの仮想直線L1、L2上に交互に現れるように設けられている。このように、各板目・柾目層14に対し、鋼製接合具42は、千鳥状に設けられている。
本実施形態においては、上記のように、鋼製接合具42は、CLT10の外周面10cのラミナ11の板目・柾目層14に貫入され、固着されている。鋼製接合具42を、CLT10の木口層13に固定する場合に比べると、板目・柾目層14に固定した場合のほうが、鋼製接合具42一本あたりの接合剛性及び耐力が向上することは、第1実施形態において既に説明した実験によって検証されている。
次に、上記のCLTの接合構造の効果について説明する。
本実施形態におけるCLT10の接合構造40は、CLT10A、10B同士を、鉛直方向に立てて上下に並べ、接合具41、42を用いて接合するCLT10の接合構造であって、接合具41、42は、板状金物41と、線状の鋼製接合具42を備え、CLT10A、10B同士の外周面10cを上下に跨ぐように板状金物41が添えられ、板状金物41を挟んで鋼製接合具42がCLT10を形成するラミナ11の板目層または柾目層14に貫入され、固着されていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、CLT10A、10B同士を鉛直方向に立てて上下に並べて接合するに際し、CLT10A、10B同士の外周面10cを上下に跨ぐように板状金物41を添えた上で、線状の鋼製接合具42が、板状金物41を挟んだ外側からCLT10に向けて、CLT10を形成するラミナ11の板目層または柾目層14に貫入され、固着されている。CLT10A、10B同士を接合する線状の鋼製接合具42のせん断剛性及び耐力は、鋼製接合具42をラミナ11の木口が現れる木口層13に設ける場合よりも、ラミナ11の板目が現れる板目層14、または柾目が現れる柾目層14に設ける場合のほうが高いことが、実験により確認された。したがって、CLT10A、10B同士を接合する、強固な接合構造40を実現可能である。
また、このような接合構造40を実現するに際し、板状金物41と、線状の鋼製接合具42が必要とされる。ここで、板状金物41としては、例えば鋼板を用いることができる。また、鋼製接合具42としては、例えば釘、ビス等を用いることができる。更に、CLT10に特別な加工を要しない。このように、既存の建築材を簡単に組み合わせることで接合構造40を実現可能であり、構造が簡潔である。
上記のように、鋼製接合具42を、CLT10を形成するラミナ11の板目層または柾目層14に固着することにより、鋼製接合具42の1本あたりの耐力が向上する。このため、鋼製接合具42を木口層13に設ける場合と比べると、同等の性能を実現する際に要する鋼製接合具42の本数が少なくなる。これに伴い、例えば鋼製接合具42を設ける部分を局所的に集中させることで、板状金物41の長さを低減することも可能となる。この場合においては、施工コストを低減可能である。
また、鋼製接合具42は、板目層または柾目層に千鳥状に整列して設けられている。
上記のような構成によれば、ラミナ11の割裂破壊を抑えて脆性的な破壊を効果的に回避することができる。
また、鋼製接合具42を1列に整列して設けた場合に比べると、板状金物41の長さ方向における鋼製接合具42の配置密度を高くすることができる。このため、鋼製接合具42を設ける部分を更に局所的に集中させることで、板状金物41の長さをより低減することも可能となる。この場合においては、施工コストを更に低減可能である。
なお、本発明のCLTの接合構造は、図面を参照して説明した上述の各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
例えば、第1実施形態においては、CLT10が接合される対象は、コンクリートにより製造された床2であったが、木製の床であっても構わない。その他、趣旨を逸脱しない限りにおいて、CLT10を接合する対象の材質等は、いかなるものであってもかまわない。
また、上記各実施形態及び変形例で用いられたCLT10は、7層のプライ12を備えて構成されていたが、プライ12の数はこれに限られず、他の数であってもよいのは、言うまでもない。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記各実施形態及び変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
2、4 床(別部材) 21b、31b ウェブ部
3、33 壁 22、42 鋼製接合具(接合具)
10、10A、10B CLT 23 ラグスクリューボルト(接合具)
10b、10c 外周面 23a 胴体ネジ部
11 ラミナ 23b 材端ネジ部
12 プライ 25 第2の金物(接合具)
13 木口層 25a フランジ部
14 板目・柾目層(板目層または柾目層) 25b ウェブ部
20、30、40 接合構造 27 ボルト・ナット
21、31 第1の金物(接合具) 41 板状金物(接合具)
21a、31a フランジ部

Claims (3)

  1. CLTを接合具を用いて接合するCLTの接合構造であって、
    前記接合具は、フランジ部とウェブ部とを有する断面T形状の第1の金物と、線状の鋼製接合具を備え、
    前記CLTの外周面に前記第1の金物の前記フランジ部を当接させ、当該フランジ部を挟んで前記鋼製接合具が前記CLTを形成するラミナの板目層または柾目層に貫入され、固着されていることを特徴とするCLTの接合構造。
  2. 前記接合具は、さらに、
    フランジ部とウェブ部とを有する断面T形状の第2の金物と、
    円筒状の胴体ネジ部と、当該胴体ネジ部に挿入され固定される材端ネジ部とを有するラグスクリューボルトと、を備え、
    前記CLTには、前記ラグスクリューボルトの前記胴体ネジ部がねじ込まれて内蔵され、前記材端ネジ部が前記第1の金物の前記フランジ部に固定されており、
    前記第2の金物の前記フランジ部が別部材に固定され、前記第2の金物の前記ウェブ部と前記第1の金物の前記ウェブ部がボルト接合されていることを特徴とする請求項1に記載のCLTの接合構造。
  3. CLT同士を、鉛直方向に立てて上下に並べ、接合具を用いて接合するCLTの接合構造であって、
    前記接合具は、板状金物と、線状の鋼製接合具を備え、
    前記CLT同士の外周面を上下に跨ぐように前記板状金物が添えられ、当該板状金物を挟んで前記鋼製接合具が前記CLTを形成するラミナの板目層または柾目層に貫入され、固着されていることを特徴とするCLTの接合構造。
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