以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
(1)画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することのできる、中間転写方式を採用したタンデム型のフルカラープリンタである。
画像形成装置100は、記録材Pにトナー像を形成する画像形成部101を有する。画像形成部101は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する4つの画像形成ステーションUY、UM、UC、UKを有する。各画像形成ステーションUY、UM、UC、UKにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、画像形成ステーションUは、後述する感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、1次転写ローラ7、クリーニング装置6などを有して構成される。
画像形成ステーションUは、像担持体としてのドラム型(円筒状)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1を有する。本実施例では、感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光体である。感光ドラム1は、180mm/secの周速度で、図中矢印R1方向に回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2によって所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に帯電処理される。本実施例では、帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光ドラム1の表面に加圧接触させて配置されており、感光ドラム1の回転に伴って従動回転する。帯電工程時に、帯電ローラ2の芯金には、感光ドラム1に対して−1100Vの直流電圧が印加され、これにより誘起された電荷によって感光ドラム1の表面には−550Vの一様な暗部電位が形成される。
帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置3によって画像データに従って露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。本実施例では、露光装置3は、感光ドラム1にレーザ光Wを走査しながら照射するレーザスキャナである。露光装置3は、感光ドラム1の一様な表面電荷分布面を、画像データに対応してレーザ光源から発光されるレーザ光Wのスポットパターンで露光する。これにより、感光ドラム1の露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位の絶対値が低下する。その結果、露光部位は明部電位Vl=−100V、未露光部位は暗部電位Vd=−550Vの静電潜像が、感光ドラム1上に形成される。感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置4によって、現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像が形成される。現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラ5を有する。感光ドラム1上の静電像は、所定のコート量及び電荷量を持ったトナーが、Vdc=−300Vに帯電した現像ローラ5から感光ドラム1上の露光部位に移ることで現像される。
各感光ドラム1に対向するように、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト8が配置されている。中間転写ベルト8は、複数の張架ローラに掛け渡されて所定の張力で張架されている。中間転写ベルト8は、複数の張架ローラのうちの一つである駆動ローラが回転駆動されることによって、図中矢印R2方向に回転(周回移動)する。中間転写ベルト8の内周面側には、各感光ドラム1に対応して、1次転写手段としてのローラ状の1次転写部材である1次転写ローラ7が配置されている。1次転写ローラ7は、中間転写ベルト8を介して感光ドラム1に向けて押圧され、感光ドラム1と中間転写ベルト8とが接触する1次転写部(1次転写ニップ)N1を形成する。上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写部N1において、1次転写ローラ7の作用によって、回転している中間転写ベルト8上に1次転写される。例えばフルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、重ね合わされるようにして中間転写ベルト8上に順次1次転写される。また、1次転写工程時に中間転写ベルト8に転写されずに感光ドラム1上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニング装置6によって感光ドラム1上から除去されて回収される。
中間転写ベルト8の外周面側において、中間転写ベルト8の張架ローラのうちの一つである2次転写対向ローラに対向する位置には、2次転写手段としてのローラ状の2次転写部材である2次転写ローラ9が配置されている。2次転写ローラ9は、中間転写ベルト8を介して上記2次転写対向ローラに向けて押圧され、中間転写ベルト8と2次転写ローラ9とが接触する2次転写部(2次転写ニップ)N2を形成する。上述のように中間転写ベルト8上に形成されたトナー像は、2次転写部N2において、2次転写ローラ9の作用によって、中間転写ベルト8と2次転写ローラ9とに挟持されて搬送される紙(用紙)などの記録材(転写材、シート)P上に2次転写される。記録材Pは、記録材収納部としてのカセット11に収納されている。記録材Pは、カセット11から給送ローラ12によって1枚ずつ送り出される。この記録材Pは、搬送ローラ13によって2次転写部N2へと搬送される。
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての像加熱装置である定着装置102へと送られる。定着装置102は、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加熱及び加圧することによって、トナー像を記録材Pに定着(溶融、固着)させる。定着装置102から排出された記録材Pは、超微粒子検知装置103を通過した後に、排出部105に設けられた排出ローラ16によって、画像形成装置100の装置本体110の外部(以下、「機外」ともいう。)に設けられた排出部17に排出(出力)される。
また、画像形成装置100は、装置本体110の内部(以下、「機内」ともいう。)に、機外から機内に空気を吸入(吸気)する向きに取り付けられた送風手段としてのファン14を有する。ファン14は、ファン14の駆動回路であるファン制御部15によって制御される。ファン制御部15は、演算制御手段としてのCPU、記憶手段としてのROMやRAMなどのメモリなどを有して構成される。ファン制御部15は、ファン14の風量(吸気量、送風量)を変えることで、後述する排出部105における記録材Pの搬送方向の気流、すなわち、排出部105を通って筐体110aの内部から外部へと流出する空気の量を変化させることができる。なお、ファン14の風量は、一般に、単位時間当たりに送ることのできる風の量(例えばm3/min)などで表されるが、ファン14の回転数(あるいは回転速度)で代表することができる。
また、露光装置3は、露光装置3の駆動回路である露光制御部10によって制御される。露光制御部10は、演算制御手段としてのCPU、記憶手段としてのROMやRAMなどのメモリなどを有して構成される。露光制御部10は、露光装置3から発光させるレーザ光の出力を変えることで、感光ドラム1の明部電位Vlを変化させることができる。明部電位Vlを変化させることで、現像により現像ローラ5から感光ドラム1に付着させることのできる単位面積当たりのトナー量を変化させることができる。また、結果的に、画像形成部101が記録材Pに載せることが可能な単位面積当たりの最大トナー量を変化させることができる。例えば、レーザ光の出力を小さくすることで明部電位Vlを前述のVl=−100VからVl=−150Vに変化させた場合、現像により感光ドラム1に付着させることのできる単位面積当たりのトナー量は少なくなる。逆に、レーザ光の出力を大きくすることで明部電位Vlを前述のVl=−100VからVl=−50Vに変化させた場合、現像により感光ドラム1に付着させることのできる単位面積当たりのトナー量は多くなる。
なお、画像形成装置100の装置本体110の内部(機内)、外部(機外)は、それぞれ画像形成装置100の装置本体110を構成する筐体110aの内部、外部のことである。
(2)定着装置
図2(a)は、定着装置102の概略構成を示す断面図である。図2(b)は、後述するセラミックヒータ(以下、単に「ヒータ」ともいう。)21の概略構成を示す側面図である。図3(a)は、ヒータ21及び後述するサーミスタ22の通電制御系を示すブロック図である。図3(b)は、定着装置102を記録材Pの搬送方向の上流側から見た様子を示す正面図である。定着装置102及びその要素に関して、記録材Pの搬送方向と略直交する方向を長手方向ともいう。
(2−1)加熱ユニット
加熱ユニット20は、ヒータ21と、サーミスタ22と、フィルムガイド23と、筒状のフィルム24と、を有する。ヒータ21は、フィルム24を加熱する。
ヒータ21は、アルミナ、窒化アルミなどのセラミックを主成分とする薄板状の細長い基板21aを有する。基板21aのフィルム24と摺動する摺動面側の基板面には、基板21aの長手方向に沿って銀、パラジウムなどを主成分とする通電発熱抵抗体21bと、通電発熱抵抗体21bと電気的に接続された電極21cと、がパターン印刷されている。また、その基板面には、ガラス、又はフッ素樹脂やポリイミドなどの耐熱樹脂を主成分とする保護層21dが、通電発熱抵抗体21bを覆うように設けられている。一方、基板21aのフィルム24と摺動しない非摺動面側の基板面には、基板21aの長手方向の略中央の領域において、サーミスタ22が当接されている。このサーミスタ22によって、ヒータ21の温度が検出される。
フィルムガイド23は、フィルム24をガイドする部材である。フィルムガイド23は、十分な耐熱性・剛性を備えた部材を用いて横断面略凹字形状に形成されている。フィルムガイド23は、加圧ローラ30との間に形成された平坦面に溝23aを有する。この溝23aは、フィルムガイド23の長手方向に沿って設けられている。そして、ヒータ21は、この溝23aに嵌合されて支持されている。フィルムガイド23は、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PPS、液晶ポリマーなどの高耐熱性樹脂や、これらの樹脂とセラミックス、金属、ガラスなどとの複合材料などで構成することができる。本実施例では、液晶ポリマーを用いた。
フィルム24は、無端状の耐熱フィルムであり、ヒータ21を含むフィルムガイド部材23に外嵌されている。フィルム24の内周長は、ヒータ21を含むフィルムガイド23の外周長よりも、例えば3mm程度大きくされている。したがって、フィルム24は、周長に余裕を持ってフィルムガイド23に外嵌されている。フィルム24は、その熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、厚さ(膜厚)が100μm以下、好ましくは50μm以下、かつ、20μm以上の十分な耐熱性のあるフィルムを使用して形成することができる。本実施例では、膜厚約50μmのポリイミドフィルムの外周表面にPTFEをコーティングしたものを用いた。また、本実施例では、フィルム24の外径は18mmとした。
(2−2)加圧ローラ
加圧ローラ30は、ヒータ21との間にフィルム24を挟んで定着ニップ部Nを形成し、かつ、フィルム24を回転駆動する。加圧ローラ30は、芯金30aと、弾性体層30bと、最外層の離型層30cと、を有する。加圧ローラ30は、軸受け部材(図示せず)が付勢部材(図示せず)によって付勢されることにより、所定の押圧力でフィルム24を挟んでヒータ21の表面に圧接させられて配置されている。
加圧ローラ30は、駆動系(図示せず)により図中矢印R3方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、定着ニップ部Nにおける加圧ローラ30とフィルム24の外面との摩擦力でフィルム24に回転力が作用する。フィルム24は、その内面側が定着ニップ部Nにおいてヒータ21の表面に密着して摺動しながら、フィルムガイド23の外回りを図中矢印R4方向に、加圧ローラ30の回転周速度とほぼ同じ周速度で従動回転する。
加圧ローラ30は、鉄、SUS、アルミニウムなどの金属材料で形成された芯金30aを有する。芯金30aの長手方向の両端部の軸部間の外周面上に、シリコーンゴムなどを主成分とする弾性層30bが設けられている。そして、この弾性層30bの外周面上に、PTFE、PFA又はFEPなどを主成分とする離型層30cが設けられている。
加圧ローラ30と加熱ユニット20とは並列に配置されている。加熱ユニット20は、フィルムガイド23の長手方向の両端部が定着装置102のフレームFに支持されている。そして、この加熱ユニット20のフィルムガイド23の両端部が、加圧バネ25によって加圧ローラ30の回転軸線方向と略直交する垂直方向へ付勢されることによって、ヒータ21がフィルム22を介して加圧ローラ30の外周面(表面)に加圧されている。芯金30aの長手方向の両端部の軸部は、定着装置102のフレームFに回転可能に支持されている。この芯金30aの端部には、モータ31からの駆動力を加圧ローラ30に伝えて加圧ローラ30を回転させるギア32が取り付けられている。
(2−3)定着装置の動作
定着装置102の駆動源としてのモータ31は、モータ31の駆動回路である駆動制御部40によって制御される(図3(a))。駆動制御部40は、演算制御手段としてのCPU、記憶手段としてのROMやRAMなどのメモリなどを有して構成される。駆動制御部40は、プリント信号に応じてモータ31を回転駆動して、加圧ローラ30を図中矢印R3方向へ回転させる。加圧ローラ30の回転に追従して、加熱ユニット20のフィルム24は、その内面がヒータ21の保護層21dと摺動しながら図中矢印R4方向へ回転する。
ヒータ21は、ヒータ21の駆動回路である温度制御部43(図3(a))によって、サーミスタ22の検出結果に基づいて制御される。温度制御部43は、演算制御手段としてのCPU、記憶手段としてのROMやRAMなどのメモリなどを有して構成される。ヒータ21の電極21cには、商用電源41からトライアック42を介して給電される(図3(a))。通電発熱抵抗体21bは、電極21cから通電されることによって発熱し、これによってヒータ21は急速に昇温して定着ニップ部Nでフィルム24を介して定着ローラ30の表面を加熱する。温度制御部43は、ヒータ21の温度をモニタするサーミスタ22の検出温度を取り込み、ヒータ21が所定の定着温度(目標温度、温調温度)を維持するようにトライアック42のON/OFFをコントロールして、ヒータ21へ供給する通電量を制御する。
未定着のトナー像Tを担持する記録材Pは、定着ニップ部Nで加圧ローラ30の表面とフィルム24の表面とで挟持されて搬送される過程で加熱され、これによってトナー像が記録材P上に定着させられる。
(3)超微粒子検知装置
次に、本実施例における超微粒子検知装置(ここでは、単に「検知装置」ともいう。)103について説明する。図4は、本実施例における検知装置103の概略構成を示す模式図である。検知装置103は、イオン発生電極(イオン発生部)としての針状電極61、第1の対向電極62a、第2の対向電極62b、高圧電源63などを有して構成される。検知装置103及びその要素に関して、記録材Pの搬送方向と略直交する方向を長手方向ともいう。
針状電極61は、画像形成装置100において搬送可能な記録材Pの全幅(搬送方向と略直交する方向)に渡って配置されている。針状電極61は、高圧電源63から負極性の電圧が印加されることによってマイナスイオンを発生させる。針状電極61としては、金属材料で形成された鋸状部材、金属材料で形成されたブラシなどを利用することができる。本実施例では、針状電極61は、直径5mmのステンレス製の棒状部61aと、棒状部61aの長手方向に沿って5mmおきに設けられた先端が尖ったステンレス製の刃部61bと、を有して一体的に形成されている。本実施例では、棒状部61aの中心から刃部61bの先端までの距離は10mmである。
針状電極61と対向する位置に、第1の対向電極62aと第2の対向電極62bとが配置されている。本実施例では、針状電極61と、第1の対向電極62a及び第2の対向電極62bとは、記録材Pの搬送経路を挟んで反対側に配置されている。また、本実施例では、記録材Pの搬送方向において第1の対向電極62aよりも第2の対向電極62bの方が下流側に配置されている。また、本実施例では、記録材Pの搬送方向において第1の対向電極62aの方が第2の対向電極62bよりも針状電極61の近くに配置されている。なお、針状電極61と対向する位置とは、例えば本実施例の第1の対向電極62aのように記録材Pの搬送経路方向と略直交する方向に正対する位置の他、本実施例の第2の対向電極62bのように該搬送経路方向に対して斜めの位置も含む。
第1の対向電極62aは、並列に接続された抵抗66a及びコンデンサ67aを経て電気的に接地されている。同様に、第2の対向電極62bは、並列に接続された抵抗66b及びコンデンサ67bを経て電気的に接地されている。第1の対向電極62aと針状電極61、第2の対向電極62bと針状電極61との間にそれぞれ電界を形成することで、針状電極61で発生させたマイナスイオンを第1の対向電極62a、第2の対向電極62b側に引き寄せることができる。第1の対向電極62a、第2の対向電極62bとしては、金属材料で形成された板状部材、金属材料で形成された棒状部材、金属箔、絶縁性の基板の上に蒸着された金属などを利用することができる。第1の対向電極62a、第2の対向電極62bは、画像形成装置100において搬送可能な記録材Pの全幅に渡って配置されていることが望ましい。ただし、第1の対向電極62a、第2の対向電極62bの形状は特に限定されない。本実施例では、第1の対向電極62a、第2の対向電極62bはそれぞれ、厚さ(板厚)1mm、記録材Pの搬送方向(長手方向と略直交する短手方向)の長さ10mm、長手方向の長さ210mmのアルミニウム製の板状部材である。本実施例では、第1の対向電極62a、第2の対向電極62bの長手方向及び短手方向に延在する面は、記録材Pの搬送経路に面する。本実施例では、第1の対向電極62a、第2の対向電極62bに接続される抵抗66a、66bとしては、100kΩの抵抗を使用した。また、本実施例では、第1の対向電極62a、第2の対向電極62bに接続されるコンデンサ67a、67bとしては、1000pFのコンデンサを使用した。
それぞれの抵抗66a、66bに掛かる電圧は、電圧検知部としての電圧計65a、65bによって検知される。電圧計65a、65bの検知結果は、制御部50に送られる。本実施例では、制御部50は、ファン制御部15、露光制御部44にそれぞれ接続されている。制御部50は、電圧計65a、65bの検知結果に応じてファン制御部15、露光制御部44を制御する。制御部50は、演算制御手段としてのCPU、記憶手段としてのROMやRAMなどのメモリなどを有して構成される。
なお、第1の対向電極62aに接続された抵抗、コンデンサ、電圧計をそれぞれ第1の抵抗66a、第1のコンデンサ67a、第1の電圧計65aともいう。また、第2の対向電極62bに接続された抵抗、コンデンサ、電圧計をそれぞれ第2の抵抗66b、第2のコンデンサ67b、第2の電圧計65bともいう。
図5は、本実施例における検知装置103の概略断面図(長手方向と略直交する断面)である。検知装置103は、針状電極61と、第1の対向電極62a及び第2の対向電極62bと、で記録材Pの搬送経路を挟み込むように配置されている。針状電極61に高圧電源63から−3.5kVの電圧が印加されると、針状電極61はマイナスイオンを発生させる。発生したマイナスイオンは、針状電極61と第1の対向電極62a及び第2の対向電極62bとの間に形成された電界によって、第1の対向電極62a及び第2の対向電極62b側に飛翔する。
一方、記録材Pの付近で浮遊する超微粒子は、記録材Pの搬送に伴って発生する気流に乗って、マイナスイオンが飛翔する針状電極61と第1の対向電極62a及び第2の対向電極62bとの間の空間を通過する。この際に、マイナスイオンが接触し付着した超微粒子は、記録材Pの搬送方向とは別に、電界方向にも力を受けながら飛翔することになる。マイナスイオンの付着した超微粒子が、電界によるクーロン力を受けながら第1の対向電極62a又は第2の対向電極62bに付着する際に、次のようなことが起こる。つまり、針状電極61に相対的に近い位置にある第1の対向電極62aに付着する超微粒子と、相対的に遠い位置にある第2の対向電極62bに付着する超微粒子とで、その粒径(粒径範囲、粒度分布)に差が生じる。すなわち、相対的に粒径が小さい超微粒子は、針状電極61と第1の対向電極62a及び第2の対向電極62bとの間の空間に流れる気流の抵抗を受けにくく、第1の対向電極62aに向かって飛翔する。しかし、相対的に粒径が大きい超微粒子は、針状電極61と第1の対向電極62a及び第2の対向電極62bとの間の気流の抵抗を受やすく、第2の対向電極62bに向かって飛翔する。
マイナスイオンを受けて帯電した超微粒子が第1の対向電極62a又は第2の対向電極62bに付着すると、その付着量に応じて第1の抵抗66a又は第2の抵抗66bの両端に電位差が生じる。この電位を第1の電圧計65a又は第2の電圧計65bによって検知することで、相対的に粒径が大きい超微粒子と相対的に粒径が小さい超微粒子とを切り分けて、それぞれの発生量を検知することができる。
なお、本実施例では、2個の対向電極を使用したが、より詳細に超微粒子の粒径を切り分けてそれぞれの発生量を検知するために、3個以上の対向電極を使用することもできる。
また、本実施例では、検知装置103は、記録材Pの搬送経路に沿って、定着装置103の定着ニップ部Nの下流端から10cmの位置に、針状電極61と第1の対向電極62aを結ぶ線分の中点Zが位置するように配置されている。なお、この中点Zは、図5に示す断面において、針状電極61の棒状部61aの中心と、第1の対向電極62aの短手方向及び厚さ方向の中央とを結ぶ線分の中点で代表される。また、本実施例では、針状電極61と第1の対向電極62aとの間の距離Hは30mmとした。なお、この距離Hは、図5に示す断面において、針状電極61の棒状部61aの中心と、第1の対向電極62aの短手方向及び厚さ方向の中央との間の距離で代表される。また、本実施例では、第1の対向電極62aと第2の対向電極62bとの間の距離Lは15mmとした。なお、この距離Lは、図5に示す断面において、第1の対向電極62aの短手方向及び厚さ方向の中央と、第2の対向電極62bの短手方向及び厚さ方向の中央との間の距離で代表される。
なお、本実施例では、検知装置103は、その要素が記録材Pの搬送経路を挟み込むように配置されているが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。検知装置103は、その要素が、記録材Pの印字面側、又は非印字面側のいずれか一方にのみに配置された構成であってもよいし、印字面側と非印字面側との両方に配置された構成であってもよい。上記記録材Pの印字面側とは、検知装置103に到達する直前にフィルム24と接触した面側である。また、上記非印字面側とは、検知装置103に到達する直前に加圧ローラ30と接触した面側である。
ここで、「超微粒子」とは、一般に、粒径が1μm以下、典型的には粒径が1〜100nm程度の粒子のことをいう。超微粒子の粒径は、例えば後述する測定装置(ナノ粒子粒径分布計測器FMPS3091(TSI社製))で測定される粒度分布の最大値(最大粒径)で代表することができる。超微粒子の粒径が異なるとは、より詳細には、その粒度分布の最大値(最大粒径)が異なることをいう。本実施例のようなトナー像を担持した記録材を加熱する定着装置などの像加熱装置を備えた画像形成装置では、像加熱装置がトナー像を担持した記録材を加熱する際の熱の影響によってトナーやグリースから超微粒子が発生することがある。例えば、トナーに含まれるワックスの一部が気化し、超微粒子となって空気中を浮遊することがある。また、例えば、像加熱装置のヒータのまわりなどに用いられたグリースの一部が気化し、超微粒子となって空気中を浮遊することがある。そして、これらの超微粒子が画像形成装置内の気流に乗って、特に、記録材の搬送経路を通って、画像形成装置からの記録材の排出部から機外に放出されてしまうことがある。
(4)超微粒子低減制御
図6は、本実施例における超微粒子低減制御(ここでは、単に「低減制御」ともいう。)の手順の概略を示すフローチャート図である。本実施例では、このシーケンスは、制御部50が制御部50のメモリに格納されているプログラムに従って実行する。本実施例では、制御部50は、低減制御において、検知した超微粒子の粒径と発生量とに応じてファン制御部15、露光制御部44を制御することで超微粒子の機外への放出を抑制する超微粒子低減処理(ここでは、単に「低減処理」ともいう。)を行う。
まず、制御部50は、プリントジョブが開始されると、ファン14への印加電圧の値としてVfをファン制御部15に格納し、露光装置3(より詳細にはレーザ光源)への印加電圧の値としてVsを露光制御部44に格納する(D1)。次に、制御部50は、低減制御を行う際の変数Vf_new、Vs_newの記憶領域を制御部50のメモリに用意する(D2)。なお、プリントジョブとは、一の開始指示により開始される、単数又は複数の記録材Pに対して画像を形成して出力する一連の動作である。
次に、制御部50は、高圧電源63から針状電極61への電圧の印加を開始させる(S1)。本実施例では、プリントジョブの最初の画像のプリント動作(画像形成動作)が開始される前に、針状電極61への電圧の印加が開始される。次に、制御部50は、プリント動作が継続中であるか否かを確認する(S2)。そして、制御部50は、S2でプリント動作が継続中であると判断した場合は(S2で「Yes」)、低減制御の次の処理に移る。一方、制御部50は、S2でプリント動作が終了していると判断した場合は(S2で「No」)、低減制御を終了させる(S3)。
次に、制御部50は、第1の電圧計62aと第2の電圧計62bとからそれぞれ検知結果を受け取り、第1の電圧計62aの検知電圧の絶対値と第2の電圧計62bの検知電圧の絶対値とを比較する(S4)。そして、制御部50は、S4で第1の電圧計62aの検知電圧の絶対値の方が第2の電圧計62bの検知電圧の絶対値よりも大きいと判断した場合は(S4で「Yes」)、第1の電圧計62aの検知電圧の絶対値が閾値Aを超えているか否かを判断する(S5)。一方、制御部50は、S4で第2の電圧計62bの検知電圧の絶対値の方が第1の電圧計62aの検知電圧の絶対値よりも大きいと判断した場合は(S4で「No」)、第2の電圧計62bの検知電圧の絶対値が閾値Bを超えているか否かを判断する(S6)。本実施例では、閾値A=3V、閾値B=3Vとした。
制御部50は、S5で第1の電圧計62aの検知電圧の絶対値が閾値Aを超えていると判断した場合は(S5で「Yes」)、次のような処理を実行する(S7)。つまり、Vf_newとしてVf_down×Vf_newの値を制御部50のメモリに格納する。また、Vf_newの値がVf_min×Vfの値を超えているか否かを判断する。Vf_downは、ファン14の回転数を段階的に下げていく際の係数であり、本実施例では0.9とした。Vf_minは、ファン14の回転数の下限を決める係数であり、本実施例では0.5とした。そして、制御部50は、S7でVf_newの値がVf_min×Vfの値を超えていると判断した場合は(S7で「Yes」)、ファン14への印加電圧の値としてVf_newをファン制御部15に格納し、ファン14の回転数を落とす(S9)。一方、制御部50は、S7でVf_newの値がVf_min×Vfの値を超えていないと判断した場合は(S7で「No」)、プリント動作を1分間停止させる(S11)。なお、制御部50は、S5で第1の電圧計62aの検知電圧の絶対値が閾値Aを超えていないと判断した場合は(S5で「No」)、S2の処理に戻る。
制御部50は、S6で第2の電圧計62bの検知電圧の絶対値が閾値Bを超えていると判断した場合は(S6で「Yes」)、次のような処理を実行する(S8)。つまり、Vs_newとしてVs_down×Vs_newの値を制御部50のメモリに格納する。また、Vs_newの値がVs_min×Vsの値を超えているか否かを判断する。Vs_downは、露光装置3の光量を段階的に下げていく際の係数であり、本実施例では0.9とした。Vs_minは、露光装置3の光量の下限を決める係数であり、本実施例では0.5とした。そして、制御部50は、S8でVs_newの値がVs_min×Vsの値を超えていると判断した場合は(S8で「Yes」)、露光装置3への印加電圧の値としてVs_newを露光制御部44に格納し、露光装置3の光量を落とす(S10)。一方、制御部50は、S8でVs_newの値がVs_min×Vsの値を超えていないと判断した場合は(S8で「No」)、プリント動作を1分間停止させる(S12)。なお、制御部50は、S6で第2の電圧計62bの検知電圧の絶対値が閾値Bを超えていないと判断した場合は(S6で「No」)、S2の処理に戻る。
また、制御部50は、S9、S10の各処理の後、その効果が反映されるまでの時間を考慮して5秒待機する(S13)。
(5)効果
図7は、本実施例における検知装置103による超微粒子の検知結果の例を示すグラフ図である。図7の横軸は時間(秒)を示し、縦軸は第1の電圧計62a、第2の電圧計62bで検知した電圧を示す。図7において、実線で表される電圧が、第1の電圧計62aの検知電圧(小粒径の超微粒子の検知結果)であり、破線で表される電圧が第2の電圧計62bの検知電圧(大粒径の超微粒子の検知結果)である。
本実施例では、相対的に粒径が小さい超微粒子の濃度が高いと判断した場合、ファン14の風量を下げることで、超微粒子が機外へ放出されることを抑制する。一方、相対的に粒径が大きい超微粒子の濃度が高いと判断した場合、露光装置3の光量を落とし、現像により感光ドラム1に付着させることのできる単位面積当たりのトナー量を抑えることで、超微粒子の発生量を低減する。この場合も、結果的に超微粒子が機外へ放出されることを抑制することができる。
つまり、相対的に粒径の小さい超微粒子(グリースに起因することが多い)は機内に滞留させることで、超微粒子同士を合一させ、機外への排出を抑えることができる。一方、相対的に粒径の大きな超微粒子は主にトナーに起因することから、感光ドラム1に付着させる単位面積当たりのトナー量を抑えることで、機外への超微粒子の排出を抑えることができる。
図8は、次の各場合における、機外へ放出された超微粒子の個数濃度の測定結果を示すグラフ図である。まず、本実施例の低減制御を行った場合の測定結果である。また、図6のS4の処理における不等号を逆向きにして低減制御を行った場合の測定結果である。また、低減制御を行わなかった場合の測定結果である。図8の横軸は測定された超微粒子の粒径を示し、縦軸は個数濃度を示す。図8の実線で表される測定結果が、本実施例の低減制御を実行した場合の測定結果である。また、図8の破線で表される測定結果が、図6のS4処理における不等号を逆向きにして低減制御を行った場合の測定結果である。また、図8の一点鎖線で表される測定結果が、低減制御を行わなかった場合の測定結果である。
ここで、機外へ放出された超微粒子の評価方法は、次のとおりである。3立方メートルの密閉されたチャンバー内を浄化された空気で満たし、チャンバー内に画像形成装置100を設置し、印字率が5%の画像を5分間連続印刷した直後のチャンバー内の超微粒子濃度を測定した。測定にはナノ粒子粒径分布計測器FMPS3091(TSI社製)を用いた。
また、図6のS4の処理における不等号を逆向きにするとは、次のような制御を行うことを意味する。つまり、相対的に粒径が小さい超微粒子の濃度が高いと判断した場合に露光装置3の光量を落とし、相対的に粒径が大きい超微粒子の濃度が高いと判断した場合にファン14の風量を下げる制御を行うことである。
図8から明らかなように、本実施例の制御を行った場合の方が、より超微粒子の濃度を下げることができている。これは、超微粒子の粒径ごとの発生量に応じて最適な低減処理を行うことで、より効果的に超微粒子の機外への放出を抑制することができることを示している。本実施例では、相対的に粒径の小さな超微粒子に対しては、感光ドラム1に付着させる単位面積当たりのトナー量を下げるよりも、ファン14の風量を下げる方がより効果がある。一方、本実施例では、相対的に粒径の大きな超微粒子に対しては、ファン14の風量を下げるよりも、感光ドラム1に付着させる単位面積当たりのトナー量を下げる方がより効果がある。そのため、本実施例では上記のような結果になった。
相対的に粒径の小さな超微粒子は、機内で使用されているグリースに起因することが多く、感光ドラム1に付着させる単位面積当たりのトナー量を下げても、超微粒子の低減効果は少ない。一方、相対的に粒径の大きな超微粒子は、ファン14の風量を下げた際の効果は限定的であり、感光ドラム1付着させる単位面積当たりのトナー量を下げることで、より直接的な効果を得ることができる。相対的に粒径の大きな超微粒子は、主にトナーに起因する(トナーに含有されるワックスが気化したものなど)からである。ここで、ファン14の制御は、画像形成装置100内の機内昇温に鑑みてなされるべきであり、ファン14の制御には過剰に介入するべきではない。グリースに起因する粒径の小さな超微粒子は、定着装置102の温調温度が高い際に発生することが多く、つまり、画像形成装置100内の温度が低い場合に発生することが多く、その状態においてはファン14の制御への介入が可能である。低減処理をより効果的とし、かつ、ファン14の制御に介入した際の悪影響を最小限に抑える、という観点からも、相対的に粒径の小さな超微粒子の発生量が多い場合にファン14の制御に介入することは理にかなっている。
なお、本実施例では、ファン14は機外から機内へ吸気して機内を冷却する向きに取り付けられている。そして、本実施例では、ファン14の風量が相対的に大きい場合は、該風量が相対的に小さい場合よりも、排出部105を通って筐体110aの内部から外部へと流出する空気の量が多くなる。本実施例とは逆向き、つまり機内から機外に排気する向きにファン14が取り付けられている場合は、Vf_downの値を1より大きくすることが望ましい。この場合は、ファン14の風量が相対的に大きい場合に、該風量が相対的に小さい場合よりも、排出部105を通って筐体110aの内部から外部へと流出する空気の量が少なくなる。ただし、これは検知装置103内の記録材Pの搬送経路方向の気流を抑制することが目的であり、ファン14の取付け場所によっては、ファン14の制御方法を適宜変更することが望ましい。
このように、本実施例の画像形成装置100は、筐体110aと、筐体110aの内部に設けられ記録材Pにトナー像を形成する画像形成部101と、を有する。また、本実施例の画像形成装置100は、筐体110aの内部に設けられ画像形成部101で形成されたトナー像を担持した記録材Pを加熱する像加熱装置102を有する。また、本実施例の画像形成装置100は、像加熱装置102から排出された記録材Pを筐体110aの外部へ排出するための排出部105を有する。また、本実施例の画像形成装置100は、記録材Pの搬送方向において像加熱装置102よりも下流側かつ排出部105よりも上流側に配置された、超微粒子を検知するための検知装置103を有する。この検知装置103は、第1の粒径の超微粒子を検知するための第1の検知部68aと、第1の粒径よりも大きい第2の粒径の超微粒子を検知するための第2の検知部68bと、を備えている。また、本実施例の画像形成装置100は、筐体110aの内部から外部へ放出される超微粒子の量を低減するための低減制御を実行する制御部50を有する。そして、本実施例では、制御部50は、第1の検知部68a及び第2の検知部68bの検知結果が示す第1の粒径の超微粒子及び第2の粒径の超微粒子のそれぞれの量に関する情報に基づいて、筐体110aの内部の第1の制御対象の動作設定を変更する第1のモードと、筐体110aの内部の第2の制御対象の動作設定を変更する第2のモードと、を切り替えて低減制御を実行する。例えば、図6において、S4、S5、S7及びS9の処理が、第1のモードで低減制御を実行する場合の処理に対応する。また、図6において、S4、S6、S8及びS10の処理が、第2のモードで低減制御を実行する場合の処理に対応する。
本実施例では、検知装置103は、電圧が印加されてイオンを発生させるイオン発生電極61と、イオン発生電極61に対向する位置に配置された第1の対向電極62a及び第2の対向電極62bと、を有する。また、本実施例では、検知装置103は、第1の対向電極62a及び第2の対向電極62bに超微粒子が到達することで発生する電圧をそれぞれ検知する第1の電圧検知部65a及び第2の電圧検知部65bを有する。そして、本実施例では、イオン発生電極61、第1の対向電極62a及び第1の電圧検知部65aが第1の検知部68aを構成し、イオン発生電極61、第2の対向電極62b及び第2の電圧検知部65bが第2の検知部68bを構成する。また、本実施例では、イオン発生電極61と、第1の対向電極62a及び第2の対向電極62bとは、記録材Pの搬送経路を挟んで反対側に配置されている。また、記録材Pの搬送方向において第1の対向電極62aよりも第2の対向電極62bの方が下流側に配置され、記録材Pの搬送方向において第1の対向電極62aは第2の対向電極62bよりもイオン発生電極61の近くに配置されている。また、本実施例では、イオン発生電極61は、マイナスイオンを発生する。
本実施例では、制御部50は、第1の検知部68a及び第2の検知部68bの検知結果が、第1の粒径の超微粒子の量の方が第2の粒径の超微粒子の量よりも多いことを示す場合に第1のモードで低減制御を実行する。一方、制御部50は、上記検知結果が、第2の粒径の超微粒子の量の方が第1の粒径の超微粒子の量よりも多いことを示す場合に第2のモードで低減制御を実行する。そして、制御部50は、第1のモードでは、排出部105を通って筐体110aの内部から外部へと流出する空気の量を抑制するように上記第1の制御対象の動作設定を変更する。一方、制御部50は、第2のモードでは、筐体110aの内部における超微粒子の発生を抑制するように上記第2の制御対象の動作設定を変更する。本実施例では、画像形成装置100は、筐体110aの内部に空気の流れを生成する送風手段14を有する。そして、制御部50は、第1のモードでは、第1の制御対象としての送風手段14の風量を小さくするように送風手段14の動作設定を変更する。また、本実施例では、制御部50は、第2のモードでは、画像形成部101が記録材Pに載せることが可能な単位面積当たりの最大トナー量を小さくするように、第2の制御対象としての画像形成部102の動作設定(特に、本実施例では、露光手段3が発光する光の出力の設定)を変更する。
なお、本実施例では、画像形成部101が記録材Pに載せることが可能な単位面積当たりの最大トナー量を小さくする手段として、露光装置3の光量(発光する光の出力)の設定を変更したが、これに限定されるものではない。例えば、現像ローラ41の電位(現像ローラ41に印加するバイアス)や、感光ドラム1の暗部電位(帯電ローラ2に印加するバイアス)の設定を変更してもよい。露光装置3の光量、現像ローラ41の電位、感光ドラム1の暗部電位のうち複数の設定を変更するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施例によれば、複数の粒径ごとに切り分けて超微粒子の発生量(濃度)を検知することで、より発生量の多い(濃度の高い)粒径の超微粒子に応じた低減処理を行うことが可能となる。これにより、より効果的に超微粒子の機外への放出を抑制することが可能となる。つまり、本実施例によれば、複数の粒径ごとの超微粒子の発生量の検知結果に応じて、超微粒子の発生源・流通経路を制御することができるため、より効果的に超微粒子の機外への放出を抑制することができる。また、これにより、プリント動作を停止する頻度を低減することが可能となり、単位時間当たりの印刷枚数の低下を抑制しつつ、超微粒子の機外への放出を抑制することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
図9は、本実施例における検知装置103の概略構成を示す模式図である。本実施例では、制御部50は、ファン制御部15、温度制御部43、駆動制御部40にそれぞれ接続されている。本実施例では、制御部50は、第1の電圧計65a、第2の電圧計65bの検知結果に応じてファン制御部15、温度制御部43、駆動制御部40を制御する。
図10は、本実施例における低減制御の手順の概略を示すフローチャート図である。本実施例では、このシーケンスは、制御部50が制御部50のメモリに格納されているプログラムに従って実行する。本実施例では、制御部50は、低減制御において、検知した超微粒子の粒径と発生量とに応じてファン制御部15、温度制御部43、駆動制御部40を制御することで超微粒子の機外への放出を抑制する低減処理を行う。
まず、制御部50は、プリントジョブが開始されると、次の処理を実行する(D1)。つまり、ファン14への印加電圧の値としてVfをファン制御部15に格納し、ヒータ21の目標温度の値としてThを温度制御部43に格納し、モータ31への印加電圧の値としてVmを駆動制御部40に格納する。次に、制御部50は、低減制御を行う際の変数Vf_new、Vh_new、Vm_newの記憶領域を制御部50のメモリに用意する(D2)。
その後、図10のS1、S2、S3、S4、S5、S7、S9、S11の処理は、それぞれ実施例1における図6のS1、S2、S3、S4、S5、S7、S9、S11の処理と同じであるため説明を省略する。なお、本実施例においても、実施例1と同様、S5の処理における閾値Aは3Vとした。また、本実施例においても、実施例1と同様、S7の処理におけるVf_downは0.9、Vf_minは0.5とした。
本実施例では、制御部50は、S4で第2の電圧計62bの検知電圧の絶対値の方が第1の電圧計62aのそれよりも大きいと判断した場合は(S4で「No」)、第2の電圧計62bの検知電圧の絶対値が閾値Bを超えているか否かを判断する(S6)。本実施例では閾値B=4Vとした。
また、本実施例では、S6で第2の電圧計62bの検知電圧の絶対値が閾値Bを超えていると判断した場合は(S6で「Yes」)、次のような処理を実行する(S8−1)。つまり、Th_newとしてTh_new−Th_downの値を制御部50のメモリに格納する。また、Th−Th_newの値がTh_minの値を超えているか否かを判断する。Th_downは、ヒータ21の目標温度を段階的に下げていく際の差分であり、本実施例では2℃とした。Th_minは、ヒータ21の目標温度の下限を決める定数であり、本実施例では20℃とした。次に、制御部50は、S8−1でTh−Th_newの値がTh_minの値を超えていると判断した場合は(S8−1で「Yes」)、次のような処理を実行する(S8−2)。つまり、Vm_newとしてVm_down×Vm_newの値を制御部50のメモリに格納する。また、Vm_newの値がVm_min×Vmの値を超えているか否かを判断する。Vm_downは、モータ31への印加電圧を段階的に下げていく際の係数であり、本実施例では0.9とした。Vm_minは、モータ31への印加電圧の下限を決める係数であり、本実施例では0.3とした。
そして、制御部50は、S8−2でVm_newの値がVm_min×Vmの値を超えていると判断した場合は(S8−2で「Yes」)、次のような処理を実行する(S10)。つまり、ヒータ21の目標温度としてTh_newを温度制御部43に格納し、ヒータ21の目標温度を下げる。また、モータ31への印加電圧の値としてVm_newを駆動制御部40に格納し、モータ31への印加電圧を下げる。
一方、制御部50は、S8−1でTh−Th_newの値がTh_minの値を超えていないと判断した場合は(S8−1で「No」)、プリント動作を1分間停止させる(S12)。また、制御部50は、S8−2でVm_newの値がVm_min×Vmの値を超えていないと判断した場合も(S8−2で「No」)、プリント動作を1分間停止させる(S12)。なお、制御部50は、S6で第2の電圧計62bの検知電圧の絶対値が閾値Bを超えていないと判断した場合は(S6で「No」)、S2の処理に戻る。
また、実施例1と同様、制御部50は、S7、S8−1、S8−2の各処理の後、その効果が反映されるまでの時間を考慮して5秒待機する(S13)。
図11は、本実施例における検知装置103による超微粒子の検知結果の例を示すグラフ図である。図11の横軸は時間(秒)を示し、縦軸は第1の電圧計62a、第2の電圧計62bで検知した電圧を示す。図11において、実線で表される電圧が、第1の電圧計62aの検知電圧(小粒径の超微粒子の検知結果)であり、破線で表される電圧が第2の電圧計62bの検知電圧(大粒径の超微粒子の検知結果)である。
本実施例の構成では、プリントジョブの開始初期には、相対的に粒径が小さい超微粒子が多く検知されている。しかし、第1の電圧計62aの検知電圧値が3Vを超えた時点でファン14の風量を下げることで、第1の電圧計62aの検知電圧値を大きく下げることができている。一方、ファン14の制御では相対的に粒径が大きい超微粒子への効果は低く、その後第1の電圧計62aの検知電圧値と第2の電圧計62bの検知電圧値とが逆転している。第2の電圧計62bの検知電圧値が4Vを超えた時点で、ヒータ21の目標温調温度を下げ、かつ、記録材Pの搬送速度を下げることで、第2の電圧値値を大きく下げることができている。このヒータ21及び記録材Pの搬送速度の制御は、相対的に粒径が小さい超微粒子にも効果を発揮している。
このように、本実施例では、制御部50は、第2のモードでは、第2の制御対象としての像加熱装置102の温調温度を下げるように像加熱装置102の動作設定を変更する。また、本実施例では、制御部50は、第2のモードでは、更に排出部105を通って筐体110aの内部から外部へと流出する空気の量を抑制するように第3の制御対象の動作設定を変更する。本実施例では、制御部50は、第2のモードでは、第3の制御対象としての記録材Pの搬送手段による記録材Pの搬送速度を下げるように搬送手段の動作設定を変更する。特に、本実施例では、像加熱装置102は、記録材Pを挟持して搬送する回転体対を有し、制御部50は、第2のモードでは、上記搬送手段としての上記回転体対による記録材Pの搬送速度を下げるように像加熱装置102の動作設定を変更する。
なお、本実施例では、第2のモードにおいて、ヒータ21の温調温度の設定を変更した。別法として、第2のモードにおいて、ヒータ21の温調温度の設定に代えて又は加えて、実施例1で説明した最大トナー量の設定を変更してもよい。
以上説明したように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、詳しくは後述するように、本実施例では記録材Pの搬送速度を下げたことによるものと考えられる効果により、実施例1よりも超微粒子の機外への放出を抑制する効果が高かった。
[比較例]
次に、上述の各実施例に対する比較対象としての比較例について説明し、上述の各実施例の効果について更に説明する。なお、比較例の画像形成装置においても、上述の各実施例の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
図12は、本比較例の画像形成装置100の概略断面図である。本比較例の画像形成装置100は、基本的には実施例1の画像形成装置100に準ずるが、実施例1の画像形成装置100における検知装置103、ファン14、ファン制御部15が設けられていない。本比較例の画像形成装置100では、実施例1の検知装置103の代わりに、超微粒子濃度検知装置104が、記録材Pの搬送方向における定着装置102と排出ローラ16との間に配置されている。超微粒子濃度検知装置104としては、汎用の粒子カウンターを用いることができる。本比較例では、CPC 3007(東京ダイレック社製)を使用した。
図13は、本比較例における低減制御の手順の概略を示すフローチャート図である。本比較例では、このシーケンスは、CPUとROMやRAMなどのメモリとを有して構成された制御部50が、メモリに格納されているプログラムに従って実行する。本比較例では、制御部50は、低減制御において、超微粒子濃度検知装置104で検知した超微粒子の濃度の検知結果に応じて、プリント動作を1分間停止させるか否かを制御する。
まず、制御部50は、プリントジョブが開始されると、超微粒子濃度検知装置104で超微粒子の濃度を検知する(S1)。次に、制御部50は、プリント動作が継続中であるか否かを確認する(S2)。そして、制御部50は、S2でプリント動作が継続中であると判断した場合は(S2で「Yes」)、低減制御の次の処理に移る。一方、制御部50は、S2でプリント動作が終了していると判断した場合は(S2で「No」)、低減制御を終了させる(S3)。
次に、制御部50は、超微粒子の濃度と閾値Cとを比較する(S4)。本比較例では、閾値Cの値を50,000p/ccとした。そして、制御部50は、S4で検知した濃度が閾値Cを超えていると判断した場合は(S4で「Yes」)、プリント動作を1分間停止させる(S5)。一方、制御部50は、S4で検知した濃度が超えていないと判断した場合は(S4で「No」)、再度超微粒子の濃度検知(S1)に戻る。
実施例1〜2の画像形成装置100、及び本比較例の画像形成装置100を用いて、機外へ放出された超微粒子の個数濃度を調べた結果を表1に示す。ただし、超微粒子の個数濃度の測定結果は、本比較例の画像形成装置100において測定された超微粒子の個数濃度を100%として比率(超微粒子濃度比)で表す。機外へ放出された超微粒子の評価方法は、実施例1において説明したとおりである。
表1に示すように、実施例1では超微粒子濃度比を55%に抑えることができており、実施例2では超微粒子濃度比を52%に抑えることができている。これは、複数の粒径ごとに切り分けて超微粒子の発生量を検知することで、より適した低減処理をより効率よく行うことができるためである。
実施例1では、相対的に粒径の小さい超微粒子に対してはファン14の風量を抑え、相対的に粒径の大きい超微粒子に対しては感光ドラム1に付着させる単位面積当たりのトナー量を下げることで、超微粒子が機外に流出することを抑制している。これにより、相対的に粒径の小さい超微粒子、相対的に粒径の大きい超微粒子に対して、それぞれ効果的にその発生源と流通経路とを制御できているため、より効果的に超微粒子の機外への放出を抑制し、超微粒子濃度比を低く抑えられているものと考えられる。
実施例2では、相対的に粒径の小さい超微粒子に対してはファン14の風量を抑え、相対的に粒径の大きい超微粒子に対してはヒータ21の目標温調温度を下げ、かつ、記録材Pの搬送速度を下げることで、超微粒子が機外に流出することを抑制している。これにより、相対的に粒径の小さい超微粒子、相対的に粒径の大きい超微粒子に対して、それぞれ効果的にその発生源と流通経路とを制御できているため、より効果的に超微粒子の機外への放出を抑制し、超微粒子濃度比を低く抑えられているものと考えられる。また、実施例2では、記録材Pの搬送速度を下げた効果が、擬似的にファン14の風量を抑えた効果となっているため、実施例1よりも僅かに超微粒子の低減効果が高くなっているものと考えられる。
本比較例では、印刷枚数の極端な低下を抑えるためには、閾値Cを高めに設定せざるを得ない。そのため、超微粒子が機外に流出することを効果的に抑制できていない。
以上説明したように、複数の粒径ごとに切り分けて超微粒子の発生量を検知できる構成とすることで、検知した超微粒子の粒径に応じた低減処理を実行することが可能となる。これにより、より効果的に超微粒子の機外への放出することを抑制することができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
トナー像を担持した記録材を加熱する像加熱装置は、面状発熱ヒータを用いてフィルムを加熱するフィルム式像加熱装置に限定されるものではない。例えば、面状発熱ヒータの代わりにハロゲンヒータなどを用いた像加熱装置であってもよい。また、例えば、交番磁界によってフィルムを渦電流によるジュール熱で発熱させるIH方式の像加熱装置であってもよい。また、例えば、フィルムに電極を設けてそこに直接電圧を印加してジュール熱で発熱させる像加熱装置などであってもよい。また、互いに圧接して設けられたローラ対の少なくとも一方の内部に熱源が設けられ、該ローラ対によって記録材を搬送しながら加熱する構成の像加熱装置であってもよい。
また、トナー像を担持した記録材を加熱する像加熱装置は、典型的には未定着のトナー像を記録材に定着させる定着装置であるが、例えばトナー像が定着された記録材を再加熱して光沢を制御する装置などであってもよい。
また、上述の実施例では、像担持体(感光体)を複数備えたカラー画像形成装置を例として説明したが、本発明は像担持体を1つ備えたモノクロ画像形成装置にも本発明を等しく適用することができ、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。