JP2020066827A - ロール状長尺ガラスクロス、プリプレグ、及びプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
Description
Eガラスクロスの弾性率が約74GPaであるのに対し、例えば、日東紡績株式会社製のNEガラスクロスの弾性率は64GPa、旭化成株式会社製Lガラスクロスのパルスエコーオーバーラップ法により求められる弾性率は61GPaであり、これら低誘電ガラスクロスはEガラスクロスと比較していずれも弾性係数が小さい。
上述したように、弾性係数が小さいガラスクロスは風合いが柔らかいため、巻取り芯管への巻取り工程、或いはガラスクロスのロールからの解反工程において、ガラスクロスにタルミ、目曲がり、及びシワ等の織構造の歪を蓄積しやすい。
さらに、このような織構造の歪みが存在するガラスクロスを用いた場合、プリント配線板を製造する過程での加熱加圧成形時、回路パターン形成時における寸法変化のバラツキが大きくなるという問題が生じる。
[1]
複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として製織したガラスクロスが巻取り芯管に巻かれたロール状長尺ガラスクロスであって、
前記ガラスクロスの厚さが、8〜100μmであり、
前記ロール状長尺ガラスクロスのロール密度(g/cm3)が、前記ガラスクロスのシート密度(g/cm3)の1.02〜1.25倍であり、
前記ガラスクロスの弾性係数が、50〜70GPaである、
ロール状長尺ガラスクロス。
[2]
前記ロール状長尺ガラスクロスの幅入れ量が、マイナス0.5以上1%未満である、
[1]に記載のロール状長尺ガラスクロス。
[3]
前記ガラスクロスの弾性係数が、50〜63GPaである、[1]又は[2]に記載のロール状長尺ガラスクロス。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載のロール状長尺ガラスクロスから解反したガラスクロスと、
前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物と、を有する、
プリプレグ。
[5]
[1]〜[3]のいずれかに記載のロール状長尺ガラスクロスから解反したガラスクロスと、
前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物の硬化物と、を有する、
プリント配線板。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスは、
複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として製織したガラスクロスが巻取り芯管に巻かれ、
前記ガラスクロスの厚さが、8〜100μmであり、
前記ロール状長尺ガラスクロスのロール密度(g/cm3)が、前記ガラスクロスのシート密度(g/cm3)の1.02〜1.25倍であり、
前記ガラス糸の弾性係数が、50〜70GPaである。
以下、本実施形態の構成についてより詳細に説明する。
デジタル機器の高機能、小型軽量化によるプリント配線板の薄型化や高密度化のためには、ガラスクロスの厚さは100μm以下に薄くする必要がある。
上記厚さは、プリント配線板の薄型化や高密度化の観点から薄い方が好ましいが、強度の観点から、厚さの下限は8μmである。
コアCを除く1個のロール2の側面の面積Sにロール幅Wを乗じた値、すなわち、コアCを除く1個のロール2の体積を求める。ロール密度は、コアCを除く1個のロール2の質量を上記体積で除して求められる値である。
シート密度は、シート状のガラスクロスの、経糸方向の長さ、緯糸方向の長さ、及びガラスクロスの厚さを乗じて得られる値を体積とし、上記シート状のガラスクロスの質量を当該体積で除することにより求めることができる。
また、シート密度は、ガラスクロスの単位面積当たりの質量(g/cm2)とガラスクロスの厚さ(cm)から求めてもよい。すなわち、ガラスクロスの単位面積当たりの質量(g/cm2)と厚さ(cm)とを測定し、ガラスクロスの単位面積当たりの質量を厚さで除することによって、シート密度(g/cm3)が算出される。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスのロール密度(g/cm3)は、前記ガラスクロスのシート密度(g/cm3)の1.02〜1.25倍であり、好ましくは1.03〜1.15倍であり、より好ましくは1.04〜1.12倍である。
ロール状長尺ガラスクロスのロール密度がシート密度の1.02〜1.25倍であることにより、ガラス糸の弾性係数が50〜70GPaの風合いが柔らかいガラスクロスであっても、ガラスクロスが密接に巻取り芯管へ巻き取られたロール状態とすることができ、ガラスクロスにタルミ、目曲がり、及びシワ等の織構造の歪を蓄積することを抑制できるものと考えられる。
ロール密度の調整方法としては、例えば、ガラスクロスを巻取り芯管に巻き取る工程において、巻取り方法を調整する方法(具体的には、巻取り張力を調整する方法、ニップ圧を調整する方法、巻取りを行う直前にエキスパンダーロール等でガラスクロスを拡布する方法、ニップロールの材質をゴム弾性を有するゴム状弾性体とする方法等)、ガラスクロスに用いる糸種、織密度、糸幅等を調整して経糸および緯糸のうねり構造やSS特性を調整する方法、ガラスクロスに塗布するシランカップリング剤の種類や塗布量を調整してガラスクロスの摩擦係数を調整する方法、ガラスクロスの風合いを調整する方法、及びこれらの方法を適時組み合わせた方法等が挙げられる。上記方法により、ガラスクロスを巻取方向、幅方向ともに歪が生じさせずに、緻密に逐次積層させて巻取ることにより、本発明の要件を満たすロール密度に調整することができる。
したがって、ロール状長尺ガラスクロスにおけるガラスクロス層の厚さが1/2となる時点のロール密度は、最初のロール状長尺ガラスクロスのロール密度の0.95倍以上1.1倍以下であることが好ましい。
また、ロール状長尺ガラスクロスにおけるガラスクロス層の厚さが1/5となる時点のロール密度は、ガラスクロス層の厚さが1/2となる時点のロール密度の0.95倍以上1.3倍以下であることが好ましい。
ガラスクロス層の厚さが1/2及び1/5となる時点のロール密度は、ガラスクロス層の厚さを1/2又は1/5になるまで解反したところで上述のロール密度の測定する方法によって算出することができる。
上述した低誘電ガラスのガラスクロスはEガラスクロスに比べて弾性係数が小さく、外部からの応力や内部応力の影響を受けやすいため、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスとすることにより、織構造の歪が補正されて均一になりやすい傾向にある。
また、上述した低誘電ガラスのガラスクロスは、風合いが柔らかく、タルミや目曲がりやシワ等の織構造の歪が発生しやすく、このような品質上の不具合は、プリント配線板の性能、信頼性、安全性を損なうリスクが大きいため、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスとして織構造の歪を解消することは非常に有用である。
弾性係数は、ガラスクロスを構成するガラス中の構成元素、特にホウ素の含有量及びリンの含有量を調整することにより制御される。
低誘電ガラスのガラスクロスとしては、例えば、Lガラスクロス(弾性係数61GPa)、NEガラスクロス(弾性係数64GPa)、B2O3含有量15質量%〜30質量%、SiO2含有量45質量%〜60質量%、P2O5含有量2質量%〜8質量%の低誘電ガラスクロス(弾性係数56GPa)等が挙げられる。
ガラス中のホウ素の含有量とリンの含有量との和が大きいほどガラスクロスの誘電率、誘電正接を小さくすることができる。
上述した、ホウ素の含有量とリンの含有量との和が19質量%以上であることにより、一般的なEガラスクロスを用いて得られる積層板に比べ、誘電率、誘電正接が有意に低下するため、データ通信や信号処理の大容量化、高速化への適用性が向上する。例えば、Eガラス組成のガラスの誘電率が7程度であるのに対し、ホウ素の含有量とリンの含有量との和が24%であるとき誘電率が約4.8、また、ホウ素の含有量とリンの含有量との和が28%であるとき誘電率が約4.4と、誘電率が小さくなる傾向にある。
ガラス中のホウ素の含有量とリンの含有量との和は、ガラス糸を製造する過程で、ホウ素とリンとを含有するガラス原材料の仕込み量により調整することができる。また、ガラス中のホウ素及びリンの含有量は、ガラス糸を製造する工程で、ガラスの原材料を熔融している工程中に変化するため、その変化量を織り込んで仕込み量を適宜調整してもよい。
具体的には、ホウ素の含有量は、ガラスクロス試料を秤取し、炭酸ナトリウムで融解した後、希硝酸で溶解して定容し、ICP発光分光分析法によってホウ素を測定し、試料中の含有量を求めた値である。
また、リンの含有量は、ガラスクロス試料を秤取し、硫酸、硝酸及びフッ化水素で加熱分解した後、希硝酸で加熱溶解して定容し、ICP発光分光分析法によってリンを測定し、試料中の含有量を求めた値である。
後述する本発明の実施例では、ICP発光分光分析には日立ハイテクサイエンス社製のPS3520VDDIIを用いた。
ガラスクロスの長さは、長い方が、プリプレグ製造等を多量に連続して実施できるため好ましい。一方で、ガラスクロスの長さが短い方が、ロール状ガラスクロスの大きさ、重量が小さくなり、取り扱いや保管性に優れるため好ましい。
ガラスクロスの用途、及び加工する目的に合わせ、上記範囲からロール状長尺ガラスクロスの長さを適宜選択することが可能である。
特に、当該幅は、好ましくは800〜1500mmであり、より好ましくは900〜1400mm、さらに好ましくは1000〜1300mmである。
ガラスクロスの幅が800mm以上であることにより、製織工程、開繊工程、表面処理工程等においてガラスクロスにタルミ、シワ等の織構造の均一性に歪が生じやすいが、本実施形態のロール状のガラスクロスとすることにより、上記の歪を解消し、織構造の均一なガラスクロスとすることができる傾向にある。
また、ガラスクロスの幅が800〜1500mmの範囲であることにより、タルミ、目曲がり、シワ等の織構造の歪が低減される効果が十分に得られる傾向にあり、また、プリント配線板用のプリプレグ製造で常用されている樹脂塗工機に供してプリプレグを製造することができる。
巻取り芯管の直径が100mm以上であることにより、ロール内層部と外層部とでガラスクロスに作用する応力の差異が小さくなり、タルミ、目曲がり、シワ等の織構造の歪が低減される効果がより大きく得られる傾向にある。
巻取り芯管の直径が500mm以下であることにより、ロール状長尺ガラスクロスの径、重量を小さく抑えることができ、取り扱い性に優れる傾向にある。
巻取り芯管の径は、ガラスクロスの厚さ、長さ、重量、さらには、ガラスクロスに要求される均一性の度合いに応じ、上記直径の範囲から適宜選択することが可能である。
幅入れ量(%)=(Wa−Wo)/Wo×100 ・・・(1)
幅入れ量は、具体的には、以下の1)〜4)に沿って測定した。
1)ガラスクロスロールの最表層面における幅方向の長さを測定した。このとき、MD方向に対して垂直な向きである幅方向の長さWaを測定し、測定した部位の片方の端部に印をつけた。
2)ガラスクロスロールから約2mのガラスクロスを巻き出した時点において、タルミが無い状態で、上記1)において印をつけた箇所の幅方向の長さWoを測定した。
3)式(1)により幅入れ量を求めた。
4)同じガラスクロスロールを用いて、上記1)から3)までの測定を5回繰り返し、その平均値を幅入れ量とする。
また、幅入れ量がマイナス0.5%以上であることにより、経糸のうねりが過度に増大することなく、本来のうねり状態に近い形で維持されるため、ガラスクロスを密に積層することができ、巻取り状態が緊密になりやすい。
幅入れ量がマイナス0.5%以上0.1%未満であることにより、ガラスクロスの経糸及び緯糸のうねり構造がそれぞれ均一になり、且つ、巻取り状態が緊密に積層された状態となる。また、幅入れ量がマイナス0.5%以上0.1%未満であることにより、ガラスクロスの巻取りより前の工程、例えば、製織工程、開繊工程、表面処理工程等でガラスクロスに生じた歪までも解消されるため、織構造の均一なガラスクロスとすることができる。
以上のとおり、幅入れ量がマイナス0.5%以上1%未満であることにより、ガラスクロスにタルミ、目曲がり、及びシワ等の織構造の歪が発生することを抑制できる。
織構造、うねり構造が均一なガラスクロスは、該ガラスクロスに熱硬化性樹脂を含浸、乾燥してプリプレグとし、該プリプレグを用いて積層板とし、次いで、銅箔からなる回路パターンを形成する工程において、寸法変化のバラツキが低減することができる。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスを製造する方法としては、ガラスクロスを巻取り芯管に巻き取る工程において、巻取り張力を調整する方法が好適に挙げられる。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスの製造における、ガラスクロスを巻取り芯管に巻き取る工程は、例えば、図2に模式的に示すように、ガラスクロスを巻取る直前にエキスパンダーロール13、及びニップロール12を配置してガラスクロスの拡布を行う装置を用いることにより、製造することができる。
エキスパンダーロールとしては、ガラスクロスを屈曲させてロールに通すことにより両端方向に張力を付与できるものであれば特に限定されない。エキスパンダーロールとしては、例えば、宮川ローラー社製のゼブラローラーCタイプ、Dタイプ等の、外周面に、繊維織物の走行方向に傾斜して複数の溝を有するタイプ;宮川ローラー社製のゼブラローラーAタイプ、Bタイプ、明和ゴム社製のコンポジヘリカルロール等の、繊維織物の走行方向に傾斜して摩擦係数や硬度の異なるゴムを交互に並べたタイプ;三橋社製のフラットエキスパンダーロール、ミラボーロール等の、ロール外周に設置したゴムが回転に伴い伸び縮みするタイプ;カンセンエキスパンダー社製のエキスパンダーロール、金陽社製のゴムエキスパンダーロール等の、ロールの軸を湾曲させたタイプ;加貫ローラー製のラジアルクラウンタイプ等の、両端部の直径に比べて中央部の直径が大きいクラウンロールと呼ばれるタイプ;等を用いることができる。
ニップロールにより10N/m以上の圧力を付与しながら巻取りを行うことにより、巻取られているガラスクロスの層間への空気の巻き込みを小さくすることができるため、最外層にあるガラスクロスと1層内層側にあるガラスクロスとに適度な摩擦力が作用する。そのため、最外層のガラスクロスに巻取り張力に起因する圧縮応力が作用した場合でも、最外層がその一層内層のガラスクロスに拘束されて動き難くなるため、巻きシワが発生を抑えられ、ロール密度を調整できる。
ニップロールにより500N/m以下の圧力を付与しながら巻取りを行うことにより、ガラスクロスに局所的に圧力が作用することによる毛羽立ち等の品質上の問題を抑えられる傾向にある。
また、上記のニップロールは、デュロメータタイプA型の硬度であるショアA硬度が30以上80以下であることが好ましい。ショア硬度が80以下であることにより、圧力が作用する面積が大きくなるため、エキスパンダーロールで拡幅されたクロスを、拡幅された状態を維持して巻き取ることができるため、好ましい。ショア硬度が30以上で、ニップロール自身の経時歪が抑えられるため、長期にわたり安定した巻取りを行うことができるので好ましい。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスには、ロール状のガラスクロスから、解反して、シート状のガラスクロスとしたものも含まれる。また、ロール状のガラスクロスからガラスクロスを解反しながら、連続して、プリプレグ等の製造に供することもできる。
本実施形態によれば、タルミ、目曲がり、シワ等の歪が少ないため、取り扱い性に優れ、且つ、寸法安定性に優れる、誘電率、誘電正接が低いガラスクロスを提供することができる。
本実施形態の一つは、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスから解反したガラスクロスと、前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物と、を有する、プリプレグである。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスを用いてプリプレグを製造することにより、プリプレグを加熱加圧成形して積層板を形成する工程、及び、回路を形成する工程での寸法安定性に優れるプリプレグを提供することができる。
マトリックス樹脂組成物としては、上述のエポキシ樹脂の他に、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、BT樹脂、官能基化ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、全芳香族ポリエステルの液晶ポリマー(LCP)、ポリブタジエン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂;及び、それらの混合樹脂等が挙げられる。誘電特性、耐熱性、耐溶剤性、及びプレス成形性を向上させる観点から、マトリックス樹脂組成物としては、熱可塑性樹脂を熱硬化性樹脂で変性した樹脂を用いてもよい。
また、マトリックス樹脂組成物としては、樹脂中にシリカ及び水酸化アルミニウム等の無機充填剤;臭素系、リン系、金属水酸化物等の難燃剤;その他シランカップリング剤;熱安定剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;顔料;着色剤;滑沢剤;等を混在させた樹脂を使用してもよい。
本実施形態の一つは、本実施形態のプリプレグを用いて製造されるプリント配線板、すなわち、本実施形態のプリプレグを備えるプリント配線板である。本実施形態のプリプレグを用いてプリント配線板を製造することにより、高品質で、配線回路の正確なプリント配線板を提供することができる。
ガラスクロスの物性、具体的には、ガラスクロスの厚さ、経糸及び緯糸の質量、経糸及び緯糸を構成するフィラメントの径、経糸及び緯糸の織密度は、JIS R3420に従い測定した。
糸の断面観察を行い、フィラメント数を数えた。
5回の測定値の平均値とした。
弾性係数は、パルスエコーオーバーラップ法により、縦弾性係数を測定した。
ロール状長尺ガラスクロスのロール密度は、図1の模式図に示されるように、コアCを除くロールの側面の面積S、及びロール幅W、コアCを除くロールの質量を測定して求めた。
ロール密度は、側面の面積Sにロール幅Wを乗じた値、すなわち、コアCを除く1個のロール2の体積を求め、1個のロール2の質量を上記体積で除して求めた。
ロール状長尺ガラスクロスのシート密度は、ガラスクロスの単位面積当たりの質量(g/cm2)と厚さ(cm)とを測定し、当該ガラスクロスの単位面積当たりの質量を当該厚さで除することによって求めた。
幅入れ量は、無張力下におけるガラスクロスの幅Woと、巻き取りロール上でのガラスクロスの幅Waを用いて、以下の式(1)によって求めた。
幅入れ量(%)=(Wa−Wo)/Wo×100 ・・・(1)
幅入れ量は、具体的には、以下の1)〜4)に沿って測定した。
1)ガラスクロスロールの最表層面における幅方向の長さを測定した。このとき、MD方向に対して垂直な向きである幅方向の長さWaを測定し、測定した部位の片方の端部に印をつけた。
2)ガラスクロスロールから約2mのガラスクロスを巻き出した時点において、タルミが無い状態で、上記1)において印をつけた箇所の幅方向の長さWoを測定した。
3)式(1)により幅入れ量を求めた。
4)同じガラスクロスロールを用いて、上記1)から3)までの測定を5回繰り返し、その平均値を幅入れ量とした。
ガラスクロス中のホウ素及びリンの含有量は、ICP発光分光分析法によって求めた。なお、ICP発光分光分析には日立ハイテクサイエンス社製のPS3520VDDIIを用いた。
具体的には、ホウ素の含有量は、ガラスクロス試料を秤取し、炭酸ナトリウムで融解した後、希硝酸で溶解して定容し、ICP発光分光分析法によってホウ素を測定し、試料中の含有量を求めた。リンの含有量は、ガラスクロス試料を秤取し、硫酸、硝酸及びフッ化水素で加熱分解した後、希硝酸で加熱溶解して定容し、ICP発光分光分析法によってリンを測定し、試料中の含有量を求めた。
(試験プリプレグ作製)
実施例及び比較例で得られたロール状のガラスクロスの表層側500mを、幅430mmの3本に巻取り方向と同じ方向で分割加工し、幅430mm、長さ500mの3本のガラスクロスを得、それぞれ表層側a、表層側b、表層側cとした。ここで、表層側500mとは、最表層の巻取り終了点からの500mである。
ロール状のガラスクロスの異なる部位から作製された試験プリプレグ、表層側a、表層側b、表層側c、内層側a、内層側b、及び内層側cを用いて、以下の方法で試験基板、表層側a、表層側b、表層側c、内層側a、内層側b、及び内層側cを作製した。
得られた試験基板に、125mm間隔となるよう、タテ方向3カ所×ヨコ方向3カ所の合計9カ所に標点をつけた。そして、タテ方向、ヨコ方向のそれぞれについて、隣接する2標点の標点間隔6箇所を測定し、測定値αを得た。次に、エッチング処理によって鋼箔を取り除き、170℃で30分加熱した後、該標点間隔を再度測定し、測定値βを得た。
ロール状のガラスクロス品質は、ロール巻取り時、及び、巻き終わり後に外観検査を行い、巻きシワの有無、巻き崩れの有無を確認した。表中○は、ロール巻取り時、及び、巻き終わり後において、巻きシワ及び巻き崩れが無かったことを表す。
解反時のロール状のガラスクロス品質は、解反しているロールの外観検査を行い、巻きシワ、巻き締まりシワに起因する凹凸の有無を確認した。表中○は、巻きシワ及び凹凸が無かったことを表す。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径4.0μm、フィラメント数50本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量1.44×10-6kg/mの低誘電ガラス糸(弾性係数61GPa、ホウ素含量23.2%、リン含量0.1%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸95.0本/25mm、緯糸95.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。
該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスを得た。
該ガラスクロスを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力300N、最終巻取り張力100Nの巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ15μm、強熱減量0.89%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスAを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、ロール密度の推移をモニターしながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布とロール密度の制御を行いながら巻取りを実施した。
また、ロール状のガラスクロスAを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワ、凹凸がなく、均一な状態であった。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数100本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量4.86×10-6kg/mの低誘電ガラス糸(弾性係数61GPa、ホウ素含量23.2%、リン含量0.1%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸65.0本/25mm、緯糸67.0本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスを得た。
該ガラスクロスを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力400N、最終巻取り張力100Nの巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ29μm、強熱減量0.60%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスBを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、ロール密度の推移をモニターしながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布とロール密度の制御を行いながら巻取りを実施した。
また、ロール状のガラスクロスBを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
実施例2と同様の用法でガラスクロスを作製し、ガラスクロスを得た。
該ガラスクロスを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力400N、最終巻取り張力320Nとなるように巻取り張力を直線テーパ制御し、且つ、SUS製のニップロールでニップ圧を加えながら、ロール密度の制御を十分に行うことができないまま、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ15μm、強熱減量0.89%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスHを得た。
ロール状のガラスクロスHは、巻き芯側1100m〜最外層に至るまで、深い巻きシワが発生してしまった。
ロール状のガラスクロスHを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に巻きシワが観察されなかったロール内層部にも、凹凸を伴う深いシワが存在していた。
初期巻取張力200N、最終巻取り張力を160Nとした以外は、比較例1と同様の方法で、ガラスクロスの作製、及び巻取りを行い、厚さ29μm、強熱減量0.58%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスIを得た。
ロール状のガラスクロスIは、巻き芯側1400m〜最外層に至るまで、軽微な巻きシワが発生してしまった。
ロール状のガラスクロスIを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に巻きシワが観察されなかったロール内層部にも、ロール内層部に深い巻きシワが存在していた。
初期巻取張力100N、最終巻取り張力を80Nとした以外は、比較例1と同様の方法で、ガラスクロスの作製、及び巻取りを行い、厚さ29μm、強熱減量0.60%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスJを得た。
ロール状のガラスクロスJの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。
ロール状のガラスクロスJを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察されなかったが、ロール内層部に軽微な巻きシワが存在していた。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量9.78×10-6kg/mの低誘電ガラス糸(弾性係数61GPa、ホウ素含量23.2%、リン含量0.1%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸52.5本/25mm、緯糸52.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスを得た。
該ガラスクロスを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力260N、最終巻取り張力100Nの巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ46μm、強熱減量0.56%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスCを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、ロール密度の推移をモニターしながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布とロール密度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスCの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。
また、ロール状のガラスクロスCを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
初期巻取り張力450N、最終巻取り張力150Nとする以外は、実施例3と同様の用法でガラスクロスの作製、巻取りを行い、厚さ44μm、強熱減量0.54%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスDを得た。
ロール状のガラスクロスDの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスDの幅入れ量はマイナス0.08%、巻き硬度の平均値は53、巻き硬度の変動率は0.007、巻き硬度差は1であった。
また、ロール状のガラスクロスDを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
実施例3と同様の用法でガラスクロスを作製し、ガラスクロスを得た。
該ガラスクロスを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力450N、最終巻取り張力360Nとなるように巻取り張力を直線テーパ制御し、且つ、SUS製のニップロールでニップ圧を加えながら、ロール密度の制御を十分に行うことができないまま、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ44μm、強熱減量0.57%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスKを得た。
ロール状のガラスクロスKは、巻き芯側500m〜最外層に至るまで、深い巻きシワが発生してしまった。
ロール状のガラスクロスKを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に巻きシワが観察されなかったロール内層部にも、凹凸を伴う深いシワが存在していた。
初期巻取張力200N、最終巻取り張力を160Nとした以外は、比較例4と同様の方法で、ガラスクロスの作製、及び巻取りを行い、厚さ44μm、強熱減量0.55%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスLを得た。
ロール状のガラスクロスLは、巻き芯側800m〜最外層に至るまで、軽微な巻きシワが発生してしまった。
ロール状のガラスクロスLを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に巻きシワが観察されなかったロール内層部にも、凹凸を伴う深いシワが存在していた。
初期巻取張力100N、最終巻取り張力を80Nとした以外は、比較例1と同様の方法で、ガラスクロスの作製、及び巻取りを行い、厚さ44μm、強熱減量0.56%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスMを得た。
ロール状のガラスクロスMの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。
ロール状のガラスクロスMを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察されなかったが、ロール内層部に軽微な巻きシワが存在していた。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量9.55×10-6kg/mのガラス糸(弾性係数56GPa、ホウ素含量23.0%、リン含量4.1%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸52.5本/25mm、緯糸52.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスを得た。
該ガラスクロスを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力450N、最終巻取り張力150Nの巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ45μm、強熱減量0.89%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスEを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、ロール密度の推移をモニターしながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布とロール密度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスEの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。
また、ロール状のガラスクロスEを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数100本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量4.71×10-6kg/mのガラス糸(弾性係数56GPa、ホウ素含量23.0%、リン含量4.1%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸65.0本/25mm、緯糸67.0本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスを得た。
該ガラスクロスを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力450N、最終巻取り張力150Nの巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ28μm、強熱減量0.91%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスFを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、ロール密度の推移をモニターしながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布とロール密度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスFの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。
また、ロール状のガラスクロスFを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量10.82×10-6kg/mのEガラス糸(弾性係数73GPa、ホウ素含量6.2%、リン含量0.1%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸52.5本/25mm、緯糸52.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスを得た。
該ガラスクロスを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力450N、最終巻取り張力150Nの巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ45μm、強熱減量0.16%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスNを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、ロール密度の推移をモニターしながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布とロール密度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスNは、巻き芯側100m〜最外層に至るまで、軽微な巻きシワが発生した。
ロール状のガラスクロスNを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察された巻きシワより、さらに深い凹凸を伴うシワがロール内層部に存在していた。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量9.55×10-6kg/mの低誘電ガラス糸(弾性係数48GPa、B2O3含量29.8%、P2O5含量6.1%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸52.5本/25mm、緯糸52.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスを得た。
該ガラスクロスを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力450N、最終巻取り張力150Nの巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ45μm、強熱減量0.19%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスOを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、ロール密度の推移をモニターしながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布とロール密度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスOは、巻き芯側100m〜最外層に至るまで、深いシワが発生した。
ロール状のガラスクロスOを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察された巻きシワより、さらに深い凹凸を伴うシワがロール内層部に存在していた。
Claims (5)
- 複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として製織したガラスクロスが巻取り芯管に巻かれたロール状長尺ガラスクロスであって、
前記ガラスクロスの厚さが、8〜100μmであり、
前記ロール状長尺ガラスクロスのロール密度(g/cm3)が、前記ガラスクロスのシート密度(g/cm3)の1.02〜1.25倍であり、
前記ガラスクロスの弾性係数が、50〜70GPaである、
ロール状長尺ガラスクロス。 - 前記ロール状長尺ガラスクロスの幅入れ量が、マイナス0.5以上1%未満である、
請求項1に記載のロール状長尺ガラスクロス。 - 前記ガラスクロスの弾性係数が、50〜63GPaである、請求項1又は2に記載のロール状長尺ガラスクロス。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のロール状長尺ガラスクロスから解反したガラスクロスと、
前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物と、を有する、
プリプレグ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のロール状長尺ガラスクロスから解反したガラスクロスと、
前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物の硬化物と、を有する、
プリント配線板。
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