JP2012068276A - 光拡散シート - Google Patents
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【解決手段】 一方向に山が連続しており、該方向に直交する方向に、山と谷が繰り返され、山のピッチの平均値が1〜10μmである、略波形あるいは略半円柱形の凹凸模様を有する合成樹脂性の光拡散シートにおいて、山の頂部に、200nm以下の微細凹凸を形成したことを特徴とする、光拡散シート。該微細凹凸は半球状が好ましく、該微細凹凸は該一方向に連続する山の頂部に連続してもしくは、間歇的に配置される。
【選択図】 図5
Description
例えば、特許文献1には、凹凸模様が形成された光拡散体として、光透過性基材の少なくとも片面に突起体が複数形成され、突起体の高さが2〜20μm、突起体の頂点の間隔が1〜10μm、突起体のアスペクト比が1以上のものが開示されている。また、突起体を形成する方法として、光透過性基材の表面を、KrFエキシマレーザー等のエネルギービームの照射により加工する方法が開示されている。
特許文献5には、金型による成形などにより、不規則な波形を形成した異方性拡散シートが開示されている。
一方、前記特許文献2〜5のような、合成樹脂性フィルムで形成され、凹凸が1〜10μm程度である光拡散シートの場合、合成樹脂の成形という手段を取るため、表面が角ばった鋭利な形状にはならない。そのため、異方性拡散の効果は制限されている。即ち、図1において、波形の斜面にあたるdのような光は屈折したり反射したりしてX軸方向に拡散されるが、波形のなだらかな頂部においては、a〜cように、拡散しない光が多く存在する。
[1] 一方向に山が連続しており、該方向に直交する方向に、山と谷が繰り返され、山のピッチの平均値が0.4〜10μmである、略波形あるいは略半円柱形の凹凸模様を有する合成樹脂性の光拡散シートにおいて、山の頂部に、大きさが200nm以下の微細凹凸を形成したことを特徴とする、光拡散シート。
[2] 該微細凹凸は半球状であり、球の直径が200nm以下である、[1]に記載の光拡散シート。
[3] 該微細凹凸は該一方向に連続する山の頂部に、凝集物が間隔をおいて配置されていることを特徴とする、[1]または[2]に記載の光拡散シート。
本発明において、「一方向に山が連続している」とは、典型的には図2のような形状を指すが、図3のようなものも含んでいる。即ち、図3において、全体として山がY軸方向に向かって連なっているという意味であり、ある部分で山の頂部がX軸に向かってうねっている状態があっても良い。
本明細書で略波形とは、図3のように、断面が概略三角形の山であるが、頂部が丸みを帯びているものを示す。断面がサインカーブのような形状もこれに該当する。
また、略半円柱形とは、図2のように、山の断面形状が大体半円形状であるものを意味し、半円よりも深い円に近いもの、あるいは半円よりも浅い形状であっても良い。また、前記特許文献5の図1あるいは図2のように、不規則な形状のものも含む。
本発明において、山の高さは、谷と谷に挟まれる山の谷からの平均的な高さのことであり、図4におけるb1とb2の平均値からB2を引いた値を多数求めて20箇所の平均値を取った値である。
本発明では、光を拡散するという目的から、ピッチの平均値は0.4〜10μmの範囲であり、高さは任意で良いが、好ましくは、0.2〜20μmの範囲である。高さは、ピッチの0.5〜2倍程度が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリアクリル酸エステル系、ポリウレタン系など各種の汎用樹脂あるいはシリコーン樹脂、フッ素樹脂などが使用できる。拡散のみならず、輝度向上を兼ねる場合には透明樹脂が好ましく、透明樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体などが挙げられる。
セルロースを原料とした半合成体としては、セルロースアセテート、レーヨンなどが挙げられる。
光拡散シートの厚さとしては、30μm〜3mm程度である。
微細凹凸の大きさは、全体の光透過率の均一性を損なわないように、可視光線の半波長未満であることが好ましく、球状である場合は直径が200nm以下であることが好ましい。繊維状のように細長い場合では、長さが200nm以下であることが好ましい。また、微細凹凸は幾つかの粒子が凝集して存在していることが光の拡散性の観点から好ましく、特に、凝集物が間隔をおいて飛び飛びに存在することが好ましい。
微細凹凸の量は、シートを上面から電子顕微鏡で撮影し、撮影部分の面積に対して、微細凹凸部の面積が閉める割合を面積占有率とした時に、面積占有率が0.1〜10%であることが好ましい。なお、面積占有率は、任意に10箇所を測定し、平均値を取るものとし、1箇所の撮影は、10μm角の視野を1万倍で撮影する。
面積占有率で0.1%より少ないと、異方性拡散を向上する効果に乏しく、10%を超えると、大きな凹凸が不均一に発生する危険性が出てくる。同様の理由で、面積占有率は、0.5〜5%が最も好ましい。
本発明の光拡散シートは、まず、「一方向に山が連続しており、それに直交する方向に山と谷が繰り返される、略波形の凹凸模様を有する合成樹脂性のシート」を原反シートとして製造する。続いて、該原反シートの山部または谷部に微細粒子を付着させ、その状態で、該原反シート表面全体を金属蒸着などの導電化処理を行い、それに電気メッキを行うことにより、波形模様と微細凹凸が複合した表面形状の鋳型を製造する。この鋳型により樹脂シートを成形することによって、本発明の光拡散シートが完成する。
原反シートは本出願人による前記特許文献4に記載の方法により製造できる。
一軸方向に熱収縮性を有するフィルム基材の片面に、表面が平滑で厚さが0.05〜5μm程度の硬質層を設けて積層シートを形成し、積層シートを熱収縮させることにより硬質層が折り畳まれるように変形し、表面に波形の凹凸が発生する。
フィルム基材はポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの汎用樹脂を用いて、T−ダイ法またはインフレーション法により一軸方向の熱収縮率が大きくなるように延伸して製造する。
フィルム基材の厚さは0.3〜500μmが好ましい。フィルム基材の厚みが0.3μm以上であれば、凹凸パターン形成シートが破れにくくなり、500μmあれば、強度的には十分であり、これ以下であれば取り扱いも容易である。
硬質層の厚さは、0.05μmを超え5.0μm以下、好ましくは0.1〜1.0μmである。硬質層厚さを前記範囲にすることにより、凹凸パターンの最頻ピッチを、0.4〜10μmに制御できる。
<実施例1>
作成した原反シートに、微細粒子を分散した水分散液を塗工し、乾燥することによって、波形凹凸の谷部に粒子を付着させる。水分散液中の粒子濃度と液塗工量を調整することで、谷部のみに、適当な間隔をおいて、微細粒子を付着できる。
なお、この際に、微細粒子が、凹凸の頂部や山の斜面に付着しないよう、頂部近傍の表面は撥水性にしておくことが必要である。
微細粒子の大きさは前記した微細凹凸のサイズと同程度のものが好ましいが、非常に小さい粒子であれば、ある程度凝集して塗布されても、凝集粒子の大きさを微細凹凸のサイズにすることが可能である。
具体的には、例えば、アニオン性コロイダルシリカゾル、カチオン性アルミナゾルなどが使用できる。コロイダルシリカとして、例えば日産化学工業株式会社製のスノーテックスシリーズST-XS(平均粒経4〜6nm)、ST-20(平均粒経10〜20nm)、ST-20L(平均粒経40〜50nm)、ST-YL(平均粒経50〜80nm)、ST-ZL(平均粒経70〜100nm)などを挙げることができる。アルミナゾルとしては、日産化学工業株式会社製アルミナゾル520(平均的粒子の大きさ10〜20nm)、アルミナゾル100(平均的粒子の大きさ10×100nm)などが挙げられる。
また、微細粒子としては、微細繊維であっても良い。
微細粒子を付着させた状態で、該原反シートの凹凸表面全体を金属蒸着などの導電化処理を行い、それに電気メッキを行うことにより、波形模様と微細凹凸が複合した表面形状の鋳型を製造する。
導電処理は、該表面に金属を真空蒸着するかスパッターリング蒸着する。あるいはCVD法を用いても良い。蒸着金属は銅、亜鉛、アルミニウム等の通常の電極膜に使用するもので良く、膜厚さは20〜100nm程度で十分である。
その後、原反シートとメッキ法で製造された前記金属板を分離し、必要に応じて蒸着金属の洗浄除去等を行い、鋳型が完成する。
上記手順において用いた微細粒子は球形であったが、蒸着、メッキの工程で、微細粒子の球形と谷部の接点付近は埋まって行き、結果的に、微細粒子による突起は略半球形になる。
上記の鋳型に樹脂を流し込んで成形した場合は、出来上がった成形樹脂は、山の頂部に微細な凹部が存在する形となる。逆に成形樹脂の凹凸の山の頂部に微細な凸部を設けたい場合には、別の製造方法が必要であり、ここではその方法の一例を以下に示す。
まず、プレートに微細粒子の粒子層を塗工法により形成し、原反シートの凹凸の山の頂部に接着剤を微量塗布し、該粒子層から、粒子を山の頂部に転写する方法が可能である。
まず、ストライプ状や水玉模様状に厚さ10〜50nm程度の粘着剤を塗布したシートを作成し、該シートから粘着剤層を原反シートの山の頂部に転写する。別途、微細粒子を塗布したシートを用意し、前記粘着剤層が転写された原反シートを押し当て、粘着剤層に微細粒子を転写する。
この方法により、凝集した微細粒子を間欠的に凹凸の山の頂部に配置することができる。前記ストライプの間隔や水玉模様を製品識別に用いることもできる。この方法による場合も、鋳型の製造は実施例1と同様に、メッキ法により行う。
ここでも、用いた微細粒子は球形であったが、接着、蒸着、メッキの工程で、微細粒子の球形と山部の接点付近は埋まって行き、結果的に、微細粒子による突起は略半球形になる。
上記鋳型を用いて本発明の光拡散シートを製造する具体的な方法としては、例えば、下記(a)〜(d)の方法が挙げられる。
(a)鋳型の凹凸パターンが形成された面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗工する工程と、紫外線や電子線などの電離放射線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を鋳型から剥離する工程とを有する方法。
(b)鋳型の凹凸パターンが形成された面に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗工する工程と、加熱して前記液状熱硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を鋳型から剥離する工程とを有する方法。
(c)鋳型の凹凸パターンが形成された面に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該シート状の熱可塑性樹脂を鋳型に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂を鋳型から剥離する工程とを有する方法。
(d)鋳型の凹凸パターンが形成された面に、溶融状の熱可塑性樹脂を流して冷却固化する方法。
原反シートの作成:
一軸方向に熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製加熱収縮性フィルム(三菱樹脂株式会社製ヒシペットLX−60S、ガラス転移温度70℃)の片面に、トルエンに希釈したポリメチルメタクリレート(ポリマーソース株式会社製P4831−MMA、ガラス転移温度100℃)を厚さが1μmになるようにバーコーターにより塗工し、機能層を形成して積層シートを得た。次いで、その積層シートを80℃で50秒間加熱することにより、加熱前の長さの60%に熱収縮させ(すなわち、変形率40%で変形させ)、機能層形成面に、収縮方向に対して直交方向に沿って波状の凹凸パターンを有する原反シートを得た。この原反シートを用いて、以下のようにして光学素子を得た。
すなわち、原反シートの凹凸パターンが形成された面に、ニッケルめっきを施し、そのニッケルめっきを剥離することにより、厚さ200μmの鋳型を得た。該鋳型の凹凸パターンが形成された面にエポキシアクリレート系プレポリマー、2−エチルヘキシルアクリレートおよびベンゾフェノン系光重合開始剤を含む未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を塗工した。
次いで、未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜の原反シートと接していない面に厚さ50μmのトリアセチルセルロースフィルムを重ね合わせ、押圧した。
次いで、トリアセチルセルロースフィルムの上から紫外線を照射し未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、その硬化物を鋳型から剥離することにより、異方性拡散シートを得た。
得られた異方性拡散シートの、光拡散体としての性能を次のように評価した。すなわち、GENESIA GonioFar Field Profiler(ジェネシア社製)を用いて、拡散角度を測定した。その結果、収縮方向の拡散角度すなわち拡散角度の最大値は27度であった。
ポリプロピレンフィルムに、幅1mm、間隔1mmでアクリル粘着剤のストライプ膜を、厚さ約50nmで形成し、このストライプ模様を、前記比較例1の原反シートの凹凸面に転写した。次いで、実施例2の方法により、平均粒子径約100nmのコロイダルシリカを塗布し乾燥して得られた粒子層を、前記転写されたストライプ膜に転写し、図5と同様の形状の微細粒子付き原反シートを作製した。次いで、以後は、比較例1と同様の方法で異方性拡散シートを作製した。この異方性拡散シートについて、比較例1と同様にして最大拡散角度を測定した結果、32度であり、比較例1と比べて18%の向上であった。
Claims (3)
- 一方向に山が連続しており、該方向に直交する方向に、山と谷が繰り返され、山のピッチの平均値が0.4〜10μmである、略波形あるいは略半円柱形の凹凸模様を有する合成樹脂性の光拡散シートにおいて、山の頂部に、大きさが200nm以下の微細凹凸を形成したことを特徴とする、光拡散シート。
- 該微細凹凸は半球状であり、球の直径が200nm以下である、請求項1に記載の光拡散シート。
- 該微細凹凸は該一方向に連続する山の頂部に、凝集物が間隔をおいて配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光拡散シート。
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