JP2020056863A - 表面微細凹凸シート - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、抗菌作用を有する抗菌剤として例えば銀イオンを担持した銀ゼオライト等の化合物やカテキンやヒノキチオール等の天然抗菌剤等を塗布やコーティングすることによる抗菌効果について記載されている(特許文献1参照。)。
[1] 一方の表面に不規則な波状凹凸パターンを有する表面微細凹凸シートであって、前記波状凹凸パターンの凸条部の平均ピッチが20μmを超え100μm以下であり、前記凸条部のアスペクト比が0.05〜1であることを特徴とする表面微細凹凸シート。
[2] 前記平均ピッチが25〜50μmである、[1]に記載の表面微細凹凸シート。
[3] 光拡散性シートである、[1]又は[2]に記載の表面微細凹凸シート。
「不規則な波状凹凸パターン」とは、表面微細凹凸シートの法線方向に平行な少なくとも一つの面に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な微細な波状の凹凸形状である下記のパターンのことをいう。
なお、波状凹凸パターンでは、少なくとも、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部と凹条部とが交互に繰り返される上記一方向(以下、「凸条部の配列方向」ともいう。)に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な波状の凹凸形状となる。
(b)各凹条部が蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凹条部の谷線が蛇行し、隣接する凹条部の谷線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に谷線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の谷線が途中で枝分かれしたり、複数の谷線が途中で合一していてもよい。
〔表面微細凹凸シート〕
図1は、本実施形態例の表面微細凹凸シートを模式的に示す斜視図である。
本実施形態例の表面微細凹凸シート10Aは、波状凹凸パターン形成面11に、先に説明した波状凹凸パターンに該当する波状凹凸パターン(1A)が形成されている。
図2は、本実施形態例の表面微細凹凸シートの、「波状凹凸パターン形成面」の光学顕微鏡画像である。図3は、波状凹凸パターン形成面の原子間力顕微鏡による三次元画像である。
図4は、本実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン(1A)を示すものであって、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部の配列方向に沿って切断した縦断面の模式図である。図4は、図1においてX軸に対して垂直となるように(Y軸Z軸が形成する面に対して平行となるように)切断して得られた断面の模式図ともいえる。
図4に示すように、凸条部11aの上記縦断面形状は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。また、各凸条部11aの上記縦断面形状は、それぞれが基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状であるとともに、先端が丸みを帯びている。また、各凸条部11aの上記縦断面形状において、先端側と基端側とを結ぶ線は、先端側から基端側に向けて滑らかに連続的に下降している。また、各凸条部11aは、上述の縦断面形状およびその面積のうちの少なくとも一方が、当該凸条部11aの延在方向(筋状に延びている方向)に沿って変化しており、一定でない。
また、各凸条部11aにおいて、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
また、隣り合う凸条部11a間の各凹条部において、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
なお、平均ピッチは、図2のような、凸条部11aが20本以上含まれる波状凹凸パターン形成面11の平面画像を得て、隣り合う凸条部11aの20本分について、凸条部11aの配列方向に沿う長さを5箇所測定し、測定値の平均値を20で割ることにより求めることができる。この平均ピッチは、表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面における100箇所の凸条部11aのピッチを平均した値ともいえる。
また、平均ピッチは、次の方法でも求められる。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面11の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析によりピッチを求める。この方法は、たとえば特開2008−302591号公報(特許第4683011号公報)等に記載されており、これを参照できる。なお、該公報の段落[0024]にも記載のとおり、当該方法で求められる最頻ピッチと、上記平均ピッチは、同等に扱うことができる。
アスペクト比の調整方法としては、後述する硬質層の組成や厚さ、加熱収縮性フィルムのガラス転移温度や加熱収縮による変形率、積層フィルムの加熱収縮方法等が挙げられる。
たとえばミクロトームを用いて、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部の配列方向に沿って切断した切断面を有する薄片サンプルを得て、該薄片サンプルの切断面の光学顕微鏡画像を得る。そして、該光学顕微鏡画像の切断面から、ランダムに50個の凸条部を選択し、これら各凸条部の高さHを求める。
具体的には、図4に示すように、1つの凸条部11aの頂部Tと該凸条部11aの一方側に位置する凹条部の底部B1との垂直距離をLiとし、該凸条部11aの頂部Tと該凸条部11aの他方側に位置する凹条部の底部B2との垂直距離をRiとした場合に、H=(Li+Ri)/2で求められるのが、その凸条部11aの高さである。
このようにして求めた50個の凸条部の高さの平均値が「凸条部の平均高さ」である。
表面微細凹凸シート10Aの材質については、後述する。
表面微細凹凸シートが無機物である場合、当該無機物としては例えば金属が挙げられる。当該金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等が挙げられる。
本実施形態例の表面微細凹凸シート10Aは、たとえば、以下の製造方法により製造できる。
工程(a1):
波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)を表面に有する原版(W)を製造する工程(a1)。
工程(a2):
原版(W)の上記転写形状をさらに他の材料に転写し、一方の面に波状凹凸パターン(1A)が形成された表面微細凹凸シートを得る工程(a2)。
工程(a1)としては、たとえば、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面が平滑で少なくとも1種の樹脂から構成される硬質層を少なくとも1層積層させて、積層フィルムを得る工程(a1−1)と、積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、硬質層を折り畳むように変形させて、表面に波状凹凸パターン(1A)が形成された凹凸パターン形成シートを得る工程(a1−2)と、該凹凸パターン形成シートの硬質層側の表面にニッケル等の金属を堆積させた後に剥離し、波状凹凸パターン(1A)の転写形状が転写された原版(W)を得る工程(a1−3)とを有する工程等が挙げられる。
なお、硬質層は、加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させる温度条件下で軟化しない層である。軟化しないとは、硬質層のヤング率が100MPa以上であることを意味する。
加熱収縮性樹脂フィルムとは、80〜180℃の温度で加熱した際、特定の方向に収縮(シュリンク)するフィルムのことを意味する。このようなフィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルム、ポリオレフィン系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニル系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニリデン系シュリンクフィルムなどを用いることができる。また、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィンなどの樹脂から構成されるフィルムも挙げられる。
耐熱性の点では、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルムが好ましい。
本実施形態例では、加熱収縮性樹脂フィルムとして、1軸延伸フィルム、2軸延伸フィルム等が挙げられるが、好ましくは1軸延伸フィルムを用いる。1軸延伸は、縦延伸、横延伸のいずれであってもよい。
また、加熱収縮性樹脂フィルムとしては、収縮率が20〜90%のフィルムが好ましく、30〜80%のフィルムがより好ましい。収縮率が前記下限値以上であれば、凹凸パターン形成シートをより容易に製造できる。収縮率が上限値を超える加熱収縮性樹脂フィルムは製造が困難である。
(収縮率[%])={(収縮前の長さ)−(収縮後の長さ)}×100/(収縮前の長さ)(ただし、長さは加熱収縮性樹脂フィルムの収縮方向の長さである。)
また、樹脂Mは硬化後の電離放射線硬化性樹脂のように明確なガラス転移温度が存在しないようなものも使用できる。硬質層を構成する樹脂としてガラス転移点が存在するような一般的な熱可塑性樹脂を使用する場合、前記一般的な熱可塑性樹脂は分子量分布が存在し、前記加熱収縮性フィルムを収縮させる温度条件下で低分子量成分の一部が軟化し、結果、硬質層を折り畳むような変形が充分に行われない場合がある。
一方、硬化後の電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線硬化により分子間での架橋が進行し、低分子量成分が残存しにくいことから、前記硬質層を折り畳むような変形が充分に行われ、その結果、加熱収縮性フィルムの収縮率が同一な場合でも、アスペクト比が大きくなる傾向がある。
前述のように、本発明の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンの好ましいアスペクト比である0.05以上を得るためには、硬質層に電離放射線硬化性樹脂を使用する方が望ましい。
樹脂Mのヤング率は、加熱収縮させる工程(a1−2)の温度(80〜180℃)において、0.01〜300GPaの範囲内にあることが好ましく、0.1〜10GPaの範囲内にあることがより好ましい。樹脂Mのヤング率が上記下限値以上であれば、波状凹凸パターン(1A)の形状を維持するのに充分な硬さであり、上限値以下であれば、より容易に凹凸パターン形成シートを製造できる。
硬質層形成用塗料の調製方法としては、トルエン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等の1種以上の溶媒で、樹脂Mを希釈する方法等が挙げられる。硬質層形成用塗料の固形分濃度(樹脂Mの濃度:硬質層形成用塗料の質量(100質量%)に対して、該塗料中の溶媒が揮発した後に残る固形分の質量の比率)は、塗料の総質量に対して1〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。
加熱収縮性樹脂フィルムへの樹脂溶液の乾燥塗工量は、1〜10g/m2にすることが好ましい。上記範囲内であれば、硬質層の厚みを上記好ましい範囲にとすることができ、硬質層に、波状凹凸パターン(1A)を形成しやすい。
工程(a1−2)では、工程(a1−1)で得られた積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、硬質層を折り畳むように変形させて、かつ、加熱収縮性フィルムの表面を硬質層の変形に追従するように変形させて、表面に波状凹凸パターン(1A)と同じパターンが形成された凹凸パターン形成シートを得る。
工程(a1−2)では、30%以上の収縮率で収縮させることが好ましい。収縮率を30%以上にすると、収縮不足の部分(たとえば凹凸が充分に形成されない部分、アスペクト比が充分には大きくない部分等。)を小さくすることができる。一方、収縮率を大きくし過ぎると、得られる凹凸パターン形成シートの面積が小さくなり、歩留まりが低下するため、収縮率の上限は80%が好ましい。
具体的には、該加熱温度は、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂Lのガラス転移温度Tg1以上の温度にすることが好ましい。Tg1以上の温度で熱収縮させると、波状凹凸パターン(1A)を容易に形成できる。
また、該加熱温度は、(樹脂Mのガラス転移温度Tg2M+15℃)未満であることが好ましい。
積層フィルムを加熱する時間は、1〜3分間が好ましく、1〜2分間がより好ましい。熱風の風速は、1〜10m/sが好ましく、2〜5m/sがより好ましい。
工程(a1−3)は、上述の工程(a1−2)で得られた凹凸パターン形成シートの硬質層側の表面に、たとえばニッケル等の金属を公知の電気鋳造法等で堆積させ、その後、該金属を剥離し、波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)が転写された金属製の原版(W)を得る工程である。
なお、上記のような転写を2回以上繰り返して得たもの等であってもよい。
工程(a2)としては、原版(W)の波状凹凸パターン(1A)を他の材料に転写する転写工程を行う。転写工程としては、例えば、特許第4683011号公報等に開示の公知の方法を採用できる。
(未硬化の)電離放射線硬化性樹脂組成物には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂に加えて、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性である場合には、電離放射線硬化性樹脂組成物にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
熱硬化性樹脂を用いる場合には、例えば、未硬化の熱硬化性樹脂を含む液状の熱硬化性樹脂組成物を原版(W)の波状凹凸パターン(1A)を有する面に塗布し、加熱により硬化させる方法が挙げられ、熱可塑性樹脂を用いる場合には、熱可塑性樹脂のシートを用い、原版(W)の波状凹凸パターン(1A)を有する面に押し当てながら加熱して軟化させた後、冷却する方法が挙げられる。
工程(b1):
波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)を表面に有する原版(W)を製造する工程(b1)。
工程(b2):
原版(W)の上記転写形状をさらに他の材料に転写し、一方の面に波状凹凸パターン(1A)が形成された表面微細凹凸シートを得る工程(b2)。
レーザー彫刻装置としては、レーザー光を発生するレーザー装置と、光学系とを備えたものが挙げられる。レーザー装置としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、イッテルビウムファイバーレーザー等が挙げられる。光学系としては、コリメーターレンズ、対物レンズ等の各種レンズの組み合わせが挙げられる。レーザー彫刻装置としては、特開2010−181862号公報、特開平5−24172号公報、特開平8−28441号公報、特開平8−293134号公報、特開2011−20407号公報等に記載の公知のレーザー彫刻装置が挙げられる。
また、凹条の平均間隔をレーザーのビーム径よりも大きくする場合は、広幅彫刻を行う方法がある。広幅彫刻は、一度レーザー彫刻した箇所から彫刻位置を凹条の延在方向に直交する方向に少しずつ移動してレーザー彫刻する方法である。広幅彫刻では、凹部の中心をより深くするために、繰り返してレーザー彫刻しても良い。
工程(b2)は上記工程(a2)と同様の方法を用いることで表面微細凹凸シートが得られる。
さらに、本発明の表面微細凹凸シートは、表面に形成された波状凹凸パターンにより、表面の結露を防止し、表面の乾燥を促進させることができる。すなわち、表面微細凹凸シートの表面で水蒸気が凝集して水滴が形成された場合、水滴は凸条部および凹条部の延在方向に沿って、濡れ広がって合一し、水膜が形成されるため、表面には小さい水滴が残らない。濡れ広がった水膜は、水滴と比べて、外気との接触面積が大きくなるため、蒸発が促進し、表面の乾燥が相対的に早くなるため、真菌、細菌、バクテリア等の湿気による増殖を抑制できる。
さらに、本発明の表面微細凹凸シートは、表面に形成された波状凹凸パターンにより、建物の内壁に使用された場合、電灯等の室内光を拡散し、室内全体を均一に明るくすることが出来る。このため、本発明の表面微細凹凸シートは、光拡散(性)シートとして好適に使用することができる。特に、本発明の表面微細凹凸シートは、結露が生じやすい環境下においても高い抗菌性能を発揮し、且つ光拡散性に優れるため、建物内での光拡散性シートとして好適に使用することができる。
以上の理由により、本発明の表面微細凹凸シートは高い抗菌性能を発揮し、表面の物理的な破壊が生じない限りは抗菌効果が劣化、枯渇することがなく、長期にわたって使用できる抗菌物品を提供することができる。
本発明の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンは、法線方向から見た場合に互いに非平行で、また、法線と波状凹凸パターンの配列方向とを含む平面で切断した場合の断面形状が波状で互いに不規則な形状であるため、凸条部のピッチは適度にばらついており、例えば、波状凹凸パターンの代わりに断面が円の一部である複数の凹凸形状が一方向に平行に延在し一定間隔で配列している蒲鉾状パターンや、断面が二等辺三角形である複数の凹凸形状が一方向に平行に延在し一定間隔で配列しているV溝パターンと比較して、実際の状況のように、様々なサイズの真菌、細菌、バクテリアが混在する場合でも、抗菌効果が大きい、という特徴を有する。
表面微細凹凸シートの凸条の平均高さは、下記のように求めた。
レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK−8500)を用い、対物レンズ50倍、測定ピッチ0.1μmの条件にて表面微細凹凸シートの表面微細凹凸の3次元形状を測定した。続いて、表面微細凹凸シートを、凸条の延在方向に直交する方向にかつ表面微細凹凸シートの厚さ方向に切断したときの断面(図1、図3および図5ではYZ平面と平行となるように切断したときの断面)に相当する断面形状の測定を行った。凸条に隣接する一方の凹条の底部から凸条の頂部までの高さH1を測定した。同様に、凸条に隣接する他方の凹条の底部から凸条の頂部までの高さH2を測定した。高さH1と高さH2との平均値を凸条の高さHとした。無作為に選ばれた50箇所の凸条のそれぞれについて高さHを求めた。50箇所の凸条12の高さHの平均値を求め、これを凸条の平均高さとした。
表面微細凹凸シートの凸条の平均間隔は、下記のように求めた。
レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK−8500)を用い、対物レンズ50倍、測定ピッチ0.1μmの条件にて表面微細凹凸シートの表面微細凹凸を測定した。続いて、表面微細凹凸シートを、凸条の延在方向に直交する方向にかつ表面微細凹凸シートの厚さ方向に切断したときの断面(図1、図3および図5ではYZ平面と平行となるように切断したときの断面)に相当する断面形状の測定を行った。無作為に選ばれた基準となる凸条の頂部から20本隣の凸条の頂部までの幅W20を求めた。無作為に選ばれた基準となる凸条は、前記表面微細凹凸シートの凸条の平均高さを求めた際に選ばれた50箇所の凸条のうちの1つであり、凸条の平均深さの値に最も近い深さを有する凸条とした。次に、幅W20を無作為に5箇所測定し、その平均値を20等分した値を凸条の平均間隔とした。
表面微細凹凸シートの凸条のアスペクト比は、凸条の平均高さを凸条の平均間隔で除して求めた。
(原版(W)(転写ロール))
表面の材質が銅であるロール本体の表面に、レーザー彫刻装置付属のイッテルビウムファイバーレーザー(IPGフォトニクス社製)を用い、レーザー光のビーム径2.8μm、レーザー出力240W、レーザーパルス長120ns、ロール周速45cm/s、凹条の平均間隔36μmの条件で、ロール本体の周方向に延在する複数の凹条を彫刻した。
複数の凹条を彫刻したロール本体に対して、水洗浄(純水、25kHzの超音波洗浄)を5分行った。次に酸性液(濃度10%(v/v)の硫酸水溶液)にて50℃で3分酸洗浄を行った後、電鋳液(スルファミン酸ニッケル600g/リットル、塩化ニッケル5g/リットル、硼酸40g/リットル、ナフタリンスルホン酸ナトリウム0.5g/リットル、ラウリル硫酸ナトリウム1g/リットル)にて、液温50℃、電流密度1.5A/dm2の条件で23分電解めっきを行った。これにより、表面微細凹凸を有する転写ロールを得た。
基材(東洋紡社製、透明PETフィルム、A4300、厚さ250μm)の片面に、紫外線硬化性樹脂を含有する液状の紫外線硬化性樹脂組成物を、厚さが20μmとなるように塗布し、樹脂組成物塗膜付き基材を得た。樹脂組成物塗膜を転写ロールの表面に押し当てるように、樹脂組成物塗膜付き基材を転写ロールに接触させた。メタルハライドランプからの紫外線照射量が700mJ/cm2となるように、転写ロールに接触している樹脂組成物塗膜付き基材に対して紫外線を照射し、樹脂組成物塗膜中の紫外線硬化性樹脂を硬化させた。硬化樹脂組成物塗膜付き基材を転写ロールから剥がした。これにより、透明PETフィルムからなる基材層の表面に、紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を主成分とする表面層を有する表面微細凹凸シートを得た。表面微細凹凸シートの表面層の表面には、転写ロールの表面凹凸が反転した表面微細凹凸が転写されていた。また、表面層の裏面に設けられている基材層には転写ロールの表面微細凹凸が転写されておらず、基材層と表面層との界面が平滑であった。表面微細凹凸シートの凸条の平均高さ、凸条の平均間隔、凸条のアスペクト比を表1に示す。
レーザー光のビーム径を1.8μmに変更し、レーザー出力を340Wに変更し、凹条の平均間隔を18μmに変更し、酸洗浄を3分に変更し、電解めっきを9分に変更した以外は、実施例1と同様にして転写ロールを得た。
比較例1の転写ロールを用いた以外は、実施例1と同様にして表面微細凹凸シートを得た。表面微細凹凸シートの凸条の平均高さ、凸条の平均間隔、凸条のアスペクト比を表1に示す。
凹条の平均間隔を120μmに変更し、広幅彫刻を行い、酸洗浄を20分に変更し、電解めっきを45分に変更した以外は、実施例1と同様にして転写ロールを得た。
比較例2の転写ロールを用いた以外は、実施例1と同様にして表面微細凹凸シートを得た。表面微細凹凸シートの凸条の平均高さ、凸条の平均間隔、凸条のアスペクト比を表1に示す。
酸洗浄を20分に変更し、電解めっきを45分に変更した以外は、実施例1と同様にして転写ロールを得た。
比較例3の転写ロールを用いた以外は、実施例1と同様にして表面微細凹凸シートを得た。表面微細凹凸シートの凸条の平均高さ、凸条の平均間隔、凸条のアスペクト比を表1に示す。
レーザー光のビーム径を1.2μmに変更し、レーザー出力を340Wに変更し、酸洗浄を17分に変更し、電解めっきを40分に変更した以外は、実施例1と同様にして転写ロールを得た
比較例4の転写ロールを用いた以外は、実施例1と同様にして表面微細凹凸シートを得た。表面微細凹凸シートの凸条の平均高さ、凸条の平均間隔、凸条のアスペクト比を表1に示す。
転写ロールにV字型のバイトを用いて切削を行い、表面にピッチが50μm、高さが50μmの単位V溝が規則的に配列された転写ロールを得た。
比較例5の転写ロールを用いた以外は、実施例1と同様にして表面微細凹凸シートを得た。表面微細凹凸シートの凸条の平均高さ、凸条の平均間隔、凸条のアスペクト比を表1に示す。
上記実施例および比較例の表面微細凹凸シートを使用した評価手順および評価結果を以下に示す。
JIS Z 2801:2010「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」5 試
験方法(URL:http://kikakurui.com/z2/Z2801−20
12−01.html)に基づき、抗菌力試験を実施した。菌株には大腸菌(NBRC
3972)を使用している。
乾燥した試験片の上に、生菌数を制御した菌液を0.4mL滴下し、40mm×40m
mに断裁したポリエチレンフィルムを載せることにより、試験片表面上に菌液を薄く広げ
つつ被覆して乾燥を防ぐ。その状態の試験片を35℃環境下において24時間静置する。
試験片を洗い流して回収した菌液を寒天培地にて培養し、希釈した後にコロニー数をカ
ウントすることで元の試験片上の菌数を算出する。
また、同様の手順で3回試験を行い、各試験の平均値を以って抗菌性を判断する。
表1に、実施例および比較例の表面微細凹凸シートに関して抗菌力試験を行った結果を記載する。
ただし、試験後の菌数は、表面に微細凹凸が形成されいない鏡面シートに関して同様の試験を行った際の試験後の菌数を1としたときの相対値である。
実施例および比較例の表面微細凹凸シートを温度25±2℃、湿度25%の恒温室に30分間放置した。次いで、−10±2℃のプレート上に1分間静置した。その後、表面微細凹凸シート表面の結露発生状況を目視で確認し、表面に曇りが見られなかったものを合格(○)、曇りが見られたものを不合格(×)とした。評価結果を表1に示す。
上記1.の「相対生菌数による評価」試験が行われた実施例1および比較例3の表面微細凹凸シートに対して、同様の試験をさらに7回行った(即ち、合計10回の相対生菌数による評価試験を行った)。10回目の相対生菌数が、上記1.評価試験によって得られた平均値に対して2倍未満であった場合を○とし、2倍を超えた場合を×とした。評価結果を表1に示す。
実施例1および比較例4の表面微細凹凸シートに対して引っかき硬度試験(鉛筆法)(JIS K 5600−5−4)を行い、鉛筆硬度HB以下での試験で表面微細凹凸シートに変化が生じなかったものを○とし、表面微細凹凸シートに変化が生じた(ひび、折れ、割れ等)ものを×とした。評価結果を表1に示す。
実施例および比較例の表面微細凹凸シートの光拡散性は、配光特性測定装置(GENESIA GonioFar Field Profiler(ジェネシア社製))を持ちて以下のように評価する。
微細凹凸形成面の反対側の平滑面側から光を照射、入射させる。その際に、入射面とは反対面側から垂直に出光する出射光(出光角度=0°)の照度を基準値とし、表面微細凹凸の凸条の配列方向に沿う出光角度−90°〜+90°の範囲内の出射光の照度を、上記基準値に対する相対値として、1°おきに測定する。そして、各方向の出光角度に対する照度の値をプロットして照度曲線を得る。前記照度曲線における半値幅(全半値幅)を拡散角度とし、表1に示す。
比較例1の表面微細凹凸シートは抗菌効果、結露のしやすさおよび光の拡散性が実施例1と同等であった。しかし、実施例1の表面微細凹凸シートは前記抗菌力試験を繰り返し実施しても、抗菌効果は一定であったが、比較例1の表面微細凹凸シートは前記抗菌力試験を繰り返し実施すると、抗菌効果が低下した。この理由としては、比較例1の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンの平均ピッチが18μmと十分に大きくないため、波状凹凸パターンが埋まりやすく、抗菌効果が失われやすいことが考えられる。
比較例2の表面微細凹凸シートは平均ピッチが120μmと大きすぎるため、抗菌効果が相対的に低かった。また、比較例1の表面微細凹凸シートは相対的に結露しやすく、真菌、細菌、バクテリア等の湿気による増殖が促進されるため、抗菌効果はさらに低下すると考えられる。
比較例3の表面微細凹凸シートはアスペクト比が0.04であるため、抗菌効果が相対的に低かった。また、比較例1の表面微細凹凸シートは相対的に結露しやすく、真菌、細菌、バクテリア等の湿気による増殖が促進されるため、抗菌効果はさらに低下すると考えられる。また、比較例3の表面微細凹凸シートは、アスペクト比が0.04であるため、光の拡散性が十分に大きくなかった。
比較例4の表面微細凹凸シートは抗菌効果、結露のしやすさ、光の拡散性が実施例1の表面微細凹凸シートと同等であった。しかし、実施例1の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンは他の物質と接触しても変形しにくいが、比較例4の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンは他の物質との接触等により折れやすかった。この理由としては、比較例4の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンのアスペクト比が大きすぎるため、他の物質との接触の影響を受けやすいことが考えられる。
比較例5の表面微細凹凸シートは実施例1に比べて抗菌効果が低かった。比較例5の表面微細凹凸シートは表面の凹凸パターンの形状が単位V溝であり、V溝同士の間隔(周期)が一定であるため、様々なサイズの真菌、細菌、バクテリア等に対する抗菌効果が十分ではなく、抗菌効果が相対的に低下したと思われる。また、比較例5の表面微細凹凸シートは表面の凹凸パターンの形状が単位V溝であるため、光が拡散せず、拡散角度が測定できなかった。
Claims (3)
- 一方の表面に不規則な波状凹凸パターンを有する表面微細凹凸シートであって、前記波状凹凸パターンの凸条部の平均ピッチが20μmを超え100μm以下であり、前記凸条部のアスペクト比が0.05〜1であることを特徴とする表面微細凹凸シート。
- 前記平均ピッチが25〜50μmである、請求項1に記載の表面微細凹凸シート。
- 光拡散性シートである、請求項1又は2に記載の表面微細凹凸シート。
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KR102177173B1 (ko) * | 2020-06-29 | 2020-11-11 | 엠.씨.케이 (주) | 항균제품 및 이의 제조방법 |
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-
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- 2018-10-01 JP JP2018186354A patent/JP2020056863A/ja active Pending
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