JP4040340B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録材上にトナー像を加熱定着する定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の画像形成装置を図面により説明する。
【0003】
図6は従来の画像形成装置としての4色のトナーを重ね合わせることにより、フルカラー画像を得ることができるフルカラー画像形成装置の断面図である。
【0004】
図6に示す画像形成装置は、像担持体として感光ドラム1を備えている。感光ドラム1表面は、先ず、帯電装置2によって一様帯電され、次に、第1の画像情報に応じて、露光装置3によって、ON/OFF制御されたレーザービームによる走査露光が行われることにより、静電潜像が形成される。
【0005】
このように形成された静電潜像は、現像装置4により、可視化される。現像装置4は、第1色目のトナーとして、ブラックトナーが内包された第1の現像器4a、第2色目のトナーとして、マゼンタトナーが内包された第2の現像器4b、第3色目のトナーとして、シアントナーが内包された第3の現像器4c、第4色目のトナーとして、イエロートナーが内包された第4の現像器4dと、これらを搭載し、矢印D1 方向に回転可能な回転支持体とを備えている。この回転支持体を矢印D1 方向に回転させることにより、現像に供される現像器を順に感光ドラム1に対向する現像位置に配置する構成となっている。
【0006】
上述の第1の静電潜像は、第1色目のトナーとしてブラックトナーが内包された第1の現像器4aによりブラックのトナー像として現像される。現像された第1のトナー像は、転写手段5の一部を構成する中間転写ベルト(中間転写体)5aに一次転写される。
【0007】
中間転写ベルト5aは、その内側に配置された一次転写ローラ6によって、感光ドラム1表面に所定の押圧力をもって押圧されており、感光ドラム1との間に一次転写ニップ部T1 を形成している。中間転写ベルト5aは、感光ドラム1の周速とほぼ等速度で感光ドラム1の回転方向(矢印D2 方向)に回転駆動される。上述の感光ドラム1表面に形成されたトナー像は、上述の一次転写ローラ6に対して、一次転写バイアス印加電源(不図示)によってトナーの帯電極性とは逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されることにより、中間転写ベルト5a表面に静電的に一次転写される。尚、一次転写が終了した感光ドラム1表面に若干量残存する一次転写残トナーは、クリーニング装置7によって除去される。
【0008】
続いて、上述の一連の画像形成工程、即ち一次帯電、露光、現像、一次転写、クリーニングを残りの3色について繰り返し、その都度、マゼンタトナーにより現像された第2のトナー像、シアントナーにより現像された第3のトナー像、イエロートナーにより現像された第4のトナー像が順次中間転写ベルト5a表面に一次転写されて重ね合わされる。
【0009】
その後、中間転写ベルト5a表面に対して離間状態にあった二次転写ローラ8が所定の押圧力をもって中間転写ベルト5a表面に圧接され、中間転写ベルト5aとの間に二次転写ニップ部T2 を形成する。二次転写ローラ8は、矢印D3 方向に回転駆動され、二次転写バイアス印加手段(不図示)によって、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されることにより、二次転写ニップ部T2 に所定のタイミングで搬送されてくる転写材P表面に、中間転写ベルト5a表面に重ね合わされた4色のトナー像が一括で二次転写される。
【0010】
トナー像(即ち未定着トナー像)を担持した記録材Pは、入り口ガイド板9を通って内部に加熱源(図示せず)を有する定着ローラ10と加圧ローラ11に加熱加圧されながら搬送され、定着を終える。そして、トナー像二次転写後の中間転写ベルト5aは、表面に若干量残存する二次転写残トナーが、駆動手段(不図示)により所定のタイミングで中間転写ベルト5a表面に対して当接状態となるクリーニングローラ21により除去される。
【0011】
しかしながら、上記の構成においては、未定着トナー像を定着する際に、未定着トナー像の一部が定着ローラ10側に引き付けられ、定着ローラ10の一周後に再び転写材P上にトナーが吐き出されることによるオフセット画像が発生することがあった。
【0012】
ここで、オフセットとは、通常、記録材P裏面のプラス電荷により保持されている、記録材P表面のマイナス極性に帯電したトナーが、表面が絶縁又は半導電性の定着ローラ10及び表面が絶縁性の加圧ローラ11により形成される圧接部(以下、「定着ニップ部」と呼ぶ)に突入する際に、定着ニップ部近傍における定着ローラ10表面電位がプラス方向に振れた際に、記録材P裏面のプラス電荷により保持できなくなり、定着ローラ10側に移動する現象である。
【0013】
この付着したトナーが、定着ローラ10の1周後に再び転写材Pに戻ることにより、転写材P上に画像不良として現れてしまう。このオフセット現象は、特に、2色以上のトナーを重ねてカラー画像を形成するカラー画像形成装置における、2色以上のトナーを重ね合わせたベタ画像において顕著となる。即ち、トナー層が厚く体積している表面においては、転写材P裏面の電荷により全てのトナーを保持することが難しく、オフセット現象も発生し易くなる。
【0014】
この現象を防止するためには、定着ローラ10表面に導電性を持たせることが考えられるが、この場合は、トナーのマイナス電荷が定着ローラを通して逃げてしまうこととなり、紙裏のプラス電荷によってトナーを引き止めることができなくなってしまう。このことにより、結局はオフセット現象が発生してしまうこととなり、根本的な解決とならない。
【0015】
これに対して、従来の画像形成装置においては、定着ローラ10に負のバイアスを印加することにより、定着ローラ10とトナーの間に反発電界を生じさせることによりオフセットを防止する方法が試みられている。
【0016】
図7は定着ローラ10に負バイアスを印加している従来の画像形成装置の定着装置の断面図である。
【0017】
図7において、バイアス電源12より定着ローラ10に対して負のバイアスが印加され、定着ローラ10表面が負に帯電する構成としている。このことにより、トナーと定着ローラ10表面との間に反発電界を生じ、オフセット現象を防止する試みがなされている。
【0018】
更に、近年、定着ローラ10にバイアスを印加し、定着ニップ部直後に、アースに接続された導電排紙ローラを設け、定着ローラ10から転写材Pを通って排紙ローラからアースへと流れる、電流パスを形成することによりオフセット防止を図った構成が提案されている。本構成を図8を用いて詳述する。
【0019】
図8において、12は定着ローラに対して負のバイアスを印加するバイアス印加手段である。又、排紙ローラ18は導電化されており、アースに接続されている。バイアス印加手段12から印加されたバイアスは、定着ローラ10、転写材Pを通って排紙ローラ18からアースに流れ込むことにより、電流パスが形成される。
【0020】
この電流パスは、定着ニップ部を転写材Pが通過することにより、水蒸気が発生することによって、より効果的に形成される。即ち、電流パスは、定着ローラ10に印加されたバイアスが直接定着ニップ部内で転写材P裏面に突き抜けることによって発生しているのではなく、定着ニップ部を転写材が通過した後に発生する水蒸気によって転写材Pの抵抗が減少することによって発生している。
【0021】
このため、通常の使用状況においては、定着ニップ部上流側又は定着ニップ部内において転写材P裏面の転写電荷を損なうことなく、電流パスが形成される。
【0022】
このように、電流パスを形成することにより、トナー層表面と、転写材P裏面の間に電界が形成される。この電界によって、トナーが厚く体積した場合においても、トナー粒子を転写材側に引き付ける力が発生し、トナー最上層が定着ローラ表面に付着することなく、良好な画像を得ることが可能となる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の構成においても尚、オフセット現象が発生する場合があった。特に、転写材Pの表面性及び画像パターンにより、オフセットの発生する条件に違いがあることが本発明者の検討によって明らかになった。
【0024】
即ち、表面の粗い転写材Pにあっては、転写材の凹凸の中にトナーが入り込む形となり、且つ、転写材の凹凸のため、定着ローラとトナー層の間に空隙(空気層)が生じることとなる。この空気層が断熱層として働くことから、トナーの溶融が不十分な状態となってしまい、オフセット現象を防止するためには、より大きな値のバイアスが必要になる。この場合は、前記の通り、ベタ画像や、2色以上のトナー像を重ねてカラー画像を形成した場合において顕著となる。これは、トナーが厚く積層することにより、トナー溶融により多くのエネルギーを要するため、定着が不十分な状態で定着ローラ10に引き付けられるトナー量が増加するためである。
【0025】
逆に、表面の滑らかな転写材Pにあっては、例えば1色のみのトナーが隙間を空けて転写材P上に乗っている場合(例えば、単色のハーフトーン画像がこれに当たる)、過剰なバイアスを印加することにより、定着ローラ10とトナー粒子の接触部分が多くなるため、トナー粒子が非常に強くマイナスに帯電してしまい、却ってトナー粒子間の反発力を増し、オフセット現象を生じ易くしてしまう。
【0026】
更に、表面の滑らかな転写材P上の単色ハーフトーン画像では、転写材Pと定着ローラの接触面積も大きく、定着ニップ部内において、転写材Pを突き抜ける方向に電流が生じ易くなるため、転写材P裏面に保持されているプラス電荷と定着バイアスによるマイナス電荷が相殺され、トナー像が定着ニップ部に突入する前に、転写材P裏面の電荷が失われ易くなる。
【0027】
このことにより、転写材P裏面のプラス電荷により保持されていた、マイナスに帯電したトナーは、転写材Pに保持される力を失い、定着ローラ10側に引き寄せられ、オフセット現象が生じてしまうという問題があった。
【0028】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、転写材の表面状態に拘らず、ベタ画像等のトナーが厚く堆積した画像や単色ハーフトーン等のトナーが隙間を空けて転写材上に乗っている場合を問わず、オフセットのない良質な画像を得ることができる定着装置を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、加熱源を有し転写材上の未定着トナー像と接触する回転体と、前記回転体と圧接して、前記未定着トナー像が形成された転写材を挟持搬送するための圧接部を形成する加圧部材と、接地されており転写材に接触する導電部材と、前記回転体にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加する電源と、を有し、前記電源によってトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加することにより前記導電部材と前記回転体の両方に転写材が接触している時に転写材を介して前記導電部材と前記回転体との間に電流パスを形成し未定着トナー像を転写材に引き付けている定着装置において、
ラフ紙モードと、普通紙モードと、平滑紙モードを有し、前記ラフ紙モードの場合は前記電源が前記回転体に印加する電圧値を前記普通紙モードの場合の電圧値よりトナーの帯電極性と同極性で絶対値が大きい電圧に設定し、平滑紙モードの場合は前記普通紙モードの場合の電圧値よりトナーの帯電極性と同極性で絶対値が小さい電圧に設定することを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0032】
<実施の形態1>
図1は本発明の定着装置を搭載する画像形成装置の断面図である。画像形成装置として、4色のトナーを重ね合わせることにより、フルカラー画像を得ることができるフルカラー画像形成装置を用いている。
【0033】
図1に示す画像形成装置は、像担持体として感光ドラム1を備えている。感光ドラム1表面は、先ず、帯電装置としての帯電ローラ2によって、一様帯電され、次に、第1の画像情報に応じて、露光装置3によって、ON/OFF制御されたレーザービームによる捜査露光が行われることにより、静電潜像が形成される。
【0034】
このように形成された静電潜像は、現像装置4により可視化される。現像装置4は、第1色目のトナーとして、ブラックトナーが内包された第1の現像器4a、第2色目のトナーとして、マゼンタトナーが内包された第2の現像器4b、第3色目のトナーとして、シアントナーが内包された第3の現像器4c、第4色目のトナーとして、イエロートナーが内包された第4の現像器4dと、これらを搭載して矢印D1方向に回転可能な回転支持体とを備えている。この回転支持体を矢印D1方向に回転させることにより、現像に供される現像器を順に感光ドラム1に対向する現像位置に配置する構成となっている。
【0035】
上述の第1の静電潜像は、第1色目のトナーとしてブラックトナーが内包された第1の現像器4aによりブラックのトナー像として現像される。現像された第1のトナー像は、転写手段5の一部を構成する中間転写ベルト(中間転写体)5aに一次転写される。中間転写ベルト5aは、例えば厚さ50〜200μm、体積抵抗率108 〜1014Ω・cmに調整されたPVdF、PET、ポリカーボネート、ポリエチレン、シリコーン等の樹脂により構成される。
【0036】
又、厚さ0.3〜2mm、体積抵抗率104 〜108 Ω・cmに調整されたウレタンゴム、ヒドリンゴム、NBR、EPDM等の弾性基層上に、厚さ2〜100μm、体積抵抗率108 〜1014Ω・cmに調整されたゴム、又は樹脂を表層として設ける構成としても良い。中間転写ベルト5aは、周長が441mmに設定されており、ローラ5b,5c,5dに掛け渡されている。
【0037】
中間転写ベルト5aは、その内側に配置された一次転写ローラ6によって、感光ドラム1表面に所定の押圧力をもって押圧されており、感光ドラム1との間に一次転写ニップ部T1を形成している。中間転写ベルト5aは、感光ドラム1の周速とほぼ等速度で感光ドラム1の回転方向(矢印D2方向)に回転駆動される。
【0038】
上述の感光ドラム1表面に形成されたトナー像は、上述の一次転写ローラ6に対して、一次転写バイアス印加電源(不図示)によってトナーの帯電極性とは逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されることにより、中間転写ベルト5a表面に静電的に一次転写される。尚、一次転写が終了した感光ドラム1表面に若干量残存する一次転写残トナーは、クリーニング装置7によって除去される。
【0039】
続いて、上述の一連の画像形成工程、即ち、一次帯電、露光、現像、一次転写、クリーニングを残りの3色について繰り返し、その都度、マゼンタトナーにより現像された第2のトナー像、シアントナーにより現像された第3のトナー像、イエロートナーにより現像された第4のトナー像が、順次中間転写ベルト5a表面に一次転写されて重ね合わされる。
【0040】
その後、中間転写ベルト5a表面に対して離間状態にあった二次転写ローラが所定の押圧力をもって中間転写ベルト5a表面に圧接され、中間転写ベルト5aとの間に二次転写ニップ部T2を形成する。二次転写ローラは、矢印D3方向に回転駆動され、二次転写バイアス印加手段(不図示)によって、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されることにより、二次転写ニップ部T2に所定のタイミングで搬送されてくる転写材P表面に、中間転写ベルト5a表面に重ね合わされた4色のトナー像が一括で二次転写される。
【0041】
トナー像二次転写後の転写材(記録材)Pは、定着装置へと搬送され、ここで、加熱・加圧されて永久画像として定着された後、機外(画像形成装置本体外部)へ排出される。
【0042】
そして、トナー像二次転写後の中間転写ベルト5aは、表面に若干量残存する二次転写残トナーが、駆動手段(不図示)により所定のタイミングで中間転写ベルト5a表面に対して当接状態となるクリーニングローラ21により除去される。このクリーニングローラ21は、例えば芯金の周囲に厚さ2〜6mm、体積抵抗率104 〜106 Ω・cmに調整されたゴム、樹脂等の表層が形成されており、感光ドラム1表面のトナー像が中間転写ベルト5a表面に順次一次転写されている際には、中間転写ベルト5a表面から離間され、中間転写ベルト5a表面のトナー像が転写材P表面に当接され、高圧電源(不図示)によりバイアスが印加される。
【0043】
これにより中間転写ベルト5a表面に残存する二次転写残トナーは、本来の帯電極性とは逆の帯電極性に帯電され、連続して行われる後続の画像形成工程の第1色目のブラックトナーによる第1のトナー像が感光ドラム1表面から中間転写ベルト5a表面に一次転写されると同時に、一次転写ニップ部T1において、中間転写ベルト5a表面から感光ドラム1表面へと逆転写され、中間転写ベルト5a表面のクリーニング工程が完了する。
【0044】
次に、本実施の形態に係る定着装置について図2を用いて詳述する。
【0045】
図2において、定着ローラ10は外径30mm、肉厚2mmのアルミニウム円筒10−a上に、約30μm厚のPFA等のフッ素樹脂の表面層10−bを有している。又、内部には加熱体として、不図示のハロゲンヒータが配設されており、所定の制御により定着ローラ10の温度が適温となるように加熱する。
【0046】
加圧ローラ11は外径24mmで、外径12mmの芯金11−a上に、シリコーンスポンジの弾性層11−bを設け、定着に十分な熱量を与えるだけのニップを定着ローラに圧接することで形成している。又、加圧ローラ11の最外層は30μm厚のPFAチューブ11−cで形成され、離型性を向上させている。
【0047】
ここで、定着ローラの表面層10−bには、導電剤が分散され、体積抵抗値が105 Ω・cm〜1013Ω・cm程度に調整されている。これに対し、加圧ローラ11の最外層たるPFAチューブは、1014Ω・cm以上の体積抵抗値を持ち、定着ローラ表面層10−bに比べて高い抵抗値を持っている。
【0048】
定着ローラ表面層に分散する導電剤としては、有機リン塩、パーフルオロアルキル基を含む有機塩といったイオン導電性導電剤、若しくはカーボン等の電子導電性導電剤等、任意の導電剤を使用することができる。本実施の形態においては、定着ローラ表面層に、カーボンを5重量%分散することにより、体積抵抗を約109 Ω・cmに形成している。
【0049】
又、定着ローラ基体としてのアルミニウム円筒は、アースに接続されている。入り口ガイド板9は、記録材Pの定着ニップ部への進入位置を決定し、紙シワ等を防止する。
【0050】
更に、アルミニウム円筒10−aは、バイアス電源17に接続されており、バイアス電源17から任意の電圧を印加できる構成となっている。バイアス電源17から定着ローラ10に印加される電圧は、画像形成装置内のCPU13により、値がコントロールされる。本実施の形態のバイアス電源は、0V〜−1kVの範囲で電圧を変化させることができる。
【0051】
本実施の形態における画像出力用の転写材として、ボンド紙等のラフ紙を三種類(A,B,C)、普通紙を3種類(D,E,F)、平滑紙を3種類(G,H,I)それぞれ用意した。それぞれの紙種のベック平滑度を測定した結果を表1に示す。
【0052】
ベック平滑度の測定方法は、JIS−P−8119に基づく。即ち、面積10平方センチメートル(直径37.4mm)のガラス面と紙面間を10ミリリットルの空気が通過する時間(単位:秒)を測定する。この試験方法では表面の粗い紙は数値が低く、平滑な紙は数値が高くなる。
【0053】
【表1】
画像出力に使用する画像パターンとしては、以下の3種類を用意した。
【0054】
・先端5mm〜80mmの間の部分に、シアンとマゼンタのベタ画像を重ねた、所謂2次色ベタ画像を描画し、後半はベタ白画像となるパターン。静電オフセットは、トナーが厚く堆積した状態でより目立つため、この画像が最も厳しいと考えられる。
【0055】
・先端5mm〜80mmの間の部分に、マゼンタ一色のハーフトーンを印字し、後半はベタ白画像となるパターン。単色のハーフトーン画像では、トナーの分布がまばらになるため、トナーに対するチャージや、ニップ部内での転写材P裏面へのマイナス電荷突き抜けに対しては、最も厳しい画像と考えられる。
【0056】
・実用画像。具体的には、グラフと文字の組み合わせで、2次色のベタ部分や単色のハーフトーン画像を適当な割合で含んだ画像。実際のユーザの使用状況において、一般的に用いられると思われる画像を用意した。
【0057】
本実施の形態に係る画像形成装置は、ユーザーが紙の平滑度に合わせて3モード(ラフ紙モード、普通紙モード、平滑紙モード)のうち、任意のモードを選択できる形式とした。
【0058】
このときの定着バイアスの値は、ラフ紙モードにおいては−1000V、普通紙モードにおいては−500V、平滑紙モードにおいては−100Vとした。モードの選択は、画像形成装置のオペレーションパネル(不図示)から行うこととした。
【0059】
表2にそれぞれの紙種において、各モードで画像を出力した際の2次色ベタ及び単色ハーフトーンのオフセットレベルの評価結果を示す。
【0060】
【表2】
表中、○:全く問題ないレベル、△:のオフセットは見られるものの、実用画像上は問題ないレベル、×:ひどくオフセットしていて、実用画像上でも許容できないレベルを表す。
【0061】
この表より、二次色オフセットのレベルは、転写材表面が粗い程、バイアスをアップしないと改善せず、逆に、単色オフセットのレベルは、転写材表面が平滑である程、バイアスを下げないと改善しないことが分かる。これらを総合すると、ベック平滑度10秒以下は、ラフ紙モード、11秒から51秒までは普通紙モード、52秒以上は平滑紙モードで印字するのが適切であることが分かる。
【0062】
本実施の形態においては、カラー画像形成装置を例として挙げたが、無論、単色のみを用いるモノクロ画像形成装置にも、本発明は適用可能である。又、本実施の形態においては、ラフ紙モード、普通紙モード、平滑紙モードの3種のモードを設けたが、4種以上のモードを持つ画像形成装置も当然考えられる。更に、画像形成装置本体のオペレーションパネルからモード設定を行うだけでなく、画像形成装置がホストコンピュータに接続されている場合は、コンピュータ上から、モード設定命令を送信し、それを受けてモード変更を行う構成としても良い。
【0063】
<実施の形態2>
図3に本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の断面図を示す。
【0064】
本実施の形態の特徴は、前記実施の形態1では、ユーザが手動で転写材のタイプを入力したのに対し、画像形成装置内に備えた、センサによって自動的に転写材の表面性を検知し、適切な定着バイアスモードを選択することを可能とした点にある。
【0065】
本実施の形態において、画像形成プロセスそのものは、実施の形態1と同様であるが、転写材搬送経路上に、転写材表面性検知部材14が具備されている。本実施の形態における転写材表面性検知部材14は、図3に示すように、二次転写ニップ部T2よりも上流側に設置され、画像が印字されない状態での転写材P表面に光を照射し、反射光の出力を検知することにより、転写材Pの表面性を検知するものである。
【0066】
図4を用いて転写材表面性検知部材について詳述する。
【0067】
図4において、転写材Pの上面位置は不図示のセンサーによって検知され、常に一定の高さに保たれる。
【0068】
又、41は常に一定の光量に保たれた光源、42は光源41からの光を平行光とするレンズであり、光源41からの光は転写材Pにより反射され、その反射光がレンズ43を通過して受光素子44で検知される。そして、受光素子44は光源41からの光をθの角度で受ける。
【0069】
そして、表面が粗れている転写材の場合、該転写材での反射光量が少なく、表面が粗れていない場合は反射光量は大きくなる。
【0070】
この転写材表面性検知部材41を用いて、実施例1のA〜Iの転写材につき受光素子44において検出される出力を表3に示す。
【0071】
この結果から、受光素子44の出力によって、転写材Pの表面性を検知可能であることが分かる。
【0072】
この結果を元に、受光素子44の出力が0.36V以下のときはラフ紙モードに、又、出力が0.37V〜0.6Vのときは普通紙モード、そして、出力が0.61V以上のときは平滑紙モードに入るよう画像形成装置を設定する。
【0073】
【表3】
本実施の形態における画像形成装置を用いて、実施の形態1と同様の紙種を用いて画像出力を行ったところ、ラフ紙、普通紙、平滑紙それぞれにおいて、適切な定着バイアスモードに入り、実施の形態1と同様、オフセットのない良好な画像を得ることができた。
【0074】
本実施の形態においては、転写材表面に光を照射し、光の反射率を測定することによる光学式の表面性検知手段を用いたが、搬送中の転写材表面に接触部材を接触させ、接触部材の振動を検知することにより、転写材表面性を検知する接触式転写材表面性検知手段を用いる構成とすることも勿論可能である。
【0075】
<実施の形態3>
本実施の形態は、定着装置として、フィルム定着装置を用いたことを特徴とする。
【0076】
図5において、本実施の形態に係るフィルム定着装置について詳述する。
【0077】
フィルム式加熱定着装置は、表面にフッ素樹脂から成る離型層が形成された厚さ50μm程度のポリイミドフィルム22と、そのフィルムガイド20、セラミック基板上に抵抗発熱体と電極及び保護ガラス等から成るヒーター19、ヒーター裏面に配置されたサーミスタ23等から成るヒータユニットと不図示の加圧手段によりヒータユニットに対して加圧される加圧ローラ11を基本構成とするものである。
【0078】
図5を用いて本実施の形態に係るフィルム定着装置について詳述する。
【0079】
本実施の形態に係る定着装置は、特開平4−44075〜44083号公報等に開示された円筒状の定着フィルムを用いたフィルム加熱方式・加圧ローラ駆動式・テンションレスタイプの加熱定着装置である。
【0080】
定着部材は、加熱体19、断熱ステイホルダー20、定着フィルム22等から構成されている。加圧部材は弾性加圧ローラ11である。加熱体19は薄肉・横長のセラミックヒータ(以下、ヒータと略記する)である。
【0081】
断熱ステイホルダー20は、ヒータ19を保持し、定着ニップ部と反対方向への放熱を防ぐ部材であり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されている。断熱ステイホルダー20は横断面略半円弧状樋型の横長で、耐熱性、電気絶縁性で、高い荷重に耐えられる部材であり、ヒータ19はこの断熱ステイホルダー20の下面のほぼ中央部に部材長手に沿って設けた溝部に表面側を下向きに露呈させて嵌入して固定支持させてある。
【0082】
定着フィルム22は円筒状の耐熱性フィルムであり、ヒータを含む断熱ステイホルダー20に対して周長に余裕を持たせた形でルーズに外嵌させてあり、断熱ステイホルダー20は定着フィルム22を内面から支える。
【0083】
定着フィルム22は熱容量の小さなものであり、クイックスタートを可能にするために総厚100μm以下の厚みで耐熱性、熱可塑性を有するポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、PFA、PTFE、FEP等を単独又は混合して基層としたフィルムである。
【0084】
又、長寿命の加熱定着装置を構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れたフィルムとして総厚20μm以上の厚みが必要である。よって、定着フィルム22の総厚みとしては20μm以上100μm以下が最適である。更に、オフセット防止や記録材の分離性を確保するために表層には、PFA、PTFE、FEP、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合或は単独で被覆したものである。
【0085】
又、基層フィルムと表層の間には、導電性プライマー層が設けられる。これは、基層と表面等の接着性を高めると同時に、バイアスを印加する際、定着ローラにおける導電性基体と同様の役割を担っている。
【0086】
加圧部材としての弾性加圧ローラ11は、不図示の軸受部材に保持させ、断熱ステイホルダー20の下面側に固定支持させたヒータ19の下向き表面に対して定着フィルム22を挟ませて、不図示の加圧手段により長手方向両端部から加熱定着に必要な定着ニップ部を形成するべく十分に加圧されている。
【0087】
加圧ローラ11は不図示の駆動手段により矢印の反時計方向に回転駆動される(加圧用回転体駆動方式)。この加圧ローラ11の回転駆動による該ローラの外面と定着フィルム22の外面との、定着ニップ部における圧接摩擦力で定着フィルム22に回転力が作用して、該定着フィルム22はその内面が定着ニップ部においてヒータ19の下向き表面に密着して摺動しながら矢印の時計方向に加圧ローラ11の回転周速度にほぼ対応した周速度をもって断熱ステイホルダー20の外回りを従動回転状態になる。
【0088】
この場合、断熱ステイホルダー20の外回りを従動回転する円筒状の定着フィルム22はその周長の定着ニップ部とその近傍部の定着フィルム部分以外の定着フィルム部分はテンションフリー(テンションが加わらない状態)の状態にある。
【0089】
定着フィルム22はその内面側がヒータ19及び断熱ステイホルダー20の外面の一部に摺擦しながら回転するため、ヒータ19及び断熱ステイホルダー20と定着フィルム22の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。このため、ヒータ19及び断熱ステイホルダー20の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を少量介在させてある。これにより定着フィルム22はスムーズに回転することが可能となる。
【0090】
加圧ローラ11が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム22が断熱ステイホルダー20の外回りを従動回転状態になり、ヒータ19に通電がなされて、その発熱で定着ニップ部の温度が所定に立ち上がって温調された状態において、定着ニップ部に、未定着トナー像を形成担持させた記録材Pが定着入口ガイド板9に沿って導入され、定着ニップ部において記録材Pの未定着トナー像担持面側が定着フィルム22の外面に密着して定着フィルム22と一緒に定着ニップ部を挟持搬送されていく。
【0091】
この記録材Pの挟持搬送過程において、ヒータ19の熱が定着フィルム22を介して記録材Pに付与され、記録材P上の未定着トナー像が熱圧定着される。
【0092】
定着フィルムの導電性プライマー部分には、電源から、バイアス電源が印加され、実施の形態2と同様の転写材表面性検知部材からの情報に基づき、異なるバイアス電圧が印加される。
【0093】
本実施の形態に係る画像形成装置を用いて、実施の形態1と同様の紙種を用いて画像出力を行ったところ、ラフ紙、普通紙、平滑紙それぞれにおいて、適切な定着バイアスモードに入り、実施の形態1と同様、オフセットのない良好な画像を得ることができた。
【0094】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、転写材の表面性により適切な定着バイアスの値を選択し、転写材の表面状態によらず、オフセット現象の発生しない良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るカラー画像形成装置の概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る定着装置の概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る転写材表面性検知部材の図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るフィルム定着装置の断面図である。
【図6】従来の画像形成装置の概略断面図である。
【図7】従来の定着装置の概略断面図である。
【図8】従来の定着装置(定着バイアスにより電流パスを形成するもの)の概略断面図である。
【図9】ベック平滑度と受光素子出力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 一次帯電機構(帯電ローラ)
3 露光装置(レーザースキャナ)
4 現像装置
4a ブラック現像器
4b シアン現像器
4c マゼンタ現像器
4d イエロー現像器
5a 中間転写ベルト
5b〜5d 中間転写ベルト懸架ローラ
6 一次転写ローラ
7 クリーニング装置
8 二次転写ローラ
9 定着入り口ガイド板
10 定着ローラ
10−a 定着ローラ基体(アルミニウム円筒)
10−b 定着ローラ表層
11 加圧ローラ
11−a 加圧ローラ芯金
11−b 加圧ローラ弾性層
11−c 加圧ローラ表層
12 バイアス電源
14 転写材表面性検知部材
18 導電排紙ローラ
19 ヒータ
20 断熱ステイホルダー
22 定着フィルム
23 サーミスタ
Claims (1)
- 加熱源を有し転写材上の未定着トナー像と接触する回転体と、前記回転体と圧接して、前記未定着トナー像が形成された転写材を挟持搬送するための圧接部を形成する加圧部材と、接地されており転写材に接触する導電部材と、前記回転体にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加する電源と、を有し、前記電源によってトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加することにより前記導電部材と前記回転体の両方に転写材が接触している時に転写材を介して前記導電部材と前記回転体との間に電流パスを形成し未定着トナー像を転写材に引き付けている定着装置において、
ラフ紙モードと、普通紙モードと、平滑紙モードを有し、前記ラフ紙モードの場合は前記電源が前記回転体に印加する電圧値を前記普通紙モードの場合の電圧値よりトナーの帯電極性と同極性で絶対値が大きい電圧に設定し、平滑紙モードの場合は前記普通紙モードの場合の電圧値よりトナーの帯電極性と同極性で絶対値が小さい電圧に設定することを特徴とする定着装置。
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