以下添付図面に従って本発明に係る指令発生装置の好ましい実施形態について詳説する。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る指令発生装置の第1実施形態を示す概念図である。
第1実施形態の指令発生装置は、ダイクッション力指令に基づいてクッションパッドに加えるダイクッション力を制御するダイクッション力制御器280に付属し、ダイクッション力制御器280に対してダイクッション力指令を発生する。
この指令発生装置は、力覚付与手段(ペダル式力覚付与手段250−1)を含み、オペレータがペダルを踏む力(操作力)に比例するダイクッション力指令を発生する。
オペレータは、生産運転前に行われる試行運転での成形(ダイクッション力作用)工程を目視確認しながら、ペダルを踏み込む力を調整する。ここで、図2に示すようにペダル250Aが所定の可動範囲(角度θ)の一端に位置する場合(本例では、踏み込み量が最小の場合)には、ダイクッション力指令として最小制限設定値Fminを割り当て、ペダルが他端に位置する場合(踏み込み量が最大の場合)には、最大制限設定値Fmaxを割り当てることが好ましい。
ペダル250Aに加えられる操作力(Fmanual)が検出されると、指令演算器として機能するダイクッション力指令器260は、操作力Fmanualに比例するダイクッション力指令(ダイクッション力・力覚指令)を、最小制限設定値Fminと最大制限設定値Fmaxとの範囲内で随時自動演算し、ダイクッション力制御器280に出力する。
ダイクッション力制御器280は、ダイクッション力・力覚指令に基づいてダイクッション装置200(サーボダイクッション装置)のサーボモータを駆動するためのサーボモータ・トルク指令を生成し、ダイクッション装置200に出力する。
ダイクッション装置200は、プレス機械の上型120と下型122とにより成形される材料(ブランク)103の周縁を、上型120とブランクホルダ(皺押え板)202との間で押圧保持するものであり、ブランクホルダ202は、複数のクッションピンを介してクッションパッド210により保持される。
そして、成形トライが成功し、良好な製品が得られたときのダイクッション力・力覚指令を記憶保持しておき、その後、生産運転を行う場合には、記憶保持したダイクッション力・力覚指令を使用することができる。
<ペダル式力覚付与手段(ペダル式1)>
図2は、ペダル式力覚付与手段の第1実施形態を示す図である。
図2において、操作子として機能するペダル式力覚付与手段250−1は、ペダル250Aが、台座250Bに対して一定の可動範囲(角度θ)内で移動(回動)可能に設けられ、ペダル250Aと台座250Bとの間にはコイルばね250Cが配設されている。ペダル250Aの回転軸には、角度センサとして機能するエンコーダ252が装着され、エンコーダ252は、ペダル250Aの踏み込み量(ペダル250Aの角度)に対応する回転角度信号を操作力検出器254に出力する。
オペレータが足先でペダル250Aを踏むと、ペダル250Aの踏み込み量に応じてコイルばね250Cが圧縮され、コイルばね250Cの圧縮量に比例して操作力が作用し、エンコーダ252は、踏み込み量に応じて増加する回転角度信号を出力する。
操作力検出器254は、エンコーダ252と、エンコーダ252の回転角度信号に基づいて角度から操作力を演算(検出)する操作力演算器とを有し、演算した操作力を示す操作力信号をダイクッション力指令器260に出力する。
ダイクッション力指令器260には、第1設定器として機能するダイクッション操作盤256を使用して設定されたダイクッション力の最大制限設定値Fmax及び最小制限設定値Fminが加えられており、ダイクッション力指令器260は、操作力信号、最大制限設定値Fmax及び最小制限設定値Fminに基づいて、操作力の最大値、最小値から一定の“遊び量”(角度Δθに相当する操作力)を減、増した値に対して、最大制限設定値Fmax、最小制限設定値Fminが呼応するように、操作力に対してダイクッション力・力覚指令を演算する。
図3は、ペダル式力覚付与手段のペダルの踏み込み量と操作力との関係、及び操作力とダイクッション力・力覚指令との関係を示すグラフである。
図3に示すようにペダルへの操作力は、ペダル踏み込み量に比例する。ダイクッション力指令器260は、操作力の最大値から“遊び量”を減じた値に対して最大制限設定値Fmaxを割り当て、操作力の最小値に“遊び量”を増した値に対して最小制限設定値Fminを割り当て、操作力の最小値に“遊び量”を増した値と操作力の最大値から“遊び量”を減じた値との間の操作力に対しては、その操作力に比例して最小制限設定値Fminから最大制限設定値Fmaxに変化するダイクッション力・力覚指令を算出する。
尚、本例では、図2に示したようにペダル250Aの可動範囲の一端及び他端に、Δθで示した“遊び量”を設け、“遊び量”を増減したペダル250Aの位置に対して最小制限設定値Fmin及び最大制限設定値Fmaxを割り当てるようにしたが、これに限らず、“遊び量”を設けなくてもよい。ペダル250A(操作子)の可動範囲の一端及び他端に“遊び量”が設けられている場合も、本発明では操作子の可動範囲の一端及び他端の概念に入るものとする。また、エンコーダ252の代わりに、操作子(ペダル)の位置を検出する位置センサを使用してもよい。
[プレスシステム]
図4は、本発明に係る指令発生装置を含むプレスシステムの実施形態を示すシステム構成図である。
図4に示すプレスシステムは、サーボモータ340からクランク機構等の動力伝達機構を介してスライド110に駆動力を伝達するプレス機械(サーボプレス)100と、クッションパッド210を支持し、クッションパッド210にダイクッション力を発生させるダイクッション装置200と、からなるサーボプレスシステムである。
<プレス機械>
図4に示すプレス機械100は、ベッド102、コラム104及びクラウン106でフレームが構成され、スライド110は、コラム104に設けられたガイド部108により鉛直方向に移動自在に案内され、機械駆動部により駆動される。
この機械駆動部は、クランク軸112と、クランク軸112とスライド110とを連結するコンロッドと、クランク軸駆動部として機能するサーボモータ340及び減速機101とから構成されている。
クランク軸112には、サーボモータ340から減速機101を介して回転駆動力が伝達され、このクランク軸112の回転運動がコンロッドにより直線運動に変換されてスライド110に伝達され、スライド110を上下方向に駆動する。
また、クランク軸112には、クランク軸エンコーダ116が設けられている。クランク軸エンコーダ116から出力されるクランク軸エンコーダ信号は、図示しない信号変換器によりクランク軸角度信号及びクランク軸角速度信号に変換される。また、プレス機械100のベッド102側には、スライド110の位置(スライド位置)を検出するスライド位置検出器114が設けられている。
尚、クランク軸角度信号及びクランク軸角速度信号は、信号変換器によりスライド位置信号及びスライド速度信号に変換することができる。クランク軸角度信号、クランク軸角速度信号は、クランク軸角度指令器360及びクランク軸角度制御器380により使用され、スライド位置信号、スライド速度信号は、ダイクッション力指令器260及びダイクッション力制御器280により使用されるが、その詳細については後述する。
スライド110には上型120が装着され、ベッド102上(のボルスタ上)には下型122が装着されている。
上型120と下型122の間にはブランクホルダ202があり、下側が複数のクッションピン204を介してクッションパッド210で支持され、上側には材料がセットされる(接触する)。
このプレス機械100は、スライド110の速度(スライド速度)をスライド位置毎に変速可能なサーボプレスであり、スライド速度指令を発生させる指令発生装置として機能するクランク軸角度指令器360は、プレスの1サイクルにおいて、時々刻々と変化するクランク軸角度指令をクランク軸角度制御器380に出力する。尚、スライド110を下死点で一定時間停止させるクランク軸角度指令を出力することも可能である。
クランク軸角度制御器380は、クランク軸角度指令器360から入力するクランク軸角度指令、クランク軸角度信号及びクランク軸角速度信号に基づいてクランク軸角度を制御するためのサーボモータ・トルク指令を生成し、サーボモータ・トルク指令をサーボアンプ382を介してサーボモータ340に出力する。
このようにしてサーボモータ340が制御され、サーボモータ340の回転駆動力が動力伝達機構を介してスライド110に伝達され、スライド速度が発生する。尚、スライド速度制御の詳細については後述する。
<ダイクッション装置>
ダイクッション装置200は、主としてクッションパッド210を支持する油圧シリンダ220、油圧モータ230、サーボモータ240、ダイクッション力指令器260、及びダイクッション力制御器280等から構成されている。
クッションパッド210は、油圧シリンダ220によって支持され、クッションパッド210(あるいは油圧シリンダ・ピストンに連動する部分)には、クッションパッド210の位置(ダイクッション位置)を検出するダイクッション位置検出器222が設置されている。
油圧シリンダ220のクッション圧発生側加圧室(以下「下室」と称す)220aに接続された配管224には、下室220aの圧力を検出するダイクッション圧検出器232が接続されるとともに、油圧モータ230の一方の吐出口が接続されている。油圧モータ230の他方の吐出口には、タンク226が接続されている。
油圧モータ230の回転軸には、直接又は減速機を介してサーボモータ240の駆動軸が接続され、サーボモータ240には、サーボモータ240の回転角速度を検出するためのサーボモータ角速度検出器228が設けられている。
ダイクッション力は、油圧シリンダ220の下室220aの圧力とシリンダ面積の積で表すことができるため、ダイクッション力を制御することは、油圧シリンダ220の下室220aの圧力を制御することを意味する。
プレス成形工程において、スライド110からクッションパッド210を介して油圧シリンダ220に伝わった力は、油圧シリンダ220の下室220aを圧縮し、ダイクッション圧を発生させる。同時に、ダイクッション圧によって油圧モータ230に回転軸トルクが発生するが、この回転軸トルクがサーボモータ240の駆動トルクに抗じたところで、サーボモータ240を駆動させることにより、ダイクッション圧力が抑制される。結局、ダイクッション力(圧力)は、サーボモータ240の駆動トルクに応じて制御される。
ダイクッション力制御器280は、ダイクッション力指令器260から加えられるダイクッション力指令に基づいてサーボモータ・トルク指令を生成し、サーボモータ・トルク指令をサーボアンプ282を介してサーボモータ240に出力する。尚、ダイクッション力制御の詳細については後述する。
図示しないが、プレス操作盤では、「プレス安全一行程運転」機能や「連続生産運転」機能を選択することができ、プレス機械100及びダイクッション装置200を試行運転する場合には、「プレス安全一行程運転」が選択される。また、プレス操作盤では、プレスのスライドストローク数を設定することができる。スライドストローク数は、規定は無いが、本例の試行運転する場合には、成形速度が遅過ぎて摩擦力が増大することに伴い成形に悪影響を及ぼすことの無い範囲で、絞り成形工程を目視し易い小さい値を設定することが好ましい。
ダイクッション操作盤256(図2)では、前述したようにダイクッション力の最大制限設定値Fmax及び最小制限設定値Fminが設定される。最大制限設定値Fmaxは、絞り成形開始時に絞り皺が発生しない値を、最小制限設定値Fminは、絞り成形終盤に収縮したブランク外径に応じて基本的に絞り皺が発生しない値を設定することが好ましい。その他、下死点におけるダイクッション力保持時間、成形後(プレスが下死点を通過して上昇開始後)クッションパッド210が製品をノックアウトしながらダイクッション開始位置に戻る(上昇する)時のノックアウト速度、さらに必要に応じてダイクッション力作用開始時にダイクッション力作用を激化させたり、緩和させたりするクッションパッドの上方加速設定や下方加速設定等を設定することができる。
また、ダイクッション操作盤256では、「プレス安全一行程運転」に連動する「ダイクッション連動運転」の選択、及びダイクッションストロークの設定を行うことができ、また、ダイクッション力発生方法としての“標準”又は“力覚”の選択を行うダイクッション力指令選択部として機能する。
<操作及び作用>
設定後、オペレータは、プレス上死点移動機能を使用して、スライド110を上死点に移動させる。続いて、ダイクッション単独昇降機能を使用して、(クッションパッド210に連動する)ブランクホルダ202をダイクッション開始位置に移動させる。
次に、ブランクホルダ202上に、両面に絞り成形用潤滑剤を万遍なく塗布した円形状の材料103をセットする。次に、プレス操作盤により「プレス安全一行程運転」機能を選択し、ダイクッション操作盤により「ダイクッション連動運転」機能を選択し、連動準備ボタンを押す。そうすると、スライド110は上死点で、クッションパッド210はダイクッション開始位置で、それぞれ位置制御停止状態(0度に等しいクランク軸角度指令、ダイクッション開始位置に等しいダイクッション位置指令に基づいた、クランク軸角度、ダイクッション位置制御状態)に入る。
「プレス安全一行程運転」は、ユーザが両手で、両手押しボタン251(図1)を押すことによって(押し続けている場合に)、スライド110が上死点から下死点近傍まで動作し、それ以降は、両手押しボタン251を両手から離しても下死点を経て上死点に戻る一行程運転を司るもので、成形トライ(試行運転)に多用される。
次に、プレス機械による成形トライにおいて、オペレータは、ペダル250Aを踏み込み限度(目いっぱい)まで踏み込む。こうすることによって、ダイクッション力作用開始時点(成形開始時点)以降は、設定したダイクッション力の最大制限設定値Fmaxが作用する。しかし、この(ダイクッション力未作用)時点では、未だ機能的に関与しない。
次に、ブランクホルダ202上の材料103に目線を送りながら、両手で両手押しボタン251を押す。スライド110は、比較的遅めのスライドストローク数に応じて緩やかに下降し、ダイクッション開始位置に到達した時点で、ダイクッション装置200は、図示しないダイクッション制御装置の作用によって、ダイクッション位置制御からダイクッション力制御に変更する。この時、ユーザの片足によって予め、踏み込み限度(目いっぱい)まで踏み込まれたペダル250A及び操作力検出器254を介して最大の操作力に対応する操作力信号が、ダイクッション力指令器260に出力される。
<ダイクッション力制御装置>
図5は、ダイクッション力制御装置の実施形態を示すブロック図である。
図5に示すダイクッション力制御装置は、操作力検出器254を含むペダル式力覚付与手段250−1(図2)、ダイクッション力指令器260、保管器270、標準変換器272、ダイクッション力制御器280及びダイクッション装置200(のサーボアンプ、サーボモータ)から構成されている。
図5に示すダイクッション力指令器260は、主として指令演算器として機能するダイクッション力・力覚指令演算器262と、ダイクッション力・力覚指令一時記憶器264と、ダイクッション力標準指令器266と、切換出力部として機能する切換器267と、ダイクッション力指令調整器268とから構成されている。
ダイクッション力・力覚指令演算器262は、プレス機械を試行運転する場合にダイクッション力指令を演算するものであり、試行運転の1サイクルの少なくともプレス成形期間での操作子(ペダル250A)の操作力に基づいて、ダイクッション力指令(ダイクッション力・力覚指令)を演算する。
図2及び図3を使用して説明したようにダイクッション力・力覚指令演算器262は、操作力検出器254からペダル250Aの操作力に比例する操作力信号が加えられるとともに、ダイクッション操作盤256により設定されたダイクッション力の最大制限設定値Fmax及び最小制限設定値Fminが加えられており、操作力検出器254から入力する操作力信号に基づいて、最大制限設定値Fmax、最小制限設定値Fminが呼応するように操作力に対してダイクッション力・力覚指令を演算する。
ダイクッション力・力覚指令演算器262により演算されたダイクッション力・力覚指令は、切換器267を介してダイクッション力指令調整器268に出力され、それと同時にダイクッション力・力覚指令一時記憶器264に出力される。
図6は、ダイクッション力指令、ダイクッション力、スライド位置、及びダイクッション位置を示すグラフである。
前述したようにオペレータは、最初にペダル250Aを踏み込み限度まで踏み込むことで、操作力検出器254から最大の操作力に対応する操作力信号をダイクッション力・力覚指令演算器262に加える。
したがって、スライド位置がダイクッション開始位置に到達する図6の時点aでは、ダイクッション力・力覚指令演算器262は、ダイクッション力の最大制限設定値Fmaxに相当するダイクッション力・力覚指令を切換器267を介してダイクッション力指令調整器268に出力すると同時に、ダイクッション力・力覚指令一時記憶器264に出力する。
ダイクッション力指令調整器268は、スライド110の位置がダイクッション開始位置に到達したことを受けて、ダイクッション力指令をダイクッション力制御器280に出力する。
ダイクッション力制御器280は、ダイクッション力指令器260(内のダイクッション力指令調整器268)から入力するダイクッション力指令、ダイクッション装置200から入力するダイクッション力信号、サーボモータ角速度検出器228から入力するサーボモータ角速度信号、プレス機械100から入力するスライド位置信号、及びスライド速度信号等に基づいて、ダイクッション装置200のサーボモータ240(図4)を駆動するためのサーボモータ・トルク指令を生成し、ダイクッション装置200に出力する。これにより、油圧シリンダ220を介してクッションパッド210に加えられるダイクッション力が制御され、成形開始初期には最大制限設定値Fmaxに相当するダイクッション力が作用する。
ダイクッション力は、ダイクッション圧検出器232により検出される油圧シリンダ220の下室220aの圧力及び油圧シリンダ220の面積により算出することができる。
ダイクッション力制御器280は、ダイクッション力指令とダイクッション力信号とに基づいてダイクッション力指令に対応するダイクッション力になるようにサーボモータ240のトルクを制御する。サーボモータ角速度検出器228から入力するサーボモータ角速度信号は、ダイクッション力の動的安定性を確保するための角速度フィードバック信号として使用される。
次に、さらにスライド110が下降して、図6の時点bに到達すると、オペレータは、それを目視確認しながら、ペダル250Aの踏み込み度合いを緩め始め、その後、その時点bからスライド下降ストローク量に比例するように連続的に緩め続け、図6の絞り成形終盤の時点cに到達するときに、踏み込み量は操作力が最低値近傍の“遊び”領域に入る。この作用によって、この間(図6のb〜c)に、ダイクッション力は、連続的に減少した操作力に比例して、最大制限設定値Fmax相当のダイクッション力から最小制限設定値Fmin相当のダイクッション力まで連続的に低下する。こうすることで、絞り込まれて面積が減少した材料103の皺抑え部分に作用させるダイクッション力は小さくて済み、成形中に製品の(ダイR、パンチRに沿った)減肉部分から亀裂が生じるトラブルを未然に防ぐことができる。
さらにスライド110が下降して下死点手前(図6の時点d)に至るまで、ダイクッション力は、最小制限設定値Fmin相当のダイクッション力が作用する。
次に、スライド110が図6の時点dから下死点である図6の時点eに到達する間に、オペレータは、それを目視確認しながら、ペダル250Aの踏み込み度合いを一気に強める。
踏み込み量は、踏み込み開始後、短時間で操作力最大値近傍の“遊び”領域に入る。この作用によって、この間(図6の時点d〜時点e)に、ダイクッション力は、急激に増加した操作力に比例して、最小制限設定値Fmin相当のダイクッション力から最大制限設定値Fmax相当のダイクッション力まで一気に増加する。この作用によって、絞り込まれて面積が減少し、加工硬化し始めた材料103の皺抑え部分に皺が発生する作用を抑制し、かつ、製品形状が安定する。
下死点(図6の時点e〜時点f)では、ダイクッション力保持時間設定値分、スライド110が停止し、最大制限設定値Fmax相当のダイクッション力が継続して作用する。こうすることで、さらに製品形状が安定する。(保持時間は、必ずしも必要ではない。)
ダイクッション力保持時間経過後(保持時間が設定されていない場合はプレス下死点で)、ダイクッション力指令は、ダイクッション力指令調整器268の作用によって0に低下する。この作用に伴い、ダイクッション力は0に低下し、ダイクッション装置200は、図示しないダイクッション制御装置の作用によって、ダイクッション力が0に低下する過程で、ダイクッション力制御からダイクッション位置制御に変更する。その後、スライド110は上死点に向かい上昇を開始する。そして、スライド110が(クッションパッド210が、クッションピン204、ブランクホルダ202、製品、上型120を介して間接的にスライド110に干渉しない)十分な高さに上昇するまで、クッションパッド210は、プレス下死点近傍に(プレス下死点近傍の位置指令に追従して)停止した後、図示しないが、ノックアウト速度設定値に基づく(ノックアウト速度を時間積分した)ノックアウト位置指令、サーボモータ角速度信号、プレス・スライド位置信号に基づいて、上昇を開始する。
そして、スライド110は上死点に、クッションパッド210はダイクッション開始位置に上昇し(戻り)、1サイクル作用は終了する。
ユーザは、成形トライにより成形された製品が良品か否かを判定し、良好な製品が得られた場合、成形トライは成功したことになる。
<応用作用1>
試行運転時にダイクッション力・力覚指令演算器262から出力されたダイクッション力・力覚指令は、スライド位置と関連付けて(セットで)ダイクッション力・力覚指令一時記憶器264に記憶され、次サイクル以降に使用することが出来る。
具体的な操作として、ダイクッション操作盤によりダイクッション力発生方法を“力覚”に対して“力覚記憶”に切り換え、その他のプレス機械100とダイクッション装置200の設定を前記と同じにすれば、前記と同じ(ダイクッション力作用形態の)成形を行うことができる。この場合、切換器267は、ダイクッション力・力覚指令一時記憶器264から出力されるダイクッション力・力覚指令を、ダイクッション力指令調整器268に出力するように切り換えられる。
“力覚記憶”に切り換えられると、ダイクッション力・力覚指令一時記憶器264は、スライド110がダイクッション開始位置に到達した後、下死点に至るまで、プレス・スライド位置に応じて、ダイクッション力・力覚指令を随時読み出し、読み出したダイクッション力・力覚指令を切換器267を介してダイクッション力指令調整器268に出力する。
尚、ダイクッション力・力覚指令を力覚付与手段からダイクッション力・力覚指令演算器262を介して発生させるか、ダイクッション力・力覚指令一時記憶器264から発生させるか以外の作用は同様な為、以降の詳細説明は割愛する。
ダイクッション力発生方法を“力覚記憶”に切り換えることで、例えば、前記のように成功した成形を再現させ、同じ条件で繰り返し成形を行えば、同じ良好な製品が繰り返し得られるか否か、再現性有/無を確認する為に活用することが出来る。
さらに、例えば、製品を量産する(試行運転から連続生産運転に移行する)為、より生産性を向上させる検討を行うことが出来る。その為に、プレス機械のスライドストローク数を、成形に悪影響を及ぼすことの無い範囲で大きい値に変更する。ダイクッション力発生方法を前記と同様“力覚記憶”、その他のプレス機械とダイクッション装置の設定を前記と同じにして、前記と同じダイクッション力作用形態における成形が、プレス機械のスライドストローク数を大きくしても安定して行えるか否かトライ(試行実験)することが出来る。
プレス機械のスライドストローク数の変化に伴い成形中のスライド速度が変化しても、ダイクッション力・力覚指令一時記憶器264内に記憶された、スライド位置に呼応するダイクッション力・力覚指令が随時出力される為、スライド位置−ダイクッション力の関係は維持される。
<応用作用2>
ダイクッション力・力覚指令一時記憶器264に、プレス・スライド位置と関連付けて(セットで)記憶されたダイクッション力・力覚指令は、ダイクッション操作盤での保管指示入力により金型に関連付けて保管器270に保管することが出来る。これによって、ダイクッション力発生方法が“力覚記憶”の場合のダイクッション力・力覚指令を、必要な(金型を使用して生産する)時に、保管器270からダイクッション力・力覚指令一時記憶器264に読み出して使用することが出来る。
次に、ダイクッション装置の現状のダイクッション力指令発生装置について説明する。
既存(標準)のダイクッション力設定方式は、スライド位置設定器、ダイクッション力設定器及び作用形態設定器とからなる第2設定器として機能するダイクッション操作盤256及び図示しない設定画面等を使用し、各種の設定値を設定する方式である。
スライド位置設定器は、ダイクッション開始位置、及びダイクッション開始位置と下死点との範囲内でダイクッション力を変化させるスライド位置(変力位置)を設定し、ダイクッション力設定器は、スライド位置設定器により設定された複数のスライド位置(ダイクッション開始位置、変力位置)におけるダイクッション力を設定し、作用形態設定器は、複数のスライド位置の間のダイクッション力の作用形態として一定又は線形変化を設定する設定器である。
[表1]は、一定のダイクッション力を設定する場合の、設定器の設定画面例を示す。
[表1]は、プレス・スライドストロークにおいて、ダイクッション力を作用開始させる設定上のダイクッション開始位置から下死点まで、設定上のダイクッション1力を一定に作用させる設定例を示している。
[表1]に示すように、第2設定器により「ダイクッション開始位置」、「ダイクッション1力」、及びダイクッション力作用形態として「一定」の各設定値が設定される。
図7は、[表1]の設定に対応したダイクッション作用例を示すグラフである。
図7に示すように、プレス・スライドがダイクッション開始位置に到達(下降)した時点から下死点に至るまで、一定のダイクッション力指令(「ダイクッション1力」)に対応するダイクッション力が作用し、下死点では、(図示しないが)設定上のダイクッション力保持時間分、プレス・スライドが停止し、その(保持時間が経過するまでの)間、「ダイクッション1力」に対応するダイクッション力が継続して作用している。
保持時間経過後、ダイクッション力は低下し、スライドが上昇し、ダイクッション(クッションパッド)は、(図示しないが)設定上の上昇(ノックアウト)速度に応じて、ダイクッション開始位置まで上昇し、次サイクルに備える。
「ダイクッション1力」は、材料を適正に絞り成形し製品化する為に、製品に絞り皺が発生しない程度に大きく、かつ材料が破断しない程度に小さい設定値に基づいて設定される。
下死点におけるダイクッション力保持時間は、製品の形状をより安定化させる為の補助作用であり、プレス機械が変速可能なサーボ式の場合に限り可能になる。保持時間は、本例では一貫して作用させているが、必ずしも必要ではない。ダイクッション(クッションパッド)上昇作用は、製品を搬出する為に、製品を下型から離形し上昇させる製品ノックアウト作用と、次サイクルの成形に備えて、ダイクッションがダイクッション開始位置(初期位置)に戻る作用とを担う。これら保持時間の作用と上昇作用は、本発明の主旨ではない為、以降の応用機能の説明では割愛する。
サーボダイクッション装置を使用して、所定の一定のダイクッション力を作用せることは、サーボダイクッション装置の基本的な機能であり、多くのユーザにおいて、(複数の金型毎の)多くの成形に多用されている。
[表2]は、プレス・スライド位置毎にダイクッション力を設定する場合の、設定器の設定画面の1例目を示す。
[表2]に示すように、プレス・スライド位置設定として、ダイクッション開始位置の他に、ダイクッション力を変化させるプレス・スライド位置(変力位置)として、5つの変力位置1〜変力位置5の設定値が設定される。
また、ダイクッション開始位置及び変力位置1〜変力位置5毎の6つの「ダイクッション1力」〜「ダイクッション6力」の設定値が設定され、さらにダイクッション力作用形態として、全て「一定」が設定されている。
[表2]に示す1例目の設定は、プレス・スライドストロークにおいて、ダイクッション力を作用開始させる設定上のダイクッション開始位置から下死点まで、設定上の変力位置1〜5を通過する毎に、設定上のダイクッション力指令として、一定の「ダイクッション1力」〜「ダイクッション6力」へと段階的に変化させながら作用させる設定である。
図8は、[表2]の設定に対応したダイクッション作用例を示すグラフである。
図8に示すように、プレス・スライドがダイクッション開始位置に到達(下降)した時点から下死点に至るまで、設定上の変力位置1〜5を通過する毎に、設定上のダイクッション力指令は、一定の1力から一定の2力に段階的に変化し、同様に2力から3力、3力から4力、4力から5力、及び5力から6力へと段階的に変化する。
[表3]は、プレス・スライド位置毎にダイクッション力を設定する場合の、設定器の設定画面の2例目を示す。
[表3]に示す設定画面の2例目は、[表2]に示した設定画面の1例目と比較して、ダイクッション力作用形態が相違し、ダイクッション開始位置では、ダイクッション力作用形態は「一定」であるが、5つの変力位置1から変力位置5では、ダイクッション力作用形態は「変化」に設定されている。
ここで、「変化」とは、各変力位置から次に変力位置までのダイクッション力指令を、線形に変化させることを意味する。尚、変力位置5の場合の「変化」は、変力位置5から下死点までのダイクッション力指令を連続的(線形)に変化させる。
図9は、[表3]の設定に対応したダイクッション作用例を示すグラフである。
図9に示すように、プレス・スライドがダイクッション開始位置に到達(下降)した時点から下死点に至るまで、設定上の変力位置1〜5を通過する毎に、設定上のダイクッション力指令は、一定の1力から2力に連続的に変化し、同様に2力から3力、3力から4力、4力から5力、及び5力から6力へと連続的に変化する。
上記の標準のダイクッション力設定方式に設定される各設定値は、使用する金型に関連付けて保管器270(図5)に保管することができる。
図5に示したダイクッション力制御装置は、ダイクッション力発生方法として“標準”が選択され、保管器270から所望のダイクッション力設定の各設定値が選択されると、各設定値に基づく標準のダイクッション力指令(以下、「ダイクッション力標準指令」という)を発生し、ダイクッション力を制御することができる。
即ち、保管器270に保管された各設定値は、ダイクッション力標準指令器266に読み出される。ダイクッション力標準指令器266には、スライド位置を示すスライド位置信号が加えられており、ダイクッション力標準指令器266は、各設定値及びスライド位置に基づいて、図7〜図9等に示した変圧パターンのダイクッション力標準指令を切換器267を介してダイクッション力指令調整器268に出力する。
尚、ダイクッション力標準指令によるダイクッション力制御は、前述したダイクッション力・力覚指令によりダイクッション力制御と同様な為、以降の詳細説明は割愛する。
図8及び図9に示されるように、標準のダイクッション力設定方式を使用すれば、ダイクッション力をダイクッションストローク毎に、段階的に、あるいは連続的に、変化させながら作用させることが可能である。
しかし、[表2]や[表3]に示されるような変力位置毎の変力値の設定が、ユーザにとって感覚的に理解し難いこと、設定が抽象的で面倒なこと、さらに大方のユーザにおいて従来は、空(常)圧式ダイクッション装置を使用しており、その問題点であるストローク終盤の(自然)増圧を解消できる、図7に示されるような一定ダイクッション力を作用させるサーボダイクッション装置の用途で満足されていること等を理由として、図8及び図9に示されるような、一成形行程中のプレス・スライド位置毎にダイクッション力を変化させるサーボダイクッション装置の使い方は、殆ど為されていない。
<応用作用3>
ダイクッション力発生方法が“力覚記憶”の場合のダイクッション力・力覚指令が保管器270に保管されている場合、標準変換器272(図5)を使用してダイクッション力・力覚指令を、ダイクッション力発生方法が“標準”の場合のダイクッション力標準指令に対応する各設定値に変換することが出来る。
即ち、標準変換器272は、保管器270に保管されたスライド位置毎のダイクッション力・力覚指令を入力し、スライド位置毎のダイクッション力・力覚指令を、[表3]に示されるようなダイクッション開始位置及び変力位置1〜変力位置5、スライド位置毎のダイクッション力設定値(ダイクッション1力〜ダイクッション6力)、及びダイクッション力作用形態を示す各設定値に変換する。
標準変換器272により変換された各設定値は、“標準(保管No.X)”として保管器270に保管される。
その後、ダイクッション力発生方法を“標準”、ダイクッション力指令を“保管No.X”と設定された場合、保管器270から“保管No.X”の各設定値がダイクッション力標準指令器266に読み出される。
ダイクッション力標準指令器266には、スライド位置を示すスライド位置信号が加えられており、ダイクッション力標準指令器266は、各設定値及びスライド位置に基づいて、ダイクッション力指令(ダイクッション力標準指令)を切換器267を介してダイクッション力指令調整器268に出力することができる。
図10は、図6に示したダイクッション力指令(ダイクッション力・力覚指令)を元に変換され、ダイクッション力標準指令器266から出力されるダイクッション力標準指令を示す図である。
このようにしてダイクッション力標準指令器266から出力されるダイクッション力標準指令は、図6に示したダイクッション力指令(ダイクッション力・力覚指令)を、折れ線近似した変圧パターンのダイクッション力指令として出力される。
応用作用3によれば、ダイクッション力・力覚指令は、ダイクッション力発生方法が“標準”の場合の、より少ない変力位置とダイクッション力指令の組み合わせで表現できるようになり、それに手動操作で変更を加えて、さらに成形性を向上させたり、コピーして他の金型を使用した場合のダイクッション力標準指令に流用したりすることが出来る。こうすることで、“力覚”ダイクッション力発生方法を使用して得た、有効なダイクッション変力パターンを一般化し、他の複数の金型を使用した成形に、簡単に応用展開出来る。
<ペダル式力覚付与手段(ペダル式2)>
図11は、ペダル式力覚付与手段の第2実施形態を示す図である。
図11に示すペダル式力覚付与手段250−2は、図2に示したペダル式力覚付与手段250−1のエンコーダ252及び操作力検出器254の代わりに、力覚センサとして機能するロードセル253、歪アンプ255及び操作力検出器257を有する点で相違する。
ロードセル253は、ペダル250Aの台座250Bとコイルばね250Cとの間に配置されている。オペレータが足先でペダル250Aを踏むと、ペダル250Aの踏み込み量に応じてコイルばね250Cが圧縮され、コイルばね250Cの圧縮量に比例して操作力がロードセル253に作用する。
ロードセル253は、加えられる力(操作力)により変形する構造部材に歪ゲージが貼り付けられて構成されており、操作力による構造部材とともに変形する歪ゲージの抵抗値(抵抗変化)に対応する電圧信号を出力する。ロードセル253から出力される微弱な電圧は、歪アンプ255により増幅され、操作力検出器257に加えられる。ロードセル253は、歪アンプ内蔵型を用いても良い。その場合は、歪アンプ255が不要である。操作力に混入するノイズ対策には、前者の方が有利である。
操作力検出器257は、歪アンプ255の出力電圧から、ペダル250Aに操作力に対応する操作力信号を演算(検出)し、演算した操作力を示す操作力信号をダイクッション力指令器260に出力する。
図11に示す力覚付与手段(ペダル式2)は、図2に示される力覚付与手段(ペダル式1)に対して、人間が足先で加える力を直接検出可能な分、操作力を感度良く検出することが出来る。
<ハンドル式力覚付与手段(ハンドル式1)>
図12は、ハンドル式力覚付与手段の第1実施形態を示す図である。
図12において、操作子として機能するハンドル式力覚付与手段350−1は、台座(箱)352に対してハンドル(レバー)354が回転可能に装着され、ハンドル354には、台座352の左右から2個のコイルばね356、358が接続されている。ハンドル354の回転軸にはエンコーダ359が装着され、エンコーダ359は、ハンドル354の押し量、あるいは引き量(ハンドル354の角度)に対応する回転角度信号を操作力検出器254(図2)に出力する。
オペレータが手でハンドル354を押し引きすると、ハンドル354の押し量、あるいは引き量に応じて2個のコイルばね356、358が伸縮し、コイルばね356、358の伸縮量に比例して操作力が作用すると共に、エンコーダ359から出力される回転角度信号が増減する。
操作力検出器254(図2)では、入力した回転角度信号から(それに比例する)操作力を演算(検出)し、演算した操作力を示す操作力信号をダイクッション力指令器260に出力する。
図2及び図11に示したペダル式力覚付与手段250−1、250−2は、足先でペダル250Aを踏むか、踏まないか、どの程度の強さで踏み込むか、一方向の踏み込み強さが検出可能な特徴を有す点に対して、図12に示すハンドル式力覚付与手段350−1は、ハンドル354を手で押すか、何もしないか、引くか、どの程度の強さで押すか、どの程度の強さで引くか、第1方向及び第1方向とは反対方向の第2方向の2方向の押し/引き強さが検出可能な特徴を有す点で有利である。
この特徴により、第1設定器として機能するダイクッション操作盤では、ハンドル354の両端の位置での操作力(第1方向及び第2方向の各最大操作力)に対して、ダイクッション力の最大制限設定値Fmax、最小制限設定値Fminを与え、押し/引きしないハンドル354の未操作時の位置(中立位置)に対して、中心設定値Fcを与えることが出来る。
オペレータは、例えば、中心設定値Fcを絞り成形初期に材料のフランジに発生する絞り皺抑制用に、最小制限設定値Fminを絞り成形中〜終盤にフランジに発生する絞り皺抑制用に、最大制限設定値Fmaxを絞り成形終盤に製品形状安定化用に適用可能になり、力覚をより幅広く有効に利用して、ダイクッション力を発生させることが出来る。ただし、この時、片手がハンドル式力覚付与手段350−1に占有される為、両手押しボタン251を成形行程中に操作することが出来なくなる。したがって、安全一工程運転時には適用できず、プレス機械を運転開始時に限り操作すれば良い一行程運転等に適用することが出来る。
<ハンドル式力覚付与手段(ハンドル式2)>
図13は、ハンドル式力覚付与手段の第2実施形態を示す図である。
図13において、操作子として機能するハンドル式力覚付与手段350−2は、台座352に対して薄板製(板ばね)のハンドル(レバー)355が固定され、ハンドル355の両側の台座352に近い(ハンドル355が押し引きされた場合に、ハンドル355に最も大きな曲げ歪が作用する)部位に、それぞれ2枚、計4枚の歪ゲージ357がハンドル355の長手方向に貼付されている。
薄板製のハンドル355は、オペレータがハンドル355を押し引きすると、ハンドル355が台座352に対して弾性範囲内で曲げ変形を生じる程度の板厚を有している。図13に示すように4枚の歪ゲージ357が、ホーイストンブリッジ回路状に結線されて歪アンプ351に接続されている。ハンドルの押し量、あるいは引き量に応じて薄板が曲げ変形し、それに比例して発生する曲げ歪は、歪アンプ351の出力電圧として、操作力検出器353に出力される。
操作力検出器353は、歪アンプ351の出力電圧から、ハンドル355の押し引きの操作力に対応する操作力信号を演算(検出)し、演算した操作力を示す操作力信号をダイクッション力指令器260に出力する。
図13に示すハンドル式力覚付与手段(ハンドル式2)は、図2に示されるハンドル式力覚付与手段(ハンドル式1)に対して、オペレータが手で加える力を直接検出可能な分、操作力を感度高く検出することが出来る。
[第2実施形態]
図14は、本発明に係る指令発生装置の第2実施形態を示す概念図である。
第2実施形態の指令発生装置は、スライド110の速度を制御するためのスライド速度指令を発生するスライド速度指令発生装置である。尚、図14において、図1に示した第1実施形態の指令発生装置と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図14に示す指令発生装置は、力覚付与手段(図2に示すペダル式力覚付与手段250−1)を含み、オペレータがペダルを踏む力(操作力)に比例するスライド加速度指令を随時自動生成し、そのスライド速度指令を随時積分してなるスライド速度指令を出力する。
予めプレス運転前の設定段階で、オペレータは、第3設定器として機能するプレス操作盤を操作し、スライド変速モードを(“標準”に対して)“力覚”と設定し、スライド速度の“最大制限設定値Vmax”と“最小制限設定値Vmin”とを設定し、また、第4設定器として機能するプレス操作盤を操作し、“力覚”によるスライド速度指令が有効になる“力覚指令有効範囲”を設定する。プレス1サイクル中の力覚指令有効範囲以外は、例えば、“標準”のスライド変速モードによるスライド速度指令に基づくスライド速度制御が行われる。
スライド速度の最大制限設定値Vmaxは、絞り成形が材料に油膜切れを生じさせることなく正常に行える値であったり、ダイクッション装置がサーボ駆動式の場合は、ダイクッション装置が許容する限界値であったりする。スライド速度の最小制限設定値Vminは、成形開始時点で、上型とブランクホルダが間接的に衝突する際に生じる振動を抑制可能な値であったり、ダイクッション装置がサーボ駆動式の場合に、上記衝突後、所定のダイクッション力が作用する応答時間内に、皺抑え力(=ダイクッション力)が不十分の状態で成形が進展する作用を防止可能な値であったりする。
力覚指令有効範囲は、スライド速度が確実に最小制限設定値Vminに減速するように、絞り成形が開始されるスライド位置よりやや上方に設定することが好ましい。
また、スライドストローク数は、生産性を出来る限り確保する意図により、能力上の最大値を設定する(ことが望ましい)。塗油された材料103を金型-ブランクホルダ上にセットし、クッションパッド210を所定のダイクッション力が作用するように調整し、所定のダイクッション開始位置にセットする。
そして、オペレータは、スライド加速度指令を出力するペダル式力覚付与手段250−1のペダルに(片)足を掛けて、遊び分微小量踏み込むか踏み込まない状態で(こうすることで、プレス運転開始後、スライド110が“力覚指令有効範囲”に到達した時点で、最小制限設定値Vminに減速する、しかし、ペダルを踏み込めば、踏み込む力に応じて増速出来るようにして)、安全一行程運転機能を使用して、金型-ブランクホルダ202上の材料103を凝視しながら、スライド110を上死点から、両手押しボタン251を操作して、下死点を経て上死点まで運転する。
スライド110は、下降して、力覚指令有効範囲に到達する手前から(後述するクランク軸角度標準指令器の作用により、自動)減速を開始し、力覚指令有効範囲に到達した時点で、最小制限設定値Vminに相当する速度に減速する。この時点で、クランク軸角度指令器360内では、クランク軸角度指令を指令する役割が、後述するクランク軸角度標準指令器からクランク軸角度力覚・指令演算器に移行する。
オペレータは、スライド110がさらに下降し、成形が進展する様子を目視しながら、ペダルを徐々に踏み込む。成形に問題が生じない範囲で、生産性重視の為より早めに、より強めにペダルを踏み込み、スライド速度が、成形開始後なるべく早期にスライド速度の最大制限設定値Fmax相当値に増速するようにする。
クランク軸角度指令器360は、力覚指令有効範囲におけるスライド速度指令をクランク軸角速度指令に変換し、さらにクランク軸角速度指令を時間積分したクランク軸角度指令としてクランク軸角度制御器380に出力する。
クランク軸角度制御器380は、図4で説明したようにクランク軸角度指令器360から入力するクランク軸角度指令、クランク軸エンコーダ116からのクランク軸エンコーダ信号から変換されたクランク軸角度信号及びクランク軸角速度信号に基づいてクランク軸角度を制御するためのサーボモータ・トルク指令を生成し、サーボモータ・トルク指令をサーボアンプ382を介してサーボモータ340に出力する。
このようにしてサーボモータ340が制御され、サーボモータ340の回転駆動力が動力伝達機構を介してスライド110に伝達され、スライド速度が発生する。
[スライド速度制御装置]
図15は、スライド速度制御装置の実施形態を示すブロック図である。
図15に示すスライド速度制御装置は、操作力検出器254を含むペダル式力覚付与手段250−1、クランク軸角度指令器360、保管器370、標準変換器372、クランク軸角度制御器380及びプレス機械100(のサーボアンプ、サーボモータ)から構成されている。
図15に示すクランク軸角度指令器360は、主として指令演算器として機能するクランク軸角度・力覚指令演算器362と、クランク軸角度・力覚指令一時記憶器364と、クランク軸角度標準指令器366と、切換出力部として機能する切換器367と、クランク軸角度指令調整器368とから構成されている。
クランク軸角度・力覚指令演算器362は、プレス機械を試行運転する場合にスライド速度に相当する時々刻々のクランク軸角度指令を演算するものであり、操作子(ペダル式力覚付与手段)に加えられる操作力に基づいて、試行運転の1サイクルの少なくともプレス成形期間におけるクランク軸角度指令(クランク軸角度・力覚指令)を演算する。
クランク軸角度・力覚指令演算器362には、図示しないプレス操作盤によりスライド速度指令の最大制限設定値Vmax及び最小制限設定値Vminが設定されるとともに、操作力検出器254からペダル250Aの操作力に比例する操作力信号(スライド速度指令)が加えられるようになっている。
クランク軸角度・力覚指令演算器362において、ペダル式力覚付与手段250−1(操作力検出器254)から入力する操作力信号は、アンプ362Aにより増幅された(スライド加速度指令に変換された)後、積分器362Bにより時間積分され、スライド速度指令の増減指令として加算器362Cに加えられる。
加算器362Cの他の入力には、スライド速度指令の最小制限設定値Vminが加えられており、加算器362Cは、スライド速度指令の最小制限設定値Vminに対してスライド速度指令の増減指令を加算し、その加算結果をスライド速度指令としてスライド速度指令制限器362Dに出力する。
スライド速度指令制限器362Dは、入力するスライド速度指令を、最小制限設定値Vminと最大制限設定値Vmaxとの範囲内に制限するものであり、これにより最小制限設定値Vminと最大制限設定値Vmaxとの範囲内で変化するスライド速度指令を速度指令変換器362Eに出力する。
速度指令変換器362Eの他の入力には、クランク軸角度・力覚指令演算器362から出力されるクランク軸角度指令(クランク軸角度・力覚指令)が加えられており、速度指令変換器362Eは、現在のクランク軸角度指令に基づいてスライド速度指令をクランク軸角速度指令に変換する。
速度指令変換器362Eにより変換されたクランク軸角速度指令は、積分器362Fにより時間積分され、クランク軸角度増減指令として加算器362Gに加えられる。
加算器362Gの他の入力には、記憶器362Hに保持されたクランク軸角度指令承継値θ0rが加えられており、加算器362Gは、クランク軸角度指令承継値θ0rに対してクランク軸角度増減指令を加算し、その加算結果をクランク軸角度指令(クランク軸角度・力覚指令)として出力する。
図14で説明したように、スライド変速モードが“標準”に対して“力覚”が設定されている場合、スライド110は、まず、“標準”のクランク軸角度指令(クランク軸角度標準指令)にしたがって下降し、力覚指令有効範囲に到達する手前でクランク軸角度標準指令の作用により減速を開始し、力覚指令有効範囲に到達した時点で、最小制限設定値Vminに相当する速度に減速する。
そして、力覚指令有効範囲に到達した時点で、クランク軸角度指令を指令する役割が、クランク軸角度標準指令器366からクランク軸角度・力覚指令演算器362に移行する。即ち、切換器367は、力覚指令有効範囲に到達した時点で、クランク軸角度指令調整器368に出力するクランク軸角度指令として、クランク軸角度標準指令器366から出力されるクランク軸角度標準指令からクランク軸角度・力覚指令演算器362から出力されるクランク軸角度・力覚指令に切り換える。
また、スイッチ362Iは、力覚指令有効範囲に到達した時点でOFFにされ、クランク軸角度標準指令器366から出力されたクランク軸角度標準指令が、クランク軸角度指令承継値θ0rとして記憶器362Hに保持される。このクランク軸角度指令承継値θ0rは、クランク軸角度指令を指令する役割が、クランク軸角度標準指令器366からクランク軸角度・力覚指令演算器362に移行する際のクランク軸角度指令の承継値となる。
オペレータは、スライド110が“力覚指令有効範囲”に到達するまで、ペダル式力覚付与手段250−1の踏み込まないようにすることで、加算器362Cに出力されるスライド速度増減指令をゼロにし、スライド速度指令制限器362Dから最小制限設定値Vminのスライド速度指令が速度指令変換器362Eに加えられるようにする。
そして、最小制限設定値Vminのスライド速度指令は、速度指令変換器362Eによりクランク軸角速度指令に変換され、積分器362Fにより時間積分されてクランク軸角度増減指令として、クランク軸角度指令の承継値であるクランク軸角度指令承継値θ0rに加算される。加算されたクランク軸角度指令は、クランク軸角度指令承継値θ0rから変化し、最小制限設定値Vminを維持するクランク軸角度指令として出力される。したがって、スライド110は、図14に示すように力覚指令有効範囲から最小制限設定値Vminに対応する一定のスライド速度で下降する。
そして、スライド110は、最小制限設定値Vminに対応する一定のスライド速度に減速した状態で、ダイクッション力作用開始位置(ダイクッション開始位置)に到達し、成形が開始される。こうすることで、成形開始時点で、上型120と(材料103を介して、クッションパッド210にクッションピン204を介して支持された)ブランクホルダ202が衝突する際に生じる振動を抑制したり、クッションパッド210がサーボ駆動式の場合に、上記衝突後、所定のダイクッション力が作用する応答時間内に、皺抑え力(=ダイクッション力)が不十分の状態で成形が進展する作用を防止したりする。
オペレータは、スライド110がさらに下降し、成形が進展する様子を目視しながら、ペダル式力覚付与手段250−1のペダルを踏み込む。
ペダル式力覚付与手段250−1から出力される踏み込み量(操作力)に応じたスライド加速度指令がクランク軸角度・力覚指令演算器362に出力され、クランク軸角度・力覚指令演算器362内では、前述したように操作力に比例するスライド加速度指令が演算される。ここで、ペダル250Aが可動範囲の一端に位置する場合(ペダル250Aを踏まない場合)の操作力信号に対して加速度ゼロを割り当て、ペダル250Aが可動範囲の他端に位置する場合(ペダル250Aの踏み込み量が最大の場合)の操作力信号に対して最大加速度を割り当てることができる。
そして、操作力に比例するスライド加速度指令を時間積分したスライド速度増減指令がスライド速度指令の最小制限設定値Vminに加算され、さらにスライド速度指令制限器362D内でスライド速度指令の最大制限設定値Vmaxと最小制限設定値Vminの間で制限され、スライド速度指令が生成される。スライド速度指令は、それと現在のクランク軸角度指令からクランク軸角速度指令に変換(演算)され、クランク軸角速度指令を時間積分したクランク軸角度増減指令とクランク軸角度指令承継値θ0rを加算してクランク軸角度指令(クランク軸角度・力覚指令)が生成される。
クランク軸角度指令調整器368は、プレス操作盤によりスライド変速モードが“力覚”に設定されている場合、クランク軸角度(スライド位置)が力覚指令有効範囲に到達した時点で、クランク軸角度制御器380に出力するクランク軸角度指令を、クランク軸角度標準指令器366からのクランク軸角度標準指令に代えて、クランク軸角度・力覚指令演算器362により演算されたクランク軸角度・力覚指令に切り換える。
クランク軸角度制御器380は、クランク軸角度指令器360から入力するクランク軸角度指令、プレス機械100から入力するクランク軸角度信号、クランク軸角速度信号、及びサーボモータ角速度信号に基づいて、プレス機械100のサーボモータ340(図4)を駆動するためのサーボモータ・トルク指令を生成し、プレス機械100に出力する。これにより、プレス機械100のクランク軸112のクランク軸角度がクランク軸角度指令に追従すべく制御され、その結果、スライド110のスライド速度が制御される。
スライド変速モードが“力覚”に設定されている場合、少なくとも力覚指令有効範囲以降のプレス成形期間でのオペレータによるペダル式力覚付与手段250−1のペダルを踏み込む操作力に応じてスライド速度は加速される。
そして、スライド110は下死点に到達し、成形は完了する。その後、スライド110は、(クランク軸角度標準指令器366の作用に関与して)上昇し、上死点に戻る。
このようにすることにより、オペレータは、力覚指令有効範囲、スライド速度の最大制限設定値Vmax、及び最小制限設定値Vminを設定するだけの比較的大雑把な設定を行うだけで、成形性と生産性に富むスライド変速設定を行うことが出来る。
また、試行運転時にクランク軸角度・力覚指令演算器362から出力されたクランク軸角度・力覚指令は、力覚指令有効範囲外で使用したクランク軸角度標準指令器によるクランク軸角度指令とセットでクランク軸角度・力覚指令一時記憶器364に一時的に記憶されたり、保管器370に永久保管されたりし、次サイクル以降に使用することが出来る。
これにより、スライド変速モード“力覚”で運転した変速モーションは、再現することが可能であり、成功したサイクルの変速モーションを使用して、生産する(連続生産運転を行う)ことが出来る。
また、保管器370に(力覚指令有効範囲外で使用したクランク軸角度標準指令器によるクランク軸角度指令とセットで)保管されたクランク軸角度・力覚指令は、標準変換器372で、標準のクランク軸角度−角速度指令値に変換可能(マージ可能)である。標準変換器372により標準のクランク軸角度−角速度指令値に変換された、標準のクランク軸角度−角速度指令値は、保管器370に保管することができる。
保管器370に保管された標準のクランク軸角度−角速度指令値は、クランク軸角度標準指令器366に読み出される。クランク軸角度標準指令器366には、クランク軸角度を示すクランク軸角度信号が加えられており、クランク軸角度標準指令器366は、クランク軸角度及び標準のクランク軸角度−角速度指令値に基づいてクランク軸角度指令(クランク軸角度標準指令)を随時演算し、クランク軸角度標準指令を切換器367を介してクランク軸角度指令調整器368に出力する。
これによって、スライド変速モード“標準”で、クランク軸角度・力覚指令と同等な変速モーションを再現することが可能になり、他の類似の金型の成形用にコピーして流用する等、応用展開が容易になる。
尚、図14に示す指令発生装置は、力覚付与手段としてペダル式力覚付与手段250−1(図2)を使用するが、図11に示したペダル式力覚付与手段250−2、図12及び図13に示したハンドル式力覚付与手段350−1、350−2等を使用してもよい。
また、図12及び図13に示したハンドル式力覚付与手段350−1、350−2を使用する場合、操作力検出器353により、ハンドル(操作子)に加えられる第1方向(押す方向)の操作力と第1方向とは反対方向の第2方向(引く方向)の操作力とで正負が異なる操作力信号を検出させる。この操作力信号に対して、ハンドル(操作子)を押し引きしない未操作時の位置(中立位置)の操作力信号に対して加速度ゼロを割り当て、ハンドルを可動範囲の一端まで押したときの操作力に対応する操作力信号に対して正(又は負)の最大加速度を割り当て、ハンドルを可動範囲の他端まで引いたときの操作力に対応する操作力信号に対して負(又は正)の最大加速度を割り当てることができる。
これにより、スライドが力覚指令有効範囲にある場合に、正負の操作力信号に基づいてスライド速度の最小制限設定値と最大制限設定値との範囲内で変化(増減)するスライド速度指令を発生させることができる。
[その他]
本実施形態のダイクッション装置は、サーボモータに軸接続された油圧モータによる油圧シリンダ駆動方式によりクッションパッドにダイクッション力を発生させるが、ダイクッション装置はこれに限らず、油圧サーボ弁による油圧シリンダ駆動方式、エアシリンダ駆動方式、又はサーボモータによるスクリュー・ナット駆動方式等の公知の駆動方式が適用可能であり、ダイクッション力を随時制御可能なダイクッション装置であれば、如何なるものでもよい。
また、本実施形態のプレス機械は、サーボモータからスライドへの動力伝達機構としてクランク軸等のクランク機構を使用するクランクプレスであるが、プレス機械は、これに限らず、動力伝達機構としてリンク機構、スクリュー機構、油圧(液圧)シリンダを使用したリンクプレス、スクリュープレス、液圧(油圧)プレス等でもよく、要はスライドモーションを制御可能なプレス機械であれば、如何なるものでもよい。
本実施形態のプレス機械はクランクプレスであるため、スライド位置の目標値に対応するクランク軸角度指令を随時出力することで、スライド速度を制御するが、スライド位置指令を随時出力してスライド速度を制御してもよい。例えば、動力伝達機構としてクランク軸を有さないプレス機械の場合、スライド位置指令を随時出力してスライド速度を制御する。
また、随時出力されるクランク軸角度指令あるいはスライド位置指令は、スライド速度指令を元に演算されるものであり、本発明では「スライド速度指令」に含まれるものとし、また、クランク軸エンコーダ等によりクランク軸角度を検出する検出器も本発明では「スライド位置検出器」に含まれるものとする。
更に、ダイクッション力・力覚指令一時記憶器264と保管器270とは、本例のように別々の記憶器でもよいし、物理的に同一の記憶器でよい。同様にクランク軸角度・力覚指令一時記憶器364と保管器370とは、別々の記憶器でもよいし、物理的に同一の記憶器でよい。
更にまた、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。