以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また第1の実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。本発明は、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
[第1の実施形態]
(画像形成装置の構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成について、図1の断面図を用いて説明する。また、本発明の第1の実施形態に係る現像装置の構成について、図2の断面図を用いて説明する。
画像形成装置100は、モノクロ用の画像形成装置(所謂、モノクロ機)である。感光体ドラム1は、回転可能な像担持体として、例えば表層がOPC(有機光半導体)からなる円筒型の電子写真感光体であり、図1の矢印a方向へ回転駆動される。帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面を一様に且つ均一に帯電する帯電装置である。所定の帯電バイアスが印加された帯電ローラ2は、感光体ドラム1と接触し且つ従動回転して、感光体ドラム1の表面を所定の帯電電位(暗電位:VD)に帯電する。帯電された感光体ドラム1は、制御部としてのコントローラ11から出力される駆動信号に応じて、露光装置3による露光光(レーザー光等)による露光が行われて、ホストコンピュータ10から入力された原稿に対応した静電潜像(明電位:VL)が形成される。
コントローラ11は、駆動信号や、露光時の目標光量を調整するために半導体レーザーを駆動するための光量調整信号を、露光装置3に出力する。光量調整信号により一定量の電流が露光装置3に供給され、露光強度が一定に制御される。この目標光量を基準として、例えばパルス幅変調により、発光時間を調整することで、ドット毎に光量を調整することができる。
現像装置4は、感光体ドラム1と現像ローラ4aとが所定のギャップを介して非接触に配置された、一成分現像用の現像装置である。現像装置4は、磁性一成分トナー(以降、トナーTと呼ぶ)から構成された現像剤を収容する。即ち、第1の実施形態に係る現像剤は、磁性トナーを含む一成分現像剤である。
現像装置4は、感光体ドラム1の表面に形成された静電像を現像する位置に向けて現像剤を担持搬送する現像回転体としての現像ローラ4aを備える。現像ローラ4aは、図2の矢印b方向へ回転駆動される。そして、現像ローラ4a上に供給されたトナーTを、現像ブレード4bにより、現像ローラ4a上にトナーTが所定の層厚となるように規制して、かつトナーTに電荷を付与する。
少なくとも現像ローラ4aには、バイアス印加部としての電圧制御部15により、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスが印加されている。これにより、正規の帯電極性を持つトナーTを現像ローラ4aから感光体ドラム1へ移動させるための電界が現像ローラ4aと感光体ドラム1との間に形成される。
現像ローラ4a上の帯電したトナーTは、現像ローラ4aと感光体ドラム1の現像領域Dに搬送される。現像領域Dとは、感光体ドラム1と現像ローラ4aとが最接近する領域のことであり、感光体ドラム1の表面に形成された静電像を現像する位置を含む。そして、現像ローラ4a上の帯電したトナーTが、現像ローラ4aと感光体ドラム1との間に形成された電界によって現像ローラ4aから感光体ドラム1の潜像部に移動して、感光体ドラム1上の静電潜像の現像が行われる。これにより、感光体ドラム1上の静電潜像に対応したトナー画像が、感光体ドラム1の表面に形成される。
トナー画像を形成するための記録材Sは、給送カセット8に収納される。給送カセット8に収納された記録材Sは、給送カセット8から一枚ずつ給送され、レジストローラ対9によって、感光体ドラム1上のトナー画像に合わせた所定の制御タイミングで、感光体ドラム1と転写ローラ5との接触部(転写ニップ部K)に供給される。転写ニップ部Kでは、トナーTの正規の帯電極性とは逆極性の転写バイアスが転写ローラ5に印加される。
感光体ドラム1上のトナー画像は、転写ニップ部Kにおいて、転写ローラ5に印加された転写バイアスによって、感光体ドラム1上から記録材S上に転写される。第1の実施形態では、マイナス(−)極性のトナーTを使用するため、転写バイアスはプラス(+)極性である。即ち、第1の実施形態では、トナーTの正規の帯電極性はマイナス(−)極性であり、トナーTの正規の帯電極性とは逆極性はプラス(+)極性であるものとして、以降説明を進める。
記録材Sへのトナー画像の転写後、感光体ドラム1上の転写残トナーは、ブレード又はブラシ等が配置されたクリーニング装置6により回収される。そして、転写残トナーが除去された感光体ドラム1は、再び帯電ローラ2により一様に且つ均一に帯電されて、繰り返し作像に供される。
トナー画像を担持した記録材Sは、定着装置7まで搬送されて、回転する定着ローラ7aと加圧ローラ7bとの圧接部である定着ニップ部Nに到達する。記録材S上のトナー画像は、定着ニップ部Nにおいて、加熱・加圧されることによって定着される。そして、トナー画像が定着された記録材Sは、画像形成装置100の機外に排出される。以上説明した一連の動作によって、プリント画像が完成する。
(現像方式)
続いて、第1の実施形態に係る現像装置4の現像方式について説明する。
現像装置4の現像方式は、非接触現像(ジャンピング現像)である。ジャンピング現像は、例えば、磁性一成分トナーを用いて、現像ローラ4aの内部に固定して配置されたマグネットローラによって、現像ローラ4a上にトナーTが保持される。そして、感光体ドラム1と現像ローラ4aとが非接触の状態に維持され、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラ4aに印加する。この交流電圧により、感光体ドラム1と現像ローラ4aとの最接近部である現像領域Dにおいて、現像ローラ4a上のトナーTが、感光体ドラム1と現像ローラ4aとの間を、ジャンプして往復する。これにより、感光体ドラム1上の静電潜像に、トナーTが付着することで現像される。現像領域Dにおける感光体ドラム1と現像ローラ4aとは非接触であるため、その間には所定のギャップを有している。このギャップが小さ過ぎると、現像ローラ4aから感光体ドラム1への現像バイアスのリークが発生し易くなり、感光体ドラム1上の静電潜像をトナーTで現像することが難しくなる。一方、ギャップが大き過ぎると、トナーTが感光体ドラム1に飛翔し難くなり、画像の濃度が薄くなってしまう。従って、現像ローラ4aの両端部に配置される突き当てコロによって、このギャップが適切な大きさに、例えば約300[μm]程度に維持されるように設計する。
ジャンピング現像は、例えば、トナーT(磁性一成分トナー)と、現像ローラ4aと、現像ローラ4aの内部に非回転に固定して配置されたマグネットローラと、現像ローラ4aに対して非接触に配置された現像ブレード4bとを具備した構成が提案されている。例えば、現像ローラ4aは、表層を適度に荒らしたアルミ製中空の現像ローラであり、現像ブレード4bは、金属製の現像ブレードである。
一般的に、現像装置4において、現像ローラ4aの周速は、感光体ドラム1の周速よりも速く設定している。これにより、現像領域Dに搬送されるトナー量を増加させて最大画像濃度を増加させる構成、又は、感光体ドラム1上の静電潜像に供給するトナー不足が発生しないような構成としている。第1の実施形態では、感光体ドラム1の周速を100%とした場合に、例えば、現像ローラ4aの周速を120%としている。
続いて、トナーTとして、正規の帯電極性がマイナス(−)極性である磁性一成分トナーを用いた場合における、感光体ドラム電位と現像バイアスとの関係について、図3の概略図を用いて説明する。
プロセススピードは、感光体ドラム1が回転駆動される速度に相当する。図3の例では、プロセススピード=380[mm/sec]としている。図3に示す様に、暗電位:VD=−500[V]、明電位:VL=−50[V]、現像ローラ4aに印加する直流(DC)電圧:VDC=−300[V]、現像ローラ4aに印加する交流(AC)電圧:Vpp=1800[V]、周波数=2.5[KHz]である。
前述したように、画像形成装置100では、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスが現像ローラ4aに印加される。これにより、正規の帯電極性を持つトナーTを現像ローラ4aから感光体ドラム1へ移動させるための電界が現像ローラ4aと感光体ドラム1との間に形成される。このとき、現像ローラ4aに担持搬送された現像剤のうちの正規の帯電極性を持つトナーTは、現像ローラ4aと感光体ドラム1との間に形成された電界によって現像ローラ4aから感光体ドラム1の潜像部に移動する。現像ローラ4aに担持搬送された現像剤のうちの正規の帯電極性を持つトナーは、所謂、正規帯電トナーと呼ばれる。第1の実施形態では、正規帯電トナーの極性は、マイナス(−)極性である。
一方、このとき、現像ローラ4aに担持搬送された現像剤のうちの正規の帯電極性とは逆極性を持つトナーが、現像ローラ4aと感光体ドラム1との間に形成された電界によって現像ローラ4aから感光体ドラム1の非潜像部(所謂、白地部)に移動する事がある。現像ローラ4aに担持搬送された現像剤のうちの正規の帯電極性とは逆極性を持つトナーは、所謂、反転トナーと呼ばれる。第1の実施形態では、反転トナーの極性は、プラス(+)極性である。
このように感光体ドラム1の非潜像部に移動したトナーのことを、一般的に、かぶりトナーと呼ぶ。感光体ドラム1上のかぶりトナーは、感光体ドラム1上のトナー画像が記録材Sに転写される転写部(転写ニップ部K)で記録材Sに付着する。そして、記録材Sに付着したかぶりトナーは、定着ニップ部Nで加熱・加圧されることにより記録材S上に定着されてしまう。
一般的に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラ4aに印加する構成では、現像バイアスの交流電圧の振幅が大きくなるほど、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量が多くなる傾向にある。そこで、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラ4aに印加する構成において、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量を低減させるためには、現像バイアスの交流電圧の振幅を小さくすることが考えられる。即ち、現像ローラ4aに印加する交流(AC)電圧:Vppが小さくなるほど、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量が少なくなる傾向にある。
一方で、トナー画像を形成する記録材Sの坪量が大きいほど、感光体ドラム1上のトナー画像が記録材Sに転写される転写部(転写ニップ部K)にて記録材Sが感光体ドラム1に押し当てられる力の大きさが大きくなる傾向にある。このため、トナー画像を形成する記録材Sの坪量が大きいほど、感光体ドラム1上のかぶりトナーが転写ニップ部Kで記録材Sに付着しやすくなる。故に、坪量が大きい記録材Sにトナー画像を形成する時は、坪量が小さい記録材Sにトナー画像を形成する時と同じプロセススピードであっても、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量が少なくなるように、現像バイアスの交流電圧の条件を設定する必要がある。
そこで、第1の実施形態では、所定のプロセススピードで画像形成を実行時に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスの交流電圧の振幅を記録材の坪量に応じて設定する事により、かぶりトナーの量を低減させるものである。具体的には、感光体ドラム1を所定の速度で回転させて第1の記録材Sにトナー画像を形成する画像形成(以降、第1の画像形成動作と呼ぶ)を実行するときについて考える。また、感光体ドラム1を第1の画像形成動作と同じ所定の速度で回転させて第1の記録材Sよりも坪量が大きい第2の記録材Sにトナー画像を形成する画像形成(以降、第2の画像形成動作と呼ぶ)を実行するときについて考える。制御部は、第1の画像形成動作を実行するときの、現像ローラ4aに印加される現像バイアスの交流電圧の振幅よりも、第2の画像形成動作を実行するときの、交流電圧の振幅の方が小さくなるように、電圧制御部15を制御するモードを実行可能にするものである。以下にその詳細を説明する。
(カブリ対策)
続いて、記録材Sの坪量とカブリ量(カブリ対策前)との関係について図4のグラフを用いて説明する。
図4のグラフの縦軸は、カブリ対策前の片面プリント時における、A4サイズ紙又はLTRサイズ紙のカブリ量を表している。記録材Sに付着するかぶりトナーの量(以降、カブリ量と呼ぶ)は、プリントする前の記録材Sの反射濃度と、全面白ベタ画像をプリント後の記録材Sの反射濃度との差分Δによって測定される。この反射濃度は、光の反射率であるため、プリント前の反射濃度は高く、全面白ベタ画像をプリント後の反射濃度は低くなる。なぜなら、全面白ベタ画像をプリント後は、記録材S上に付着したかぶりトナーが定着されているために、光の一部が吸収されるためである。
図4に示すように、トナー画像を形成する記録材Sの坪量が大きくなるほど、カブリ量が多くなる傾向にある。これは、坪量が大きい記録材S(例えば厚紙)でカブリ量が多いのは、記録材Sの坪量が大きいほど記録材Sの剛度が高い傾向にあり、剛度が高い記録材Sであるほど、転写ニップ部Kにて感光体ドラム1に押し当てられる力が大きくなる傾向にあるからである。このため、トナー画像を形成する記録材Sの坪量が大きいほど、感光体ドラム1上のかぶりトナーが転写ニップ部Kで記録材Sに付着しやすくなる。
カブリ量は、A4サイズ紙の5ポイントの平均値であり、第1の実施形態では、カブリ量が2.5よりも多いと、カブリ量として許容される範囲(カブリ量2.5以下)を超えるためにNGとしている。従って、トナー画像を形成する記録材Sの坪量が90[g/m2]であるときは、カブリ量2.5であり、坪量が91[g/m2]以上である記録材Sにおいては、カブリ量が2.5を上回り、カブリ量の許容範囲を超えるためにNGである。
第1の実施形態では、画像形成装置100がA4サイズ紙にトナー画像を形成する場合に、記録材Sの坪量が120[g/m2]以下であるときは、プロセススピードが全速(プロセススピード=380[mm/sec]、60ppm(A4縦通紙))である。一方、画像形成装置100がA4サイズ紙にトナー画像を形成する場合に、記録材Sの坪量が121[g/m2]以上であるときは、プロセススピードが半速(プロセススピード=190[mm/sec]、30ppm(A4縦通紙))である。このように、プロセススピードを半速にすることで、定着性(記録材Sとトナーとの付着力)を確保することができる。
また、A4サイズ紙及びLTRサイズ紙よりも小さい紙(小サイズ紙)として、例えば、B5サイズ紙やA5サイズ紙の縦通紙は、トナー画像を形成する記録材Sのすべての坪量で、プロセススピードが半速(プロセススピード=190[mm/sec])である。これにより、定着装置7の非通紙部昇温を抑制する。尚、B5サイズは182×257[mm]であり、A5サイズは148×210[mm]である。第1の実施形態では、画像形成装置100において通紙可能な記録材Sの坪量の範囲を、60〜200[g/m2]としている。
表1に、カブリ対策前(比較例)における記録材Sの坪量に対する現像バイアスの交流電圧のVppの設定と、カブリ対策後(第1の実施形態)における記録材Sの坪量に対する現像バイアスの交流電圧のVppの設定との関係を示す。尚、表1に示す、カブリ対策後(第1の実施形態)における記録材Sの坪量に対する現像バイアスの交流電圧のVppの設定は、画像形成装置100の記憶部に記憶されている。
第1の実施形態に係るカブリ対策として、記録材Sの坪量が大きくなることに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを小さくする(即ち、現像バイアスの交流電圧の振幅を小さくする)ことにより、カブリ量を低減させる。尚、第1の実施形態では、現像バイアスの交流電圧の周波数を、2.5[KHz]で一定にしている。前述したように、現像バイアスの交流電圧のVppを小さくすると、トナーTが感光体ドラム1に飛翔する電位差が小さくなるので、現像性が低下して、カブリ量が小さくなる傾向にある。
表1に示したように、カブリ対策前(比較例)は、記録材Sの坪量に関わらず、プロセススピードが全速のときは、Vpp=1800[V]に設定し、プロセススピードが半速のときは、Vpp=1750[V]に設定している。半速でVppを若干小さくしているのは、全速と半速の画像特性(濃度やライン幅等)を同等とするためである。
例えば、薄紙(60〜74[g/m2])の場合は、A4サイズ及びLTRサイズは、全速でVpp=1800[V]が印加される。そして、A4サイズ及びLTRサイズより小さい記録材S、例えば、B5サイズ紙やA5サイズ紙の縦通紙は、定着装置7の非通紙部昇温を抑制するために、プロセススピードが半速で、Vpp=1750[V]である交流電圧が印加される。尚、B5サイズは182×257[mm]であり、A5サイズは148×210[mm]である。
また、例えば、厚紙3(164〜200[g/m2])の場合は、A4サイズ及びLTRサイズは、定着性を確保するために、プロセススピードが半速で、Vpp=1750[V]が印加される。そして、A4サイズ及びLTRサイズより小さい記録材S、例えば、B5サイズ紙やA5サイズ紙の縦通紙も、定着装置7の非通紙部昇温を抑制するために、プロセススピードが半速で、Vpp=1750[V]が印加される。尚、B5サイズは182×257[mm]であり、A5サイズは148×210[mm]である。
表1に示す第1の実施形態に係るカブリ対策では、坪量が大きい記録材Sの画像形成と坪量が小さい記録材Sの画像形成とで同じプロセススピードであっても、記録材Sの坪量が大きくなるに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを段階的に小さくしている。一方、第1の実施形態に係るカブリ対策では、坪量が大きい記録材Sの画像形成と坪量が小さい記録材Sの画像形成で同じプロセススピードであっても、現像ローラ4aに印加する現像バイアスの直流(DC)電圧の電位(VDCの値)を同じに設定している。
例えば、薄紙(60〜74[g/m2])と、普通紙1(60〜74[g/m2])のそれぞれの場合における、現像バイアスの交流電圧のVppに関しては、カブリ対策前と第1の実施形態に係るカブリ対策後とで同じ値に設定している。一方、普通紙2(91〜105[g/m2])以上の坪量の記録材Sの場合における、現像バイアスの交流電圧のVppに関しては、カブリ対策前よりも第1の実施形態に係るカブリ対策後の方が小さい値となるように設定している。
A4サイズ紙の場合は、プロセススピードが全速で、薄紙はVpp=1800[V]、普通紙1はVpp=1800[V]、普通紙2はVpp=1700[V]、厚紙1はVpp=1600[V]である。尚、薄紙は60〜74[g/m2]、普通紙1は60〜74[g/m2]、普通紙2は91〜105[g/m2]、厚紙1は106〜120[g/m2]である。坪量=121[g/m2]以上の記録材Sに関しては、定着性を確保するため、プロセススピードとして全速の設定が無く、全てのサイズでプロセススピードが半速となっている。従って、厚紙2(121〜163[g/m2])はVpp=1500[V]、厚紙3(164〜200[g/m2])はVpp=1450[V]である。
ここで、記録材Sの坪量とカブリ量(第1の実施形態に係るカブリ対策後:表1参照)との関係について図5のグラフを用いて説明する。図5のグラフの縦軸は、第1の実施形態に係るカブリ対策後の片面プリント時における、A4サイズ紙又はLTRサイズ紙のカブリ量を表している。比較例であるカブリ対策前のカブリ量(図4)と比較して、第1の実施形態に係るカブリ対策後のカブリ量(図5)は、カブリ量の許容範囲であるカブリ量=2.5以下を、トナー画像を形成する記録材Sのすべての坪量で満たす。
続いて、第1の実施形態に係るカブリ対策のための制御例を説明するためのフローチャートについて図6を用いて説明する。
まず、ユーザは、給送カセット8に記録材Sをセットする(S1)。続いて、コントローラ11は、給送カセット8にセットされた記録材Sの坪量に関する情報を問い合わせる。コントローラ11は、給送カセット8にセットされた記録材Sの坪量に関する情報を、メディアライブラリから取得してもよく、もしくは、画像形成装置100の操作部(UI)を介してユーザによって入力された情報から取得してもよい。そして、コントローラ11は、給送カセット8にセットされた記録材Sの坪量に関する情報として、例えば、用紙設定=厚紙3(164〜200[g/m2])を設定する(S2)。トナー画像を形成する記録材Sとして厚紙3を選択する場合、ユーザは、厚紙3がセットされた給送カセット8を選択する。そして、画像形成装置100は、トナー画像を厚紙3に形成する画像形成動作(プリント)を開始する(S3)。このとき、コントローラ11は、画像形成装置100の記憶部に記憶された「カブリ対策後(第1の実施形態)における記録材Sの坪量に対する現像バイアスの交流電圧のVppの設定(表1)」を参照する。そして、コントローラ11は、厚紙3の画像形成条件として、現像バイアスの交流電圧のVpp=1450[V]を設定する(S4)。続いて、画像形成装置100は、S4で設定された厚紙3の画像形成条件に基づいて、画像形成を開始する(S5)。そして、給送カセット8から給送された厚紙3上に画像がプリントされて、画像形成が終了する(S6)。画像が形成された厚紙3は、画像形成装置100の機外に排出されて、一連のプリントが終了する(S7)。
以上説明したように第1の実施形態では、所定のプロセススピードで画像形成を実行時に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスの交流電圧の振幅を記録材の坪量に応じて設定する事により、かぶりトナーの量を低減させた。具体的には、坪量が大きい記録材Sにトナー画像を形成するときは、坪量が小さい記録材Sにトナー画像を形成するときと同じプロセススピードであっても、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量が少なくなるように、現像バイアスの交流電圧の振幅を設定した。表1に示した第1の実施形態に係るカブリ対策では、坪量が大きい記録材Sの画像形成と坪量が小さい記録材Sの画像形成とで同じプロセススピードであっても、記録材Sの坪量が大きくなるに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを段階的に小さくした。これにより、厚紙のように坪量が大きい記録材Sにトナー画像を形成する場合にあっても、カブリ量が多くならずに、カブリを低減した画像を得ることができる。
[第2の実施形態]
前述した第1の実施形態では、所定のプロセススピードで画像形成を実行時に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスの交流電圧の振幅を記録材の坪量に応じて設定する事により、かぶりトナーの量を低減させる例について説明した。
一方、第1の実施形態で前述したように、トナー画像を形成する記録材Sの剛度が高いほど、感光体ドラム1上のトナー画像が記録材Sに転写される転写部(転写ニップ部K)にて記録材Sが感光体ドラム1に押し当てられる力の大きさが大きくなる傾向にある。このため、トナー画像を形成する記録材Sの剛度が高いほど、感光体ドラム1上のかぶりトナーが転写ニップ部Kで記録材Sに付着しやすくなる。故に、剛度が高い記録材Sにトナー画像を形成するときは、剛度が低い記録材Sにトナー画像を形成するときと同じプロセススピードであっても、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量が少なくなるように、現像バイアスの交流電圧の条件を設定する必要がある。
そこで、第2の実施形態では、所定のプロセススピードで画像形成を実行時に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスの交流電圧の振幅を記録材の剛度に応じて設定する事により、かぶりトナーの量を低減させる例について以降説明する。
図7は、記録材Sの坪量と剛度との関係の一例を示している。第2の実施形態に係る剛度は、ガーレー式剛度[mN](MD方向)である。以降、剛度について述べる際は、ガーレー式剛度であるものとして説明を進める。記録材Sの剛度は、記録材Sの厚さの2〜3乗に比例し、記録材Sの厚さが一定であれば、密度に比例する。記録材Sの縦方向(MD)は、記録材Sの横方向(CD)に比べて、剛度が大きい。
図8は、カブリ対策前の片面プリント時のA4サイズ紙又はLTRサイズ紙のカブリ量と記録材Sの剛度との関係を示す。図8から、記録材Sの剛度が大きくなると、カブリ量が大きくなる。これは、前述したように、剛度が高い記録材Sであるほど、転写ニップ部Kにて感光体ドラム1に押し当てられる力の大きさが大きくなる傾向にある。このため、トナー画像を形成する記録材Sの坪量が大きいほど、感光体ドラム1上のかぶりトナーが転写ニップ部Kで記録材Sに付着しやすくなるからである。
第2の実施形態では、カブリ量2.5以上は許容範囲を超えるため、NGである。よって、剛度=約2.0[mN]の時、カブリ量=2.5のため、剛度=約2.0以上の記録材Sにおいては、カブリ量が許容範囲を超えてNGである。
また、画像形成装置100は、A4サイズ紙の場合、剛度=約4.30[mN]以下は、プロセススピードが全速(プロセススピード=380[mm/sec]、60ppm(A4縦通紙))である。そして、剛度=約4.31[mN]以上は、定着性を確保するため、プロセススピードが半速(プロセススピード=190[mm/sec]、30ppm(A4縦通紙))である。
また、A4サイズ紙及びLTRサイズ紙よりも小さい紙(所謂、小サイズ紙)、例えば、B5サイズ紙やA5サイズ紙の縦通紙は、定着装置7の非通紙部昇温を抑制する為に、記録材Sの全ての坪量で、半速のプロセススピード=190[mm/sec]である。尚、B5サイズは182×257[mm]であり、A5サイズは148×210[mm]である。第2の実施形態では、画像形成装置100の通紙可能な剛度範囲を、約1.0〜25.0[g/m2]としている。
表2に、カブリ対策前(比較例)における記録材Sの剛度に対する現像バイアスの交流電圧のVppの設定と、カブリ対策後(第2の実施形態)における記録材Sの剛度に対する現像バイアスの交流電圧のVppの設定との関係を示す。尚、表2は、第1の実施形態で前述した表1の坪量を、剛度に置き換えたものに相当する。尚、表2に示す、カブリ対策後(第2の実施形態)における記録材Sの剛度に対する現像バイアスの交流電圧のVppの設定は、画像形成装置100の記憶部に記憶されている。
第2の実施形態に係るカブリ対策として、記録材Sの剛度が高くなることに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを小さくする(即ち、現像バイアスの交流電圧の振幅を小さくする)ことにより、カブリ量を低減させる。一方、第2の実施形態に係るカブリ対策では、剛度が高い記録材Sの画像形成と剛度が低い記録材Sの画像形成で同じプロセススピードであっても、現像ローラ4aに印加する現像バイアスの直流(DC)電圧の電位(VDCの値)を同じに設定している。尚、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、現像バイアスの交流電圧の周波数を、2.5[KHz]で一定にしている。前述したように、現像バイアスの交流電圧のVppを小さくすると、トナーTが感光体ドラム1に飛翔する電位差が小さくなるので、現像性が低下して、カブリ量が小さくなる傾向にある。
図9は、表2のカブリ対策後の片面プリント時のA4サイズ紙又はLTRサイズ紙のカブリ量と記録材Sの剛度との関係を示す。図8のカブリ対策前のカブリ量と比較して、図9のカブリ対策後のカブリ量は、許容範囲であるカブリ量=2.5以下を全剛度で達成することができた。前述したように第2の実施形態では、記録材Sの剛度が大きくなることに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを小さくしている。これにより、剛度の大きい厚紙でもカブリ量が大きくならずに、カブリを低減した画像を得ることができる。
記録材Sの坪量が同じでも、厚みや密度が異なる記録材Sは数多く存在する。即ち、記録材Sの坪量が同じでも、剛度の異なる記録材Sは数多く存在する。そして、カブリ量は、感光体ドラム1への記録材Sの押し付け力で決まるので、厳密にはカブリ量と剛度との相関が高い。よって、カブリ量と坪量との相関は有るが、カブリ量と剛度との相関よりも小さい。これは、同じ坪量でも、製紙メーカーや製造する工場によって、記録材Sの厚みや密度にバラツキが有り、即ち剛度にバラツキが発生するためである。
第2の実施形態では、カブリ量との相関がより高い記録材Sの剛度に応じて、現像バイアスの交流電圧のVppを決定することができるので、この観点からは、第2の実施形態の方が第1の実施形態よりも有利である。一方、第2の実施形態では、コントローラ11が記録材Sの剛度を取得するための仕組みを設ける必要がある。しかし、実際には、記録材Sの包装に、記録材Sの坪量が記載されているものの、記録材Sの剛度は記載されていない。このため、画像形成装置100の操作部(UI)を介してユーザに入力させるケースでは、記録材Sの剛度を入力させるのではなく、記録材Sの坪量を入力させることの方が現実的である。故に、コントローラ11が記録材Sの剛度を取得することと比べて、コントローラ11が記録材Sの坪量を取得することの方が容易に実現でき、この観点からは、第1の実施形態の方が第2の実施形態よりも有利である。
以上説明したように第2の実施形態では、所定のプロセススピードで画像形成を実行時に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスの交流電圧の振幅を記録材の剛度に応じて設定する事により、かぶりトナーの量を低減させた。具体的には、剛度が高い記録材Sにトナー画像を形成するときは、剛度が低い記録材Sにトナー画像を形成するときと同じプロセススピードであっても、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量が少なくなるように、現像バイアスの交流電圧の振幅を設定した。表2に示した第2の実施形態に係るカブリ対策では、剛度が高い記録材Sの画像形成と剛度が低い記録材Sの画像形成とで同じプロセススピードであっても、記録材Sの剛度が高くなるに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを段階的に小さくした。これにより、厚紙のように剛度が高い記録材Sにトナー画像を形成する場合にあっても、カブリ量が多くならずに、カブリを低減した画像を得ることができる。
[第3の実施形態]
前述した第1の実施形態は、記録材Sの坪量に応じて、現像バイアスの交流電圧の振幅(即ち、現像バイアスの交流電圧のVpp)を変更してカブリを低減する構成である。これは、記録材Sの坪量を、所定の坪量グループから選択するため、表1に示したように、坪量に対して、現像バイアスの交流電圧のVppを段階的に変更する構成である。
一方、第3の実施形態は、メディアセンサによって、記録材Sの坪量を検知して、線形に現像バイアスの交流電圧のVppを変化させる構成である。第3の実施形態では、画像形成装置100においてレジストローラ対9の上流の記録材搬送路に、メディアセンサ20を配置するものである。
図10で示すメディアセンサ20の坪量検知手段は、メディアセンサ制御部23、超音波発信器21、超音波受信器22から構成されている。超音波発信器21は、メディアセンサ制御部23から駆動信号が入力されると、第3の実施形態では、40KHzの超音波振動が記録材Sに向けて発信される。
超音波受信器22は、記録材Sの搬送路を挟んで、超音波発信器21と対向するように配置され、記録材Sを透過した超音波を受信する。超音波受信器22は、受信した超音波の受信強度に応じて変化する電圧信号を出力する。記録材Sを透過した超音波は、記録材Sの密度に応じて強度が減衰する。従って、記録材Sが無い状態での受信強度と、記録材Sが有る状態で受信強度の変化率である透過係数を、メディアセンサ制御部23が算出することにより、図11に示す透過係数と記録材Sの坪量との関係から、記録材Sの坪量を検知できる仕組みである。
図12は、カブリ対策後の記録材Sの坪量に対する現像バイアスの交流電圧のVppの関係を示している。このメディアセンサ20で検知した記録材Sの坪量から、図12のグラフによって、現像バイアスの交流電圧のVppが決定される。図12は、記録材Sの坪量に対して、線形にVppが決定するため、記録材Sの坪量に応じて、より詳細に現像バイアスの交流電圧のVppを決定できる利点が有り、カブリ量を低減させることができる。
以上説明した様に第3の実施形態に係るカブリ対策では、坪量が大きい記録材Sの画像形成と坪量が小さい記録材Sの画像形成とで同じプロセススピードであっても、記録材Sの坪量が大きくなるに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを線形に小さくした。一方、第3の実施形態に係るカブリ対策では、坪量が大きい記録材Sの画像形成と坪量が小さい記録材Sの画像形成で同じプロセススピードであっても、現像ローラ4aに印加する現像バイアスの直流(DC)電圧の電位(VDCの値)を同じに設定している。
第3の実施形態では、記録材Sの坪量に応じて、より詳細に現像バイアスの交流電圧のVppを決定することができるので、この観点からは、第3の実施形態の方が第1の実施形態よりも有利である。一方、第3の実施形態では、画像形成装置100においてメディアセンサ20を配置する必要があるので、画像形成装置100のコストアップに繋がり、この観点からは、メディアセンサ20を必要としない第1の実施形態の方が、第3の実施形態よりも有利である。
[第4の実施形態]
前述した第2の実施形態は、記録材Sの剛度に応じて、現像バイアスの交流電圧の振幅(即ち、現像バイアスの交流電圧のVpp)を変更してカブリを低減する構成である。これは、記録材Sの剛度を、所定の剛度グループから選択するため、表2に示したように、剛度に対して、現像バイアスの交流電圧のVppを段階的に変更する構成である。
一方、第4の実施形態は、メディアセンサ20によって記録材Sの坪量を検知し、検知した記録材Sの坪量を、記録材Sの剛度に変換することにより、現像バイアスの交流電圧のVppを線形に変化させる構成である。第4の実施形態では、第3の実施形態と同様に、画像形成装置100においてレジストローラ対9の上流の記録材搬送路に、メディアセンサ20を配置するものである。
メディアセンサ20で検知した記録材Sの坪量と、図7に示した記録材Sの坪量と剛度との関係の一例とを用いて、検知した記録材Sの坪量を、記録材Sの剛度に変換することができる。
図13は、カブリ対策後の記録材Sの剛度に対する現像バイアスの交流電圧のVppの関係を示している。このメディアセンサ20で検知した記録材Sの坪量から、図7による剛度への変換により、図13のグラフによって、現像バイアスの交流電圧のVppが決定される。図13は、記録材Sの剛度に対して、線形にVppが決定するため、記録材Sの剛度に応じて、より詳細に現像バイアスの交流電圧のVppを決定できる利点が有り、カブリ量を低減させることができる。
以上説明したように第4の実施形態に係るカブリ対策では、剛度が高い記録材Sの画像形成と剛度が低い記録材Sの画像形成とで同じプロセススピードであっても、記録材Sの剛度が高くなるに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを線形に小さくした。一方、第4の実施形態に係るカブリ対策では、剛度が高い記録材Sの画像形成と剛度が低い記録材Sの画像形成で同じプロセススピードであっても、現像ローラ4aに印加する現像バイアスの直流(DC)電圧の電位(VDCの値)を同じに設定している。
第4の実施形態では、記録材Sの剛度に応じて、より詳細に現像バイアスの交流電圧のVppを決定することができるので、この観点からは、第4の実施形態の方が第2の実施形態よりも有利である。一方、第4の実施形態では、画像形成装置100においてメディアセンサ20を配置する必要があるので、画像形成装置100のコストアップに繋がり、この観点からは、メディアセンサ20を必要としない第2の実施形態の方が、第4の実施形態よりも有利である。
[第5の実施形態]
第1の実施形態で前述したように一般的に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラ4aに印加する構成では、現像バイアスの交流電圧の振幅が大きくなるほど、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量が多くなる傾向にある。そこで、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラ4aに印加する構成において、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量を低減させるためには、現像バイアスの交流電圧の振幅を小さくすることが考えられる。即ち、現像ローラ4aに印加する交流(AC)電圧:Vppが小さくなるほど、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量が少なくなる傾向にある。
また一方で、一般的に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラ4aに印加する構成では、現像バイアスの交流電圧の周波数が小さくなるほど、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量が多くなる傾向にある。そこで、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラ4aに印加する構成において、感光体ドラム1上のかぶりトナーの量を低減させるためには、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくすることが考えられる。なぜなら、現像バイアスの交流電圧の周波数が大きいほど、トナーTが感光体ドラム1に到達する前に、現像ローラ4aに引き戻されてしまうため、現像性が低下して、カブリ量が小さくなる傾向にあるからである。
そこで、第5の実施形態では、所定のプロセススピードで画像形成を実行時に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスの交流電圧の周波数を、記録材Sの坪量に応じて設定する事により、かぶりトナーの量を低減させる例について以降説明する。
表3に、カブリ対策前(比較例)における記録材Sの坪量に対する現像バイアスの交流電圧の周波数の設定と、カブリ対策後(第5の実施形態)における記録材Sの坪量に対する現像バイアスの交流電圧の周波数の設定との関係を示す。尚、表3に示す、カブリ対策後(第5の実施形態)における記録材Sの坪量に対する現像バイアスの交流電圧の周波数の設定は、画像形成装置100の記憶部に記憶されている。
第5の実施形態に係るカブリ対策として、記録材Sの坪量が大きくなることに従って、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくすることにより、カブリ量を低減させる。一方、第5の実施形態に係るカブリ対策では、坪量が大きい記録材Sの画像形成と坪量が小さい記録材Sの画像形成で同じプロセススピードであっても、現像ローラ4aに印加する現像バイアスの直流(DC)電圧の電位(VDCの値)を同じに設定している。尚、第5の実施形態では、現像バイアスの交流電圧のVppは、全速=1800[V]、半速=1750[V]で一定にしている。前述したように、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくすると、トナーTが感光体ドラム1に到達する前に、現像ローラ4aに引き戻されてしまうため、現像性が低下して、カブリ量が小さくなる傾向にある。
表3で示すように、カブリ対策前は、記録材Sの坪量によらず、プロセススピードが全速・半速ともに、現像バイアスの交流電圧の周波数=2.5[KHz]である。
例えば、薄紙(60〜74[g/m2])の場合は、A4サイズ及びLTRサイズは、プロセススピードが全速で、現像バイアスの交流電圧の周波数=2.5[KHz]が印加される。そして、A4サイズ及びLTRサイズより小さい記録材S(小サイズ紙)、例えばB5サイズ紙やA5サイズ紙の縦通紙は、定着装置7の非通紙部昇温を抑制する為に、プロセススピードが半速で、現像バイアスの交流電圧の周波数=2.5[KHz]が印加される。尚、B5サイズは182×257[mm]であり、A5サイズは148×210[mm]である。
例えば、厚紙3(164〜200[g/m2])の場合は、A4サイズ及びLTRサイズは、定着性を確保するために、プロセススピードが半速で、現像バイアスの交流電圧の周波数=2.5[KHz]が印加される。そして、A4サイズ及びLTRサイズより小さい記録材S、例えば、B5サイズ紙やA5サイズ紙の縦通紙は、定着装置7の非通紙部昇温を抑制するために、プロセススピードが半速で、現像バイアスの交流電圧の周波数=2.5[KHz]が印加される。
表3で示すように、カブリ対策後は、記録材Sの坪量が大きくなるに従って、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくする。例えば、薄紙(60〜74[g/m2])と、普通紙1(60〜74[g/m2])は、カブリ対策前と同じであるが、普通紙2(91〜105[g/m2])以上の坪量の記録材Sは、現像バイアスの交流電圧の周波数が大きくなっている。
A4サイズ紙の場合は、プロセススピードが全速で、薄紙は周波数=2.5[KHz]、普通紙1(60〜74[g/m2])は周波数=2.5[KHz]、普通紙2は周波数=2.75[KHz]、厚紙1は周波数=3.0[KHz]である。尚、薄紙は60〜74[g/m2]であり、普通紙1は60〜74[g/m2]であり、普通紙2は91〜105[g/m2]であり、厚紙1は106〜120[g/m2]である。坪量=121[g/m2]以上の記録材Sは、定着性を確保するために、プロセススピードとして全速は無く、半速となる。よって、厚紙2(121〜163[g/m2])は周波数=3.25[KHz]、厚紙3(164〜200[g/m2])は周波数=3.5[KHz]である。
図14は、表3のカブリ対策後の片面プリント時のA4サイズ紙又はLTRサイズ紙のカブリ量と記録材Sの坪量との関係を示す。図4のカブリ対策前のカブリ量と比較して、図14のカブリ対策後のカブリ量は、許容範囲であるカブリ量=2.5以下を、坪量のすべてで達成することができる。
以上説明したように第5の実施形態では、記録材Sの坪量が大きくなることに従って、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくした。これにより、厚紙のように剛度が高い記録材Sにトナー画像を形成する場合にあっても、カブリ量が多くならずに、カブリを低減した画像を得ることができる。
一方で、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくし過ぎた場合、現像バイアスの出力に関係する電気基板の電気素子が発熱して高温になる虞や、画像のエッジが凸凹になる虞がある。このため、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくする程度には限界がある。従って、この観点では、記録材Sの坪量が大きくなることに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを小さくする第1の実施形態の方が、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくする第5の実施形態と比べて有利である。その一方で、記録材Sの坪量が大きくなることに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを小さくすること(第1の実施形態に係る制御)と、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくすること(第5の実施形態に係る制御)とを併用することが、より好ましい。
[第6の実施形態]
前述した第5の実施形態では、所定のプロセススピードで画像形成を実行時に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスの交流電圧の周波数を記録材の坪量に応じて設定する事により、かぶりトナーの量を低減させる例について説明した。
一方、第6の実施形態では、所定のプロセススピードで画像形成を実行時に、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスの交流電圧の周波数を記録材の剛度に応じて設定する事により、かぶりトナーの量を低減させる例について以降説明する。
表4に、カブリ対策前(比較例)における記録材Sの剛度に対する現像バイアスの交流電圧の周波数の設定と、カブリ対策後(第6の実施形態)における記録材Sの剛度に対する現像バイアスの交流電圧の周波数の設定との関係を示す。尚、表4は、第5の実施形態で前述した表3の坪量を、剛度に置き換えたものに相当する。尚、表4に示す、カブリ対策後(第6の実施形態)における記録材Sの剛度に対する現像バイアスの交流電圧のVppの設定は、画像形成装置100の記憶部に記憶されている。
表4は、カブリ対策前と、カブリ対策後の記録材Sの剛度に対する現像バイアスの交流電圧の周波数を示す。カブリ対策として、記録材Sの剛度が大きくなるに従い、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくすることにより、カブリ量を低減する。尚、現像バイアスの交流電圧のVppは、全速=1800[V]、半速=1750[V]で一定である。前述したように、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくすると、トナーがドラムに到達する前に、現像ローラに引き戻されてしまうため、現像性が低下して、カブリ量が小さくなる。
第6の実施形態に係るカブリ対策として、記録材Sの剛度が高くなることに従って、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくすることにより、カブリ量を低減させる。一方、第6の実施形態に係るカブリ対策では、剛度が高い記録材Sの画像形成と剛度が低い記録材Sの画像形成で同じプロセススピードであっても、現像ローラ4aに印加する現像バイアスの直流(DC)電圧の電位(VDCの値)を同じに設定している。尚、第6の実施形態では、表4に示すように、カブリ対策前は、記録材Sの剛度によらず、プロセススピードが全速・半速ともに、現像バイアスの交流電圧の周波数=2.5[KHz]に設定している。一方、カブリ対策後は、記録材Sの剛度が大きくなることに従って、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくすることにより、剛度の大きい厚紙でもカブリ量が大きくならずに、カブリを低減した画像を得ることができる。
第6の実施形態では、カブリ量との相関がより高い記録材Sの剛度に応じて、現像バイアスの交流電圧の周波数を決定することができるので、この観点からは、第6の実施形態の方が第5の実施形態よりも有利である。一方、第6の実施形態では、コントローラ11が記録材Sの剛度を取得するための仕組みを設ける必要がある。しかし、第2の実施形態で前述したように、実際には、記録材Sの包装に、記録材Sの坪量が記載されているものの、記録材Sの剛度は記載されていない。このため、画像形成装置100の操作部(UI)を介してユーザに入力させるケースでは、記録材Sの剛度を入力させるのではなく、記録材Sの坪量を入力させることの方が現実的である。故に、コントローラ11が記録材Sの剛度を取得することと比べて、コントローラ11が記録材Sの坪量を取得することの方が容易に実現でき、この観点からは、第6の実施形態の方が第5の実施形態よりも有利である。
また、第5の実施形態で前述したように、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくする程度には限界がある。従って、この観点では、記録材Sの剛度が高くなることに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを小さくする第2の実施形態の方が、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくする第6の実施形態と比べて有利である。その一方で、記録材Sの剛度が高くなることに従って、現像バイアスの交流電圧のVppを小さくすること(第2の実施形態に係る制御)と、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくすること(第6の実施形態に係る制御)とを併用することが、より好ましい。
[第7の実施形態]
前述した第5の実施形態は、記録材Sの坪量に応じて、現像バイアスの交流電圧の周波数を変更してカブリを低減する構成である。これは、記録材Sの坪量を、所定の坪量グループから選択するため、表3に示したように、坪量に対して、現像バイアスの交流電圧の周波数を段階的に変更する構成である。
第7の実施形態では、第3の実施形態で前述したように、画像形成装置100においてレジストローラ対9の上流の記録材搬送路に、図10に示したメディアセンサ20が配置されている。そこで、第7の実施形態は、画像形成装置100においてメディアセンサ20が配置されている構成にあって、メディアセンサ20で記録材Sの坪量を検知して、現像バイアスの交流電圧の周波数を線形に変化させる構成である。
図15は、カブリ対策後の記録材Sの坪量に対する現像バイアスの交流電圧の周波数の関係を示している。メディアセンサ20で検知した記録材Sの坪量から、図15で示すように、現像バイアスの交流電圧の周波数を線形に決定する。このため、記録材Sの坪量に応じて、より詳細に現像バイアスの交流電圧の周波数を決定できる利点が有り、カブリ量を低減させることができる。
第7の実施形態に係るカブリ対策では、坪量が大きい記録材Sの画像形成と坪量が小さい記録材Sの画像形成とで同じプロセススピードであっても、記録材Sの坪量が大きくなるに従って、現像バイアスの交流電圧の周波数を線形に大きくした。一方、第7の実施形態に係るカブリ対策では、坪量が大きい記録材Sの画像形成と坪量が小さい記録材Sの画像形成で同じプロセススピードであっても、現像ローラ4aに印加する現像バイアスの直流(DC)電圧の電位(VDCの値)を同じに設定している。
第7の実施形態では、記録材Sの坪量に応じて、より詳細に現像バイアスの交流電圧の周波数を決定することができるので、この観点からは、第7の実施形態の方が第5の実施形態よりも有利である。一方、第7の実施形態では、画像形成装置100においてメディアセンサ20を配置する必要があるので、画像形成装置100のコストアップに繋がり、この観点からは、メディアセンサ20を必要としない第5の実施形態の方が、第7の実施形態よりも有利である。
[第8の実施形態]
前述した第6の実施形態は、記録材Sの剛度に応じて、現像バイアスの交流電圧の周波数を変更してカブリを低減する構成である。これは、記録材Sの剛度を、所定の剛度グループから選択するため、表4に示したように、剛度に対して、現像バイアスの交流電圧の周波数を段階的に変更する構成である。
第8の実施形態では、第3の実施形態及び第4の実施形態で前述したように、画像形成装置100においてレジストローラ対9の上流の記録材搬送路に、図10に示したメディアセンサ20が配置されている。そこで、第8の実施形態は、画像形成装置100の記録材搬送路上に配置されたメディアセンサ20で記録材Sの坪量を検知し、検知した記録材Sの坪量を記録材Sの剛度に変換して、現像バイアスの交流電圧の周波数を線形に変化させる構成である。
図16は、カブリ対策後の記録材Sの剛度に対する現像バイアスの交流電圧の周波数の関係を示している。メディアセンサ20で検知した記録材Sの坪量と、図7に示した坪量と剛度との関係の一例とを用いて、検知した記録材Sの坪量を、記録材Sの剛度に変換することができる。そして、メディアセンサ20で検知した記録材Sの坪量から変換された記録材Sの剛度に応じて、図16のグラフによって、現像バイアスの交流電圧の周波数を線形に決定する。このため、記録材Sの剛度に応じて、より詳細に現像バイアスの交流電圧の周波数を決定できる利点が有る。
第8の実施形態に係るカブリ対策では、剛度が高い記録材Sの画像形成と剛度が低い記録材Sの画像形成とで同じプロセススピードであっても、記録材Sの剛度が高くなるに従って、現像バイアスの交流電圧の周波数を線形に大きくした。一方、第8の実施形態に係るカブリ対策では、剛度が高い記録材Sの画像形成と剛度が低い記録材Sの画像形成で同じプロセススピードであっても、現像ローラ4aに印加する現像バイアスの直流(DC)電圧の電位(VDCの値)を同じに設定している。
第8の実施形態では、記録材Sの剛度に応じて、より詳細に現像バイアスの交流電圧の周波数を決定することができるので、この観点からは、第8の実施形態の方が第6の実施形態よりも有利である。一方、第8の実施形態では、画像形成装置100においてメディアセンサ20を配置する必要があるので、画像形成装置100のコストアップに繋がり、この観点からは、メディアセンサ20を必要としない第6の実施形態の方が、第8の実施形態よりも有利である。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
上記実施形態では、かぶりトナーの量を低減させるために、現像バイアスの交流電圧のVppを小さくする、又は/及び、現像バイアスの交流電圧の周波数を大きくする例について説明したが、Vbackを大きくすることを更に併用してもよい。Vbackとは、感光体ドラム1の表面の暗電位(VD)と、現像ローラ4aに印加する直流電圧(VDC)との差分の絶対値のことである。Vbackを大きくすることにより、トナーTが感光体ドラム1に到達する前に、現像ローラ4aに引き戻されやすくなるので、カブリ量を更に小さくすることができる。
また、上記実施形態では、図1に示したように、感光体ドラム1に記録材Sを直接接触させて、感光体ドラム1に担持されたトナー画像を記録材Sに直接転写する構成の画像形成装置100を例に説明したが、これに限られない。中間転写ベルトを中間転写体として用いる構成の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。この画像形成装置は、例えば、複数の感光体ドラム1のそれぞれに担持されたトナー画像を中間転写ベルトに一次転写した後、中間転写ベルトに記録材Sを接触させて中間転写ベルトに担持されたトナー画像を記録材Sに二次転写する構成である。
また、上記実施形態では、現像剤が磁性一成分トナーから構成されており、磁性トナーを含む一成分現像剤を用いて現像を行う現像方式について説明したが、これに限られない。現像回転体と像担持体との間に形成された電界によって正規帯電トナーを現像回転体から像担持体の潜像部に移動させる構成であればよい。即ち、現像剤が非磁性トナーと磁性キャリアから構成されており、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いて現像を行う現像方式であっても本発明を適用することができる。故に、現像回転体と像担持体との間に形成された電界によって正規帯電トナーを現像回転体から像担持体の潜像部に移動させることが可能な現像装置4を備えた画像形成装置100であれば、モノクロ機、カラー機を問わず本発明を適用することが可能である。