JP2020022382A - グルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造方法 - Google Patents

グルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】効率的なグルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造方法を提供すること。【解決手段】高濃度のリン酸塩、NaCl、グリセリン又は硫酸塩等を含有する培地を使用する、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造方法を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造方法に関する。
グルコースデヒドロゲナーゼは、糖尿病マーカーである血中グルコース濃度(血糖値)の測定への応用が期待されるなど、産業上有用な酵素である。そのためグルコースデヒドロゲナーゼの効率的な工業生産、大規模生産が望まれている。
糖尿病の診断及び管理の手段として、自己血糖測定(SMBG)と持続血糖測定(CGM)が重要である。SMBG機器に用いられるバイオセンサには、従来、グルコースオキシダーゼ(GOD)等のD−グルコースを基質とする酵素が利用されている。しかしながら、GODは酸素を電子受容体とするという特性を備えているため、GODを用いたSMBG機器では、測定サンプル中の溶存酸素が測定値に影響を与え、正確な測定値が得られない場合が起こりうる。一方、D−グルコースを基質とするが、酸素を電子受容体としない別の酵素として、各種のグルコースデヒドロゲナーゼ(以下、GDHと表記することがある)が知られている。補酵素の添加を必要とせず、基質特異性が良好である点からFAD依存性GDH(FAD結合型GDHともいう。以下、FAD−GDHと表記することがある)がSMBGに用いられている。例えば、特許文献1〜6には、アスペルギルス属やムコール属、ペニシリウム属、グロメラ属由来のFAD−GDHが報告されている。
近年は、個人差のある血糖変動をより正確に捉えるため、連続グルコースモニタリング(CGM)システムの重要性が増している。CGMシステムは数日〜1、2週間の期間、血中グルコースレベルを測定することが出来る。CGMセンサにはGODが用いられている。
非特許文献1は、セロビオースデヒドロゲナーゼを用いた酵素センサについて、脱糖鎖により応答電流が上がる、すなわちセンサ感度が上がることを記載している。血糖測定センサに関しても、センサ感度が向上することにより、測定精度が高まり有用であるため、付加される糖鎖量が少ない酵素がより望ましい。
酵素の組換え製造方法として、真菌、例えばアスペルギルス属、例えばAspergillus oryzaeやAspergillus sojaeでの組換え製造方法が広く行われてきた。グルコースデヒドロゲナーゼもアスペルギルス属、例えば麹菌での組換え産生が行われている例がある。
非特許文献2によると、カビ・酵母の培養に使用される一般的な培地として、MY培地、YPD培地、Czapek−Dox(CD)培地が挙げられる。CD培地においては、pHの緩衝剤としてリン酸水素二カリウムが1g/l添加される。これをモル濃度で表記すると、6mM程度である。また、DPY培地も利用された例があり、pHの緩衝剤としてリン酸水素二カリウムが5g/l(29mM)添加される。これよりも大幅に高濃度でリン酸塩を培地に使用することは一般的ではないが、一部に報告例はある。
非特許文献3は、黄麹菌の液体培養による酵素生産について記載している。同文献は、Aspergillus oryzaeとAspergillus sojaeのプロテアーゼ産生に及ぼす食塩、リン酸一カリウムの影響について記載している。具体的には食塩(NaCl)の濃度を0〜1.5M、リン酸一カリウムを0〜0.5Mや0.3Mといった濃度となるよう添加した場合のプロテアーゼ産生量の増大について報告されている。なお、このプロテアーゼは遺伝子組換え体による生産された酵素ではなく、宿主が本来保有する酵素である。
特許文献7はグルタミナーゼの生産方法を記載している。同文献には、アスペルギルス・ソーヤに属するグルタミナーゼ生産菌を培養しグルタミナーゼを生産するに際し、培地に2%以上のリン酸第一カリを添加して液体培養を行うことを特徴とするグルタミナーゼの生産方法の記載がある。なお、このグルタミナーゼは遺伝子組換え体による生産された酵素ではなく、宿主が本来保有する酵素である。
30mMを大幅に超える高濃度でリン酸塩を培地に使用することは一般的ではないが、上記のような報告例は、一部の酵素の微生物による製造方法については散見される。
グルコースデヒドロゲナーゼの真核生物宿主での組換え製造方法に、高濃度のリン酸塩や高濃度のNaClを用いることの報告例は見当たらない。フラビン結合型のグルコースデヒドロゲナーゼについては特にそうであり、糖鎖付加部位が12箇所以下であるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼについてはなおさらである。
特開2007−289148号公報 特許第4494978号公報 特許第6053309号公報 特許第4648993号公報 国際公開第2015/141761号 国際公開第2017/002896号 特公昭48−24747号公報(特許第0722364号明細書)
Anal Bioanal Chem (2013) 405:3637−3658 実験応用生命科学、朝倉書店、2005年第8刷 山崎ら、醤研vol.22, No.1,1996
本発明は、生産効率の高い、或いは酵素産生量の高い、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、グルコースセンサとしての感度を高めるため、糖鎖付加量を減少させたグルコースデヒドロゲナーゼの産生を試みたところ、付加された糖鎖量の少ないグルコースデヒドロゲナーゼは糖鎖量の多いグルコースデヒドロゲナーゼと比べて、組み換えによる産生効率が低いことがわかった。この課題解決のために鋭意研究を重ねた結果、一例として、アスペルギルス属の麹菌においてグルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生する際に、一般的な培地と比較して、高濃度のリン酸塩を含有する培地を使用することで、酵素産生量、特に菌体外の酵素産生量が大幅に増加することを見出し、これを一実施形態として包含する本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の実施形態を包含する。
[1] リン酸塩、NaCl、グリセリン、硫酸塩、アルギニン塩からなる群より選択される、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度にて含む培地を使用する工程を含む、糸状菌を宿主として用いたグルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造方法。
[2] リン酸塩が、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸アンモニウム又はこれらの組み合わせであるか、或いは、硫酸塩が硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム又はこれらの組み合わせである、或いはアルギニン塩がアルギニン塩酸塩である、実施形態1に記載の製造方法。
[3] (i)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、リン酸塩であり、リン酸塩についてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として200mM〜1Mである、
(ii)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、NaClであり、NaClについてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として5mM〜1Mである、
(iii)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、硫酸マグネシウムであり、硫酸マグネシウムについてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として300mM〜1Mである、
(iv)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、リン酸アンモニウムであり、リン酸アンモニウムについてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として200mM〜1Mである、
(v)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、グリセリンであり、グリセリンについてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として2.5〜10重量%である、
(vi)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、硫酸アンモニウムであり、硫酸アンモニウムについてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として300mM〜1Mである、又は
(vii)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、アルギニン塩酸塩であり、アルギニン塩酸塩についてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として100mM〜1Mである、
実施形態1または2に記載の製造方法。
[4] 前記グルコースデヒドロゲナーゼが、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼである、実施形態1〜3のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記グルコースデヒドロゲナーゼに関し、糖鎖付加部位が12箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼである、実施形態1〜4のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記グルコースデヒドロゲナーゼに関し、糖鎖付加部位が10箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼである、実施形態5に記載の製造方法。
[7] 前記グルコースデヒドロゲナーゼに関し、糖鎖付加部位が8箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である、実施形態6に記載の製造方法。
[8] 前記グルコースデヒドロゲナーゼが、ムコール属由来のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼである、実施形態4〜7のいずれかに記載の製造方法。
[9] 前記グルコースデヒドロゲナーゼが、野生型遺伝子から改変された遺伝子によりコードされるムコール属由来のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ変異体である、実施形態8に記載の製造方法。
[10] 前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体に関し、そのアミノ酸配列中の糖鎖付加部位であるアミノ酸残基が、糖鎖付加されないアミノ酸残基に置換されているグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である、実施形態9に記載の製造方法。
[11] グルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造を行う宿主がアスペルギルス属の宿主である、実施形態1〜10のいずれかに記載の製造方法。
[12] 宿主がアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)である、実施形態11に記載の製造方法。
[13] 前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体が、配列番号5のアミノ酸配列を有するグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である、実施形態10に記載の製造方法。
[14] 前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体が、配列番号5のアミノ酸配列に1又は数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有するグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である、実施形態10に記載の製造方法。
[15] グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を含まない培地、又は、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物をグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度未満の濃度であって通常の濃度で含む培地を用いてグルコースデヒドロゲナーゼを産生した場合と比較して、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量が、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度にて含む培地を使用した場合に、菌体外のグルコースデヒドロゲナーゼ活性が2倍以上増大する、実施形態1〜14のいずれかに記載の製造方法。
[16] グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を含まない培地、又は、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物をグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度未満の濃度であって通常の濃度で含む培地を用いてグルコースデヒドロゲナーゼを産生した場合と比較して、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量が、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度にて含む培地を使用した場合に、菌体外のグルコースデヒドロゲナーゼ活性が6倍以上増大する、実施形態15に記載の製造方法。
本発明の効果として、効率的にグルコースデヒドロゲナーゼを組換え産生することができる。
糖鎖付加部位のアミノ酸残基が糖鎖付加されないアミノ酸に置換されているグルコースデヒドロゲナーゼ変異体について、ゲル濾過クロマトグラフィーにより分子サイズを比較した図である。分子サイズは溶出体積(ml)が小さいほど(左側)大きく、溶出体積(ml)が大きいほど(右側)小さい。 リン酸塩の濃度と、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生量との関係を示した図である。左の白抜きの棒が菌体外酵素量、右の黒塗りの棒が菌体内酵素量であり、Ctrlは対照である(他の図も同じ)。対照と比較して、200〜1,000mMの濃度でリン酸塩を培地に添加すると、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量は、約6〜8倍増大した(菌体外の活性として)。 NaClの濃度と、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生量との関係を示した図である。対照と比較して、5〜1,000mMの濃度でNaClを培地に添加すると、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量は、2〜8倍増大した。 リン酸塩、アルギニン塩酸塩及びグリセリンの濃度と、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生量との関係を示した図である。対照と比較して、2.5〜10wt%以上のグリセリンを培地に添加すると、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量は、約2〜4倍増大した。アルギニン塩酸塩についても対照と比較して2〜3倍以上の産生量増大が見られた。 リン酸一カリウムとリン酸二カリウムの質量比とグルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生量との関係を示した図である。質量比を変化させてもグルコースデヒドロゲナーゼの産生量が増大する効果には影響しなかった。 各種のリン酸塩及び硫酸塩の濃度と、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生量との関係を示した図である。リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウムを培地に添加するとグルコースデヒドロゲナーゼの産生量は対照と比較して約2〜3倍増大した。
ある実施形態において、本発明はグルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造方法(産生方法ともいう。以下同じ。)を提供する。
ある実施形態において、本発明のグルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生(組換え製造ともいう。以下同じ。)には、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を含む培地を使用する。ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物は、リン酸塩、NaCl、グリセリン、硫酸塩、アルギニン塩及びこれらの組み合わせからなる群より選択されうるがこれに限らない。別の実施形態において、リン酸塩は、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸アンモニウム及びこれらの組み合わせからなる群より選択されうるがこれに限らない。別の実施形態において、硫酸塩は硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム及びこれらの組み合わせからなる群より選択されうるがこれに限らない。別の実施形態において、アルギニン塩はアルギニン塩酸塩であり得る。
グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物は、LB培地やNB培地やSCD培地やCD培地やDPY培地のような一般的な培地において使用される濃度と比較して、高い濃度、例えば大幅に高い濃度で使用することができる。具体的には、一般的な培地であるDPY培地にはリン酸水素二カリウムが5g/l添加されるが(29mM)、本発明のグルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造方法に用いる培地には、リン酸水素二カリウムを、培地中の終濃度が、例えば200mM以上、300mM以上、400mM以上、500mM以上、600mM以上、700mM以上、800mM以上、900mM以上、1000mM以上、1,100mM以上、例えば1,200mM以上、となるように使用しうる。他のグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物についても同様である。
すなわち、本発明において、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物、例えばリン酸塩、NaCl、グリセリン、硫酸塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム又はアルギニン塩酸塩は、終濃度が、例えば200mM以上、300mM以上、400mM以上、500mM以上、600mM以上、700mM以上、800mM以上、900mM以上、1000mM以上、1,100mM以上、例えば1,200mM以上、例えば200mM〜1,200mM(両端含む、以下同じ)、300mM〜1,100mM、400mM〜1,000mM、500mM〜1000mM、600mM〜1000mM、500mM〜900mM、600mM〜800mMとなるように使用しうるが濃度はこれに限らない。ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物の組み合わせが使用される場合には、上記の終濃度は、組み合わせを構成する各化合物のそれぞれの終濃度である。別の実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物の組み合わせが使用される場合には、上記の終濃度は、組み合わせを構成する各化合物の終濃度の合計である。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生には、NaClを、培地中の終濃度が、例えば5mM以上、10mM以上、20mM以上、30mM以上、40mM以上、50mM以上、100mM以上、200mM以上、300mM以上、400mM以上、500mM以上、600mM以上、700mM以上、800mM以上、900mM以上、例えば1M以上、例えば5mM〜1,000mM(両端含む、以下同じ)、10mM〜900mM、20mM〜800mM、30mM〜700mM、40mM〜600mM、50〜500mM、100〜400mM、200〜300mM、400〜1000mM、500〜1000mM、600〜900mM、700〜800mMとなるように使用し得る。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生には、アルギニン塩酸塩を、培地中の終濃度が、例えば100mM以上、200mM以上、300mM以上、400mM以上、500mM以上、600mM以上、700mM以上、800mM以上、900mM以上、例えば1M以上、例えば300mM〜1,000mM(両端含む、以下同じ)、400mM〜900mM、500mM〜800mM、600mM〜700mMとなるように使用し得る。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生には、グリセリンを、培地中の終濃度が、例えば2.5重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%以上、例えば2.5〜10重量%(両端含む、以下同じ)、3〜10重量%、5〜10重量%、6〜10重量%、7〜10重量%、8〜10重量%、4〜9重量%、5〜8重量%、6〜7重量%となるように使用し得る。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生には、リン酸一カリウム及びリン酸二カリウムを、それらの合計の培地中の終濃度が、例えば40mM以上、50mM以上、100mM以上、200mM以上、300mM以上、400mM以上、500mM以上、600mM以上、700mM以上、800mM以上、900mM以上、例えば1M以上、例えば40mM〜1,000mM(両端含む、以下同じ)、50mM〜900mM、100mM〜800mM、200mM〜700mM、300mM〜600mM、400〜500mM、500mM〜1000mM、600mM〜1000mMとなるように使用し得る。なお、リン酸一カリウム及びリン酸二カリウムの添加する比率を適宜調整することで、培地中のpHを適宜調整することができる。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生には、リン酸一ナトリウム及びリン酸二ナトリウムを、それらの合計の培地中の終濃度が、例えば40mM以上、50mM以上、100mM以上、200mM以上、300mM以上、400mM以上、500mM以上、600mM以上、700mM以上、800mM以上、900mM以上、例えば1M以上、例えば40mM〜1,000mM(両端含む、以下同じ)、50mM〜900mM、100mM〜800mM、200mM〜700mM、300mM〜600mM、400〜500mM、500mM〜1000mM、600mM〜1000mMとなるように使用し得る。なお、リン酸一ナトリウム及びリン酸二ナトリウムの添加する比率を適宜調整することで、培地中のpHを適宜調整することができる。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生には、リン酸アンモニウムを、培地中の終濃度が、例えば40mM以上、50mM以上、100mM以上、200mM以上、300mM以上、400mM以上、500mM以上、600mM以上、700mM以上、800mM以上、900mM以上、例えば1M以上、例えば40mM〜1,000mM(両端含む、以下同じ)、50mM〜900mM、50〜800mM、50〜600mM、50〜400mM、50〜200mM、100mM〜800mM、100〜600mM、100〜400mM、100〜200mM、200mM〜700mM、300mM〜600mM、400〜500mMとなるように使用し得る。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生には、硫酸アンモニウムを、培地中の終濃度が、例えば300mM以上、400mM以上、500mM以上、600mM以上、700mM以上、800mM以上、900mM以上、例えば1M以上、例えば300mM〜1,000mM(両端含む、以下同じ)、400〜1000mM、600〜1000mM、800〜1000mM、400mM〜900mM、500mM〜800mM、600mM〜700mMとなるように使用し得る。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼの組換え産生には、硫酸マグネシウムを、培地中の終濃度が、例えば300mM以上、400mM以上、500mM以上、600mM以上、700mM以上、800mM以上、900mM以上、例えば1M以上、例えば300mM〜1,000mM(両端含む、以下同じ)、400〜1000mM、600〜1000mM、800〜1000mM、400mM〜900mM、500mM〜800mM、600mM〜700mMとなるように使用し得る。
グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物に関し、上記の濃度を、本明細書において、便宜上、「グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度」、という。グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度で培地に使用すると、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を含まない又は実質的に含まない場合や、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度未満でしかグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を含まない場合と比較して、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量が増大する。産生量の増大は、菌体外GDH活性により評価する(U/ml培地)。より具体的には、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を含まない培地、又は、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物をグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度未満の濃度であって通常の濃度で含む培地を用いてグルコースデヒドロゲナーゼを産生した場合と比較して、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度にて含む培地を使用した場合に、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量は2倍以上、2.5倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、例えば8倍以上、増大し得る。
ある実施形態において、組換え産生に使用される宿主は、真菌、例えばアスペルギルス属、例えばA. oryzae、A. sojae、A. niger、A. terreus等、例えば麹菌でありうるがこれに限らない。
ある実施形態において、産生されるグルコースデヒドロゲナーゼは、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼである(以下、FAD−GDHと表記することがある)。ある実施形態において、産生されるグルコースデヒドロゲナーゼは、ムコール属由来のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼである。ある実施形態において、産生されるグルコースデヒドロゲナーゼは、野生型グルコースデヒドロゲナーゼである。ある実施形態において、産生されるグルコースデヒドロゲナーゼは、野生型グルコースデヒドロゲナーゼから改変されたグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である。変異体の基となる野生型グルコースデヒドロゲナーゼは、例えば配列番号1のグルコースデヒドロゲナーゼであり得る。ある実施形態において、前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体は、そのアミノ酸配列中の糖鎖付加部位のアミノ酸を糖鎖付加されるアミノ酸以外のアミノ酸に置換されたグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である。ある実施形態において、産生されるグルコースデヒドロゲナーゼ変異体は、糖鎖量低減型のグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である。糖鎖量低減型のグルコースデヒドロゲナーゼとは、野生型グルコースデヒドロゲナーゼと比較して、付加される糖鎖量が少ないグルコースデヒドロゲナーゼをいう。
真核生物由来のグルコースデヒドロゲナーゼ、例えばムコール属由来のグルコースデヒドロゲナーゼは、真核生物において発現される際に、N型糖鎖付加部位としてN−X−(T/S)モチーフのアミノ酸が糖鎖修飾されることが知られている(ここでXはプロリン以外の任意のアミノ酸)。モチーフ中の第3アミノ酸はトレオニンでもセリンでもよい。当該モチーフ中のN(アスパラギン)がN以外のアミノ酸残基に改変されると、又は、モチーフ中のT若しくはSが、トレオニンでもセリンでもないアミノ酸残基に改変されると、又は、モチーフ中の−X−がプロリンに改変されると、一般に当該部位には糖鎖が付加されない。
ムコール属由来のグルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列を配列番号1に示す。糖鎖付加部位の改変としては、配列番号1の25位、101位、156位、198位、214位、256位、268位、353位、365位、379位、401位、417位、430位、459位、496位、及び550位からなる群より選択される1以上の位置におけるアスパラギン以外のアミノ酸への置換、
配列番号1の27位、103位、158位、200位、216位、258位、270位、355位、367位、381位、403位、419位、432位、461位、498位、及び552位からなる群より選択される1以上の位置における、セリン及びトレオニン以外のアミノ酸への置換、並びに
配列番号1の26位、102位、157位、199位、215位、257位、269位、354位、366位、380位、402位、418位、431位、460位、497位及び551位からなる群より選択される1以上の位置のアミノ酸のプロリンへの置換が挙げられる。糖鎖付加部位を改変された変異体は、このようなアミノ酸置換を1以上、例えば1〜48、1〜40、1〜34、2〜25、3〜20、例えば4〜14有し得る。
配列番号1のアミノ酸配列において、糖鎖修飾される可能性のあるN−X−T/Sモチーフは、25〜27位、101〜103位、156〜158位、198〜200位、位、214〜216位、位、256〜258位、268〜270位、353〜355位、365〜367位、379〜381位、401〜403位、417〜419位、430〜432位、459〜461位、496〜498位、550〜552位である(配列番号1における位置)。例えば25〜27位のモチーフでは、25位、26位、27位のいずれかに上記のアミノ酸置換が導入されると、25〜27位は糖鎖修飾を受けないと考えられる。そこで25〜27位のモチーフは一つのまとまりとして、アミノ酸置換を1つ導入すればよい。101〜103位などの他の位置のモチーフについても同様である。上記のモチーフに関し、例えば1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、例えば16のモチーフに変異が導入されうる。
ある実施形態において、前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体に関し、糖鎖付加部位が12箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼ変異体が産生される。
ある実施形態において、前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体に関し、糖鎖付加部位が10箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼ変異体が産生される。
ある実施形態において、前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体に関し、糖鎖付加部位が9箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼ変異体が産生される。
ある実施形態において、前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体に関し、糖鎖付加部位が8箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼ変異体が産生される。
ある実施形態において、産生されるグルコースデヒドロゲナーゼ変異体は、S27A、S103Q、143〜145位への変異、156〜158位への変異、172〜174位への変異、198〜200位への変異、205〜207位への変異、214〜216位への変異、247〜249位への変異、N256D、N268S、N353D、N365D、379〜381位への変異、N401R、402〜404位への変異、N417R又はN417I、430〜432位への変異、459〜461位への変異、N496R又はN496L、550〜552位への変異、からなる群より選択される変異を、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、例えば16有しうる。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼに関し、糖鎖付加部位が12箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼが産生される。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼに関し、糖鎖付加部位が10箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼが産生される。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼに関し、糖鎖付加部位が9箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼが産生される。
ある実施形態において、グルコースデヒドロゲナーゼに関し、糖鎖付加部位が8箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼが産生される。例えば、Glomerella cingulata NBRC107000由来FAD−GDHの糖鎖付加部位は4箇所である(特許文献6参照)。
本発明に使用可能な培地組成の例を示すが、組成はこれに限らない。
培地組成1
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸2水素カリウム 4.6%
リン酸水素2カリウム 4.6%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成2
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸2水素カリウム 1.5%
リン酸水素2カリウム 1.5%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成3
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸2水素カリウム 7.6%
リン酸水素2カリウム 7.6%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成4
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸1カリウム 0.25%
リン酸2カリウム 0.25%
リン酸2水素ナトリウム 1.5%
リン酸水素2ナトリウム 1.5%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成5
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸1カリウム 0.25%
リン酸2カリウム 0.25%
リン酸2水素ナトリウム 4.6%
リン酸水素2ナトリウム 4.6%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成6
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸1カリウム 0.25%
リン酸2カリウム 0.25%
リン酸2水素ナトリウム 7.7%
リン酸水素2ナトリウム 7.7%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成7
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸1カリウム 0.25%
リン酸2カリウム 0.25%
NaCl 0.3%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成8
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸1カリウム 0.25%
リン酸2カリウム 0.25%
NaCl 2.9%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成9
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸1カリウム 0.25%
リン酸2カリウム 0.25%
NaCl 5.8%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成10
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸1カリウム 0.25%
リン酸2カリウム 0.25%
グリセリン 10%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成11
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸1カリウム 0.25%
リン酸2カリウム 0.25%
リン酸アンモニウム 2.6%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成12
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸1カリウム 0.25%
リン酸2カリウム 0.25%
硫酸アンモニウム 13.2%
硫酸マグネシウム・7水和物 0.05%
しょうゆ油 0.40%
培地組成13
パインデックス#2 2%
ハイポリペプトン 2%
酵母エキス 1%
リン酸1カリウム 0.25%
リン酸2カリウム 0.25%
硫酸マグネシウム・7水和物 24.6%
しょうゆ油 0.40%
(FAD−GDHの作用原理および活性測定法)
FAD−GDHは、電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ−δ−ラクトンを生成する反応を触媒する。FAD−GDHの活性は、この作用原理を利用し、例えば、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート(PMS)および2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)を用いた以下の系を用いて測定することができる。
(反応1) D−グルコ−ス + PMS(酸化型)
→ D−グルコノ−δ−ラクトン + PMS(還元型)
(反応2) PMS(還元型) + DCIP(酸化型)
→ PMS(酸化型) + DCIP(還元型)
(反応1)において、グルコースの酸化に伴い、PMS(還元型)が生成する。続いて進行する(反応2)により、PMS(還元型)が酸化されるのに伴ってDCIPが還元される。この「DCIP(酸化型)」の消失度合を波長600nmにおける吸光度の変化量として検知し、この変化量に基づいて酵素活性を求めることができる。
FAD−GDHの活性は、以下の手順に従って測定する。100mMリン酸緩衝液(pH7.0) 2.05mL、1M D−グルコース溶液 0.6mLおよび2mM DCIP溶液 0.15mLを混合し、37℃で5分間保温する。次いで、15mM PMS溶液 0.1mLおよび酵素サンプル溶液0.1mLを添加し、反応を開始する。反応開始時、および経時的な吸光度を測定し、酵素反応の進行に伴う600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量(ΔA600)を求め、次式に従いGDH活性を算出する。この際、GDH活性は、37℃において濃度200mMのD−グルコース存在下で1分間に1μmolのDCIPを還元する酵素量を1Uと定義する。
Figure 2020022382
なお、式中の3.0は反応試薬+酵素試薬の液量(mL)、16.3は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm/μmol)、0.1は酵素溶液の液量(mL)、1.0はセルの光路長(cm)、ΔA600blankは酵素の希釈に用いた緩衝液を酵素サンプル溶液の代わりに添加して反応開始した場合の600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量、dfは希釈倍数を表す。
(FAD−GDHのアミノ酸配列)
ある実施形態において、FAD−GDHは、配列番号5のアミノ酸配列を有するものであり得る。別の実施形態において、FAD−GDHは、該アミノ酸配列において1もしくは数個(例えば21個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個又は2個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するものであり得る。別の実施形態において、FAD−GDHは、配列番号5において156〜158位への変異、198〜200位への変異、214〜216位への変異、247〜249位への変異、256〜258位への変異、379〜381位への変異、430〜432位への変異、459〜461位への変異、550〜552位への変異、からなる群より選択される変異を、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、例えば9以上有しうる。
また、FAD−GDHにおいて、アミノ酸配列が配列番号5のアミノ酸配列を有することが重要であり、それが天然から取得されたものか、人工合成による配列であるかを問わない。例えばGDHは、発現宿主に応じてコドン最適化された遺伝子によりコードされるものであり得る。
(FAD−GDHをコードする遺伝子)
ある実施形態において、FAD−GDHをコードする遺伝子は、配列番号6の塩基配列を有するものであり得る。遺伝子は全合成されたものでもよく、または天然配列を取得して変異を導入し作製したものでもよい。また、その改変体を遺伝子工学的手法により作製しうる。
蛋白質工学的手法を駆使する方法としては、一般的に、Site−Specific Mutagenesisとして知られる手法を用いることができる。例えば、Kramer法 (Nucleic Acids Res.,12,9441(1984):Methods Enzymol.,154,350(1987):Gene,37,73(1985))、Eckstein法(Nucleic Acids Res.,13,8749(1985):Nucleic Acids Res.,13,8765(1985):Nucleic Acids Res,14,9679(1986))、Kunkel法(Proc. Natl. Acid. Sci. U.S.A.,82,488(1985):Methods Enzymol.,154,367(1987))等が挙げられる。DNA中の塩基配列を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(Transformer Mutagenesis Kit;Clonetech社、EXOIII/Mung Bean Deletion Kit;Stratagene製、Quick Change Site Directed Mutagenesis Kit;Stratagene製など)の利用が挙げられる。
また、一般的なポリメラーゼチェインリアクション(Polymerase Chain Reaction)として知られる手法を用いることもできる(Technique,1,11(1989))。なお、上記遺伝子改変法の他に、有機合成法又は酵素合成法により、直接所望のFAD−GDH遺伝子を合成することもできる。
FAD−GDH遺伝子のDNA塩基配列の決定又は確認を行う場合には、例えば、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)等を用いれば良い。
(FAD−GDHの由来となる天然型FAD−GDHの例)
FAD−GDHは、他の公知のFAD−GDHより取得することもできる。公知のFAD−GDHの由来微生物の好適な例としては、ケカビ亜門、好ましくはケカビ綱、より好ましくはケカビ目、さらに好ましくはケカビ科に分類される微生物を挙げることができる。具体的には、ムコール(Mucor)属、アブシジア(Absidia)属、アクチノムコール(Actinomucor)属、シルシネラ(Circinella)属由来のFAD−GDH等が挙げられる。または、アスペルギルス属、ペニシリウム属、グロメラ属由来のFAD−GDHが挙げられる。
Mucor属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Mucor prainii、Mucor javanicus、Mucor circinelloides f. circinelloides、Mucor guilliermondii、Mucor hiemalis f. silvaticus、Mucor subtilissimus、Mucor dimorphosporus等が挙げられる。より具体的には、Mucor prainii、Mucor javanicus、Mucor circinelloides f. circinelloides、Mucor guilliermondii NBRC9403、Mucor hiemalis、Mucor hiemalis f. silvaticus NBRC6754、Mucor subtilissimus NBRC6338、Mucor RD056860、Mucor dimorphosporus NBRC5395等が挙げられる。Absidia属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Absidia cylindrospora、Absidia hyalosporaを挙げることができる。Actinomucor属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Actinomucor elegansを挙げることができる。Circinella属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Circinella minor、Circinella mucoroides、Circinella muscae、Circinella rigida、Circinella simplex、Circinella umbellataを挙げることができる。より具体的には、Circinella minor NBRC6448、Circinella mucoroides NBRC4453、Circinella muscae NBRC6410、Circinella rigida NBRC6411、Circinella simplex NBRC6412、Circinella umbellata NBRC4452、Circinella umbellata NBRC5842、Circinella RD055423及びCircinella RD055422を挙げることができる。なお、NBRC菌株およびRD菌株はNBRC(独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター)の保管菌株である。
(FAD−GDH遺伝子が挿入されたベクターおよび宿主細胞)
上述のように得られたFAD−GDH遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、又は真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主細胞を常法により、形質転換又は形質導入をすることができる。
真核宿主細胞の一例としては、アスペルギルス(Aspergillus)属やトリコデルマ(Tricoderma)属のようなカビ細胞が挙げられる。カビ細胞の形質転換体の作製方法は特に限定されず、例えば、常法に従って、GDHをコードする遺伝子が発現する態様で宿主糸状菌に挿入する方法が挙げられる。具体的には、GDHをコードする遺伝子を発現誘導プロモーター及びターミネーターの間に挿入したDNAコンストラクトを作製し、次いでGDHをコードする遺伝子を含むDNAコンストラクトで宿主糸状菌を形質転換することにより、GDHをコードする遺伝子を過剰発現する形質転換体が得られる。本明細書では、宿主糸状菌を形質転換するために作製された、発現誘導プロモーター−GDHをコードする遺伝子−ターミネーターからなるDNA断片及び該DNA断片を含む組換えベクターをDNAコンストラクトと総称してよぶ。
GDHをコードする遺伝子が発現する態様で宿主糸状菌に挿入する方法は特に限定されないが、例えば、相同組換えを利用することにより宿主生物の染色体上に直接的に挿入する手法;プラスミドベクター上に連結することにより宿主糸状菌内に導入する手法などが挙げられる。
相同組換えを利用する方法では、染色体上の組換え部位の上流領域及び下流領域と相同な配列の間に、DNAコンストラクトを連結し、宿主糸状菌のゲノム中に挿入することができる。自身の高発現プロモーター制御下で宿主糸状菌内で過剰発現することにより、セルフクローニングによる形質転換体を得ることができる。高発現プロモーターは特に限定されないが、例えば、翻訳伸長因子であるTEF1遺伝子(tef1)のプロモーター領域、α−アミラーゼ遺伝子(amy)のプロモーター領域、アルカリプロテアーゼ遺伝子(alp)プロモーター領域などが挙げられる。
ベクターを利用する方法では、DNAコンストラクトを、常法により、糸状菌の形質転換に用いられるプラスミドベクターに組み込み、対応する宿主糸状菌を常法により形質転換することができる。
そのような、好適なベクター−宿主系としては、宿主糸状菌中でGDHを生産させ得る系であれば特に限定されず、例えば、pUC19及び糸状菌の系、pSTA14(Mol. Gen. Genet. 218, 99−104, 1989)及び糸状菌の系などが挙げられる。
DNAコンストラクトは宿主糸状菌の染色体に導入して用いることが好ましいが、この他の方法として、自律複製型のベクター(Ozeki et al. Biosci. Biotechnol. Biochem. 59, 1133 (1995))にDNAコンストラクトを組み込むことにより、染色体に導入しない形で用いることもできる。
DNAコンストラクトには、形質転換された細胞を選択することを可能にするためのマーカー遺伝子が含まれていてもよい。マーカー遺伝子は特に限定されず、例えば、pyrG、niaD、adeAのような、宿主の栄養要求性を相補する遺伝子;ピリチアミン、ハイグロマイシンBオリゴマイシンなどの薬剤に対する薬剤耐性遺伝子などが挙げられる。また、DNAコンストラクトは、宿主細胞中でGDHをコードする遺伝子を過剰発現することを可能にするプロモーター、ターミネーターその他の制御配列(例えば、エンハンサー、ポリアデニル化配列など)を含むことが好ましい。プロモーターは特に限定されないが、適当な発現誘導プロモーターや構成的プロモーターが挙げられ、例えば、tef1プロモーター、alpプロモーター、amyプロモーターなどが挙げられる。ターミネーターもまた特に限定されないが、例えば、alpターミネーター、amyターミネーター、tef1ターミネーターなどが挙げられる。
DNAコンストラクトにおいて、GDHをコードする遺伝子の発現制御配列は、挿入するGDHをコードする遺伝子を含むDNA断片が、発現制御機能を有している配列を含む場合は必ずしも必要ではない。また、共形質転換法により形質転換を行う場合には、DNAコンストラクトはマーカー遺伝子を有しなくてもよい場合がある。
DNAコンストラクトの一実施態様は、例えば、pUC19のマルチクローニングサイトにあるIn−Fusion Cloning Siteに、tef1遺伝子プロモーター、GDHをコードする遺伝子、alp遺伝子ターミネーター及びpyrGマーカー遺伝子を連結させたDNAコンストラクトである。
糸状菌への形質転換方法としては、当業者に知られる方法を適宜選択することができ、例えば、宿主糸状菌のプロトプラストを調製した後に、ポリエチレングリコール及び塩化カルシウムを用いるプロトプラストPEG法(例えば、Mol. Gen. Genet. 218, 99−104, 1989、特開2007−222055号公報などを参照)を用いることができる。形質転換糸状菌を再生させるための培地は、用いる宿主糸状菌と形質転換マーカー遺伝子とに応じて適切なものを用いる。例えば、宿主糸状菌としてアスペルギルス・ソーヤを用い、形質転換マーカー遺伝子としてpyrG遺伝子を用いた場合は、形質転換糸状菌の再生は、例えば、0.5%寒天及び1.2Mソルビトールを含むCzapek−Dox最少培地(ディフコ社)で行うことができる。
また、例えば、本発明の形質転換糸状菌を得るために、相同組換えを利用して、宿主糸状菌が本来染色体上に有するGDHをコードする遺伝子のプロモーターをtef1などの高発現プロモーターへ置換してもよい。この際も、高発現プロモーターに加えて、pyrGなどの形質転換マーカー遺伝子を挿入することが好ましい。例えば、この目的のために、特開2011−239681に記載の実施例1や図1を参照して、GDHをコードする遺伝子の上流領域−形質転換マーカー遺伝子−高発現プロモーター−GDHをコードする遺伝子の全部又は部分からなる形質転換用カセットなどが利用できる。この場合、GDHをコードする遺伝子の上流領域及びGDHをコードする遺伝子の全部又は部分が相同組換えのために利用される。GDHをコードする遺伝子の全部又は部分は、開始コドンから途中の領域を含むものが使用できる。相同組換えに適した領域の長さは0.5kb以上あることが好ましい。
本発明の形質転換糸状菌が作製されたことの確認は、GDHの酵素活性が認められる条件下で本発明の形質転換糸状菌を培養し、次いで培養後に得られた培養物におけるGDHの活性を確認することにより行うことができる。
また、本発明の形質転換糸状菌が作製されたことの確認は、形質転換糸状菌から染色体DNAを抽出し、これを鋳型としてPCRを行い、形質転換が起きた場合に増幅が可能なPCR産物が生じることを確認することにより行ってもよい。
例えば、用いたプロモーターの塩基配列に対するフォワードプライマーと、形質転換マーカー遺伝子の塩基配列に対するリバースプライマーとの組み合わせでPCRを行い、想定の長さの産物が生じることを確認する。
(FAD−GDH酵素の製造方法)
FAD−GDH酵素は、上述のように取得したFAD−GDHを生産する宿主細胞を培養し、前記宿主細胞中に含まれるFAD−GDH遺伝子を発現させ、次いで、前記培養物からFAD−GDHを単離することにより製造すればよい。
上記宿主細胞を培養する培地としては、例えば、酵母エキス、トリプトン、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーあるいは大豆若しくは小麦ふすまの浸出液等の1種以上の窒素源に、0〜20mM程度の塩化ナトリウム、0〜30mM程度のリン酸第1カリウム、0〜30mM程度のリン酸第2カリウム、0〜20mM程度の硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化第2鉄、硫酸第2鉄あるいは硫酸マンガン等の無機塩類の1種以上を添加し、さらに必要により糖質原料、ビタミン等を適宜添加したものが用いられる。なお、ここでいう塩化ナトリウム、リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、硫酸マグネシウム等の無機塩類は、宿主細胞を培養する培地に通常使用される0〜30mMといった濃度で培地pHの緩衝剤や浸透圧の調整剤として使用されるものであり、必ずしもグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させるためのものではない。便宜上、本明細書においてこれを「通常の濃度」ということがある。したがってこれらの無機塩類の0〜30mMといった「通常の濃度」での使用は、本明細書にいう「グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度」での、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物の使用とは区別されるものとする。
培地の初発pHは、限定されないが、例えば、pH5〜9に調整することができる。培養は、10〜42℃の培養温度、好ましくは30℃前後の培養温度で4時間〜1週間、さらに好ましくは30℃前後の培養温度で1日〜5日間、通気攪拌深部培養、振盪培養、静置培養等により実施すればよい。
培養終了後、該培養物よりFAD−GDH酵素を採取する。これには、通常の公知の酵素採取手段を用いればよい。例えば、常法により菌体を、超音波破壊処理、磨砕処理等するか、もしくはリゾチームやヤタラーゼ等の溶菌酵素を用いて本酵素を抽出するか、又はトルエン等の存在下で振盪若しくは放置して溶菌を行わせ、本酵素を菌体外に排出させることができる。そして、この溶液を濾過、遠心分離等して固形部分を除去し、必要によりストレプトマイシン硫酸塩、プロタミン硫酸塩、若しくは硫酸マンガン等により核酸を除去したのち、これに硫安、アルコール、アセトン等を添加して分画し、沈澱物を採取し、FAD−GDHの粗酵素を得る。または、培地中に分泌された酵素を採取することも出来る。
FAD−GDHの粗酵素を、公知の任意の手段を用いてさらに精製することもできる。精製された酵素標品を得るには、例えば、セファデックス、ウルトロゲル若しくはバイオゲル等を用いるゲル濾過法;イオン交換体を用いる吸着溶出法;ポリアクリルアミドゲル等を用いる電気泳動法;ヒドロキシアパタイトを用いる吸着溶出法;蔗糖密度勾配遠心法等の沈降法;アフィニティクロマトグラフィー法;分子ふるい膜若しくは中空糸膜等を用いる分画法等を適宜選択し、又はこれらを組み合わせて実施することにより、精製されたFAD−GDH酵素標品を得ることができる。
(FAD−GDHを用いたグルコース測定方法)
グルコース濃度の測定は、比色式グルコースアッセイキットの場合は、例えば、以下のよう行うことができる。グルコースアッセイキットの反応層にはFAD−GDH、電子受容体、そして反応促進剤としてN−(2−アセトアミド)イミド2酢酸(ADA)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、炭酸ナトリウムおよびイミダゾールからなる群より選ばれる1以上の物質を含む液状もしくは固体状の組成物を保持させておく。ここで、必要に応じてpH緩衝剤、発色試薬を添加する。ここにグルコースを含む試料を加え、一定時間反応させる。この間、還元により退色する電子受容体もしくは電子受容体より電子を受け取ることによって重合し生成する色素の最大吸収波長に相当する吸光度をモニタリングする。レート法であれば、吸光度の時間あたりの変化率から、エンドポイント法であれば、試料中のグルコースがすべて酸化された時点までの吸光度変化から、予め標準濃度のグルコース溶液を用いて作成したキャリブレーションカーブを元にして、試料中のグルコース濃度を算出することができる。
この方法において使用できるメディエーター及び発色試薬としては、例えば、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)を電子受容体として添加し、600nmにおける吸光度の減少をモニタリングすることでグルコースの定量が可能である。また、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート(PMS)を、さらに発色試薬としてニトロテトラゾリウムブルー(NTB)を加え、570nm吸光度を測定することにより生成するジホルマザンの量を決定し、グルコース濃度を算出することが可能である。使用可能な電子受容体および発色試薬はこれらに限定されない。
特定の理論に拘束されるものではないが、リン酸塩やNaClを培地中で通常よりも高濃度で使用することによりグルコースデヒドロゲナーゼの産生量が増大するのは、次の理由によるものと考えられる。すなわち、グルコースデヒドロゲナーゼへの改変を繰り返し、糖鎖付加部位を例えば6箇所、7箇所、又は8箇所など変異させることにより、付加される糖鎖量を低減すると、変異体酵素同士が凝集したり、細胞壁に吸着するなどして、培養中に発現された酵素が失活しやすいと考えられる。このとき、培地中に塩を高濃度にて添加することで、凝集や吸着を緩和し、酵素が分散された状態を維持することができ、結果的に産生量が増大すると考えられる。
したがって、糖鎖が付加しないように改変した糖鎖量低減型のグルコースデヒドロゲナーゼについては、多数存在する糖鎖付加部位のうち、いずれの糖鎖付加部位が変異により改変されたとしても、グルコースデヒドロゲナーゼ全体としての糖鎖付加量が低減される限り、凝集や吸着によりその変異体の産生量は、未改変の酵素と比較して低くなり得る。そしてそのような糖鎖量低減型のグルコースデヒドロゲナーゼ全般について、本明細書に記載のグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を含む培地を使用することにより、産生量を増大させることができる、と合理的に考えられる。また、野生型のグルコースデヒドロゲナーゼのうち、糖鎖付加部位が12箇所以下である酵素を生産する際には同様の課題が起こり得る。そのような場合においても、本明細書に記載のグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を含む培地を使用することにより、産生量を増大させることができる、と合理的に考えられる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
1.Mucor属由来GDH遺伝子の宿主への導入と発現
まずMucor属由来GDH(MpGDH、配列番号1)にN66Y/N68G/C88A/A175C/S192P/S196N/I212L/N214C/A218H/I226T/D228N/E230Q/V232A/Q233R/V235A/T239A/T387C/G466D/E554D/L557V/S559Kの変異を導入した改変GDH(MpGDH−M3)をコードする遺伝子を取得した(以下、単にM3ということがある)。上記において、例えば「N66Y」は、配列番号1の66位のアスパラギンがチロシンに置換されていることを意味する。また「/」記号で並列されたアミノ酸置換はそのすべての置換を有することを意味する。MpGDH−M3のアミノ酸配列は配列番号3に示し、その遺伝子の塩基配列は配列番号4に示す。次に、In−Fusion HD Cloning Kitを使用し、キットに添付されたプロトコールに従って、プラスミドpUC19のマルチクローニングサイトにあるIn−Fusion Cloning Siteに、対象遺伝子であるMpGDH−M3遺伝子を連結して、コンストラクト用プラスミド(pUC19−MpGDH−M3)を得た。
次に、MpGDH−M3を鋳型として糖鎖付加部位を2〜8箇所改変した表1に記載のGDHをコードする遺伝子をそれぞれ取得し、上記と同様の手順でコンストラクト用プラスミドを得た。
Figure 2020022382
得られた遺伝子を用いて、下記の手順で、コウジカビ(Aspergillus sojae; アスペルギルス・ソーヤ)の形質転換を行い発現させた。Double−joint PCR(Fungal Genetics and Biology,2004年,第41巻,p973−981)を行い、5’アーム領域〜PyrG遺伝子(ウラシル栄養要求性マーカー)〜TEF1プロモーター遺伝子〜フラビン結合型GDH遺伝子〜3’アーム領域から成るカセットを構築し、下記の手順でアスペルギルス・ソーヤNBRC4239株由来pyrG破壊株(pyrG遺伝子の上流48bp、コード領域896bp、下流240bp欠損株)の形質転換に用いた。500ml容三角フラスコ中の20mMウリジンを含むポリペプトンデキストリン液体培地100mlに、アスペルギルス・ソーヤNBRC4239株由来pyrG破壊株の分生子を接種し、30℃で約18時間振とう培養した。その後、菌体を回収し、プロトプラストを調製した。得られたプロトプラスト及び20μgの対象遺伝子挿入DNAコンストラクトを用いて、プロトプラストPEG法により形質転換を行い、次いで0.5%(w/v)寒天及び1.2Mソルビトールを含むCzapek−Dox最少培地(ディフコ社;pH6)を用いて、30℃、5日間以上インキュベートし、コロニー形成能がある形質転換アスペルギルス・ソーヤを得た。
得られた形質転換アスペルギルス・ソーヤは、ウリジン要求性を相補する遺伝子であるpyrGが導入されることにより、ウリジン無添加培地に生育できるようになることで、目的の遺伝子が導入された株として選択できた。さらに、得られた菌株の中から目的の形質転換体をPCRで確認して選抜した。上記のMpGDH−M3および糖鎖付加部位を改変したGDH変異体の遺伝子により形質転換した形質転換アスペルギルス・ソーヤを用いて、下記の手順でGDH生産を行った。一般に挿入されたGDH遺伝子がマルチコピーで入るほど、GDHの生産量は高い。今回作製した形質転換体はPCRにより、いずれの変異体も同程度に遺伝子が挿入されていることを確認した。
200ml容三角フラスコ中の液体培地(2%(w/v)ハイポリペプトン、2%(w/v)パインデックス♯2、1.0%(w/v)酵母エキス、0.25%(w/v)リン酸二水素カリウム、0.25%(w/v)リン酸水素二カリウム、0.05%(w/v)硫酸マグネシウム七水和物;pH未調整)40mlに、各菌株の分生子を接種し、30℃で4日間、160rpmで振とう培養を行った。
培養後の培養物をろ過して菌体と菌体外画分に分離した。菌体は50mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.5)で懸濁し、ホモジナイザーとビーズショッカーにて菌体を破砕した。この菌体破砕液を15000rpmで10分間遠心分離し、上清を菌体内画分とした。得られた菌体外画分および菌体内画分を用いてグルコースデヒドロゲナーゼ活性を指標にして生産量を算出した。その結果、糖鎖付加部位の変異箇所が0〜3箇所であり、糖鎖付加部位13〜16箇所を有するGDH変異体では菌体外画分の生産量が100U/mlを超える菌株が半数以上得られたのに対し、糖鎖付加部位の変異箇所が6箇所であり、10箇所の糖鎖付加部位を有するGDH変異体では11株中1株であった。糖鎖付加部位の変異箇所が8箇所であり8箇所の糖鎖付加部位を有するのGDH変異体では8株すべてが菌体外生産量100U/ml未満であり、糖鎖付加部位の数が減少すると高生産量の菌株が取得しにくく、生産量が低くなる傾向があった。
Figure 2020022382
2.MpGDH−M3および糖鎖付加部位の改変型GDHの分子サイズ比較
M3、M3/S103Q/N365D、M3/N417R/N496R、M3/S103Q/N353D/N365D、M3/S27A/S103Q/N353D/N365D、M3/S27A/S103Q/N268S/N353D/N365D/N401R、M3/S27A/S103Q/N268S/N353D/N365D/N401R/N417R/N496Rのうち、生産量の良好な発現株それぞれ1株を用いて、発現したGDHの分子サイズを下記の手順で比較した。菌体外画分をAmicon Ultra−30K NMWL(ミリポア社製)で5mLまで濃縮し、透析により培地成分を20mMリン酸カリウム緩衝液に置き換えたGDH溶液を調製した。150mM NaClを含む20mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化したHiLoad 26/60 Superdex 200pg(GEヘルスケア社製)に調製したGDH溶液をアプライし、同緩衝液で溶出させた。
上記のHiLoad 26/60 Superdex 200pgはゲルろ過カラムであり、分子を大きさの違いによって分離できる。カラムにつめられた担体には小さな孔が開いており、小さな分子ほどその孔に入り込み溶出が遅くなる。したがって、溶出体積が小さいほど分子サイズは大きく、溶出体積が大きいほど分子サイズが小さいことがわかるため、GDH画分の溶出体積を比較することにより、分子サイズを比較した。ゲル濾過クロマトグラフィーの結果、M3、M3/S103Q/N365D、M3/N417R/N496Rが最も分子サイズが大きく、次いでM3/S103Q/N353D/N365D、M3/S27A/S103Q/N353D/N365D 、次いでM3/S27A/S103Q/N268S/N353D/N365D/N401R、M3/S27A/S103Q/N268S/N353D/N365D/N401R/N417R/N496Rであった。アミノ酸置換による分子量の変化はほとんどないため、分子サイズの差は糖鎖付加量に由来するものと考えられる。糖鎖付加部位の変異箇所が多いほど分子サイズは小さくなっており、糖鎖付加部位のアミノ酸を置換することにより糖鎖量が低減していることが確認できた。
3.添加物による糖鎖量低減型GDHの効率的生産
糖鎖量低減型GDHの生産量が低いという課題を解決するため、最も分子サイズが減少していたDG8発現株を用いて、培養条件の観点から検討を行った。
通常の液体培地(2%(w/v)ハイポリペプトン、2%(w/v)パインデックス♯2、1.0%(w/v)酵母エキス、0.25%(w/v)リン酸二水素カリウム、0.25%(w/v)リン酸水素二カリウム、0.05%(w/v)硫酸マグネシウム七水和物;pH未調整)を対照とした。リン酸一カリウムとリン酸二カリウムの質量比が1:1かつ合計の濃度が200〜1,200mMになるよう対照の培地に添加して、DG8発現株を30℃、160rpmで4日間培養し、菌体外画分及び菌体内画分のグルコースデヒドロゲナーゼ活性を指標にして生産量を評価した。その結果、菌体外画分と菌体内画分ともに、すべての濃度で対照の培地と比較して生産量が増大し、特に菌体外画分において、200mM〜400mMでは約6倍、600mM〜1000mMでは約8倍に増大した。なお、リン酸一カリウムとリン酸二カリウムの合計の濃度が600mMかつ質量比が10:13または10:25または16:10または39:10または87:10の各比率になるよう対照の培地に添加した場合にも、リン酸一カリウムとリン酸二カリウムの質量比が1:1と場合と同程度の生産量となり、混合比は生産量に影響しないことが分かった。
続いて、リン酸一カリウムおよびリン酸二カリウム以外の添加物による効果を検証するため、上記の対照培地に対して、塩化ナトリウム5〜1000mM、アルギニン塩酸塩100mM〜400mM、グリセリン2.5wt%〜10wt%、リン酸ナトリウム40mM〜1000mM、リン酸アンモニウム40mM〜200mM、硫酸アンモニウム40mM〜1000mM、硫酸マグネシウム200mM〜1000mMをそれぞれ添加した後、対照の培地と同じpHに調整した培地を用いて、上記と同様の手順でDG8発現株を培養し、生産量を評価した。なお、リン酸ナトリウムに関しては、リン酸一ナトリウムとリン酸二ナトリウムの質量比1:1で使用し、上記の濃度はリン酸一ナトリウムとリン酸二ナトリウムの合計のモル濃度を表す。生産量を評価した結果、いずれの添加物を用いた場合においても、対照の培地を用いた場合と比較して菌体外画分と菌体内画分ともに生産量が増加した。特に、塩化ナトリウムは5〜1000mMの添加により生産量が増加する効果があり、1000mMの添加で生産量が8倍に増加し、アルギニン塩酸塩は400mMの添加で生産量3倍、グリセリンは10wt%の添加で生産量4倍、リン酸一ナトリウムとリン酸二ナトリウムを合計1000mM添加すると3倍、リン酸アンモニウム200mM添加すると2倍、硫酸アンモニウムを1000mM添加すると1.8倍、硫酸マグネシウムを1000mM添加すると2.8倍に生産量が向上した。
本発明の製造方法によりグルコースデヒドロゲナーゼ、例えば糖鎖付加量が少ないグルコースデヒドロゲナーゼを効率的に組換え産生することができる。
本発明を例示により説明したが、本発明の精神から逸脱することなく、種々の変法を行うことができる。本明細書において言及された文献はいずれも、参照によりその全内容を本明細書に組み入れる。
配列表フリーテキスト
配列番号1 Mucor prainii GDH(MpGDH) aa
配列番号2 MpGDH遺伝子 DNA
配列番号3 MpGDH−M3 aa
配列番号4 MpGDH−M3遺伝子DNA
配列番号5 MpGDH−DG8 aa
配列番号6 MpGDH−DG8遺伝子DNA
配列番号7 M3/S103Q/N365D aa
配列番号8 M3/S103Q/N365D DNA
配列番号9 M3/N417I/N496L aa
配列番号10 M3/N417I/N496L DNA
配列番号11 M3/N417R/N496R aa
配列番号12 M3/N417R/N496R DNA
配列番号13 M3/S103Q/N353D/N365D aa
配列番号14 M3/S103Q/N353D/N365D DNA
配列番号15 M3/27A/S103Q/N353D/N365D aa
配列番号16 M3/27A/S103Q/N353D/N365D DNA
配列番号17 M3/27A/S103Q/N268S/N353D/N365D/N401R aa
配列番号18 M3/27A/S103Q/N268S/N353D/N365D/N401R DNA
配列番号19 M3/27A/S103Q/N256D/N268S/N353D/N365D aa
配列番号20 M3/27A/S103Q/N256D/N268S/N353D/N365D DNA
配列番号21 M3/27A/S103Q/N256D/N268S/N353D/N365D/N417R/N496R aa
配列番号22 M3/27A/S103Q/N256D/N268S/N353D/N365D/N417R/N496R DNA

Claims (16)

  1. リン酸塩、NaCl、グリセリン、硫酸塩、アルギニン塩からなる群より選択される、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度にて含む培地を使用する工程を含む、糸状菌を宿主として用いたグルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造方法。
  2. リン酸塩が、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸アンモニウム又はこれらの組み合わせであるか、或いは、硫酸塩が、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム又はこれらの組み合わせである、或いはアルギニン塩が、アルギニン塩酸塩である、請求項1に記載の製造方法。
  3. (i)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、リン酸塩であり、リン酸塩についてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として200mM〜1Mである、
    (ii)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、NaClであり、NaClについてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として5mM〜1Mである、
    (iii)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、硫酸マグネシウムであり、硫酸マグネシウムについてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として300mM〜1Mである、
    (iv)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、リン酸アンモニウムであり、リン酸アンモニウムについてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として200mM〜1Mである、
    (v)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、グリセリンであり、グリセリンについてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として2.5〜10重量%である、
    (vi)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、硫酸アンモニウムであり、硫酸アンモニウムについてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として300mM〜1Mである、又は
    (vii)グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物が、アルギニン塩酸塩であり、アルギニン塩酸塩についてのグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度が、培地中の終濃度として100mM〜1Mである、
    請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記グルコースデヒドロゲナーゼが、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記グルコースデヒドロゲナーゼに関し、糖鎖付加部位が12箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記グルコースデヒドロゲナーゼに関し、糖鎖付加部位が10箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記グルコースデヒドロゲナーゼに関し、糖鎖付加部位が8箇所以内であるグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記グルコースデヒドロゲナーゼが、ムコール属由来のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼである、請求項4〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記グルコースデヒドロゲナーゼが、野生型遺伝子から改変された遺伝子によりコードされるムコール属由来のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ変異体である、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体に関し、そのアミノ酸配列中の糖鎖付加部位であるアミノ酸残基が、糖鎖付加されないアミノ酸残基に置換されているグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である、請求項9に記載の製造方法。
  11. グルコースデヒドロゲナーゼの組換え製造を行う宿主がアスペルギルス属の宿主である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 宿主がアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)である、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体が、配列番号5のアミノ酸配列を有するグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である、請求項10に記載の製造方法。
  14. 前記グルコースデヒドロゲナーゼ変異体が、配列番号5のアミノ酸配列に1又は数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有するグルコースデヒドロゲナーゼ変異体である、請求項10に記載の製造方法。
  15. グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を含まない培地、又は、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物をグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度未満の濃度であって通常の濃度で含む培地を用いてグルコースデヒドロゲナーゼを産生した場合と比較して、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量が、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度にて含む培地を使用した場合に、菌体外のグルコースデヒドロゲナーゼ活性が2倍以上増大する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を含まない培地、又は、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物をグルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度未満の濃度であって通常の濃度で含む培地を用いてグルコースデヒドロゲナーゼを産生した場合と比較して、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量が、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる化合物を、グルコースデヒドロゲナーゼの産生量を向上させる濃度にて含む培地を使用した場合に、菌体外のグルコースデヒドロゲナーゼ活性が6倍以上増大する、請求項15に記載の製造方法。
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