JP2020012503A - オイルストレーナ - Google Patents
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Abstract
Description
変速機ケースの下部開口を塞ぐオイルパンには、変速機構部の作動や潤滑に用いられるオイルが貯留されている。オイルストレーナは、オイルの吸込口を、オイルパンに貯留されたオイルOL内に位置させて設けられている。
変速機構部の作動や潤滑に用いられたオイルは、金属粉などの異物を含んでいる。そのため、オイルストレーナには、オイルに含まれる異物を除去するためのフィルタ(サスメッシュ)が設けられている。
ここで、不織布が設けられたオイルストレーナでは、不織布がオイルの通過に対する抵抗となる。そうすると、オイルポンプが扱うことができるオイル量(吐出量)が低下して、いわゆるエア吸いが起こることがある。
コントロールバルブボディのオイルパン側の下面には、調圧弁からドレンされたオイルの排出孔が開口している。
そのため、オイルストレーナが大型化して、オイルパン側から見て、オイルの排出孔を覆うようにオイルストレーナが配置されると、排出孔から排出されたオイルは、オイルストレーナの外周縁を迂回して、オイルパンに戻ることになる。
また、オイルパンでは、オイルの粘度が高くなるほど、オイルストレーナの吸込口周りのオイルが、オイルストレーナ側に吸い込まれやすくなる。
このように、、オイル粘度が高い場合、オイルストレーナの吸込口付近のオイルが、オイルストレーナ側に積極的に吸われてしまう。かかる場合、オイルパンへのオイルの戻りが悪いと、吸込口付近には、オイルOLが直ぐに補充されない。
その結果、吸込口付近に空洞ができてしまうため、エア吸いが生じてしまう。
変速機ケースの下部開口を塞ぐオイルパンと、前記下部開口内に設置されたコントロールバルブボディとの間に配置されたオイルストレーナであって、
前記オイルストレーナには、当該オイルストレーナの前記コントロールバルブボディ側と前記オイルパン側とを連通させる連通路が少なくとも1つ設けられている構成とした。
図1は、ベルト式の無段変速機1のオイルパン25周りの構成を説明する図である。図1の(a)は、変速機ケース2におけるコントロールバルブボディ3周りを説明する断面図である。図1の(b)は、コントロールバルブボディ3の排出孔41a周りを拡大した図である。なお、図1の(a)には、車両における無段変速機1の設置状態を基準とした鉛直線VL方向(上下方向)が矢印で示されている。以下の説明においては、鉛直線VL方向における「上側(上方)」、「下側(下方)」を用いて、各構成要素の位置関係を説明する。なお、用語「鉛直線VL」は、厳密な意味での車両における無段変速機1の設置状態を基準とした鉛直である必要はない。
図1では、オイルパン25内に貯留されたオイルOLの高さを、符号「OL_lev
el」を付した細線で示している。
変速機ケース2の下部には、変速機構部の作動や潤滑に用いられたオイルOLを、オイルパン25側に戻すための開口20(下部開口)が設けられている。オイルパン25は、開口20を囲む周縁部21の下面にボルトで固定されており、変速機ケース2の下部の開口20が、オイルパン25で塞がれている。
オイルポンプOPは、オイルパン25内に貯留されたオイルOLを吸引、加圧してコントロールバルブボディ3内の油圧制御回路4(図2参照)に供給する。
油圧制御回路4には、制御装置(図示せず)からの指令に基づいて駆動するソレノイドや、ソレノイドで発生させた信号圧等で作動する調圧弁が設けられている。
第1調圧弁41により調整されたライン圧は、プライマリ調圧弁43およびセカンダリ調圧弁44と、第2調圧弁42に供給される。なお、ライン圧は、油圧制御回路4が備える他の調圧弁にも供給される。
第2調圧弁42で調整されたパイロット圧は、プライマリソレノイド45と、セカンダリソレノイド46に供給される。
スプール弁が軸線方向に移動すると、第1調圧弁41で調圧されたライン圧が、スプール弁の位置に応じた圧力に調圧されたのち、対応するプーリ(プライマリプーリ、セカンダリプーリ)の受圧室に供給される。
第1調圧弁41では、オイルポンプOPで発生させた油圧からライン圧を調整する際に、オイルポンプOPで発生させたオイルの一部がドレンされる。
オイルストレーナ5は、アッパケース51とロアケース52との間に、不織布製のフィルタ53を挟み込んだ基本構成を有している。
ロアケース52は、アッパケース51から離れる方向に窪んだ基部520と、基部520の外周縁を全周に亘って囲むフランジ部521と、を有する。
フィルタ53は、アッパケース51の基部510と、ロアケース52の基部520との間に形成された空間Sを、鉛直線VL方向で隣接する2つの空間S1、S2に区画している。
図3の(b)では、オイルストレーナ5におけるコントロールバルブボディ3側の排出孔41aと重なる領域を切り欠いて、オイルストレーナ5に隠れた位置にある排出孔41aを示していると共に、連絡路550の位置を仮想線で示している。
オイルストレーナ5の車両の左右方向の長さL2は、変速機ケース2の開口20の車両の左右方向の長さよりも短い長さを有している。
そのため、開口20は、車両前後方向におけるオイルポンプOPが設置された領域とは反対側(図3の(a)における左側)に、オイルストレーナ5で覆われていない領域が残されている。
オイルパン25側から見て吸込口52aは、略矩形形状を成しており(図3の(a)参照)、ロアケース52の基部520におけるオイルパン25側に膨出した膨出部520a(図1の(b)参照)に設けられている。
オイルパン25側のフランジ部552は、ロアケース52の貫通孔52bの内周と、筒状基部551の外周との隙間を封止している。
そのため、オイルストレーナ5の外部と、オイルストレーナ5の内部(空間S)との間でのオイルOLの移動が阻止されている。
そのため、オイルストレーナ5内で、フィルタ53挟んだ一方側(コントロールバルブボディ3側)の空間S1と、他方側(オイルパン25側)の空間S2との間で、フィルタ53を通過せずにオイルOLが移動することが防止されている。
そのため、オイルストレーナ5において連絡筒55は、連絡路550のコントロールバルブボディ3側の開口550aが、鉛直線VL方向における排出孔41aの直下に位置するように設けられている。
無段変速機1を搭載した車両において、駆動源の始動などによりオイルポンプOPが駆動されると、オイルパン25内のオイルOLが、オイルストレーナを介してオイルポンプにOP吸引される。オイルポンプOPは、吸引したオイルを加圧してコントロールバルブボディ3内の油圧制御回路4に供給する。
そのため、排出孔41aから排出されたオイルOLは、連絡路550を通ってオイルパン25内に排出される。
よって、連絡路550を通ってオイルパン25内に排出されたオイルOLは、吸込口52a側に最短距離で移動できるようになっている。
そのため、オイルOLの粘度が高く流動性が低い場合には、排出されたオイルOLの吸込口52aへの戻りが悪くなる。
上記のとおり、オイルストレーナ5に連絡筒55を設けることで、排出孔41aから排出されたオイルOLがオイルストレーナ5の吸込口52aに到達するまでの道のりを短くできる。
これにより、排出されたオイルOLの吸込口52aへの戻りが改善される。よって、吸込口52a周りのオイルOLがオイルストレーナ5内に積極的に吸引されても、吸込口52a周りにオイルOLのない空洞が生じ難くなるので、エア吸いが起こりにくくなる。
これは、オイルポンプOPで発生させた油圧が最初に供給される調圧弁(第1調圧弁41)が、排出孔41aから排出されるオイルOLの量が最も多いからである。
また、連絡筒55の数も1つに限定されるものではなく、連絡筒55が複数設けられた構成のオイルストレーナとしても良い。
(1)オイルストレーナ5は、変速機ケース2の下部の開口20(下部開口)を塞ぐオイルパン25と、下部の開口20内に設置されたコントロールバルブボディ3との間に配置されている。
オイルストレーナ5には、当該オイルストレーナ5のコントロールバルブボディ3側と、オイルパン25側とを連絡させる連絡路550が少なくとも1つ設けられている。
低温時にコントロールバルブボディ3(油圧制御回路4)で分配・調圧されたのちに排出されたオイルOLが、オイルストレーナ5の吸込口52aまで最短経路で戻される。
これにより、低温時にオイルパン25内のオイルが不足して、エア吸いが起こることを防止できる。また、高温時のオイルOLのオイルパン25への戻りも改善する。
連絡路550が、オイルストレーナ5の本体を貫通しており、オイルストレーナ5を変速機ケース2側に取り付けるためのブラケットなどに設けられているのではないので、連絡路550を排出孔41aの直下に適切に配置できる。
(2)コントロールバルブボディ3は、オイルストレーナ5との対向部にオイルOLの排出孔41aを有している。
オイルパン25側から見て、連絡路550におけるコントロールバルブボディ3側の開口550aは、排出孔41aに重なる位置に設けられている。
これにより、コントロールバルブボディ3の排出孔41aから排出されたオイルOLを、オイルパン25側に速やかに戻すことができる。
(3)連絡路550は、オイルストレーナ5を厚み方向に貫通して設けられている。
厚み方向は、オイルストレーナ5を備える無段変速機1(自動変速機)の車両における設置状態を基準とした鉛直線VL方向に沿う方向である。
これにより、コントロールバルブボディ3の排出孔41aから排出されたオイルOLを、オイルパン25側に速やかに戻すことができる。
(4)オイルパン25側から見てオイルストレーナ5は、コントロールバルブボディ3におけるオイルパン25との対向部を覆う大きさを有している。
(5)オイルストレーナ5内の空間Sは、厚み方向に交差する向きでされた不織布製のフィルタ53(フィルタ材)により、厚み方向で隣り合う2つの空間S1、S2に区画されている。
また、空間S2には、フィルタ53で濾過する直前のオイルOLを溜めることができるので、オイルポンプOPが駆動を開始した際に、すぐにオイルOLの濾過を行うことができる。
(6)コントロールバルブボディ3内には、オイルOLの調圧弁が複数設けられている。
排出孔41aは、オイルストレーナ5を介して吸引されたオイルOLを最初に調圧する第1調圧弁41(調圧弁)の排出孔である。
(7)オイルストレーナ5には、当該オイルストレーナ5をコントロールバルブボディ3側からオイルパン25に貫通する連絡筒55が設けられている。
連絡筒55は、円筒状の筒状基部551と、筒状基部551の一端と他端に設けられたフランジ部552、552と、を有しており、連絡筒55の内部が、連絡路550となっている。
フランジ部552、552は、筒状基部551の外周と、オイルストレーナ5(アッパケース51、ロアケース52)の貫通孔51b、52bの内周との隙間を封止する。
図4の(a)は、変速機ケース2におけるコントロールバルブボディ3周りを説明する断面図であって、オイルストレーナ5Aに設けた連絡路56を説明する図である。
図4の(b)は、オイルストレーナ5Aに設けた連絡路56を、図4の(a)におけるA−A矢視方向から見た図である。
ボス部57は、アッパケース51を、オイルストレーナ5Aの内部に窪ませて形成されている。ボス部57は、円筒状の周壁部571と、周壁部571のロアケース52側の開口を塞ぐ底壁部572と、から有底円筒形状に形成されている。
ボス部57では、円板状の底壁部572に貫通孔572aが設けられている。貫通孔572aは、底壁部572の中央部で、底壁部572を厚み方向に貫通している。
ボス部58は、ロアケース52を、オイルストレーナ5Aの内部に窪ませて形成されている。ボス部58は、円筒状の周壁部581と、周壁部581のアッパケース51側の開口を塞ぐ底壁部582と、から有底円筒形状に形成されている。
ボス部58では、円板状の底壁部582に貫通孔582aが設けられている。貫通孔582aは、底壁部582の中央部で、底壁部582を厚み方向に貫通している。
これにより、ボス部57側の空間Saと、ボス部58側の空間Sbと、これら空間Sa、Sbとを連通させる貫通孔56aとから、オイルストレーナ5Aの本体に、コントロールバルブボディ3側とオイルパン25側とを連絡させる連絡路56が形成される。
これにより、排出孔41aから排出されたオイルOLが、連絡路56を通って、オイルパン25側に速やかに戻されるようになっている。
(8)オイルストレーナ5Aでは、コントロールバルブボディ3側の上面に、ボス部57により形成された有底筒状の空間Saが開口している。オイルストレーナ5Aでは、オイルパン25側の下面に、ボス部58により形成された有底円筒状の空間Sbが開口している。
オイルストレーナ5Aでは、ボス部57とボス部58が、空間Sa、Sbを画成する底壁部572、582同士を互いに接触させた状態で接合されている。
底壁部572には、空間Saと空間Sbを連通させる貫通孔56aが形成されており、空間Saと空間Sbと貫通孔56aとで、連絡路56を形成している。
(9)貫通孔56a(572a、582a)の貫通方向から見て、底壁部572、582における貫通孔572a、582aを囲む領域の間に、フィルタ53が把持される。
このフィルタ53が把持された領域Rfは、貫通孔56a(572a、582a)を囲むリング状を成している(図4の(b)参照)。
2 変速機ケース
20 開口
21 周縁部
22 第2調圧弁
25 オイルパン
3 コントロールバルブボディ
30 バルブボディ
31 セパレートプレート
4 油圧制御回路
41 第1調圧弁
41a 排出孔
42 第2調圧弁
5、5A オイルストレーナ
51 アッパケース
51b 貫通孔
510 基部
511 フランジ部
515 接続筒
52 ロアケース
52a 吸込口
52b 貫通孔
520 基部
520a 領域
521 フランジ部
53 フィルタ(フィルタ材)
53b 貫通孔
531 不織布製のフィルタ
532 サスメッシュ
55 連絡筒
550 連絡路
550a、550b 開口
551 筒状基部
552 フランジ部
56 連絡路
56a 貫通孔
57、58 ボス部
571、581 周壁部
572、582 底壁部
572a、285a 貫通孔
OL オイル
OP オイルポンプ
S(S1、S2) 空間
VL 鉛直線
La 延長線
Claims (6)
- 変速機ケースの下部開口を塞ぐオイルパンと、前記下部開口内に設置されたコントロールバルブボディとの間に配置されたオイルストレーナであって、
前記オイルストレーナには、当該オイルストレーナの前記コントロールバルブボディ側と前記オイルパン側とを連絡させる連絡路が少なくとも1つ設けられていることを特徴とするオイルストレーナ。 - 前記コントロールバルブボディは、前記オイルストレーナとの対向部にオイルの排出孔を有しており、
前記オイルパン側から見て、前記連絡路における前記コントロールバルブボディ側の開口は、前記排出孔に重なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のオイルストレーナ。 - 前記連絡路は、前記オイルストレーナを厚み方向に貫通して設けられており、
前記厚み方向は、前記オイルストレーナを備える自動変速機の車両における設置状態を基準とした鉛直線方向に沿う方向であることを特徴とする請求項2に記載のオイルストレーナ。 - 前記オイルパン側から見て前記オイルストレーナは、前記コントロールバルブボディにおける前記オイルパンとの対向部を覆う大きさを有していることを特徴とする請求項3に記載のオイルストレーナ。
- 前記オイルストレーナ内の空間は、前記厚み方向に交差する向きで配置されたフィルタ材により、前記厚み方向で2つに区画されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のオイルストレーナ。
- 前記コントロールバルブボディには、前記オイルの調圧弁が複数設けられており、
前記排出孔は、前記オイルストレーナを介して吸引されたオイルを最初に調圧する調圧弁の排出孔であることを特徴とする請求項2から請求項5の何れか一項にに記載のオイルストレーナ。
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