JP4100822B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、未定着のトナー像を記録材に定着させるための定着装置に関するものであり、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の定着装置としては、たとえば、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に適用されている。
【0003】
図10は電子写真プロセスを用いた画像形成装置の主要構成部(電子写真プロセス部付近)を示す概略構成図である。
【0004】
感光ドラム11は、図中矢印の方向に回転しており、電源70によりバイアスが印加されている帯電ローラ12により表面が均一に帯電される。
【0005】
レーザー露光装置13から発振されたレーザーは、反射ミラー14を介し、感光ドラム11上に照射され、不可視の静電潜像を形成させている。
【0006】
トナー容器15には、現像剤であるトナーTが充填されており、そのトナーは現像ローラ16の回転により、適量が抽出され、現像ブレード17により適度に帯電される。
【0007】
帯電されたトナーは、静電的な力を受け、感光ドラム11上の静電潜像上に付着し、可視のトナー像となる。
【0008】
このトナー像は、転写ローラ18に、帯電されたトナーと逆極性の最適なバイアスを印加することで、記録材P上に静電転写を行っている。
【0009】
転写されずに感光ドラム11上に残った転写残トナーは、クリーニングブレード19により、廃トナー容器20に収容され、表面をクリーニングされた感光ドラム11は、繰り返し次の画像形成プロセスに入る。
【0010】
また、トナー像をのせた記録材Pは、定着器1によって加熱・加圧を受けトナー像が記録材上に半永久的に定着される。
【0011】
図11は定着装置の一例であるオンデマンド定着器1の概略構成図である。
【0012】
ヒーターを持つ熱伝導基板5とそれを支持するフィルムガイド6の周りは、薄肉の耐熱性のエンドレスフィルム(定着フィルム4)で覆われ、弾性ローラ(加圧ローラ)3によって、ヒーター部を定着フィルム4を挟んで加圧することでニップNを形成している。
【0013】
転写材P上で未定着画像を形成するトナーTは、このニップ部Nを通過することにより熱定着される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。
【0015】
熱ローラ定着器やオンデマンド定着器を構成する部材の一つである加圧ローラが、定着時にオフセットしたトナーで汚れる弊害が、特に低温低湿環境において顕著である。
【0016】
加圧ローラの汚れが、ある程度蓄積されると、定着時の記録材の反画像側を汚す原因となったり、定着ローラ及び定着フィルムに再度汚れが移り、記録材の画像側の汚れ(PQD:Print Quality Defect)の原因となったりする。
【0017】
こういった弊害を防止するために、定着ローラや定着フィルム、及びこれらに当接する加圧ローラの表面粗さを極力小さくしたり、フッ素樹脂などの離型性の高い層を表面に設けたりしている。
【0018】
しかし、フッ素樹脂などの離型性の高い物質は抵抗が高いために、フィルムとローラとの摺擦により帯電する。
【0019】
この帯電により、オフセットの悪化及び定着器汚れが悪化する傾向にある。
【0020】
また、高温高湿環境では、搬送方向上流側に向けて画像の一部が吹き飛ばされる現象がある。
【0021】
吹き飛ばされたトナーは搬送方向上流側に0.1〜1mm程度ずれて、画像が尾を引いているように見える事から尾引きと呼ばれるひげ状の画像不良である。
【0022】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、環境状態に応じてオフセット及び定着器汚れを防止可能とする品質性に優れた定着装置および画像形成装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、トップ層と導電層を有し記録材上の未定着トナー像と接触する第1の回転体と、前記第1の回転体に圧接して記録材上の未定着トナー像を記録材に定着するためのニップ部を形成する第2の回転体と、前記導電層にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加する電源と、記録材搬送方向で前記ニップ部から離れた位置で且つ前記ニップ部で挟持されている状態の記録材と接触する電極と、を有し、前記電源によって電圧が印加されていることにより記録材を介して前記第1の回転体と前記電極との間に電流経路が形成され未定着トナー像を記録材に引き付けている定着装置において、前記第2の回転体にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加する電源を有し、前記第2の回転体に前記導電層に印加される電圧よりも絶対値が小さい電圧を印加し、前記電極は電気的に接地されつつ記録材の未定着トナー像が担持された面とは反対側の面と接触し、記録材の抵抗が高い時には、前記トップ層と記録材を介して前記導電層と前記第2の回転体間で流れる電流量を、前記トップ層と記録材を介して前記導電層と前記電極間で流れる電流量より多く、記録材の抵抗が低い時には、前記トップ層と記録材を介して前記導電層と前記電極間で流れる電流量を、前記トップ層と記録材を介して前記導電層と前記第2の回転体間で流れる電流量より多くすることを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0037】
ここで、画像形成装置の全体構成等については、上記従来技術の中でも説明した画像形成プロセス(画像形成手段)等を用いた各種公知技術を適用できるので、その説明は省略し、以下、本発明の特徴である定着装置について、本発明に係る各種実施の形態を詳しく説明する。
【0038】
なお、説明簡単のため、以下に参照する各図において、上記説明の中で参照した図10および図11に示した構成と同一の構成については同一の符号を付して説明する。
【0039】
(第1の実施の形態)
図1〜図7を参照して、第1の実施の形態に係る定着装置について説明する。
【0040】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る定着装置の概略構成図である。
【0041】
定着装置としてのオンデマンド定着器を構成する、一対の回転体のうちの一方の回転体としてのヒータユニット2は、概略、加熱手段としてのヒーターを具備する熱伝導基板5と、それを支持するフィルムガイド6と、これらを覆う薄肉の耐熱性のエンドレスフィルム(定着フィルム4(回転部材))と、から構成されている。
【0042】
そして、このヒータユニット2に対して、一対の回転体のうちの他方の回転体としての弾性ローラ(加圧ローラ3(加圧回転体))が、ヒータ部を、定着フィルム4を挟んで加圧することでニップを形成している。
【0043】
記録材上で未定着画像を形成するトナーはこのニップ部(N)を通過することにより熱定着される。
【0044】
なお、定着フィルム4は加圧ローラ3の表面もしくは記録材表面との摩擦力により回転している。
【0045】
ここで、定着フィルム4は3層構造からなっており、最内殻層はベース層41と呼ばれ、回転時の定着フィルム4のねじれ防止、強度、平滑性を保つための層で、主に10〜100μmの耐熱性の高いポリイミドフィルムを用いている。
【0046】
また、最外殻層(トップ層43)は主に5〜50μm程度のPFA及びPFA中にPTFEなどを分散させた離型層で、体積抵抗は1×10〜1×1014Ωcm程度の層を用いている。
【0047】
そして、中間層として、ベース層41とトップ層43を接着するためのプライマ層42を配しているが、この層にはカーボンブラックなどの導電性粒子を分散させて導電層としている。
【0048】
また、加圧ローラ3は、芯金と耐熱ゴムにより構成され、ヒータユニット2に対して、不図示の加圧手段により総圧5〜15kgfの圧力で加圧されている。
【0049】
図2は本発明の第1の実施の形態に係る定着装置を構成する加圧ローラの概略構成図である。
【0050】
加圧ローラ3は複数の層からなる層構造をなし、概略、芯金31と、その外周の弾性ゴム層32と、更にその外周のプライマ層33と、最外殻層となるフッ素ラテックス層34と、から構成されている。
【0051】
具体的な例として、加圧ローラ3のローラ径を20mm、ゴム面長230mm、ゴム厚3.5mmとして、芯金31の材質をアルミニウムとして、芯金31の長さを260mmとする。
【0052】
そして、弾性ゴム層32のゴム材質としてはシリコーンゴムを用いるが、更に、カーボンブラックなどの導電剤を添加して体積抵抗が1×103〜1×107Ωcmとなるように導電化している。
【0053】
弾性ゴム層32の上には、同様に導電化したプライマ層33を配し、最外殻層には離型層としてフッ素ラテックス層34をコートし、これも同様に導電化する。
【0054】
このように、導電化する事で、帯電によって加圧ローラの表面電位が不安定になる事を防ぐことができる。
【0055】
図1中の7は高圧電源であり、導電化したフィルムのプライマ層42にブラシなどで−600Vを印加し、さらに図のように高圧電源7'により導電化した加圧ローラの芯金31に−300Vを印加する。
【0056】
さらに、定着ニップNの下流側に位置する排出手段としての排紙ローラ8を導電化して、電極としての機能を持たせて、アース(接地)する。
【0057】
この排紙ローラ8は定着ニップNから搬送方向に対し約30mm下流側に位置している。
【0058】
以上のように構成することにより、高湿環境下においては、尾引きを防止し、低温低湿環境下において定着器汚れを防止する事ができる。
【0059】
この点について、以下に、詳しく説明する。
【0060】
(1)フィルム印加電圧と尾引きについて
【0061】
尾引きは、主に高温高湿環境下において顕著であり、定着ニップ突入時に記録材から発生する水蒸気によって、トナーが吹き飛ばされる現象である。
【0062】
この現象を電界によって得られる力により防止する方法を説明する。
【0063】
以下に説明する構成は、加圧ローラのシリコンゴムを絶縁にした状態で行っている。
【0064】
図3に、図1に示した定着装置の電気的等価回路の一例を示した。
【0065】
42は定着フィルム4の導電プライマ層であり、高圧電源7によりマイナスの電圧が印加されている。
【0066】
Rfpは高圧電源7の出力端から定着フィルム4のプライマ層42の定着ニップ部近傍までの抵抗を表している。
【0067】
この抵抗には、安全規格を満たすための抵抗(60MΩ)、定着フィルム4の給電接点の接触抵抗、プライマ層42の抵抗等が含まれている。
【0068】
Rftの値は、トップ層43の材質と膜の均一性、つまりピンホールリークの密度によって影響を受け、数kΩ〜数百MΩまで変化する。
【0069】
ここで、定着ニップ部Nの近傍では記録材Pが加熱され水蒸気が常に発生している。
【0070】
従って、定着ニップを蒸気源とみなすことができ、記録材Pの定着ニップ近傍Pdは水蒸気により著しく抵抗が下がり、等価回路上直列に挿入される他の抵抗に比べて無視できるほど小さくなる。
【0071】
このPdの領域では等価的に等電位とみなすことができる。
【0072】
記録材の体積抵抗は、定着ニップから離れるに従って増加し、距離に対する記録材の抵抗値の変化の割合は、定着ニップから記録材搬送方向上流側と下流側では蒸気量と記録材の温度の違いから大きく違い、下流側の方が抵抗値が低い。
【0073】
定着ニップから若干離れると記録材の抵抗は無視できなくなりニップ近傍から接地電極までの記録材の抵抗はRpで示されている。
【0074】
排紙ローラ8はアースされている。
【0075】
排紙ローラ8の記録材Pとの接点から接地までの抵抗がRgとして表されている。
【0076】
フィルム4にマイナスバイアスが印加され、アースから排紙ローラ8、記録材P、フィルムのトップ層43、プライマ層42を介して電流が流れるとそれぞれの抵抗の両端に電圧降下による電圧が生じる。
【0077】
Rftの両端に生じる電圧をVftとすると、導電プライマ42と、記録材の等電位部Pdとの間に電界Eftが図中矢印の向きに生じる。
【0078】
本実施の形態では、トナーTは負の帯電極性をもっているので、生じる電界によりトナーTに対して、記録材Pの表面方向に働く拘束力Ftが生じる。
【0079】
この拘束力によりトナーTが記録材に押し付けられ、尾引き、オフセットなど定着不良を防止する。
【0080】
この拘束力を大きくするためには、Vftの絶対値を大きくする方法と、Rftの相対値を大きくする方法の二通りの方法がある。
【0081】
電圧Vftを大きくすると効果がより大きくなっていくが、定着フィルム4のトップ層43にかかる電界が大きくなり、絶縁破壊による劣化が進む。
【0082】
劣化を考慮すると定着フィルム4にかかる電界は108V/m以下が好ましい。
【0083】
フィルムトップ層43の抵抗の大きさによるが、本構成では、−3000Vでフィルムの劣化が顕著になったことから、本構成による抵抗程度では、印加電圧は−3000V以上が好ましい。
【0084】
ここで、定着フィルムプライマ層42に印加するバイアス値を変化させて、尾引きの発生を確認し、その時の定着フィルムプライマ42から高圧電源間に流れる電流についてもモニターした。
【0085】
その結果を図5の表図に示す。
【0086】
試験環境は温度32.5℃、湿度80%であり、評価に使用した記録材はAvery(ラベル紙)で、試験環境室に一昼夜放置し、ある程度吸湿状態が安定な記録材で、含水分量が11%程度である。
【0087】
なお、図中、尾引きレベルは1を悪、5を良(発生しない)とした5段階評価で行った。
【0088】
表図より−500V以下で尾引きが防止できることが分かる。
【0089】
従って、本構成では尾引き防止と絶縁破壊との観点から、フィルムに印加する電圧は−500V〜−3000Vである事が好ましい。
【0090】
(2)フィルム印加電圧と汚れについて
【0091】
本構成をもとにした状態で、以下、導電の排紙ローラをフロートにし、加圧ローラ芯金をアース(0V)した状態で、次のような検討を行った。
【0092】
上記構成でフィルムバイアスを変化させて、低温低湿環境(15℃、10%)において、紙(Boise Cascade 社:X−9000:坪量80g/m2)を用いて、実用画像を10分間欠2枚を2500サイクル(5000枚)行った時点での定着器汚れの測定をした。
【0093】
その結果を図4に示す。
【0094】
横軸はフィルム印加電圧であり、縦軸は汚れた定着フィルム及び加圧ローラをOHPシートなどを通紙させる事でほぼ完全に汚れを吐き出し、汚れの吐き出されたOHPシートをスキャナで取り込み、汚れ部(黒)のピクセル数をカウントした結果である。
【0095】
この図より、フィルム印加電圧として−300V付近がもっとも汚れが少なく、これを境にして、プラス側に大きくしてもマイナス側に大きくしてもローラ側が汚れていくことが分かった。
【0096】
この構成で通紙中の加圧ローラ表面電位をTREK社製表面電位計(Model 344)で測定したところ0〜−20Vであった。
【0097】
この結果から、フィルム印加電圧と加圧ローラ表面電位との差が、約300V付近がもっとも汚れが良いことが分かる。
【0098】
この結果を説明するため、フィルム印加電圧を変化させながらフィルムへのトナーオフセット量と、フィルムに付着する紙粉の量を観察した結果を図6の表図にまとめる。
【0099】
この時フィルムのプライマ層2と電源7間に流れる電流も記す。
【0100】
フィルムに印加するバイアスが0Vよりもプラス側ではオフセットが悪化している。
【0101】
この原因は、電界の向きがフィルムから記録材上に向けて発生し、トナーが負に帯電しているため、トナーがフィルム方向に引き付けられるからである。
【0102】
逆に0Vよりもマイナス側に大きくしていくと、記録材上からフィルムに向けての電界が発生するため、トナーが記録材上に押えつけられ、オフセットが良化する。
【0103】
フィルムバイアスを1kVとし積極的にオフセット量を多くすると汚れも悪化する結果となっていることから、オフセットトナーは、定着器の汚れの原因であり、オフセットトナー量が多ければ汚れも悪化する。
【0104】
つまり、オフセット量を減少させれば、定着器汚れ、つまり定着フィルム汚れ及び、加圧ローラ汚れも良くなる。
【0105】
図6の表図中に示したように、0Vから−800V付近では、オフセットと汚れの関係は同様な傾向にあるのが分かる。
【0106】
しかし、それ以上の電圧をかけると、逆にオフセットも汚れも悪くなることが分かる。
【0107】
この現象は、フィルム表面への紙粉の付着量の増大により、離性が低下し、オフセットトナーが増加してしまうためである。
【0108】
印加バイアスと紙粉の付着量の関係についても、同表図に記載する。
【0109】
表図を見ると、印加電圧を大きくして電界強度を大きくしていくと、フィルム上への紙粉付着量が増大していることが分かる。
【0110】
以上の結果より、オフセットトナーは汚れの原因であり、その量を減らせば、定着器汚れが良化することが分かる。
【0111】
このオフセットトナー量は、フィルムに印加するバイアスに依存し、そのバイアス値を、負の電荷をもつトナーを記録材から離す電界を形成するように設定すれば、オフセットは悪化し、一方、記録材に押えつけるような電界を形成させても、その強度が強すぎると記録材から紙粉がフィルム上に多く付着し、その結果逆にオフセットが悪化してしまう。
【0112】
つまり、定着器汚れを防止するためには、最適バイアス値を設定し、オフセット量が少ない状況を作り出せば良いことが分かる。
【0113】
本検討では、フィルムバイアス値として−200V〜−400V付近が最適値であった。
【0114】
(3)尾引き対策と定着汚れ対策
【0115】
本実施の形態において、上記のような検討した結果、尾引きを良好にするためには−500V〜−3000V程度のバイアスをフィルムに印加すればよく、定着汚れを良好にするためには−200V〜−400V程度のバイアスをフィルムに印加すれば良いことが分かった。
【0116】
しかし、この両方の条件を満たすバイアス値はない。
【0117】
そのため、本実施形態では、導電加圧ローラと導電排紙ローラの二つの電極からフィルムへの電流パスを設けて、記録材の吸湿状態の変化による記録材の抵抗変動(Rpの変化)を利用することで、定着ニップに発生する電界を制御するようにしたものである。
【0118】
以下、この点について詳しく説明する。
【0119】
記録材は吸湿度が高いと抵抗が低く、吸湿度が低いと抵抗が高い。
【0120】
そして、尾引きは吸湿度が高い時に主に発生し易く、定着器汚れは主に吸湿度が低い時に発生し易い。
【0121】
これらの関係がある事から、本実施の形態に係る構成では、記録材の環境変動による吸湿状態の変動を利用して、記録材の抵抗(Rp)が高い時には、導電加圧ローラとフィルムプライマ層間に電流を積極的に流して、これらの電極間の電位差が有効になるようにし、一方、記録材の抵抗が低い高湿環境においては、フィルムプライマ層と導電排紙ローラ間に電流を流して、これらの電極間電位差が有効になるように、導電加圧ローラに印加する電圧値とフィルムプライマ層に印加する電圧値を設定する。
【0122】
フィルムと記録材間に形成される電界はプライマと電源間に流れる電流に比例することから、これらの条件を満たす様に、フィルムプライマ層電位、導電加圧ローラ電位、排紙ローラ電位を設定した。
【0123】
(1),(2)の検討により、測定した最適電流値領域は、尾引き対策で3μA以上、定着器汚れにおいては0.5〜1.3μAである。
【0124】
この電流値を、それぞれの問題が顕著に発生する環境において実現するために、本実施の形態では、一つの例として、フィルムに−600V給電し、導電加圧ローラに−300Vを給電し、導電排紙ローラを0V(アース)とした。
【0125】
この設定により、低温低湿環境(温度15℃:湿度10%)と高温高湿環境(温度32.5℃:湿度80%)において、フィルムプライマ層→高圧電源、導電加圧ローラ→高圧電源、排紙ローラ→アースに流れる電流を測定した結果を図7の表図に示す。
【0126】
以上のように構成することによって、低温低湿環境、高温高湿環境それぞれにおいて、尾引き、定着器汚れの確認をしたところ、尾引き、定着器汚れを防止できる事が確認された。
【0127】
従って、本実施の形態のように、環境による記録材の吸湿状態に応じて変動する、抵抗変動を利用して、記録材の吸湿状態によって電流パスが変わる構成とすることで、高湿環境においては尾引きに最適な電界、低湿環境においては定着器汚れに最適な電界をそれぞれ形成させ、環境に応じて良好な画像を得る事ができる。
【0128】
なお、以上の説明では、耐熱性フィルムを用いるフィルム定着装置に適用する場合について説明したが、その他、ハロゲンヒータを内包するローラ定着装置において、定着ローラに上述したようなバイアスを印加する構成としても、同様の効果を得る事ができる。
【0129】
また、上記構成においては、定着フィルムのニップの位置から離れた位置に設ける電極として、導電化した排紙ローラを用いた場合を示したが、これは記録材を加圧してニップを形成し、記録材との接触面積を大きくする事で安定に接触させて安定的に電流経路を確保するためのものであるが、これと同等の効果をもつ部材であれば排紙ローラに限定されることなく、適宜他の部材を用いてもよい。
【0130】
また、上記構成では、加圧ローラの全層を導電化して、芯金より給電しているが、加圧ローラの表面層を導電化し、ブラシなどで給電しても良い。
【0131】
さらに、加圧ローラの表面層を絶縁化する構成としても、内側の給電する導電層から表面までの総抵抗が、109Ω以下であれば同様な効果が得られる。
【0132】
参考例
図8には、本発明の参考例が示されている。上記第1の実施の形態では、定着フィルムおよび加圧ローラの双方に給電するための電源を用いた場合の構成を示したが、本参考例では、加圧ローラに給電する電源は設けずに、加圧ローラをツェナーダイオードを介して接地させる構成を示している。
【0133】
その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0134】
図8は本発明の参考例に係る定着装置の概略構成図である。
【0135】
図に示すように、本参考例においては、上記第1の実施の形態における導電加圧ローラ3に給電する高圧電源7'の代わりに、ツェナーダイオード(300V)9を用いて電位設定をする構成となっている。
【0136】
ツェナーダイオード9は、図のように設置することで、A地点での電位はほぼ−300Vとなる。
【0137】
以上のような構成により、上記第1の実施の形態で説明したものと同様の耐久試験を行い、定着器汚れを検討した結果、尾引き、定着器汚れとも第1の実施の形態と同様の効果を得る事ができた。
【0138】
参考例では、ツェナーダイオード300Vを高圧電源の代わりに用いる事によって、同様の効果を得る事ができ、かつコストダウンを図る事が可能となる。
【0139】
参考例
図9には、本発明の参考例が示されている。上記第1の実施の形態では、定着フィルムおよび加圧ローラの双方に給電するための電源を用いた場合の構成を示したが、本参考例では、加圧ローラに給電する電源は設けずに、加圧ローラを抵抗を介して接地させる構成を示している。
【0140】
その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0141】
図9は本発明の参考例に係る定着装置の概略構成図である。
【0142】
図に示すように、本参考例においては、上記第1の実施の形態における導電加圧ローラ3に給電する高圧電源7'の代わりに、抵抗(抵抗体)10を介しアース(0V)している。
【0143】
本検討で用いた記録材(紙種:前述したX−9000)の抵抗値(Rp)は、高温高湿環境において〜106Ωであり、低温低湿環境において〜1014Ωであった。
【0144】
この抵抗差を利用して、導電加圧ローラ3からアースされている経路の抵抗値を10 Ωから1014 Ωの間に設定すれば、高温高湿環境化では、主に、フィルム4と排紙ローラ8間を記録材を介して電流が流れ、低温低湿環境下では主に、フィルム4と導電加圧ローラ間に電流が流れる。
【0145】
参考例で用いた、導電化した加圧ローラ3のローラの抵抗Rrは、図9中の等価回路上〜10Ωで、ほぼ高湿環境下での記録材の抵抗に近いため、吸湿状態によるきり分けをより安定的に行うために、ローラの抵抗と抵抗10の合計の抵抗値が〜10Ωになるように設定した。
【0146】
以上の構成によって、上記第1の実施の形態の場合と同様の効果を得る事ができた。
【0147】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、環境による記録材の吸湿状態に応じて変動する、抵抗変動を利用して、記録材の吸湿状態によって電流パスが変わる構成とすることで、高湿環境においては尾引きに最適な電界、低湿環境においては定着器汚れに最適な電界をそれぞれ形成させ、環境に応じて良好な画像を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る定着装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る定着装置を構成する加圧ローラの概略構成図である。
【図3】図3は図1に示す定着装置における電気的等価回路図である。
【図4】フィルム印加バイアスと定着器汚れの関係を説明する図である。
【図5】フィルム印加バイアスと尾引きレベルの関係を示す表図である。
【図6】フィルム印加電圧の変化によるオフセット量と紙粉量の傾向を示す表図である。
【図7】環境別による各電流経路の電流値の変化を示す表図である。
【図8】 本発明の参考例に係る定着装置の概略構成図である。
【図9】 本発明の参考例に係る定着装置の概略構成図である。
【図10】電子写真プロセスを説明する図である。
【図11】オンデマンド定着器を説明する図である。
【符号の説明】
1 定着器
2 ヒータユニット
3 加圧ローラ
4 定着フィルム
5 熱伝導基板
6 フィルムガイド
7 電源
8 排紙ローラ
9 ツェナーダイオード
10 抵抗
11 感光ドラム
12 帯電ローラ
13 レーザー露光装置
14 反射ミラー
15 トナー容器
16 現像ローラ
17 現像ブレード
18 転写ローラ
19 クリーニングブレード
20 廃トナー容器
N ニップ
T トナー
P 記録材

Claims (4)

  1. トップ層と導電層を有し記録材上の未定着トナー像と接触する第1の回転体と、
    前記第1の回転体に圧接して記録材上の未定着トナー像を記録材に定着するためのニップ部を形成する第2の回転体と、
    前記導電層にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加する電源と、
    記録材搬送方向で前記ニップ部から離れた位置で且つ前記ニップ部で挟持されている状態の記録材と接触する電極と、
    を有し、前記電源によって電圧が印加されていることにより記録材を介して前記第1の回転体と前記電極との間に電流経路が形成され未定着トナー像を記録材に引き付けている定着装置において、
    前記第2の回転体にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加する電源を有し、
    前記第2の回転体に前記導電層に印加される電圧よりも絶対値が小さい電圧を印加し、前記電極は電気的に接地されつつ記録材の未定着トナー像が担持された面とは反対側の面と接触し、
    記録材の抵抗が高い時には、前記トップ層と記録材を介して前記導電層と前記第2の回転体間で流れる電流量を、前記トップ層と記録材を介して前記導電層と前記電極間で流れる電流量より多く
    記録材の抵抗が低い時には、前記トップ層と記録材を介して前記導電層と前記電極間で流れる電流量を、前記トップ層と記録材を介して前記導電層と前記第2の回転体間で流れる電流量より多くすることを特徴とする定着装置。
  2. 前記第1の回転体はエンドレスフィルムであり、前記第2の回転体は加圧ローラであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記エンドレスフィルムの内周面に接触するヒータを有することを特徴とする請求項に記載の定着装置。
  4. 前記第1の回転体は内部にハロゲンヒータを有する定着ローラであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
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