以下、本発明の実施態様について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施態様に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
≪感光性樹脂組成物≫
感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、架橋剤(B)と、光重合開始剤(C)とを含む。感光性樹脂組成物は、前記架橋剤(B)として、置換基を有していてもよいビフェニル骨格、又は置換基を有してもよいターフェニル骨格を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(B1)を含む。
以下、感光性樹脂組成物が含有する成分について順に説明する。
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)を含む。
ここで、本明細書において、(A)アルカリ可溶性樹脂とは、分子内にアルカリ可溶性をもたせる官能基(例えば、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基等)を備える樹脂を指す。
アルカリ可溶性樹脂(A)の種類は特に限定されず、従来から感光性樹脂組成物に配合されている種々のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。
以下、アルカリ可溶性樹脂(A)の好適な具体例として、カルド構造を有する樹脂(A1)と、アクリル系樹脂(A2)と、ノボラック樹脂(A3)とについて説明する。
〔カルド構造を有する樹脂(A1)〕
感光性樹脂組成物には、アルカリ可溶性樹脂(A)としてカルド構造を有する樹脂(A1)(以下、「カルド樹脂(A1)」とも記す。)を含んでいてもよい。
カルド樹脂(A1)としては、その構造中にカルド骨格を有し、所望するアルカリ可溶性を有する樹脂を用いることができる。カルド骨格とは、第1の環状構造を構成している1つの環炭素原子に、第2の環状構造と第3の環状構造とが結合した骨格をいう。なお、第2の環状構造と、第3の環状構造とは、同一の構造であっても異なった構造であってもよい。
カルド骨格の代表的な例としては、フルオレン環の9位の炭素原子に2つの芳香環(例えばベンゼン環)が結合した骨格が挙げられる。
カルド樹脂(A1)としては、特に限定されず、従来公知の樹脂を用いることができる。その中でも、下記式(a−1)で表される樹脂が好ましい。
(式(a−1)中、X
aは、下記式(a−2)で表される基を示す。m1は0以上20以下の整数を示す。)
(式(a−2)中、R
a1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上6以下の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、R
a2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R
a3は、それぞれ独立に直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、m2は、0又は1を示しW
aは、下記式(a−3)で表される基を示す。)
(式(a−3)中の環Aは、芳香族環と縮合していてもよく置換基を有していてもよい脂肪族環を示す。脂肪族環は、脂肪族炭化水素環であっても、脂肪族複素環であってもよい。)
式(a−2)中、Ra3としては、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基が特に好ましく、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、及びプロパン1,3−ジイル基が最も好ましい。
式(a−3)中の環Aについて、脂肪族環としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられる。
具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが挙げられる。
脂肪族環に縮合してもよい芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよく、芳香族炭化水素環が好ましい。具体的にはベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい。
式(a−3)で表される2価基の好適な例としては、下記の基が挙げられる。
式(a−1)中の2価基X
aは、残基Z
aを与えるテトラカルボン酸二無水物と、下式(a−2a)で表されるジオール化合物とを反応させることにより、(A1)カルド樹脂中に導入される。
式(a−2a)中、Ra1、Ra2、Ra3、及びm2は、式(a−2)について説明した通りである。式(a−2a)中の環Aについては、式(a−3)について説明した通りである。
式(a−2a)で表されるジオール化合物は、例えば、以下の方法により製造し得る。
まず、下記式(a−2b)で表されるジオール化合物が有するフェノール性水酸基中の水素原子を、必要に応じて、常法に従って、−Ra3−OHで表される基に置換した後、エピクロルヒドリン等を用いてグリシジル化して、下記式(a−2c)で表されるエポキシ化合物を得る。
次いで、式(a−2c)で表されるエポキシ化合物を、アクリル酸又はメタアクリル酸と反応させることにより、式(a−2a)で表されるジオール化合物が得られる。
式(a−2b)及び式(a−2c)中、Ra1、Ra3、及びm2は、式(a−2)について説明した通りである。式(a−2b)及び式(a−2c)中の環Aについては、式(a−3)について説明した通りである。
なお、式(a−2a)で表されるジオール化合物の製造方法は、上記の方法に限定されない。
式(a−2b)で表されるジオール化合物の好適な例としては、以下のジオール化合物が挙げられる。
上記式(a−1)中、Ra0は水素原子又は−CO−Ya−COOHで表される基である。ここで、Yaは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、Zaは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、下記式(a−4)で表されるテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、m1は、0以上20以下の整数を示す。
(式(a−4)中、R
a4、R
a5、及びR
a6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種を示し、m3は、0以上12以下の整数を示す。)
式(a−4)中のRa4として選択され得るアルキル基は、炭素原子数が1以上10以下のアルキル基である。アルキル基の備える炭素原子数をこの範囲に設定することで、得られるカルボン酸エステルの耐熱性を一段と向上させることができる。Ra4がアルキル基である場合、その炭素原子数は、耐熱性に優れるカルド樹脂を得やすい点から、1以上6以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上4以下が更に好ましく、1以上3以下が特に好ましい。
Ra4がアルキル基である場合、当該アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
式(a−4)中のRa4としては、耐熱性に優れるカルド樹脂を得やすい点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上10以下のアルキル基がより好ましい。式(a−4)中のRa4は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
式(a−4)中の複数のRa4は、高純度のテトラカルボン酸二無水物の調製が容易であることから、同一の基であるのが好ましい。
式(a−4)中のm3は0以上12以下の整数を示す。m3の値を12以下とすることによって、テトラカルボン酸二無水物の精製を容易にすることができる。
テトラカルボン酸二無水物の精製が容易である点から、m3の上限は5が好ましく、3がより好ましい。
テトラカルボン酸二無水物の化学的安定性の点から、m3の下限は1が好ましく、2がより好ましい。
式(a−4)中のm3は、2又は3が特に好ましい。
式(a−4)中のRa5、及びRa6として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基は、Ra4として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基と同様である。
Ra5、及びRa6は、テトラカルボン酸二無水物の精製が容易である点から、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上5以下、更に好ましくは1以上4以下、特に好ましくは1以上3以下)のアルキル基であるのが好ましく、水素原子又はメチル基であるのが特に好ましい。
式(a−4)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−(メチルノルボルナン)−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン−2−スピロ−2’−シクロヘキサノン−6’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−(メチルノルボルナン)−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロプロパノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロブタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘプタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロオクタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロノナノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロウンデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロドデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロトリデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロテトラデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−(メチルシクロペンタノン)−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−(メチルシクロヘキサノン)−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
カルド樹脂(A1)の重量平均分子量は、1000以上40000以下であることが好ましく、2000以上30000以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
〔アクリル系樹脂(A2)〕
アルカリ可溶性樹脂(A)としては、アクリル系樹脂(A2)も好ましく用いることができる。アクリル系樹脂(A2)を用いる場合、単量体の種類や、構成単位の比率等を適宜調整することで、感光性樹脂組成物の諸特性を容易に調整できる。
アクリル系樹脂(A2)としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、及び/又は(メタ)アクリル酸エステル等の他のモノマーに由来する構成単位を含む樹脂を用いることができる。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、又はメタアクリル酸である。(メタ)アクリル酸エステルは、下記式(a−5)で表される化合物であって、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。
上記式(a−5)中、Ra7は、水素原子又はメチル基であり、Ra8は、1価の有機基である。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
Ra8の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミノ基(−NH2、−NHR、−NRR’:R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基を示す)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
Ra8としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は複素環基が好ましく、これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、又は複素環基で置換されていてもよい。また、これらの基がアルキレン部分を含む場合、アルキレン部分は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。
アルキル基が、直鎖状又は分岐鎖状である場合、その炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上15以下がより好ましく、1以上10以下が特に好ましい。好適なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基等が挙げられる。
アルキル基が、脂環式基、又は脂環式基を含む基である場合、アルキル基に含まれる好適な脂環式基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等単環の脂環式基や、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、及びテトラシクロドデシル基等の多環の脂環式基が挙げられる。
式(a−5)で表される化合物は、Ra8中にエポキシ基を備えるエポキシ基含有不飽和化合物であるのも好ましい。
式(a−5)で表されるエポキシ基含有不飽和化合物の好適な例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組合せて用いることができる。
また、アクリル系樹脂(A2)は、(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーを重合させた樹脂であってもよい。このようなモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド類、不飽和カルボン酸類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらのモノマーは、単独又は2種以上組合せて用いることができる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロト安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
(A3)アクリル系樹脂における、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の量と、他のモノマーに由来する構成単位の量とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。(A3)アクリル系樹脂における、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の量は、アクリル系樹脂の質量に対して、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
アクリル系樹脂(A2)の重量平均分子量は、2000以上50000以下であることが好ましく、5000以上30000以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
〔ノボラック樹脂(A3)〕
アルカリ可溶性樹脂(A)は、ノボラック樹脂(A3)を含んでいてもよい。アルカリ可溶性樹脂(A)がノボラック樹脂(A3)を含む場合、加熱により変形しにくい耐熱性が良好な硬化膜を形成しやすい。
ノボラック樹脂(A3)としては、従来から感光性樹脂組成物に配合されている種々のノボラック樹脂を用いることができる。ノボラック樹脂(A3)としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られるノボラック樹脂が好ましい。
(フェノール類)
ノボラック樹脂(A3)を作製する際に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール;o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類;2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、並びにp−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5−トリメチルフェノール、及び3,4,5−トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、及びフロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、及びアルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素原子数1以上4以下である。);α−ナフトール;β−ナフトール;ヒドロキシジフェニル;並びにビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
これらのフェノール類の中でも、m−クレゾール及びp−クレゾールが好ましく、m−クレゾールとp−クレゾールとを併用することがより好ましい。この場合、両者の配合割合を調整することにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜の耐熱性等の諸特性を調節することができる。
m−クレゾールとp−クレゾールの配合割合は特に限定されないが、m−クレゾール/p−クレゾールのモル比で、3/7以上8/2以下が好ましい。m−クレゾール及びp−クレゾールをかかる範囲の比率で用いることにより、耐熱性に優れる硬化膜を形成可能な感光性樹脂組成物を得やすい。
また、m−クレゾールと、2,3,5−トリメチルフェノールとを併用して製造されるノボラック樹脂も好ましい。かかるノボラック樹脂を用いる場合、ポストベーク時の加熱により過度にフローし難い硬化膜を形成できる感光性樹脂組成物を、特に得やすい。
m−クレゾールと2,3,5−トリメチルフェノールの配合割合は特に限定されないが、m−クレゾール/2,3,5−トリメチルフェノールのモル比で、70/30以上95/5以下が好ましい。
(アルデヒド類)
ノボラック樹脂(A3)を作製する際に用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、及びアセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
(酸触媒)
ノボラック樹脂(A3)を作製する際に用いられる酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、及びパラトルエンスルホン酸等の有機酸類;並びに酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
(分子量)
ノボラック樹脂(A3)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw;以下、単に「重量平均分子量」ともいう。)は、感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜の加熱によるフローに対する耐性の観点から、下限値として2000が好ましく、5000がより好ましく、10000が特に好ましく、15000が更に好ましく、20000が最も好ましく、上限値として50000が好ましく、45000がより好ましく、40000が更に好ましく、35000が最も好ましい。
ノボラック樹脂(A3)としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量が異なる樹脂を少なくとも2種組合せて用いることができる。重量平均分子量が異なる樹脂を大小組合せて用いることにより、感光性樹脂組成物の現像性と、感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜の耐熱性とのバランスをとることができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全体の質量に対して30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性に優れる感光性樹脂組成物を得やすい。
<(B)架橋剤>
(単官能(メタ)アクリルモノマー(B1))
感光性樹脂組成物は架橋剤(B)を含むが、その前記架橋剤(B)として、置換基を有していてもよいビフェニル骨格、又は置換基を有してもよいターフェニル骨格を有する単官能(メタ)アクリルモノマー(B1)を含む。なお、「(メタ)アクリルモノマー」とは、(メタ)アクリル酸から誘導され得る、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基モノマーである。
単官能(メタ)アクリルモノマー(B1)の具体例としては、下記式の化合物が挙げられる。
上記式において、R
xは、水素原子又はメチル基である。BPは、置換基を有していてもよいビフェニル基であり、具体的な骨格は1,1’−ビフェニル−4−イル基、1,1’−ビフェニル−3−イル基、又は1,1’−ビフェニル−2−イル基であり、好ましくは1,1’−ビフェニル−2−イル基又は1,1’−ビフェニル−4−イル基である。TPは、置換基を有してもよいターフェニル基であり、具体的な骨格は下記式:
で表される基のうちのいずれかの基である。
単官能(メタ)アクリルモノマー(B1)としては、置換基を有していてもよいビフェニル骨格を有する単官能(メタ)アクリルモノマー(B1a)が、特に好ましい。
単官能(メタ)アクリルモノマー(B1)において、ビフェニル骨格、及びターフェニル骨格が有していてもよい置換基としては、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、炭素原子数1以上12以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上12以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1以上12以下のアシル基、炭素原子数1以上12以下のアシルオキシ基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基が挙げられる。
単官能(メタ)アクリルモノマー(B1a)としては、下記式(B1−1)で表される化合物が好ましく挙げられる。
CH2=CRb1−CO−(O−Rb2−)t1−Xb1−BP・・・(B1−1)
(式(B1−1)中、Rb1は、水素原子又はメチル基であり、Rb2は炭素原子数1以上4以下のアルキレン基であり、BPは置換基を有してもよいビフェニル基であり、t1は0以上10以下の整数であり、t1が0である場合、Xb1は、−O−、又は−NH−であり、t1が1以上10以下の整数である場合、Xb1は、単結合、−O−、−NH−、−O−CO−*、−NH−CO−*、−O−CO−O−、及び−NH−CO−O−*からなる群より選択される連結基であり、連結基のうち非対称な連結基についての*が付された結合手はBPと結合する結合手である。)
ビフェニル基が有していてもよい置換基は、ビフェニル骨格、及びターフェニル骨格が有してもよい置換基について上記の通り例示した置換基と同様である。
Rb2としてのアルキレン基の炭素原子数は1以上4以下であり、2又は3が好ましい。当該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、及びブタン−1,2−ジイル基等の直鎖状又は分岐状アルキレン基が挙げられる。これらの中では、エチレン基、トリメチレン基、及びプロピレン基が好ましい。
t1は、好ましくは0、1又は2である。
上記式(B1−1)で表わされる化合物としては、特に限定されるわけではない。式(B1−1)で表される化合物の好適な例として、以下の化合物が例示できる。
上記式(B1−1)で表わされる化合物としては、B1−1−a、B1−1−cB1−1−e、B1−1−f、B1−1−i、B1−1−mが好ましく、B1−1−a、B1−1−cが特に好ましい。
(多官能(メタ)アクリルモノマー(B2))
感光性樹脂組成物は、上記の単官能(メタ)アクリルモノマー(B1)以外の架橋剤(B)を含むことができる。単官能(メタ)アクリルモノマー(B1)以外の架橋剤(B)としては、例えば、多官能(メタ)アクリルモノマー(B2)が挙げられる。
多官能(メタ)アクリルモノマー(B2)としては、例えば、下記式(B2−1)で表される多官能(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
(式(B2−1)中、R
b3は、水素原子、又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基であり、R
b4は多価アルコールR
b5(OH)
mのm個のヒドロキシ基のうちt2個のヒドロキシ基を式(B2−1)中のエステル結合に供したt2価の残基であり、m及びt2はそれぞれ独立に2以上20以下の整数であり、mはt2以上である。)
式(B2−1)で表わされる多官能(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(即ち、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエート(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アルコキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルメチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組合せて用いることができる。
上記の式(B2−1)で表される多官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例の中でも、感光性樹脂組成物の基板への密着性、感光性樹脂組成物の硬化後の強度を高める傾向にある点から、3官能以上の多官能モノマーが好ましく、4官能以上の多官能モノマーがより好ましく、5官能以上の多官能モノマーが更に好ましい。特にジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物等が好ましい。
(B)架橋剤の感光性樹脂組成物中の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全体の質量に対して10質量%以上60質量%以下が好ましく、15質量%以上50質量%以下がより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
また、(B)架橋剤の全質量に対する単官能(メタ)アクリルモノマー(B1)の含有量は、(B)架橋剤成分全体の1質量%以上100質量%以下であり、3質量%以上70質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましい。(メタ)アクリルモノマー(B1)の含有量が上記の範囲であることにより、感光性樹脂組成物の位置選択的な露光時に活性エネルギーが直接届かないような部分の硬化が促進され、厚膜、具体的には例えば、5μm以上50μm以下の硬化膜を形成するような態様においても、露光側より遠位にある基材側付近においても十分に硬化を進行させることができる。
更に好ましい態様としては、(B)架橋剤が、(B)架橋剤の全質量に対して、単官能(メタ)アクリルモノマー(B1)を1質量%以上99質量%以下、及び、多官能(メタ)アクリルモノマー(B2)を1質量%以上99質量%以下含むことが好ましく、(B1)を3質量%以上50質量%以下、及び、多官能(メタ)アクリルモノマー(B2)を50質量%以上97質量%以下含むことが好ましく、この場合、感光性樹脂組成物によって、上記したような厚膜の塗布膜を形成するような態様においても、前述したように、塗布膜が、全体にわたって十分に硬化する。このため、位置選択的露光と、現像とを経て形成されたパターン化された硬化膜のテーパー角度を、垂直に近い良好な角度としやすい。
<光重合開始剤(C)>
感光性樹脂組成物は光重合開始剤(C)を更に含んでいる。
光重合開始剤(C)としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤(C)として具体的には、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、O−アセチル−1−[6−(2−メチルベンゾイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンオキシム、(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)[4−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−2−メチルフェニル]メタノンO−アセチルオキシム、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン、エタノン,1−[9−エチル−6−(ピロール−2−イルカルボニル)−9H−カルバゾル−3−イル],2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組合せて用いることができる。
光重合開始剤(C)としては、また、下記式(c1)で表されるオキシム系化合物を用いることも好ましい。
(R
c1は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、
n1は0以上4以下の整数であり、
n2は0、又は1であり、
R
c2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、
R
c3は、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。)
式(c1)中、Rc1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rc1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。n1が2以上4以下の整数である場合、Rc1は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基が更に有する置換基の炭素原子数を含まない。
Rc1がアルキル基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rc1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rc1がアルコキシ基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rc1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rc1がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、炭素原子数3以上10以下が好ましく、炭素原子数3以上6以下がより好ましい。Rc1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rc1が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rc1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rc1がアルコキシカルボニル基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rc1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rc1がフェニルアルキル基である場合、炭素原子数7以上20以下が好ましく、炭素原子数7以上10以下がより好ましい。またRc1がナフチルアルキル基である場合、炭素原子数11以上20以下が好ましく、炭素原子数11以上14以下がより好ましい。Rc1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rc1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc1は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
Rc1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rc1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
Rc1が1、又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rc1の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
Rc1がフェニル基に結合する位置は、Rc1が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がよりに好ましい。また、n1は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1が特に好ましい。
Rc2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、Rc2が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい。
Rc2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
Rc2がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1、又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rc1と同様である。
Rc2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rc2の中では、感度に優れる光重合開始剤を得やすい点から、下記式(c2)、又は(c3)で表される基が好ましく、下記式(c2)で表される基がより好ましく、下記式(c2)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
(R
c4は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、n3は、0以上4以下の整数である。)
(R
c5及びR
c6は、それぞれ、1価の有機基である。)
式(c2)におけるRc4が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(c2)においてRc4が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
Rc4の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(c2)において、n3は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。n3が1である場合、Rc4の結合する位置は、Rc4が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
式(c3)におけるRc5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rc5の好適な例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
Rc5の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(c3)におけるRc6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc6として好適な基の具体例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc6として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(c1)におけるRc3は、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。Rc3としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(c1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記のPI−1〜PI−42が挙げられる。
また、下記式(c4)で表されるオキシムエステル化合物も、光重合開始剤(C)として好ましい。
(R
c7は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、R
c8及びR
c9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、R
c8とR
c9とは相互に結合して環を形成してもよく、R
c10は1価の有機基であり、R
c11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n4は0以上4以下の整数であり、n5は0又は1である。)
ここで、式(c4)のオキシムエステル化合物を製造するためのオキシム化合物としては、下式(c5)で表される化合物が好適である。
(R
c7、R
c8、R
c9、R
c10、n4、及びn5は、式(c4)と同様である。)
式(c4)及び(c5)中、Rc7は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。Rc7は、式(c4)中のフルオレン環上で、−(CO)n5−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(c4)中、Rc7のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(c4)で表される化合物が1以上のRc7を有する場合、式(c4)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRc7のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。Rc7が複数である場合、複数のRc7は同一であっても異なっていてもよい。
Rc7が有機基である場合、Rc7は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rc7が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
Rc7がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc7がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc7がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc7がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rc7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc7がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc7がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rc7がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Rc7がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc7がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rc7が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc7が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc7が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rc7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc7がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rc7がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Rc7がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Rc7がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rc7がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc7が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc7は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
Rc7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rc7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
Rc7がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rc7がヘテロシクリル基である場合と同様である。
Rc7が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc7と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、Rc7としては、ニトロ基、又はRc12−CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Rc12は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc12として好適な基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc12として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、Rc7が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、Rc7が水素原子であり且つRc10が後述の式(c4a)又は(c4b)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
式(c4)中、Rc8及びRc9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rc8とRc9とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rc8及びRc9として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rc8及びRc9が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
Rc8及びRc9が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rc8及びRc9が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc8及びRc9がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rc8及びRc9が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rc7がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rc7がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rc7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1以上20以下であり、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
Rc8及びRc9が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rc8及びRc9が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rc8及びRc9が鎖状アルキル基である場合と同様である。
Rc8及びRc9が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
Rc8及びRc9が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
Rc8及びRc9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
Rc8とRc9とは相互に結合して環を形成してもよい。Rc8とRc9とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rc8とRc9とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
Rc8とRc9とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したRc8及びRc9の中でも好適な基の例としては、式−A1−A2で表される基が挙げられる。式中、A1は直鎖アルキレン基であり、A2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である。
A1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。A2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。A2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。A2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rc8及びRc9が置換基として有する環状有機基と同様である。A2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rc8及びRc9が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
Rc8及びRc9の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、5−クロロ−n−ペンチル基、6−クロロ−n−ヘキシル基、7−クロロ−n−ヘプチル基、8−クロロ−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
Rc8及びRc9として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
Rc10の好適な有機基の例としては、Rc7と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Rc7について説明した基と同様である。また、Rc10としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rc7に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、Rc10としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、Rc10としては、−A3−CO−O−A4で表される基も好ましい。A3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。A4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
A3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
A4の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。A4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
−A3−CO−O−A4で表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
以上、R
c10について説明したが、R
c10としては、下記式(c4a)又は(c4b)で表される基が好ましい。
(式(c4a)及び(c4b)中、R
c13及びR
c14はそれぞれ有機基であり、n6は0以上4以下の整数であり、R
c13及びR
c14がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
c13とR
c14とが互いに結合して環を形成してもよく、n7は1以下8以下の整数であり、n8は1以上5以下の整数であり、n9は0以上(n8+3)以下の整数であり、R
c15は有機基である。)
式(c4a)中のRc13及びRc14についての有機基の例は、Rc7と同様である。Rc13としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rc13がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以下10以上が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Rc13はメチル基であるのが最も好ましい。Rc13とRc14とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(c4a)で表される基であって、Rc13とRc14とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(c4a)中、n6は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(c4b)中、Rc15は有機基である。有機基としては、Rc7について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rc15としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(c4b)中、n8は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(c4b)中、n9は0以上(n8+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(c4b)中、n7は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(c4)中、Rc11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rc11がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rc7がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(c4)中、Rc11としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(c4)で表される化合物は、前述の式(c5)で表される化合物に含まれるオキシム基(>C=N−OH)を、>C=N−O−CORc11で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。Rc11は、式(c4)中のRc11と同様である。
オキシム基(>C=N−OH)の、>C=N−O−CORc11で表されるオキシムエステル基への変換は、前述の式(c5)で表される化合物と、アシル化剤とを反応させることにより行われる。
−CORc11で表されるアシル基を与えるアシル化剤としては、(Rc11CO)2Oで表される酸無水物や、Rc11COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
式(c4)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のPI−43〜PI−83が挙げられる。
これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で好ましく、式(c1)で表されるオキシム系化合物、式(c4)で表されるオキシムエステル化合物、又はフルオレン骨格若しくはカルバゾリル骨格であり、且つニトロ基を有するオキシムエステル化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
感光性樹脂組成物において、光重合開始剤(C)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、光重合開始剤(C)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分の質量に対して0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.3質量%以上10質量%以下がより好ましい。
<(D)増感剤>
感光性樹脂組成物は、上記の(C)光重合開始剤と共に(D)増感剤を含有することができる。感光性樹脂組成物が(C)光重合開始剤と共に、(D)増感剤とを含有することで、LED露光等の照射エネルギーの低い光源を用いても良好に硬化される。
(D)増感剤としては、従来より感光性樹脂組成物において光重合開始剤の増感目的で使用されている化合物を特に制限なく使用することができる。
(D)増感剤としては、置換基としてアルコキシ基、置換カルボニルオキシ基、及びオキソ基(=O)からなる群より選択される1種以上を有する化合物が好ましい。当該置換基を有する化合物としては、縮合多環式芳香族炭化水素化合物、又は縮合多環式芳香族複素環化合物が好ましい。
縮合多環式芳香族炭化水素化合物、又は縮合多環式芳香族複素環化合物は、アルコキシ基、置換カルボニルオキシ基、及びオキソ基(=O)以外の置換基を有していてもよい、かかる置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のハロゲン化アルキル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシアルキル基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシル基、炭素原子数7以上11以下の芳香族アシル基(アロイル基)、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子、水酸基、及びメルカプト基等が挙げられる。
アルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、特に限定されないが、1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。
アルコキシ基の好適な例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシル基、n−ノニルオキシ基、及びn−デシルオキシ基等が挙げられる。
置換カルボニルオキシ基は、−O−CO−Adで表される基である。Adは、(D)増感剤が所望する増感作用を有する限り特に限定されず、種々の有機基であってよい。Aとしては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上10以下のアリール基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上10以下のアリールオキシ基が好ましい。
アリール基又はアリールオキシ基は、1又は複数の置換基を有していてもよい。置換基の種類は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。アリール基又はアリールオキシ基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
置換基の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上10以下のアリールオキシ基、炭素原子数6以上10以下のアリールオキシ基、炭素原子数2以上7以下の脂肪族アシル基、炭素原子数7以上11以下の芳香族アシル基(アロイル基)、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子、水酸基、及びメルカプト基等が挙げられる。
Adがアルキル基又はアルコキシ基である場合、これらの基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
アルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、及び2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
アリール基の好適な例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。
アルコキシ基の好適な例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、及び2−エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシ基、置換カルボニルオキシ基、及びオキソ基(=O)からなる群より選択される1種以上により置換される縮合多環式芳香族炭化水素化合物、又は縮合多環式芳香族複素環化合物において、縮合環を構成する環数は、所望する増感作用が得られる限り特に限定されない。環数は2以上が好ましく、3以上がより好ましく、3以上6以下が特に好ましく、3又は4が最も好ましい。
なお、縮合多環式芳香族炭化水素化合物、又は縮合多環式芳香族複素環化合物が芳香族性を有する限り、縮合多環を形成する単環は、必ずしも芳香環でなくてもよい。
縮合多環式芳香族炭化水素化合物、又は縮合多環式芳香族複素環化合物に含まれる縮合多環の好適な例としては、アセナフチレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、キサンテン環、及びチオキサンテン環が挙げられる。これらの環の中では、アントラセン環、ナフタセン環、及びチオキサンテン環が好ましい。
アントラセン環を含む化合物であって(D)増感剤として好適に使用される化合物の具体例としては、9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−へプチルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−オクチルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ノニルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−デシルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(4−メチルベンゾイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(4−メチルベンゾイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(4−メチルベンゾイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(4−エチル−ベンゾイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(4−エチル−ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(4−(t−ブチル)−ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(4−(t−ブチル)−ベンゾイルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、2−ペンチル−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ペンチル−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ペンチル−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ペンチル−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ペンチル−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ペンチル−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ペンチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、2−ペンチル−9,10−ビス(4−(t−ブチル)−ベンゾイルオキシ)アントラセン、及び2−ペンチル−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
又はロゲン原子で置換されたアントラセン化合物も、(D)増感剤として好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
ハロゲン原子で置換されたアントラセン化合物であって、(D)増感剤として好ましい化合物の具体例としては、2−クロロ−9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(4−メチルベンゾイルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(4−メチルベンゾイルオキシ)アントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(4−メチルベンゾイルオキシ)アントラセン、2−フルオロ−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(4−メチルベンゾイルオキシ)アントラセン、1−フルオロ−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(4−メチルベンゾイルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン、1−ブロモ−9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、1−ブロモ−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、1−ブロモ−9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−ブロモ−9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、1−ブロモ−9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−ブロモ−9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−ブロモ−9,10−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)アントラセン、1−ブロモ−9,10−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)アントラセン、1−ブロモ−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−ブロモ−9,10−ビス(4−メチルベンゾイルオキシ)アントラセン、及び1−ブロモ−9,10−ビス(2−ナフトイルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
更に、アルコキシ基で置換されたアントラセン化合物も、(D)増感剤として好ましい。
アルコキシ基で置換されたアントラセン化合物であって、(D)増感剤として好ましい化合物の具体例としては、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ビス(n−プロピルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ブチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(イソペンチルオキシオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、9−メトキシアントラセン、9−エトキシアントラセン、9−(n−プロピルオキシ)アントラセン、9−(n−ブチルオキシ)アントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、9−(イソペンチルオキシオキシ)アントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−プロピルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ブチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(イソペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−プロピルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ブチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(イソペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−メトキシアントラセン、2−メチル−9−エトキシアントラセン、2−メチル−9−(n−プロピルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−ブチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(イソペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−メトキシアントラセン、2−エチル−9−エトキシアントラセン、2−エチル−9−(n−プロピルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−ブチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(イソペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ジメトキシアントラセン、2−クロロ−9,10−ジエトキシアントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−プロピルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ブチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(イソペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ジメトキシアントラセン、2−ブロモ−9,10−ジエトキシアントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−プロピルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−ブチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(イソペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−メトキシアントラセン、2−クロロ−9−エトキシアントラセン、2−クロロ−9−(n−プロピルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−ブチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(イソペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−メトキシアントラセン、2−ブロモ−9−エトキシアントラセン、2−ブロモ−9−(n−プロピルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−(n−ブチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(イソペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、及び2−ブロモ−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
以上説明したアントラセン化合物の中では、製造の容易さと、(D)増感剤としての性能の点から、9,10−ビス(アセチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、及び9,10−ジブトキシアントラセンが好ましい。
ナフタセン環を含む化合物であって(D)増感剤として好適に使用される化合物の具体例としては、
2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(アセチルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(プロピオニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ヘプチルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(アセチルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(プロピオニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−プロピルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソプロピルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソブチルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ヘキシルカルボニルオキシ)ナフタセン、及び2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ヘプチルボニルオキシ)ナフタセン等のアルキルカルボニルオキシ基置換ナフタセン化合物;
2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(ベンゾイルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(o−トルオイルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(m−トルオイルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(p−トルオイルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(α−ナフトイルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(β−ナフトイルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(ベンゾイルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(o−トルオイルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(m−トルオイルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(p−トルオイルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(α−ナフトイルオキシ)ナフタセン、及び2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(β−ナフトイルオキシ)ナフタセン等のアロイルオキシ基置換ナフタセン化合物;
2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(メトキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(エトキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−プロピルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ブチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソブチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(メトキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(エトキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−プロピルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ブチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソブチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、及び2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン等のアルコキシカルボニルオキシ基置換ナフタセン化合物;並びに、
2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(o−トリルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(m−トリルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(p−トリルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(α−ナフチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−メチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(β−ナフチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(o−トリルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(m−トリルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(p−トリルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(α−ナフチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、及び2−エチル−5,11−ジオキソ−6,12−ビス(β−ナフチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン等のアロイルオキシカルボニルオキシ基置換ナフタセン化合物が挙げられる。
上記のナフタセン環を含む化合物の中でも、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(メトキシカルボニルオキシ)ナフタセン、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(エトキシカルボニルオキシ)ナフタセン、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソブチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ブチルカルボニルオキシ)ナフタセン、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ペンチルカルボニルオキシ)ナフタセン、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)ナフタセンが好ましい。
(A)光重合性化合物との相溶性の点では、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(イソブチルオキシカルボニルオキシ)ナフタセン、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−ブチリルオキシ)ナフタセン、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(n−バレリルオキシ)ナフタセン、5,11−ジオキソ−6,12−ビス(ヘプタノイルオキシ)ナフタセンが好ましい。
(D)増感剤として好適に使用されるチオキサンテン環を含む化合物の具体例としては、チオキサンテン−9−オン、2−メチル−9H−チオキサンテン−9−オン、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1,4−ジメチルチオキサンテン−9−オン、及び3−メチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルアセテート等が挙げられる。
(D)成分である増感剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の(C)光重合開始剤成分の合計100質量部に対して5質量部以上60質量部以下が好ましく、15質量部以上50質量部以下がより好ましい。感光性樹脂組成物が上記範囲内で増感剤を含有すると、特に、露光による硬化反応が均一に進行し、エッジの角度が特に良好なパターニングされた硬化膜を形成しやすい。
<(E)着色剤>
感光性樹脂組成物は、その用途によっては、着色剤を含まず実質的に無色透明な組成物であってよい。一方で、別の用途においては、感光性樹脂組成物が、更に(D)着色剤を含んでもよい。感光性樹脂組成物は(D)成分である着色剤として、例えば、黒色顔料を含むことにより、例えば、表示装置のカラーフィルタにおけるブラックマトリクス(又はブラックバンク)形成用途として好ましく使用される。また、有彩色の着色剤は、例えば、表示装置のカラーフィルタ形成用途において、好ましく使用され得る。
感光性樹脂組成物に含有される(D)着色剤としては、特に限定されないが、着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶表示ディスプレイのような液晶表示素子のブラックマトリクスとして使用した場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
カーボンブラック以外の黒色顔料としては、例えば(D2a)ペリレン系顔料、及び(D2b)ラクタム系顔料が挙げられる。これらの顔料は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(D2a)ペリレン系顔料としては、ペリレン骨格を有する化合物からなり、黒色を呈する顔料であれば特に限定されない。
(D2a)ペリレン系顔料の具体例としては、下記式(d−1)で表されるペリレン系顔料、下記式(d−2)で表されるペリレン系顔料、及び下記式(d−3)で表されるペリレン系顔料が挙げられる。市販品では、BASF社製の製品名K0084、及びK0086や、ピグメントブラック21、30、31、32、33、及び34等を、(D2a)ペリレン系顔料として好ましく用いることができる。
式(d−1)中、R
d1及びR
d2は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキレン基を表し、R
d3及びR
d4は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メトキシ基、又はアセチル基を表す。
式(d−2)中、R
d5及びR
d6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上7以下のアルキレン基を表す。
式(d−3)中、R
d7及びR
d8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上22以下のアルキル基であり、N,O、S、又はPのヘテロ原子を含んでいてもよい。R
d7及びR
d8がアルキル基である場合、当該アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
上記の式(d−1)で表される化合物、式(d−2)で表される化合物、及び式(d−3)で表される化合物は、例えば、特開昭62−1753号公報、特公昭63−26784号公報に記載の方法を用いて合成することができる。即ち、ペリレン−3,5,9,10−テトラカルボン酸又はその二無水物とアミン類とを原料とし、水又は有機溶媒中で加熱反応を行う。そして、得られた粗製物を硫酸中で再沈殿させるか、又は、水、有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒中で再結晶させることによって目的物を得ることができる。
感光性樹脂組成物中において(D2a)ペリレン系顔料を良好に分散させ、幅広い波長域の光について透過率が低い硬化膜を形成するためには、ペリレン系顔料の体積平均粒子径は10nm以上1000nm以下であるのが好ましく、10nm以上500nm以下がより好ましく、10nm以上200nm以下が特に好ましい。
また、ペリレン系顔料の体積粒子径が上記の範囲内である場合、算術平均粗さRaが低い、平滑な表面を有する硬化膜を安定的に形成しやすい。
(D2b)ラクタム系顔料としては、例えば、下記式(d−4)で表される化合物が挙げられる。
式(d−4)中、Xdは二重結合を示し、幾何異性体としてそれぞれ独立にE体又はZ体であり、Rd9は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、ニトロ基、メトキシ基、臭素原子、塩素原子、フッ素原子、カルボキシ基、又はスルホ基を示し、Rd10は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示し、Rd11は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は塩素原子を示す。
式(d−4)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
Rd9は、式(d−4)で表される化合物の製造が容易である点から、ジヒドロインドロン環の6位に結合するのが好ましく、Rd11はジヒドロインドロン環の4位に結合するのが好ましい。同様の観点から、Rd9、Rd10、及びRd11は、好ましくは水素原子である。
式(d−4)で表される化合物は、幾何異性体としてEE体、ZZ体、EZ体を有するが、これらのいずれかの単一の化合物であってもよいし、これらの幾何異性体の混合物であってもよい。
式(d−4)で表される化合物は、例えば、国際公開第2000/24736号、及び国際公開第2010/081624号に記載された方法により製造することができる。
感光性樹脂組成物中においてラクタム系顔料を良好に分散させるためには、ラクタム系顔料の体積平均粒子径は10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
また、カーボンブラック等の黒色顔料の色調を調整するために、補助顔料として下記に示すような有機顔料を適宜添加してもよい。また、カーボンブラック等の黒色顔料を使用せず、下記に示すような有機顔料を複数組合せる、例えば、三原色の色材を混合することによって黒色とするようなことも可能である。
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)において、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されている顔料を用いるのが好ましい。
好適に使用できる黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73,74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、及び185が挙げられる。
好適に使用できる橙色顔料の例としては、C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、及び73が挙げられる。
好適に使用できる紫色顔料の例としては、C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、及び50が挙げられる。
好適に使用できる赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、及び265が挙げられる。
好適に使用できる青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、及び66が挙げられる。
好適に使用できる、上記の他の色相の顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37等の緑色顔料、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28等の茶色顔料、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料が挙げられる。
上記の着色剤を感光性樹脂組成物において均一に分散させるために、更に分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤として、カーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
また、無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10質量部以上80質量部以下の範囲で用いることが好ましく、20質量部以上40質量部以下の範囲で用いることがより好ましい。
感光性樹脂組成物における着色剤の使用量は、感光性樹脂組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、感光性樹脂組成物中の溶剤以外の成分の質量の合計100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上30質量部以下がより好ましい。上記の範囲とすることにより、目的とするパターンでブラックマトリクスや各着色層を形成することができ、好ましい。
特に、感光性樹脂組成物を使用してブラックマトリクス(又はブラックバンク)を形成する場合には、ブラックマトリクスの被膜1μm当たりのOD値が0.1以上となるように感光性樹脂組成物における遮光剤の量を調整することが好ましい。ブラックマトリクスにおける被膜1μm当たりのOD値が0.1以上あれば、表示体のブラックマトリクスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。
着色剤は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
<溶剤(S)>
感光性樹脂組成物は、溶剤(S)を含んでいても含んでいなくてもよい。溶剤(S)を含む場合、溶剤(S)としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
感光性樹脂組成物は、溶剤中に各成分を分散・溶解させて調製されてもよい。前述の(A)成分が液状であれば、溶剤を用いなくてもよい。溶剤を含む場合、感光性樹脂組成物に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
溶剤(S)は、感光性樹脂組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、感光性樹脂組成物中の固形分濃度を、1質量%以上50質量%以下の範囲で適宜調整すればよい。
<(E)撥水剤>
感光性樹脂組成物は、更に撥水剤を含んでいてもよい。感光性樹脂組成物によりパターン形状を持つ撥水膜を形成することは、例えば、平板印刷版、インクジェトヘッドのノズル面等の分野で、撥水性乃至撥液性によって印字品位が大きく改善するために所望されるところである。
(E)撥水剤としては、特に限定されるわけではないが、フッ素を有する化合物を含むことが好ましい。例えば、撥水剤としては、カチオン重合性を有するパーフルオロアルキル組成物、カチオン重合性を有するパーフルオロポリエーテル組成物が挙げられる。具体的には、下式(E−1)で表される基又は下式(E−2)で表される基を含む側鎖を有する撥インク剤を含む組成物であることが好ましい。
−CFXRf (E−1)
−(SiRe1Re2−O)n−SiRe3Re4Re5 (E−2)
式(1)中、Xは水素原子、フッ素原子、又はトリフルオロメチル基を示し、Rfはエーテル性酸素原子を有していてもよい水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素原子数20以下のフルオロアルキル基、又はフッ素原子を示す。
式(2)中、Re1、Re2、Re3及びRe4は、独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を示し、Re5は水素原子又は炭素原子数1〜10の有機基を示し、nは1〜200の整数を示す。
また、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物と、カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物とを含む縮合物が例示できる。一例としては、例えば、下記式
CF3(CF2)nCH2CH2Si(OCH3)3
(式中、nは0以上7以下の整数である。)
で表わされる化合物等が挙げられる。nが上記範囲を超えると感光性樹脂組成物における相溶性が低下し、被覆膜全体に均質は撥水性を付与することが困難となる。
感光性樹脂組成物において、撥水剤の配合割合は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物中の溶剤以外の成分の質量の合計100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上10質量部以下がより好ましい。上記の範囲内の量の撥水剤を用いると、アルカリ可溶性樹脂(A)と撥水剤とを良好に相溶させつつ、硬化膜の良好な硬度と、硬化膜の良好な撥水性と、硬化膜の良好なエッジの角度特性とをバランスよく達成しやすい。
<その他の成分>
感光性樹脂組成物には、必要に応じて、これ以外のその他の各種の添加剤を含んでいてもよい。具体的には、分散助剤、充填剤、フィラー、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が例示される。
感光性樹脂組成物に使用される熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等を挙げることができる。また、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系等の化合物を、界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン等の化合物を、それぞれ例示できる。
[感光性樹脂組成物の調製方法]
感光性樹脂組成物は、上記の各成分を全て撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された感光性樹脂組成物が顔料等の不溶性の成分を含まない場合、感光性樹脂組成物が均一となるようフィルタを用いて濾過してもよい。
≪硬化膜形成方法≫
硬化膜の製造方法は、感光性樹脂組成物を基材上に適用して感光性樹脂層を形成する工程(以下単に「樹脂層形成工程」ともいう。)、及び上記樹脂層を位置選択的に露光する工程(以下単に「露光工程」ともいう。)、及び露光された感光性樹脂層を、現像液により現像を行いパターン形成する工程(以下単に[現像工程]ともいう。)を含む。
基材(基板又は支持体)は、種々の用途によって選択可能であり、例えば、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni,Cu,Cr,Fe等の金属基板、紙、SOG(Spin On Glass)、ポリエステルフイルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基板、TFTアレイ基板、PDPの電極板、ガラスや透明プラスチック基板、ITOや金属等の導電性基材、絶縁性基材、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコン等の半導体作製基板等特に制約されない。更に、例えば基板上に積層構造を形成する場合にあって、基板上に既に形成された下部構造となる何らかの層も、感光性樹脂層が適用される基材としての概念に包含される。また、基材の形状も特に限定されず、板状でもよいし、ロール状でもよい。基材は、更に例えば、各種パターンによって表面に凹凸を有してもよい。また、上記基材としては、光透過性、又は、非光透過性の基材を選択することができる。
まず、樹脂層形成工程では、例えば、硬化物が形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、ディスペンサー、インクジェット、スプレー、スクリーン印刷、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて感光性樹脂組成物を適用し、必要に応じて、乾燥(プリベーク)により溶媒を除去して感光性樹脂層を形成することができる。
感光性樹脂層の厚さとしては、特に制限はないが、0.05μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、7μm以上が更に好ましく、10μm以上が特に好ましい。上限は特にないが、例えば50μm以下であり、20μm以下が好ましい。上述したように、感光性樹脂組成物は、露光時に活性エネルギーが直接届かないような部分においても硬化が促進されるため、例えば、1μm以上15μm以下といった厚膜の感光性樹脂層を形成するような態様においても、露光側より遠位にある基材側付近においても十分に硬化が進行させることができる。
なお、基板上に盛られた液滴や、凹凸を有する基板の凹部に埋め込めまれた感光性樹脂組成物や、モールドの凹部に充填された感光性樹脂組成物等についても、便宜上「感光性樹脂層」と称する。
次いで、形成された感光性樹脂層を露光により硬化することができる。露光方法は、感光性樹脂組成物を硬化させることができる方法であれば特に限定されず、また必要に応じて加熱処理を併せて行うこともできる。
露光では光源は特に限定されず、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯、LED等が挙げられる。このような光源を用い、塗膜にArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、極紫外線(EUV)、真空紫外線(VUV)、電子線、X線、軟X線、g線、i線、h線、j線、k線等の放射線乃至電磁波を照射して塗布膜を露光し得る。塗布膜に対する露光は、ネガ型のマスクを介して位置選択的に行われてもよい。露光量は硬化性組成物の組成によっても異なるが、例えば10mJ/cm2以上2000mJ/cm2以下が好ましく、100mJ/cm2以上1500mJ/cm2以下がより好ましく、200mJ/cm2以上1200mJ/cm2以下が更に好ましい。露光照度は感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、1mW/cm2以上50mW/cm2以下の範囲にすることが好ましい。
加熱を行う際の温度は特に限定されず、180℃以上280℃以下が好ましく、200℃以上260℃以下がより好ましく、220℃以上250℃以下が特に好ましい。加熱時間は、典型的には、1分以上60分以下が好ましく、10分以上50分以下がより好ましく、20分以上40分以下が特に好ましい。
上記感光性樹脂層を硬化させる工程が位置選択的な露光により行われ、位置選択的に露光された上記感光性樹脂層を現像して、パターン化された硬化膜を得ることができる。
前述の硬化性組成物は、露光後に現像液に対して過度に溶解しにくい。このため、前述の硬化性組成物を用いることにより、露光部を凸部とし、未露光部を凹部とする、良好な形状のパターン化された硬化物を形成することができる。
現像工程では、露光された塗膜を現像液で現像することにより、所望する形状にパターン化された硬化物が形成される。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法、パドル法、ダイナミックディスペンス法等を用いることができる。
有機溶剤を含む現像液の具体例としては、PE(プロピレングリコールモノメチルエーテル)等のアルコール系溶剤乃至グリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。
アルカリ現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系の現像液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
そして、必要に応じ、露光後の硬化物、又は現像後のパターン化された硬化物にポストベークを施して更に加熱硬化を進めてもよい。ポストベークの温度は150℃以上270℃以下が好ましい。
≪硬化物≫
硬化物は、前述の硬化性組成物を硬化してなる。このため、硬化物は、良好な微細パターンも有し得、また、耐熱性及び透明性も良好である。
硬化物が硬化膜である場合、硬化膜の厚さとしては、特に制限はないが、0.05μm以上50μm以下が好ましい。
また、パターン化されている硬化膜は、上記硬化物からなるので、上記良好な微細パターンを有し得る。
前記硬化物は、基板表面をドット形成用の複数の区画に仕切る形に形成されたバンク用途として用いてもよい。
なお、ドットは、光学素子における光変調可能な最小領域を示す。有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイ及び薄膜太陽電池においては、白黒表示の場合に1ドット=1画素であり、カラー表示の場合に例えば3ドット(R(赤)、G(緑)、B(青)等)=1画素である。
前記硬化物は、パターニング特性に優れる感光性樹脂組成物により形成されるので、
光学素子(特には、インクジェット法により作製される有機EL素子や量子ドットディスプレイ、TFTアレイ又は薄膜太陽電池)に用いられる場合に、開口部にインクが均一塗布され精度よくドットを形成できる。
前記硬化物をバンク用途として用いる場合、バンクの幅は、例えば、100μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。また、隣接するバンク間の距離(パターンの幅)は300μm以下であることが好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。バンクの高さは0.05〜50μmであることが好ましく、0.2〜20μmであることが特に好ましい。
前記硬化物をバンク用途として用いて、光学素子を得るためバンクの開口部にインクジェット法によりドットを形成する例を以下に説明するが、これに限定されない。
基板上に形成されたバンク(例えば、平面視格子状に形成されているバンク)を用いて光学素子の一例である量子ドットディスプレイを製造する方法を説明する。
ここで、基板上のバンクは、開口部が、製造しようとする量子ドットディスプレイのドットのパターンに一致するように形成されたものである。
また、基板は、ガラス等の透光性基板にITO等の透光性電極をスパッタ法等によって成膜されたものである。この透光性電極は必要に応じてパターニングされていてもよい。
バンクに囲まれた開口部に、インクジェットヘッドからインクを滴下して、開口部に所定量のインクを注入する。インクとしては、ドットの機能に合わせて、量子ドットディスプレイ用として公知のインク(例えば正孔注入層用、正孔輸送層用、量子ドット層用、正孔阻止層用及び電子注入層用の材料を用いたインク等)、が適宜選択して用いられる。
次いで、用いたインクの種類により、例えば、溶媒の除去や硬化のために、乾燥及び/又は加熱等の処理を施して、バンクに隣接する形で所望のドット層を形成する。その後、アルミニウム等の反射電極、又はITO等の透光性電極を蒸着法等によって形成し、量子ドットディスプレイを得る。
なお、量子ドットディスプレイは、青色光変換型の量子ドットディスプレイであってもよい。この場合、ガラス等の透光性基板に、各ドットの輪郭に沿って、平面視格子状にバンクを形成する。次に、ドット形成用開口部内に、インクジェット法により青色光を緑色光に変換するナノ粒子溶液、青色光を赤色光に変換するナノ粒子溶液、必要に応じて青色のカラーインクを塗布、乾燥して、モジュールを作製する。青色を発色する光源をバックライトとして使用し前記モジュールをカラーフィルター代替として使用することにより、色再現性の優れたディスプレイが得られる。
本発明に係る硬化物によるバンクを用いることで、製造過程においてパターン精度の高い硬化物(バンク)で仕切られた開口部にインクが均一に塗布されることが可能であり、これにより精度よく形成されたドットを有する光学素子(有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイ又は薄膜太陽電池)を得ることができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されない。
以下に示す実施例1〜23及び比較例1〜5において、アルカリ可溶性樹脂(A)としては、それぞれ、表1に示すような配合量で樹脂(a−1−1)、(a−1−2)及び(a−2−1)のいずれかを用いた。
まず、500mlの四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂235g(エポキシ当量235)とテトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90℃〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全に溶解させた。ここで溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、ビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物80.5g、及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110℃〜115℃で4時間反応させた。酸無水物の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂(a−1−1)(質量平均分子量:3400)を得た。酸無水物の消失はIRスペクトルにより確認した。
上記樹脂(a−1−1)の製造における、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物80.5gを、ピロメリット酸二無水物59.7gに変えた他は樹脂(a−1−1)の製造と同様にして樹脂(a−1−2)を得た。質量平均分子量は、2500であった。
(アクリル系樹脂a−2−1の上記式中、各単位の右下の数字は、アルカリ可溶性樹脂中の各単位の含有量(質量%)を意味する。)
上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、7000であった。
また、各実施例及び比較例において、架橋剤(B)としては、多官能(メタ)アクリルモノマー(B2)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(b−2−1)を用いた。
更に架橋剤(B)としての単官能(メタ)アクリルモノマーとして、下記式(b−1−1)〜(b−1−4)に示す化合物を、それぞれ、表1に示す配合量で用いた。
各実施例及び比較例において、光重合開始剤(C)として、下記式で表される化合物c1〜c2を用いた。
また、各実施例及び比較例において、増感剤(D)として、2−イソプロピルチオキサントン(化合物d1:2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン)を用いた。
更に各実施例1〜18、22〜26及び比較例1〜4においては、表1に示すような配合量(各分散液中の着色剤成分のみの数字に換算した配合量)で、着色剤(E)として、カーボンブラック分散液(PGMEA溶媒中、ファーネスブラック 27質量%)(e1)、又は有機顔料混合ブラック(PGMEA溶媒中、有機顔料が20質量%(Red−256/Violet−23/Blue−156=40/20/40 (質量比)))(e2)を用いた。
各実施例及び比較例において、添加剤(F)として活性剤(f1:BYK310)及び(f3)フッ素系界面活性剤(パーフルオロブチルエチルメタクリレートとポリエチレングリコールメタクリレートとn−ブチルメタクリレートから誘導される構成単位を含む共重体、質量平均分子量:20000)を、また、添加剤として、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(f2)を添加した。
実施例においてはこれらの活性剤(f1)、(f3)及び添加剤(f2)をいずれも添加した。しかし、感光性樹脂組成物において、これらの活性剤及び添加剤は必須の成分ではなく、これらを配合しない以外は同様の組成においても、ここに開示した実施例と同様の評価結果が得られている。
各実施例及び比較例において、溶剤としては、3−メトキシブチルアセテート(g1)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(g2)とを15/85(質量比)の割合で使用した。
〔実施例1〜26及び比較例1〜5〕
下記表1に記載の種類及び量のアルカリ可溶性樹脂(A)、架橋剤(B)、光重合開始剤(C)、増感剤(D)、着色剤(E)、添加剤(E)及び溶剤(G)を、室温(25℃±2℃)にて攪拌機にてそれぞれ均一に混合して、各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を得た。なお、実施例19〜21及び比較例5においては着色剤(E)を配合せず、透明な樹脂組成物とした。
[ラインパターン評価]
実施例1〜26、及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークを行い、塗布膜を形成した。次いで、プロキシミティ露光機(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、幅20μmのラインパターンの形成されたネガ型マスクを介して、塗布膜に紫外線を照射した。露光量は、200mJ/cm2とした。露光後の塗布膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で50秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、膜厚10μmのラインパターンを硬化膜として形成した。
(パターン直進性評価)
形成されたラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン直進性を評価した。パターン直進性は、ラインのエッジにがたつきがない場合を「良好」、がたつきがある場合を「不良」として評価した。
(テーパー角)
露光量200mJ/cm2で形成されたラインパターンについて、テーパー角を評価した。テーパー角については、走査電子顕微鏡にてパターンと基板との間の接合角度として測定した。測定されたテーパー角を表1に示す。テーパー角が90°に近いほど、パターン断面の形状が所望する矩形形状に近いことを意味する。テーパー角が90°よりも相当量小さな角である場合、パターン断面の形状が所望する矩形形状でない。なお、テーパー角の測定結果により、ラインパターンの断面形状を次の判定基準に基づいて判定した。その結果を合わせて、表1に示す。
◎:テーパー角が80°以上90°以下である。
○:テーパー角が70°以上80°未満である。
△:テーパー角が50°以上70°未満である。
×:テーパー角が50°未満である。
[OD値の評価]
実施例1〜26、及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークを行い、塗布膜を形成した。次いで、プロキシミティ露光機(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光量200mJ/cm2、露光ギャップを50μmとして感光性樹脂層を露光した。露光された感光性樹脂層を230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、硬化膜を形成した。形成された遮光膜の厚さは10μmであった。形成された遮光膜の10μmあたりのOD値を、透過率測定器(D−200II、グレタグマクベス社製)を用いて測定し、近似曲線にて1μmあたりのOD値を算出した。OD値の測定結果を表1に示す。
黒色の着色剤を含む実施例1〜18、22〜26及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物を用いて形成された硬化膜のOD値は、いずれも0.45/μmであり、遮光性に優れる硬化膜が形成されたことが判った。一方、着色剤を含まない実施例19〜21及び比較例5の感光性樹脂組成物を用いて形成された硬化膜のOD値は、いずれも0.01/μmであり、高い透過率を有する硬化膜が形成されたことが判った。