JP2020050767A - ディップコート用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたディップ性能(挿入容易性と液ダレ防止性の両立)を保持しつつ、難燃性が付与された硬化物を形成しうるエポキシ樹脂組成物を提供すること。【解決手段】以下では、(A):常温で液状のエポキシ樹脂、(B):シリカ粉、(C):硬化剤、(D):硬化促進剤、(E):シランカップリング剤で処理された水和金属系難燃剤、(A)、(C)、(D)及び必要に応じて含まれる反応性希釈剤:樹脂分、とする。このとき、本発明のディップコート用エポキシ樹脂組成物は、UL94V−0規格に適合する硬化物を形成するためのディップコート用エポキシ樹脂組成物であって、(A)を含む第1液と、(C)及び(D)を含む第2液と、を有し、第1液及び第2液の少なくともいずれかに、(B)及び(E)をさらに含み、(B)の配合量と(E)の配合量とが特定量であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ディップコートに用いて好適なエポキシ樹脂組成物に関する。
電子部品には、フィルター、発振子、ディスクリミネーター、トラップ、サーミスタ素子など多種多様なものが存在し、これらの電子部品の外観を大きくみると電子部品本体と端子とから構成されている。これらの電子部品の多くは、絶縁性を保持するために、電子部品本体と端子とを絶縁性樹脂でコートされたものが知られている(特許文献1)。
特開平6−244002号公報
しかしながら、近年このような電子部品は小型化や高出力化されてきているため、電子部品本体からの急激な温度変化(高温)によって電子部品本体の劣化が加速したり、故障の原因となるため、絶縁性樹脂部分に対し耐熱性や難燃性の性能向上が要求されてきているが、いまだ満足のいくものはなく、また環境への配慮から、ハロゲンやリン等の難燃剤の使用は避けることが望まれる。
そこで本発明者らは、難燃剤として金属水和物を選択し、これをエポキシ樹脂に所望の難燃性能が得られるまで含有させたところ、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、電子部品を樹脂組成物中に上手く挿入することができず、ディップコート用の樹脂組成物としては使いものにならないものとなってしまった。
また電子部品を樹脂組成物中に上手く挿入できる程度まで金属水和物の含有量を減らしたところ、所望の難燃性能が得られなくなってしまった。また、ディップコート用樹脂組成物には、液ダレを防止するために通常揺変性付与剤が添加されているが、その揺変性付与剤の含有量を削減したところ、電子部品を樹脂組成物中に挿入し抜き取った後に加熱硬化した際に、液ダレしてしまいディップコート用の樹脂組成物としては使いものにならないものとなってしまった。
本発明の目的は、優れたディップ性能(樹脂組成物中への電子部品の挿入容易性と液ダレ防止性の両立)を保持しつつ、難燃性が付与された硬化物を形成しうるエポキシ樹脂組成物と、該エポキシ樹脂組成物の硬化物で構成されたコート層を有する電気・電子素子と、を提供することである。
本発明者らは、常温で液状のエポキシ樹脂を含む第1液と、硬化剤及び硬化促進剤を含む第2液の少なくともいずれか中でのシリカ粉の配合量を調整するとともに、特定の水和金属系難燃剤を用い、かつその配合量を調整することによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば、以下に示す構成のエポキシ樹脂組成物が提供される。また本発明によれば、以下に示す構成のエポキシ樹脂組成物を硬化処理して得られる硬化物で構成されたコート層が少なくとも一部に形成された電気・電子素子が提供される。
以下では、(A):常温で液状のエポキシ樹脂、(B):シリカ粉、(C):硬化剤、(D):硬化促進剤、(E):シランカップリング剤で処理された水和金属系難燃剤、(A)、(C)、(D)及び必要に応じて含まれる反応性希釈剤:樹脂分、とする。
このとき、本発明のエポキシ樹脂組成物は、UL94V−0規格に適合する硬化物を形成するためのディップコート用エポキシ樹脂組成物であって、
(A)を含む第1液と、(C)及び(D)を含む第2液と、を有し、
第1液及び第2液の少なくともいずれかに、(B)及び(E)をさらに含み、
100質量部の樹脂分に対する(B)の配合量が2〜8質量部であり、かつ、100質量部の樹脂分に対する(E)の配合量が130〜190質量部であることを特徴とする。
以下では、(A)のうち、(A1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(A2):グリシジルアミン型エポキシ樹脂、とする。このとき、本発明のエポキシ樹脂組成物において、(A)は、(A1)及び(A2)を含み、全(A)中に、(A1):1に対して、(A2):0.05以上0.7以下となる質量比で含有させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、(E)は、いずれも水酸化アルミニウムで構成することができる。
以下では、(B)のうち、(B1):アルキル基を有するシランカップリング剤で処理されたフュームドシリカ、(B2):シリコーンオイルで処理されたフュームドシリカ、とする。このとき、本発明のエポキシ樹脂組成物において、(B)は、(B1)及び(B2)を含み、全(B)中に、(B1):1に対して、(B2):0.5以上4.0以下となる質量比で含有させることができる。
以下では、(C)のうち、(C1):酸無水物系硬化剤とし、(D)のうち、(D1):イミダゾール系硬化促進剤、とする。このとき、本発明のエポキシ樹脂組成物において、(C)は(C1)を含むとともに、(D)は(D1)を含み、100質量部の(C)に対する(D)の配合量が0.5〜10質量部であることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、常温で液状のエポキシ樹脂を含む第1液と、硬化剤及び硬化促進剤を含む第2液の少なくともいずれか中でのシリカ粉の配合量を調整するとともに、特定の水和金属系難燃剤を用い、かつその配合量を調整してある。このため、優れたディップ性能(挿入容易性と液ダレ防止性の両立)を保持しつつ、難燃性が付与された硬化物を形成しうるエポキシ樹脂組成物と、該エポキシ樹脂組成物の硬化物で構成されたコート層を有する電気・電子素子と、を提供することができる。
以下に本発明の詳細を説明する。
なお、以下の説明で、「樹脂分」と言った場合、それは、(A):常温で液状のエポキシ樹脂、(C):硬化剤、(D):硬化促進剤、及び必要に応じて含まれうる反応性希釈剤の合計成分を意味するものとする。
本発明のディップコート用エポキシ樹脂組成物は、第1液と第2液とから構成され、第1液は、(A)常温で液状のエポキシ樹脂を少なくとも含み、第2液は、(C)硬化剤及び(D)硬化促進剤を含む。(B)シリカ粉及び(E)水和金属系難燃剤は、第1液及び第2液の少なくともいずれかに含まれる。
まず、第1液に使用される成分について説明する。
<(A)>
第1液に用いられる(A)エポキシ樹脂は、常温で液状のものであれば特に制限されることなく用いることができる。そのようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール−ノボラック型またはクレゾール−ノボラック型のエポキシ樹脂、臭素化ノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型もしくはAD型のエポキシ樹脂、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリストールポリグリシジルエーテル等の脂肪族系エポキシ樹脂、脂肪族若しくは芳香族アミンとエピクロルヒドリンから得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸とエピクロルヒドリンから得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、複素環エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等を使用することができる。なかでも、耐熱性や機械的強度の観点から、(A1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有することが好ましい。(A)のエポキシ樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いることもできる。
また、耐熱性が要求される分野においては、(A1)とともに、(A2)グリシジルアミン型エポキシ樹脂を含有させることにより対処することができる。(A2)の具体例としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類、アミノフェノールのグリシジル化合物類、グリシジルアニリン類、キシレンジアミンのグリシジル化合物などが挙げられる。
なかでも、性能とコストのバランスの観点から、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類(テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂)が好ましい。 テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類の市販品としては、スミエポキシELM434、スミエポキシELM434HV(以上住友化学社製); エポトートYH434、エポトートYH434L(以上、新日鐵住金化学社製); アラルダイトMY720、アラルダイトMY721、アラルダイトMY9512、アラルダイトMY9612、アラルダイトMY9634、アラルダイトMY9663(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製); jER604(三菱化学社製); Bake1ite EPR494、Bake1ite EPR495、Bake1ite EPR496、Bake1ite EPR497(以上、Bakelite AG社製); などが挙げられる
(A)中に、(A1)とともに、(A2)を含有させる場合、(A1):1に対して、(A2):0.05〜0.7となる質量比で、両者を含有させることが好ましい。こうした質量比で両者を配合することにより、ディップコート性(挿入容易性)を維持したまま耐熱性の向上が期待される。
(A)のエポキシ当量は、特に限定されるものではないが、好ましくは400以下、より好ましくは300以下である。エポキシ当量が高すぎると、難燃性エポキシ樹脂組成物の粘度が上昇し、ディップコートの作業性が劣り、更にガラス転移点が下がり、耐熱性に劣る硬化物になりやすい。エポキシ当量は、JIS K7236に準拠した方法で測定される。
第1液には、本発明の樹脂組成物の粘性低下の目的で、必要に応じて、反応性希釈剤が配合されることもある。使用可能な反応性希釈剤としては、例えば、分子内にエポキシ基を有するエポキシ化合物で25℃の粘度が500mPa・s以下のものが用いられる。 このような反応性希釈剤としては、従来、粘性低下に用いられているものが挙げられ、例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブタンジオールグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
反応性希釈剤を添加する場合の添加量は、(A)のエポキシ樹脂に、さらにここで添加する粘性低下のための反応性希釈剤の混合物に対して40質量%以下、好ましくは1〜35質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。40質量%を超えると硬化物特性が悪化してしまうこともある。
次に、第2液に使用される各成分について説明する。
<(C)及び(D)>
本発明において、第2液に用いられる(C)硬化剤として無水メチルハイミック酸を用い、第2液に用いられる(D)硬化促進剤として1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールを用いることが好ましい。
上記以外の硬化剤と硬化促進剤との組み合せを用いると、長期間保存後の結晶化を防止することができない。また、上記の組み合せを用いると、他の組み合せ、例えば無水メチルハイミック酸と、2−エチル−4−メチルイミダゾール又は1−ベンジル−2−メチルイミダゾールとの組み合せを用いた場合に比べ、保管時の安定性が向上するし、例えば3−若しくは4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸又は3−若しくは4−メチル−ヘキサヒドロフタル酸と1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールとの組み合せを用いた場合に比べ、ガラス転移温度が高くなる。
また、(C)と(D)の配合割合は、質量比で100:0.5〜100:10の範囲が好ましいが、得ようとする硬化物の特性、例えば硬化速度やガラス転移温度により適宜選択すればよい。
この範囲より(D)の好ましい例としての1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールの割合が少ないと、硬化速度が遅くなるなど、(D)の好ましい例としての1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールを使用した効果が得られなくなるし、この範囲を超えて配合しても、使用量に見合うだけの効果が得られない。よって、(C)と(D)の更に好ましい配合割合は100:1〜100:7であり、より好ましくは100:2〜100:5の範囲である。
(C)と(D)を用いて硬化剤組成物を調製する方法としては、従来から硬化剤と硬化促進剤とを混合する方法の中から適宜選択することができるが、特にあらかじめ秤量した(C)と(D)とを混合し、70〜90℃に加温しながら、ディゾルバー等の撹拌機で30〜60分間撹拌混合する。撹拌混合後、室温に戻すことにより、硬化剤組成物を調製するのが好ましい。
次に、(C)の配合割合は、併用される樹脂の官能基、例えばエポキシ樹脂の場合、エポキシ基1当量に対して、0.8〜1.2当量の範囲であることが好ましい。(C)の配合割合がこの範囲より少ないと、反応性が低くなって硬化に必要とする時間が長くなったり、硬化物性が低下する傾向が見られるようになり、このことは生産効率や製品品質の低下の要因となる。
一方、この範囲を超えると、他の成分の配合比率によっては、硬化が速くなりすぎたりする場合がある。この傾向が顕著になると均一な硬化が起こりにくくなり、局所的に硬化物が発生し、樹脂層としての特性が低下する。
適切な反応速度や均一な硬化物を得るためには、0.85〜1.15当量の範囲がより好ましく、0.9〜1.1当量の範囲が特に好ましい。
次に、第1液及び第2液の少なくともいずれかに使用される各成分について説明する。
<(B)>
本発明に用いられる(B)はシリカ粉であり、これは揺変性付与剤として添加される成分である。本発明において使用するシリカ粉としてはフュームドシリカが挙げられる。このフュームドシリカとしては、親水性シリカや疎水性シリカが挙げられ、本発明においては、2種の疎水性シリカを併用して用いると効果的である。このようなシリカ粉は樹脂組成物の液ダレ防止性と揺変性の向上が期待できる。本発明において、揺変性とは等温状態において剪断変形を与えることによって、見かけ粘度が一時的に低下し、静置して時間が経つと元の見かけ粘度が回復する性質のことをいい、揺変性が向上すると後述する空気抜け性が向上することを意味する。
シリカ粉の平均粒子径は、平均一次粒子径として5〜200nmであることが好ましい。比表面積が大きいほど揺変性付与効果が大きいためである。更に好ましくは、5〜40nmである。
疎水性シリカとしては、例えば、アルキル基を有するシランカップリング剤で処理されたフュームドシリカ(B1)で、一次粒子径が5〜200nmで、比表面積(BET)が125〜175m2/gのものが挙げられる。(B1)は、液状樹脂中で室温下での液ダレを防止する性能を発現する。更に、見かけ粘度へ回復するまでの時間が長いという特徴を有しており、揺変性を向上させることができる。
疎水性シリカとしては、(B1)の他に、例えば、シリコーンオイルで処理されたフュームドシリカ(B2)で、一次粒子径が5〜200nmで、比表面積(BET)が80〜120m2/gのものが挙げられる。(B2)は、液状樹脂中で室温下ならびに高温(硬化)下において液ダレを防止するとともに、形状保持性を向上させる性能を発現する。
親水性シリカとしては、例えば、表面に何も処理を施されていないもので、一次粒子径が5〜200nmで、比表面積(BET)は270〜330m2/gのものが挙げられる。
なお、親水性シリカおよび疎水性シリカの上記一次粒子径は、例えば、動的光散乱法により測定することができる。
ここで、(B)の配合量は、100質量部の樹脂分に対して、2〜8質量部にすることが必要である。配合量が少なすぎると、液ダレ防止性が悪くなるからであり、逆に多すぎると、空気抜け性が悪くなり、好ましくない。液ダレ防止性と空気抜け性を考慮すると、更に好ましくは4〜6質量部の範囲である。
また、このような量で配合されるシリカ粉において、(B1)及び(B2)を併用する場合の配合比は、(B2)の割合が、(B1):1に対して、0.5以上4.0以下となる質量比で含有されていることが好ましく、より好ましくは1.0以上2.0以下となる質量比で含有される。
(B2)の割合が、(B1):1に対して、0.5未満となる質量比で含有される場合、液ダレを生じやすい。一方、4.0超となる質量比で含有される場合、空気抜け性が悪くなりやすい。
(B)は、第1液及び第2液のいずれか一方に配合してもよく、あるいはその両方に配合してもよい。第1液と第2液の混合しやすさの観点から、第1液及び第2液の粘度を同程度に調整することが好ましい。
なお、エポキシ樹脂組成物のディップ性能(電子部品の挿入容易性と液ダレ防止性)を考慮すると、第1液及び第2液の混合後の粘度は、例えば、25℃での粘度は150〜350Pa・sが好ましく、より好ましくは200〜300Pa・s、特に好ましくは220〜280Pa・sである。
<(E)>
本発明に用いられる(E)は、シラン処理(シランカップリング剤により処理)された水和金属系難燃剤(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)からなることが必須である。シラン処理されたものを用いることで、硬化物に優れた耐水性を付与することが期待される。なお、本発明では、(E)として、表面処理のない(表面無処理の)水和金属系難燃剤と、シラン処理された水和金属系難燃剤との、両者を併用してもよい。
(E)として用いる水和金属系難燃剤が、脂肪酸、亜麻仁油、チタンカップリング剤等の処理剤で処理されていた場合、エポキシ樹脂組成物の調製中に該処理剤が硬化触媒として働き、系中の水分によって上記(A)が反応して硬化もしくは増粘してしまう可能性がある。したがって、例えば、上記(A)が存在しない状態で予め(E)を脱水しておき、これに後から上記(A)を配合したり(第1液に含める場合)、安定性を保つための添加剤を添加したり、あるいは2液型として利用する(つまり(E)を第1液に含めない)等の工夫が必要である。
シランカップリング剤としては、末端にビニル基、メタクリロキシ基、グリシジル基、アミノ基を有するもの、など挙げられ、例えば、エポキシシラン(エポキシ基含有シランカップリング剤)が好ましい。シランカップリング剤とは、一般にR−Si(OR’)3で表される構造を有する(複数存在するR’は同一であっても異なっていてもよい)。エポキシシラン(エポキシ基含有シランカップリング剤)とは、上記R’で表される官能基にエポキシ基を含むものである。エポキシ基は、通常、2価の連結基を介してSiに結合している。2価の連結基としては、後述の具体例化合物に含まれる連結基を挙げることができる。 一方、上記R’で表される官能基は、通常アルキル基であり水系溶媒中で加水分解を受けシラノール(Si−OH)を生成する。上記R’で表されるアルキル基の炭素数は、例えば1〜10であり、好ましくは1〜3である。
エポキシシランの具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(γ−GPS)、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシドキシ基含有トリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン等のエポキシアルキルアルコキシシランなどが挙げられる。
水和金属系難燃剤をシランカップリング剤で処理をする場合には、いずれか1種のシランカップリング剤のみでも、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤による表面処理の方法としては、通常使用される方法で処理を行うことが可能である。例えば、表面処理をしていない水和金属系難燃剤を予めドライブレンドしたり、湿式処理を行ったり、混練り時にシランカップリング剤をブレンドすることなどにより得ることが可能である。使用するシランカップリング剤の含有量は、表面処理をするのに十分な量が適宜加えられるが、具体的には水和金属系難燃剤に対し、0.1〜2.5重量%、好ましくは0.2〜1.8重量%、さらに好ましくは0.3〜1.0重量%である。
すでにシランカップリング剤で処理された水和金属系難燃剤の市販品を入手することも可能である。
シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウムとしては、具体的には、キスマ5L(質量平均粒子径0.8μm)、キスマ5N(質量平均粒子径0.7μm)、キスマ5P(質量平均粒子径0.8μm)(以上、協和化学社製)、ファインマグMO−E(TMG社製)などが挙げられる。表面無処理の水酸化マグネシウムとしては、例えば、キスマ5(協和化学社製)、マグニフィンH5(アルベマール社製)などが挙げられる。
エポキシシラン処理された水酸化アルミニウムとしては、例えば、B303STE(質量平均粒子径17μm:日本軽金属社製)、BF013ST(質量平均粒子径1μm:日本軽金属社製)、メタクリロキシ系シラン処理された水酸化アルミニウムとしてB153STM(質量平均粒子径12μm:日本軽金属社製)などが挙げられる。
(E)の大きさは、質量平均粒径で、5〜40μm、好ましく15〜30μmであることが好ましい。ディップコート時の作業性、特に電子部品の挿入容易性を向上しやすくするためである。
(E)は、その粒度分布を調整してから使用することができる。粒度分布の調整は、使用するEに含まれる比較的大きな粒径のものを、遠心力型風力分級機、乾式分級機、篩過機等で分級して除去すればよい。
本例において、シランカップリング剤で処理された水和金属系難燃剤(E)の配合割合は、100質量部の樹脂分に対して130〜190質量部の範囲であることが必須である。配合割合が130質量部未満であると、難燃性に不都合を生じ、逆に190質量部を超えると、ディップコート時の作業性の低下や硬化後の機械的強度の低下の不都合を生じるため好ましくない。ディップコート用樹脂組成物としての作業性や機械的強度を維持したまま、難燃性を付与するという観点で、配合割合は140質量部以上、特に150質量部以上が好ましく、また180質量部以下、特に170質量部以下が好ましい。
(E)は、第1液及び第2液のいずれか一方に配合してもよく、あるいはその両方に配合してもよい。その際には、上述した(B)の第1液及び第2液の配合割合及びそれぞれの液の25℃での粘度を考量し、適宜、配合することが好ましい。
本発明のディップコート用エポキシ樹脂組成物には、以上説明した成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、上記シリカ粉以外の粉末充填剤、上記水和金属系以外の難燃剤、着色剤、その他の添加剤を配合することができる。粉末充填剤としては、例えば、結晶シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、アルミナ、ホワイトカーボン、ジルコニア、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化ケイ素、マグネシア、マグネシウムシリケート等が挙げられる。難燃剤としては、例えば、粉末状有機ハロゲン化合物、赤リン、リン酸エステル、三酸化アンチモン等が挙げられる。着色剤としては、カーボンブラック、コバルトブルー等の各種顔料・染料が挙げられる。なお、これらの成分は、第1液及び第2液のいずれか一方に配合してもよく、あるいはその両方に配合してもよい。充填剤の沈殿防止の点からは、第1液に配合することが好ましい。
本発明のディップコート用エポキシ樹脂組成物は、前述したように、(A)常温で液状のエポキシ樹脂を含む第1液と、(C)硬化剤及び(D)硬化促進剤を含む第2液と、第1液及び第2液の少なくともいずれかに含まれる所定割合の(B)シリカ粉及び(E)水和金属系難燃剤とを有して構成され、使用時に両液を所定割合で混合して使用される。
第1液を得るための攪拌混合装置としては、例えば、自公転ミキサーやプラネタリーミキサー等を用いることができる。一方、第2液の調製は、ディゾルバー等の撹拌機で加熱しながら撹拌混合して行う。
本発明のディップコート用エポキシ樹脂組成物は、常温で液状のエポキシ樹脂(A)を含む第1液と、硬化剤(C)及び硬化促進剤(D)を含む第2液の少なくともいずれか中でのシリカ粉(B、B1、B2)の配合量と、シランカップリング剤で処理された水和金属系難燃剤(E)の両配合量を調整してある。このため、優れたディップ性能(挿し易さと液ダレし難さの両立)を保持しつつ、難燃性や耐熱性が付与された硬化物を形成しうるエポキシ樹脂組成物と、該エポキシ樹脂組成物の硬化物で構成されたコート層を有する電気・電子素子と、を提供することができる。
電気・電子素子としては、特に限定されないが、例えば、温度センサとして用いるサーミスタ素子などが挙げられる。この場合のコート層は、例えば、サーミスタ素子の電極に一端が接続されたリード線(細径の銅線に樹脂で絶縁被覆した電線)の他端近傍を被覆する絶縁コート層などが挙げられる。
電気・電子素子をディップコートする場合のコート層の厚さは、通常、1〜4mmである場合が多い。しかし、1mmより薄くコートする場合や、原料樹脂液の粘度が高く、所定の膜厚を得にくい場合等には、本発明の樹脂組成物の粘性低下の目的のために反応性希釈剤(前出)を添加するのがよい。
以下、本発明を実験例(実施例および比較例を含む)に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。以下の記載において、「部」は「質量部」を示すものとする。また、エポキシ樹脂の全塩素含有率及び可鹸化塩素含有率は、JIS K7243に準拠して測定された値である。
1.エポキシ樹脂組成物の作製
[実験例1]
(A)常温で液状のエポキシ樹脂としての、エポキシ樹脂(1):80部に、(B)シリカ粉としての(B1)第1のシリカ(1):4部、及び(B2)第2のシリカ(1):7部と、(E)シランカップリング剤で処理された水和金属系難燃剤としての難燃剤(1):300部と、反応性希釈剤(1):20部と、カーボンブラック(三菱化学社製、ミツビシカーボンブラックMA100):2部と、を添加し、その後2時間、攪拌混合して第1液を調製した。第1液の調製には、自公転ミキサーを用い、自転速度1500rpm、で撹拌した。
また、(C)硬化剤(1):101部に、(D)硬化促進剤としての1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ):3.1部を、常法により添加し、その後混合して第2液を調製した。
その後、得られた第1液と第2液を混合してエポキシ樹脂組成物を得た。
なお、上記各成分の詳細は次のとおりである。
・エポキシ樹脂(1): ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER828;エポキシ当量189)
・第1のシリカ(1): 疎水性シリカ(アルキル基を有するシランカップリング剤で処理されたフュームドシリカ、日本アエロジル社製、アエロジルR805)
・第2のシリカ(1): 疎水性シリカ(シリコーンオイルで処理されたフュームドシリカ、日本アエロジル社製、アエロジルR202)
・難燃剤(1): 水酸化アルミニウムのエポキシシラン処理物(日本軽金属社製、B303STE;質量平均粒径17μm)
・反応性希釈剤(1): シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(CVCスペシャリティケミカルズ社製、ERISYS GE−22)
・硬化剤(1): 無水メチルハイミック酸(日立化成社製、MHAC−P)
[実験例2〜26]
第1液及び第2液の配合成分及び/または配合量を表1及び2に示すように変えた以外は実験例1と同様にして第1液及び第2液を調製し、さらに、これらの第1液及び第2液を混合してエポキシ樹脂組成物を得た。
Figure 2020050767
なお、表1及び3中に示す実験例2以降で用いた成分は、次のとおりである。
・エポキシ樹脂(2): テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER604:エポキシ当量120)
・第1のシリカ(2): 疎水性シリカ(アルキル基を有するシランカップリング剤で処理されたフュームドシリカ、日本アエロジル社製、アエロジルR−812)
・第2のシリカ(2): 疎水性シリカ(シリコーンオイルで処理されたフュームドシリカ、キャボット社製、キャボシルTS720)
・難燃剤(2): 水酸化アルミニウムのメタクリロキシ系シラン処理物(日本軽金属社製、B153STM;質量平均粒径12μm)
・難燃剤(3): 水酸化マグネシウムのエポキシシラン処理物(質量平均粒径12μm)
・難燃剤(4): 水酸化アルミニウムの表面無処理物(日本軽金属社製、SB303;質量平均粒径26μm)
・硬化剤(2): メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(日立化成社製、HN−5500)
2.評価
各実験例で得られたエポキシ樹脂組成物について、下記に示す方法で各種特性を評価した。結果を表2及び4に示す。
(2−1)粘度
回転粘度計(東機産業社製、商品名TVE−35形型粘度計)を用いて、第1液及び第2液の混合1分後の粘度(Pa・s)を25℃で測定した。
(2−2)硬化性(ゲル化するまでの時間)
JIS C2161に準拠した装置を用いて、混合直後のエポキシ樹脂組成物0.4ccが150℃の熱板上でゲル化するまでの時間(秒)を測定し、以下の基準で評価した。
「〇」:600秒未満(硬化性が良好)
「×」:600秒以上(硬化性が不良)※反応性不足による
(2−3)耐熱性(ガラス転移温度)
エポキシ樹脂組成物を150℃、1時間の後、180℃、3時間の条件で加熱し硬化させて得られた硬化物について、示差走査熱量測定(DSC)を行い、次の条件でガラス転移温度・Tg(℃)を測定し、以下の基準で評価した。測定装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220、サンプル量:10mg、測定雰囲気:窒素雰囲気、昇温速度:20℃/分、測定温度:25℃〜200℃
「◎」:Tgが145℃以上(耐熱性が極めて良好)
「〇」:Tgが120℃以上、145℃未満(耐熱性が良好)
「×」:Tgが120℃未満(耐熱性が不良)
(2−4)強度(曲げ強さ)
エポキシ樹脂組成物を150℃、1時間の後、180℃、3時間の条件で加熱し硬化させて得られた硬化物について、JIS K6911に準拠して、曲げ強さを測定し、以下の基準で評価した。
「〇」:70MPa以上(硬化物特性が良好、信頼性(耐熱衝撃性など)あり)
「×」:70MPa未満(硬化物特性が不良、信頼性(耐熱衝撃性など)なし)
(2−5)難燃性
エポキシ樹脂組成物を150℃、1時間の後、180℃、3時間の条件で加熱し硬化させて得られた硬化物について、UL94の垂直燃焼試験方法に準拠して、以下の基準で評価した。
「○」:UL94V−0規格に適合する(難燃性が良好)
「×」:UL94V−0規格に適合しない(難燃性が不良)
(2−6)ディップコート性(挿入容易性)
φ1.3mm×2本の平行塩化ビニル樹脂絶縁電線を、2液を撹拌混合して得られた混合液中へ挿入する際の電線の様子について、以下の基準で評価した。
「◎」:電線に抵抗を感じることなく垂直に液中へ挿入される(挿入が極めて容易)
「〇」:電線に若干抵抗を感じるが垂直に液中へ挿入される(挿入が容易)
「△」:電線に抵抗を感じるが垂直に液中へ挿入される(挿入が可能)
「×」:電線に大きな抵抗を感じ湾曲して液中へ挿入される(挿入が容易ではない)
(2−7)ディップコート性(液ダレ防止性)
2液を撹拌混合して得られた混合液の入った容器に、サーミスタセンサをディッピングし、ディップコート直後と150℃、1時間の条件で加熱させた後の形状を、以下の基準で評価した。
「〇」:サーミスタセンサ下方に液が溜まらず、センサの形状を保持しているもの(液ダレ防止性極めて良好)
「△」:サーミスタセンサより垂れ落ちないが、下方に液が溜まりセンサ形状を保持しきれないもの(液ダレ防止性良好)
「×」:サーミスタセンサより垂れ落ちた状態のもの。(液ダレ防止性不良)
(2−8)空気抜け性
2液を撹拌混合して得られたおよそ10gの混合液の入った容器を減圧装置に入れ、1〜5Torrまで減圧を行う。その際、液面の膨張高さの最高点を保つ時間を計測し、以下の基準で評価した。
「〇」:5秒未満(空気抜け性が極めて良好)
「△」:10秒未満(空気抜け性が良好)
「×」:10秒以上(空気抜け性が不良)
(2−9)耐水性
エポキシ樹脂組成物を150℃、1時間の後、180℃、3時間の条件で加熱し硬化させて得られた硬化物を98℃の熱水中に浸漬し、1000時間後に取り出し、室温まで冷却した。熱水への浸漬前と浸漬後の各硬化物について、JIS K6911に準拠した方法で体積抵抗率を測定し、以下の基準で評価した。なお、評価した実験例ごとに、浸漬前硬化物の体積抵抗率の測定値をRM1、浸漬後硬化物の体積抵抗率の測定値をRM2とした。
「〇」:RM1とRM2の桁数の差(RM1−RM2)が5桁未満
「×」:RM1とRM2の桁数の差(RM1−RM2)が5桁以上
Figure 2020050767
3−1.考察1
表1及び表2で示すように、実験例1〜5、7〜14のエポキシ樹脂組成物は、(B)と、(E)の配合量が適正であり、(B)は2種類の疎水性シリカを用いたものであり、(E)はシラン処理された水和金属系難燃剤を使用したものであった。その結果、挿入容易性と液ダレ防止性を両立させつつ、硬化物に難燃性が付与され、さらに耐水性に優れたものとなった。
中でも、実験例2、3、9のエポキシ樹脂組成物は、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂を使用したものであった。その結果、実験例1、4、5、7、8、10〜14のエポキシ樹脂組成物と比べると、耐熱性が極めて良好なものとなった。
また、実験例1〜5、7、8は、(B1)、(B2)、(E)が全て第1液に配合されているものであり、第2液には配合されていないのものであったため、第1液と第2液に粘度の差があるものであった。一方、実験例9〜14は、第1液と第2液に、(B1)、(B2)、(E)の少なくともいずれかを配合したものとなっていたため、第1液と第2液の粘度の差が少ないものとなり、実験例1〜5、7、8と比べて混合しやすく作業性の良いものとなった。
これに対し、実験例6のエポキシ樹脂組成物は、100質量部の樹脂分に対する(E)の配合量は適量(147質量部)であったが、(E)として難燃剤(1)〜(3)以外を使用したものであった。その結果、実験例1〜5、7、8と比べると、サーミスタセンサの挿入容易性及び空気抜け性が劣っていた。さらに実験例1と比べると、耐水性が劣っていた。
実験例15のエポキシ樹脂組成物は、100質量部の樹脂分に対する(E)の配合量は適量(165質量部)であったが、実験例6と同様、(E)として難燃剤(1)〜(3)以外を使用したものであった。その結果、実験例1〜5、7、8と比べると、サーミスタセンサの挿入容易性及び空気抜け性が劣っていた。
実験例16のエポキシ樹脂組成物は、100質量部の樹脂分に対する(E)の配合量は適量(165質量部)であったが、(E)として難燃剤(1)〜(3)以外を使用したことに加え、サーミスタセンサを挿入できる程度まで(B)の配合量を少なくし、さらには(B)は2種類の疎水性シリカを用いたものではなかった。その結果、実験例1〜5、7、8と比べると、液ダレ防止性の劣るものとなった。
実験例17のエポキシ樹脂組成物は、(B)として2種類の疎水性シリカを用いたものであり、(E)としてシラン処理された水和金属系難燃剤を用いたものであったが、100質量部の樹脂分に対する(B)の配合量が上限値超(9.3質量部)であった。その結果、粘度が高くなりすぎ、実験例1〜5、7、8と比べて、サーミスタセンサの挿入容易性及び空気抜け性が劣るものとなった。
実験例18のエポキシ樹脂組成物は、(B)として2種類の疎水性シリカを用いたものであり、(E)としてシラン処理された水和金属系難燃剤を使用していたが、100質量部の樹脂分に対する(E)の合計配合量が上限値超(294質量部)であった。その結果、実験例1〜5、7、8と比べて、サーミスタセンサの挿入容易性及び空気抜け性が劣るものとなった。
Figure 2020050767
Figure 2020050767
3−2.考察2
表3及び表4で示すように、実験例19〜26は、(A)として(A1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂と(A2):グリシジルアミン型エポキシ樹脂を用いているものであったが、どの評価項目においても実験例1と同等以上の評価となった。
特に、実験例20〜25は、(A1):1に対して、(A2):0.05以上0.7以下となる質量比で含有されているものであったが、耐熱性又は挿入容易性のどちらかが実験例10以上の評価となった。

Claims (6)

  1. UL94V−0規格に適合する硬化物を形成するためのディップコート用エポキシ樹脂組成物であって、
    下記に示す(A)を含む第1液と、下記に示す(C)及び(D)を含む第2液と、を有し、
    第1液及び第2液の少なくともいずれかに、下記に示す(B)及び(E)をさらに含み、
    (A)、(C)、(D)及び必要に応じて含まれる反応性希釈剤を樹脂分としたとき、100質量部の樹脂分に対する(B)の配合量が2〜8質量部であり、かつ、100質量部の樹脂分に対する(E)の配合量が130〜190質量部であるエポキシ樹脂組成物。
    (A):常温で液状のエポキシ樹脂
    (B):シリカ粉
    (C):硬化剤
    (D):硬化促進剤
    (E):シランカップリング剤で処理された水和金属系難燃剤
  2. (A)は、下記に示す(A1)及び(A2)を含み、全(A)中に、(A1):1に対して、(A2):0.05以上0.7以下となる質量比で含有されている請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
    (A1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂
    (A2):グリシジルアミン型エポキシ樹脂
  3. (E)は、水酸化アルミニウムで構成してある請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. (B)は、下記に示す(B1)及び(B2)を含み、全(B)中に、(B1):1に対して、(B2):0.5以上4.0以下となる質量比で含有されている請求項1〜3のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
    (B1):アルキル基を有するシランカップリング剤で処理されたフュームドシリカ
    (B2):シリコーンオイルで処理されたフュームドシリカ
  5. (C)は下記に示す(C1)を含むとともに、(D)は下記に示す(D1)を含み、100質量部の(C)に対する(D)成分の配合量が0.5〜10質量部である請求項1〜4のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
    (C1):酸無水物系硬化剤
    (D1):イミダゾール系硬化促進剤
  6. 請求項1〜5のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物で構成されたコート層が少なくとも一部に形成された電気・電子素子。
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