JP2020026458A - 発熱塗料、面状発熱体、および発熱塗料の製造方法 - Google Patents

発熱塗料、面状発熱体、および発熱塗料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発熱塗料に関し、低電圧でも高い発熱性を有し、高い温度領域でも塗料膜を維持できる断線の少ない塗料膜を形成することができる発熱塗料を提供する。【解決手段】本発明の発熱塗料は、微細炭素材料と無機系バインダーとを主成分とした。【選択図】なし

Description

本発明は、低電圧でも高い発熱性を有し、高い温度領域でも塗料膜の連続性を維持できる断線の少ない塗料膜を形成することができる発熱塗料、この発熱塗料を用いた面状発熱体、および発熱塗料の製造方法に関する。
面状ヒーターは、食品調理器具、熱プレス機、配管ヒーター、ヒートシール・ラミネート装置、乾燥装置、除曇装置、融雪装置などの熱源として用いられている。従来、面状ヒーターとしては、ニクロム線のような線状の金属抵抗体を発熱面に蛇行配置したものや、合成樹脂等の絶縁性基材の表面に、導電性の金属粉体や炭素粉体と有機系バインダーとを混合した導電塗料を塗布した抵抗体などが使用されている。前者の面状ヒーターには、発熱体が線状であるため、発熱面の均一な温度分布が得られにくく、また抵抗体が線状であるため、一か所が断線するとその線を配した部分が発熱しなくなるという問題があった。また、後者の面状ヒーターには、発熱部分に有機材料を含むため、高い温度領域で発熱させると有機化合物の分解により塗料膜が破壊され、塗料膜の連続性が失われて断線するという問題があった。
これを解決する方法として、粉砕した竹炭とファインカーボンを含む炭素粉末と、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリム、ヨウ素化合物及び水を含む無機系バインダーとを混合した発熱塗料(特許文献1参照)が提案されている。この塗料を塗布した面状ヒーターは、高い温度領域においても断線による発熱への影響はないが、抵抗値が高いため、低電圧では高い発熱性が得られ難いという問題があった。
また、無機溶媒中にカーボン及び導電性金属粉体を混合した発熱塗料(特許文献2参照)が提案されている。この塗料では、抵抗値が低いため、低電圧でも高い発熱性を得られる。しかし、この発熱塗料を用いて面状ヒーターを作製しても、発熱塗料の乾燥時に無機溶媒は揮発してカーボンと導電性金属粉体のみからなる塗料膜が形成される。カーボンと導電性金属粉体からなる塗料膜は、カーボンと空気との接触面積が多いため発熱させた時にカーボンが酸化分解しやすく、高い温度領域で塗料膜が破壊され、断線するという問題があった。
特開2010−106054号公報 特開平6―157948号公報
上述の様に従来の発熱塗料では、抵抗値が高いため、低電圧で高い発熱性が得られない、もしくは高い温度領域で発熱させると塗料膜が破壊され、塗料膜の連続性が失われて断線するという問題があった。
本発明は、低電圧でも高い発熱性を有し、高い温度領域でも塗料膜の連続性を維持できる断線の少ない塗料膜を形成することができる発熱塗料、この発熱塗料を用いた面状発熱体、およびその発熱塗料の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を解決する本発明の発熱塗料は、微細炭素材料と無機系バインダーとを主成分としたことを特徴とする。
本発明によれば、導電性及び耐熱性に優れる微細炭素材料と、同じく耐熱性に優れる無機系バインダーとを主成分とすることにより、低電圧でも高い発熱性を有し、高い温度領域でも連続性を維持できる断線することの少ない塗料膜を形成することができる発熱塗料を提供することができる。
また、発熱塗料は、前記微細炭素材料が、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、グラフェンナノプレートレットの中から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
さらに、発熱塗料は、前記無機系バインダーが、セピオライト、シリカゾル、アルミナゾル、ケイ酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種であってもよい。
また、発熱塗料は、前記微細炭素材料に対する前記無機系バインダーの質量配合比が、0.1以上30以下であることが好ましい。
上記目的を解決する本発明の面状発熱体は、上述の発熱塗料を無機繊維シートに塗布、含浸、または内添して得られることを特徴とする。
本発明によれば、低電圧でも高い発熱性を有し、高い温度領域でも連続性を維持できる断線することの少ない面状発熱体を提供することができる。
上記目的を解決する本発明の発熱塗料の製造方法は、微細炭素材料の分散体を用意する工程と、前記分散体に無機系バインダーを混合する工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、低電圧でも高い発熱性を有し、高い温度領域でも連続性を維持できる断線の少ない塗料膜を形成することができる発熱塗料、この発熱塗料を用いた面状発熱体、およびその発熱塗料の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の発熱塗料、面状発熱体、発熱塗料の製造方法について詳細に説明する。本発明の発熱塗料は、微細炭素材料の分散体に無機系バインダーを混合することによって得られる。
本発明に用いる微細炭素材料としては、導電性に優れたカーボンナノチューブ、グラフェン、グラフェンナノプレートレット等を挙げることができ、これらは1種または2種以上併用することができる。以下、カーボンナノチューブを、CNTと記載する場合がある。なお、微細炭素材料とは、材料の縦横高さのうちの1つが100nm以下の炭素材料を指す。
カーボンナノチューブの製法には、CVD法、レーザー蒸発法、アーク放電法等がある。本発明においては、何れの製法で製造されたカーボンナノチューブも使用できる。カーボンナノチューブには、平均繊維径が0.9nm以上2.1nm以下で長さが5μm程度の単層カーボンナノチューブと平均繊維径が5nm以上20nm以下で長さが1μm以上200μm以下の多層カーボンナノチューブが存在する。商業的には多層カーボンナノチューブを使用することが好ましい。また、繊維径は小さく、アスペクト比の大きい方が好ましい。特に平均繊維径が20nm以下で、アスペクト比が100以上のカーボンナノチューブが好ましい。市販されている多層CNTとしては、商品名NC−7000(Nanocyl社製、平均繊維径9.5nm、平均長さ1.5μm)、商品名K−Nanos 100P(Kumho Petrochemical社製、平均繊維径8〜15nm、バンドル長さ10〜50μm)、商品名フローチューブ9111(CNano社製、平均繊維径10〜15nm、平均長さ10μm)等が挙げられる。なお、グラフェンは、例えば厚さが0.34nmで粒径が10μm以下の微細炭素材料であり、グラフェンナノプレートレットは、例えば厚さが6nm以上8nm以下で粒径が5μm以上25μm以下の微細炭素材料である。グラフェンおよびグラフェンナノプレートレットは、カーボンナノチューブと同じ炭素の6員環により構成されており、発熱塗料として用いる場合は、カーボンナノチューブと同等の特性を示す材料である。
微細炭素材料の分散媒は、各種有機溶媒および水等を用いることができる。これらの中でも、水は、扱いが容易で安全に使用できるため特に好ましい。
微細炭素材料を分散媒中に分散させる分散剤は、特に制限されるものではないが、分散媒が水である場合は、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩及びアルキレンマレイン酸共重合体塩からなるアニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、水溶性キシラン、キサンタンガム類、グアーガム類、ジェランガム及び水溶性セルロース類からなる多糖類から選ばれる少なくとも1種の多糖類とを含有してなることが好ましい。アニオン性界面活性剤と多糖類とを含有することにより、微細炭素材料と無機系バインダーが均一に混合され、優れた導電性と塗膜強度が得られる。本発明において、発熱体における、アニオン系界面活性剤に対する多糖類の比率が25質量%以上400質量%以下であり、分散剤の総量が、炭素材料100質量部に対して20質量部以上90質量部以下であることが好ましい。この範囲内であると、導電性と塗膜強度がより発現しやすくなる。
メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩としては、例えばメチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩が挙げられる。メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩としては、例えば花王株式会社の商品名デモール(登録商標)MSが挙げられる。ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩としては、例えばβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩が挙げられる。β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩としては、例えば花王株式会社の商品名デモール(登録商標)Nが挙げられる。アルキレンマレイン酸共重合体塩としては、例えばジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩が挙げられる。ジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩としては、例えば花王株式会社の商品名デモール(登録商標)EPが挙げられる。
水溶性キシランとしては、例えば江崎グリコ株式会社製の水溶性キシランが挙げられる。キサンタンガム類としては、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、カチオン化キサンタンガムが挙げられる。キサンタンガムとしては、例えば三菱商事フードテック株式会社の商品名XGT、DSP五協フード&ケミカル株式会社のエコーガム、モナートガム等が挙げられる。グアーガム類としては、グアーガム、カルボキシメチル化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、カチオン化グアーガムが挙げられる。カルボキシメチル化グアーガムとしては、例えば三晶株式会社の商品名メイプロイド870、840Dが挙げられる。ジェランガムとしては、例えば三菱商事フードテック株式会社の商品名LG−10が挙げられる。水溶性セルロース類としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。カルボキシメチルセルロースとしては、例えばCP Kelco社の商品名FINNFIX10000Pが挙げられる。
本発明の発熱塗料によって形成される塗料膜は、微細炭素材料が1.0g/m以上基材に塗布されていることが好ましい。それ未満では十分な発熱性が得られにくい。なお、ここでいう発熱性とは、発熱塗料によって形成される塗料膜における最高昇温温度を指す。十分な発熱性としては、最高昇温温度が400度以上に達することを指す。微細炭素材料を1.0g/m以上塗布するためには、微細炭素材料分散液の濃度を6質量%以上にすることが好ましく、9質量%以上にすることがさらに好ましい。
一般的に、分散装置で微細炭素材料、特にカーボンナノチューブを分散させる場合、あまり分散を促進させると、カーボンナノチューブが切断される場合や、構造的なダメージを受ける場合がある。また、粘度が上がりすぎて、塗工・含浸等での取り扱いが困難となる場合がある。よって、適度な分散状態を維持する必要がある。分散状態は、メジアン径や粘度によって把握することができる。例えば、レーザー回折/散乱式粒子径測定装置(日機装製「MT−3300EX」、堀場製作所製「LA−920」)を使用して測定したメジアン径は、0.1μm以上80μm以下であることが好ましく、0.2μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。また、粘度に関しては、ブルックフィールド粘度計を用い、23℃、60rpmで測定した場合の粘度が5000mPa・s以下であることが好ましい。粘度が5000mPa・sを超えてしまうと、バインダーを加えて塗料とした際に取扱いが困難となる。
無機系バインダーとしては、シリカゾル、アルミナゾル、ケイ酸ナトリウム、セピオライトから選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。
セピオライトは、含水ケイ酸マグネシウムからなる表面に多数の活性水酸基を有する粘土性鉱物で、その形状において何ら限定されるものではなく、繊維状のほか、塊状、泥状、粉末状、いずれも用いることができる。また、母岩や間入石としてのタルク、カルサイト、ドロマイト、マグネサイト、塩基性炭酸マグネシウム、ケイ酸成分等が含まれていてもよい。また、スペイン産、トルコ産、中国産など原産国による制限は特にない。
また、天然鉱物繊維の1つであるセピオライトとともに、ウォラストナイトやアタパルジャイトといった他の天然鉱物繊維を配合してもよい。なお、その他に例えば、パリゴルスカイトといった、通常、マウンテン・コルク、マウンテン・レザー、マウンテン・ウツド等と呼ばれている粘土性鉱物やシリカゾル、リチウムシリケートなどを適宜選択して使用してもよい。
アルミナゾルは、羽毛状、板状構造などいくつかの形状のものが挙げられるが、何れを使用してもよい。アルミナゾルの安定化剤としては、塩酸、酢酸、硝酸などが挙げられるが、何れを使用してもよい。また、アルミナゾルは、バインダーとしてシリカゾルとセピオライトの中間的な特性を有する材料である。シリカゾルおよびケイ酸ナトリウムはシリカ化合物であり、シリカゾルとケイ酸ナトリウムはバインダーとして類似した特性を有する材料である。
微細炭素材料の質量の合計量に対する無機系バインダーの配合比は(微細炭素材料の合計量を100質量%とした場合)、10質量%以上3000質量%以下が好ましい。換言すれば、微細炭素材料の質量の合計量に対する無機系バインダーの配合比は(微細炭素材料の質量の合計量を1とした場合)、0.1以上30以下が好ましい。無機系バインダーの配合比が10質量%未満の場合には、この発熱塗料を用いて作製した面状ヒーターのシート強度や塗料膜の耐久性が低くなる。この面状ヒーターは、面状発熱体の一例に相当する。なお、ここでいうシート強度とは、面状ヒーターの引裂強さを指し、塗料膜の耐久性とは昇温と降温とを繰り返した際の断線しにくさを指す。一方、無機系バインダーの配合比が3000質量%を超えると導電性が低下し、十分な発熱性を確保するためには140V以上の高電圧をかけなければならず、使用上好ましくない上に、塗料膜が脆く塗料膜が基材であるシートから簡単に剥がれることがある。微細炭素材料の質量の合計量に対する無機系バインダーの配合比は、30質量%以上2400質量%以下がより好ましい。無機系バインダーの配合比が30質量%未満であると、塗料膜の耐久性がやや低くなり、この発熱塗料を用いて作製した面状ヒーターで昇温と降温とを繰り返すと発熱性が短期間に低下する傾向がある。また、無機系バインダーの配合比が2400質量%を超えると、抵抗が高くなりがちで発熱させるのに商用電源電圧(100V)を超える高電圧が必要になるため使用上好ましくない。また、無機系バインダーの配合比が2400質量%を超える発熱塗料を塗工した場合、塗料膜が脆くなり基材であるシート材などから塗料膜が剥がれやすくなる。
面状ヒーターにおける単位面積あたりの無機系バインダーの量は、1.5g/m以上50g/m以下が好ましい。1.5g/m未満では、すぐに断線してしまい、50g/mを超えると抵抗が高くなりすぎて商用電源ではほとんど昇温しないためヒーターとして使用できない。また、面状ヒーターにおける単位面積あたりの無機系バインダーの量は、5g/m以上42g/m以下がより好ましい。5g/m未満では発熱性が低く、42g/m超えると抵抗が高くなり高電圧が必要なうえに昇温のために長時間が必要になる。
本発明に用いられる発熱塗料は、基材に塗布した後、焼成処理を施しても良い、焼成により、塗料内の有機化合物成分が除去され、昇温/降温の繰り返し特性に優れた発熱体とすることができる。特に300℃以上の高温を繰り返す場合、より顕著な効果が発揮される。なお、基材としては、無機繊維が絡み合って構成された無機繊維シートが好ましい。基材にこの無機繊維シートを用いることで、無機繊維の周囲を囲むように微細炭素材料が均一に分散しやすいので、微細炭素材料の電気的な連続性を得やすくなる。また、無機系バインダーによって無機繊維に微細炭素材料が強固に固着するので、基材から微細炭素材料が剥がれ落ちにくい。さらに、無機繊維シートを用いることで耐熱性の高い面状ヒーターを構成できる。無機繊維が絡み合って構成された無機繊維シートに有機成分が含まれている場合は、焼成処理することで有機成分が除去されるので、昇温/降温の繰り返し特性に優れた面状ヒーターを得ることができる。また、セピオライトをバインダーとして用いている場合は、焼成処理することで、セピオライトを焼き固めることができる。
次に、上述の無機繊維シートについて詳細に説明する。無機繊維シートは、無機繊維をスラリー化し、湿式抄造により得られるシート化した基材である。無機繊維シートに用いられる無機繊維は、セラミック繊維、ガラス繊維、岩石繊維(ロックウール)、鉱さい(スラグ)繊維、チタン酸カリウム繊維等のケイ酸塩繊維、金属繊維、炭素繊維等、無機物を人工的に繊維とした人造無機繊維と、天然鉱物繊維が挙げられる。また、これらの無機繊維を、単独で使用して無機繊維シートを作製してもよく、数種類を配合して無機繊維シートを作製してもよい。
無機繊維としてガラス繊維を使用する場合は、繊維長が1mm以上30mm以下が好ましい。繊維長が1mm未満では、物理強度が不十分となる場合がある。一方、繊維長が30mmを超えると、無機繊維シートの地合が悪くなり、品質にバラつきが生じる場合がある。また、本発明におけるガラス繊維の平均繊維径は5μm以上15μm以下であることが好ましい。平均繊維径が5μm未満では、繊維が細すぎて炭素材料を分散した液の保持が困難になる場合がある。一方、平均繊維径が15μmを超えると太くなりすぎて繊維間の間隙が大きくなり、物理強度に劣り、さらに皮膚への刺激性がある等、作業性に支障をきたして利用しにくくなる場合がある。
無機繊維シートの抄造に用いるスラリーには、主材である無機繊維に加えて、無機繊維シートの引張強度、湿潤引張強度などの物理強度を向上させるため、シート用無機系バインダーを添加することが好ましい。シート用無機系バインダーとしてはカチオン性のシート用無機系バインダー、セピオライトが挙げられる。カチオン性のシート用無機系バインダーとしては硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、カチオン性コロイダルシリカ、アルミナゾルから選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。アルミナゾルの安定化剤としては塩酸、酢酸、硝酸などが挙げられるが、何れを使用してもよい。アルミナゾルの形状は羽毛状、板状構造などが挙げられるが、何れを使用してもよい。本発明におけるカチオン性のシート用無機系バインダーの配合比としては繊維質量の合計量に対して0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がさらに好ましい。カチオン性のシート用無機系バインダーの配合比が0.1質量%未満の場合には、湿潤引張り強さが劣る場合がある。一方、カチオン性のシート用無機系バインダーの配合比が5質量%を超えると凝集が強くなりすぎて地合不良や、吸液性が悪化する場合がある。
セピオライトは、発熱塗料の無機系バインダーとして用いられるものと同じ粘土製鉱物を使用することができる。セピオライトの配合比は、無機繊維シートを構成する繊維分に対して20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、25質量%以上55質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上55質量%以下であることが更に好ましい。配合比が20質量%未満では、物理強度が不十分となる場合があり、配合比が60質量%を超えると、無機繊維シートからの粉落ちが悪くなる場合がある。
また、天然鉱物繊維の1つであるセピオライトとともに、ウォラストナイトやアタパルジャイトといった他の天然鉱物繊維を配合してもよい。なお、その他に例えば、パリゴルスカイトといった、通常、マウンテン・コルク、マウンテン・レザー、マウンテン・ウツド等と呼ばれている粘土性鉱物やコロイダルシリカ、リチウムシリケートなどを適宜選択して使用してもよい。
シート用無機系バインダーは、その形状に応じて凝集剤を用いて凝集体を形成してもよく、無機繊維や有機繊維と凝集体を形成してもよい。凝集剤は、高分子凝集剤、無機系凝集剤などがあるが、シート用無機系バインダーの成分や表面電荷を考慮して適宜選択することができる。凝集剤の添加量は、シート用無機系バインダーの種類や欲する凝集体の大きさによって変えることができる。凝集体の大きさをコントロールすることによって、小さい粒状のシート用無機系バインダーでも抄造ワイヤーから抜け落ちることなく抄造が可能となる。
無機繊維シートの抄造に用いるスラリーには、必要に応じて、有機繊維、各種アニオン性、ノニオン性、カチオン性又は両性の歩留まり向上剤、濾水剤、分散剤、紙力向上剤や粘剤を適宜選択して添加することができる。原料スラリーは、抄造前に0.1〜5質量%程度の固形分濃度に調整される。なお、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などの内添助剤を目的に応じて適宜添加することも可能である。
有機繊維としてはセルロース繊維からなるパルプ状物、合成樹脂短繊維を一般的に用いることができ、それぞれ単独もしくは両者を配合して用いることができる。ただし、有機繊維をセルロース繊維のみから構成することで、物理強度を向上させ、コストを抑えることができる。
前述の有機繊維は、平均繊維径が17μm以上25μm以下のものであることが好ましい。有機繊維の平均繊維径が17μm未満では、無機繊維シートの密度が高くなりすぎて焼成前の炭素材料の塗工性・含浸性を悪化させてしまう虞がある。一方、有機繊維の平均繊維径が25μmを超えると、無機繊維シートの密度が低くなりすぎて切断などの加工性の悪化や物理強度の低下を招く虞がある。
前述のセルロース繊維からなるパルプ状物は、針葉樹晒しクラフトパルプ(以下、NBKPと称する。)、広葉樹晒しクラフトパルプ(以下、LBKPと称する。)、針葉樹サルファイトパルプ、広葉樹サルファイトパルプ、エスパルトその他いずれの種類のパルプでも何ら限定されるものではないが、湿式抄造時の無機繊維シートの物理強度の点からNBKPがより好ましい。また、ろ水度(カナダ標準ろ水度)は、特に限定しないが、200mlCSF以上700mlCSF以下の範囲内であることが好ましく、300mlCSF以上700mlCSF以下の範囲内であることがより好ましく、400mlCSF以上700mlCSF以下の範囲内であることが更に好ましい。ろ水度が、200mlCSF未満であると、湿式抄造法による無機繊維シートの形成段階で目が詰まって、濾水性が悪くなり、均一な地合いが得られない場合があり、また無機繊維シートの密度が高くなりすぎてしまう場合がある。一方、700mlCSFより高いと、繊維の微細化具合が悪く、絡み合いが劣り、物理強度が劣り、無機繊維シートを上手く抄造できない場合がある。
前述の合成樹脂短繊維を構成する樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVAと称する。)、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリビニルケトン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、フラン系樹脂、尿素系樹脂、アニリン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリイミド樹脂、これらの樹脂の誘導体等が挙げられる。
無機繊維シートを作製する湿式抄紙に使用する抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、傾斜型抄紙機等が挙げられ、これらの中から同種または異種の抄紙機を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機などを用いて抄造する方法によって製造することができる。
抄造されたウェブは、余計な水分を吸引あるいはウェットプレスなどの方法で取り除いた後、乾燥させる。乾燥には、ヤンキードライヤー、シリンダードライヤー、エアドライヤー、赤外線ドライヤー、サクションドライヤー等の乾燥装置を用いることができる。
無機繊維シートの坪量は、加工適性に影響がない範囲で任意に設定できる。無機繊維シートは、密度が0.20g/cm以上0.50g/cm以下であることが好ましい。密度が0.20g/cm未満であると、繊維が毛羽立ってしまい切断や打ち抜き不良、断裁不良などの加工性が悪化してしまう場合がある。一方、密度が0.50g/cmを超えると、剛度が高くなり、炭素材料担持処理時のハンドリング性に支障をきたす恐れがある。無機繊維シートの厚みは、密度が0.20g/cm以上0.50g/cm以下であれば、坪量に対して任意に設定できる。
面状ヒーターは、この無機繊維シートの作製時に上述の発熱塗料を内添するか、作製した無機繊維シートに上述の発熱塗料を塗布または含浸して得られる。得られた無機繊維シートには微細炭素材料が無機系バインダーとともに担持される。この微細炭素材料に通電することにより面状ヒーターは発熱する。
本実施形態の発熱塗料は、発熱成分として微細炭素材料を主成分としているので、低電圧でも高い発熱性の面状ヒーターを作製することができる。また、バインダー成分として無機系の材質のものを主成分としているので、高温まで発熱させても塗料膜の連続性が維持できる耐熱性の高い面状ヒーターを作製することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、特に断りのない限り「質量部」を示し、「%」は、「質量%」を示す。実施例及び比較例に記載した物性の測定方法を以下に示した。
1)坪量
JIS P8124記載の方法にて測定した。単位はg/mである。
2)厚さ
JIS P8118記載の方法にて測定した。単位はmmである。
3)炭素材料塗布量の算出
炭素材料塗布量(g/m)は以下の式により算出する
炭素材料塗布量(g/m)=発熱塗料塗布量(g/m)÷(炭素材料質量部+分散剤質量部+無機系バインダー質量部)×炭素材料質量部
4)バインダー塗布量の算出
バインダー塗布量(g/m)は以下の式により算出する
バインダー塗布量(g/m)=発熱塗料塗布量(g/m)÷(炭素材料質量部+分散剤質量部+無機系バインダー質量部)×無機系バインダー質量部
5)表面抵抗率
低抵抗率計(三菱化学製「ロレスタEP」)を用いて測定した。単位はΩ/□である。
6)電圧
デジタルマルチテスター(トラスコ中山製「TDE−200A」)を用いて測定した。単位はVである。
7)表面温度
デジタル赤外線温度計(カスタム製「放射温度計CT−2000D」)を用いて測定した。単位は℃である。
(実施例1)
{発熱塗料の作製}
蒸留水87部の中に、微細炭素材料として多層カーボンナノチューブ(KUMHO PETROCHEMICAL社製「K−Nanos 100P」)10部、分散剤としてナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩2部と、カルボキシメチルセルロース1部を添加し、撹拌機を用いて撹拌した後、超音波ホモジナイザー分散を行い、カーボンナノチューブ濃度10%、分散剤濃度3%の、カーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を得るまでの処理が、微細炭素材料の分散体を用意する工程の一例に相当する。作製した10%カーボンナノチューブ分散液30部に対し、バインダーとしてセピオライト粉末2部、溶媒として蒸留水68部を添加混合して、カーボンナノチューブ濃度3.0%、バインダー濃度2.0%の、発熱塗料を作製した。この混合処理が、分散体に無機系バインダーを混合する工程の一例に相当する。
{塗工法による面状ヒーターの作製}
坪量109.8g/m,厚さ0.27mmの無機繊維シート(KJ特殊紙製「コーセランC30H」)を20%濃度のシリカゾル(日産化学工業製「スノーテックスST−AK」)に含浸した後、120℃の熱風乾燥器で10分間乾燥し、坪量182.0g/m,厚さ0.27mmのセラミックスシート基材を得た。この基材に、#40のワイヤーバーを用いて発熱塗料を塗工した後、120℃の熱風乾燥器で10分間乾燥し、坪量197.4g/m、厚さ0.29mm、炭素材料塗布量7.7g/m、バインダー塗布量5.1g/mの塗工シートを得た。このシートをさらに400℃で60分間焼成し、坪量176.9g/m、厚さ0.29mmの面状ヒーターを得た。
(実施例2)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を50部に対し、セピオライト粉末を10部、蒸留水を40部混合して、カーボンナノチューブ濃度5.0%、バインダー濃度10.0%の塗料を作製して用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量177.2g/m、厚さ0.30mm、炭素材料塗布量6.6g/m、バインダー塗布量13.2g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例3)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を10部に対し、セピオライト粉末を12部、蒸留水78部混合して、カーボンナノチューブ濃度1.0%、バインダー濃度12.0%の塗料を作製して用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量190.4g/m、厚さ0.31mm、炭素材料塗布量1.7g/m、バインダー塗布量20.4g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例4)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を5部に対し、セピオライト粉末を12部、蒸留水83部混合して、カーボンナノチューブ濃度0.5%、バインダー濃度12.0%の塗料を作製して用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量188.3g/m、厚さ0.31mm、炭素材料塗布量1.0g/m、バインダー塗布量24.0g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例5)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を40部に対し、セピオライト粉末を1部、蒸留水を59部混合して、カーボンナノチューブ濃度4.0%、バインダー濃度1.0%の塗料を作製して用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量166.0g/m、厚さ0.29mm、炭素材料塗布量6.2g/m、バインダー塗布量1.6g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例6)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を5部に対し、セピオライト粉末を14部、蒸留水を81部混合して、カーボンナノチューブ濃度0.5%、バインダー濃度14.0%の塗料を作製して用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量172.5g/m、厚さ0.30mm、炭素材料塗布量0.75g/m、バインダー塗布量21.0g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例7)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を80部に対し、セピオライト粉末を1部、蒸留水を19部混合して、カーボンナノチューブ濃度8.0%、バインダー濃度1.0%の塗料を作製して用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量177.8g/m、厚さ0.30mm、炭素材料塗布量9.8g/m、バインダー塗布量0.8g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例8)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を4部に対し、セピオライト粉末を14部、蒸留水を82部混合して、カーボンナノチューブ濃度0.4%、バインダー濃度14.0%の塗料を作製して用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量175.1g/m、厚さ0.30mm、炭素材料塗布量0.61g/m、バインダー塗布量21.2g/mの面状ヒーターを作製した。
(比較例1)
発熱塗料の作製において、バインダーを添加せず、10%カーボンナノチューブ分散液をそのまま塗料として用い、実施例1と同様にして、坪量178.4g/m、厚さ0.28mm、炭素材料塗布量13.8g/m、バインダー不使用の面状ヒーターを作製した。
(比較例2)
発熱塗料の作製において、微細炭素材料として多層カーボンナノチューブの代わりにカーボンブラック(デンカ製「デンカブラック粒状品」)を用い、蒸留水125部の中に、カーボンブラック38部、分散剤としてナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩2部と、カルボキシメチルセルロース1部を添加し、撹拌機を用いて撹拌した後、超音波ホモジナイザー分散を行い、カーボンブラック濃度23%、分散剤濃度2%の、カーボンブラック分散液を得た。作製した23%カーボンブラック分散液22部に対し、セピオライト粉末10部、蒸留水68部を混合して、カーボンブラック濃度5.0%、バインダー濃度10.0%の、発熱塗料を作製した。作製した発熱塗料を用い実施例1と同様にして、坪量191.1g/m、厚さ0.30mm、炭素材料塗布量10.6g/m、バインダー塗布量21.2g/mの面状ヒーターを作製した。
(比較例3)
発熱塗料の作製において、バインダーとしてセピオライト粉末の代わりに45%アクリル樹脂エマルジョン(三井化学製「ボンロンS415」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量174.9g/m、厚さ0.28mm、炭素材料塗布量8.2g/m、バインダー塗布量16.4g/mの塗工シートを得て、面状ヒーターとした。
(実施例9)
発熱塗料の作製において、実施例1と同様の処理によって10%カーボンナノチューブ分散液を用意し(微細炭素材料の分散体を用意する工程の一例)、そのカーボンナノチューブ分散液90部に対し、バインダーとして30%濃度のシリカゾル(日産化学工業製「スノーテックスST30」)10部を添加混合して(分散体に無機系バインダーを混合する工程の一例)、カーボンナノチューブ濃度9.0%、バインダー濃度3.0%の、発熱塗料を作製した。
{含浸法による面状ヒーターの作製}
作製した発熱塗料を、坪量69.8g/m,厚さ0.14mmの無機繊維シート(KJ特殊紙製「コーセランSP19」)に含浸した後、120℃の熱風乾燥器で10分間乾燥し、坪量97.0g/m,厚さ0.14mm、炭素材料塗布量16.3g/m、バインダー塗布量5.4g/mの含浸シートを得た。このシートをさらに400℃で60分間焼成し、坪量79.8g/m、厚さ0.14mmの面状ヒーターを得た。
(実施例10)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を82部に対し、30%シリカゾルを18部混合して、カーボンナノチューブ濃度8.2%、バインダー濃度5.4%の塗料を作製して用いた以外は、実施例5と同様にして、坪量81.0/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗布量15.5g/m、バインダー塗布量10.2g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例11)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を75部に対し、30%シリカゾルを25部混合して、カーボンナノチューブ濃度7.5%、バインダー濃度7.5%の塗料を作製して用いた以外は、実施例5と同様にして、坪量85.8g/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗布量14.3g/m、バインダー塗布量14.3g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例12)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を60部に対し、30%シリカゾルを40部混合して、カーボンナノチューブ濃度6.0%、バインダー濃度12.0%の塗料を作製して用いた以外は、実施例5と同様にして、坪量91.1g/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗布量11.5g/m、バインダー塗布量23.0g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例13)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を50部に対し、30%シリカゾルを50部混合して、カーボンナノチューブ濃度5.0%、バインダー濃度15.0%の塗料を作製して用いた以外は、実施例5と同様にして、坪量95.2g/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗布量9.4g/m、バインダー塗布量28.3g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例14)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を33部に対し、30%シリカゾルを67部混合して、カーボンナノチューブ濃度3.3%、バインダー濃度20.1%の塗料を作製して用いた以外は、実施例5と同様にして、坪量99.8g/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗布量6.4g/m、バインダー塗布量38.7g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例15)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を20部に対し、30%シリカゾルを80部混合して、カーボンナノチューブ濃度2.0%、バインダー濃度24.0%の塗料を作製して用いた以外は、実施例5と同様にして、坪量96.8g/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗布量3.5g/m、バインダー塗布量42.4g/mの面状ヒーターを作製した。
(実施例16)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を92部に対し、30%シリカゾルを8部混合して、カーボンナノチューブ濃度9.2%、バインダー濃度2.4%の塗料を作製して用いた以外は、実施例5と同様にして、坪量68.5/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗布量13.5g/m、バインダー塗布量3.4g/mの面状ヒーターを作製した。
(比較例4)
発熱塗料の作製において、バインダーを添加せず、10%カーボンナノチューブ分散液をそのまま塗料として用い、実施例1と同様にして、坪量74.2g/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗工量17.5g/m、バインダー不使用の面状ヒーターを作製した。
(比較例5)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液の代わりに23%カーボンブラック分散液を39部を用い、30%シリカゾル10部、蒸留水51部を混合して、カーボンブラック濃度9.0%、バインダー濃度3.0%の、発熱塗料を作製した。作製した発熱塗料を用い実施例5と同様にして、坪量69.0g/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗工量13.2g/m、バインダー塗工量4.4g/mの面状ヒーターを作製した。
(比較例6)
発熱塗料の作製において、23%カーボンブラック分散液を33部に対し、30%シリカゾルを25部、蒸留水42部を混合して、カーボンブラック濃度7.5%、バインダー濃度7.5%の塗料を作製して用いた以外は、実施例5と同様にして、坪量78.8g/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗工量14.3g/m、バインダー塗工量14.3g/mの面状ヒーターを作製した。
(比較例7)
発熱塗料の作製において、10%カーボンナノチューブ分散液を90部に対し、30%シリカゾルの代わりに45%アクリル樹脂エマルジョンを20部用い、さらに10部の蒸留水を加えて混合し、カーボンナノチューブ濃度7.5%、バインダー濃度7.5%の塗料を得た。作製した発熱塗料を用い実施例5と同様にして、坪量64.3g/m、厚さ0.14mm、炭素材料塗工量14.4g/m、バインダー塗工量14.4g/mの面状ヒーターを作製した。
{昇温/降温サイクル試験}
作製した面状ヒーターについて、昇温/降温サイクル試験を実施した。各シートを3.5cm×4.5cmに裁断し、据え置き型交流装置(山菱電機株式会社製「スライダック」)のつながった、幅3.7cmの鉄製クリップを電極として、シートの両端を電源と接続し、電極間距離を3.5cmとすることによって、有効発熱面積が3.5cm×3.5cm=12.25cmとした。恒温恒湿室の室温23℃、50%RHの環境下で、140Vを上限として、なるべくシートの表面温度が400℃となるよう、両電極間に所定の電圧を印加した。通電時間300秒、非通電時間300秒を1サイクルとして、これを10サイクル実施した。表1に塗工法により作製したシート(実施例1〜4,比較例1〜3)の結果、表2に含浸法により作製したシート(実施例5〜11、比較例4〜7)の結果を示す。
Figure 2020026458
微細炭素材料としてカーボンナノチューブを使用し、無機系バインダーとしてセピオライトを用いた実施例1〜5、7は、表面抵抗率が低く、25〜68Vと比較的低い電圧で400℃付近まで昇温し、10サイクル後まで断線することなく発熱した。ただし、実施例5および7は、サイクルを重ねるごとに明らかに表面温度が低下した。また、表1には表れていないが、更に昇温/降温サイクルを繰り返すと、実施例5は16サイクルでも断線しなかったが、実施例7は14サイクルで断線してしまった。また、実施例6は表面抵抗がやや高く107Vの電圧を必要とし、実施例8は表面抵抗が高く140Vを必要とし、いずれも塗料膜が脆く、特に実施例8は塗料膜が無機繊維シートから剥がれやすいものの、400℃まで昇温し、10サイクル後まで断線することなく発熱した。バインダー不使用の比較例1、炭素材料としてカーボンブラックを用いた比較例2、バインダーとして有機系のアクリル樹脂エマルジョンを使用した比較例3は、塗料膜の連続性を維持できずサイクル試験の途中で断線してしまった。
Figure 2020026458
微細炭素材料としてカーボンナノチューブを使用し、無機系バインダーとしてシリカゾルを用いた実施例9〜16は、140V未満の電圧で400℃付近まで昇温し、10サイクル後まで断線することなく発熱した。ただし、実施例16は、サイクルを重ねるごとに明らかに表面温度が低下していった。バインダー不使用の比較例4、バインダーとしてアクリル樹脂エマルジョンを使用した比較例7は、塗料膜の連続性を維持できずサイクル試験の途中で断線してしまった。炭素材料としてカーボンブラックを使用した比較例5、6は、抵抗が高く、140Vでは400℃まで昇温しなかった。
なお、表1および表2に示されているように、塗工法で作製した面状ヒーターよりも、含浸法で作製した面状ヒーターはガーレ硬度が低い。すなわち、含浸法で作製した場合、基材の内部まで微細炭素材料および無機系バインダーが浸透して比較的均一に基材内部に分散して存在するので、フレキシブル性の高い面状ヒーターが得られる。また、面状ヒータ全体が均一に発熱するので表裏面の昇温温度に差が出にくい。一方、塗工法では、微細炭素材料および無機系バインダーが基材の一面に集中して存在しやすいので、含浸法よりも少ない発熱塗料で面状ヒーターを作製できるという効果がある。また、基材となる無機繊維シートの作製時に本実施形態の発熱塗料を内添して面状ヒーターを作製してもよい。ただし、内添では無機繊維シートに微細炭素材が担持されにくいので、担持させるための添加剤を用いるか、内添で作製した面状ヒーターにバインダーを含浸させることが望ましい。

Claims (6)

  1. 微細炭素材料と無機系バインダーとを主成分としたことを特徴とする発熱塗料。
  2. 前記微細炭素材料が、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラフェンナノプレートレットの中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の発熱塗料。
  3. 前記無機系バインダーが、セピオライト、シリカゾル、アルミナゾル、ケイ酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の発熱塗料。
  4. 前記微細炭素材料に対する前記無機系バインダーの質量配合比が、0.1以上30以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の発熱塗料。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1項記載の発熱塗料を無機繊維シートに塗布、含浸、または内添して得られることを特徴とする面状発熱体。
  6. 微細炭素材料の分散体を用意する工程と、
    前記分散体に無機系バインダーを混合する工程とを有することを特徴とする発熱塗料の製造方法。
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