JP2020002304A - 油性インクジェットインクの製造方法 - Google Patents
油性インクジェットインクの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020002304A JP2020002304A JP2018124808A JP2018124808A JP2020002304A JP 2020002304 A JP2020002304 A JP 2020002304A JP 2018124808 A JP2018124808 A JP 2018124808A JP 2018124808 A JP2018124808 A JP 2018124808A JP 2020002304 A JP2020002304 A JP 2020002304A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- water
- dispersant
- basic
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
- Ink Jet (AREA)
Abstract
Description
特許文献1には、油性インクジェットインクにおいて、α値5〜60の化合物が側鎖として付加され、かつ、溶剤に混和性の櫛形ポリウレタン化合物によって表面処理されたカプセル型顔料を用いることが開示されている。特許文献1は、この油性インクジェットインクの製造方法として、メチルエチルケトンのような低沸点の非プロトン性溶剤に溶解した櫛形ポリウレタン化合物を、顔料等と混合し、分散させた後、低沸点溶剤を揮発させる方法を開示している。
本発明の実施形態は、揮発性有機溶剤を用いる必要がなく、安全性に優れた、着色樹脂粒子を含む油性インクジェットインクの製造方法を提供することを目的とする。
以下、油性インクジェットインクを、「インク」又は「油性インク」という場合がある。
アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
顔料は、インク全量に対し、通常0.01〜20質量%であり、画像濃度とインク粘度の観点から、1〜15質量%であることが好ましい。
顔料としては、顔料表面に、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、スルホ基等の水に対する可溶化基等を結合させ、顔料自体が水中に分散するようにした自己分散顔料を使用しても良い。例えば、自己分散顔料の水分散体を好ましく用いることができる。
または、顔料を、例えば、後述する水溶性非イオン性分散剤等の顔料分散剤を用いて水中に分散させることも好ましい。
染料としては、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等のうち水溶性の染料および還元等により水溶性になった水溶性染料を好ましく用いることができる。また、アゾ系、アントラキノン系、アゾメチン系、ニトロ系等の分散染料も好ましく用いることができる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用してもよい。
染料は、インク全量に対し、通常0.01〜20質量%であり、画像濃度とインク粘度の観点から、1〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることが一層好ましい。
酸性基を有する水分散性樹脂は、例えばインク作製時にシェアをかけた際の凝集を抑制しやすくする働きをもつと考えられる。酸性基を有する水分散性樹脂を用いた場合、定着性、インク粘度、及び貯蔵安定性に優れる傾向がある。
水分散性ウレタン樹脂としては、例えば、水分散性ウレタン(メタ)アクリル樹脂を用いることもできる。水分散性ウレタン(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリオールとして、水酸基を複数有する(メタ)アクリル樹脂を用いた樹脂を用いることも好ましい。
また、水分散性ウレタン樹脂としては、ウレタン基(「―NH―CO−O―」)のほかに、ウレア基(「―NH―CO−NH―」)をさらに有する水分散性ウレタンウレア樹脂も好ましい。
ウレタンウレア樹脂は、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを含む材料により得られたウレタンプレポリマーを、水及び/又はポリアミン化合物と反応させることにより、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と水及び/又はポリアミン化合物が反応することでウレア基を生成させて鎖延長することで得ることができる。
水分散性樹脂の重量平均分子量は、GPC法で標準ポリスチレン換算で求めた値である。以下で述べる樹脂等における重量平均分子量についても同様である。
また、酸性基を有する水分散性樹脂の水分散体の市販品の例として、例えば、三井化学株式会社製WS5984、WS4022、及び第一工業製薬株式会社製スーパーフレックス740、スーパーフレックス150H、ダイセル・オルネクス株式会社製TW1262、及び、日本合成化学工業株式会社製モビニール6969D等が挙げられる。
水分散性樹脂の量は、適宜調整できる。水分散性樹脂の量は、例えば、裏抜け低減、定着性及び貯蔵安定性の観点から、インク全量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。一方、水分散性樹脂の量は、インク粘度の観点から、インク全量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%%以下がさらに好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。水分散性樹脂の量は、例えば、インク全量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましい。
油中水型エマルションにおいて、水の量は、分散相全量に対して、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。水の量は、油中水型エマルション全量に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。
水溶性非イオン性分散剤は、親水基がイオン解離性をもたない分散剤である。水溶性非イオン性分散剤としては、例えば、分子内の主要な結合の仕方により、エステル型水溶性非イオン性分散剤、エーテル型水溶性非イオン性分散剤、エステル・エーテル型水溶性非イオン性分散剤が挙げられる。
エステル型水溶性非イオン性分散剤は、例えば、グリセリン、ソルビトール、しょ糖などの多価アルコールと脂肪酸がエステル結合した構造をもち、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびしょ糖脂肪酸エステルなどがある。
エーテル型水溶性非イオン性分散剤は、例えば、高級アルコール、アルキルフェノール、アリールフェノール、アリールアルキルフェノールなど水酸基をもつ原料に、主として酸化エチレンを付加させてつくることができ、例えば、ポリグリコールエーテル(例えば、アリールポリグリコールエーテル、アルキルポリグリコールエーテル)が挙げられる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリールアルキルフェニルエーテルなどがある。
エステル・エーテル型水溶性非イオン性分散剤は、例えば、グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコールと脂肪酸とからなるエステルに酸化エチレンを付加したものである。分子中にエステル結合とエーテル結合の両方を有している。例えば、脂肪酸ポリエチレングリコールエーテルエステルが挙げられる。
また、水溶性非イオン性分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸重合体、ポリシロキサン共重合体等を用いることもできる。
これらの水溶性非イオン性分散剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、水溶性非イオン性分散剤を用いるとき、水分散性樹脂が酸性基を有する場合、顔料凝集を防ぎやすく、貯蔵安定性がさらに良好なインクを作製することができる傾向がある。
顔料分散剤の量は、適宜設定できる。例えば、質量比で、顔料1に対し顔料分散剤を0.1〜5で配合することができ、好ましくは0.1〜1である。また、顔料分散剤は、インク全量に対し、例えば、0.01〜10質量%で配合することができ、好ましくは0.01〜5質量%である。
水溶性非イオン性分散剤が含まれるとき、水溶性非イオン性分散剤は、顔料分散剤全量に対して、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましい。
分散剤Aは、乳化剤として作用しうると考えられる。また、分散剤Aがイオン性分散剤を含むとき、画像濃度及びインクの貯蔵安定性が向上しやすく、インク粘度も低減しやすい傾向がある。イオン性分散剤は、着色樹脂粒子の分散安定性に寄与してインクの貯蔵安定性にも寄与し得ると考えられる。また、塩基性分散剤は、着色樹脂粒子の平均粒子径を小さくし、かつ、粒子径分布を狭くし得ることでインク粘度の低減に寄与し得ると考えられる。
酸性分散剤は、酸性基を有し塩基性基を有さない分散剤である。酸性基としては、カルボキシ基(−COOH)、スルホ基等が挙げられる。酸性分散剤は、酸性基を1種のみ、または2種以上含んでよい。
塩基性分散剤は、酸性基をさらに有してもよく、有していなくてもよい。
塩基性基を有し、ポリエステル部を含む側鎖を複数有する塩基性分散剤(塩基性櫛形分散剤)の側鎖のポリエステル部としては、例えば、ヒドロキシカルボン酸、または、ヒドロキシカルボン酸とヒドロキシ基を含まないカルボン酸との混合物から誘導される構造、カルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ基を単位とする重合体等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸とヒドロキシ基を含まないカルボン酸との混合物から誘導される構造の例として、12−ヒドロキシステアリン酸の自己縮合物から誘導されるカルボニル−C17−アルキレンオキシ基等が挙げられる。カルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ基として、例えば、カルボニル−C5−アルキレンオキシ基等が挙げられ、例えば、カルボニル−C5−アルキレンオキシ基を単位とする重合体は、ε−カプロラクトンの開環重合によって得ることができる。
ポリエステル部の重合度はとくに限定されず、例えば、2〜80程度であってよい。
塩基性櫛形分散剤が、主鎖に直接又は連結基を介して結合した塩基性基を含むとき、塩基性櫛形分散剤は、塩基性基を1個以上有すればよいが、2個以上有することが好ましい。また、主鎖に直接又は連結基を介して結合した塩基性基の種類は、とくに限定されず、例えば、上述の塩基性基を用いることができるが、なかでもアミノ基、モルホリノ基が好ましく、アミノ基がより好ましい。
塩基性櫛形分散剤の例として、例えば、ポリアミン骨格を含む主鎖を有し、かつ、ポリエステル部を含む側鎖を複数有するポリマーである塩基性分散剤(以下、「塩基性櫛形分散剤a」という場合がある。)、及び、主鎖に直接又は連結基を介して連結した塩基性基を有し、ポリエステル部を含む側鎖を複数有するポリマーである塩基性分散剤(以下、「塩基性櫛形分散剤b」という場合がある。)等が挙げられる。
塩基性櫛形分散剤aにおいて、主鎖のポリアミン骨格としては、例えば、ポリアルキレンイミン骨格が挙げられる。ポリアルキレンイミン骨格のポリアルキレンイミンの例としては、例えばエチレンイミン、プロピレンイミン、ブチレンイミン、ジメチルエチレンイミン、ペンチレンイミン、ヘキシレンイミン、ヘプチレンイミン、オクチレンイミン等の炭素数2〜8のアルキレンイミン、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレンイミンの1種または2種以上を常法により重合して得られるポリマー、ならびにそれらを種々の化合物と反応させて化学的に変性させたポリマー等が挙げられる。
塩基性櫛形分散剤aの例として、主鎖が、ポリアルキレンイミン等のポリアミン骨格を含み、グラフト鎖がポリエステル鎖を含むグラフトポリマーが挙げられる。主鎖である、ポリアミン骨格を含むポリマーの重量平均分子量はとくに限定されないが、60万以下であることが好ましい。
塩基性櫛形分散剤aの製造方法は特に限定されない。ポリアルキレンイミン骨格等のポリアミン骨格を含む主鎖とポリエステル部を含む側鎖とを含む塩基性櫛形分散剤は、例えば、ポリアルキレンイミン等のポリアミンと遊離のカルボキシ基を有するポリエステルとの反応を含む方法により得ることができる。
塩基性櫛形分散剤aは、ポリアミン骨格を有するが、これ以外の塩基性基をさらに有してもよく、例えば、主鎖に直接又は連結基を介して結合した塩基性を有してもよい。
塩基性基櫛形分散剤bは、主鎖に直接又は連結基を介して結合した塩基性基を1個以上有すればよいが、2個以上有することが好ましい。また、塩基性基の種類は、とくに限定されず、例えば、上述の塩基性基を用いることができるが、なかでもアミノ基、モルホリノ基が好ましく、アミノ基がより好ましい。塩基性櫛形分散剤bは、塩基性基を1種のみ又は2種以上が含んでよい。
塩基性櫛形分散剤bの例としては、例えば、主鎖に直接又は連結基を介して結合した塩基性基を有する単位(以下、「単位Xa」という場合がある。)とポリエステル部を含む側鎖を有する単位(以下、「単位Xb」という場合がある。)とを含む共重合体が挙げられる。
単位Xaは、例えば、アクリル単位又はメタクリル単位であってよい。
単位Xaの例としては、例えば、主鎖の炭素鎖にカルボニル基が結合し、このカルボニル基に、直接又は連結基を介して塩基性基が結合している単位が挙げられる。このような単位として、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基と塩基性基とを含むモノマーに由来する単位等が挙げられる。塩基性基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基のカルボニル(CO)の炭素原子に直接または連結基を介して結合していることが好ましい。
アクリロイル基又はメタクリロイル基と塩基性基とを含むモノマーとしては、例えば、塩基性基を有する(メタ)アクリレート、塩基性基を有する(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。アクリロイル基又はメタクリロイル基と塩基性基とを含むモノマーの具体例として、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。(メタ)アクリレートは、アクリレート、メタクリレート又はそれらの組合せを意味する。(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミド、メタクリルアミド又はそれらの組合せを意味する。以下、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドについて同じである。
アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーにおいて、エポキシ基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基のカルボニル(CO)の炭素原子に直接または連結基を介して結合していることが好ましい。アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーの例として、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基を有するモノマーに付加するアミン化合物としては、ヒドロキシ基を有するアミン化合物(例えばアルカノールアミン等)が好ましい。ヒドロキシ基を有するアミン化合物としては、例えば、ベンジルエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられ、ジエタノールアミンが特に好ましい。
アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーにアミン化合物を付加したモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートのジエタノールアミン付加物、グリシジル(メタ)アクリレートのベンジルエタノールアミン付加物等が挙げられる。
エポキシ基を有するモノマーにアミン化合物を付加したモノマーに由来する単位は、例えば、エポキシ基を有するモノマーに由来する単位にアミン化合物を付加することで得ることもでき、そのようにして得られた単位であってもよい。
単位Xbの例として、例えば、主鎖の炭素鎖にカルボニル基が結合し、このカルボニル基に、直接又は連結基を介してポリエステル部が結合している単位が挙げられる。このような単位として、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基とポリエステル部とを含むモノマーに由来する単位が挙げられる。ポリエステル部は、アクリロイル基又はメタクリロイル基のカルボニル(CO)の炭素原子に直接または連結基を介して結合していることが好ましい。
アクリロイル基又はメタクリロイル基とポリエステル部とを含むモノマーは、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーと、ヒドロキシカルボン酸縮合物等とを反応させることで得ることができる。アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーとしては、例えば、上述のアクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーの例として挙げたものを用いることができる。ヒドロキシカルボン酸縮合物としては、例えば、12ヒドロキシステアリン酸6縮合物等を用いることができる。反応には、例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド等の触媒、及び/又は、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩等の重合禁止剤等を用いてもよい。
炭素数1〜8のアルキル基を有する単位(単位Xc)は、例えば、アクリル単位又はメタクリル単位であってよい。
単位Xcの例としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂の主鎖の炭素原子に、−COORdで表される基が結合した単位であって、Rdが炭素数1〜8(より好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である単位が挙げられる。
単位Xcとしては、例えば、後述するモノマーXcに由来する単位を用いることができる。
単位Xbは、重合体全体に対し、例えば10〜95質量%が好ましく、20〜90質量%がより好ましく、40〜85質量%がさらに好ましい。
単位Xcは、重合体全体に対し、例えば1〜90質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。
ここで、重合体全体は、塩基性櫛形分散剤bを構成する全単位を基準とする。
塩基性基を有するモノマー(モノマーXa)の例として、例えば、上述の、アクリロイル基又はメタクリロイル基と塩基性基とを含むモノマーが挙げられる。ポリエステル部を含む側鎖を有するモノマー(モノマーXb)の例として、例えば、上述の、アクリロイル基又はメタクリロイル基とポリエステル部とを含むモノマーが挙げられる。
モノマー混合物は、例えば、塩基性基を有するモノマー(モノマーXa)に加えて、または、それに代えて、上述のエポキシ基を有するモノマー(例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマー)を含んでもよく、モノマー混合物の重合後に、エポキシ基を有するモノマーに由来する構造に、アミン化合物を反応させて塩基性基を有する単位(単位Xa)を得てもよい。
モノマー混合物は、他のモノマーを含んでよく、他のモノマーとして、たとえば、炭素数1〜8のアルキル基を有するモノマー(以下、「モノマーXc」という場合がある)が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基を有するモノマー(モノマーXc)としては、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基と炭素数1〜8のアルキル基とを有するモノマーが好ましい。モノマーXcとしては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート等が好ましい例として挙げられる。モノマーXcの具体例として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
モノマー混合物中の各モノマーの配合量は、例えば、上記の各単位の好ましい割合となるように、調整することができる。
重合反応に際し、反応速度を調整するために、重合開始剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、重合促進剤、分散剤等を反応系に適宜添加することができる。
重合開始剤としては、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物等の熱重合開始剤を使用することができる。その他にも、活性エネルギー線照射によりラジカルを発生する光重合型開始剤を用いることができる。
また、反応系に連鎖移動剤を併用することで、得られる(メタ)アクリル樹脂の分子量を調整することができる。連鎖移動剤としては、たとえば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン等のチオール類等を好ましく用いることができる。
溶液重合に用いる重合溶媒(反応溶媒)は、特に限定されないが、重合によって得られる樹脂を分散ないし溶解可能であるものが好ましい。
塩基性(メタ)アクリル系分散剤は、塩基性基を含み、β−ジカルボニル基及び/又はアルキル基をさらに有することがより好ましい。塩基性分散剤は、例えば、インクの低粘度化の観点から、塩基性基、β−ジカルボニル基、及びアルキル基を有する塩基性(メタ)アクリル系分散剤を含むことが好ましい。このような塩基性(メタ)アクリル系分散剤として、例えば、塩基性基を有する単位(以下、「単位Ya」という場合がある)、β−ジカルボニル基を有する単位(以下、「単位Yb」という場合がある)、及びアルキル基を有する単位(以下、「単位Yc」という場合がある)を含む塩基性(メタ)アクリル系分散剤が挙げられる。
塩基性(メタ)アクリル系分散剤としては、例えば、塩基性基を有するモノマー(以下、「モノマーYa」という場合がある)、β−ジカルボニル基を有するモノマー(以下、「モノマーYb」という場合がある)、及びアルキル基を有するモノマー(以下、「モノマーYc」という場合がある)を含むモノマー混合物の共重合体、または、そのような共重合体を用いて得られた共重合体が挙げられる。
また、遊離分散剤量が低減することにより、遊離の分散剤が記録媒体の極性基と相互作用することにより生じる着色樹脂粒子と記録媒体の極性基との相互作用の低下が抑制され、着色樹脂粒子が記録媒体表面に残りやすくなり、これにより画像濃度向上、及び裏抜け低減の向上にも寄与する傾向があると考えられる。
単位Ycの例としては、例えば、塩基性(メタ)アクリル系分散剤の主鎖の炭素原子に、−COOReで表される基が結合した単位であって、Reが、アルキル基(好ましくは炭素数8〜22、より好ましくは炭素数12〜22のアルキル基)である単位が挙げられる。
単位Ycとしては、例えば、後述するモノマーYcに由来する単位を用いることができる。
塩基性(メタ)アクリル系分散剤は、単位Ycを、1種のみ又は2種以上含んでよい。
単位Ybの例としては、例えば、主鎖の炭素原子にカルボニル基が結合し、そのカルボニル基の炭素原子に直接または連結基を介してβ−ジカルボニル基が結合している単位が挙げられる。
単位Ybとしては、β−ジカルボニル基を有する(メタ)アクリレートに由来する単位、β−ジカルボニル基を有する(メタ)アクリルアミドに由来する単位等が好ましい。β−ジカルボニル基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、アクリロイル基又はメタクリロイル基のカルボニル(CO)の炭素原子に間接的に結合したβ−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい例として挙げられる。β−ジカルボニル基を有する(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基のカルボニル(CO)の炭素原子に間接的に結合したβ−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を有する(メタ)アクリルアミドが好ましい例として挙げられる。単位Ybとしては、例えば、後述するモノマーYbに由来する単位を用いることができる。
塩基性(メタ)アクリル系分散剤は、単位Ybを1種のみ又は2種以上含んでよい。
アルキル基を有する単位(単位Yc)は、重合体全体に対し40〜90質量%であることが好ましく、50〜90質量%がより好ましく、60〜80質量%以上がさらに好ましい。
β−ジカルボニル基を有する単位(単位Yb)は、重合体全体に対し、5〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。
ここで、重合体全体は、塩基性(メタ)アクリル系分散剤を構成する全単位を基準とする。
モノマーYaの例として、例えば、上述の、モノマーXaの例として挙げたモノマーが挙げられる。
モノマーYcは、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基とアルキル基とを有するモノマーが好ましい。モノマーYcの例として、例えば、アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられ、炭素数8〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数12〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。モノマーYcの具体例として、例えば、ベヘニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)クリレート等が挙げられる。
モノマーYbは、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基とβ−ジカルボニル基とを有するモノマーが好ましい。モノマーYbとしては、β−ジカルボニル基を有する(メタ)アクリレート、β−ジカルボニル基を有する(メタ)アクリルアミド等が好ましい例として挙げられる。モノマーYbの具体例として、例えば、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、ヘキサジオン(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
モノマー混合物は、その他のモノマーを含んでよい。
モノマー混合物は、例えば、塩基性基を有するモノマー(モノマーYa)に加えて、または、それに代えて、上述のエポキシ基を有するモノマー(例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマー)を含んでもよく、モノマー混合物の重合後に、エポキシ基を有するモノマーに由来する構造に、上述のエポキシ基を有するモノマーに付加することができるアミン化合物として説明したアミン化合物を反応させて塩基性基を有する単位(単位Ya)を得てもよい。
モノマー混合物中の各モノマーの配合量は、例えば、上記の各単位の好ましい割合となるように、調整することができる。モノマー混合物は、公知のラジカル共重合により、重合させることができる。重合方法としては、例えば、塩基性櫛形分散剤bの合成方法として説明した方法等を用いることができる。
酸性分散剤の市販品の例としては、例えば、日本ルーブリゾール株式会社製ソルスパース21000等が挙げられる。
例えば、画像濃度及び貯蔵安定性の観点から、塩基性櫛形分散剤と塩基性(メタ)アクリル系分散剤を併用することも好ましい。
分散剤Aの量は、適宜調整できる。分散剤Aの量は、インク全量に対して、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましい。一方、分散剤Aの量は、インク全量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。分散剤の量は、インク全量に対して、例えば、0.1〜10質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましい。
イオン性分散剤が含まれるとき、イオン性分散剤は、分散剤A全量に対して、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。
塩基性分散剤が含まれるとき、塩基性分散剤は分散剤A全量に対して、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができる。市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN−10、カクタスノルマルパラフィンN−11、カクタスノルマルパラフィンN−12、カクタスノルマルパラフィンN−13、カクタスノルマルパラフィンN−14、カクタスノルマルパラフィンN−15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJXTGエネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれもエクソンモービル社製);モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−60、モレスコホワイトP−70、モレスコホワイトP−80、モレスコホワイトP−100、モレスコホワイトP−120、モレスコホワイトP−150、モレスコホワイトP−200、モレスコホワイトP−260、モレスコホワイトP−350P(いずれも株式会社MORESCO製)等を好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJXTGエネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれもエクソンモービル社製)等を好ましく挙げることができる。
石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがいっそう好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル等の1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16〜30の脂肪酸エステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノール等の1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12〜20の高級アルコール系溶剤;ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
沸点又は蒸留初留点の高い溶剤を用いるとき、インクジェットヘットのノズルでのインクの乾燥を防止しやすい傾向があるが、溶剤による透き通しによる印刷物の裏抜けが生じたり、インク粘度の上昇を招くことがある。ノズルでのインクの乾燥性、印刷物の裏抜け、インク粘度のバランスを勘案し、溶剤を選定すること、又は、複数の溶剤を併用して用いることが好ましい。
連続相と分散相は、あらかじめ別々に調製することが好ましい。次いで、連続相に分散相を添加し、乳化処理することが好ましい。乳化処理は、例えば、連続相に分散相を添加しながら、超音波ホモジナイザー等を用いて行ってもよく、また、例えば、連続相に分散相を添加後に行ってもよい。
工程1において、油中水型エマルションは、水を除去する前の状態の質量比として、油中水型エマルション全体に対して、分散相20〜50質量%及び連続相80〜50質量%であることが好ましい。
水を除去する方法としては、例えば、減圧及び/又は加熱、又は、液体に気体を吹き込みバブリングすることで、蒸発を促進する方法、及びそれらを組み合わせて用いることができる。減圧及び/または加熱の条件としては、水が除去されるが、連続相の非水系溶剤は残るような条件を採用することができる。減圧には、例えばエバポレーターを用いることができる。加熱温度としては、30℃以上が好ましく、40〜100℃がより好ましく、60℃〜90℃がさらに好ましい。
工程2では、分散相の水は除去前の量に対して80質量%以上除去されることが好ましく、90質量%以上除去されることが好ましく、95質量%以上除去されることがさらに好ましく、99質量%以上除去されることがさらに好ましい。
以下の実施例及び比較例を通して、特に説明のない限り、共通する成分は同一のものである。特に説明のない限り、「%」は「質量%」を示す。
実施例及び比較例のインクの材料を下記に示す。
フタロシアニンブルー:リオノールBGFJ(東洋インキ株式会社製)(粉体)
自己分散顔料:ボンジェットブラックCW−1(オリヱント化学工業株式会社製)(自己分散カーボンブラック、水分散体、固形分20%)
酸性ウレタン1: WS5984(三井化学株式会社製)(酸性基を有する水分散性ウレタンウレア樹脂の水分散体、有効成分40%)
酸性ウレタン2:スーパーフレックス740(第一工業製薬株式会社製)(酸性基を有する水分散性ウレタンウレア樹脂の水分散体、有効成分40%)
酸性ウレタン3:WS4022(三井化学株式会社製)(酸性基を有する水分散性ウレタンウレア樹脂の水分散体、有効成分30%)
酸性ウレタン4:スーパーフレックス150H(第一工業製薬株式会社製)(酸性基を有するウレタンウレア樹脂の水分散体、有効成分38%)
酸性ウレタン5:TW1262(ダイセル・オルネクス株式会社製)(酸性基を有するウレタンウレアとアクリルのハイブリット樹脂の水分散体、有効成分35%)
塩基性ウレタン1:スーパーフレックス620(第一工業製薬株式会社製)(塩基性基を有する水分散性ウレタンウレア樹脂の水分散体、有効成分30%)
非イオン性ウレタン1:スーパーフレックス500M(第一工業製薬株式会社製)(ウレタンウレア樹脂の水分散体、非イオンタイプ、有効成分45%)
酸性(メタ)アクリル1:モビニール6969D(日本合成化学工業株式会社製)(酸性基を有する水分散性(メタ)アクリル樹脂の水分散体、有効成分40%)
ウレタン樹脂c2:下記記載の方法で合成(ウレタン樹脂の溶液、有効成分50%、溶媒はメチルエチルケトン)
ウレタンウレア樹脂c1:下記記載の方法で合成(ウレタンウレア樹脂の溶液、有効成分50%、溶媒はメチルエチルケトン)
塩基性分散剤2:ソルスパース16000(日本ルーブリゾール株式会社製)(有効成分100%)
塩基性櫛形分散剤1: HYPERMER KD11(CRODA製)(塩基性櫛形分散剤aの溶液、有効成分40%、溶媒は高沸点パラフィン油)
塩基性櫛形分散剤2:ソルスパース13940(塩基性櫛形分散剤aの溶液、日本ルーブリゾール株式会社製)(有効成分40%、溶媒は石油系溶剤)
酸性分散剤1:ソルスパース21000(日本ルーブリゾール株式会社製)(有効成分100%)
脂肪酸エステル系溶剤1:ミリスチン酸イソプロピル(富士フイルム和光純薬株式会社製)
石油系炭化水素溶剤1:エクソールD110(エクソンモービル社製)
石油系炭化水素溶剤2:エクソールD130(エクソンモービル社製)
表1に、ジオールa及びbの処方を示す。表1に示す割合でジエタノールアミンを仕込み、110℃まで昇温した。これに、表に示すモノマーをそれぞれの配合量で滴下し、マイケル付加反応を完結させ、ジオールを得た。
ウレタン樹脂c1及びウレタン樹脂c2は以下のように製造した。
表2に示す配合量にしたがって、上記で得られたジオール溶液と、他のジオール成分としてプロピレングリコールと、MEK(メチルエチルケトン)とを仕込み、スズ系触媒(ジブチル錫ジラウレート)を添加し、78℃まで昇温した。そして、ジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート)を滴下し、固形分50.0質量%の樹脂溶液を得た。
ウレタンウレア樹脂c1は以下のように製造した。
表2に示す配合量にしたがって、上記で得られたジオール溶液と、他のジオール成分としてプロピレングリコールと、MEK(メチルエチルケトン)とを仕込み、スズ系触媒(ジブチル錫ジラウレート)を添加し、78℃まで昇温した。そして、ジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート)を滴下し、さらに最後にジアミン(N,N’−ジメチルエチレンジアミン)を滴下し、固形分50.0質量%の樹脂溶液を得た。
各樹脂の重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)を表中に示す。
ジエタノールアミン:株式会社日本触媒製
ジエチルアクリルアミド:KJケミカルズ株式会社製
メトキシポリエチレングリコール(PEG9)アクリレート:日油株式会社製
ヘキサメチレンジイソシアネート:富士フイルム和光純薬株式会社製
プロピレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製
ジブチル錫ラウレート:東京ファインケミカル株式会社製
N,N’−ジメチルエチレンジアミン:広栄化学工業株式会社
メチルエチルケトン:富士フイルム和光純薬株式会社製
実施例1〜15のインクを下記のように製造した。
表3及び4に示す配合量で、非水系溶剤及び分散剤を混合し連続相を調整した。次に、表3及び4に示す配合量で、色材、顔料分散剤及び水を混合し、ビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、ダイノーミル Multi LAB)にて分散し、得られた分散液組成物に、表3及び4に示す樹脂エマルションを表3及び4に示す配合量で添加した後、マグネティックスターラーで撹拌した。
連続相をマグネティックスターラーで攪拌した状態で、この連続相に、上記のように予め混合しておいた分散相を滴下しながら、氷冷下、超音波ホモジナイザー「Ultrasonic processor VC―750」(ソニックス社製)を10分間照射し、油中水(W/O)型エマルションを得た。
得られたエマルションを、エバポレーターで減圧しながら、分散相中の水と樹脂エマルションに含まれていた揮発分を除去して、着色樹脂粒子分散体を得た。揮発分の除去率は、ほぼ100質量%であった。この着色粒子分散体をそのままインクとして用いた。
実施例1〜15のインクの揮発分除去(脱溶媒)後の組成を表6及び7に示す。
表5のインク処方にしたがって、各成分を混合し、ビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、ダイノーミル Multi LAB)により、分散した。分散後、エバポレーターを用いて、分散体の低沸点溶剤(メチルエチルケトン)の脱溶剤を行った。このようにして、ウレタン樹脂によって顔料をカプセル化し、カプセル化顔料を含むインクを得た。比較例1で用いたウレタン樹脂c1の樹脂は比較例1の非水系溶剤に溶解したが、比較例2及び3で用いたウレタン樹脂c2の樹脂は、比較例2及び3の非水系溶剤に溶解しなかった。
比較例1〜4のインクの脱溶媒後の組成を表8に示す。
以下の評価方法に従って評価を行った。結果を表6〜8に示す。
インクの粘度を下記の基準で評価した。インクの粘度は、23℃における粘度であり、レオメーターAR−G2(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、コーン角度2°、直径40mmで測定した。結果を表6〜8に示す。
(評価基準)
AA:インク粘度が12mPa・s未満
A:インク粘度が12mPa・s以上13mPa・s未満
B:インク粘度が13mPa・s以上15mPa・s未満
C:インク粘度が15mPa・s以上
インクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)を用いて、普通紙「理想用紙マルチ」(理想科学工業株式会社製)にベタ画像を印刷した。印刷から24時間経過後に、分光濃度・測色計(eXact、X−rite社製)を用いて、印刷物表面のOD値(表OD値)、及び印刷物裏面のOD値(裏OD値)を測定した。表OD値から画像濃度を以下の基準で評価した。裏OD値から画像裏抜けを以下の基準で評価した。
AA:表OD値が1.20以上
A:表OD値が1.10以上1.20未満
B:表OD値が1.10未満
(画像裏抜け 評価基準)
AA:裏OD値が0.25未満
A:裏OD値が0.25以上0.35未満
B:裏OD値が0.35以上0.45未満
C:裏OD値が0.45以上
まず、インク作製直後のインクの粘度を測定した。
次に、インクを密閉容器に入れて、70℃で4週間放置した。その後、インクをサンプリングし、インク粘度を測定した。
インク粘度は23℃における粘度であり、レオメーターAR−G2(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、コーン角度2°、直径40mmで測定した。
作製直後のインク粘度及び4週間放置前後のインク粘度から、次式により粘度変化率を求め、以下の基準で貯蔵安定性を評価した。
粘度変化率(%)=[(4週間放置後のインク粘度×100)/(作製直後の粘度)]−100(%)
(評価基準)
AA:粘度変化率が±3%未満
A:粘度変化率が±3%以上±6%未満
B:粘度変化率が±6%以上
Claims (6)
- 非水系溶剤及び分散剤を含む連続相と、水、色材、及び水分散性樹脂を含む分散相とを含む油中水型エマルションを作製する工程と、
前記油中水型エマルションから前記水を除去する工程とを含む、油性インクジェットインクの製造方法。 - 前記水分散性樹脂は、酸性基を有する水分散性樹脂を含む、請求項1に記載の油性インクジェットインクの製造方法。
- 前記水分散性樹脂は、水分散性ウレタン樹脂、水分散性(メタ)アクリル樹脂、またはそれらの組合せを含む、請求項1又は2に記載の油性インクジェットインクの製造方法。
- 前記油中水型エマルションにおいて、前記水の量が、前記油中水型エマルション全量に対して1〜50質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の油性インクジェットインクの製造方法。
- 前記油性インクジェットインクにおいて、水の量が、前記油性インクジェットインク全量に対して1質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の油性インクジェットインクの製造方法。
- 前記色材は顔料を含み、前記分散相は顔料分散剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の油性インクジェットインクの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018124808A JP7122177B2 (ja) | 2018-06-29 | 2018-06-29 | 油性インクジェットインクの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018124808A JP7122177B2 (ja) | 2018-06-29 | 2018-06-29 | 油性インクジェットインクの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020002304A true JP2020002304A (ja) | 2020-01-09 |
JP7122177B2 JP7122177B2 (ja) | 2022-08-19 |
Family
ID=69098829
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018124808A Active JP7122177B2 (ja) | 2018-06-29 | 2018-06-29 | 油性インクジェットインクの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7122177B2 (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007119529A1 (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-25 | Sakata Inx Corp. | 油性印刷用体質顔料分散物の製造方法、該製造方法で得られる油性印刷用体質顔料分散物、及びその用途 |
JP2010111849A (ja) * | 2008-10-06 | 2010-05-20 | Riso Kagaku Corp | エマルションインキ及びその製造方法 |
JP2010168455A (ja) * | 2009-01-22 | 2010-08-05 | Riso Kagaku Corp | 非水系インクジェットインク |
JP2011057812A (ja) * | 2009-09-09 | 2011-03-24 | Riso Kagaku Corp | 油性インクジェットインク |
JP2014095005A (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-22 | Seiko Epson Corp | インク組成物の製造方法およびインク組成物 |
JP2018048293A (ja) * | 2016-09-16 | 2018-03-29 | 理想科学工業株式会社 | 油性インクジェットインク |
-
2018
- 2018-06-29 JP JP2018124808A patent/JP7122177B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007119529A1 (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-25 | Sakata Inx Corp. | 油性印刷用体質顔料分散物の製造方法、該製造方法で得られる油性印刷用体質顔料分散物、及びその用途 |
JP2010111849A (ja) * | 2008-10-06 | 2010-05-20 | Riso Kagaku Corp | エマルションインキ及びその製造方法 |
JP2010168455A (ja) * | 2009-01-22 | 2010-08-05 | Riso Kagaku Corp | 非水系インクジェットインク |
JP2011057812A (ja) * | 2009-09-09 | 2011-03-24 | Riso Kagaku Corp | 油性インクジェットインク |
JP2014095005A (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-22 | Seiko Epson Corp | インク組成物の製造方法およびインク組成物 |
JP2018048293A (ja) * | 2016-09-16 | 2018-03-29 | 理想科学工業株式会社 | 油性インクジェットインク |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7122177B2 (ja) | 2022-08-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6310701B2 (ja) | 着色樹脂粒子分散体及びインクジェットインク | |
WO2018030485A1 (ja) | 顔料水分散体 | |
JP6077772B2 (ja) | 着色樹脂粒子分散体及びインク | |
EP3689982B1 (en) | Oil-based inkjet ink, method for producing oil-based inkjet ink and method for producing dispersant | |
JP6068162B2 (ja) | 非水系顔料インク及び顔料複合体の製造方法 | |
CN110655828B (zh) | 油性喷墨墨和油性喷墨墨的制造方法 | |
JP2018053069A (ja) | 着色樹脂粒子分散体 | |
JP2017019969A5 (ja) | ||
JP6958800B2 (ja) | インクジェット記録方法 | |
JP2020033413A (ja) | インクジェット用油中水型エマルションインク | |
JP5792606B2 (ja) | インクジェット用非水系染料インク | |
JP7122177B2 (ja) | 油性インクジェットインクの製造方法 | |
JP7122207B2 (ja) | 樹脂粒子分散体の製造方法、樹脂粒子分散体及び油性インクジェットインク | |
JP7341860B2 (ja) | 油性インクジェットインク、油性インクジェットインクの製造方法及び分散剤の製造方法 | |
JP2015067676A (ja) | 非水系顔料インク | |
JP2019147852A (ja) | 油性インクジェットインク及び顔料分散剤 | |
EP3030619A2 (en) | Aqueous inkjet inks containing polymeric binders with components to interact with cellulose | |
JP6305957B2 (ja) | インクジェット用油性インクの製造方法 | |
JP2019006886A (ja) | 着色樹脂粒子分散体及びインクジェットインク | |
JP2021091788A (ja) | 油性インクジェットインク及び油性インクジェットインクの製造方法 | |
JP2017019967A (ja) | 着色樹脂粒子分散体及びインクジェットインク | |
JP2020015837A (ja) | 油性インク及び顔料分散剤 | |
JP2019119761A (ja) | 油中油型エマルションインク | |
JP2017132922A (ja) | インクジェット用油性インクの製造方法 | |
JP2017019966A (ja) | 樹脂粒子分散体及びインクジェットインク |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210507 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20211224 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220118 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220308 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220726 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220808 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7122177 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |