JP2020066731A - 屈折率が制御されておりシリカフィラーを含有するメタクリル酸メチル(mma)組成物及びその製造方法、透明アクリル樹脂組成物 - Google Patents

屈折率が制御されておりシリカフィラーを含有するメタクリル酸メチル(mma)組成物及びその製造方法、透明アクリル樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】屈折率が制御されておりシリカフィラーを含有するメタクリル酸メチル(MMA)組成物、透明アクリル樹脂を提供する。【解決手段】比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる無機粒子材料の凝集体からなる粉粒体である無機凝集体材料と、前記無機凝集体材料の表面を覆う有機物からなる有機被覆材料とを有する複合凝集粒子材料と、前記複合凝集粒子材料を分散するMMAモノマーとを有し、前記有機被覆材料の質量は、前記無機凝集体材料及び前記有機被覆材料の質量の和を基準として0.8%以上80%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、屈折率が制御されておりシリカフィラーを含有するMMA組成物及びその製造方法、そのMMA組成物を重合させてうるシリカフィラーを含有する透明アクリル樹脂組成物に関する。
従来から樹脂材料の機械的特性向上を目的としてシリカからなる粒子材料を分散させて樹脂組成物を製造することが行われている。得られた樹脂組成物は、高い機械的特性を示す。
ところで、光学用途に応用される樹脂組成物についても機械的特性向上が望まれることがある。光学用途に好適に用いられている樹脂としてはアクリル系樹脂がある。アクリル系樹脂としては、MMAなどのメタクリル酸アルキルエステルやアクリル酸メチルなどのアクリル酸アルキルエステルを単独で又は他のモノマーと共に重合した樹脂が汎用されており、特にMMAを含むモノマーを重合させた樹脂が有用である。その場合に樹脂材料の屈折率や樹脂組成物に求められる屈折率に応じて分散させる粒子材料として適正な屈折率を有するものが求められる。
そして、光学材料に樹脂組成物を応用する場合には屈折率の他にも満足すべき光学特性があり、従来技術にて得られる粒子材料以外の粒子材料を提供できるようにすることが望まれている。
シリカの屈折率はおおよそ一定であるため、屈折率を調節するためにシランカップリング剤により表面処理を行い屈折率を制御する技術が開示されている(特許文献1)。
特許文献1にて開示された技術により得られたシリカ粒子は粒径が2nmから100nmであり、一次粒子にまで分散されている粒子である。
特開2013-204029号公報
ここで、機械的特性向上を目的とする場合には粒径が大きい方が望ましいが、機械的特性向上のために粒径を大きくする場合、想定される光線の波長に対して無視できない大きさにまでシリカ粒子の粒径を大きくすると、ヘイズ値が上昇して光の透過性が低下する。
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、従来とは異なる機械的特性、光学特性を実現する透明樹脂を得ることを目的として、重合により透明樹脂を生成する、シリカフィラーが分散されたMMAモノマー(本明細書中においては、モノマーとしての側面に着目して「MMA」を「MMAモノマー」と称することがあるが、物質としては「MMA」と「MMAモノマー」とは同じ物質である。)であるMMA組成物及びその製造方法、そのMMA組成物を重合してうるシリカフィラーを含有する透明アクリル樹脂組成物を提供することを解決すべき課題とする。
課題を解決する目的で本発明者らは鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。樹脂に混合したときに透明性を向上するためには光線透過量を向上することに加え、ヘイズ値を低下させる必要がある。ヘイズ値を低下させるためには含有させるシリカからなる粒子材料の粒径を光の波長よりも小さくすることが有効である。また、シリカ粒子の屈折率を表面処理により変化させるためにはシリカ粒子の粒径を光の波長に応じて小さくする必要がある。
しかしながら粒子材料の粒径を単純に小さくすると、樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物の機械的特性の向上が充分で無い場合が多くなった。
この二律背反を解消するために粒子材料として一次粒子の凝集体を採用した上で、凝集体を構成する一次粒子の粒径を小さくすることで、凝集体の粒径を大きくすることによる機械的特性向上と凝集体を構成する一次粒子の粒径を小さくすることによる光学特性の向上とが両立でき、更に凝集体としていることから樹脂材料中への分散性を向上できることを見出した。その場合にシランカップリング剤などのシラン化合物により表面処理を行うことにより有機被覆材料にて被覆することで屈折率の調整が出来ると共に樹脂材料中への分散性も更に向上できる。一次粒子の粒径を小さくしていることからシラン化合物にて表面処理を行って形成した有機被覆材料による光学的影響が少なくなり好適な光学特性が得られる。
1.上記課題を解決する本発明のMMA組成物は、比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる無機粒子材料の凝集体からなる粉粒体である無機凝集体材料と、前記無機凝集体材料の表面を覆う有機物からなる有機被覆材料とを有する複合凝集粒子材料と、
前記複合凝集粒子材料を分散するMMAモノマーと、
を有し、
前記有機被覆材料の質量は、前記無機凝集体材料及び前記有機被覆材料の質量の和を基準として0.8%以上80%以下である。
上記1.に開示のMMA組成物は、以下の2.〜5.の構成要素を任意に組み合わせることが可能である。
2.前記無機凝集体材料は体積平均粒径が0.05μm以上500μm以下であって、0.05μ m以上500μm以下の範囲内に頻度極大値をもつ。
3.前記無機凝集体材料は、ゲル法シリカ、沈降シリカ、又はヒュームドシリカである。
4.前記有機物はSiO結合を介して前記無機粒子材料の表面に結合している。
5.前記有機物は1つ以上のSiOR基(Rは炭化水素基)をもつシラン化合物の縮合物である。
6.上記課題を解決する本発明のMMA組成物の製造方法は、前記1.〜5.の何れか1項に記載のMMA組成物を製造するための方法であって、
比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる前記無機粒子材料から凝集体である前記無機凝集体材料を製造する無機凝集体材料製造工程と、
前記無機凝集体材料の表面にシラン化合物を反応させて前記有機被覆材料を形成して前記複合凝集粒子材料にする有機被覆材料被覆工程と、
を有する。
7.上記課題を解決する本発明の透明アクリル樹脂組成物は、上記1.〜5.の何れか1項に記載のMMA組成物が重合することにより得られる。
本発明のMMA組成物は以上の構成を有することから以下の作用効果を奏する。すなわち、所定の粒径をもつ一次粒子から構成され、その表面は有機被覆材料が被覆されていることから、充分な光学特性をもつ。そして、シリカからなる一次粒子は凝集させることで強固に結合しており、樹脂材料中に分散させることで高い機械的特性を付与することが出来る。
本発明のMMA組成物及びその製造方法、並びにそのMMA組成物を重合してうる透明アクリル樹脂組成物について、以下実施形態に基づき詳細に説明を行う。本本明細書中において「光学用の透明樹脂」とは、目的の波長範囲内の光線を必要な割合で透過できる樹脂材料である。
本実施形態のMMA組成物は、MMAモノマーと、そのMMAモノマー中に分散された複合凝集粒子材料とを有する。MMAは最も一般的に使用されるモノマーで、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のできる色々なモノマーと共重合ができ、本発明のフィラーの屈折率を最終生成ポリマーの屈折率にさえ合わせれば機械物性がよく透明な樹脂組成物が得られる。単独重合の場合はPMMAの屈折率に合わせば機械物性がよく透明な樹脂組成物が得られる。得られた樹脂組成物は従来の樹脂と同じように様々な三次元、二次元、一次元の形に加工して使用できる。本実施形態のモノマー組成物にはMMAモノマー以外のモノマーを含有しても良い。モノマーとしては含有するMMAモノマーと親和性をもつもので、含有する量において混合可能且つ共重合可能な化合物である。例えば一般的なビニルモノマーである。ビニルモノマーとしてはメタクリル酸アルキルエステルやアクリル酸アルキルエステルなどのアクリルモノマーが例示できる。MMAモノマー以外のモノマーを含有する場合には、質量基準で、MMAモノマー未満の量、特にMMAモノマーの質量を基準として50%以下、25%以下、10%以下の質量とすることができる。
複合凝集粒子材料は、無機凝集体材料と有機被覆材料とをもつ粉粒体である。無機凝集体材料は、無機粒子材料の凝集体である。無機凝集体材料は体積平均粒径が0.05μm以上500μm以下であることが好ましい。体積平均粒径の好ましい下限としては、0.05μm、0.1μm、0.5μmが例示でき、好ましい上限としては、10μm、100μm、500μmが例示できる。これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。無機凝集体材料は、0.05μm以上500μm以下の範囲内に頻度極大値をもつことが好ましい。頻度極大値を持つ範囲の好ましい下限としては、0.05μm、0.1μm、0.5μmが例示でき、好ましい上限としては、10μm、100μm、500μmが例示できる。これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。体積平均粒径や頻度極大値の大きさをこれらの下限値以上にすることで透明樹脂材料中に分散させたときの機械的特性が向上でき、これらの上限値以下にすることで透明樹脂材料中に分散させたときの可撓性が向上できる。
無機粒子材料は、比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる粒子である。比表面積粒径は、窒素を用いたBET法により測定した比表面積から球相当径として算出した値である。凝集体については、粒子同士が点接触していると仮定して算出する。比表面積粒径の好ましい下限としては、1nm、5nm、10nmが採用でき、好ましい上限としては、30nm、50nm、70nmが採用できる。無機粒子材料の比表面積粒径がこれらの下限値以上にすることで透明樹脂中に分散させたときの機械的特性が向上でき、これらの上限値以下にすることで透明樹脂中に分散させたときの光学特性が向上できる。上限値と下限値とは任意に組み合わせ可能である。なお、比表面積粒径(d)の算出は、d=6/(ρS)により行う。ここでρは無機凝集体材料を構成するシリカの密度、Sは測定した比表面積である。
凝集体とする方法は特に限定しない。一次粒子となる無機粒子材料を湿式で製造した後、乾燥させることで通常は凝集体になることが多い。無機粒子材料としては、湿式法にて製造されるもの、乾式法にて製造されるものの何れでも良い。湿式法は、ケイ酸ナトリウムを原料とするものが汎用されており、湿式法で製造された無機粒子材料としては、ゲル法シリカ、沈降シリカ、コロイダルシリカなどがある。特にゲル法シリカは、pHを急激に酸性にすることで一次粒子として小さな粒径をもつものが製造できると共に、形成された凝集体についても緻密なものが製造できるため好ましい。ゲル法シリカについては、得られた凝集体を粉砕することで目的の粒径をもつ無機凝集体材料を製造することができる。乾式法としては、ヒュームドシリカ、燃焼法、アーク法などが知られており、採用できる。
有機被覆材料は、無機凝集体材料の表面を被覆する。ここで、「被覆」とは無機凝集体材料の表面のうちの少なくとも一部に付着している状態を表しており、表面の全体を被覆した状態であることが好ましい。無機凝集体材料には、一次粒子である無機粒子材料が凝集することで内部(一次粒子間)に空孔が形成された形態となっており、有機被覆材料は内部に形成された空孔の表面についても被覆することが好ましい。
有機被覆材料は、複合凝集粒子材料全体(無機凝集体材料及び有機被覆材料の質量の和)の質量を基準として0.8%以上80%以下である。下限としては、0.8%、2%、5%が好ましく、上限としては、60%、70%、80%が好ましい。上限値と下限値とは任意に組み合わせ可能である。これらの下限以上にすることで充分な表面改質が実現でき、これらの上限値以下にすることで得られる複合凝集粒子材料の機械的特性が向上できる。
有機被覆材料は、SiO結合により無機凝集体材料の表面に結合することが好ましい。有機被覆材料を構成する材料としては特に限定しないが、ケイ素化合物からなることが好ましい。特に1つ以上のSiOR基をもつシラン化合物の縮合物であることが好ましく、
2つ以上のSiOR基をもつ有機シラン化合物の縮合物であることがより好ましい。なお、ここでRは炭化水素基(好ましくは炭素数が1,2程度)である。シラン化合物は、有機官能基をもつ。有機被覆材料は、シラン化合物を無機凝集体材料の表面と反応させて製造されたものが挙げられる。
シラン化合物がもつ有機官能基としては、炭化水素基(フェニル基などのアリール基、アルキル基、ビニル基など)、エポキシ基、アクリル基、チオール基、スルフィド基などが挙げられる。有機官能基を選択する指標としては、シリカと比べて屈折率が大きいか小さいか(大きければ反応させることで屈折率が大きくでき、小さければ屈折率が小さくできる)の他、分散されるMMAモノマーとの親和性を考慮して選択される。シラン化合物としては特に多数のフェニル基を有することで屈折率が大きくなるトリフェニルメトキシシラン及びその縮合物が好ましい。
具体的には、MMAモノマーを重合して得られるアクリル樹脂の屈折率は一般的にシリカの屈折率より大きいことが多く、この場合フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルモノメトキシラン、トリフェニルモノエトキシシラン等アリール基を有する屈折率がシリカより大きいものを選択すればよい。又上述の中から二つ以上を組合わせた縮合物でもよい。
特に、フェニル基を有するシラン化合物を用いることによって本発明のフィラーの屈折率を1.46から1.54の範囲内で調整できる。更にラジカル重合性のある官能基、例えばメタクリル基、アクリル基、スチリル基、ビニル基を有するシラン化合物;又はラジカル連鎖移動反応しやすい官能基、例えばチオール基、スルフィド基を有するシラン化合物を併用することよってフィラー表面とアクリル樹脂の間ラジカル反応を介して化学結合で結合され、得られるアクリル樹脂組成物の機械物性が一層向上する。
MMAモノマーと無機凝集体材料との混合量としては特に限定しないが、無機凝集体材料の質量を基準として、100質量部以上1900質量部以下のMMAモノマーを含有することが好ましい。MMAモノマーの含有量の好ましい下限としては100質量部、150質量部、233質量部が挙げられ、好ましい上限としては900質量部、1300質量部、1900質量部が挙げられる。上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
(MMA溶媒組成物の製造方法)
本実施形態のMMA組成物の製造方法は、上述した本実施形態のMMA組成物を製造するための製造方法である。本実施形態のMMA組成物の製造方法は、無機凝集体材料製造工程と有機被覆材料被覆工程とを有する。
無機凝集体材料製造工程は、前述した無機粒子材料を凝集させて無機凝集体材料を製造する工程である。凝集させる方法としては特に限定しない。例えば、無機粒子材料を液体中で製造した後、乾燥させることで凝集させたり、乾燥状態の無機粒子材料を水などの液体中に分散させた後に乾燥させることで凝集させたりすることができる。特に水ガラスなどのケイ酸ナトリウムに対して急激に酸性にすることで粒径の小さな無機粒子材料が析出できるゲル法シリカの製造方法を採用すると、一次粒子である無機粒子材料の粒径を小さくできると共に得られた無機凝集体材料を緻密にすることができるため好ましい。得られた無機凝集体材料は必要な粒径になるように粉砕や分級により制御できる。
有機被覆材料被覆工程は、無機凝集体材料の表面に有機被覆材料を被覆して複合凝集粒子材料を得る工程である。無機凝集体材料の表面に、有機官能基をもつシラン化合物を反応させることで行うことができる。シラン化合物はそのまま、又は何らかの溶媒を利用した溶液として、無機凝集体材料の表面に噴霧・付着させて行うことができる。表面に付着させた後は加熱するなどして反応を完遂することが好ましい。シラン化合物としては特に限定されず、上述した化合物を採用することが出来る。
有機被覆材料被覆工程により得られた複合凝集粒子材料は、MMAモノマー中に分散させることで本実施形態の有機溶媒組成物となる。MMAモノマー組成物中への分散方法は特に限定しないが、MMAモノマー組成物と無機凝集体材料とは良く混合することが好ましい。混合は公知の方法にて行うことが可能である。
(MMAモノマー組成物の重合)
懸濁重合、溶液重合、バルク重合などの一般的な重合方法が採用でき、特に限定されるものでは無い。
(屈折率の調整)
・複合凝集粒子材料の製造
比表面積が285m/g、比表面積粒径が10nmの沈降シリカ(凝集粒子の体積平均粒径1.5μm)に対して、アルコキシシラン化合物としてのフェニルトリメトキシシラン(有機官能基としてのフェニル基を有する:信越化学製、KBM−103)/アセトン=100質量部/200質量部の混合液を撹拌しながら添加した。表1中の有機物配合量は加水分解していない原料であるフェニルトリメトキシシランの質量部である。室温で一日熟成させて、混合物を防爆乾燥機に移し揮発分がなくなってから更に160℃、5時間反応させて試験例1から4の複合凝集粒子材料を得た。屈折率は屈折率が既知且つ異なる値を有する一列の液体に複合凝集粒子材料を浸して、最も透明な液体の屈折率を複合凝集粒子材料の屈折率とした。結果を表1に示す。屈折率が既知且つ異なる値を有する一列の液体は屈折率が高いと低い且つ相溶する二種類の液体を混合することで調合でき、例えばトルエンとイソプロパノールでは屈折率が1.49から1.37までの一列の屈折率の異なる液体を調合でき、混合液の屈折率をデジタル式屈折率計で測定し粉体の屈折率を算出できる。
Figure 2020066731
表1より明らかなように、比表面積粒径が10nmである一次粒子から構成された無機凝集体材料(凝集シリカ)を用いた試料1〜4については表面に被覆された有機被覆材料の量を変化させることで屈折率を大きく変化させることが可能になった。今回の試験ではシリカよりも屈折率が大きいフェニル基を有するシラン化合物を採用したために有機被覆材料の量が大きくなるにつれて屈折率も大きくなったが、反対にシリカよりも屈折率が小さい有機被覆材料を構成できる有機官能基をもつシラン化合物を採用すれば屈折率を低下させることも可能であると考えられる。
(透明アクリル樹脂組成物)
試料1から4の複合凝集粒子材料とMMAとを混合してMMA中にそれぞれの複合凝集粒子材料を分散させて、それぞれモノマー組成物を調製した。複合凝集粒子材料とMMAとの混合比は、質量比で1:2とした。
それぞれのモノマー組成物をバルク重合して、プレスにより厚さ1mmの板である試験試料1〜4を作成した。各試験試料についてD線に対する光透過率を測定し、シリカ含有量が0である試験試料1を100とした時の相対値を表2にまとめた。
Figure 2020066731
表2より明らかなように、有機物含有量が大きくなるにつれて透過率も大きくなることが分かった。
(樹脂板剛性の評価)
試験試料1から4のシリカで得られた板を同寸法の短柵状のサンプルピースに切り取り、同じ変位に曲げる時の必要な力を測定した。シリカ添加量0のものを100とした時の相対値を表3にまとめた。
Figure 2020066731
表3より明らかなように、複合凝集粒子材料を含有させることで剛性が高くできることが分かった。なお、凝集シリカではなく一次粒子にまで分散しているシリカ粒子を用いた以外は試験例2と同じ操作を行って調製したサンプルピースについて剛性を測定したところ180であり凝集シリカを用いることで高い剛性が得られていることが裏付けられた。
(MMA以外の樹脂についての検討)
試験例1又は4の複合凝集粒子材料100質量部にポリエチレンテレフタレート粉末400質量部を加えてよく混合し、260℃で押出し成形することでポリエチレンテレフタラート樹脂中に試験例1又は4が含有する複合凝集粒子材料を分散した樹脂組成物を調製した。
同様に、試験例1又は4の複合凝集粒子材料100質量部にポリスチレン粉末400質量部を加えよく混合し、260℃で押出成型することでポリエチレンスチレン樹脂中に試験例1又は4が含有する複合凝集粒子材料を分散した樹脂組成物を調製した。
試験例1又は4の複合凝集粒子材料とアセトンを質量比1:3で混合したアセトン組成物100質量部に液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「ZX−1059」)100質量部を加えた。そして、攪拌しながら120℃に加熱し、真空引きすることによりアセトンを除去し、シリカ粒子の固形分が20質量%の液状組成物を得た。この得られた液状組成物100質量部に硬化触媒の2−PHZ(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)4.0質量部を混合し、この樹脂組成物をフィルム状に塗布し、120℃で3時間、さらに150℃で1時間保持すると硬化し、フィルム状樹脂成形物が得られた。
得られたフィルムを観察するとポリエチレンテレフタラート、エポキシ樹脂、ポリスチレンのいずれにおいても不透明であり、これらの樹脂においては有機被覆材料の有無に関係無く光学用途への応用は困難であることが分かった。
比表面積が200m/g、比表面積粒径が13nmの乾式シリカ(凝集粒子の体積平均粒径1.5μm)に対して、アルコキシシラン化合物としてのフェニルトリメトキシシラン(有機官能基としてのフェニル基を有する:信越化学製、KBM−103)/イソプラパノール/純水=100質量部/100質量部/20質量部の混合液を撹拌しながら添加した。シリカ質量部/フェニルトリメトキシ質量部は100/80であった。室温で一日熟成させて、混合物を防爆乾燥機に移し揮発分がなくなってから更に240℃、5時間反応させて屈折率1.49のフィラーを得た。このフィラーに通常の乾式表面処理方法で、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学、KBM-803)、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学、KBM-5103)、ビニルトリメトキシシラン(信越化学、KBM-1003)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学、KBM-503)をそれぞれ用いて表面処理した。処理量はフィラーに対して5%(質量)であった。これらのフィラー表面がMMAなどのラジカル重合系に於いてラジカル重合、またはラジカル連鎖移動反応に寄与する。

Claims (7)

  1. 比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる無機粒子材料の凝集体からなる粉粒体である無機凝集体材料と、前記無機凝集体材料の表面を覆う有機物からなる有機被覆材料とを有する複合凝集粒子材料と、
    前記複合凝集粒子材料を分散するメタクリル酸メチルとを有し、
    前記有機被覆材料の質量は、前記無機凝集体材料及び前記有機被覆材料の質量の和を基準として0.8%以上80%以下であるMMA組成物。
  2. 前記無機凝集体材料は体積平均粒径が0.05μm以上500μm以下であって、0.05μm以上500μm以下の範囲内に頻度極大値をもつ請求項1に記載のMMA組成物。
  3. 前記無機凝集体材料は、ゲル法シリカ、沈降シリカ、又はヒュームドシリカである請求項1又は2に記載のMMA組成物。
  4. 前記有機物はSiO結合を介して前記無機粒子材料の表面に結合している請求項1〜3の何れか1項に記載のMMA組成物。
  5. 前記有機物は1つ以上のSiOR基(Rは炭化水素基)をもつシラン化合物の縮合物である請求項1〜4の何れか1項に記載のMMA組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載のMMA組成物を製造するための方法であって、
    比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる前記無機粒子材料から凝集体である前記無機凝集体材料を製造する無機凝集体材料製造工程と、
    前記無機凝集体材料の表面にシラン化合物を反応させて前記有機被覆材料を形成して前記複合凝集粒子材料にする有機被覆材料被覆工程と、
    を有するMMA組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜5の何れか1項に記載のMMA組成物が重合することにより得られる透明アクリル樹脂組成物。
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