JP2020068045A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよび塗布型磁気記録テープ - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルムおよび塗布型磁気記録テープ Download PDF

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Abstract

【課題】例えば12TB以上の超高密度記録媒体に用いるベースフィルムなど、極めて平坦な表面を有し、かつ薄膜でありながらもフィルムのハンドリングが良好で加工性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを得ること。【解決手段】一方の表面を形成するA層と、他方の表面を形成するB層の少なくとも2層から構成され、A層とB層の表面のRaの差が1nm以上であり、B層の表面のRaがA層の表面のRaよりも大きく、B層の表面のRa(RaB)が3〜5nmの範囲であり、RaBとB層の表面の10点平均粗さRz(RzB)との積が250nm2以下であり、かつB層の表面において、粒径100nm以上の粒子を5個以上含有するボイドの個数が10個/0.55mm2未満である二軸配向ポリエステルフィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば12TB以上の超高密度記録媒体に用いるベースフィルムなど、極めて平坦な表面を有し、かつ薄膜でありながらもフィルムのハンドリングが良好で、加工時において走行面から磁性面への転写のない二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
記録容量が極めて高いデータストレージなどの塗布型磁気記録テープに用いるベースフィルムは、磁性面側となる平滑面と、走行面となる粗面のそれぞれを構成する2層以上の構造を持つことが一般的であるが、このベースフィルムにおける表面特性の主な課題は、磁性面側の平滑面については、粒子の凝集などの表面欠点がなく電特に優れることと、走行面に関しては、走行面の突起や表面欠点がテープ加工時に磁性面に転写するなどして、磁性面側に欠点を作らないことの2点である。
また同時に、記録容量が大きいデータストレージは、磁性体成分や、加工費が高額となることからベースフィルムに対する価格要求も今まで以上に厳しいものとなってきている。
これらの課題に応えるため、これまで特許文献1〜4に示されるように、添加粒子の分散性を向上させ、粒子の凝集を減らしたフィルムや、触媒残渣としての金属元素量を減らしたフィルムが提案されている。しかしながら、近年の高密度記録の要求はすさまじく、記録容量が1巻当たり6.0TBを超えるようなデータストレージでは、そのトラックサイズの小ささから、粗面側の層の添加粒子による突起が、テープ加工時の平滑面側(磁性面側)に転写する欠点に関して、今までは問題とされていなかった大きさのものであっても、品質に影響を与えるようになり、前述の特許文献1〜4でエラーが少ないとされたフィルムであってもその要求に十分に応えられなくなってきた。
特許第6158640号公報 特許第6301711号公報 特許第5676127号公報 特開2014−22027号公報
本発明の目的は、フィルムとしての生産性に優れ、特にデータストレージのベースフィルムに用いたとき、フィルムの走行性を維持しつつ、B層突起のA層(平滑面を構成する層)への転写が少ない、電磁変換特性および良好なエラーレート性能を発現できる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
上記目的を達成するためには、フィルムの走行性を確保しつつB層における添加粒子個数を減らしたり、粒径を小さくすることと、B層における粗大突起個数も低減させることが重要である。
本発明者らは上記目的を解決するために鋭意検討を重ねた結果、そのB層表面の面設計に関して、B層において粒子の総量と、触媒の総量が同じであっても、その分散性には差があるケースがあることに気付き、それぞれのポリエステルの粒子処方、触媒処方と混練方法を規定し、フィルム表面における添加粒子や触媒残渣としての金属成分の分散性を優れたものとすることで、フィルムの走行性を維持しつつ、B層表面における粒子の凝集物と触媒起因の粗大突起を抑制し、A層表面への転写を低減できることを見いだし本発明に到達した。
すなわち、本発明の特徴は以下の通りである。
一方の表面を形成するA層と、他方の表面を形成するB層の少なくとも2層から構成され、A層とB層の表面のRaの差が1nm以上であり、B層の表面のRaがA層の表面のRaよりも大きく、B層の表面のRa(RaB)が3〜5nmの範囲であり、RaBとB層の表面の10点平均粗さRz(RzB)との積が250nm以下であり、かつB層の表面において、粒径100nm以上の不活性粒子を5個以上含有するボイドの個数が10個/0.55mm未満である二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを用いれば、例えば記憶容量が12.0TB以上であるデータストレージのベースフィルムに用いたときに、磁気記録エラーとなるような微小な表面欠点が低減されていることから、電磁変換特性に優れたデータストレージを量産することができる。
本発明において用いるポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されたものを用いることができる。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
好ましくは、ポリエステルがエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするポリマーであることである。
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
ポリマーの共重合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
本発明で用いるポリエステルとしては特に、結晶子サイズや結晶配向度を高めるプロセスが適用しやすいことから主成分がポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。ここで、主成分とはフィルム組成中80質量%以上を占める成分のことをいう。
本発明で用いるポリエチレンテレフタレートをポリマーアロイとする場合、他の熱可塑性樹脂は、ポリエステルと相溶するポリマーが好ましく、ポリエーテルイミド樹脂などがより好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも2層からなる二軸配向積層ポリエステルフィルムであり、表層を構成する少なくともA層とB層の2層を含んでいるが、A層とB層の間に他の層(X)が存在しても構わない。なお、A層、B層、他の層(X)はいずれも、いわゆる共押出により構成される層である。好ましい態様としては、A層|B層の2層構成である。もうひとつの好ましい態様としては、A層とB層の間に中間層(C層)を設け、C層には実質的に粒子を含有しない層構成が例示される。また、少なくともいずれか片面あるいは両面にコーティング層を設けても構わないが、その場合においても、A層やB層が「表層を構成する」ものとする。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのA層に粒子を含有せしめる場合、好ましく適用できる粒子としては、単一分散する球形の粒子が例示できる。
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのB層に粒子を含有せしめる場合、好ましく適用できる粒子としては、単一分散する球形の粒子と、その球状粒子に対し一次粒径が22nm未満の凝集粒子の2成分以上からなることが例示できる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを塗布型磁気記録テープのベースフィルムに用いる場合、A層表面の中心線平均粗さRaAは2.0nm以下であることが好ましい。より好ましくはRaAが0.1〜2nmである。中心線平均粗さRaAが上記の下限値未満であると走行性や巻き取り性が不良となりやすく、上記の上限値を超えると該表面にバックコート層を設け磁気記録媒体とした場合に、転写痕による電磁変換特性が低下しやすく、エラーレートが増加しやすい。また、離型・工程用として使用することも可能であり、その場合もRaAが2.0nm以下であることが好ましいが、2.0nmを超えるとピンホールなどの欠陥の発生が起こりやすい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのB層には、不活性粒子を含有せしめることが好ましく、その場合、不活性粒子の合計含有量は0.5wt%以上1.0wt%以下であることが好ましい。0.5wt%未満の場合はフィルムのハンドリング性に劣る傾向があり、1.0wt%を超えると、不活性粒子に起因する突起が、テープ加工時に磁性面に転写して欠点となる場合がある。なお、この欠点は、突起の大きさと個数に影響を受けるため、B層における不活性粒子の最大平均粒径(dBMAX)は400nm未満であることが望ましい。さらフィルムのハンドリング性のために、一次粒径が22nm未満の凝集粒子を、0.2wt%以上0.9wt%以下含んでいることが望ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのB層には、平均粒径400nm未満の不活性粒子を含有せしめることが好ましい。この場合、含有せしめる粒子としては特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、いずれも用いることができる。2種類以上の粒子を併用することがフィルム表面の形状を制御するためには好ましい。具体的な種類としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ珪酸塩、カオリン、タルク、モンモリロナイト、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子、コアシェル型有機粒子、シリカ−アクリル複合粒子などが例示できるが、球状シリカ粒子、球状シリコーン粒子、球状架橋ポリスチレン粒子およびシリカ−アクリル複合粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、単一分散する球形の粒子である有機粒子やコロイダルシリカが特に好ましい。
ところで、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのB層表面の特徴のひとつは、不活性粒子そのものによる突起高さや、不活性粒子起因のボイドが発生した際の突起高さを抑えるために、従来よりも粒径の小さい不活性粒子を含有しつつ、走行性やハンドリング性を維持する目的から、不活性粒子個数については従来の大きさの不活性粒子個数よりも多く含有させることであるが、その際、局部的に分散性が悪い箇所が発生し、不活性粒子の分散不良によるボイドが多くなってしまうという新たな課題が発生した。
具体的には当初、B層平滑化のためRaBとB層の表面の10点平均粗さRz(RzB)との積が250nm以下となるフィルムをいくつか作成し、塗布型磁気記録テープとした際、局部的にミッシングパルスやエラーレートが発生し、その原因物のいくつかは粒子分散不良起因のボイドであった。
これらのボイドは、容量が6.0TBのデータストレージでは問題となることがなかったが、それ以上の容量のグレードにおいては、その大きさや高さによってミッシングパルスやエラーレートを発生させる原因となるものがあることが判明した。そして、B層の表面において、RaBとB層の表面の10点平均粗さRz(RzB)との積を250nm以下としつつ、同時に粒子分散性を改善し、粒径100nm以上の粒子を5個以上含有するボイドの個数を10個/0.55mm未満とすることで、これらの問題も解消できることを見出したのである。
好ましいB層における粒子5個以上を含有するボイドの個数は10個/0.55mm未満、さらに好ましくは5個/0.55mm未満である。
このようなボイドを抑制する方法としては、特に制限されないが、含有させる粒子の分散性を極めて高くする必要があり、含有させる粒子として分散性の良い粒子を選択すること、粒子を分散させるポリエステルとして粒子が分散しやすいポリエステルを選択すること、粒子の分散性を高めるために粒子を重合時に添加し、さらに再度分散性を高めるための溶融混練を別途行うことなどが挙げられ、これらを組合せて行うことが好ましい。
なお、重合時に粒子を添加したときに粒子が分散しやすいポリエステルとしては、その原因は不明だが、ポリエステルの触媒も影響し、例えば、マグネシウム化合物とアンチモン化合物とを用いて重合する反応系に、不活性粒子を添加して製造することが好ましい。そのため、本発明における走行面を形成する側のB層は、上記マグネシウム化合物とアンチモン化合物とを含有することが好ましい。より好ましくは、B層だけでなく、A層も上記マグネシウム化合物とアンチモン化合物とを含有することが粒子の分散性の点から好ましい。具体的なマグネシウム化合物としては、酢酸マグネシウムが挙げられる。また、具体的なアンチモン化合物としては、三酸化アンチモンが挙げられる。
なお、上記不活性粒子を添加して製造したポリエステル組成物は、そのままB層用の樹脂として用いてもよいが、不活性粒子を添加して製造したポリエステル組成物をマスターポリマーとして、不活性粒子を含有しないポリエステルで所望の不活性粒子量となるように希釈することがより分散性を高められることから好ましい。
また、各ポリマーにおける触媒残渣としての金属量とその希釈方法は、少なからずフィルム上での不活性粒子の分散性と触媒残渣量に影響を与えることから、各ポリエステルにおける触媒量の上限と、マスターポリマーの混率をある数値の範囲内とすることが好ましい。
そういった観点から、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、磁性面を形成する側のA層において触媒残渣としての全金属元素量がA層の質量を基準として240ppm未満、かつ、添加粒子より比重の大きい触媒残渣としての金属元素量は、180ppm未満、かつ、アンチモン量は、90ppm未満であることが望ましい。
またこの時、走行面を形成する側のB層においては触媒残渣としての全金属元素量がB層の質量を基準として280ppm未満、かつ、添加粒子より比重の大きい触媒残渣としての金属元素量は、250ppm未満、かつ、アンチモン量は、130ppm未満であることが望ましい。
各層において、金属元素量がこの範囲を越えた場合、 触媒残渣としての金属元素を核とした粗大突起(特にアンチモンを核とした粗大突起)も増加する。この粗大突起は、前述の不活性粒子が密集したボイドよりも発生頻度は低いものの、B層において、高さ0.55μm以上の突起となった場合、その高さと大きさから、塗布型磁気記録テープとした際、ミッシングパルスの原因物となる可能性は、前述のボイドより更に大きいものである。
この高さ0.55μm以上の突起は、B層表面において3個/1,000cm以下であることが望ましく、さらには2個/1,000cm以下であることがより望ましい。このように、B層の突起を一定数以下に制御することにより、例えば12TB以上の超高密度記録媒体に用いるベースフィルムに好適に使用することができる。
また、金属元素量が前述の範囲を超えたケースでは、不活性粒子が密集したボイド個数も増加するため、ボイド個数の観点からも前述の範囲内とすることが望ましい。
つぎに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。もちろん、本願はPETフィルムを用いた支持体に限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成してもよい。
まず、ポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモン等を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモン等を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、である。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、リチウム等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接ポリエステルと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、ポリエステルに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度に不活性粒子を含有させたポリエステルを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないポリエステルで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
この際、押出機にポリエステルを供給する際の、各ポリエステルの触媒残渣としての金属量については注意が必要である。不活性粒子が均一に分散し、かつ触媒残渣起因の粗大突起も少ないフィルムを得るには、粒子を含むポリエステルの触媒残渣としての金属量(金属濃度×ポリエステルのその層全体における混率)を、希釈する粒子を含まないポリエステルの触媒残渣としての金属量(金属濃度×ポリマーのその層全体における混率)より小さくすることが望ましい。粒子を含むポリエステルの金属量について、粒子を含まないポリエステルの金属量よりも多く設計したフィルムの場合、粒子を含まないポリエステルの金属量よりも少なく設計したフィルムと比較した場合、フィルムとしての金属元素量が同じであっても、粒子分散性不良によるボイドと、触媒残渣起因の粗大突起が多いフィルムとなる傾向がある。
また、触媒のアンチモンについてはフィルムで粗大突起の核となることがあるため、各ポリエステルにおいても、その量には注意したほうがよい。
不活性粒子を含有しないポリエステルにおける、触媒残渣としてのアンチモン量は、触媒残渣としての金属元素総量の35%未満(質量基準)であることが望ましい。
また、不活性粒子を含むポリエステルにおける、触媒残渣としてのアンチモン量は、触媒残渣としての金属元素総量の75%未満(質量基準)であることが望ましい。
さらに、粒子の分散性を高めるには、各マスターポリエステルと粒子を含有しないポリエステル樹脂の固有粘度(IV)の値は近いことが望ましい。粒子個数が多く、固有粘度の差も大きい設計とした場合、粒子の分散に斑ができ、フィルム表面において局所的に不活性粒子起因のボイドが多い箇所が発生することがある。このため、複数のポリエステルにおいて、IVの最も高いポリエステルのIVをIVMAX、IVの最も低いポリエステルのIVをIVminとした場合、IVMAX−IVmin<0.09の範囲であることが望ましく、さらに好ましくはIVMAX−IVmin<0.03の範囲であることが望ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはデータストレージのベースフィルムとして加工される際、1m以上の幅で加工開始されることが多いことから、少なくとも1m以上の幅において均一な表面性を持っていることが好ましい。すなわち、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは幅が1m以上であることが好ましい。また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造工程においてフィルムをスリットする工程を持つ大型マシンの場合、3m以上の幅において均一な表面性を持っていることが、生産性を向上させることができることから、幅は3m以上であることがより好ましい。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、一方の表面を形成するA層と、他方の表面を形成するB層の少なくとも2層から構成されるが、A層の表面の中心線平均粗さRa(RaA)のバラツキは1nm未満であることが望ましく、特に0.2nm未満であることが、テープ加工時に、部分的な電磁変換特性の低下が起こりにくいことからより好ましい。さらに、B層の表面の中心線平均粗さRa(RaB)のバラツキについても、1nm未満であることが好ましい。なお、特にB層表面については、テープ加工時における走行面の突起や表面欠点が磁性面に転写する欠点の発生を抑えるために、突起の高さは低く抑えつつ、テープとしての走行性や巻き取り性を維持しなければならないことから、突起個数は多く、かつ均一に分散していることが好ましい。
なお、上記したバラツキとは、幅方向に等間隔で5箇所の測定を行ったときに、その最大値と最小値の差をいう。
さらにまた、テープとしての走行性や巻き取り性の向上のためには、B層の表面のRa(RaB)は3〜5nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜4nmである。RaBが5nmを超えると、走行性や巻き取り性は良好であっても、走行面の突起を原因とする磁性面への転写が発生することがあり、RaBが3nm未満の場合は、フィルムの走行性や巻き取り性が損なわれる場合がある。なお、RaBの値が上記の範囲内であるとは、幅方向に等間隔で5箇所の測定を行ったときに、その全てが上記範囲内であることをいう。
また、本発明においてB層表面のRaBは、A層表面のRaAよりも大きく、その差は1nm以上であることが重要である。差が1nm未満の場合、同様にフィルムの走行性が損なわれたり、テープの巻き取り性が損なわれる場合がある。この場合、差が1nm以上であるとは、幅方向に等間隔で5箇所の測定を行ったときに、その全てについて差が1nm以上であることをいう。
また、テープ加工時における、走行面の突起や表面欠点が磁性面に転写して発生する欠点を抑制するために、突起高さを制御することが重要となる。これについては、B層に平均粒径400nm未満の不活性粒子を含有せしめると共に、1次平均粒径22nm以下の凝集状粒子を含有せしめ、B層厚み(tB)に対する添加粒子の最大平均粒子径(dB)の比を0.9≦tB/dB≦2.7の範囲に制御することが好ましい。tB/dBが0.9未満の場合、添加粒子が作る突起について面積あたりの個数が不均一になりやすく、逆にtB/dBが2.7を超えると、添加粒子が作る突起の高さが不均一になりやすい。この手法と、前述のマスターポリマーの混率を制御することで、突起個数と高さを制御し、B層表面の粗さの指標である中心線平均粗さRaBと10点平均粗さRzBをコントロールできる。
なお、tB/dBの値が上記の範囲内であるとは、幅方向に等間隔で5箇所の測定を行ったときに、その全てが上記範囲内であることをいう。
このRaBとRzBについては、その積の範囲(RaB×RzB)が250nm以下であることが、テープ加工時における、走行面の突起や表面欠点が磁性面に転写する欠点を抑制できることから好ましい。(RaB×RzB)が250nmを超えると走行面の突起を原因とする磁性面への転写が発生しやすくなる。
なお、RaB×RzBの値が250nm以下であるとは、幅方向に等間隔で5箇所の測定を行ったときに、その全てが250nm以下であることをいう。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、B層について均一な表面性を持っていることが、生産性を向上させることができることから好ましく、具体的には中心線表面粗さRaBのバラツキは1nm未満であることが望ましく、より好ましくはバラツキが0.5nm未満である。さらに、B層表面におけるフィルム幅方向の三次元10点平均粗さSRz(スタイラス)の標準偏差がSRz平均値の10.0%以下であることが、テープ加工時における、走行面の突起や表面欠点が磁性面に転写する欠点を抑制できることからより好ましい。この範囲を超えるとフィルム幅方向で部分的に転写による欠点が発生することがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚み(全フィルム厚み)は4.0〜4.6μmの範囲が好ましい。厚みが4.0μmより薄くなると、剛性や寸法安定性が低下しテープの腰が不十分となり磁気記録媒体としたときに電磁変換特性が低下する傾向がある。また、B層表面突起による平滑面(A面)側への突き上げを抑制しにくくなる。また、4.6μmより大きいとテープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量に対応し難い。厚みの調整方法としては、二軸配向ポリエステルフィルムの製膜の際のポリマーの溶融押出時におけるスクリューの吐出量を調整し、口金(ダイ)から未延伸フィルムの厚みを制御することによって二軸延伸後のフィルム厚みを調節することが可能となる。
この際、B層の幅方向の厚みのバラツキを小さくするには、フィルム全体の幅方向(TD)厚みムラも小さい方が有利である。そのため、ドラフト比(=(フィルム引取速度/ダイス出口ポリマー速度)÷エアーギャップ(エアーギャップ:ダイス出口から引取(冷却)ロールにポリマーが接するまでの距離(cm)))は4.0/cm以上が好ましく、より好ましくは7.0/cm以上である。
また、幅方向のB層の厚みが均一であるためには、Tダイ吐出から引取(冷却)ロールまで接地する間のポリマー速度がTD方向で均一であることが望ましく、そのためには、エアーギャップの距離が狭い方が有利であり、具体的にはTダイリップ幅の3.5%以下の距離が好ましく、より好ましくは2.0%以下の距離である。
また、生産が長期間にわたった場合、Tダイのリップ間隙が製膜中にポリマーの圧力や熱により、中央と端部で変化しないことが望ましい態様であることから、予めポリマーの圧力と熱により起こるリップ間隙の変形を考慮したリップ調整をしておくことが好ましい。
次に、塗布型磁気記録テープは、次のように製造される。
上記の二軸配向ポリエステルフィルムを、たとえば0.1〜3m幅にスリットし、速度20〜300m/min、張力50〜300N/mで搬送しながら、一方の面に非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより厚み0.5〜1.5μm塗布し乾燥後、さらに磁性塗料を厚み0.1〜0.3μmで塗布する。その後、磁性塗料および非磁性塗料が塗布された支持体を磁気配向させ、温度80〜130℃で乾燥させる。次いで、反対側の面にバックコートを厚み0.3〜0.8μmで塗布し、カレンダー処理した後、巻き取る。なお、カレンダー処理は、小型テストカレンダー装置(金属ロール、7段)を用い、温度70〜120℃、線圧0.5〜5kN/cmで行う。その後、60〜80℃にて24〜72時間エージング処理し、12.65mm幅にスリットし、パンケーキを作製する。次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録テープとする。
ここで、磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられる。
以下、単に「部」と記載されている場合は、「質量部」を意味する。
[磁性層形成塗液]
バリウムフェライト磁性粉末 100部
(板径:20.5nm、板厚:7.6nm、
板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)
飽和磁化:44Am/kg、BET比表面積:60m/g)
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α−アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
[非磁性層形成用塗布液]
非磁性粉体 α酸化鉄 100部
平均長軸長0.09μm、BET法による比表面積 50m/g
pH 7
DBP吸油量 27〜38ml/100g
表面処理層Al 8質量%
カーボンブラック 25部
コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製)
塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 13部
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部
フェニルホスホン酸 3.5部
ブチルステアレート 1部
このようにして得られた塗布型磁気記録テープは、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(例えばリニアテープ式の記録媒体(LTO6、LTO7、次世代LTOテープ(LTO8))や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが好適に用いられる塗布型磁気記録テープとしては、例えば、磁性層がバリウムフェライト等の強磁性粉末をポリウレタン樹脂等のバインダーに均一に分散させて磁性塗液を作成し、その塗液を塗布して磁性層が形成された塗布型磁気記録テープを例示することができる。
以下、本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(1)全フィルム厚み
以下の条件にて断面観察を場所を変えて10視野行い、得られたフィルム厚み[μm]の平均値を算出し全フィルム厚み[μm]とした。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:1万倍
試料調整:超薄膜切片法(RuO染色)
観察面 :TD−ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向)
測定回数:<全厚み>1視野につき3点、10視野を測定する。
(2)B層厚み(tB)
以下の条件にて断面観察を場所を変えて3視野行い、含有粒子径および粒子濃度をもとに界面の観察結果からB層の厚みを評価した。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:測定する層厚み全体が顕微鏡視野中に入る最大倍率を20万倍、2万倍、1万倍、5千倍から選択
試料調整:超薄膜切片法(RuO染色)
観察面 :TD−ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向)
測定回数:<B層厚み>1視野につき3点、3視野を測定する。
(3)添加粒子の平均粒子径(dB)
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、2万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。測定した等価円相当径の平均を不活性粒子の平均粒径とした。
なお、フィルム中に粒径の異なる2種類以上の粒子が存在する場合、上記の等価円相当径の個数分布が2種類以上のピークを有する分布となるため、そのそれぞれについて、別個に平均粒径(dB、dB、dB、・・・)を算出し、平均粒径が最も大きいものをdBMAXとした。
(4)ポリマー、粒子の含有量
ポリマーを溶解する適切な溶媒に溶解し、H核のNMR(核磁気共鳴)スペクトルを測定する。適切な溶媒は、ポリマーの種類によって異なるが、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)/重クロロホルムが用いられる。
得られたスペクトルにおいて、ポリマーに特有の吸収(例えばPETであればテレフタル酸の芳香族プロトンの吸収)のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりポリマーのモル比を算出する。さらに各々のポリマーの単位ユニットに相当する式量より質量比を算出する。測定条件は、例えば、以下のような条件であるが、ポリマーの種類によって異なるため、この限りではない。
装置 : ブルカー社製BRUKER DRX−500
溶媒 : HFIP/重クロロホルム
観測周波数 : 499.8MHz
基準 : TMS(テトラメチルシラン) (0ppm)
測定温度 : 30℃
観測幅 : 10KHz
データ点 : 64K
acquisiton time : 4.952秒
pulse delay time:3.048秒
積算回数 : 256 回
また、必要に応じて、顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)で組成分析を行ってもよい。その場合、ポリエステルのカルボニル基に起因するピークとそれ以外の物質に起因するピークの比から求める。なお、ピーク高さ比を質量比に換算するために、あらかじめ質量比既知のサンプルで検量線を作成してポリエステルとそれ以外の物質の合計量に対するポリエステル比率を求める。また、必要に応じてX線マイクロアナライザーを併用してもよい。また、不活性粒子の含有量については、ポリマーは溶解するが不活性粒子は溶解させない溶媒を選んで、ポリマーを溶解し、粒子を遠心分離して質量百分率を求めた。
(5)固有粘度(IV)
サンプルをオルトクロロフェノールに溶解させる。溶解しない部分は取り除き、溶解する部分について測定を行う。オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式により計算される値を用いた。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマ質量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)、[η]はポリマー(サンプル)の固有粘度(単位はdL/g)である。また、溶液粘度と溶媒粘度は、オストワルド粘度計を用いて測定した。
(6)中心線平均粗さ(Ra)・10点平均粗さ(Rz)
フィルムより10cm×10cmのサンプリングを行い、非接触光学式粗さ測定器(装置:Zygo社製NewView7300)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積139μm×104μmで、場所をランダムに変えて40視野測定を行った。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムのMD方向となるようにサンプルをステージにセットして測定する。該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトMetroProにより波長1.65〜50μmの帯域通過フィルタを用いて算術平均粗さ(Ra)と算術10点平均粗さ(Rz)を視野ごとに求め、平均値を中心線平均粗さ(Ra)と10点平均粗さ(Rz)とし、A面(A層の表面)のRaAおよび、B面(B層の表面)のRaBとRzBを測定し、RaB×RzBが250nm以下の範囲であるか判定した。
(7)粒子含有ボイドの個数(粒子を5個以上含有するボイドの存在密度)
フィルム表面層のポリエステルをプラズマ低温処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリエステルは灰化されるが粒子がダメージを受けない条件を選択する。これをSEMにて2,000倍程度の倍率で粒子を観察する。フィルム表面上の突起は、延伸により粒子の周辺にボイドが発生する。ボイド中に粒径100nm以上の粒子を5個以上、かつ、その隣り合う、最も近い粒子間の距離が500nm未満で密集していることが観察されるボイドを粒子含有ボイドとし、当該ボイドの0.55mm(200視野)のボイド数を計測し、その個数(存在密度)を算出した。
(8)粗大突起個数(B層表面における高さ0.55μm以上の突起個数)
測定面となるB層表面と、粗大突起の存在しないフィルムを2枚重ね合わせて静電気力で密着させた後、2枚のフィルム間で粗大突起の光の干渉によって生じるニュートン環から粗大突起の高さを判定し、2重環以上をマーキングした後、B層表面を実体顕微鏡で観察し、粗大突起数をカウントした。なお、光源はハロゲンランプに548nmのバンドパスフィルタをかけて用い、1,000cmの粗大突起個数を計測し、その個数が3個以下であるかを判定した。
(9)触媒残渣の金属元素量
触媒残渣としての金属元素の濃度は、蛍光X線装置(理学電機工業3270E型)にて定量分析した。
(10)エラーレート
1m幅にスリットしたフィルムを、張力200Nで搬送させ、支持体の一方の表面に下記に従って磁性塗料および非磁性塗料を塗布し、さらに12.65mm(1/2インチ)幅にスリットし、パンケーキを作成する。
(以下、「部」とあるのは「質量部」を意味する。)
磁性層形成用塗布液
バリウムフェライト磁性粉末 100部
(板径:20.5nm、板厚:7.6nm、
板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)
飽和磁化:44Am/kg、BET比表面積:60m/g)
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α−アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)
粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
非磁性層形成用塗布液
非磁性粉体 α酸化鉄 85部
平均長軸長0.09μm、BET法による比表面積 50m/g
pH 7
DBP吸油量 27〜38ml/100g
表面処理層Al 8質量%
カーボンブラック 15部
“コンダクテックス”(登録商標)SC−U(コロンビアンカーボン社製)
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 22部
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
メチルエチルケトン 205部
シクロヘキサノン 135部
上記の塗布液のそれぞれについて、各成分をニ−ダで混練した。1.0mmφのジルコニアビーズを分散部の容積に対し65%充填する量を入れた横型サンドミルに、塗布液をポンプで通液し、2,000rpmで120分間(実質的に分散部に滞留した時間)、分散させた。得られた分散液にポリイソシアネ−トを非磁性層の塗料には5.0部、磁性層の塗料には2.5部を加え、さらにメチルエチルケトン3部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた非磁性層形成用塗布液を、ポリエステルフィルム上に乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布乾燥させた後、磁性層形成用塗布液を乾燥後の磁性層の厚さが0.07μmになるように塗布を行い、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに6,000G(600mT)の磁力を持つコバルト磁石と6,000G(600mT)の磁力を持つソレノイドにより配向させ乾燥させた。その後、カレンダー後の厚みが0.5μmとなるようにバックコート層(カーボンブラック 平均粒子サイズ:17nm 100部、炭酸カルシウム平均粒子サイズ:40nm 80部、αアルミナ 平均粒子サイズ:200nm 5部をポリウレタン樹脂、ポリイソシアネートに分散)を塗布した。次いでカレンダーで温度90℃、線圧300kg/cm(294kN/m)にてカレンダ―処理を行った後、65℃で、72時間キュアリングした。さらに、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性面に押し当たるように取り付け、テープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、磁気テープを得た。
得られたテープ原反を12.65mm(1/2インチ)幅にスリットし、それをLTO用のケースに組み込み、磁気記録テープの長さが960mのデータストレージカートリッジを作成した。このデータストレージを、IBM社製LTO7ドライブを用いて23℃50%RHの環境で記録し(記録波長0.55μm)、次に、カートリッジを50℃、80%RH環境下に7日間保存した。カートリッジを1日常温に保存した後、全長の再生を行い、再生時の信号のエラーレートを測定した。エラーレートはドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)から次式にて算出する。
エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
◎:エラーレートが1.0×10−6未満
○:エラーレートが1.0×10−6以上、1.0×10−5未満
×:エラーレートが1.0×10−5以上
(実施例1)
押出機E1、E2の2台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、磁性面となる平滑面用のA層原料として、コロイダルシリカからなる1種類の添加粒子を0.20wt%を含有させた乾燥状態のポリエステルチップを、同じく280℃に加熱された押出機E2には、走行面となる粗面用のB層原料として、表1にあるポリエステルA/B/Hについて、各66/18/16質量部混練・乾燥させた状態のポリエステルチップをそれぞれ供給した。これらをダイス中でB層側がキャストドラム面側になるように合流させ、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この際、ドラフト比(=(フィルム引取速度/ダイス出口ポリマー速度)÷エアーギャップ)は7.0/cmとし、エアーギャップの距離はTダイリップ幅の2.0%とした。
(エアーギャップとはダイス出口から引取(冷却)ロールにポリマーが接するまでの距離(cm))
また、この際リップ間隙は、ポリマーの圧力と熱により起こるリップ間隙の膨張を事前に検証し、Tダイリップ幅全体に対し、2.5mmに調整した後、A層側のみ中央部分のリップ間隙を予めA層側のみ10%放物線状に狭く再調整し実施した。
この積層未延伸フィルムを同時二軸式延伸機にて予熱し、2段階にて長手方向に4.0倍、2段階にて長手方向に直角な幅方向(TD方向)に5.0倍延伸した後、熱処理を行いTD方向に弛緩、冷却後、フィルムエッジを除去し、幅5m、フィルム全厚み4.6μm、フィルム幅方向中央のtBについて0.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムとし。その後、コア上に巻き取った。得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すように、磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
以下、表2に各実施例、比較例のポリエステル構成、触媒残渣としての金属元素量、二軸配向ポリエステルフィルムの表面特性、磁気テープの特性等を示す。
(実施例2)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/C/H=66/18/16質量部とした以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例3)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/B/E=66/18/16質量部とし、フィルム幅方向中央のtBについて、0.4μmとなるようE2の押出量を調整し、全体のフィルム厚みが4.6μmとなるようE1の押出量を調整した以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例4)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/B/H/K=65/18/16/1質量部とし、フィルム幅方向中央のtBについて、0.6μmとなるようE2の押出量を調整し、全体のフィルム厚みが4.6μmとなるようE1の押出量を調整した以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例5)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/B/E/H=65/18/10/7質量部とし、フィルム幅方向中央のtBについて、0.6μmとなるようE2の押出量を調整し、全体のフィルム厚みが4.6μmとなるようE1の押出量を調整した以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例1)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/B/F/H=35/18/40/7質量部とし、フィルム幅方向中央のtBについて、0.6μmとなるようE2の押出量を調整し、全体のフィルム厚みが4.6μmとなるようE1の押出量を調整した以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。粒子を含むポリエステル(ポリエステルB,F)の触媒残渣としての金属量(金属濃度×ポリエステルのその層全体における混率)を希釈する粒子を含まないポリエステル(ポリエステルA)の触媒残渣としての金属量(金属濃度×ポリマーのその層全体における混率)より大きくしたところ、表2に示すように、粗大突起個数が増え、エラーレートが悪化する結果となった。
(比較例2)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/B/F=18/18/64質量部とし、フィルム幅方向中央のtBについて、0.4μmとなるようE2の押出量を調整し、全体のフィルム厚みが4.6μmとなるようE1の押出量を調整した以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例3)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/B/G/H=35/18/40/7質量部とし、フィルム幅方向中央のtBについて、0.6μmとなるようE2の押出量を調整し、全体のフィルム厚みが4.6μmとなるようE1の押出量を調整した以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例4)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/H/K=78/16/6質量部とし、フィルム幅方向中央のtBについて、0.6μmとなるようE2の押出量を調整し、全体のフィルム厚みが4.6μmとなるようE1の押出量を調整した以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例5)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/D/I/L=44/15/40/1質量部とし、フィルム幅方向中央のtBについて、0.6μmとなるようE2の押出量を調整し、全体のフィルム厚みが4.6μmとなるようE1の押出量を調整した以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例6)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/D/J/L=44/15/40/1質量部とし、フィルム幅方向中央のtBについて、0.6μmとなるようE2の押出量を調整し、全体のフィルム厚みが4.6μmとなるようE1の押出量を調整した以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例7)
B層のポリエステル構成について、ポリエステルA/D/K/L=74/15/10/1質量部とし、フィルム幅方向中央のtBについて、0.6μmとなるようE2の押出量を調整し、全体のフィルム厚みが4.6μmとなるようE1の押出量を調整した以外は実施例1と同じ方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
なお、上記の実施例および比較例でB層に使用したマスターポリエステルや粒子を含有しないポリエステルの詳細は表1の通りである
Figure 2020068045
Figure 2020068045
本発明の積層ポリエステルフィルムは、薄膜化時の加工特性や搬送性を有し、かつ、優れた電磁変換特性と、エラーレートやドロップアウトを低減した塗布型磁気記録テープ、特にデータストレージのベースフィルムに好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 一方の表面を形成するA層と、他方の表面を形成するB層の少なくとも2層から構成され、A層とB層の表面のRaの差が1nm以上であり、B層の表面のRaがA層の表面のRaよりも大きく、B層の表面のRa(RaB)が3〜5nmの範囲であり、RaBとB層の表面の10点平均粗さRz(RzB)との積が250nm以下であり、かつB層の表面において、粒径100nm以上の不活性粒子を5個以上を含有するボイドの個数が10個/0.55mm未満である二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 塗布型磁気記録テープのベースフィルムに用いる二軸配向ポリエステルフィルムであって、B層表面において、高さ0.55μm以上の突起が3個/1,000cm以下である、請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 塗布型磁気記録テープのベースフィルムに用いる二軸配向ポリエステルフィルムであって、B層における不活性粒子の合計含有量が0.5wt%以上1.0wt%以下である、請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 塗布型磁気記録テープのベースフィルムに用いる二軸配向ポリエステルフィルムであって、磁性層を形成するA層の中心線平均粗さ(RaA)が2.0nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 不活性粒子が、球状シリカ粒子、球状シリコーン粒子、球状架橋ポリスチレン粒子およびシリカ−アクリル複合粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. ポリエステルがエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするポリマーである、請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムと、その磁性層を形成する側の表面に塗設により形成された磁性層とからなる塗布型磁気記録テープ。
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