JP2020058336A - 農業用フィルム及び農園芸用施設 - Google Patents

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Abstract

【課題】日射の強い夏における光散乱性が高く、さらに破断し難く、取扱いが容易な農業用フィルムを提供する。【解決手段】農業用フィルムは、連続相と分散相とからなる層を少なくとも1層有し、下記(A)及び(B)を満たす;(A)前記分散相のうち円相当径が1μm以上10μm以下である分散相の断面の面積の比率が、前記層の断面の面積に対して1%以上30%以下、(B)複屈折率Δnが1.15×10−3以下。【選択図】なし

Description

本発明は、農業用フィルム及び農園芸用施設に関するものである。
特許文献1には、JISK7142に準拠して測定した複屈折率Δnが、Δn<0.9×10−3となるベース樹脂にフィラーを含有した樹脂組成物からなり、該樹脂組成物から成形したフィルムを延伸させた多孔性フィルムが記載されている。
特許文献2には、日射の強い夏における光散乱性を高めるため、酢酸ビニルに基づく単量体単位の含有量が15〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、平均粒径が3〜15μmであるメタクリル酸メチル−スチレン共重合体粒子とを含有する層を中間層とする農業用フィルムが記載されている。
特開2007−238822号公報 特開2014−209903号公報
農業用フィルムは、当該フィルムを用いて農園芸用施設に展張するときにおいてフレームに接する部分に応力が集中し、開裂したり破断したりすることがある。特許文献1に記載の多孔性フィルムは、多孔性であるために開裂したり破断したりしやすく、農園芸用施設に展張するフィルムとして用いた場合、取扱が容易ではない。また、特許文献2に記載の農業フィルムに対しても、さらに破断し難く取扱いが容易である農業用フィルムが求められている。
本発明の一態様は、日射の強い夏における光散乱性が高く、さらに破断し難く、取扱いが容易である新規な農業用フィルムを提供することを目的とする。
前記の課題を解決するために、本発明の一形態に係る農業用フィルムは、連続相と分散相とからなる層を少なくとも1層有し、下記(A)及び(B)を満たす;(A)当該フィルム表面に対して垂直方向、且つ当該フィルム面内の遅相軸と平行方向に切断した断面において、前記分散相のうち円相当径が1μm以上10μm以下である分散相の断面の面積の比率が、前記層の断面の面積に対して1%以上30%以下、(B)複屈折率Δnが1.15×10−3以下。
また、本発明の好ましい他の形態は、前記の農業用フィルムが農園芸用施設フレームに展張された農園芸用施設である。
本発明の一態様によれば、日射の強い夏における光散乱性が高く、さらに破断し難く、取り扱いが容易な農業用フィルム及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る実施の一形態について詳細に説明する。
<農業用フィルム>
本発明の一形態に係る農業用フィルムは、複屈折率Δnが1.15×10−3以下であり、連続相と分散相とからなる層を少なくとも1層有する。本発明の一形態に係る農業用フィルムは、植物栽培用の温室の外張り又は内張りフィルム、及びトンネルの被覆材等として好適に用いることができる。
(複屈折率)
本明細書中において、複屈折率Δnとは、平行ニコル回転法を測定原理とする位相差測定装置(王子計測機器株式会社製 KOBRAシリーズ等)を用いて、測定波長586nmにて測定した面内リターデーション(面内位相差)Reとフィルムの全厚dを用いて、下記式(1)により算出した値のことをいう。
Δn(複屈折率)= Re / d(全厚) (1)
複屈折率Δnが1.15×10−3以下、より好ましくは1.0×10−3以下であり、最も好ましくは0.8×10−3以下である。複屈折率Δnが、1.15×10-3以下であれば、一般に農園芸用施設に展張するときにおいて、農業用フィルムにおけるMD(Machine Direction)方向の伸びの良さを改良することができる。このため、農園芸用施設への展張時にフィルムの弛みを直すために強く水平に引っ張った場合においても、農園芸用施設フレームとの接触部において当該農業用フィルムが破断したり開裂したりすることを好適に防止することができ、取扱性が向上した農業用フィルムを得ることができる。複屈折率Δnの下限値は、特に限定されるものではないが、0.05×10−3以上であることが好ましい。
また、複屈折率Δnは、フィルム面内の主屈折率をn,n(ただし、n>n)としたとき、入射直線偏光をn軸、n軸に分解し、ここで、n軸を遅相軸と称し、n軸を進相軸と称する。
なお、一態様に係る農業フィルムの複屈折率は、当該農業用フィルムが連続相と分散相とからなる層のみからなる場合、当該層のみの複屈折率Δnとして求めるとよく、連続相と分散相とからなる層以外の層(すなわち、後述するその他の層)を備えている場合、それらの層のすべてからなる農業用フィルムの複屈折率として求めるとよい。
上述した複屈折率Δnを有する農業用フィルムは、原料及び製造方法の条件を適宜調整して製造することができる。農業用フィルムに含まれる連続相と分散相とからなる層(及び連続相と分散相とからなる層以外の層)は、農業用フィルムの一般的な原料となる樹脂組成物を用いることができる。連続相と分散相とからなる層の原料としては、特に、連続相となる熱可塑性樹脂と、分散相となる有機系粒子、無機系粒子、及び熱可塑性樹脂から選択される少なくとも1つとを適宜組み合わせて用いるとよい。より好ましい連続相と分散相とからなる層の原料については、〔連続相と分散相とからなる層〕において後述する。連続相と分散相とからなる層以外の層の原料は、一般的な熱可塑性樹脂を用いればよく、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい(以下、連続相と分散相とからなる層以外の層を、ポリオレフィン系樹脂層とも称する)。より好ましい製造方法の条件については、<農業用フィルムの製造方法>において後述する。
(ヘイズ値)
なお、本明細書において、ヘイズ値は、温度以外の測定条件をJIS K 7136:2000に準拠して、株式会社村上色彩技術研究所製 温調ヘイズメーター(THM−150TL)を使用して測定される値である。本明細書において、フィルムの光散乱性はヘイズ値によって評価され得る。
本発明の一形態に係る農業用フィルムは、40℃におけるヘイズ値が、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。40℃におけるヘイズ値が、15%以上であることによって、日射量が多い夏季において、フィルムに照射される光を好適に散乱させることできる。
本発明の一形態に係る農業用フィルムにおいて、連続相と分散相とからなる層の厚みは、40℃付近に達する夏季において光散乱性を高める観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは30μm以上である。フィルムの重量を軽くして取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは300μm以下である。
〔連続相と分散相とからなる層〕
連続相と分散相とからなる層は、一態様に係る農業用フィルムを構成する主たる層であり、本明細書中、単に「層」と記載されており、特に説明がない場合、当該「層」とは、連続相と分散相とからなる層のことを示す。
本発明の一形態に係る農業用フィルムは、当該フィルム表面に対して垂直方向、且つ当該フィルム面内の遅相軸と平行方向に切断した当該フィルムの断面において、前記分散相のうち円相当径が1μm以上10μm以下である分散相の断面の面積の比率が、層の断面の面積に対して、1%以上30%以下であることが好ましく、2%以上25%以下であることがより好ましい。なお、前記フィルム面内の遅相軸は、複屈折率Δnの算出に用いられる面内リターデーションReとともに求められる。円相当径が1μm以上10μm以下である分散相の断面の面積の比率が1%以上、30%以下の範囲内であることにより、MD方向に対して十分な伸びの良さと破断強度とを確保することができる。つまり、MD方向に対して高い引張破断伸びを有する農業用フィルムを得ることができる。
本明細書中において、分散相とは連続相に分散された個々の粒子によって構成される相のことを意味し、分散相の円相当径は、観察された粒子1つ毎に求められる当該粒子の円相当径のことを意味する。ここで、「円相当径」は、撮影された層の断面に写る粒子の断面積と同じ面積を有する円の直径のことを意味し、農業用フィルムの断面を撮影した画像から画像解析システムにより求められ得る。
連続相と分散相とからなる層を構成する樹脂組成物において、連続相を構成する成分と分散相を構成する成分との混合比は、特に限定されないが、以下に示すように設定することができる。
連続相を構成する成分と分散相を構成する成分との合計量を100質量部とした場合、連続相を構成する成分の含有量は、好ましくは50質量部以上であり、より好ましくは60質量部以上であり、さらに好ましくは65質量部以上であり、特に好ましくは70質量部以上である。また、連続相を構成する成分の含有量は、好ましくは98質量部以下であり、より好ましくは95質量部以下であり、さらに好ましくは90質量部以下であり、特に好ましくは85質量部以下である。
また、連続相を構成する成分と分散相を構成する成分との合計量を100質量部とした場合、分散相を構成する成分の含有量は、好ましくは2質量部以上であり、より好ましくは5質量部以上であり、さらに好ましくは10質量部以上であり、特に好ましくは15質量部以上である。また、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは40質量部以下であり、さらに好ましくは35質量部以下であり、特に好ましくは30質量部以下である。
〔連続相〕
連続相は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体、ポリオレフィン系樹脂、及びそれらの組み合わせ等が挙げられる。
(エチレン系共重合体)
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との共重合体(以下、エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体とも称する)、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。エチレン共重合体は単独で用いてもよく、2種類以上のエチレン共重合体を併用してもよい。
エチレン−ビニルエステル共重合体は、エチレンに由来する単量体単位とビニルエステルに由来する単量体単位とを主な単量体単位として有するエチレン−ビニルエステル共重合体のことをいう。エチレン−ビニルエステル共重合体は、エチレン単量体とビニルエステル単量体とのランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
エチレン−ビニルエステル共重合体の構成材料となるビニルエステルとしては、例えば、脂肪酸のビニルエステルであり、当該脂肪酸の炭素数が2〜4であるものを挙げることができ、より具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等を挙げることができる。本発明の一態様において、上記エチレン系共重合体は、2種類又はそれ以上のビニルエステルに由来する単量体単位を含むものであってもよい。中でも、ビニルエステルは、酢酸ビニルであることが好ましい。
エチレンに由来する単量体単位とビニルエステルに由来する単量体単位とを有するエチレン−ビニルエステル共重合体の具体的な例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びエチレン−プロピオン酸ビニル共重合体等を挙げることができ、特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好適に使用される。また、エチレン−ビニルエステル共重合体は単独で用いてもよく、2種類以上のエチレン−ビニルエステル共重合体を併用してもよい。
また、エチレン−ビニルエステル共重合体は、エチレン、ビニルエステル以外のモノマーに由来する単量体単位を含んでいてもよい。
エチレン−ビニルエステル共重合体として使用可能である市販品としては、例えば、エバテート(登録商標)(住友化学株式会社製)、及びスミテート(登録商標)(住友化学株式会社製)、ノバテック(登録商標)EVA(日本ポリエチレン株式会社製)、ウルトラセン(登録商標)(東ソー株式会社製)、サンテック(登録商標)EVA(旭化成株式会社製)、エバフレックス(登録商標)(三井・デュポンポリケミカル株式会社製)などが挙げられる。
エチレン−ビニルエステル共重合体において、ビニルエステルに由来する単量体単位の含有量は、好ましくは7質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上28質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以上25質量%以下である。
また、エチレン−ビニルエステル共重合体において、エチレンに由来する単量体単位の含有量は、好ましくは70質量%以上93質量%以下であり、より好ましくは72質量%以上90質量%以下であり、さらに好ましくは75質量%以上88質量%以下である。
エチレン−ビニルエステル共重合体として2種類以上のエチレン−ビニルエステル共重合体を併用する場合、共重合体におけるエチレンに由来する単量体単位の含有量Eは、下記式(2)により算出される。
E(質量%)=
(E・W+E・W+…+E・W)/(W+W+…W) (2)
(ただし、エチレン−ビニルエステル共重合体1、エチレン−ビニルエステル共重合体2、…エチレン−ビニルエステル共重合体mのm種のエチレン−ビニルエステル共重合体を併用する(mは3以上の整数)とし、エチレン−ビニルエステル共重合体kにおけるエチレンに由来する単量体単位の含有量(質量%)をE、樹脂組成物中のエチレン−ビニルエステル共重合体kの含有量をWとする(kは1からmまでの整数)。)
同様にして、エチレン−ビニルエステル共重合体として2種類以上のエチレン−ビニルエステル共重合体を併用する場合、共重合体におけるビニルエステルに由来する単量体単位の含有量E'は、下記式(3)により算出される。
E'(質量%)=
(E'・W+E'・W+…+E'・W)/(W+W+…W) (3)
(ただし、共重合体1、共重合体2、…共重合体mのm種の共重合体を併用する(mは3以上の整数)とし、共重合体kにおけるビニルエステルに由来する単量体単位の含有量(質量%)をE'、樹脂組成物中の共重合体kの含有量をWとする(kは1からmまでの整数)。)
なお、エチレン−ビニルエステル共重合体におけるエチレンに由来する単量体単位の含有量、及び、ビニルエステルに由来する単量体単位の含有量は、けん化法により定量することができ、より具体的には、エチレン系共重合体がエチレン‐酢酸ビニル共重合体である場合、JIS K 7192:1999に従って定量することができる。
前記エチレン−ビニルエステル共重合体の密度は、925kg/m以上、より好ましくは930kg/m以上、さらに好ましくは933kg/m以上であり、955kg/m以下であり、952g/m以下であることがより好ましく、950g/m以下であることがさらに好ましい。エチレン−ビニルエステル共重合体の密度が、925kg/m以上かつ955kg/m以下の範囲内であり、併せて、分散相に後述する成分が含まれることによって、気温が40℃付近に達する夏季においてはフィルムの光散乱性を高めつつ、40℃におけるフィルムの光線透過率を一定に保持することができる。なお、エチレン−ビニルエステル共重合体の密度は、JIS K7112:1999のA法に規定された方法に従い測定された値であり、23℃において測定された密度である。
前記エチレン−ビニルエステル共重合体として2種類以上のエチレン系共重合体を併用する場合、エチレン−ビニルエステル共重合体の密度dは、下記式(4)により概算してもよい。
d(kg/m)=
(d・W+d・W+…+d・W)/(W+W+…W) (4)
(ただし、エチレン−ビニルエステル共重合体1、エチレン−ビニルエステル共重合体2、…エチレン−ビニルエステル共重合体mのm種のエチレン−ビニルエステル共重合体を併用する(mは3以上の整数)とし、エチレン−ビニルエステル共重合体kの密度(単位:kg/m)をd、樹脂組成物中のエチレン−ビニルエステル共重合体kの含有量(単位:kg)をWとする(kは1からmまでの整数)。)
つまり、一態様において、2種類以上のエチレン−ビニルエステル共重合体を併用することによって、樹脂組成物に含まれているエチレン−ビニルエステル共重合体の密度dを調整してもよい。
前記エチレン−ビニルエステル共重合体のメルトフローレイト(MFR)は、好ましくは0.05g/10分以上20g/10分以下であり、より好ましくは0.1g/10分以上15g/10分以下である。当該MFRは、JIS K 7210:1999に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件でA法により測定される。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンに由来する単量体単位と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する単量体単位とを主な単量体として有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のことをいう。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレン単量体と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する単量体とのランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体の構成材料となる不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸などを挙げることができるが、これらに限定されない。中でも不飽和モノカルボン酸が好ましく、例えば(メタ)アクリル酸が好ましい。なお、本明細書では、アクリル酸とメタクリル酸を総称して(メタ)アクリル酸と記す。
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体の構成材料となる不飽和カルボン酸の誘導体としては、上記不飽和カルボン酸の塩、不飽和カルボン酸エステル、酸無水物、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミド等を挙げることができ、好ましくは不飽和カルボン酸の塩及び不飽和カルボン酸エステルである。不飽和カルボン酸の塩としては、不飽和カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩などを挙げることができる。不飽和カルボン酸エステルとしては、不飽和カルボン酸メチルエステル、不飽和カルボン酸エチルエステル、不飽和カルボン酸ブチルエステル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル;不飽和カルボン酸フェニルエステル等の不飽和カルボン酸アリールエステル;不飽和カルボン酸グリシジルエステル等を挙げることができる。
本発明におけるエチレンに由来する単量体単位と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する単量体単位とを有するエチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体の具体的な例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などのエチレン−不飽和カルボン酸共重合体;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部又は全部をナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛等の金属イオンで中和したアイオノマー;エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体などのエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体を挙げることができ、特に、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体等が好適に使用される。また、本発明の一態様において、エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体は、2種類又はそれ以上の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する単量体単位を含むものであってもよい。
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体の具体例としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(i)エチレン−不飽和カルボン酸共重合体
ニュクレル(エチレン−メタクリル酸共重合体、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)
(ii)エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部又は全部を金属イオンで中和したアイオノマー
ハイミラン(エチレン−メタクリル酸共重合体のカルボキシル基の一部を亜鉛イオン又はナトリウムイオンで中和したアイオノマー、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)(iii)エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体
アクリフト(エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、住友化学株式会社製)、レクスパールEMA(エチレン−アクリル酸メチル共重合体、日本ポリエチレン株式会社製)、レクスパールEEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体、日本ポリエチレン株式会社製)、ロトリル(エチレン−アクリル酸メチル共重合体またはエチレン−アクリル酸ブチル共重合体、アルケマ社製)、エルバロイAC(エチレン−アクリル酸メチル共重合体・エチレン−アクリル酸エチル共重合体・エチレン−アクリル酸ブチル共重合体のいずれか、デュポン社製)
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体は単独で用いてもよく、2種類以上のエチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体を併用してもよい。
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体における不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する単量体単位の含有量は、フィルムの剛性と40℃における光散乱性(ヘイズ値)との兼ね合いから、好ましくは10質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上30質量%以下である(ただし、エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体の質量を100質量%とする)。
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体における不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する単量体単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル分析法により測定することができる。
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体におけるエチレンに由来する単量体単位の含有量は、フィルムの剛性と40℃における光散乱性(ヘイズ値)との兼ね合いから、好ましくは60質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは65質量%以上85質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以上80質量%以下である(ただし、エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体の質量を100質量%とする)。
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体におけるエチレンに由来する単量体単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル分析法により測定した不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する単量体単位の含有量を100質量%から引くことにより算出することができる。
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体として2種類以上のエチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体を併用する場合、共重合体におけるエチレンに由来する単量体単位の含有量Eは、下記式(5)により算出される。
E''(質量%)=
(E''・W'+E''・W'+・・・+E''・W')/(W'+W'+・・・W') (5)
(ただし、エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体1、エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体2、・・・エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体mのm種のエチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体を併用する(mは2以上の整数)とし、エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体kにおけるエチレンに由来する単量体単位の含有量をE''、樹脂組成物中の共重合体kの含有量をW'とする(kは1からmまでの整数)。)
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体のメルトフローレイト(MFR)は、フィルム状に加工する観点では好ましくは0.1g/10分以上10g/10分以下である。該MFRは、JIS K7120−1995に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件でA法により測定される。
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体の密度は、40℃付近に達する夏季に光散乱性を高めるという観点から、930kg/m以上950kg/m以下であり、より好ましくは935kg/m以上945kg/m以下である。なお、本発明におけるエチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体の密度は、JIS K6760−1981に規定された方法に従い測定された値である。密度が930kg/m未満であるか、950kg/mより大きいと、40℃付近における光散乱性(ヘイズ値)が得られにくくなるため好ましくない。
エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体として2種類以上のエチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体を併用する場合、共重合体の密度dは、下記式(6)により算出される。
d'(kg/m)=
(d'・W'+d'・W'+・・・+d'・W')/(W'+W'+・・・W') (6)
(ただし、エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体1、エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体2、・・・エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体mのm種のエチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体を併用する(mは2以上の整数)とし、エチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体kの密度(単位:kg/m)をd'、樹脂組成物中のエチレン−不飽和カルボン酸(誘導体)共重合体kの含有量(単位:kg)をW'とする(kは1からmまでの整数)。)
エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンに由来する単量体単位とα−オレフィンに由来する単量体単位とを主な単量体として有するエチレン−α−オレフィン共重合体のことをいう。エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレン単量体とα−オレフィン単量体とのランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
前記α−オレフィン単量体は、炭素数が3〜20であることが好ましく、前記エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体などを挙げることができる。これらのうち、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体が特に好ましい。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンと、2種以上のα−オレフィンとを共重合したものを用いてもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体は、強度に優れたフィルムの提供に寄与する。前記エチレン−α−オレフィン共重合体は、強度の高いフィルムを得る観点から、好ましくは、エチレンとα−オレフィンとが、メタロセン触媒を用いて重合されたものである。
前記エチレン−α−オレフィン共重合体として使用可能である市販品としては、以下のものを挙げることができる。エクセレンFX(住友化学株式会社製)、タフマー(三井化学株式会社製)、ENGAGE(Dow Chemical社製)、AFFINITY(Dow Chemical社製)、EXACT(ExxonMobil社製)、カーネル(日本ポリエチレン株式会社製)。
前記エチレン−α−オレフィン共重合体としては単独のエチレン−α−オレフィン共重合体を用いてもよく、2種類以上のエチレン−α−オレフィン共重合体を併用してもよい。
前記エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、40℃付近に達する夏季に光散乱性を高める観点から、860kg/m以上895kg/m以下であり、より好ましくは865kg/m以上890kg/m以下である。なお、本発明における密度は、JIS K6760−1981に規定された方法に従い測定された値である。
前記エチレン−α−オレフィン共重合体として2種類以上のエチレン−α−オレフィン共重合体を併用する場合、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度d''は、下記式(7)により算出される。
d''(kg/m)=
(d''・W''+d''・W''+・・・+d''・W'')/(W''+W''+・・・W'') (7)
(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体1、エチレン−α−オレフィン共重合体2、・・・エチレン−α−オレフィン共重合体mのm種のエチレン−α−オレフィン共重合体を併用する(mは2以上の整数)とし、エチレン−α−オレフィン共重合体kの密度(単位:kg/m)をd、樹脂組成物中のエチレン−α−オレフィン共重合体kの含有量(単位:kg)をWとする(kは1からmまでの整数)。)
前記エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレイト(MFR)は、好ましくは0.05g/10分以上20g/10分以下であり、より好ましくは0.1g/10分以上15g/10分以下である。該MFRは、JIS K 7120:1995に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件でA法により測定される。
連続相は、熱可塑性樹脂の他に、本発明の効果を阻害しない範囲内で、光安定剤、紫外線吸収剤、防曇剤、酸化防止剤、防霧剤、及び滑剤等から選択される少なくとも1つの添加剤を含んでもよい。
〔分散相〕
分散相は、有機系粒子、無機系粒子、及び熱可塑性樹脂から選択される少なくとも1つの成分を含むことが好ましい。分散相に含まれる成分の屈折率は、特に限定されないが、1.44以上1.65以下であることが好ましく、1.49以上1.53以下であることがより好ましい。
(有機系粒子)
有機系粒子としては、例えば、架橋アクリル系粒子が挙げられる。架橋アクリル系粒子としては、例えば、架橋(メタ)アクリル酸エステルとスチレンとの架橋共重合体粒子(架橋MMA−St共重合体粒子)、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(架橋PMMA粒子)等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどを挙げることができ、好ましくはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル又はメタクリル酸ブチルであり、より好ましくはメタクリル酸メチルである。
(メタ)アクリル酸エステルとスチレンとの架橋共重合体粒子は、(メタ)アクリル酸エステルとスチレンとに由来する単量体単位のみを含む架橋共重合体粒子であってもよく、(メタ)アクリル酸エステルとスチレンとに由来する単量体単位以外の単量体単位を含む架橋共重合体粒子であってもよい。なお、前記(メタ)アクリル酸エステルとスチレンとの架橋共重合体粒子において、全単量体単位に占める(メタ)アクリル酸エステルとスチレンとに由来する単量体単位の含有割合は、80質量%以上であることが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステルとスチレンとの架橋共重合体粒子における(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量は、好ましくは50〜99質量%であり、より好ましくは60〜90質量%である。また、前記(メタ)アクリル酸エステルとスチレンとの架橋共重合体粒子におけるスチレンに由来する単量体単位の含有量は、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。(ただし、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位とスチレンに由来する単量体単位との合計を100質量%とする。)
前記(メタ)アクリル酸エステルとスチレンとの架橋共重合体粒子は、(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1種と、スチレンと、必要に応じて他の単量体とを含む単量体成分を、懸濁重合などの公知の方法により重合することにより得ることができる。
架橋アクリル系粒子を得る方法としては、単量体成分を、架橋剤とともに懸濁重合する方法を挙げることができる。架橋剤としては、2個以上の不飽和基を有する化合物を用いることが好ましく、具体的には、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
前記有機系粒子の体積中位径は、40℃付近に達する夏季に光散乱性を高くする観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上であり、さらに好ましくは3μm以上である。また、当該体積中位径は、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。有機系粒子の体積中位径は、コールターカウンター法により測定される。
前記有機系粒子の屈折率は、1.500以上1.515以下である。当該屈折率は室温にて粒子液浸法を用いて測定した値である。
前記有機系粒子の市販品の例として、テクポリマーMSXシリーズ、テクポリマーSSXシリーズ(以上、積水化成品工業株式会社製)、アートパールGシリーズ、アートパールGSシリーズ(以上、根上工業株式会社製)、ガンツパールGSMシリーズ(以上、アイカ工業株式会社製)などを挙げることができる。
(無機系粒子)
無機系粒子としては、例えば、ガラス粒子、炭酸カルシウム、マイカ、カオリン、アルミノケイ酸塩(ゼオライト)、シリカ等が挙げられる。
ガラス粒子とは、二酸化ケイ素(SiO)を含む粒子であり、酸化ホウ素(B)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カルシウム(CaO)、及び酸化亜鉛(ZnO)からなる群より選択される少なくとも1種の無機化合物を含んでいてもよい。ガラス粒子は、さらに必要に応じて、更なる無機化合物及び添加剤を含んでもよい。具体的には、前記の無機化合物に加えてさらに、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム、酸化ビスマス、酸化アンチモン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステン、炭酸マグネシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、鉄等の慣用の無機化合物を必要に応じて適宜混合し、農業用フィルムを上記の複屈折率の範囲となるように調製することができる。
無機系粒子の形状としては、特に限定されず、粒子状(例えば、ガラスビーズ)、繊維状(例えば、ガラス繊維、ミルドファイバー)、フレーク状(例えば、ガラスフレーク)等の種々の形状の無機系粒子を用いることができる。
無機系粒子が粒子状である場合、その体積中位径は、40℃付近に達する夏季に光散乱性を高くする観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上であり、さらに好ましくは3μm以上である。また、当該体積中位径は、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。粒子の体積中位径は、レーザー回折法により測定される。
無機系粒子が繊維状である場合、アスペクト比は特に限定されないが、40℃付近に達する夏季に光散乱性を高くする観点から、アスペクト比が1〜500のものが用いられ、アスペクト比が1〜100のものがより好ましく用いられ、アスペクト比が1〜50のものがさらに好ましく用いられる。
その他、無機系粒子は、カップリング剤等の表面処理剤によって、表面処理されているものであってもよい。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸フェニル共重合体等の架橋されていないアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール(PVOH)、環状オレフィンコポリマー(COC)等が挙げられる。
分散相は、有機系粒子、無機系粒子、及び熱可塑性樹脂から選択される少なくとも1つの他に、本発明の効果を阻害しない範囲内で、赤外線吸収剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防曇剤、酸化防止剤、防霧剤、及び滑剤等から選択される少なくとも1つの添加剤を含んでもよい。
前記赤外線吸収剤としては、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物が挙げられる。ハイドロタルサイト類化合物の具体例としては、天然ハイドロタルサイトや商品名:DHT−4A(協和化学工業株式会社製)、マグクリア(戸田工業株式会社製)、マグセラー(協和化学工業株式会社製)、スタビエースHT−P(堺化学工業株式会社製)等が挙げられる。リチウムアルミニウム複合水酸化物の具体例としては、OPTIMA−SS(戸田工業株式会社製)、ミズカラック(水澤化学工業株式会社製)等が挙げられる。
本発明の一形態においては、ハイドロタルサイト類化合物を単独で用いてもよいし、リチウムアルミニウム複合水酸化物を単独で用いてもよい。あるいは、両者を併用しても良い。
前記光安定剤としては、例えば、特開平8−73667号公報に記載の構造を有するヒンダードアミン化合物を挙げられる。具体的には、商品名:チヌビン622、キマソーブ944、キマソーブ119(以上BASF製)、ホスタビンN30、VP Sanduv
or PR−31(以上クラリアント社製)、サイヤソーブUV3529、サイヤソーブUV3346(以上サイテック社製)等が挙げられる。
さらには、特開平11−315067号公報、特開2001−139821号公報、WO2005/082852、特表2009−530428号公報に記載の構造を有するヒンダードアミン化合物が挙げられる。具体的には、商品名:NOR371(BASF製)、アデカスタブLA−900(株式会社ADEKA製)、アデカスタブLA−81(株式会社ADEKA製)、ホスタビンNOW(クラリアント株式会社製)が挙げられる。
また、光安定剤として、エチレンに基づく単量体単位と環状アミノビニル化合物に基づく単量体単位とを有するエチレン−環状アミノビニル化合物共重合体も挙げることができる。かかるエチレン−環状アミノビニル化合物共重合体としては、特開2002−265693号公報に記載の構造を有するものが挙げられる。
連続相と分散相とからなる層を構成する樹脂組成物に含まれる光安定剤の含有量は、0.01〜3質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、特に0.1〜1質量%が好ましい。ただし、樹脂組成物の質量を100質量%とする。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、ベンゾエート類、置換オキザニリド類、シアノアクリレート類、トリアジン類等が挙げられる。
2−ヒドロキシベンゾフェノン類としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等が挙げられる。
2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’―ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
ベンゾエート類としては、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニルー3’、5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
置換オキザニリド類としては、2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等が挙げられる。
シアノアクリレート類としては、エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等が挙げられる。
トリアジン類としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール、2−〔4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等が挙げられる。
好ましくは、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類であり、より好ましくは、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。
紫外線吸収剤は、単独で又は二種以上で用いられる。連続相と分散相とからなる層を構成する樹脂組成物に含まれる紫外線吸収剤の含有量は、0.001〜3質量%が好ましく、0.005〜1質量%がより好ましい。ただし、樹脂組成物の質量を100質量%とする。
前記防曇剤としては、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノモンタネート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンジオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレンオキサイド付加物等のソルビタン系界面活性剤、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、トリグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンジモンタネート、グリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンセスキオレエート、テトラグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリントリオレエート、テトラグリセリントリオレエート、テトラグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレンオキサイド付加物等のグリセリン系界面活性剤、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート等のポリエチレングリコール系界面活性剤、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物、ソルビタン/グリセリン縮合物と有機酸とのエステル、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミンモノステアレート等のポリオキシエチレンアルキルアミン及びその脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジアルキルフェノール誘導体や2−アルキルフェノール誘導体等のいわゆるヒンダードフェノール系化合物、フォスファイト系化合物やフォスフォナイト系化合物等の3価のリン原子を含むリン系エステル化合物が挙げられる。これら酸化防止剤は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。特に色相安定化の観点から、ヒンダードフェノール系化合物とリン系エステル化合物を併用して用いることが好ましい。
前記防霧剤としては、例えば、パーフルオロアルキル基、ω−ヒドロフルオロアルキル基等を有するフッ素化合物(特にフッ素系界面活性剤)、またアルキルシロキサン基を有するシリコーン系化合物(特にシリコーン系界面活性剤)等が挙げられる。フッ素系界面活剤の具体例としては、ダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403N、DS−403、DS−406、DS−401(商品名)、AGCセイミケミカル株式会社製のサーフロンKC−40、AF−1000、AF−2000(商品名)等が挙げられ、シリコーン系界面活性剤としては、東レダウコーニング株式会社製のSH−3746(商品名)が挙げられる。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。連続相と分散相とからなる層を構成する樹脂組成物に含まれる防霧剤の含有量は、0.01〜3質量%が好ましく、0.02〜2質量%がより好ましく、0.05〜1質量%が特に好ましい。ただし、樹脂組成物の質量を100質量%とする。
<その他の層>
本発明の一形態に係る農業用フィルムは、連続相と分散相とからなる層のみを有するフィルムであってもよく、連続相と分散相とからなる層以外の層を有するフィルムであってもよい。本発明のフィルムの好ましい形態の一つとして、連続相と分散相とからなる中間層が、2つのポリオレフィン系樹脂層の間に存在する多層フィルムを挙げることができる。この層構成により、フィルムの強度を向上させることができるという利点が得られる。
前記の多層フィルムにおける2つのポリオレフィン系樹脂層は、同じであってもよく、異なっていてもよい。前記の多層フィルムの構成として、より具体的には、2種3層、3種3層、3種4層、4種4層、4種5層、5種5層等が例示できる。
多層フィルムが4種以上の層からなる場合、連続相と分散相とからなる層及びポリオレフィン系樹脂層のどちらとも異なる層を有していてもよく、ポリオレフィン系樹脂層を3層以上有していてもよい。また、連続相と分散相とからなる層が2層以上あってもよい。
例えば、ポリオレフィン系農業用フィルムが5層フィルムである場合、ポリオレフィン系樹脂層をA、連続相と分散相とからなる中間層をB、A、Bと異なる層をCとしたとき、C/A/B/A/C、A/B/A/C/C、A/A/B/A/A、A/A/B/B/A、A/B/A/B/A等のいずれであっても良い。
また、本発明の一形態に係るフィルムが3層からなる多層フィルムである場合には、各層の厚みの比は、40℃付近の光散乱性及び光線透過率とフィルムの強度との兼ね合いの観点から、ポリオレフィン系樹脂層/連続相と分散相とからなる層/ポリオレフィン系樹脂層が、1/2/1〜1/4/1であることが好ましい。
前記のポリオレフィン系樹脂層はポリオレフィン系樹脂を含有する。ポリオレフィン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン;高密度ポリエチレン;エチレン−1−ブテン共重合体やエチレン−1−ヘキセン共重合体等のエチレン系共重合体;エチレン−アクリル酸メチル共重合体やエチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体を挙げることができる。これらのポリオレフィン系樹脂は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記のポリオレフィン系樹脂層は、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、防曇剤、酸化防止剤、防霧剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、顔料等を含んでいてもよいが、所定のガラス粒子と所定のエチレン系共重合体との組み合わせを含んでいない点において、樹脂組成物からなる層とは区別され得る。
本発明の一形態に係るフィルムは、一方の表層として又は両面に、防曇性塗膜層を有していてもよい。かかる防曇性塗膜層としては、無機コロイドからなる防曇層、無機コロイドとバインダー樹脂とを含有する防曇性塗膜層が挙げられる。
無機コロイドは、疎水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に親水性を付与するものであり、通常、水等の液体分散媒中に、無機コロイドが分散されたゾルの形態で使用される。具体的には、シリカゾル、アルミナゾルが挙げられ、シリカゾルが好ましい。
バインダー樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル変性ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
前記バインダー樹脂は、通常、水や水とアルコール等の水性溶剤との混合溶剤に当該樹脂が分散されている水系エマルジョンとして用いられる。
防曇性塗膜層は、シリカとバインダー樹脂とを含有する防曇層が好ましい。更に、バインダー樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル変性ポリウレタン系樹脂が好ましい。
好ましいシリカとして、平均粒子径が5〜100nmの球状のものが挙げられる。
防曇性塗膜層に含まれるシリカ及びバインダー樹脂の合計を100質量%とするとき、シリカの含有量が30〜70質量%であり、バインダー樹脂の含有量が30〜70質量%であることが好ましく、シリカの含有量が50〜65質量%であり、バインダー樹脂の含有量が35〜50質量%であることがより好ましい。シリカの含有量が少なすぎると十分な防曇効果が得られず、逆に多すぎると、被膜が白濁化して低温下での光線透過率を低下させ得る。
シリカとバインダー樹脂とを含有する防曇性塗膜層は、例えば、以下に示すようにして形成することができる。バインダー樹脂を含有する水系エマルジョン、シリカを含有する水性シリカゾル、及び分散媒である水を混合し、攪拌して塗工液を得る。次に、この塗工液を、公知の手段を用いて塗布し、乾燥することにより、防曇層を形成することができる。塗布手段としては、具体的には、バーコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、刷毛コーティング、スプレーコーティング、キッスコーティング、ダイコーティング、ディッピング等が挙げられる。乾燥手段としては、例えば熱風乾燥が挙げられる。
シリカとバインダー樹脂からなるコーティング膜の厚みは、0.3〜1.5μmが好ましく、0.5〜1.2μmがより好ましい。
前記塗工液には、塗工性を向上させるために、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を含有させることができる。シリコーン系界面活性剤としては、例えばポリエーテル変性シリコーンオイルが挙げられる。
また、前記塗工液には、必要に応じて、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤を添加してもよい。
防曇性塗膜層は、前記フィルムの一方の表層として形成されていてもよいし、両方の表層として形成されていてもよい。また、防曇層は単層膜でも2層以上の多層膜でもよい。
<農業用フィルムの製造方法>
本発明の農業用フィルムの製造方法は、樹脂組成物をインフレーション法によって製膜する製膜工程を含むことが好ましい。連続相と分散相とからなる層を構成する樹脂組成物は、<農業用フィルム>で前述した通りである。
本発明の農業用フィルムの製造方法は、製膜工程の前に、樹脂組成物を混合する混合工程をさらに含んでいてもよい。
樹脂組成物を混合する方法としては、例えば、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、又は二軸混練機等の混合機で樹脂組成物を混合する方法を挙げることができる。
押出温度は、130℃以上200℃以下であることが好ましく、140℃以上180℃以下であることがより好ましい。なお、本明細書中において、押出温度とは、連続相と分散相とからなる層、及び連続相と分散相とからなる層以外の層の押出機、並びにダイスの温度をいう。
製膜工程において、BUR、引取速度等を適宜調整して、インフレーション法により樹脂組成物を製膜することにより、複屈折率Δnが1.15×10−3以下である農業用フィルムを製造することができる。複屈折率Δnが1.15×10−3より大きい場合は、BURを大きくし、引取速度を遅くすることにより、複屈折率Δnを小さくすることができる。なお、BURは、ブロー比及びブローアップ比とも呼ばれ、ダイの周に対する切り開いたフィルムのTD方向の幅の比である。
<農園芸用施設>
本発明の一形態に係る農業用フィルムは、農園芸用施設に展張するときにおいて、例えば、農園芸用施設に展張するための農園芸用施設フレームに、農業用フィルムが引っ掛かり破断することを好適に防止することができるため、その取扱いが極めて容易である。よって、本発明の一形態に係る農業用フィルムを用いて、農園芸用施設に展張する方法、及び農業用フィルムを用いて展張された農園芸用施設も、本発明の範疇である。
また、本発明の一形態に係る農業用フィルムで被覆された農園芸用施設においては、40℃付近に達する夏季にフィルムの光散乱性が高いため過剰な直射光に起因する作物の葉焼け等の障害を防ぐことができる。前記農園芸用施設は、ホウレンソウ、トマト、ネギ、キュウリ、イチゴ等の栽培に好適に用いられる。
本発明の一形態に係る農業用フィルムを備えた農園芸用施設としては、例えば、植物栽培用の温室、トンネル等が挙げられる。農園芸用施設において、前記の農業用フィルムは、例えば、農園芸用施設フレームに展張されている。
以下、本発明の実施例を示す。なお実施例及び比較例中の試験方法は次の通りである。
[試験方法]
<複屈折率>
フィルムにおける任意の5箇所について以下の方法で複屈折率Δnを測定し、その平均値をフィルムの複屈折率とした。
位相差測定装置(王子計測機器株式会社製、KOBRA−WPR)を用い、波長586nmにてフィルムの遅相軸及び進相軸の方向と面内リターデーションReの値とを求め、下記式により、複屈折率Δnを算出した。
Δn(複屈折率)= Re / d(全厚)
<中間層の断面の面積に対する円相当径1μm以上10μm以下の分散相の断面の面積の比率>
フィルム表面に対して垂直方向、且つ前記位相差測定装置を用いて求めたフィルム面内の遅相軸と平行方向にフィルムを切断した。光学顕微鏡(株式会社ニコン製、ECLIPSE LV100DA−U)を用いて、観察倍率は500倍とし、フィルムの断面の任意の2箇所の画像を取得した。後述する実施例に記載の、フィルムの断面画像の遅相軸に平行な方向の長さは実寸相当で238μmであった。
次に、画像解析システム(株式会社ニレコ製、LUZEX−AP)を用いて、フィルムの断面画像における、中間層の断面の面積に対する円相当径が1μm以上10μm以下である分散相の断面の面積の比率(以下、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率と記すことがある)を求めた。2箇所の断面画像についてそれぞれ円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率を求め、その平均値を当該フィルムの円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率とした。
<ヘイズ値>
株式会社村上色彩技術研究所製 温調ヘイズメーター(THM−150TL)を使用し、40℃において測定を行った。温度以外の測定条件はJIS K 7136:2000に準拠した。
<MD方向における引張破断伸び>
株式会社島津製作所製AGS−100Bを使用し、23℃、引張速度500mm/分において測定を行った。それ以外の測定条件はJIS K 6732−1981に準拠した。
[材料]
以下に、使用した材料を示す。
なお、下記に記載のMFRは、JIS K 7210:1999に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件でA法により測定された値に相当する。
エチレン系共重合体 :
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(以下、EVA−1とする)
密度 952kg/m
MFR(190℃、21.18N) 7g/10分
エチレンに由来する単量体単位の含有量 72質量%、酢酸ビニル(VA)に由来する単量体単位の含有量 28質量%(EVA−1の質量を100質量%とする)
(スミテート(登録商標)KA−30 住友化学株式会社製)
(2)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(以下、EVA−2とする)
密度 935kg/m
MFR(190℃、21.18N) 1.5g/10分
エチレンに由来する単量体単位の含有量 85質量%、酢酸ビニル(VA)に由来する単量体単位の含有量 15質量%(EVA−2の質量を100質量%とする)
(エバテート(登録商標)H2020 住友化学株式会社製)
(3)エチレン−1−オクテン共重合体(POE)(以下、POE−1とする)
密度 890kg/m
MFR(190℃、21.18N) 1g/10分
(ENGAGE(登録商標)8003 Dow Chemical社製)
ポリオレフィン系樹脂 :
(1)ポリエチレン樹脂(PE(EPPE))(以下、PE−1とする)
密度 912kg/m
MFR(190℃、21.18N) 0.5g/10分
(エクセレン(登録商標)GMH GH030 住友化学株式会社製)
(2)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)(以下、PE−2とする)
(3)ポリエチレン樹脂(PE(EPPE))(以下、PE−3とする)
密度 921kg/m
MFR(190℃、21.18N) 0.4g/10分
(エクセレン(登録商標)GMH GH051 住友化学株式会社製)
粒子 :
(1)架橋メタクリル酸メチル‐スチレン共重合体粒子(以下、粒子−1とする)
体積中位径=5μm
屈折率(23℃)=1.51
(テクポリマーMSX−5Z 積水化成品工業株式会社製)
(2)炭酸カルシウム(以下、粒子−2とする)
(3)OMicron(登録商標) NP5−P0(Sovitec社製ガラスビーズ)(以下、粒子−3とする)
体積中位径=5μm
屈折率(23℃)=1.51
ポリオレフィン系樹脂層/樹脂組成物の層/ポリオレフィン系樹脂層を備えた実施例1〜5及び比較例1〜5のフィルムを作成し、評価を行なった。
[実施例1]
<マスターバッチの作製>
マスターバッチ100質量%に対して、EVA−2 49.2質量%と、粒子−1 50質量%と、酸化防止剤Irganox 1010 (BASF社製)0.8質量%とをインテンシブミキサー(日本ロール製造株式会社製)に供給し、160℃で5分間混合し、得られた混合物を65mmφ単軸押出機(株式会社日本製鋼所製)に供給して押出し、ペレット化することで、中間層として用いる樹脂組成物のためのマスターバッチを得た。このマスターバッチをMB−1とした。
<フィルムの作製>
内層用押出機(40mm押出機)と、中間層用押出機(40mm押出機)と、外層用押出機(40mm押出機)と、100mmφダイス(リップ間隙1.2mm)とを備えた3層インフレーション成形機(株式会社プラコー製)を用い、三層のチューブ状フィルムを成形した。
具体的には、外層用ポリオレフィン系樹脂組成物の材料を外層用押出機に投入し、実施例1の樹脂組成物の材料を中間層用押出機に投入し、内層用ポリオレフィン系樹脂組成物の材料を内層用押出機に投入し、各押出機にて溶融混練した後、100mmφダイスから、内層が20μm、中間層が60μm、外層が20μm(全厚が100μm)となるように吐出量を調整して、溶融した各層の樹脂組成物を押出し、冷却して三層のチューブ状フィルムを成形し、BUR2.1で切り開き、引取速度4.1m/分で引き取り、三層の多層フィルムを得た。この時、内層、中間層、及び外層の押出機、並びにダイスは140℃の設定とした。
なお、外層用ポリオレフィン系樹脂組成物の材料は、PE−1 100質量%であった。また、実施例1の樹脂組成物の材料は、EVA−1、及びMB−1であり、配合量は、EVA−1が30質量%であり、EVA−2が40質量%であり、MB−1が30質量%であった。内層用のポリオレフィン系樹脂組成物の材料は、外層用のポリオレフィン系樹脂組成物の材料と同様とした。
得られたフィルムの複屈折率、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率、40℃におけるヘイズ値、及びMD方向における引張破断伸びを表1に示す。
[実施例2]
内層、中間層、及び外層の押出機、並びにダイスを150℃の設定としたほかは、実施例1と同じように樹脂組成物及びフィルムを得た。得られたフィルムの複屈折率、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率、40℃におけるヘイズ値、及びMD方向における引張破断伸びを表1に示す。
[実施例3]
引取速度を4.2m/分とし、内層、中間層、及び外層の押出機、並びにダイスを160℃の設定としたほかは、実施例1と同じように樹脂組成物及びフィルムを得た。得られたフィルムの複屈折率、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率、40℃におけるヘイズ値、及びMD方向における引張破断伸びを表1に示す。
[実施例4]
<マスターバッチ>
PE−2 40質量%と炭酸カルシウム60質量%とからなるマスターバッチを使用した。このマスターバッチをMB−2とした。
<フィルムの作製>
外層用ポリオレフィン系樹脂組成物の材料は、PE−1及びPE−3であり、配合量は、PE−1が50質量%であり、PE−3が50質量%であった。また、実施例4の樹脂組成物の材料は、PE−1、及びMB−2であり、配合量は、PE−1が92質量%であり、MB−2が8質量%であった。内層用のポリオレフィン系樹脂組成物の材料は、外層用のポリオレフィン系樹脂組成物の材料と同様とした。上述したほかは、実施例2と同じように樹脂組成物及びフィルムを得た。
得られたフィルムの複屈折率、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率、40℃におけるヘイズ値、及びMD方向における引張破断伸びを表1に示す。
[実施例5]
<マスターバッチの作製>
マスターバッチ100質量%に対して、EVA−2 49.2質量%と、粒子−3 50質量%と、酸化防止剤Irganox 1010 (BASF社製)0.8質量%とをインテンシブミキサー(日本ロール製造株式会社製)に供給し、160℃で5分間混合し、得られた混合物を65mmφ単軸押出機(株式会社日本製鋼所製)に供給して押出し、ペレット化することで、中間層として用いる樹脂組成物のためのマスターバッチを得た。このマスターバッチをMB−3とした。
<フィルムの作製>
実施例5の樹脂組成物の材料は、EVA−2、POE−1、及びMB−3であり、配合量は、EVA−2が10質量%であり、POE−1が40質量%であり、MB−3が50質量%であった。上述したほかは、実施例4と同じように樹脂組成物及びフィルムを得た。
得られたフィルムの複屈折率、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率、40℃におけるヘイズ値、及びMD方向における引張破断伸びを表1に示す。
[比較例1]
BURを1.4とし、引取速度を6.4m/分としたほかは、実施例1と同じように樹脂組成物及びフィルムを得た。得られたフィルムの複屈折率、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率、40℃におけるヘイズ値、及びMD方向における引張破断伸びを表1に示す。
[比較例2]
BURを1.4とし、引取速度を6.4m/分としたほかは、実施例2と同じように樹脂組成物及びフィルムを得た。得られたフィルムの複屈折率、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率、40℃におけるヘイズ値、及びMD方向における引張破断伸びを表1に示す。
[比較例3]
BURを1.4とし、引取速度を6.3m/分としたほかは、実施例3と同じように樹脂組成物及びフィルムを得た。得られたフィルムの複屈折率、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率、40℃におけるヘイズ値、及びMD方向における引張破断伸びを表1に示す。
[比較例4]
BURを1.4とし、引取速度を6.1m/分としたほかは、実施例4と同じように樹脂組成物及びフィルムを得た。得られたフィルムの複屈折率、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率、40℃におけるヘイズ値、及びMD方向における引張破断伸びを表1に示す。
[比較例5]
BURを1.4とし、引取速度を6.4m/分としたほかは、実施例5と同じように樹脂組成物及びフィルムを得た。得られたフィルムの複屈折率、円相当径1μm以上10μm以下の分散相比率、40℃におけるヘイズ値、及びMD方向における引張破断伸びを表1に示す。
Figure 2020058336
本発明に係る農業用フィルムは、植物栽培用の温室やトンネル等の農園芸用施設において、被覆材等として好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. 連続相と分散相とからなる層を少なくとも1層有し、下記(A)〜(D)を満たす農業用フィルム;
    (A)当該フィルム表面に対して垂直方向、且つ当該フィルム面内の遅相軸と平行方向に切断した断面において、前記分散相のうち円相当径が1μm以上10μm以下である分散相の断面の面積の比率が、前記層の断面の面積に対して1%以上30%以下、
    (B)複屈折率Δnが1.15×10−3以下、
    (C)前記連続相は、熱可塑性樹脂を含み、
    (D)前記分散相に含まれる成分の屈折率は、1.44以上1.65以下である。
  2. 請求項1に記載の農業用フィルムが農園芸用施設フレームに展張された農園芸用施設。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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