JP2020024874A - 導電性材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、工程が簡便であり、かつ導電性と基材との密着性が良好な導電性パターンが得られる導電性材料の製造方法を提供するものである。【解決手段】支持体上に少なくとも多孔質層と該多孔質層上に解離層を有する転写用基材の解離層の上に導電性パターンを形成し、加熱硬化前のソルダーレジスト層に前記した解離層上の導電性パターンを転写し、転写された導電性パターンにめっきを施し、導電性パターンが転写されたソルダーレジスト層を加熱硬化する。【選択図】図1
Description
本発明は、転写用基材の上に形成された導電性パターンをソルダーレジスト層に転写する導電性材料の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴って、導電性材料に対して、微細配線の形成や熱膨張係数の低下が強く求められている。その中で、絶縁材料の低熱膨張係数化の手段として、絶縁材料を高充填化する、すなわち、絶縁材料における無機充填材の含有量を高くする方法が知られている。さらに、絶縁材料として、エポキシ樹脂、フェノールノボラック系硬化剤、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂等を含み、耐湿性に優れたアルカリ不溶性樹脂の使用が提案されている。これらの無機充填材及びアルカリ不溶性樹脂を含む絶縁性の樹脂組成物は、耐熱性、誘電特性、機械強度、耐化学薬品性等に優れた物性を有し、導電性材料の外層表面に用いられるソルダーレジストや多層ビルドアップ配線板に用いられる層間絶縁材料として広く使用されている。
層間絶縁材料を利用した導電性材料としては、従来の導電性材料表面に層間絶縁材料としてソルダーレジスト層を形成した後、ソルダーレジスト層表面に導電性パターンを形成した導電性材料積層体が知られている。
前記ソルダーレジスト層表面への導電性パターンの形成方法としては、ソルダーレジスト層上に金属層を形成した後、金属層上にフォトレジスト層を設け、レジストパターンを形成した後、金属層をエッチング除去するサブトラクティブ法が知られている。しかし、フォトリソグラフィーを用いる方法は工程が煩雑であるという問題が生じる。そこで、簡便にソルダーレジスト層上に導電性パターンを形成する方法が望まれている。
簡便にソルダーレジスト層上に導電性パターンを形成する方法としては、ソルダーレジスト層上に導電性粒子を含有するインクを印刷する方式が知られており、例えば、特開2013−62283号公報(特許文献1)にはソルダーレジスト層上に導電性ペーストをインクジェット印刷した後、導電性ペーストを硬化することで導電性パターンを形成する方法が開示されている。また、特開2014−192275号公報(特許文献2)には、支持体上にインク受容層となる多孔質層と該多孔質層上にコロイダルシリカを主成分とする層を有する基材上に導電性パターンを形成し、支持体上に粘着性を有する接着層あるいは粘着層が設けられた被転写体の粘着面に、導電性パターンを転写する導電性パターンの製造方法が開示されている。しかしながら、インクジェット記録方式の印刷では導電性パターンを厚くすることができず、充分な導電性が得られない場合があった。また導電性パターンと基材との密着性に関し、更なる改善が求められていた。
本発明の課題は、工程が簡便であり、かつ導電性と基材との密着性が良好な導電性パターンが得られる導電性材料の製造方法を提供するものである。
本発明の上記課題は、以下の発明によって達成される。
支持体上に少なくとも多孔質層と該多孔質層上に解離層を有する転写用基材の解離層上に導電性パターンを形成する工程、加熱硬化前のソルダーレジスト層に前記した解離層上の導電性パターンを転写する工程、転写された導電性パターンにめっきを施す工程、および導電性パターンが転写されたソルダーレジスト層を加熱硬化する工程を少なくともこの順に行う導電性材料の製造方法。
支持体上に少なくとも多孔質層と該多孔質層上に解離層を有する転写用基材の解離層上に導電性パターンを形成する工程、加熱硬化前のソルダーレジスト層に前記した解離層上の導電性パターンを転写する工程、転写された導電性パターンにめっきを施す工程、および導電性パターンが転写されたソルダーレジスト層を加熱硬化する工程を少なくともこの順に行う導電性材料の製造方法。
本発明の課題は、工程が簡便であり、かつ導電性と基材との密着性が良好な導電性パターンが得られる導電性材料の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
図面を用いて本発明の導電性材料の製造方法を説明する。まず、支持体1上に多孔質層2と解離層3を有する転写用基材10を準備する(図1)。次に、転写用基材10に導電性パターン4を、例えばインクジェットプリンタ等で印刷して形成する(図1)。続いて、加熱硬化前のソルダーレジスト層5に対して転写用基材10上の導電性パターン4形成面を圧着する(図2)。その後に、該圧着した転写用基材10を取り除いた後、導電性パターン4表面にめっき層6を形成する(図3)。最後にめっきされた導電性パターンを有するソルダーレジスト層5を加熱硬化することで、工程が簡便であり、かつ導電性と基材との密着性が良好な導電性パターンが得られる導電性材料を製造することができる。なお、本発明においてはめっき層6の形成に先立ちソルダーレジスト層5に圧着された導電性パターン4の脱脂処理および触媒付与処理を行うことも可能である。
<転写用基材>
本発明における、支持体上に少なくとも多孔質層と解離層を有する転写用基材とは、解離層の表面に導電性微粒子を含むインクあるいはペーストから形成された導電性パターンを一旦保持し、次いで加熱硬化前のソルダーレジスト層へ、該導電性パターンを転写する用途に供する基材である。
本発明における、支持体上に少なくとも多孔質層と解離層を有する転写用基材とは、解離層の表面に導電性微粒子を含むインクあるいはペーストから形成された導電性パターンを一旦保持し、次いで加熱硬化前のソルダーレジスト層へ、該導電性パターンを転写する用途に供する基材である。
本発明における転写用基材は、支持体上に多孔質層と、さらに該多孔質層の上に形成された解離層を有する。多孔質層および解離層は必要に応じ、支持体の両面に設けても良い。
<支持体>
転写用基材が有する支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂からなるフィルム、石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、パイレックス(登録商標)等の各種ガラス、紙、不織布、布、各種金属、各種セラミックス等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また用途に応じこれら支持体を適宜組み合わせることができ、例えば、紙をポリオレフィン樹脂で被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙を用いることができる。
転写用基材が有する支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂からなるフィルム、石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、パイレックス(登録商標)等の各種ガラス、紙、不織布、布、各種金属、各種セラミックス等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また用途に応じこれら支持体を適宜組み合わせることができ、例えば、紙をポリオレフィン樹脂で被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙を用いることができる。
これらの中でもコスト、汎用性の観点から、紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙、およびポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートからなるフィルムが好ましい。
上記した支持体の中でも、各種樹脂からなるフィルム、ガラス、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸液性支持体を用いる場合には、非吸液性支持体と多孔質層との接着性を改善するために、支持体と多孔質層との間に、ゼラチンや各種ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等からなる公知の下塗層を設けることが好ましい。また、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは易接着処理品として下塗層を予め設けた状態で市販されており、これを用いても良い。また、コロナ処理あるいはプラズマ処理により支持体の濡れ性を改善することも好ましい。
下塗層の固形分塗布量としては、0.5g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは0.3g/m2以下、更に好ましくは0.1g/m2以下である。下限は0.01g/m2以上であることが望ましい。
<多孔質層>
本発明において転写用基材が有する多孔質層は、後述する導電性パターンの形成に好適な導電性微粒子を含むインクあるいはペーストが含有する水あるいは有機溶剤といった溶媒成分を吸収する機能を担う。
本発明において転写用基材が有する多孔質層は、後述する導電性パターンの形成に好適な導電性微粒子を含むインクあるいはペーストが含有する水あるいは有機溶剤といった溶媒成分を吸収する機能を担う。
本発明において転写用基材が有する多孔質層は、微粒子を主体に含有する層であることが溶媒成分の吸収性の観点から好ましい。微粒子を主体に含有するとは、多孔質層の全固形分中に占める微粒子の割合が50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上である。用いられる微粒子としては、公知の微粒子を広く用いることができる。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機微粒子、アクリルあるいはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、スチレン/ブタジエン系樹脂、スチレン/イソプレン系樹脂、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等の有機微粒子が挙げられる。有機微粒子は上記した少なくとも1種以上の樹脂からなる真球状あるいは不定型の無孔質あるいは多孔質の有機微粒子等を挙げることができる。無論、上記した無機微粒子の1種以上と有機微粒子の1種以上を併用して用いることもできる。上記の中でも、溶媒成分の吸収性の観点からは無機微粒子を含有することが好ましく、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより好ましく、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が特に好ましい。また、本発明における転写用基材に可撓性が要求される場合には、アルミナ水和物を含有することが特に好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ及びその他に大別することができる。
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシール(登録商標)として、(株)トクヤマからトクシール(登録商標)、ファインシール(登録商標)として、水澤化学工業(株)からミズカシル(登録商標)として市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲル(登録商標)として、グレースジャパン(株)からシロイド(登録商標)、シロジェット(登録商標)として、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。本発明において沈降法シリカあるいはゲル法シリカを用いることが好ましく、沈降法シリカがより好ましい。
湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径が50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が1〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましい。また平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子を、平均二次粒子径が500nm以下に分散することがより好ましい。平均二次粒子径を500nm以下に分散することにより、形成される多孔質層中の細孔径が分散を行わない場合よりも微細となるため、例えば導電性パターンを形成する導電性微粒子としてナノ粒子などの超微粒子を用いた場合に、導電性超微粒子が細孔中に入り込み非導通状態となることが少なくなり、得られる導電性が良好となる。分散された湿式法シリカの平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、水性媒体中に分散した湿式法シリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用され、これにはビーズミルなどのメディアミルを用いることが好ましい。ビーズミルは密閉されたベッセル内に充填されたビーズとの衝突により顔料粉砕を行うものであり、ウィリー・エ・バッコーフェン社よりダイノーミルとして、浅田鉄工(株)よりグレンミル(登録商標)として、アシザワ・ファインテック(株)よりスターミル(登録商標)として市販されている。メディアミル等を用いて分散した後、更に高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を用いて分散することが好ましい。
ここで、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものである。また平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。また、平均凝集粒子径とは、粉体として供給される湿式シリカの平均粒子径を示し、例えばコールターカウンター法で求めることができる。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル(登録商標)、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明において多孔質層が含有する気相法シリカの平均一次粒子径は40nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m2/g以上(好ましくは250〜500m2/g)のものを用いることである。
本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカを用いた場合においても、湿式法シリカと同様に、平均二次粒子径500nm以下に分散することが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと水を主体とする分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
本発明では、該多孔質層は支持体上に前述した微粒子を含む塗布液を塗布、乾燥して形成することが簡便であり、好ましい。よってかかる塗布液を調製するにあたり、平均二次粒子径500nm以下の湿式法シリカあるいは気相法シリカのスラリーを製造することは好ましく、該スラリーの製造にあたりスラリーの高濃度化や分散安定性を向上させるため、公知の種々の方法を用いても良い。例えば、特開2002−144701号公報、特開2005−1117号公報に記載されているが如くアルカリ性化合物の存在下で分散する方法、カチオン性化合物の存在下で分散する方法、シランカップリング剤存在下で分散する方法等を挙げることができ、カチオン性化合物の存在下で分散する方法がより好ましい。
上記湿式法シリカあるいは気相法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ジアリルアミン誘導体由来の構造単位を有する重合物、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、1〜3級アミノ基や4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特にジアリルアミン誘導体由来の構造単位を有する重合物が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
本発明において多孔質層が好ましく含有するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を好ましくは500nm以下、より好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明において多孔質層が好ましく含有するアルミナ水和物はAl2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。アルミナ水和物の平均二次粒子径は好ましくは500nm以下、より好ましくは20〜300nmである。
本発明において、多孔質層は上記した微粒子と共に樹脂バインダーを含有することが好ましく、該樹脂バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコールなど、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂系などの水性接着剤、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤等を挙げることができ、これらを単独あるいは混合して用いることができる。この他、公知の天然、あるいは合成樹脂バインダーを単独であるいは混合して用いることは特に限定されない。
これらのうち、ポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましく、特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの平均重合度は200〜5000のものが好ましい。
微粒子に対する樹脂バインダーの含有量は特に限定されないが、微粒子を用い多孔質層を形成するためには、樹脂バインダーの含有量は、微粒子に対して8〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは8〜50質量%の範囲である。
また多孔質層は、上記した多孔質層を構成する上記樹脂バインダーと共に必要に応じ硬膜剤を含有することもできる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。硬膜剤の含有量は特に限定されないが、樹脂バインダーに対して、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。
樹脂バインダーとしてケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールを用いる場合、硬膜剤はホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類が好ましく、ホウ酸が特に好ましく、使用量はポリビニルアルコールに対し、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。下限は0.1質量%以上であることが好ましい。
その他、多孔質層は必要に応じ、防腐剤、界面活性剤、着色染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、微粒子の分散剤、消泡剤、レベリング剤、粘度安定剤、pH調節剤などを含有することができる。
多孔質層は2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらの多孔質層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。例えば湿式法シリカを含有する多孔質層の上に、アルミナ水和物を含有する多孔質層が形成されていても良い。
多孔質層の層厚(乾燥時)は、一般に1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
多孔質層は、微粒子と樹脂バインダー等を適当な溶媒に溶解または分散させて塗布液を調製し、該塗布液をスライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、支持体表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い、形成することができる。また、塗布を行った後、鏡面ロールに圧接するキャスト処理を行い、表面を平滑にすることや、カレンダー処理を行い、表面を平滑にすることもできる。
<解離層>
本発明において転写用基材は、上記した多孔質層上に解離層を有する。解離層とは、導電性パターンをソルダーレジスト層へ転写する際に多孔質層と導電性パターンを分離する層であり、導電性パターンのみをソルダーレジスト層へ転写する、あるいは導電性パターンと解離層の一部を共にソルダーレジスト層へ転写することができる。転写された解離層の一部は必要に応じ洗浄し、除去してもよい。
本発明において転写用基材は、上記した多孔質層上に解離層を有する。解離層とは、導電性パターンをソルダーレジスト層へ転写する際に多孔質層と導電性パターンを分離する層であり、導電性パターンのみをソルダーレジスト層へ転写する、あるいは導電性パターンと解離層の一部を共にソルダーレジスト層へ転写することができる。転写された解離層の一部は必要に応じ洗浄し、除去してもよい。
本発明における解離層は、転写時の温度で溶融あるいは粘着性を示さない層であることが好ましい。よって解離層は無機微粒子および/または有機微粒子を主成分として含有することが好ましい。なお、ここで主成分とするとは、かかる層の全固形分に対して、93質量%以上が無機微粒子および/または有機微粒子であることを示し、好ましくは98質量%以上である。
本発明において解離層が含有する無機微粒子としては、公知の無機微粒子を広く用いることができる。例えば炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化錫等の無機微粒子を例示することができ、これらを2種以上併用してもよい。
解離層が含有する無機微粒子の平均一次粒子径は10〜200nmであることが好ましく、20nm以上がより好ましい。平均一次粒子径が10nm未満であると多孔質層の空隙を塞ぎ吸収性が低下する場合がある。平均一次粒子径が200nmを超えると、解離層を形成する際に使用される塗布液において、無機微粒子が沈降し塗布に支障をきたす場合がある。
このような無機微粒子としてコロイド状態にある無機微粒子分散液を用いることが好ましく、例えば、コロイド状シリカであるコロイダルシリカ、酸化チタンゾル、アルミナゾル、酸化セリウムゾル、酸化ジルコニウムゾル、酸化ニオブゾル、酸化錫ゾルを挙げることができる。酸化ジルコニウムゾルは、例えば第一稀元素化学工業(株)よりZSL−20N、ナイヤコール社(米国)よりZr100/20として、酸化セリウムゾルは、例えばナイヤコール社(米国)よりCEO2(AC)として、酸化ニオブゾルは、例えば多木化学(株)よりバイラール(登録商標)として市販されている。
コロイダルシリカとしては、シリカゾルから弱アルカリ性下で粒子成長させたそのままのタイプ、イオン交換によりアルカリを減量したタイプ、格子の珪素原子の一部をアルミニウム原子に置換してアニオン性を強化したタイプ、アルミナ表面処理によりカチオン性にしたタイプ、アルコキシシランを原料にゾルゲル法で合成されたタイプ等が例示されるが何れも使用可能である。コロイダルシリカはアルカリに若干溶解するのでアルカリが残っている方が結着力の面で有利と考えられるが、イオン交換したタイプでも実用上問題なく使用できる。これらコロイダルシリカは、例えば日産化学工業(株)よりスノーテックス(登録商標)、扶桑化学工業(株)よりクォートロン(登録商標)として市販されている。
本発明において解離層が含有する有機微粒子としては、公知の有機微粒子を広く用いることができる。例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アセタール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の有機微粒子を例示することができ、これらを2種以上併用してもよい。
解離層が含有する有機微粒子の平均一次粒子径は10〜500nmであることが好ましく、20nm以上がより好ましい。平均一次粒子径が10nm未満であると多孔質層の空隙を塞ぎ吸収性が低下する場合がある。平均一次粒子径が500nmを超えると、解離層を形成する際に使用される塗布液において、有機微粒子が沈降し塗布に支障をきたす場合がある。
このような有機微粒子として、ポリアミドイミド樹脂は、例えば東レ(株)よりトレパール(登録商標)PAIとして、ポリエーテルスルホン樹脂は、例えば東レ(株)よりトレパールPESとして、フッ素樹脂は、例えば三井・デュポン フロロケミカル(株)より31−JR、ダイキン工業(株)よりD−210Cとして市販されている。
本発明における解離層は、上記した無機微粒子の1種以上と有機微粒子の1種以上を併用して用いることもできる。無機微粒子と有機微粒子の体積比率としては、1:9から9:1の範囲が好ましい。得られる導電性部材の導電性の観点からは無機微粒子を用いることが好ましい。
本発明において解離層に含まれる無機微粒子および/または有機微粒子以外の成分としては、樹脂バインダーとしての例えばポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂やラテックス類、樹脂バインダーの硬膜剤、界面活性剤等を挙げることができる。
本発明において解離層の固形分塗布量は、0.01g/m2以上であることが好ましく、0.1g/m2以上がより好ましい。固形分塗布量が0.01g/m2未満であると、ソルダーレジスト層へ多孔質層が転写されてしまうことがある。解離層の固形分塗布量の上限は特にないが、10g/m2を超えると無機微粒子および/または有機微粒子を主成分とする解離層に亀裂の入る可能性が高くなるため、好ましくない。
解離層の形成用塗布液は、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式、インクジェット方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等による印刷等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、予め支持体上に作製された多孔質層表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い、解離層を形成することができる。特に好ましくは、リバースグラビアロール方式の中でも、ロールの直径が100mm以下(より好ましくは20〜80mm)の斜線グラビアロール(斜線の溝を有するグラビアロール)を用いる方式である。
本発明の転写用基材における解離層の形成用塗布溶媒あるいは分散媒が主に水である場合には、多層スライドカーテン方式、多層スライドビード方式、多層スロットダイ方式等の多層同時塗布が可能な塗布方式を用い、多孔質層と解離層を同時に塗布しても良い。また、支持体が搬送されるライン上に複数の塗布装置が設置されるタンデム型の多層塗布装置を用いても良い。
<導電性パターン>
本発明において、ソルダーレジスト層に転写される導電性パターンは、導電性微粒子を含むインクあるいはペーストを用いて形成されることが簡便であり好ましい。本発明に用いられる導電性微粒子を含むインクあるいはペーストには、公知のインクあるいはペーストを広く用いることができ、銀ナノインク、銅ナノインク、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンインク、カーボンペースト等を例示することができる。導電性に優れ、形成された導電性パターンが酸化されにくい点から、銀超微粒子を含有する銀ナノインクや、銀微粒子を含有する銀ペーストを用いることが好ましく、厚み1μm程度の非常に薄い導電性パターンを形成できる点から、銀ナノインクを用いることが特に好ましい。銀ナノインクは、例えば三菱製紙(株)よりNBSIJシリーズとして市販されており、銀ペーストは、例えば藤倉化成(株)よりドータイト(登録商標)シリーズとして市販されている。
本発明において、ソルダーレジスト層に転写される導電性パターンは、導電性微粒子を含むインクあるいはペーストを用いて形成されることが簡便であり好ましい。本発明に用いられる導電性微粒子を含むインクあるいはペーストには、公知のインクあるいはペーストを広く用いることができ、銀ナノインク、銅ナノインク、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンインク、カーボンペースト等を例示することができる。導電性に優れ、形成された導電性パターンが酸化されにくい点から、銀超微粒子を含有する銀ナノインクや、銀微粒子を含有する銀ペーストを用いることが好ましく、厚み1μm程度の非常に薄い導電性パターンを形成できる点から、銀ナノインクを用いることが特に好ましい。銀ナノインクは、例えば三菱製紙(株)よりNBSIJシリーズとして市販されており、銀ペーストは、例えば藤倉化成(株)よりドータイト(登録商標)シリーズとして市販されている。
<導電性パターン形成>
本発明において、導電性微粒子を含むインクあるいはペーストは、様々な印刷方法あるいは塗布方式によりパターン形成される。例えば線状の塗布を行うことができるディスペンサー印刷方法を用いたパターン形成、サーマル、ピエゾ、マイクロポンプ、静電気等の各種方式のインクジェット印刷方法を用いたパターン形成、凸版印刷方法、フレキソ印刷方法、平版印刷方法、凹版印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法等の公知の各種印刷方法によるパターンを例示することができる。また、グラビアロール方式、スロットダイ方式、スピンコート方式等、公知の各種塗布方式を用い、転写用基材が有する解離層の全面あるいは一部に連続した面としてパターンを形成すること、間欠塗工ダイコーター等を用い転写用基材が有する解離層の全面あるいは一部に断続した面としてパターンを形成すること、あるいは浸漬塗布方法(ディップ方式とも言われる)を用い、転写用基材が有する解離層全体に導電性微粒子を含むインクあるいはペーストを付着させることもできる。より好ましい印刷方法としては、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法を挙げることができる。
本発明において、導電性微粒子を含むインクあるいはペーストは、様々な印刷方法あるいは塗布方式によりパターン形成される。例えば線状の塗布を行うことができるディスペンサー印刷方法を用いたパターン形成、サーマル、ピエゾ、マイクロポンプ、静電気等の各種方式のインクジェット印刷方法を用いたパターン形成、凸版印刷方法、フレキソ印刷方法、平版印刷方法、凹版印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法等の公知の各種印刷方法によるパターンを例示することができる。また、グラビアロール方式、スロットダイ方式、スピンコート方式等、公知の各種塗布方式を用い、転写用基材が有する解離層の全面あるいは一部に連続した面としてパターンを形成すること、間欠塗工ダイコーター等を用い転写用基材が有する解離層の全面あるいは一部に断続した面としてパターンを形成すること、あるいは浸漬塗布方法(ディップ方式とも言われる)を用い、転写用基材が有する解離層全体に導電性微粒子を含むインクあるいはペーストを付着させることもできる。より好ましい印刷方法としては、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法を挙げることができる。
これらの方法によりパターン化された導電性微粒子を含むインクあるいはペーストは、含まれている分散媒を揮散させた後、および/または分散媒を多孔質層が吸収した後、加熱により硬化あるいは焼成し導電性パターンとしても良いが、主に銀からなる金属超微粒子を含むインクを用い、特開2008−4375号公報、特開2008−235224号公報等に記載される導電性発現剤を多孔質層および/または解離層に含有させ、化学的な作用により金属超微粒子同士を結合し導電性パターンとすることが好ましい。化学的な作用により金属超微粒子同士を結合させた場合、得られる導電性パターンは多孔質となるため、ソルダーレジスト層表面の粘着性を有する樹脂成分が導電性パターン内部へ拡散し、ソルダーレジスト層との間に高い密着力を得ることができる。かかる導電性発現剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウムを例示することができる。
<ソルダーレジスト層>
本発明におけるソルダーレジスト層は1液性、2液性の、どちらの液状レジストから得られる層であってもよく、ドライフィルム状レジストであっても使用できる。ソルダーレジスト層の組成は、例えば、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリルモノマー、光重合開始剤、エポキシ樹脂、無機フィラー等を含有してなる。
本発明におけるソルダーレジスト層は1液性、2液性の、どちらの液状レジストから得られる層であってもよく、ドライフィルム状レジストであっても使用できる。ソルダーレジスト層の組成は、例えば、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリルモノマー、光重合開始剤、エポキシ樹脂、無機フィラー等を含有してなる。
アルカリ可溶性樹脂としては、光硬化性と熱硬化性の両方の特性を有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられ、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂にアクリル酸を付加させてエポキシアクリレート化した樹脂の2級の水酸基に酸無水物を付加させた樹脂が挙げられる。多官能アクリルモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。光重合開始剤としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、硬化剤として用いられる。アルカリ可溶性樹脂のカルボン酸と反応させることで架橋させ、耐熱性や耐薬品性の特性の向上を図っているが、カルボン酸とエポキシは常温でも反応が進むために、保存安定性が悪く、アルカリ現像型ソルダーレジストは一般的に使用前に混合する2液性の形態をとっている場合が多い。無機フィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、シリカ等が挙げられる。ソルダーレジストとして商業的に入手可能な候補材料は、液状ソルダーレジストとして、互応化学工業(株)製PLAS FINE(登録商標) PSR−310(A−99F)、PLAS FINE PSR−310(SC−84)、PLAS FINE PSR−310(SW−26)、タムラ化研(株)製USR−2B14−84−200、USR−2G14−94−250、DSR−330S32−21、太陽インキ製造(株)製PFR−800 AUS410、PSR−4000 G24K、PSR−4000 LEW3、S−40 T1等が挙げられる。また、ドライフィルム状のソルダーレジストとして、太陽インキ製造(株)製PFR−800 US 410や、ニッコー・マテリアルズ(株)製NIT215等が挙げられる。
<ソルダーレジスト層への転写>
本発明におけるソルダーレジスト層に転写パターンを転写する工程について説明する。加熱硬化前のソルダーレジスト層は常温で粘着性を有するため、粘着性が発現している状態で導電性パターンの転写が行われる。転写は転写用基材とソルダーレジスト層を貼合し剥離することにより行われる。ソルダーレジスト層に対する転写用基材の貼合はロールラミネーターを使用したラミネート法により導電性パターンをソルダーレジスト層に圧着する方法が好ましい。ラミネートの条件としては、ロール温度は室温(5〜35℃)、圧力が1〜50N/cm2で、時間が0.1秒〜5分であることが好ましく、より好ましく圧力が5〜20N/cm2で、圧着時間が1秒〜1分であるが、ソルダーレジスト層の厚みや種類等により適宜調整することができる。圧力が1N/cm2を下回るとソルダーレジスト層への導電性パターンの転写が均一に行われない場合があり、50N/cm2を超えると転写後の剥離が困難になる場合がある。
本発明におけるソルダーレジスト層に転写パターンを転写する工程について説明する。加熱硬化前のソルダーレジスト層は常温で粘着性を有するため、粘着性が発現している状態で導電性パターンの転写が行われる。転写は転写用基材とソルダーレジスト層を貼合し剥離することにより行われる。ソルダーレジスト層に対する転写用基材の貼合はロールラミネーターを使用したラミネート法により導電性パターンをソルダーレジスト層に圧着する方法が好ましい。ラミネートの条件としては、ロール温度は室温(5〜35℃)、圧力が1〜50N/cm2で、時間が0.1秒〜5分であることが好ましく、より好ましく圧力が5〜20N/cm2で、圧着時間が1秒〜1分であるが、ソルダーレジスト層の厚みや種類等により適宜調整することができる。圧力が1N/cm2を下回るとソルダーレジスト層への導電性パターンの転写が均一に行われない場合があり、50N/cm2を超えると転写後の剥離が困難になる場合がある。
<剥離>
貼合された転写用基材とソルダーレジスト層を剥離する場合、剥離する際のソルダーレジスト層側のJIS Z0237に準じ設定される引きはがし角度は浅い方が好ましい。転写用基材からソルダーレジスト層を剥離する際には剥離部分にて曲がりが発生し、これにより導電性パターンも曲がることとなるが、この曲がる時の角度が小さい程、導電性パターンの導電性低下が小さいため好ましい。具体的には90度以下で剥離することが好ましい。90度を超えると、導電性パターンの厚みにもよるが、導電性が数十%程度低下する場合がある。
貼合された転写用基材とソルダーレジスト層を剥離する場合、剥離する際のソルダーレジスト層側のJIS Z0237に準じ設定される引きはがし角度は浅い方が好ましい。転写用基材からソルダーレジスト層を剥離する際には剥離部分にて曲がりが発生し、これにより導電性パターンも曲がることとなるが、この曲がる時の角度が小さい程、導電性パターンの導電性低下が小さいため好ましい。具体的には90度以下で剥離することが好ましい。90度を超えると、導電性パターンの厚みにもよるが、導電性が数十%程度低下する場合がある。
転写工程の後、ソルダーレジスト層から転写用基材を剥離することで、ソルダーレジスト層に導電性パターンが転写される。
<めっき>
本発明におけるめっきについて説明する。めっき処理には、電解法と無電解法があり、本発明で実施するめっき処理としては、どちらのめっき法でも用いることができる。
本発明におけるめっきについて説明する。めっき処理には、電解法と無電解法があり、本発明で実施するめっき処理としては、どちらのめっき法でも用いることができる。
<無電解めっき>
無電解めっき技術に関しては「無電解めっき 基礎と応用」電気鍍金研究会編、日刊工業新聞社(1994年)に記載されている。無電解めっきは、ニッケルや銅などの金属イオンが還元剤によって還元析出し、この析出反応が連続的に進行しめっき膜が形成される、いわゆる自己触媒型化学還元めっきである。今日工業的に多く使用されているのはニッケル−リンや銅を利用した無電解めっきであるが、本発明では導電性に優れる点から無電解銅めっきを利用するのが好ましい。
無電解めっき技術に関しては「無電解めっき 基礎と応用」電気鍍金研究会編、日刊工業新聞社(1994年)に記載されている。無電解めっきは、ニッケルや銅などの金属イオンが還元剤によって還元析出し、この析出反応が連続的に進行しめっき膜が形成される、いわゆる自己触媒型化学還元めっきである。今日工業的に多く使用されているのはニッケル−リンや銅を利用した無電解めっきであるが、本発明では導電性に優れる点から無電解銅めっきを利用するのが好ましい。
本発明における無電解銅めっき液には硫酸銅や塩化銅など銅の供給源、ホルマリンやグリオキシル酸、テトラヒドロホウ酸カリウム、ジメチルアミンボランなど還元剤、EDTAやジエチレントリアミン5酢酸、ロシェル塩、グリセロール、メソ−エリトリトール、アドニトール、D−マンニトール、D−ソルビトール、ズルシトール、イミノ2酢酸、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン4酢酸、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、グリコールエーテルジアミン4酢酸、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の銅の錯化剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのpH調整剤などが含有される。さらにその他に浴の安定化やめっき皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジル、o−フェナントロリン、ネオクプロイン、チオ尿素、シアン化物などを含有させることもできる。
無電解めっき液には薄付けめっき用の室温タイプと厚付けめっき用の高温タイプがあるが、本発明ではどちらのタイプのめっき液でも利用することができる。無電解銅めっきの手法については「無電解めっき 基礎と応用」(電気鍍金研究会編)p104などに詳しく記載されている。薄付けめっき液では通常20〜30℃でめっき処理し、厚付けめっき液では通常50〜70℃で処理し、処理時間は通常1〜30分、好ましくは3〜20分無電解めっき処理を行うことで本発明の目的を達することができる。
無電解めっきに先立ち脱脂処理を行うことも可能である。脱脂処理とは、基材上に付着した油分等を洗浄除去するための処理であり、公知の処理条件を使用することができる。一般にはアルカリ脱脂剤や界面活性剤、有機溶媒等を使用し、10〜60℃で1〜10分間浸漬処理する。
無電解めっきに先立ち触媒付与処理を行うことも可能である。触媒付与処理とは、パラジウム、鉄、コバルト、ニッケル、白金等の触媒金属を付与する処理であり、具体的な触媒金属としては、パラジウムが好ましい。触媒付与処理液としては、これら触媒金属イオンを含む水溶液を用いる。なお、対アニオンとしては、その金属化合物を水溶液とするものであればよく、特に制限されないが、硫酸イオン、ハロゲンイオン、リン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。上記触媒金属の濃度は、水溶液中に10〜5000mg/Lが好ましく、より好ましくは、50〜1000mg/Lの範囲である。また、触媒付与処理液中に、安定剤として、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、蓚酸、酪酸、プロピオン酸、ギ酸、コハク酸、グルタル酸、マロン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、マレイン酸等を用いてもよい。触媒付与処理液のpHは、1〜9が好ましく、より好ましくは、1〜4の範囲である。また、触媒付与処理の温度及び時間には特に制限はないが、処理温度としては、20〜90℃が好ましく、処理時間としては、生産効率を考慮して、30〜120秒が好ましい。
<電解めっき>
本発明における電解めっき法としては銅めっき、ニッケルめっき、亜鉛めっき、スズめっき等の公知のめっき方法を用いることができ、その方法として例えば「めっき技術ガイドブック」(東京鍍金材料協同組合技術委員会編、1987年)記載の方法を用いることができる。本発明では導電性に優れる点から電解銅めっきを利用するのが好ましい。
本発明における電解めっき法としては銅めっき、ニッケルめっき、亜鉛めっき、スズめっき等の公知のめっき方法を用いることができ、その方法として例えば「めっき技術ガイドブック」(東京鍍金材料協同組合技術委員会編、1987年)記載の方法を用いることができる。本発明では導電性に優れる点から電解銅めっきを利用するのが好ましい。
本発明における電解銅めっき液の基本組成としては、公知の、通常の電解銅めっきに使用されるものであれば特に制限なく使用することができ、本発明の目的が達成される限りにおいては、適宜、基本組成の組成物の変更、濃度の変更、添加剤の添加等をすることが可能である。例えば、硫酸銅めっきの場合には、硫酸銅めっき液は、硫酸、硫酸銅、水溶性塩素化合物、光沢剤を基本組成として含む水性溶液であり、該めっき液の基本組成は、公知の硫酸銅めっきに用いられているものであれば特に制限なく使用することができる。
電解銅めっき処理において、めっき温度(液温)はめっき浴の種類に応じて適宜設定されることとなるが、通常、10〜40℃であり、好ましくは20〜30℃である。めっき温度が10℃より低い場合には、めっき液の導電性が低下するため、電解時の電流密度を高くすることができず、めっき皮膜の成長速度が遅くなり、生産性が低下する。また、めっき温度が40℃より高い場合には、めっき液が不安定化するおそれがあり好ましくない。本発明の電解銅めっき処理においては、例えば、直流電流、PPR(Pulse Periodic everse)電流など、任意の種類の電流を使用できる。適用される陽極電流密度はめっき浴の種類に応じて適宜設定されることとなるが、通常、0.1〜10A/dm2、好ましくは1〜3A/dm2である。0.1A/dm2未満の場合には陽極面積が大きすぎて経済的ではなく、また、10A/dm2より大きい場合には陽極からの電解中の酸素発生により、めっき液が不安定化する虞があるので好ましくない。めっき厚みについては特に制限はないが、実用的に求められる導電性を確保できる厚さにめっきされることが好ましい。
<加熱硬化>
本発明において、ソルダーレジスト層はめっき処理の後に加熱硬化を実施する。加熱硬化を行うことにより、導電性パターンのソルダーレジスト層に対する密着力が向上する。加熱硬化の条件は、使用するソルダーレジスト層の構成により適宜選択でき、例えば130〜200℃の範囲で実施することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明において、ソルダーレジスト層はめっき処理の後に加熱硬化を実施する。加熱硬化を行うことにより、導電性パターンのソルダーレジスト層に対する密着力が向上する。加熱硬化の条件は、使用するソルダーレジスト層の構成により適宜選択でき、例えば130〜200℃の範囲で実施することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
(実施例1)
<転写用基材の作製>
<無機微粒子分散液の調製>
水に、カウンターイオンに塩素イオンを有するジアリルジメチルアンモニウムクロライド−重合物としてシャロール(登録商標)DC902P(第一工業製薬(株)製)8質量部と、無機微粒子として気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m2/g)100質量部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散液を高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度が20質量%の無機微粒子分散液を調製した。該分散液中の気相法シリカの平均二次粒子径は130nmであった。
<転写用基材の作製>
<無機微粒子分散液の調製>
水に、カウンターイオンに塩素イオンを有するジアリルジメチルアンモニウムクロライド−重合物としてシャロール(登録商標)DC902P(第一工業製薬(株)製)8質量部と、無機微粒子として気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m2/g)100質量部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散液を高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度が20質量%の無機微粒子分散液を調製した。該分散液中の気相法シリカの平均二次粒子径は130nmであった。
上記無機微粒子分散液を用い下記組成の多孔質層形成塗布液を作製した。支持体として易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション(株)製)を用い、該支持体上に多孔質層形成塗布液をスライドビードコーターで固形分塗布量が気相法シリカ換算で25g/m2となるように塗布、乾燥し多孔質層を形成した。該多孔質層の膜厚は38μmであった。
<多孔質層形成塗布液>
無機微粒子分散液 (シリカ固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 25g
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度は13質量%になるように水で調整した。
無機微粒子分散液 (シリカ固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 25g
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度は13質量%になるように水で調整した。
次いで、多孔質層面に下記組成の導電性発現剤塗布液を、斜線グラビアロールを用いた塗布方式により塗布を行い、乾燥機により乾燥した。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/m2に設定した。塗布された導電性発現剤塗布液は多孔質層内部に吸収され、表面には多孔質層が露出していた。
<導電性発現剤塗布液>
塩化ナトリウム 0.3g
水 99.7g
塩化ナトリウム 0.3g
水 99.7g
次いで多孔質層面に下記組成の解離層塗布液を、斜線グラビアロールを用いた塗布方式により塗布を行い、乾燥機により乾燥し、転写用基材を得た。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/m2に設定した。多孔質層上に形成された解離層の固形分塗布量は0.6g/m2であった。
<解離層塗布液>
コロイダルシリカ20質量%スラリー 15g
(扶桑化学工業(株)製、クォートロンPL−3L、平均一次粒径35nm)
水 85g
コロイダルシリカ20質量%スラリー 15g
(扶桑化学工業(株)製、クォートロンPL−3L、平均一次粒径35nm)
水 85g
<転写用基材上への導電性パターン作製>
転写用基材に対し、銀ナノインク(三菱製紙(株)製NBSIJ−MU01、銀濃度15質量%)を入れたピエゾタイプのインクジェットプリンタを用い、50mm×50mmのベタパターン(面状パターン)で印刷を行い、導電性パターンを形成した。銀ナノインクの吐出量は23ml/m2であり、得られた導電性パターンの厚みは0.8μmであった。
転写用基材に対し、銀ナノインク(三菱製紙(株)製NBSIJ−MU01、銀濃度15質量%)を入れたピエゾタイプのインクジェットプリンタを用い、50mm×50mmのベタパターン(面状パターン)で印刷を行い、導電性パターンを形成した。銀ナノインクの吐出量は23ml/m2であり、得られた導電性パターンの厚みは0.8μmであった。
<導電性材料1の作製>
ソルダーレジスト層として、液状ソルダーレジストであるタムラ化研(株)製DSR−330S32−21を使用した。前記した導電性パターンの転写に際して該ソルダーレジスト層は、DSR−330S32−21の主剤と硬化剤を混合したのち、支持体としてSUS304鋼板上にアプリケーターを用いて塗工し、70℃、30分間乾燥したものを使用した。ソルダーレジスト層への導電性パターンの転写は、ソルダーレジスト層の転写面に対して、前記した導電性パターンをロール温度25℃、圧力9.8N/cm2、速度0.3m/分(圧着時間として1秒)でラミネート処理を行い、その後転写用基材を剥離することで実施した。次に、導電性パターンが転写されたソルダーレジスト層を脱脂処理後、触媒付与処理し、続いて無電解銅めっきを行った。脱脂処理は、メルテックス(株)製、クリーナー160を50g/Lとなるように建浴し、60℃で1分間行った。また、触媒付与処理は、同社製、アクチベーター350をパラジウムの濃度が100ppmとなるよう建浴して25℃で2分間行った。無電解銅めっきは、同社製厚付無電解銅めっき、メルプレート(登録商標)CU−5100を標準希釈で建浴し、50℃で10分間行った。脱脂処理、触媒付与処理、無電解銅めっきの各処理の後にはソルダーレジスト層の水洗を行った。めっきを施した後の導電性パターンの厚みは1.8μmであった。めっきを施した後にソルダーレジスト層を180℃1時間の加熱硬化を行い、導電性材料1を得た。
ソルダーレジスト層として、液状ソルダーレジストであるタムラ化研(株)製DSR−330S32−21を使用した。前記した導電性パターンの転写に際して該ソルダーレジスト層は、DSR−330S32−21の主剤と硬化剤を混合したのち、支持体としてSUS304鋼板上にアプリケーターを用いて塗工し、70℃、30分間乾燥したものを使用した。ソルダーレジスト層への導電性パターンの転写は、ソルダーレジスト層の転写面に対して、前記した導電性パターンをロール温度25℃、圧力9.8N/cm2、速度0.3m/分(圧着時間として1秒)でラミネート処理を行い、その後転写用基材を剥離することで実施した。次に、導電性パターンが転写されたソルダーレジスト層を脱脂処理後、触媒付与処理し、続いて無電解銅めっきを行った。脱脂処理は、メルテックス(株)製、クリーナー160を50g/Lとなるように建浴し、60℃で1分間行った。また、触媒付与処理は、同社製、アクチベーター350をパラジウムの濃度が100ppmとなるよう建浴して25℃で2分間行った。無電解銅めっきは、同社製厚付無電解銅めっき、メルプレート(登録商標)CU−5100を標準希釈で建浴し、50℃で10分間行った。脱脂処理、触媒付与処理、無電解銅めっきの各処理の後にはソルダーレジスト層の水洗を行った。めっきを施した後の導電性パターンの厚みは1.8μmであった。めっきを施した後にソルダーレジスト層を180℃1時間の加熱硬化を行い、導電性材料1を得た。
<導電性材料1の評価>
導電性確認試験:導電性材料1の導電性パターン部のシート抵抗をダイアインスツルメンツ社製、ロレスタ(登録商標)−GP/ESPプローブを用いて測定したところ0.022Ω/□であった。
基材との密着性確認:JIS K5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。幅1mm間隔に10マス×10マスの計100マス目を導電性材料1の導電性パターン部にクロスカットし、ニチバン(株)製セロテープ(登録商標)(24mm幅)を印刷面に貼り付け、急激に剥離し、残ったマス目の状態にて評価を行った。その結果、マス目の剥離が無く密着性が良好であることが確認された。
導電性確認試験:導電性材料1の導電性パターン部のシート抵抗をダイアインスツルメンツ社製、ロレスタ(登録商標)−GP/ESPプローブを用いて測定したところ0.022Ω/□であった。
基材との密着性確認:JIS K5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。幅1mm間隔に10マス×10マスの計100マス目を導電性材料1の導電性パターン部にクロスカットし、ニチバン(株)製セロテープ(登録商標)(24mm幅)を印刷面に貼り付け、急激に剥離し、残ったマス目の状態にて評価を行った。その結果、マス目の剥離が無く密着性が良好であることが確認された。
(実施例2)
<導電性材料2の作製>
ソルダーレジスト層として、ドライフィルム状ソルダーレジストである太陽インキ製造(株)製PFR−800 AUS410を使用に変更し、めっき工程として下記組成の硫酸銅めっき浴による電解銅めっき(2A/dm2の電流量で3分間)行った以外、導電性材料1と同様の作製方法より導電性材料2を得た。めっきを施した後の導電性パターンの厚みは1.8μmであった。
<導電性材料2の作製>
ソルダーレジスト層として、ドライフィルム状ソルダーレジストである太陽インキ製造(株)製PFR−800 AUS410を使用に変更し、めっき工程として下記組成の硫酸銅めっき浴による電解銅めっき(2A/dm2の電流量で3分間)行った以外、導電性材料1と同様の作製方法より導電性材料2を得た。めっきを施した後の導電性パターンの厚みは1.8μmであった。
<硫酸銅めっき浴>
硫酸銅・5水和物 75g/L
硫酸 190g/L
光沢剤 適量
塩化物イオン 50mg/L
浴温 25℃
光沢剤として、ローム・アンド・ハース社製、カパーグリーム(登録商標)CLXを用いた。
硫酸銅・5水和物 75g/L
硫酸 190g/L
光沢剤 適量
塩化物イオン 50mg/L
浴温 25℃
光沢剤として、ローム・アンド・ハース社製、カパーグリーム(登録商標)CLXを用いた。
<導電性材料2の評価>
導電性確認試験:導電性材料2の導電性パターン部のシート抵抗をダイアインスツルメンツ社製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて測定したところ0.015Ω/□であった。
基材との密着性確認:JIS K5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。幅1mm間隔に10マス×10マスの計100マス目を導電性材料2の導電性パターン部にクロスカットし、ニチバン(株)製セロテープ(24mm幅)を印刷面に貼り付け、急激に剥離し、残ったマス目の状態にて評価を行った。その結果、マス目の剥離が無く密着性が良好であることが確認された。
導電性確認試験:導電性材料2の導電性パターン部のシート抵抗をダイアインスツルメンツ社製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて測定したところ0.015Ω/□であった。
基材との密着性確認:JIS K5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。幅1mm間隔に10マス×10マスの計100マス目を導電性材料2の導電性パターン部にクロスカットし、ニチバン(株)製セロテープ(24mm幅)を印刷面に貼り付け、急激に剥離し、残ったマス目の状態にて評価を行った。その結果、マス目の剥離が無く密着性が良好であることが確認された。
(比較例1)
<導電性材料3の作製>
ソルダーレジスト層として、ドライフィルム状ソルダーレジストである太陽インキ製造(株)製PFR−800 AUS410を使用した。インクジェット印刷に際して該ソルダーレジスト層は、支持体としてSUS304鋼板上に圧着した状態で使用した。ソルダーレジスト層に対し、銀ナノインク(三菱製紙(株)製NBSIJ−MU01、銀濃度15質量%)を入れたピエゾタイプのインクジェットプリンタを用い、50mm×50mmのベタパターン(面状パターン)で印刷を行い、その後、180℃で1時間加熱することにより銀ペーストおよびドライフィルム状ソルダーレジストの加熱硬化処理を行い、導電性材料3を得た。銀ナノインクの吐出量は23ml/m2であり、導電性パターンの厚みは0.9μmであった。
<導電性材料3の作製>
ソルダーレジスト層として、ドライフィルム状ソルダーレジストである太陽インキ製造(株)製PFR−800 AUS410を使用した。インクジェット印刷に際して該ソルダーレジスト層は、支持体としてSUS304鋼板上に圧着した状態で使用した。ソルダーレジスト層に対し、銀ナノインク(三菱製紙(株)製NBSIJ−MU01、銀濃度15質量%)を入れたピエゾタイプのインクジェットプリンタを用い、50mm×50mmのベタパターン(面状パターン)で印刷を行い、その後、180℃で1時間加熱することにより銀ペーストおよびドライフィルム状ソルダーレジストの加熱硬化処理を行い、導電性材料3を得た。銀ナノインクの吐出量は23ml/m2であり、導電性パターンの厚みは0.9μmであった。
<導電性材料3の評価>
導電性確認試験:導電性材料4の導電性パターン部のシート抵抗をダイアインスツルメンツ社製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて測定したところ0.11Ω/□であった。
基材との密着性確認:JIS 5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。幅1mm間隔に10マス×10マスの計100マス目を導電性材料3の導電性パターン部にクロスカットし、ニチバン(株)製セロテープ(24mm幅)を印刷面に貼り付け、急激に剥離し、残ったマス目の状態にて評価を行った。その結果、マス目の剥離が散見され密着性が十分でないことが確認された。
導電性確認試験:導電性材料4の導電性パターン部のシート抵抗をダイアインスツルメンツ社製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて測定したところ0.11Ω/□であった。
基材との密着性確認:JIS 5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。幅1mm間隔に10マス×10マスの計100マス目を導電性材料3の導電性パターン部にクロスカットし、ニチバン(株)製セロテープ(24mm幅)を印刷面に貼り付け、急激に剥離し、残ったマス目の状態にて評価を行った。その結果、マス目の剥離が散見され密着性が十分でないことが確認された。
(比較例2)
<導電性材料4の作製>
脱脂処理、触媒付与処理、無電解銅めっき処理を行わないこと以外、導電性材料1と同様の作製方法より導電性材料4を得た。導電性パターンの厚みは0.7μmであった。
<導電性材料4の作製>
脱脂処理、触媒付与処理、無電解銅めっき処理を行わないこと以外、導電性材料1と同様の作製方法より導電性材料4を得た。導電性パターンの厚みは0.7μmであった。
<導電性材料4の評価>
導電性確認試験:導電性材料4の導電性パターン部のシート抵抗をダイアインスツルメンツ社製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて測定したところ0.16Ω/□であった。
基材との密着性確認:JIS 5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。幅1mm間隔に10マス×10マスの計100マス目を導電性材料4の導電性パターン部にクロスカットし、ニチバン(株)製セロテープ(24mm幅)を印刷面に貼り付け、急激に剥離し、残ったマス目の状態にて評価を行った。その結果、マス目の剥離が無く密着性が良好であることが確認された。
導電性確認試験:導電性材料4の導電性パターン部のシート抵抗をダイアインスツルメンツ社製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて測定したところ0.16Ω/□であった。
基材との密着性確認:JIS 5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。幅1mm間隔に10マス×10マスの計100マス目を導電性材料4の導電性パターン部にクロスカットし、ニチバン(株)製セロテープ(24mm幅)を印刷面に貼り付け、急激に剥離し、残ったマス目の状態にて評価を行った。その結果、マス目の剥離が無く密着性が良好であることが確認された。
実施例および比較例から本発明の有効性が判る。
1 支持体
2 多孔質層
3 解離層
4 導電性パターン
5 ソルダーレジスト層
6 めっき層
10 転写用基材
2 多孔質層
3 解離層
4 導電性パターン
5 ソルダーレジスト層
6 めっき層
10 転写用基材
Claims (1)
- 支持体上に少なくとも多孔質層と該多孔質層上に解離層を有する転写用基材の解離層の上に導電性パターンを形成する工程、加熱硬化前のソルダーレジスト層に前記した解離層上の導電性パターンを転写する工程、転写された導電性パターンにめっきを施す工程、および導電性パターンが転写されたソルダーレジスト層を加熱硬化する工程を少なくともこの順に行う導電性材料の製造方法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018149372A JP2020024874A (ja) | 2018-08-08 | 2018-08-08 | 導電性材料の製造方法 |
PCT/JP2019/017631 WO2019225286A1 (ja) | 2018-05-25 | 2019-04-25 | パターン転写物の製造方法 |
EP19808407.1A EP3815926A4 (en) | 2018-05-25 | 2019-04-25 | PROCESS FOR MANUFACTURING OBJECT WITH TRANSFERRED PATTERN |
US17/058,523 US20210219433A1 (en) | 2018-05-25 | 2019-04-25 | Pattern-transferred object manufacturing method |
KR1020207035166A KR20210006436A (ko) | 2018-05-25 | 2019-04-25 | 패턴 전사물의 제조 방법 |
TW108114670A TW202012203A (zh) | 2018-05-25 | 2019-04-26 | 圖案轉印物之製造方法 |
TW111104981A TW202218891A (zh) | 2018-05-25 | 2019-04-26 | 圖案轉印物之製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018149372A JP2020024874A (ja) | 2018-08-08 | 2018-08-08 | 導電性材料の製造方法 |
Publications (1)
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JP2020024874A true JP2020024874A (ja) | 2020-02-13 |
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ID=69618890
Family Applications (1)
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JP2018149372A Pending JP2020024874A (ja) | 2018-05-25 | 2018-08-08 | 導電性材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020024874A (ja) |
-
2018
- 2018-08-08 JP JP2018149372A patent/JP2020024874A/ja active Pending
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