JP2020021741A - リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極、リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明者らは、被覆層を備えた正極活物質であって、被覆層がリチウム金属複合酸化物表面に均一に形成されたものを選択するという新たな課題を発見した。
[1]リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な一次粒子が凝集してなる二次粒子からなるリチウム複合金属化合物の表面に、リチウムとアルミニウムとの金属複合酸化物を含む被覆層を備えるリチウム二次電池用正極活物質であって、リチウム以外の金属として少なくともニッケルとアルミニウムとを含有し、下記要件(1)〜(2)をすべて満たすことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
(1)前記リチウム二次電池用正極活物質の粒子表面の、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により測定されるアルミニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比(アルミニウムの検出強度/ニッケルの検出強度)をARとする。
SEM−EDX測定を加速電圧3kVで実施した場合の前記ARをAR3とする。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のARをAR10とする。
前記測定方法により得られるAR3とAR10との比[AR3/AR10]の平均値[Ave(AR3/AR10)]、及び標準偏差[σ(AR3/AR10)]を算出する。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(AR3/AR10)]/[Ave(AR3/AR10)]>を算出する。
得られた変動係数の逆数<[Ave(AR3/AR10)]/[σ(AR3/AR10)]>が6.1以上である。
(2)前記AR3の平均値が0.025以上である。
[2]リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な一次粒子が凝集してなる二次粒子からなるリチウム複合金属化合物の表面に、リチウムとジルコニウムとの金属複合酸化物を含む被覆層を備えるリチウム二次電池用正極活物質であって、リチウム以外の金属として少なくともニッケルとジルコニウムとを含有し、下記要件(1)〜(2)をすべて満たすことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
(1)前記リチウム二次電池用正極活物質の粒子表面の、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により測定されるジルコニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比(ジルコニウムの検出強度/ニッケルの検出強度)をZRとする。
SEM−EDX測定を加速電圧5kVで実施した場合の前記ZRをZR5とする。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のZRをZR10とする。
前記測定方法により得られるZR5とZR10との比[ZR5/ZR10]の平均値[Ave(ZR5/ZR10)]、及び標準偏差[σ(ZR5/ZR10)]を算出する。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(ZR5/ZR10)]/[Ave(ZR5/ZR10)]>を算出する。
得られた変動係数の逆数<[Ave(ZR5/ZR10)]/[σ(ZR5/ZR10)]>が1.0以上である。
(2)前記ZR5の平均値が0.002以上である。
[3]リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な一次粒子が凝集してなる二次粒子からなるリチウム複合金属化合物の表面に、リチウムとタングステンとの金属複合酸化物を含む被覆層を備えるリチウム二次電池用正極活物質であって、リチウム以外の金属として少なくともニッケルとタングステンとを含有し、下記要件(1)〜(2)をすべて満たすことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
(1)前記リチウム二次電池用正極活物質の粒子表面の、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により測定されるタングステンの検出強度とニッケルの検出強度の比(タングステンの検出強度/ニッケルの検出強度)をWRとする。
SEM−EDX測定を加速電圧3kVで実施した場合の前記WRをWR3とする。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のWRをWR10とする。
前記測定方法により得られるWR3とWR10との比[WR3/WR10]の平均値[Ave(WR3/WR10)]、及び標準偏差[σ(WR3/WR10)]を算出する。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(WR3/WR10)]/[Ave(WR3/WR10)]>を算出する。
得られた変動係数の逆数<[Ave(WR3/WR10)]/[σ(WR3/WR10)]>が2.5以上である。
(2)前記WR3の平均値が0.005以上である。
[4]BET比表面積が0.1m2/g以上2.0m2/g以下である[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質。
[5]炭酸リチウムの含有量が、0.3質量%以下であり、水酸化リチウムの含有量が0.3質量%以下である[1]〜[4]のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質。
[6]水分含有量が、600ppm以下である[1]〜[5]のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質。
[7]前記リチウム複合金属化合物が、下記組成式(A)で表されるα−NaFeO2型の結晶構造を有する[1]〜[6]のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質。
Li[Lix(NiaCobMncM1 d)1−x]O2・・・(A)
(ここで、−0.1≦x≦0.2、0.5≦a<1、0≦b≦0.3、0≦c≦0.3、0≦d≦0.1、a+b+c+d=1であり、M1はMg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Ga,Ti,Zr,Ge,Fe,Cu,Cr,V,W,Mo,Sc,Y,Nb,La,Ta,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,及びSnからなる群より選ばれる1種以上の元素である。)
[8]前記組成式(A)中のxが、0<x≦0.1である[7]に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
[9][1]〜[8]のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質を有するリチウム二次電池用正極。
[10][9]に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
≪第1実施形態≫
本実施形態は、リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な一次粒子が凝集してなる二次粒子からなるリチウム複合金属化合物の表面に、リチウムとアルミニウムとの金属複合酸化物を含む被覆層を備えるリチウム二次電池用正極活物質である。本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、リチウム以外の金属として少なくともニッケルとアルミニウムとを含有する。さらに、本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、下記要件(1)〜(2)をすべて満たす。
(1)前記リチウム二次電池用正極活物質の粒子表面の、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により測定されるアルミニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比(アルミニウムの検出強度/ニッケルの検出強度)をARとする。
SEM−EDX測定を加速電圧3kVで実施した場合の前記ARをAR3とする。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のARをAR10とする。
前記測定方法により得られるAR3とAR10との比[AR3/AR10]の平均値[Ave(AR3/AR10)]、及び標準偏差[σ(AR3/AR10)]を算出する。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(AR3/AR10)]/[Ave(AR3/AR10)]>を算出する。
得られた変動係数の逆数<[Ave(AR3/AR10)]/[σ(AR3/AR10)]>が6.1以上である。
(2)前記AR3の平均値が0.025以上である。
本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質が満たす各要件について説明する。
本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、正極活物質の粒子表面を走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により下記の条件で測定した場合、アルミニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比ARが特定の要件を満たす。なお、本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、リチウム複合金属化合物の表面に被覆層を備える。このため、測定の際には被覆層を備えたまま測定に供するものとする。
本実施形態において、要件(1)の測定に用いる装置の例としては、加速電圧が3kV及び10kVの条件で電子ビームを照射できる装置であれば限定されない。本実施形態においては、電界放射型走査電子顕微鏡二次電子分光測定装置(SEM−EDX;日立ハイテクノロジーズ社製、製品名S−4800、Oxford Instruments社製エネルギー分散型X線分析装置 X−MaxN)が好ましい。
まず、走査型電子顕微鏡の試料台上にカーボンテープを貼付け、その上に正極活物質粒子を配置する。試料台は、カーボン製が好ましい。
上記のように配置した正極活物質粒子に、加速電圧3kV又は10kV、作動距離15mmの条件で電子ビームを照射して、アルミニウムとニッケルについて観測される特性X線の検出強度を求める。
このときのアルミニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比(アルミニウムの検出強度/ニッケルの検出強度)をARとする。さらに、加速電圧3kVで得られた前記ARをAR3とする。加速電圧10kVで得られたARをAR10とする。
加速電圧10kVでの測定では、正極活物質粒子内部まで検出できるため、AR10は、正極活物質粒子表面近傍を含めた粒子全体のアルミニウム量を反映した値を意味する。
次に、この比[AR3/AR10]の平均値[Ave(AR3/AR10)]を算出する。平均値を求める場合、例えば、任意の20個の正極活物質を測定した平均値として求めることが好ましい。平均値を算出するにあたり、比[AR3/AR10]の標準偏差[σ(AR3/AR10)]も算出する。
次に、上記比と標準偏差とから変動係数<[σ(AR3/AR10)]/[Ave(AR3/AR10)]>を算出する。
そして、得られた変動係数の逆数<[Ave(AR3/AR10)]/[σ(AR3/AR10)]>を算出する。
<[Ave(AR3/AR10)]/[σ(AR3/AR10)]>を測定することにより、アルミニウムが均一に分散しているか否かを判断することができる。具体的には、この値が大きいほど、正極活物質粒子の表面近傍(即ち、被覆層)に存在するアルミニウム量が均一に分布していることを意味する。
正極活物質の表面に一定量のアルミニウムが均一に存在していることにより、未被覆又は薄膜の被覆層部分が少なくなると考えられる。このため、本実施形態の正極活物質は電解液との接触によるガスの発生が抑制され、電池の膨れを抑制できると推察される。
本実施形態においては、前記AR3の平均が0.025以上であり、0.027以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.035以上が特に好ましい。
前記AR3の平均が上記下限値以上であると、正極活物質の表面近傍(即ち、被覆層)にアルミニウム量が多く分布していることを意味する。
本実施形態の正極活物質はリチウムとアルミニウムとの金属複合酸化物を含む被覆層を備える。本実施形態においては、リチウム複合金属化合物の表面全体を被覆している。上記要件(1)及び(2)を満たせば、リチウム複合金属化合物の表面全体が完全に被覆されていなくてもよく、未被覆の部分があってもよい。
本実施形態は、リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な一次粒子が凝集してなる二次粒子からなるリチウム複合金属化合物の表面に、リチウムとジルコニウムとの金属複合酸化物を含む被覆層を備える。本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、リチウム以外の金属として少なくともニッケルとジルコニウムとを含有する。さらに、本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、下記要件(1)〜(2)をすべて満たす。
(1)前記リチウム二次電池用正極活物質の粒子表面の、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により測定されるジルコニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比(ジルコニウムの検出強度/ニッケルの検出強度)をZRとする。
SEM−EDX測定を加速電圧5kVで実施した場合の前記ZRをZR5とする。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のZRをZR10とする。
前記測定方法により得られるZR5とZR10との比[ZR5/ZR10]の平均値[Ave(ZR5/ZR10)]、及び標準偏差[σ(ZR5/ZR10)]を算出する。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(ZR5/ZR10)]/[Ave(ZR5/ZR10)]>を算出する。
得られた変動係数の逆数<[Ave(ZR5/ZR10)]/[σ(ZR5/ZR10)]>が1.0以上である。
(2)前記ZR5の平均値が0.002以上である。
本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質が満たす各要件について説明する。
本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、粒子表面を走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により下記の条件で測定した場合ジルコニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比ZRが特定の要件を満たす。なお、本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、リチウム複合金属化合物の表面に被覆層を備える。このため、測定の際には被覆層を備えたまま測定に供するものとする。
まず、走査型電子顕微鏡の試料台上にカーボンテープを貼付け、その上に正極活物質粒子を配置する。試料台は、カーボン製が好ましい。
上記のように配置した正極活物質粒子に、加速電圧5kV又は10kV、作動距離15mmの条件で電子ビームを照射して、ジルコニウムとニッケルについて観測される特性X線の検出強度を求める。
このときのジルコニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比(ジルコニウムの検出強度/ニッケルの検出強度)をZRとする。さらに、加速電圧5kVで得られた前記ZRをZR5とする。加速電圧10kVで得られたZRをZR10とする。
加速電圧10kVでの測定では、正極活物質粒子内部まで検出できるため、ZR10は、正極活物質粒子表面近傍を含めた粒子全体のジルコニウム量を反映した値を意味する。
次に、この比[ZR5/ZR10]の平均値[Ave(ZR5/ZR10)]を算出する。平均値を求める場合、例えば、任意の20個の正極活物質を測定した平均値として求めることが好ましい。平均値を算出するにあたり、比[ZR5/ZR10]の標準偏差[σ(ZR5/ZR10)]も算出する。
次に、上記比と標準偏差とから変動係数<[σ(ZR5/ZR10)]/[Ave(ZR5/ZR10)]>を算出する。
そして、得られた変動係数の逆数<[Ave(ZR5/ZR10)]/[σ(ZR5/ZR10)]>を算出する。
<[Ave(ZR5/ZR10)]/[σ(ZR5/ZR10)]>を測定することにより、ジルコニウムが均一に分散しているか否かを判断することができる。具体的には、この値が大きいほど、正極活物質粒子の表面近傍(即ち、被覆層)に存在するジルコニウムが均一に分布していることを意味する。
正極活物質の表面に一定量のジルコニウムが均一に存在していることにより、未被覆又は薄膜の被覆層部分が少なくなると考えられる。このため、本実施形態の正極活物質は電解液との接触によるガスの発生が抑制され、電池の膨れを抑制できると推察される。
本実施形態においては、前記ZR5の平均が0.002以上であり、0.005以上が好ましく、0.007以上がより好ましく、0.010以上が特に好ましい。
前記ZR5の平均が上記下限値以上であると、正極活物質の表面近傍(即ち、被覆層)にジルコニウム量が多く分布していることを意味する。
本実施形態の正極活物質はリチウムとジルコニウムとの金属複合酸化物を含む被覆層を備える。本実施形態においては、リチウム複合金属化合物の表面全体を被覆している。上記要件(1)及び(2)を満たせば、リチウム複合金属化合物の表面全体が完全に被覆されていなくてもよく、未被覆の部分があってもよい。
本実施形態は、リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な一次粒子が凝集してなる二次粒子からなるリチウム複合金属化合物の表面に、リチウムとタングステンとの金属複合酸化物を含む被覆層を備える。本実施形態のリチウ二次電池用正極活物質は、リチウム以外の金属として少なくともニッケルとタングステンを含有する。本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、下記要件(1)〜(2)をすべて満たす。
(1)前記リチウム二次電池用正極活物質の粒子表面の、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により測定されるタングステンの検出強度とニッケルの検出強度の比(タングステンの検出強度/ニッケルの検出強度)をWRとする。
SEM−EDX測定を加速電圧3kVで実施した場合の前記WRをWR3とする。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のWRをWR10とする。
前記測定方法により得られるWR3とWR10との比[WR3/WR10]の平均値[Ave(WR3/WR10)]、及び標準偏差[σ(WR3/WR10)]を算出する。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(WR3/WR10)]/[Ave(WR3/WR10)]>を算出する。
得られた変動係数の逆数<[Ave(WR3/WR10)]/[σ(WR3/WR10)]>が2.5以上である。
(2)前記WR3の平均値が0.005以上である。
本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質が満たす各要件について説明する。
本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、粒子表面を走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により下記の条件で測定した場合、タングステンの検出強度とニッケルの検出強度の比WRが特定の要件を満たす。なお、本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、リチウム複合金属化合物の表面に被覆層を備える。このため、測定の際には被覆層を備えたまま測定に供するものとする。
まず、走査型電子顕微鏡の試料台上にカーボンテープを貼付け、その上に正極活物質粒子を配置する。試料台は、カーボン製が好ましい。
上記のように配置した正極活物質粒子に、加速電圧3kV又は10kV、作動距離15mmの条件で電子ビームを照射して、タングステンとニッケルについて観測される特性X線の検出強度を求める。
このときのタングステンの検出強度とニッケルの検出強度の比(タングステンの検出強度/ニッケルの検出強度)をWRとする。さらに、加速電圧3kVで得られた前記WRをWR3とする。加速電圧10kVで得られたWRをWR10とする。
加速電圧10kVでの測定では、正極活物質粒子内部まで検出できるため、WR10は、正極活物質粒子表面近傍を含めた粒子全体のタングステン量を反映した値を意味する。
次に、この比[WR3/WR10]の平均値[Ave(WR3/WR10)]を算出する。平均値を求める場合、例えば、任意の20個の正極活物質を測定した平均値として求めることが好ましい。平均値を算出するにあたり、比[WR3/WR10]の標準偏差[σ(WR3/WR10)]も算出する。
次に、上記比と標準偏差とから変動係数<[σ(WR3/WR10)]/[Ave(WR3/WR10)]>を算出する。
そして、得られた変動係数の逆数<[Ave(WR3/WR10)]/[σ(WR3/WR10)]>を算出する。
<[Ave(WR3/WR10)]/[σ(WR3/WR10)]>を測定することにより、タングステンが均一に分散しているか否かを判断できる。具体的にはこの値が大きいほど、正極活物質粒子の表面近傍(即ち、被覆層)に存在するタングステンが均一に分布していることを意味する。
本実施形態においては、前記WR3の平均が0.005以上であり、0.006以上が好ましく、0.010以上がより好ましく、0.015以上が特に好ましい。
前記WR3の平均が上記下限値以上であると、正極活物質の表面近傍(即ち、被覆層)にタングステン量が多く分布していることを意味する。
本実施形態の正極活物質はリチウムとタングステンとの金属複合酸化物を含む被覆層を備える。本実施形態においては、リチウム複合金属化合物の表面全体を被覆している。上記要件(1)及び(2)を満たせば、リチウム複合金属化合物の表面全体が完全に被覆されていなくてもよく、未被覆の部分があってもよい。
前記第1〜第3実施形態において、正極活物質の比表面積はBET比表面積が0.1m2/g以上が好ましく、0.2m2/g以上がより好ましく、0.3m2/g以上が特に好ましい。
また、2.0m2/g以下が好ましく、1.9m2/g以下がより好ましく、1.8m2/g以下が特に好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態においては、0.1m2/g以上2.0m2/g以下が好ましく、0.2m2/g以上1.0m2/g以下がより好ましく、0.3m2/g以上1.8m2/g以下が特に好ましい。
前記第1〜第3実施形態において、炭酸リチウムの含有量は0.3質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下が特に好ましい。
前記第1〜第3実施形態において、水酸化リチウムの含有量は0.3質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下が特に好ましい。
前記第1〜第3実施形態において、 水分含有量が、600ppm以下であることが好ましく、590ppm以下がより好ましく、580ppm以下が特に好ましい。
水分量の測定は電量法カールフィッシャー水分計(831 Coulometer、Metrohm社製)を用いて測定できる。
前記第1〜第3実施形態において、リチウム複合金属化合物が下記組成式(A)で表されるα−NaFeO2型の結晶構造を有することが好ましい。
Li[Lix(NiaCobMncM1d)1−x]O2・・・(A)
(ここで、−0.1≦x≦0.2、0.5≦a<1、0≦b≦0.3、0≦c≦0.3、0≦d≦0.1、a+b+c+d=1であり、M1はMg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Ga,Ti,Zr,Ge,Fe,Cu,Cr,V,W,Mo,Sc,Y,Nb,La,Ta,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,及びSnからなる群より選ばれる1種以上の元素である。)
また、初回クーロン効率がより高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(A)におけるxは0.18以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましい。
xの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。該上限値と下限値の組み合わせとしては、0<x≦0.2 であることが好ましく、0.01以上0.18以下がより好ましく、0.02以上0.15以下が特に好ましい。
本明細書において、「サイクル特性が高い」とは、放電容量維持率が高いことを意味する。
aの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態において、上限値と下限値の組み合わせの例としては0.70を超え0.92以下が好ましく、0.72以上0.91以下がより好ましく、0.75以上0.9以下がさらに好ましい。
bの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態において、上限値と下限値の組み合わせの例としては0.07以上0.25以下が好ましく、0.1以上0.23以下がより好ましく、0.13以上0.20以下がさらに好ましい。
cの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態において、上限値と下限値の組み合わせの例としては0.01以上0.18以下が好ましく、0.02以上0.15以下がより好ましく、0.03以上0.10以下がさらに好ましい。
リチウム二次電池用正極活物質のハンドリング性を高める観点から、前記組成式(A)におけるdは0を超えることが好ましく、0.001以上であることがより好ましく、0.003以上であることがさらに好ましい。また、高い電流レートでの放電容量が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(A)におけるdは0.08以下であることが好ましく、0.07以下であることがより好ましく、0.06以下であることがさらに好ましい。
dの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態において、上限値と下限値の組み合わせの例としては、0を超え0.08以下が好ましく、0.001以上0.07以下がより好ましく、0.003以上0.06以下がさらに好ましい。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質は、ニッケル、コバルト、マンガンを含む複合金属化合物の製造工程と、該複合金属化合物とリチウム化合物とを用いたリチウム複合金属化合物の製造工程とを備えることが好ましい。
複合金属化合物としては、複合金属水酸化物又は複合金属酸化物が好ましい。
以下に、正極活物質の製造方法の一例を、複合金属化合物の製造工程と、リチウム複合金属酸化物の製造工程とに分けて説明する。
複合金属化合物は、通常公知のバッチ共沈殿法又は連続共沈殿法により製造することが可能である。以下、金属として、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む複合金属水酸化物を例に、その製造方法を詳述する。
反応に際しては、反応槽の温度が例えば20℃以上80℃以下、好ましくは30℃以上70℃以下の範囲内で制御する。
反応槽内の物質は適宜撹拌される。上記反応槽の温度を40℃以上に保持し、かつ前記アルカリ金属水酸化物の重量に対する前記ニッケル、コバルト、及びマンガンの金属としての重量の比が0.9以上となる条件下で各溶液を混合し、撹拌することによって、二次粒子の球形度を本発明の所望の範囲に制御することができ、後述する被覆層の形成工程におけるリチウム複合金属化合物と被覆材原料との混合を均一に行いやすくすることができる。反応槽は、形成された反応沈殿物を分離するためオーバーフローさせるタイプのものを用いることができる。
・混合工程
上記複合金属酸化物又は水酸化物を乾燥した後、リチウム塩と混合する。
リチウム塩としては、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、水酸化リチウム水和物、酸化リチウムのうち何れか一つ、または、二つ以上を混合して使用することができる。
ニッケルコバルトマンガン複合金属酸化物又は水酸化物及びリチウム塩の混合物を焼成することによって、リチウム−ニッケルコバルトマンガン複合金属酸化物が得られる。なお、焼成には、所望の組成に応じて乾燥空気、酸素雰囲気、不活性雰囲気等が用いられ、必要ならば複数の加熱工程を有する本焼成工程が実施される。
最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は、焼成装置において、昇温を開始した時間から後述の保持温度に到達するまでの時間から算出される。
昇温速度を上記特定の範囲とすることにより、二次粒子の表面反応性が高いリチウム二次電池用正極活物質を製造することができる。
焼成後に、得られた焼成物を洗浄してもよい。洗浄には、純水やアルカリ性洗浄液を用いることができる。
アルカリ性洗浄液としては、例えば、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、Li2CO3(炭酸リチウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)及び(NH4)2CO3(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物並びにその水和物の水溶液を挙げることができる。また、アルカリとして、アンモニアを使用することもできる。
リチウム二次電池用正極活物質の表面に被覆層を形成する場合、まずは被覆材原料及びリチウム複合金属化合物を混合する。次に必要に応じて熱処理することによりリチウム複合金属化合物の一次粒子又は二次粒子の表面にリチウム複合金属化合物からなる被覆層を形成できる。
被覆材原料によっては、前記複合金属酸化物又は水酸化物とリチウム塩とを混合する混合工程において、被覆材原料を添加し混合することで、本焼成工程後に、リチウム複合金属化合物の一次粒子又は二次粒子の表面にリチウム複合金属化合物からなる被覆層を形成できる。
混合後に水又は水と炭酸ガスを含有する雰囲気中において、被覆材原料及びリチウム複合金属化合物を保持させることによっても被覆層をリチウム複合金属化合物の表面により強固に付着させることができる。
例えば、被覆原料にアルミニウムを用いる場合、600℃以上800℃以下の温度範囲で、4時間以上10時間以下焼成することが好ましい。この高温長時間の焼成条件で焼成することにより、上記要件(1)及び(2)の範囲に制御できる。焼成温度が800℃よりも高い温度であると、被覆材原料がリチウム複合金属化合物と固溶し、被覆層が形成されない場合がある。焼成時間が4時間よりも短いと被覆原料の拡散が不十分で、被覆層が均一に形成されない場合がある。
次いで、リチウム二次電池の構成を説明しながら、本発明のリチウム二次電池用正極活物質を、リチウム二次電池の正極活物質として用いた正極、及びこの正極を有するリチウム二次電池について説明する。
(正極)
本実施形態の正極は、まず正極活物質、導電材及びバインダーを含む正極合剤を調整し、正極合剤を正極集電体に担持させることで製造することができる。
本実施形態の正極が有する導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量を正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率及び出力特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着力、及び正極合剤内部の結着力がいずれも低下し、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。
本実施形態の正極が有するバインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。
この熱可塑性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。
)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;を挙げることができる。
本実施形態の正極が有する正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。なかでも、加工しやすく、安価であるという点でAlを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
(負極)
本実施形態のリチウム二次電池が有する負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、及び負極活物質単独からなる電極を挙げることができる。
負極が有する負極活物質としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属又は合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。
負極が有する負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を挙げることができる。なかでも、リチウムと合金を作り難く、加工しやすいという点で、Cuを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
本実施形態のリチウム二次電池が有するセパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。
本実施形態のリチウム二次電池が有する電解液は、電解質及び有機溶媒を含有する。
後述の方法で製造されるリチウム金属複合酸化物粉末の組成分析は、得られたリチウム金属複合酸化物の粉末を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3000)を用いて行った。
水分量の測定は電量法カールフィッシャー水分計(831 Coulometer、Metrohm社製)を用いて実施した。
リチウム金属複合酸化物粉末1gを窒素雰囲気中、105℃で30分間乾燥させた後、マウンテック社製Macsorb(登録商標)を用いて測定した。
リチウム二次電池用正極活物質20gと純水100gを100mlビーカーに入れ、5分間撹拌した。撹拌後、リチウム二次電池用正極活物質を濾過し、残った濾液の60gに0.1mol/L塩酸を滴下し、pHメーターにて濾液のpHを測定した。pH=8.3±0.1時の塩酸の滴定量をAml、pH=4.5±0.1時の塩酸の滴定量をBmlとして、下記の計算式より、リチウム二次電池用正極活物質中に残存する炭酸リチウム及び水酸化リチウム濃度を算出した。下記の式中、炭酸リチウム及び水酸化リチウムの分子量は、各原子量を、H;1.000、Li;6.941、C;12、O;16、として算出した。
炭酸リチウム濃度(%)=
0.1×(B−A)/1000×73.882/(20×60/100)×100水酸化リチウム濃度(%)=
0.1×(2A−B)/1000×23.941/(20×60/100)×100
正極活物質の表面を電界放射型走査電子顕微鏡二次電子分光測定装置(SEM−EDX;日立ハイテクノロジーズ社製、製品名S−4800、Oxford Instruments社製エネルギー分散型X線分析装置 X−MaxN)で正極活物質の粒子表面を測定し、アルミニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比(アルミニウムの検出強度/ニッケルの検出強度)をARとした。
SEM−EDX測定を加速電圧3kVで実施した場合の前記ARをAR3とした。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のARをAR10とした。
前記測定方法により得られるAR3とAR10との比[AR3/AR10]の平均値[Ave(AR3/AR10)]、及び標準偏差[σ(AR3/AR10)]を算出した。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(AR3/AR10)]/[Ave(AR3/AR10)]>を算出した。
正極活物質の表面を電界放射型走査電子顕微鏡二次電子分光測定装置(SEM−EDX;日立ハイテクノロジーズ社製、製品名S−4800、Oxford Instruments社製エネルギー分散型X線分析装置 X−MaxN)で正極活物質の粒子表面を測定し、タングステンの検出強度とニッケルの検出強度の比(タングステンの検出強度/ニッケルの検出強度)をWRとした。
SEM−EDX測定を加速電圧3kVで実施した場合の前記WRをWR3とした。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のWRをWR10とした。
前記測定方法により得られるWR3とWR10との比[WR3/WR10]の平均値[Ave(WR3/WR10)]、及び標準偏差[σ(WR3/WR10)]を算出した。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(WR3/WR10)]/[Ave(WR3/WR10)]>を算出した。
正極活物質の表面を電界放射型走査電子顕微鏡二次電子分光測定装置(SEM−EDX;日立ハイテクノロジーズ社製、製品名S−4800、Oxford Instruments社製エネルギー分散型X線分析装置 X−MaxN)で正極活物質の粒子表面を測定し、ジルコニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比(ジルコニウムの検出強度/ニッケルの検出強度)をZRとした。
SEM−EDX測定を加速電圧5kVで実施した場合の前記ZRをZR5とした。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のZRをZR10とした。
前記測定方法により得られるZR5とZR10との比[ZR5/ZR10]の平均値[Ave(ZR5/ZR10)]、及び標準偏差[σ(ZR5/ZR10)]を算出した。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(ZR5/ZR10)]/[Ave(ZR5/ZR10)]>を算出した。
後述する製造方法で得られるリチウム金属複合酸化物と導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、リチウム二次電池用正極活物質:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製した。正極合剤の調製時には、N−メチル−2−ピロリドンを有機溶媒として用いた。
次に、負極活物質として人造黒鉛(日立化成株式会社製MAGD)と、バインダーとしてCMC(第一工業薬製株式会社製)とSBR(日本エイアンドエル株式会社製)とを、負極活物質:CMC:SRR=98:1:1(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の負極合剤を調製した。負極合剤の調製時には、溶媒としてイオン交換水を用いた。
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
「(2)リチウム二次電池用正極の作製」で作製したリチウム二次電池用正極を、コイン型電池R2032用のパーツ(宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上に積層フィルムセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルムの上に、耐熱多孔層を積層(厚み16μm))を置いた。ここに電解液を300μl注入した。電解液は、エチレンカーボネート(以下、ECと称することがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCと称することがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCと称することがある。)の16:10:74(体積比)混合液にビニレンカーボネート(以下、VCと称することがある。)を1体積%加え、そこにLiPF6を1.3mol/lとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。)を用いた。
次に、<リチウム二次電池用負極の作製>で作製したリチウム二次電池用負極を積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池(コイン型フルセルR2032。以下、「フルセル」と称することがある。
)を作製した。
<リチウム二次電池(コイン型フルセル)の作製>で作製したフルセルを用いて、以下に示す条件で初回充放電試験を実施した。
試験温度:25℃
充電最大電圧4.2V、充電時間6時間、充電電流0.2CA、定電流定電圧充電
放電最小電圧2.7V、放電時間5時間、放電電流0.2CA、定電流放電
上記で測定した放電容量を充電深度(以下、SOCと称することがある。)100%として、25℃において、SOC100%の電池抵抗を測定した。なお、各SOCへの調整は25℃環境下で行った。電池抵抗測定は、25℃の恒温槽内にSOCを調整したフルセルを2時間静置し、20μAで15秒間放電、5分間静置、20μAで15秒間充電、5分間静置、40μAで15秒間放電、5分間静置、20μAで30秒間充電、5分間静置、80μAで15秒間放電、5分間静置、20μAで60秒間充電、5分間静置、160μAで15秒間放電、5分間静置、20μAで120秒間充電、5分間静置の順に実施した。電池抵抗は、20、40、80、120μA放電時に測定された10秒後の電池電圧と各電流値とのプロットから、最小二乗近似法を用いて近似曲線を算出し、この近似曲線の傾きを電池抵抗とした。
<リチウム二次電池用正極の作製>で作製したリチウム二次電池用正極を、アルミ箔面を下に向けてアルミラミネートフィルムに置き、その上に積層フィルムセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルム(厚み27μm))を置いた。次に、積層フィルムセパレータの上側に<リチウム二次電池用負極の作製>で作製したリチウム二次電池用負極を銅箔面を上にして置き、その上にアルミラミネートフィルムを置いた。さらに、電解液の注入部分を残してヒートシールした。その後、露点温度マイナス50℃以下の乾燥雰囲気のドライベンチ内に移し、真空注液機を用いて、電解液を1mL注入した。電解液は、エチレンカーボネート(以下、ECと称することがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCと称することがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCと称することがある。)の16:10:74(体積比)混合液にビニレンカーボネート(以下、VCと称することがある。)を1体積%加え、そこにLiPF6を1.3mol/lとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。)を用いた。
最後に、電解液注液部分をヒートシールし、ラミネートセルを作製した。
上記のように作製したラミネートセルのX線CTスキャンを行い、試験前のラミネートセル体積を算出した。そして、以下の試験条件にて充放電を行い、再度ラミネートセル体積を測定し、試験前後の体積差を算出した。試験前後の体積差(cm3)を、ラミネートセル中に存在する正極材量(g)で除し、正極材当たりのガス膨れ体積(cm3/g)とした。
充放電回数:50回
試験温度:60℃
充電最大電圧4.2V、充電時間2.5時間、充電電流0.5CA、定電流定電圧充電
放電最小電圧2.7V、放電時間1時間、放電電流1CA、定電流放電
リチウム二次電池用正極活物質1の製造
[ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1と炭酸リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、930℃で5時間焼成することにより焼成物1を得た。
得られた焼成物1の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.032、a=0.512、b=0.223、c=0.265、d=0.000であった。
焼成物1と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co+Mn)=0.01となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて、水と炭酸ガスを含有する雰囲気中で混合し、大気雰囲気下、760℃で5時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質1を得た。
得られたリチウム二次電池用正極活物質1の粒子断面をSTEM−EDXによりアルミニウム元素マッピングを行い、アルミニウム元素を含む被覆層が粒子表面に均一に形成されていることを確認した。その結果を図2に示す。
リチウム二次電池用正極活物質2の製造
[混合工程]
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1と炭酸リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、910℃で5時間焼成することにより焼成物2を得た。
得られた焼成物2の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.024、a=0.511、b=0.224、c=0.265、d=0.000であった。
焼成物2と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co+Mn)=0.01となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて、水と炭酸ガスを含有する雰囲気中で混合し、大気雰囲気下、760℃で5時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質2を得た。
リチウム二次電池用正極活物質3の製造
[ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物3と炭酸リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、大気雰囲気下、870℃で10時間焼成することにより焼成物3を得た。
得られた焼成物3の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.030、a=0.516、b=0.222、c=0.262、d=0.000であった。
焼成物3と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co+Mn)=0.01となるように秤量し、VGミキサーを用いて乾式混合し、大気雰囲気下、760℃で5時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質3を得た。
得られたリチウム二次電池用正極活物質3の粒子断面をSTEM−EDXによりアルミニウム元素マッピングを行い、アルミニウム元素を含む被覆層が粒子表面に均一に形成されていることを確認した。その結果を図3に示す。
リチウム二次電池用正極活物質4の製造
[ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物4と炭酸リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、910℃で5時間焼成することにより焼成物4を得た。
得られた焼成物4の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.034、a=0.553、b=0.207、c=0.240、d=0.000であった。
焼成物4と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co+Mn)=0.01となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて、水と炭酸ガスを含有する雰囲気中で混合し、大気雰囲気下、760℃で5時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質4を得た。
リチウム二次電池用正極活物質5の製造
[ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を40〜45℃の範囲に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物5と水酸化リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Al)=1.06となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、720℃で6時間焼成することにより焼成物5を得た。
得られた焼成物5の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.005、a=0.883、b=0.088、c=0.000、d=0.029であった。
焼成物5と酸化アルミニウムとをAl[1]/(Ni+Co+Al[2])=0.015となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて乾式混合し、酸素雰囲気下、720℃で5時間熱処理することによりリチウム金属複合酸化物Al被覆粉5を得た。ここで、Al[1]は被覆源である酸化アルミニウム由来のアルミニウムを、Al[2]は焼成物5由来のアルミニウムを表す。
その後、得られたリチウム金属複合酸化物アルミニウム被覆粉5を水で洗浄した。洗浄工程は、リチウム金属複合酸化物アルミニウム被覆粉5を、純水に加えて得られるスラリー状の液を20分間撹拌し、脱水することにより行った。
その後、脱水工程で得られたウエットケーキを80℃で15時間、150℃で8時間真空乾燥することにより、リチウム二次電池用正極活物質5を得た。
リチウム二次電池用正極活物質6の製造
[ニッケルコバルト複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50〜55℃の範囲に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルト複合水酸化物6と水酸化リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co)=1.04となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、720℃で6時間焼成することにより焼成物6を得た。
得られた焼成物6の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.021、a=0.890、b=0.110、c=0.000、d=0.000であった。
焼成物6と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co)=0.015となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて乾式混合し、酸素雰囲気下、720℃で5時間熱処理することによりリチウム金属複合酸化物アルミニウム被覆粉6を得た。
その後、得られたリチウム金属複合酸化物アルミニウム被覆粉6を水で洗浄した。洗浄工程は、リチウム金属複合酸化物アルミニウム被覆粉6を、純水に加えて得られるスラリー状の液を20分間撹拌し、脱水することにより行った。
その後、脱水工程で得られたウエットケーキを80℃で15時間、150℃で8時間真空乾燥することにより、リチウム二次電池用正極活物質6を得た。
リチウム二次電池用正極活物質7の製造
[ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物7と炭酸リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、940℃で5時間焼成することにより焼成物7を得た。
得られた焼成物7の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.041、a=0.549、b=0.209、c=0.242、d=0.000であった。
以上のようにして得られた焼成物7を105℃に加熱し、レーディゲミキサーを使用して混合しながら、水酸化リチウム水溶液に酸化タングステンを溶解させたアルカリ溶液を1時間噴霧した。この時、モル比でW/(Ni+Co+Mn)=0.005となるようにアルカリ溶液中のタングステン濃度を調製した。この工程により、リチウム金属複合酸化物タングステン被覆粉7を得た。
リチウム金属複合酸化物タングステン被覆粉7と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co+Mn)=0.01となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて、水と炭酸ガスを含有する雰囲気中で混合し、大気雰囲気下、760℃で5時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質7を得た。
リチウム二次電池用正極活物質8の製造
[ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物8と炭酸リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、大気雰囲気下、850℃で10時間焼成することにより焼成物8を得た。
得られた焼成物8の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.035、a=0.549、b=0.209、c=0.241、d=0.000であった。
以上のようにして得られた焼成物8と酸化ジルコニウム粉末をニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子の合計に対するジルコニウム原子の原子比が0.300mol%となるように乾式混合することにより、リチウム金属複合酸化物ジルコニウム被覆粉8を得た。
リチウム金属複合酸化物ジルコニウム被覆粉8と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co+Mn)=0.01となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて、水と炭酸ガスを含有する雰囲気中で混合し、大気雰囲気下、850℃で10時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質8を得た。
リチウム二次電池用正極活物質9の製造
[ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物9と炭酸リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、870℃で10時間焼成することにより焼成物9を得た。
得られた焼成物9の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.034、a=0.514、b=0.224、c=0.262、d=0.000であった。
焼成物9と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co+Mn)=0.01となるように秤量し、FMミキサーを用いて乾式混合し、大気雰囲気下、760℃で3時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質9を得た。
得られたリチウム二次電池用正極活物質9の粒子断面をSTEM−EDXによりアルミニウム元素マッピングを行ったところ、アルミニウム元素を含む被覆層が粒子表面にダマ状に存在し、不均一に形成されていることを確認した。その結果を図4に示す。
リチウム二次電池用正極活物質10の製造
[混合工程]
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物9と炭酸リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、870℃で5時間焼成することにより焼成物10を得た。
得られた焼成物10の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.029、a=0.512、b=0.224、c=0.264、d=0.000であった。
焼成物10と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co+Mn)=0.01となるように秤量し、FMミキサーを用いて乾式混合し、大気雰囲気下、760℃で3時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質10を得た。
リチウム二次電池用正極活物質11の製造
[ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物11と炭酸リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、720℃で3時間焼成することにより焼成物11を得た。
得られた焼成物11の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.024、a=0.519、b=0.222、c=0.259、d=0.000であった。
焼成物11と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co+Mn)=0.01となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて、水と炭酸ガスを含有する雰囲気中で混合し、大気雰囲気下、850℃で5時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質11を得た。
リチウム二次電池用正極活物質12の製造
[ニッケルコバルト複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50〜55℃の範囲に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルト複合水酸化物12と水酸化リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co)=1.07となるように秤量して混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、720℃で6時間焼成することにより焼成物12を得た。
その後、得られた焼成物12を水で洗浄した。洗浄工程は、焼成物12を、純水に加えて得られるスラリー状の液を20分間撹拌し、脱水することにより行った。
その後、脱水工程で得られたウエットケーキを80℃で15時間、150℃で8時間、真空乾燥させ、リチウム金属複合酸化物洗浄乾燥粉12を得た。
得られたリチウム金属複合酸化物洗浄乾燥粉12の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=-0.005、a=0.892、b=0.108、c=0.000、d=0.000であった。
リチウム金属複合酸化物洗浄乾燥粉12と酸化アルミニウムとをAl/(Ni+Co)=0.015となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて乾式混合し、酸素雰囲気下、720℃で5時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質12を得た。
リチウム二次電池用正極活物質13の製造
[ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物製造工程]
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を60℃に保持した。
以上のようにして得られたニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物13と水酸化リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al)=1.00となるように秤量して混合し、さらに、酸化タングステン粉末をニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子とアルミニウム原子の合計に対するタングステン原子の原子比が0.5mol%となるように乾式混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、770℃で5時間焼成することにより焼成物13を得た。
得られた焼成物13の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.000、a=0.864、b=0.093、c=0.018、d=0.024であった。
タングステンは、粒子表面に存在するため、dには含めていない。
焼成物13と酸化アルミニウムとをAl[1]/(Ni+Co+Mn+Al[2])=0.02となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて、水と炭酸ガスを含有する雰囲気中で混合し、酸素雰囲気下、770℃で5時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質13を得た。
ここで、Al[1]は被覆源である酸化アルミニウム由来のアルミニウムを、Al[2]は焼成物13由来のアルミニウムを表す。
リチウム二次電池用正極活物質14の製造
[混合工程]
ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物13と水酸化リチウム粉末とを、モル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al)=1.02となるように秤量して混合し、さらに、酸化タングステン粉末をニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子とアルミニウム原子の合計に対するタングステン原子の原子比が0.125mol%となるように乾式混合した。
その後、上記混合工程で得られた混合物を、酸素雰囲気下、770℃で5時間焼成することにより焼成物14を得た。
得られた焼成物14の組成分析を行い、組成式(A)に対応させたところ、x=0.005、a=0.864、b=0.093、c=0.018、d=0.025であった。
タングステンは、粒子表面に存在するため、dには含めていない。
焼成物14と酸化アルミニウムとをAl[1]/(Ni+Co+Mn+Al[2])=0.02となるように秤量し、レーディゲミキサーを用いて、水と炭酸ガスを含有する雰囲気中で混合し、酸素雰囲気下、770℃で5時間熱処理することによりリチウム二次電池用正極活物質14を得た。
ここで、Al[1]は被覆源である酸化アルミニウム由来のアルミニウムを、Al[2]は焼成物14由来のアルミニウムを表す。
リチウム二次電池用正極活物質15の製造
リチウム金属複合酸化物ジルコニウム被覆粉8を大気雰囲気下、850℃で10時間熱処理することにより、リチウム二次電池用正極活物質15を得た。
Claims (10)
- リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な一次粒子が凝集してなる二次粒子からなるリチウム複合金属化合物の表面に、リチウムとアルミニウムとの金属複合酸化物を含む被覆層を備えるリチウム二次電池用正極活物質であって、リチウム以外の金属として少なくともニッケルとアルミニウムとを含有し、
下記要件(1)〜(2)をすべて満たすことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
(1)前記リチウム二次電池用正極活物質の粒子表面の、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により測定されるアルミニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比(アルミニウムの検出強度/ニッケルの検出強度)をARとする。
SEM−EDX測定を加速電圧3kVで実施した場合の前記ARをAR3とする。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のARをAR10とする。
前記測定方法により得られるAR3とAR10との比[AR3/AR10]の平均値[Ave(AR3/AR10)]、及び標準偏差[σ(AR3/AR10)]を算出する。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(AR3/AR10)]/[Ave(AR3/AR10)]>を算出する。
得られた変動係数の逆数<[Ave(AR3/AR10)]/[σ(AR3/AR10)]>が6.1以上である。
(2)前記AR3の平均値が0.025以上である。 - リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な一次粒子が凝集してなる二次粒子からなるリチウム複合金属化合物の表面に、リチウムとジルコニウムとの金属複合酸化物を含む被覆層を備えるリチウム二次電池用正極活物質であって、リチウム以外の金属として少なくともニッケルとジルコニウムとを含有し、
下記要件(1)〜(2)をすべて満たすことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
(1)前記リチウム二次電池用正極活物質の粒子表面の、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により測定されるジルコニウムの検出強度とニッケルの検出強度の比(ジルコニウムの検出強度/ニッケルの検出強度)をZRとする。
SEM−EDX測定を加速電圧5kVで実施した場合の前記ZRをZR5とする。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のZRをZR10とする。
前記測定方法により得られるZR5とZR10との比[ZR5/ZR10]の平均値[Ave(ZR5/ZR10)]、及び標準偏差[σ(ZR5/ZR10)]を算出する。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(ZR5/ZR10)]/[Ave(ZR5/ZR10)]>を算出する。
得られた変動係数の逆数<[Ave(ZR5/ZR10)]/[σ(ZR5/ZR10)]>が1.0以上である。
(2)前記ZR5の平均値が0.002以上である。 - リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な一次粒子が凝集してなる二次粒子からなるリチウム複合金属化合物の表面に、リチウムとタングステンとの金属複合酸化物を含む被覆層を備えるリチウム二次電池用正極活物質であって、リチウム以外の金属として少なくともニッケルとタングステンとを含有し、
下記要件(1)〜(2)をすべて満たすことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
(1)前記リチウム二次電池用正極活物質の粒子表面の、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により測定されるタングステンの検出強度とニッケルの検出強度の比(タングステンの検出強度/ニッケルの検出強度)をWRとする。
SEM−EDX測定を加速電圧3kVで実施した場合の前記WRをWR3とする。
SEM−EDX測定を加速電圧10kVで実施した場合のWRをWR10とする。
前記測定方法により得られるWR3とWR10との比[WR3/WR10]の平均値[Ave(WR3/WR10)]、及び標準偏差[σ(WR3/WR10)]を算出する。
前記比と標準偏差とから変動係数<[σ(WR3/WR10)]/[Ave(WR3/WR10)]>を算出する。
得られた変動係数の逆数<[Ave(WR3/WR10)]/[σ(WR3/WR10)]>が2.5以上である。
(2)前記WR3の平均値が0.005以上である。 - BET比表面積が0.1m2/g以上2.0m2/g以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
- 炭酸リチウムの含有量が、0.3質量%以下であり、水酸化リチウムの含有量が0.3質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
- 水分含有量が、600ppm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
- 前記リチウム複合金属化合物が、下記組成式(A)で表されるα−NaFeO2型の結晶構造を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
Li[Lix(NiaCobMncM1 d)1−x]O2・・・(A)(ここで、−0.1≦x≦0.2、0.5≦a<1、0≦b≦0.3、0≦c≦0.3、0≦d≦0.1、a+b+c+d=1であり、M1はMg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Ga,Ti,Zr,Ge,Fe,Cu,Cr,V,W,Mo,Sc,Y,Nb,La,Ta,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,及びSnからなる群より選ばれる1種以上の元素である。) - 前記組成式(A)中のxが、0<x≦0.1である請求項7に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質を有するリチウム二次電池用正極。
- 請求項9に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
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