JP2020019181A - 転写シート - Google Patents

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仁子 宮寺
上山 弘徳
Hironori Kamiyama
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Abstract

【課題】転写後に被転写基材の内部に残存する気体或いは被転写基材の内部から発生する気体をより効率良く外部に排出できる転写シートを提供すること。【解決手段】転写シート1は、離型性支持体10と、転写層2と、がこの順に積層され、転写層2は、通気手段を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、転写シートに関する。
従来、建築物、家具、建具、造作部材等の表面化粧の手段として、各種の絵柄が印刷された転写シートを、石材、木材、コンクリート、金属等の被転写基材に転写することが行われている。例えば、天然の木材と同じ木目調の絵柄が印刷された転写シートを、被転写基材に転写することにより、天然の木材と同じ意匠を有する化粧材が得られる。
上記転写シートを備えた化粧板は、例えば、キッチン用のカウンター、収納等にも使用される。このような用途に使用される化粧板には、より高い耐熱性が求められる。しかし、従来の転写シートは、剥離層、接合層等が単一の樹脂層として構成されている。そのため、例えば、化粧板の上に高温の鍋等を置いたときに、転写層と被転写基材との境界に生じた隙間、被転写基材の内部等にガスの気泡が発生する。この気泡が熱により軟化した樹脂層の弱い部分(特に薄い部分)に集中すると、樹脂層が化粧板の外側に押し上げられるため、化粧板の表面に膨れ、剥がれ等が発生しやすくなる。
従来、転写シートを被転写基材に熱転写する際に、気泡残りによる転写不良を抑制するため、剥離性支持体、剥離層等に相当するシート材に通気孔を設け、色材受容層の内部に生じた気泡を外に排出するように構成された転写シートが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2017−105036号公報
上記特許文献1に記載された転写シートでは、通気孔を針、拍車等による穿孔加工で形成しているため、穿孔によりシート自体が脆くなることが考えられる。また、穿孔により形成した穴が塞がらないように穴径を大きくすると、絵柄の形成される色材受容層にも穴を開けてしまうおそれがある。更に、色材受容層には、気泡を外部に排出するための工夫がなされていないため、シート材に設けた通気孔だけでは気泡を効率良く外部に排出することは難しい。
本発明の目的は、転写後に被転写基材の内部に残存する気体或いは被転写基材の内部から発生する気体をより効率良く外部に排出できる転写シートを提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
第1の発明は、離型性支持体(10)と、転写層(2)と、がこの順に積層され、前記転写層は、通気手段を含む転写シート(1)に関する。
第2の発明は、第1の発明の転写シートであって、前記転写層は、無機材粒子を含有しており、前記通気手段は、前記無機材粒子の表面の一部が、前記転写層の表面及び裏面から表出することにより構成される。
第3の発明は、第1の発明の転写シートであって、前記転写層は、無機材粒子を含有しており、前記通気手段は、前記転写層の内部で複数の前記無機材粒子が前記転写層の厚さ方向に沿って接するように配列しており、前記転写層の表面側に位置する前記無機材粒子の表面の一部及び前記転写層の裏面側に位置する前記無機材粒子の表面の一部が、それぞれ前記転写層の表面及び裏面から表出することにより構成される。
第4の発明は、第2又は第3の発明の転写シートであって、前記無機材粒子は、複数の空隙を有する多孔質の粒子である。
第5の発明は、第4の発明の転写シートであって、前記多孔質の粒子は、微粉末のシリカである。
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明の転写シートであって、前記転写層は、剥離層(20)、装飾層(30)及び接合層(40)のうちの少なくとも一層から構成され、前記転写層を構成する1又は複数の層は、それぞれ前記通気手段を備える。
本発明によれば、転写後に被転写基材の内部に残存する気体或いは被転写基材の内部から発生する気体をより効率良く外部に排出できる転写シートを提供できる。
第1実施形態における転写シート1の断面図である。 転写層2の各層に添加される無機材粒子の粒径と層厚との関係を示す概略断面図である。 剥離層20における無機材粒子20bの分布状態を示す断面図である。 化粧材100の製造方法を示す断面図である。 化粧材100の製造方法を示す断面図である。 第2実施形態における転写シート1Aの断面図である。 実施例及び比較例の評価結果を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするため、適宜に誇張している。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜に選択して使用してよい。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態における転写シート1の断面図である。転写シート1は、図1に示す形態で保管したり、搬送したりできる。
図1に示すように、転写シート1は、薄膜フィルム形態の離型性支持体10、剥離層20、装飾層30、接合層40及び剥離フィルム50を備える。本実施形態の転写シート1において、剥離層20、装飾層30及び接合層40は、転写層2を構成する。なお、本発明における転写層の構成は、本実施形態の組み合わせに限らず、他の機能層が含まれていてもよいし、後述するように、一層のみで構成されていてもよい。
(転写シート1の構成)
本実施形態の転写シート1は、剥離層以下の転写層2に対して離型性を有する離型性支持体10として、可撓性で薄膜のフィルムの形態を採用する(以下、この様な形態の離型性支持体10を「基材フィルム10」ともいう)。この離型性支持体10上において、剥離層20、装飾層30及び接合層40から成る転写層2、更に接合層40に対して離型性を有する剥離フィルム50は、この順に積層される。本発明における「この順に積層」とは、直接的な積層のみならず、間接的な積層をも含む意味であり、例えば、離型性支持体10と剥離層20との間に、他の層があっても許容する意味である。
<離型性支持体10>
本発明における離型性支持体10は、転写層2を支持すると共に、転写時に転写層を離型(又は剥離)可能な物であれば特に制限はないが、本実施形態においては、軽量且つ可撓性のため、転写シート1の製造、搬送、保管及び転写加工の容易な基材フィルム10を採用する。基材フィルム10は、転写層2に対して離型性を有し、転写シート1が被転写基材60(後述)に転写された後、剥離層20(転写層2)との界面から離型される。基材フィルム10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂等から成るフィルムが挙げられる。このうち、強度及び柔軟性に優れる点で、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。なお、基材フィルム10における剥離層20側の表面には、従来公知の離型層が形成されていてもよく、離型処理が施されていてもよい。
基材フィルム10の膜厚は、10μm以上250μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がより好ましい。
<剥離層20>
剥離層20は、転写シート1から離型性支持体(基材フィルム)10の剥離を容易にするために積層される層である。剥離層20は、転写シート1が被転写基材60に転写され、離型性支持体(基材フィルム10)が離型された後、転写シート1の最も外側の層として残存する。なお、本実施形態の転写シート1は、被転写基材60に転写された後、剥離層20の表面にトップコート層70(後述)が形成される。
剥離層20を構成する樹脂20aとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル−スチレン共重合体等のアクリル樹脂(ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの意味で用いる)、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
このウレタン樹脂は、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させることで得られる樹脂である。ポリオール化合物は、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。また、イソシアネート化合物としては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環式)イソシアネートが用いられる。或いはまた、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等がある。これらの樹脂20aは、1種単独で或いは2種以上混合しても用いることができる。
また、これらの組成物には、更に上記のようなイソシアネート化合物等が剥離強度の調整用に微量添加されてもよいし、紫外線吸収剤(UVA)、光安定剤(HALS)等のラジカル捕捉剤が、樹脂20aの100質量部に対して0.01〜5質量部程度添加されてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等の有機系紫外線吸収剤、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム等の金属酸化物を、平均粒径200nm程度以下の微粒子とした無機系紫外線吸収剤等が挙げられる。
ラジカル捕捉剤としては、例えば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラギス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤が挙られる。
また、剥離層20には、無機材粒子20bが添加される。無機材粒子20bとしては、例えば、シリカ、カオリナイト、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化チタン等が挙げられる。このうち、シリカは、湿式又は乾式のいずれでもよく、インキの調製上、適したものを選択すればよい。
なお、転写層2を通した気体の通気、排出の適正上、無機材粒子20bとしては、複数の空隙を有する多孔質の粒子が好ましい。
無機材粒子20bに適したシリカの比重、密度としては、例えば、真比重約1.8、かさ密度約0.5g/cmが挙げられる。剥離層20に添加する無機材粒子20bとしては、外観(意匠)への影響を考慮すると、透明性が高く且つ樹脂20a(一般に屈折率1.5程度のものが多い)との屈折率差も少ないシリカを用いることが好ましい。
なお、無機材粒子20は、多孔質の粒子に限らず、例えば、ガラスビーズであってもよい。ガラスビーズの場合、平均粒径が層厚を超えるものを選択することが好ましい。
本実施形態の剥離層20においては、単一又は複数の無機材粒子20bが剥離層20の厚さ方向に沿って接するように配列することにより、後述する通気手段を構成する。
無機材粒子20bの粒径は、4μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。無機材粒子20bの添加量は、剥離層20と装飾層30との積層体において、樹脂の固形分100質量部に対して着色剤(装飾層30)と合わせて固形分換算で20質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
なお、図1を含む各図においては、無機材粒子20b及び後述する無機材粒子30b、40bの形状、大きさは、模式的に示している。以下、無機材粒子20b、30b及び40bを、適宜に「無機材粒子」ともいう。
剥離層20の層厚(dry)は、例えば、2〜4μm程度である。
なお、本実施形態において、離型性支持体10と剥離層20との間の剥離強度(例えば、180°剥離、300mm/min)は、後述する剥離フィルム50と接合層40との間の剥離強度よりも大きいように設定される。転写シート1から剥離フィルム50を剥離したときに、離型性支持体10が剥離層20から剥離しないようにするためである。
<装飾層30>
装飾層30は、転写シート1の意匠が形成される印刷絵柄層である。装飾層30を構成する樹脂30aとしては、例えば、剥離層20の樹脂20aとして例示した各種樹脂を、1種単独で或いは2種以上混合して用いることができるが、通常良く使用される樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ)樹脂、アクリル樹脂と塩酢ビ樹脂とを混合した組成物等が挙げられる。装飾層30には、所望の色彩により意匠外観を発現させるために、着色剤を適宜に添加する。着色剤としては、例えば、チタン白(酸化チタン)、亜鉛華、アンチモン白、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、群青、紺青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機着色剤、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジンイエロー、ニッケル−アゾ錯体、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッド、アゾメチンアゾ系黒色着色剤、ペリレン系黒色着色剤等の有機着色剤、或いは、アルミニウム、真鍮等の金属の鱗片状箔片、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片から成る真珠光沢顔料(パール顔料)等が用いられる。
また、装飾層30には、無機材粒子30bが添加される。装飾層30に添加される無機材粒子30bの種類、添加量等は、剥離層20に添加される無機材粒子20bと同じであるため、説明を省略する。本実施形態の装飾層30においては、単一又は複数の無機材粒子30bが装飾層30の厚さ方向に沿って接するように配列することにより、後述する通気手段を構成する。
装飾層30の層厚(dry)は、例えば、約1〜5μm程度である。
また、図示していないが、装飾層30に、印刷コート層を含めてもよい。印刷コート層は、着色ベタ印刷層とも呼称されるものであり、転写シート1を被転写基材60に転写した際に、被転写基材60の表面(下地)を見えにくくするための隠蔽層として機能する。この印刷コート層は、装飾層30の全面を覆うように形成され、例えば、白色、グレー、茶色等に着色される。印刷コート層において、着色剤は、樹脂100質量部に対して2質量部以下となるように添加される。また、印刷コート層を設けた場合の装飾層30においては、パターン柄層又は着色剤が、樹脂100質量部に対して20質量部以下となるように添加される。
また、図示していないが、装飾層30に、クリア樹脂層を含めてもよい。クリア樹脂層は、装飾層30に亀裂が発生するのを抑制する亀裂抑制層として機能する。クリア樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、アクリル−塩酢ビ樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)樹脂、塩酢ビ樹脂等が挙げられる。
<接合層40>
接合層40は、転写シート1を被転写基材60に転写する際に、転写シート1と被転写基材60とを接合する層(接合層)である。接合層40の材料(接着剤、粘着剤等)としては、公知の各種材料及び接着力を発現する形態のものから適宜に選択すればよい。本実施形態において、接合層40としては、例えば、粘着剤組成物40aの硬化物を用いることができる。粘着剤組成物40aは、主剤としてのアクリル系粘着剤と、イソシアネート系硬化剤と、を含有する。
また、接合層40には、無機材粒子40bが添加される。接合層40に添加される無機材粒子40bの種類、添加量等は、剥離層20に添加される無機材粒子20bと同じであるため、説明を省略する。本実施形態の接合層40においては、単一又は複数の無機材粒子40bが接合層40の厚さ方向に沿って接するように配列することにより、後述する通気手段を構成する。
接合層40の層厚は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。
[アクリル系粘着剤]
好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させた(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−n−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上記アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、ニッセツ(日本カーバイド社製)、SKダイン(綜研化学社製)等を好適に用いることができる。
[イソシアネート系硬化剤]
粘着剤組成物は、イソシアネート系硬化剤を含有する。イソシアネート系硬化剤は、転写シート1を被転写基材60(後述)に転写する際の粘着性を得るために添加される。アクリル系粘着剤は、水酸基を有するため、イソシアネート系硬化剤を用いることにより、更に部分架橋を向上させることができ、接合層40となったときに、内部破壊がなく適度な貯蔵弾性率を得られる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、このウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。
接合層40における上記イソシアネート系硬化剤の含有量は、ゲル分率に合わせて設定される。
また、接合層40として、ヒートシール層を用いることができる。ヒートシール層としては、例えば、アクリル−エポキシ樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、アクリル−塩酢ビ樹脂、塩酢ビ樹脂等を用いることができる。ヒートシール層とした場合の膜厚は、例えば、2〜4μm程度が好ましい。接合層40を交互に形成する場合には、上述した材料の中から組成の異なる材料を適宜に選択すればよい。
また、接合層40は、転写シート1に形成するだけでなく、被転写基材60(後述)上に形成しておき、接合層40を備えていない転写シート1を被転写基材60に転写してもよい。その場合の接合層40は、転写シート1の用途に応じて選択される。
<剥離フィルム50>
剥離フィルム50は、転写シート1を被転写基材60に転写する際に、転写シート1から剥離されるフィルムである。剥離フィルム50としては、例えば、シリコン離型タイプのポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理のポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等が挙げられる。
剥離フィルム50の厚さは、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がより好ましい。
なお、接合層40としてヒートシール層を用いた場合、剥離フィルム50は、不要となる。
次に、本実施形態の転写層2の各層に添加される無機材粒子の粒径と層厚との関係について説明する。
図2は、転写層2の各層に添加される無機材粒子の粒径と層厚との関係を示す概略断面図である。図2では、各無機材粒子の形状、分布を模式的に示している。また、図2では、各層の厚さを同一の寸法で示しているが、層厚は、層毎に異なる。
図3は、剥離層20における無機材粒子20bの分布状態を示す断面図である。図3(A)は、剥離層20に単一の無機材粒子が分布している状態を示す断面図である。図3(B)は、剥離層20に複数の無機材粒子が分布している状態を示す断面図である。
図2に示すように、剥離層20に含有される無機材粒子20bは、少なくとも一部の粒子の粒径d1が、剥離層20の層厚t1以上(d1≧t1)となるように選択される。また、装飾層30に含有される無機材粒子30bは、少なくとも一部の粒子の粒径d2が、装飾層30の層厚t2以上(d2≧t2)となるように選択される。更に、接合層40に含有される無機材粒子40bは、少なくとも一部の粒子の粒径d3が、接合層40の層厚t3以上(d3≧t3)となるように選択される。このように、各層において、少なくとも一部の無機材粒子の粒径を層厚以上とするためには、例えば、各層に添加する無機材粒子の平均粒径を層厚以上とすればよい。
次に、各層における無機材粒子の状態について説明する。ここでは、剥離層20を例として、粒径の大きな単一の無機材粒子が分布している状態と、粒径の小さな複数の無機材粒子が分布している状態とについて説明する。なお、剥離層20の内部では、粒径の異なる多数の無機材粒子が多様な形態で分布しており、図3(A)、(B)に示す分布は、各分布状態を誇張して示している。また、図3(A)、(B)において、破線の矢印は、ガスが通過する経路を概念的に示している。
図3(A)に示すように、剥離層20に含有される無機材粒子のうち、粒径が剥離層20の層厚以上となる無機材粒子20bは、表面の一部が剥離層20の表面20f及び裏面20rに接触又は突出した状態となる。ここで、「接触」とは、粒子の表面の一部が剥離層20の表層面と接している状態をいう。また、「突出」とは、粒子の表面の一部が剥離層20の表層面から外側に出ている状態をいう。本明細書では、「接触」及び「突出」を含めて「表出」という。
図3(A)に示すように、多孔質の粒子である無機材粒子20bの表面の一部が剥離層20の表面20f及び裏面20rから表出することにより、剥離層20の表面20f及び裏面20rは、無機材粒子20bを介して空間的に連通した状態となる。これによれば、剥離層20と装飾層30(図1参照)との間に生じたガス(気泡)は、無機材粒子20bが剥離層20の裏面20rに表出する部分から無機材粒子20bの内部に入り込み、無機材粒子20bの内部に形成された空隙(不図示)を通過して、剥離層20の表面20fに表出する部分から無機材粒子20bの外部に排出される。このように、無機材粒子20bの表面の一部が、剥離層20の表面20f及び裏面20rから表出することにより、剥離層20の裏面20r側から表面20f側にガスの通路となる通気手段が構成される。
一方、図3(B)に示すように、剥離層20に含有される粒径が剥離層20の層厚未満となる無機材粒子20bのうち、互いに近傍に位置する複数の無機材粒子20bは、剥離層20の厚さ方向に沿って接するように配列している。図3(B)では、剥離層20の厚さ方向に沿って2個及び3個の無機材粒子20bが配列している様子を示しているが、4個以上の無機材粒子20bが配列していてもよい。なお、図3(B)に示すように、粒径が剥離層20の層厚未満となる無機材粒子20bの中には、剥離層20の厚さ方向に沿って接するように配列していない粒子も存在している。
例えば、剥離層20の厚さ方向に沿って2個の無機材粒子20bが配列している形態において、剥離層20と装飾層30(図1参照)との間に生じたガス(気泡)は、剥離層20の裏面20r側に位置する無機材粒子20b−1が剥離層20の裏面20rに表出する部分から無機材粒子20b−1の内部に入り込む。そのガスは、無機材粒子20b−1の内部に形成された空隙を通過して、剥離層20の表面20f側に位置する無機材粒子20b−2の側へ移動する。そして、無機材粒子20b−1が20b−2と接する部分から無機材粒子20b−2の内部に入り込む。更に、ガスは、無機材粒子20b−2の内部に形成された空隙を通過して、剥離層20の表面20fに表出した部分から無機材粒子20b−2の外部に排出される。
一方、剥離層20の厚さ方向に沿って3個以上の無機材粒子20bが配列している形態では、無機材粒子20b−1と20b−2との間に介在する他の1又は2以上の無機材粒子20bを介して、無機材粒子20b−2から外部に排出される。このように、剥離層20の表面20f側に位置する無機材粒子20bの表面の一部及び剥離層20の裏面20r側に位置する無機材粒子20bの表面の一部が、それぞれ剥離層20の表面20f及び裏面20rから表出することにより、剥離層20の裏面20r側から表面20f側にガスの通路となる通気手段が構成される。
なお、図3においては、剥離層20を例として説明したが、装飾層30及び接合層40においても、添加された無機材粒子20bにより剥離層20と同じ通気手段が構成されるため、同様の作用により内部に生じたガスを外部に排出できる。
従って、図1に示すように、剥離層20、装飾層30及び接合層40が積層された転写層2において、転写層2と被転写基材60(後述)との境界に生じた隙間、被転写基材60の内部等に生じたガスは、接合層40、装飾層30、剥離層20の順に各層を通過して、剥離層20の表面20fから外部に排出される。このように、転写層2を構成する各層は、単一の樹脂層ではないため、層間においてガス(気泡)が一箇所に集中しにくくなる。これによれば、ガスが熱で軟化した弱い部分に集中しにくくなるので、膨れ、剥がれ等の発生を抑制できる。
なお、転写シート1の剥離層20の上にトップコート層70(後述)を形成する場合においては、このトップコート層70にも無機材粒子が添加される。
(化粧材100の製造方法)
次に、化粧材100の製造方法について説明する。
図4及び図5は、化粧材100の製造方法を示す断面図である。
まず、図4(A)に示すように、転写シート1から剥離フィルム50を剥離する。転写シート1から剥離フィルム50を剥離することにより、接合層40の装飾層30とは反対側の面(接合面)が露出する。
次に、図4(B)に示すように、剥離フィルム50を剥離した転写シート1を、被転写基材60に貼り付けする。
図4(B)に示すように、転写の対象となる被転写基材60は、被転写基材本体61と、シーラー層62と、を備える。
被転写基材本体61は、転写シート1が転写される対象物品である。被転写基材本体61としては、例えば、無機材、木材、樹脂等の材料から成る板、壁等が挙げられる。このうち、無機材としては、例えば、石材、コンクリート、珪酸カルシウム、ガラス、金属等が挙げられる。また、被転写基材本体61は、無機材から成る陶磁器等の焼き物(窯業系焼成物)であってもよい。
シーラー層62は、被転写基材本体61の表面を滑らかにして、被転写基材本体61と転写シート1との密着性を高めるための下塗り層である。本実施形態においては、被転写基材本体61とシーラー層62とから被転写基材60が構成されている。但し、本来の転写対象は、被転写基材本体61であり、従って、被転写基材本体61の表面に、他の層を介すること無く、直接、転写層2を転写してもよい。被転写基材本体61の表面(被転写面)の平滑性が十分な場合、シーラー層62を省略できる。
次に、図5(C)に示すように、被転写基材60に転写された転写シート1から離型性支持体10を剥離する。転写シート1から離型性支持体10を剥離することにより、剥離層20の装飾層30とは反対側の面が露出する。図5(C)において、転写シート1の接合層40と被転写基材60とは、強い粘着力で接合されるため、転写シート1から離型性支持体10を剥離した際に、転写シート1が被転写基材60から剥離することはない。
転写シート1の被転写基材60への転写は、例えば、ロール・ツゥ・ロール、ロール・ツゥ・シート等の形態により連続して行うことができる。
「ロール・ツゥ・ロール」とは、帯状の転写シート1をロール(巻取)から引き出して平板状の被転写基材60(被転写基材本体61及びシーラー層62)に供給し、転写層2を被転写基材上に転写した後、転写層2が離型された帯状の離型性支持体10(基材フィルム)を、再度ロールに巻き取る加工形態を言う。
また、「ロール・ツゥ・シート」とは、帯状の転写シート1をロール(巻取)から引き出して平板状の被転写基材に供給し、転写層2を被転写基材上に転写する前後において、転写シート1を概ね被転写基材の1枚分に相当する寸法に切断して枚葉化し、転写層2が離型された枚葉の離型性支持体を、1枚毎に除去(廃棄)する加工形態を言う。また、転写シート1を手作業により被転写基材60に転写し、その後、ヘラ等により押圧して、被転写基材60の表面に均一に密着させてもよい。本実施形態において、接合層40を粘着剤組成物等により形成した場合、転写シート1は、被転写基材60に常温で転写することができる。
一方、接合層40としてヒートシール層を用いた場合、転写シート1は、100数十度の熱圧により被転写基材60に転写される。すなわち、接合層40としてヒートシール層を用いた場合、熱圧着、インモールド成型等によりヒートシール層に熱を加えて融解させることにより、転写シート1を被転写基材60に転写させる必要がある。
次に、図5(D)に示すように、剥離層20の露出した面の上に、トップコート層70を形成する。以下、トップコート層70を含む転写シート1と被転写基材60との積層体を「化粧材100」ともいう。トップコート層70は、仕上げ剤として、化粧材100の表面に色彩、光沢等を付与すると共に、装飾層30を保護するための層である。また、トップコート層70を形成することにより、化粧材100に耐候性、耐汚染性を付与することもできる。トップコート層70としては、例えば、アクリル樹脂、珪素系樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。なお、図示していないが、トップコート層70についても、上述した各層と同じ粒径、添加量の無機材粒子が添加される。
トップコート層70の厚さについては、特に限定されないが、5μm以上1000μm以下が好ましく、10μm以上300μm以下がより好ましい。
接合層40として、熱硬化性樹脂から成るヒートシール層を形成した場合は、トップコート層70を形成した後、化粧材100を加熱することにより、接合層40が硬化して、被転写基材60に転写シート1が密着する。
以上の工程を経ることにより、化粧材100が完成する。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態の転写シート1Aについて説明する。
第2実施形態の転写シート1Aは、装飾層の構成が第1実施形態と相違する。第2実施形態の転写シート1Aにおいて、その他の構成は、第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態の説明及び図面においては、第1実施形態と同等の部材等に第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図6は、第2実施形態における転写シート1Aの断面図である。
第2実施形態の転写シート1Aは、装飾層30Aに無機材粒子30b(図1参照)を含有していない点が第1実施形態と異なる。本実施形態の装飾層30Aは、網点印刷のインキ材30cが絵柄の模様に合わせて部分的に形成されている。装飾層30Aには無機材粒子30bが添加されていないが、装飾層30Aにおいてインキ材30cの存在していない部分で剥離層20の無機材粒子20bと、接合層40の無機材粒子40bとが接触する。そのため、転写層2と被転写基材60(図5参照))との境界に生じた隙間、被転写基材60の内部等に生じたガスは、接合層40、装飾層30、剥離層20の順に各層を通過して、剥離層20の表面20fから外部に排出される。
本実施形態のように、装飾層30Aに無機材粒子が含有されていなくても、隣接する剥離層20と接合層40との間において、それぞれの無機材粒子同士が接触していれば、内部で発生したガスを外部に排出できる。
次に、実施例及び比較例を示して、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
離型性支持体10として、26μm厚のPETフィルム(「ダイアホイル」 三菱樹脂株式会社製)から成る基材フィルム形態の物を用意し、その一方の面にアクリル樹脂組成物(「46−7」 昭和インク工業株式会社製)から成るインキを塗布して、膜厚(dry)2μmの剥離層20を形成した。この剥離層20の上にアクリル−塩酢ビ樹脂組成物と着色剤から成るグラビアインキ(「EIS」 昭和インク工業株式会社製)を用いて複数回の印刷を行い、装飾層30を形成した。上記各インキには、無機材粒子として、平均粒径2.7μmの微粉末シリカ(「サイリシア」 富士シリシア化学株式会社製)を、積層体(剥離層20及び装飾層30)を形成する樹脂100質量部に対して50質量部となるように添加した。
一方、被転写基材60として珪酸カルシウム板を用意し、この上にアクリル−ウレタン樹脂組成物(「KSIプライマー」 昭和インク工業株式会社製)に微粉末シリカを添加したインキを塗布して、接合層(ヒートシール層)40を形成した。微粉末シリカの粒径、添加量は、上記積層体と同じである。
更に、離型性支持体10に形成した装飾層30と、被転写基材60に形成した接合層40とを貼り合わせ、180℃で熱転写することにより、実施例1の化粧材を得た。
<実施例2>
各層において、微粉末シリカの添加量を20質量部とし、被転写基材60をクロス・ラミネーテッド・ティンバー(CLT)材とした以外は、実施例1と同じ条件で化粧材を作製した。
<実施例3>
各層において、微粉末シリカの添加量を50質量部とし、接合層40を転写シート1側に形成した以外は、実施例2と同じ条件で化粧材を作製した。
<実施例4>
各層において、微粉末シリカの粒径を4μm、添加量を50質量部とした以外は、実施例2と同じ条件で化粧材を作製した。
<比較例1>
各層に微粉末シリカを添加しない以外は、実施例1と同じ条件で化粧材を作製した。
<比較例2>
各層において、微粉末シリカの添加量を10質量部とした以外は、実施例2と同じ条件で化粧材を作製した。
<比較例3>
各層において、微粉末シリカの添加量を60質量部とした以外は、実施例2と同じ条件で化粧材を作製した。
上記実施例1〜3及び比較例1〜3の各化粧材について、転写性と耐熱性について評価を行った。なお、各化粧材において、トップコート層70は形成していない。
転写性は、接合層40と被転写基材60との密着性を検証するための試験項目である。ここでは、24mm幅のセロファンテープ(ニチバン株式会社製)を50mmの長さで化粧材の表面に強く押し延ばして密着させた後、化粧板の面方向に対して90度の角度で急激に引き剥がし、転写シートの剥がれの有無を目視により観察した。テープを密着させた全域で転写シートの剥がれが観察された場合を「×」とし、一部で転写シートの剥がれが観察された場合を「△」とした。また、転写シートの剥がれが観察されない場合を「○」とした。
耐熱性は、JIS K6902に準拠した耐熱試験法により試験した。この耐熱試験法は、油を入れて180℃まで加熱した鍋を化粧材の表面に20分間放置して、化粧材の表面の変化を観察するものである。化粧材の表面に膨れ、外観変化が観察された場合を「×」とし、観察されない場合を「○」とした。
実施例1〜3及び比較例1〜3の各化粧材について、上記各試験項目による評価結果を図7に示す。
(評価結果)
実施例1〜3の化粧材は、被転写基材60からの転写シートの剥離が観察されず、転写性(密着性)に優れていることが確認された。実施例4は、転写シートの一部に剥離が確認された。また、実施例1〜4の化粧材は、表面に膨れ、外観変化が観察されず、耐熱性に優れていることが確認された。
比較例1、2の化粧材は、転写性については、実施例1〜3と同等の結果が得られた。しかし、比較例1、2の化粧材は、表面に膨れ、外観変化が観察された。これは、比較例1の化粧材では、微粉末シリカを添加しなかったために通気手段が構成されず、層間で生じたガスが排出されなかったためと考えられる。また、比較例2の化粧材では、微粉末シリカの添加量が少ないため、層内において無機材粒子による通気手段が十分に構成されなかったためと考えられる。
比較例3の化粧材は、被転写基材60に転写シートを転写できなかったため、転写性の評価は「×」となった。また、耐熱性は、評価自体ができなかった。これは、比較例3の化粧材では、微粉末シリカの添加量が多すぎたため、各層を構成する膜が適切に形成されなかったためである。
以上の結果から、実施例1〜3の化粧材は、転写性及び耐熱性に優れていることが明らかとなった。また、実施例4の化粧材は、耐熱性に優れていることが明らかとなった。
本発明に係る転写シートは、被転写基材60(及び被転写基材本体61)に対して優れた耐熱性を付与できる。この化粧材は、建築物の壁材(外装材、内装材)、間仕切り、扉、窓枠、家具、室内装飾品等のほか、自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の乗り物の室内用又は室外(外装)用カバー材、各種標識、屋外広告等のパネル材等にも適用することができる。
1 転写シート
2 転写層
10 離型性支持体(基材フィルム)
20 剥離層
20b、30b、40b 無機材粒子
30 装飾層
40 接合層
50 剥離フィルム
60 被転写基材
61 被転写基材本体
62 シーラー層
70 トップコート層
100 化粧材

Claims (6)

  1. 離型性支持体と、転写層と、がこの順に積層され、
    前記転写層は、通気手段を含む転写シート。
  2. 請求項1に記載の転写シートであって、
    前記転写層は、無機材粒子を含有しており、
    前記通気手段は、前記無機材粒子の表面の一部が、前記転写層の表面及び裏面から表出することにより構成される転写シート。
  3. 請求項1に記載の転写シートであって、
    前記転写層は、無機材粒子を含有しており、
    前記通気手段は、前記転写層の内部で複数の前記無機材粒子が前記転写層の厚さ方向に沿って接するように配列しており、前記転写層の表面側に位置する前記無機材粒子の表面の一部及び前記転写層の裏面側に位置する前記無機材粒子の表面の一部が、それぞれ前記転写層の表面及び裏面から表出することにより構成される転写シート。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の転写シートであって、
    前記無機材粒子は、複数の空隙を有する多孔質の粒子である転写シート。
  5. 請求項4に記載の転写シートであって、
    前記多孔質の粒子は、微粉末のシリカである転写シート。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の転写シートであって、
    前記転写層は、剥離層、装飾層及び接合層のうちの少なくとも一層から構成され、前記転写層を構成する1又は複数の層は、それぞれ前記通気手段を備える転写シート。
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