JP2020015552A - 青果物の鮮度保持用収納袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】、短時間で保存環境に適応させることができ、枝豆やブロッコリー等の過湿状態でカビが成長し易く変色が起こり易い青果物の収納に適している上、製造が容易な青果物の鮮度保持用収納袋を提供する。【解決手段】収納袋1は、2軸延伸ポリプロピレンフィルムによって形成されており、左右の端縁が熱シールされている。また、その熱シール部分Mの最大厚みが、熱シール部分Mの幅に対して一定の割合の範囲内になるように調整されている。そして、その熱シールされた端縁から所定の距離の範囲内に、気体を透過させるための円形の透過孔Hが穿設されている。【選択図】図1

Description

本発明は、合成樹脂フィルムによって形成された青果物の鮮度保持用の収納袋に関するものである。
葉菜類、果菜類、根菜類、フルーツ、菌茸類等の各種の青果物を収納するための収納袋として、合成樹脂製のフィルムによって形成された二方袋、三方袋、合掌袋、パウチ、ガゼット袋等の収納袋が知られている。また、そのような合成樹脂製のフィルムからなる収納袋は、2枚の合成樹脂フィルムを重ねて(あるいは単一の合成樹脂フィルムを折り畳んで)外周をヒートシール(熱接着)することによって形成されることが多い。そのため、ヒートシールの容易性(比較的に低い温度でヒートシールできること)の観点から、ポリオレフィン樹脂製のフィルムによって形成された収納袋が広く用いられている(特許文献1)。
また、ポリオレフィン樹脂製のフィルムからなる収納袋は、水蒸気透過度が低く、水蒸気の排出量が大きい青果物を収納して密封すると、フィルムの内面に水滴が付着して曇り、外観が低下してしまうため、微細な孔やスリットを設けて水蒸気透過度を調整したものも開発されている。
特開2004−284654号公報
しかしながら、特許文献1の如き微細な孔やスリットを設けたポリオレフィン系樹脂フィルムからなる従来の収納袋は、十分な水蒸気透過度(単位時間当たりの水蒸気透過度)を確保できないので短時間で保存環境に適応させることが困難であるため、枝豆やブロッコリー等の過湿状態でカビが成長し易く変色が起こり易い青果物の収納には適していない。また、微細な孔やスリットを設けたポリオレフィン系樹脂フィルムからなる収納袋は、製袋工程の途中でポリオレフィン系樹脂フィルムに微細な孔やスリットを均一に設けなければならないため、製造にコストおよび手間が掛かる、という不具合がある。
本発明の目的は、上記従来の青果物の鮮度保持用の収納袋が有する問題点を解消し、短時間で保存環境に適応させることができ、枝豆やブロッコリー等の過湿状態でカビが成長し易く変色が起こり易い青果物の収納に適している上、製造が容易な青果物の鮮度保持用収納袋を提供することにある。
本発明の内、請求項1に記載された発明は、合成樹脂フィルムによって形成された青果物の鮮度保持用収納袋であって、少なくとも左右のいずれかの端縁が熱シールされており、その熱シール部分の最大厚みが、熱シール部分の幅の55%以上100%未満であるとともに、熱シールされた端縁から50mmの距離の範囲内に、気体を透過させるための少なくとも1つの透過孔が穿設されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記熱シール部分の最大厚みが、合成樹脂フィルムの厚みの2倍以上12倍未満であることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、前記透過孔が、0.007mm以上80mm以下の面積を有するものであることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、合成樹脂フィルムが、15μm以上45μm未満の厚みを有しており、かつ、合成樹脂フィルムの熱シール部分に対して直交する方向の引張弾性率が3,000kg/N以上4,500MPa未満であることを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された発明において、前記熱シール部分が、溶断シールによって形成されたものであることを特徴とするものである。
本発明に係る青果物の鮮度保持用収納袋は、透過孔の周囲の表裏の合成樹脂フィルムが開きにくいため、透過孔が大径であっても水蒸気やCOの透過量の微調整が可能である上、大径の透過孔を介して短時間で保存環境に適応させることができるため、鮮度保持効果に優れており、枝豆やブロッコリー等の過湿状態でカビが成長し易く変色が起こり易い青果物の収納にも適している。また、製造時に、製袋工程の途中で合成樹脂フィルムに複数の微細な孔やスリットを均一に設ける必要がないため、安価に、かつ、容易に製造することができる。
収納袋の熱シール部分の水平断面を拡大して示す説明図である。 実施例で作製された収納袋を示す説明図(正面図)である。 実施例で作製された収納袋を示す説明図(正面図)である。 実施例で作製された収納袋を示す説明図(正面図)である。 実施例で作製された収納袋を示す説明図(正面図)である。
本発明に係る青果物の鮮度保持用収納袋(以下、単に、収納袋という)は、合成樹脂フィルムによって形成されており、少なくとも左右のいずれかの端縁が所定の形状になるように熱シールされているとともに、その熱シールされた端縁から所定の距離の範囲内に、気体を透過させるための少なくとも1つの透過孔が穿設されたものである。
本発明に係る収納袋を形成するための合成樹脂フィルムとしては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等のヒートシールまたは溶断シールが可能な汎用の合成樹脂フィルムを好適に用いることができるが、それらの中でも、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムあるいはポリ乳酸フィルムを用いると、収納袋の透明性が高くなり、青果物を収納した場合に内部を見易くなるので好ましい。
また、合成樹脂フィルムは、単一層からなるもので良いし、基材層の上に熱融着層等を積層した多層構造を有するものでも良いが、合成樹脂フィルムとして、基材層である二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、溶融押出ししたポリエチレンを熱融着層として積層させることによって形成された積層フィルムを用いることもできる。
また、形成材料である合成樹脂フィルムの厚さは、特に限定されないが、5〜75μmの範囲であると好ましく、20〜50μmの範囲であるとより好ましい。合成樹脂フィルムの厚さが5μmを下回ると、フィルムの“腰”がなくなってしまい、青果物を収納する際に、袋を開にくくなる為、収納作業に時間がかかる上、収納後の商品にボリューム感がなく扱いにくくなるので好ましくない。反対に、合成樹脂フィルムの厚さが75μmを上回ると、フィルムの剛性が高くなりすぎて、青果物を収納しにくくなったり、収納した後の密封作業がしにくくなったりするので好ましくない。
また、本発明に係る収納袋は、各種の青果物(特に、枝豆やブロッコリー等の袋内が過湿状態となったときにカビが成長し易く、呼吸が激しく行われて変色し易いもの)を収納可能なものであるが、鮮度保持性を良好なものとするために、収納袋の内面が防曇性を有していることが好ましい。防曇性を付与する方法は、特に限定されるものではないが、収納袋を形成する合成樹脂原料中に予め防曇剤を含有させても良いし、収納袋の内面となるフィルム面に、防曇剤をコーティングしても良い。ここで用いる防曇剤としては、非イオン系の界面活性剤をあげることができ、防曇性と併せて帯電防止性を発揮するものを用いるのが好ましい。
そのような防曇剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル類、高級脂肪酸のアミン類、高級脂肪酸のアマイド類、ショ糖脂肪酸エステル類、高級脂肪酸のアミンやアマイドのエチレンオキサイド付加物等の非イオン系の界面活性剤を挙げることができる。そして、それらの防曇剤の中でも、ポリオキシエチレンアルキルアミン型、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル型、脂肪酸グリセリンエステル型を併用するのが好ましい。また、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂をコーティング剤として用いても良い。
加えて、合成樹脂フィルムを形成する樹脂には、必要に応じて各層の特性を阻害しない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、核剤、難燃剤、顔料、染料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、マイカ、タルク、クレー、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、抗菌剤、自然分解性を付与する添加剤等を添加することができる。さらに、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム類、炭化水素樹脂、石油樹脂等を合成樹脂フィルムの特性を害さない範囲で配合しても良く、収納する青果物体内の水分の状態を制御するための特殊な処理を合成樹脂フィルムに施しても良い。
また、本発明に係る収納袋は、少なくとも左右のいずれかの端縁(すなわち、左右いずれかの端縁あるいは左右両側の端縁)が所定の形状に熱シール(溶断シール)されていることが必要である。図1は、本発明に係る収納袋の熱シール部分の水平断面を示したものであるが、具体的には、熱シール部分(図1におけるM)の厚み(図1におけるa)が熱シール部分の幅(図1におけるb)に対して55%以上100%未満となるように調整する必要がある。熱シール部分の幅に対する熱シール部分の厚みが55%未満であると、熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムの拘束力が小さくなり、(表裏2枚の)合成樹脂フィルムが開き易くなってしまうので好ましくなく、逆に熱シール部分の幅に対する熱シール部分の厚みが100%を上回ると、熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムの拘束力が大きくなり、(表裏2枚の)合成樹脂フィルムが開きにくくなってしまうので好ましくない上に、さらに熱シール部分の幅に対する熱シール部分の厚みが大きくなりすぎると、熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムに熱歪みが生じてしまい、却って(表裏2枚の)合成樹脂フィルムが隙間なく当接しにくくなるので好ましくない。熱シール部分の幅に対する熱シール部分の厚みは、58%以上90%未満であるとより好ましく、60%以上85%未満であると特に好ましい。
上記の如く、熱シール部分の最大厚みが、熱シール部分の幅に対して一定の割合になるように、熱シール時に合成樹脂フィルムを溶融させて収縮させることによって、その熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムの開き具合が調節可能となる。そして、本発明に係る収納袋は、そのように開き具合が調節可能となった部分(すなわち、熱シール部分から所定の距離(50mm)内の部分)に、水蒸気やCO等の気体の出入りを促す透過孔を穿設することによって、(透過孔が比較的に大径のものであっても)水蒸気やCOの透過量を微調整することができる上、大径の透過孔を介して短時間で保存環境に適応させることが可能になっているため、きわめて良好な青果物の鮮度保持効果を奏することができる。
上記の如く熱シール部分の形状を調整する方法は、特に限定されないが、その一つとして、収納袋の左右の端縁を溶断シールする際の溶断シール装置における刃先(溶断刃)の温度、刃先の角度、溶断シールの速度を調整する方法を挙げることができる。具体的には、刃先(溶断刃)の温度を300℃以上450℃未満の範囲内に調整し、刃先の角度を60°以上130°未満の範囲内に調整するとともに、溶断シールの速度を60個/分以上200個/分未満の範囲内に調整するのが好ましい。
また、上記の如く所定の形状に熱シールされた部分から所定の距離(50mm)内の部分に穿設する透過孔の大きさは、特に限定されないが、1個当たりの面積が0.007mm以上80mm以下であると、水蒸気やCOの透過量を調整し易く、青果物の鮮度保持効果が一段と良好なものとなるので好ましい。また、透過孔の個数も、特に限定されないが、合計の面積が0.016mm以上160mm以下であると、水蒸気やCOの透過量の調整が一層容易となり、青果物の鮮度保持効果がきわめて良好なものとなるので特に好ましい。さらに、熱シール部分の最大厚みが合成樹脂フィルムの厚みの2倍以上12倍未満になるように熱シール部分の形状を調整すると、熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムの開きにくさ(開き易さ)が適度なものとなり、水蒸気やCOの透過量の調整が一段と容易なものとなるのできわめて好ましい。
なお、透過孔を穿設する位置は、熱シールされた部分から所定の距離(50mm)内であれば、特に限定されないが、40mm以内であると、表裏2枚の合成樹脂フィルムの開き具合との相乗効果が得られ易くなり、水蒸気やCOの透過量をより調整し易くなるので好ましく、10mm以内であるとより好ましく、0mmであると(すなわち、熱シール部分に透過孔が穿設されていると)特に好ましい。
一方、透過孔の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、矩形等の各種の形状にすることができる。加えて、熱シールされた部分から所定の距離(50mm)内の部分であれば、袋本体に穿設する透過孔の位置も、特に限定されないが、袋本体の上端際(ヒートシール部分やジッパー等の密封手段から概ね50mm以内)、あるいは袋本体の下端際(ヒートシール部分から概ね50mm以内)に透過孔を設けると、青果物を収納して積層した場合でも、透過孔が塞がれにくく、安定した鮮度保持効果を発現できるので好ましい。
また、本発明に係る収納袋に使用される合成樹脂フィルムの厚みや柔軟性、強度等も特に限定されないが、合成樹脂フィルムの厚みを15μm以上45μm未満に調整するとともに、合成樹脂フィルムの熱シール部分に対して直交する方向(すなわち、収納袋の幅方向)の引張弾性率を3,000kg/N以上4,500MPa未満に調整すると、熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムの開き具合を調整し易くなり、水蒸気やCOの透過量の調整がより容易になることから、青果物の鮮度保持効果がきわめて良好なものとなるので特に好ましい。
さらに、本発明に係る収納袋の形状は、特に限定されず、左右および下部をヒートシールしてなる三方袋や、二つ折りされた合成樹脂フィルムの左右をヒートシールしてなる二方袋、パウチ等の各種の形状にすることが可能である。
以下、実施例・比較例によって本発明に係る収納袋について詳細に説明するが、本発明の収納袋は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。また、実施例および比較例における特性の評価方法は以下の通りである。
<熱シール部分の形状>
実施例・比較例で得られた収納袋の左端縁の溶断シール部分(熱シール部分)の幅および厚みを株式会社ハイロックス社製デジタルマイクロスコープKH−7700(レンズMXG2500REZ Low−Range 150倍)によって測定した。
<引張弾性率>
実施例・比較例において収納袋の製造に用いた合成樹脂フィルムを裁断して、長さ150mm×幅15mm×厚さ0.5mmのストリップ状のサンプルを作成した。そして、温度23℃、相対湿度50%の条件下で、JIS K−7127に準拠し、島津株式会社製オートグラフAG−100E型を使用し、サンプルを100mmの距離を隔てたチャック間に掴み、引張速度200mm/分で引っ張り、引張比例限度内における引張応力とそれに対応するひずみの比を引張弾性率として算出した。
<鮮度保持特性(枝豆)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅150mm×高さ250mmのもの)に、約250gの枝豆を詰めた後に、その収納袋の上部をヒートシールすることによって収納袋を密封した。そして、その枝豆を収納した収納袋を、以下の2種類の温湿度・期間の条件下で保管した。しかる後、収納された枝豆の状態を、乾燥度合い、色および臭気の観点から下記の4段階で官能評価した。
・保管条件
a.20℃×40%RHの雰囲気下で120時間(5日間)保管
b.30℃×80%RHの雰囲気下で72時間(3日間)保管
・評価基準
◎:色・臭気において収納前のものとの違いがまったく認められない。
○:若干乾燥した様子であるものの、変色・異臭が認められない。
△:わずかな変色、微かな異臭が認められる。
×:全体的な乾燥、変色、明確な異臭、カビの発生、腐敗が認められる。
<鮮度保持特性(ブロッッコリー)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅230mm×高さ320mmのもの)に、約370gのブロッッコリーを詰めた後に、その収納袋の上部をヒートシールすることによって収納袋を密封した。そして、そのブロッッコリーを収納した収納袋を、以下の2種類の温湿度・期間の条件下で保管した。しかる後、収納されたブロッッコリーの状態を、乾燥度合い、色、臭気および花蕾の落下の観点から下記の4段階で官能評価した。
・保管条件
a.20℃×40%RHの雰囲気下で72時間(3日間)保管
b.20℃×40%RHの雰囲気下で96時間(4日間)保管
・評価基準
◎:色・臭気において収納前のものとの違いがまったく認められない。
○:若干乾燥した様子であるものの、変色・異臭が認められない。
△:わずかな変色、微かな異臭が認められる。
×:全体的な乾燥、変色、明確な異臭、カビの発生、腐敗、花蕾の落下が認められる。
[実施例1]
防曇剤を練り込んだ厚さ20μmの長尺な二軸延伸ポリオレフィンフィルム(OPPフィルム 東洋紡(株)製 P5562)を、トタニ技研工業株式会社製高速サイドウェルド自動製袋機HK65Vを用いて、長手方向に沿って二つ折りした後に、下記の条件にて、所定の間隔で溶断(ヒートシールおよび裁断)することによって(すなわち、ヒートシール後に裁断することによって)、所定の大きさ(幅150mm×高さ250mm、および、幅230mm×高さ320mmの2種類)を有する2種類の二方袋(二つ折りしたOPPフィルムの左右をヒートシールしたもの)を作製した。
<溶断条件>
・刃先の温度:420℃
・刃先の角度:120°
・溶断速度:120個/分(1ショット当たりの時間:0.4秒)
そして、その二方袋(袋本体)の熱シール部分から約10.0mm内側の部分に、4.0mmφの円形の透過孔(パンチ孔)を穿設することによって(透過孔の中心が熱シール部分から10mm内側になるように穿設することによって)、実施例1の収納袋を得た。さらに、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。加えて、収納袋の製造に用いたOPPフィルムの長手方向の引張弾性率(すなわち、収納袋における幅方向の引張弾性率)を上記した方法によって測定した。
図2は、実施例1の収納袋を示したものである。収納袋Pは、OPPフィルムによって形成された正面視矩形状の二方袋であり、左右の両端縁が溶断シールされている。そして、左側の溶断シール部分(熱シール分)から10mm内側の部分に、4.0mmφの円形の1個の透過孔Hが穿設されている(透過孔Hの面積=約12.56mm
そして、上記の如く得られた2種類の収納袋の内の小型のもの(幅150mm×高さ250mmのもの)を用いて、上記した方法によって、枝豆に対する収納袋の鮮度保持特性を評価した。一方、上記の如く得られた収納袋の内の大型のもの(幅230mm×高さ320mmのもの)を用いて、上記した方法によって、ブロッコリーに対する収納袋の鮮度保持特性を評価した。それらの鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例2]
収納袋を作製する際に、構成材料である合成樹脂フィルムを、防曇剤を練り込んだ厚さ20μmのOPPフィルム(東洋紡(株)製 P5562)と厚さ20μmのOPPフィルム(グンゼ(株)製 SVS2)とのラミネートフィルムに変更するとともに、溶断条件を、以下のように変更した。
<溶断条件>
・刃先の温度:380℃
・刃先の角度:90°
・溶断速度:90個/分(1ショット当たりの時間:0.6秒)
そして、それ以外は実施例1と同様にして実施例2の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定するとともに、収納袋の製造に用いたラミネートフィルムの長手方向の引張弾性率を上記した方法によって測定した。実施例2の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例3]
収納袋を作製する際に、構成材料である合成樹脂フィルムを、防曇剤を練り込んだ厚さ20μmの二軸延伸ポリ乳酸フィルム(三菱ケミカル(株)製 エコロージュSG106)に変更するとともに、溶断条件を、以下のように変更した。
<溶断条件>
・刃先の温度:370℃
・刃先の角度:90°
・溶断速度:120個/分(1ショット当たりの時間:0.4秒)
そして、それ以外は、実施例1と同様にして実施例3の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定するとともに、収納袋の製造に用いた二軸延伸ポリ乳酸フィルムの長手方向の引張弾性率を上記した方法によって測定した。実施例3の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例4]
収納袋を作製する際に、構成材料である合成樹脂フィルムを、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなるベースフィルムの上にポリエステル樹脂を溶融押し出ししてなる総厚さ32μmのラミネートフィルム(中本パックス(株)製 HS−PET)に変更するとともに、溶断条件を、以下のように変更した。
<溶断条件>
・刃先の温度:360℃
・刃先の角度:60°
・溶断速度:100個/分(1ショット当たりの時間:0.5秒)
そして、それ以外は、実施例1と同様にして実施例4の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定するとともに、収納袋の製造に用いたラミネートフィルムの長手方向の引張弾性率を上記した方法によって測定した。実施例4の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例5]
収納袋を作製する際に、構成材料である合成樹脂フィルムを、ポリエチレンとポリプロピレンとを共押し出ししてなる総厚さ25μmの未延伸フィルム(サン・トックス(株)製 YJ02)に変更するとともに、溶断条件を、以下のように変更した。
<溶断条件>
・刃先の温度:300℃
・刃先の角度:60°
・溶断速度:100個/分(1ショット当たりの時間:0.5秒)
そして、それ以外は、実施例1と同様にして実施例5の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定するとともに、収納袋の製造に用いた未延伸フィルムの長手方向の引張弾性率を上記した方法によって測定した。実施例5の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例6]
収納袋を作製する際の溶断条件を、以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例6の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。
<溶断条件>
・刃先の温度:420℃
・刃先の角度:90°
・溶断速度:120個/分(1ショット当たりの時間:0.4秒)
また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。実施例6の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例7]
収納袋を作製する際の溶断条件を、以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例7の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。
<溶断条件>
・刃先の温度:420℃
・刃先の角度:120°
・溶断速度:100個/分(1ショット当たりの時間:0.5秒)
また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。実施例7の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例8]
実施例1と同様な方法によって作成した二方袋(袋本体)の熱シール部分の上に、4.0mmφの半円形の透過孔(パンチ孔)を穿設することによって、実施例8の収納袋を作製した。図3は、実施例8の収納袋を示したものである。収納袋Pは、OPPフィルムによって形成された正面視矩形状の二方袋であり、左右の両端縁が溶断シールされている。そして、左側の溶断シール部分(熱シール部分)に、4.0mmφの半円形の1個の透過孔Hが穿設されている(透過孔Hの面積=約6.28mm)。
そして、その実施例8の収納袋(大型のものおよび小型のもの)を用いて、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。実施例8の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例9]
実施例1と同様な方法によって作成した二方袋(袋本体)の左側の下端の隅部(熱シール部分と下端縁とが交差する部分)に、熱シール部分および下端縁からの各距離がいずれも所定の距離(1.0mm)になるように三角形状にヒートシール(約120℃)を施した。しかる後、その二方袋の左下端の隅部を、上記した三角形状のヒートシール部分の先端を含めて約45°の傾斜状に裁断することによって、ヒートシール部分の外側(左側)および下側に、それぞれ、2つの透過孔を形成することによって、実施例9の収納袋を作製した。図4は、実施例9の収納袋を示したものである。収納袋Pは、OPPフィルムによって形成された正面視矩形状の二方袋であり、左右の両端縁が溶断シールされている。そして、左下端の隅部(熱シール部分と下端縁とが交差する部分)に、略台形状のポイントシール部分Sが設けられており、そのポイントシール部分Sの外側(左側)および下側に、それぞれ、所定の開口面積(約0.63mm)の2つの透過孔H,Hが形成されている。
そして、その実施例9の収納袋(大型のもの、および小型のもの)を用いて、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。実施例9の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例10]
透過孔(パンチ孔)を穿設する位置を、二方袋(袋本体)の熱シール部分から約45.0mm内側の部分に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例10の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。実施例10の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例11]
二方袋(袋本体)に穿設する透過孔(パンチ孔)を10.0mmφの円形のものに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例11の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した(透過孔Hの面積=約78.5mm)。実施例11の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[実施例12]
実施例1と同様な方法によって作成した二方袋(袋本体)の熱シール部分から約8.0mm内側の部分に、1.0mmφの円形の6つの透過孔(パンチ孔)を、図5の如く、上下に並べて穿設することによって(透過孔の中心が熱シール部分から10mm内側になるように穿設することによって)、実施例12の収納袋を得た(6個の透過孔H,H・・の合計面積=約4.71mm)。そして、得られた収納袋を用いて、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。実施例12の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[比較例1]
収納袋を作製する際の溶断条件を、以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の収納袋を作製した。そして、実施例1と同様な方法によって、比較例1の収納袋の鮮度保持特性を評価した。
<溶断条件>
・刃先の温度:420℃
・刃先の角度:120°
・溶断速度:60個/分(1ショット当たりの時間:0.9秒)
また、得られた比較例1の収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。比較例1の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[比較例2]
収納袋を作製する際の溶断条件を、以下のように変更した以外は、実施例2と同様にして比較例2の収納袋を作製した。そして、実施例1と同様な方法によって、比較例2の収納袋の鮮度保持特性を評価した。
<溶断条件>
・刃先の温度:330℃
・刃先の角度:90°
・溶断速度:90個/分(1ショット当たりの時間:0.7秒)
また、得られた比較例2の収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。比較例2の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
[比較例3]
収納袋を作製する際の溶断条件を、以下のように変更した以外は、実施例3と同様にして比較例3の収納袋を作製した。そして、実施例1と同様な方法によって、比較例3の収納袋の鮮度保持特性を評価した。
<溶断条件>
・刃先の温度:370℃
・刃先の角度:60°
・溶断速度:120個/分(1ショット当たりの時間:0.4秒)
また、得られた比較例3の収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。比較例3の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
Figure 2020015552
表1から、熱シール部分の形状が本発明の要件を満たした実施例1〜12の収納袋は、いずれも、枝豆を収納した場合およびブロッコリーを収納した場合の鮮度保持機能が良好であることが分かる。これに対して、熱シール部分の形状が本発明の要件を満たさない比較例1〜3の収納袋は、いずれも、枝豆を収納した場合およびブロッコリーを収納した場合の鮮度保持機能が不良であることが分かる。
本発明に係る収納袋は、上記の如く優れた効果を奏するものであるため、特に、枝豆やブロッコリー等の青果物の鮮度保持用の収納袋として好適に用いることができる。
〜P・・収納袋
M・・熱シール部分
H,H,H・・透過孔
S・・ポイントシール部分
本発明の内、請求項1に記載された発明は、合成樹脂フィルムによって形成された青果物の鮮度保持用収納袋であって、少なくとも左右のいずれかの端縁が熱シールされており、その熱シール部分の最大厚みが、熱シール部分の幅の55%以上100%未満であるとともに、熱シールされた端縁から50mmの距離の範囲内に、気体を透過させるための少なくとも1つの透過孔が穿設されており、かつ、前記合成樹脂フィルムが、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、あるいはポリ乳酸フィルムであることを特徴とする。

Claims (5)

  1. 合成樹脂フィルムによって形成された青果物の鮮度保持用収納袋であって、
    少なくとも左右のいずれかの端縁が熱シールされており、
    その熱シール部分の最大厚みが、熱シール部分の幅の55%以上100%未満であるとともに、
    熱シールされた端縁から50mmの距離の範囲内に、気体を透過させるための少なくとも1つの透過孔が穿設されていることを特徴とする青果物の鮮度保持用収納袋。
  2. 前記熱シール部分の最大厚みが、合成樹脂フィルムの厚みの2倍以上12倍未満であることを特徴とする請求項1に記載の青果物の鮮度保持用収納袋。
  3. 前記透過孔が、0.007mm以上80mm以下の面積を有するものであることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の青果物の鮮度保持用収納袋。
  4. 合成樹脂フィルムが、15μm以上45μm未満の厚みを有しており、かつ、合成樹脂フィルムの熱シール部分に対して直交する方向の引張弾性率が3,000kg/N以上4,500MPa未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の青果物の鮮度保持用収納袋。
  5. 前記熱シール部分が、溶断シールによって形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の青果物の鮮度保持用収納袋。
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