JP2020000036A - 展伸性フィルムによるキノコ栽培方法 - Google Patents
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Description
瓶栽培にあっては、栽培室の棚に瓶を重ねて積むか又は棚の高さを短寸とすることができる等して、室内に密度を高めて効率良く収納することができるが、他方では、硬質のキャップで閉められるので、培地の隆起が押しつぶされてキノコの原基形成が阻害され、又、キャップを外す際にキャップ素材とキノコとが癒着し、キノコを損傷させてしまう等の発生上の欠点を有している。
一方、袋栽培にあっては、上部に原基形成及び子実体の成長を促す空間を設けることができ、良好な発生条件を備えるが、他方では、その袋の上部に配する発生用の空間が室内への収納を邪魔してしまい、収納密度に欠ける等の欠点を有している。
一方、このフィルム体の被覆によって雑菌の侵入をできるが、その素材を酸素透過性を必要としないフィルム体で形成する本発明にあっては、もしこの酸素透過性のないイルムで容器本体を被覆すると、容器内への空気の流入が阻止され、そのままでは酸素不足により菌糸の蔓延が阻害される虞が生じる。しかし、本発明にあっては容器内に形成される菌床を、容器本体と充填した殺菌処理後の培地との間に0.2〜1.0ml/cm3(培地体積当たりの空間容積)の空気が貯留可能な空間を形成したものとすることにより、栄養成長を旨とする菌糸の蔓延にとって必要最低限の酸素が供給され、支障のない菌糸蔓延を促すことができる。
このとき、フィルム体は、酸素透過性を必要としないが展伸性及び透光性を備えたフィルム体とすることができるから、比較的安価なフィルム体を使用でき、経済的に優れたものとなる。
しかし、この菌糸の蔓延が進む段階に至ると、菌床には雑菌に対してある種の抵抗性が芽生え、雑菌に対する耐性が備えられるものとなるので、このタイミングを捉えて、菌床に菌糸が蔓延した後に、容器を覆うフィルム体に複数の孔を穿設すると、その孔から周囲の空気の容器内へ流入を促すことができる。すると、原基形成の開始とともに生殖成長へと変わった菌床に、十分な光投与の下、酸素の供給が始まり、同時に、空気流入に伴って雑菌侵入の虞が生じても、これに対する耐性の備えられた菌床は雑菌に抵抗性を発揮し、懸念される弊害を最小限に抑えることができる。結果、子実体の発生に向かっての原基形成を滞りなく進行させることができる。
菌床3を構成する培地には、広葉樹のオガコ、コーンコブ、綿実カス、針葉樹等が適用できる。
保形性とは、変形の虞ある袋体を除く意であり、図4に示す如く、脚2aをつけた場合に積み重ね可能な硬質さを備えた素材を指し、例えば、ポリプロピレン等のプラスチックが挙げられる。
この容器1は、栽培容器として機能するもので、上記一定容積の培地を充填可能とすると共に、後述する接種、菌糸の蔓延、原基形成等に必要なよう上部に開口部を設けたものとする。
ここで、酸素透過性を要しないフィルム体とは、酸素透過性を備えるという特性を敢えて必要とすることなく、一般的に非通気性といわれるフィルムであっても使用可能であることを意味する。実質的には、非通気性の比較的安価なフィルムが使用可能であることの意である。
又、展伸性とは、後述する菌糸塊の発生による菌床3の隆起3aに対して追随して延伸し得る性能をいう。隆起3aはときに1.5cm程度となるが、通常1.0cm未満であり、この範囲に追随できる展伸性を備えたものとする。
透光性とは、上記と同様菌糸の蔓延及び原基の形成に必要な光を、自然光又は照明具6等から採光可能とする性能をいう。
この酸素透過性を要しないが展伸性及び透光性を備えたフィルム体4としては、塩化ビニール製フィルム、ポリエチレン製フィルム等を挙げることができる。
例えば、日立ラップ(日立化成(株)・商標名)を使用でき、該フィルムは、厚み約8μmで、引張り試験において伸び率がMD方向(フィルムの引き出し方向)に約200%、TD方向(フィルムの幅方向)に約300%を示している。耐熱性が測定方法(東京都消費生活条例の品質表示実施要領)に基づいて130℃の値を示し、透光度が光線透過率98%以上の透明性のラップフィルム体である。
いずれにあっても、上記フィルム体4に後述する菌糸塊による隆起作用が加わったとき、該フィルム体4が容器本体2から外れることなく、その密着性を保つ固着性があれば良い。
いずれが良いかは個別に判断するが、比較的規模が大きな場合には、前者が好適であり、規模の小さな場合には後者が適したものとなる。
この0.2〜1.0ml/cm3(培地体積当たりの空間容積)とした理由は、以下の如くである。
先ず、穴の総容積を(A)、培地とフィルム体との間の上部空間の容積量を(B)、容器本体の体積を(C)、培地の体積を(D)としたとき、それぞれについて次の条件を設定した。
(a)条件:最小値の設定にあたって、サイズ直径2.5cm、深さ3cmの穴を35個穿設するとその総容積(A)は515mlとなり、培地とフィルム体との間に0.5cmの間隔を保つとその上部空間容積(B)は1350mlとなり、容器本体のサイズを縦60cm、横45cm、高さ5cm(内寸4cm)としたとき、体積(C)は10800cm3となる。培地体積(D)は、容器体積から穴の総量と上部空間との和を差し引いた値となり、(D)=(C)−(A+B)=10800−(515+1350)=8935cm3となる。
上記(A)、(B)、(C)、(D)に基づいて、容器体積当たりに占める貯留空間容積の割合は空間総量/容器体積となる。この値を算出すると、空間総量/容器体積=(A+B)/D=(515+1350)ml/8935cm3=0.208ml/cm3 ≒0.2ml/cm3となる。
従って、この場合の培地体積当たりの貯留空間容積は0.2ml/cm3となる。
(b)条件:次いで、最大値の設定にあたって、サイズ直径2.5cm、深さ1.64cmの穴を35個穿設するとその総容積(A)は281.6mlとなり、培地とフィルム体との間に1.9cmの間隔を保つとその上部空間容積(B)は5130mlとなり、容器体のサイズを縦60cm、横45cm、高さ5cm(内寸4cm)としたとき、体積(C)は10800cm3となる。培地体積(D)=(C)−(A+B)=10800−(281.6+5130)=5388.4cm3となる。
(A)、(B)、(C)、(D)に基づいて、容器体積当たりに占める貯留空間容積の割合を算出すると、空間総量/容器体積=(A+B)/D=(281.6+5130)ml/5388.4cm3=1.004ml/cm3 ≒1.0ml/cm3となる。
従って、この場合の培地体積当たりの貯留空間容積は1.0ml/cm3となる。
この4つのタイプについて、シイタケ子実体の発生試験を行った。
栽培条件:対象をシイタケとし、広葉樹オガコに栄養体としてフスマを10wt%添加・混合し、加水して62wt%の水分量に調整した。650×450×40mm(内寸)の箱型ポリプロピレン製容器本体に培地を充填し、120℃・60分間の蒸気殺菌を行い、培地冷却後に種菌を散布し、日立ラップで被覆した。培養温度20℃、湿度RH80〜90%、培養期間60日、照明を作業中は室内点灯、培地表面付近で200〜300Lux、0.5〜4時間/日とした。20日目にフィルムに直径約1mmの孔100個をあけた。発芽処理は、温度15℃湿度RH80〜90%の発生室へ移動後、フィルムを除去して浸水を24時間行い、発芽処理後10日目に収穫した。
これに対し、条件(a)の0.2ml/cm3にあっては、しいたけ子実体の発生個数が培地1kg重当たり7.5個、重さ219.1gと多数の発生個数及び重量となり、同様に条件(b)の1.0ml/cm3においても、しいたけ子実体の発生個数が培地1kg重当たり13.4個、重さ209.2gと多数の発生個数及び重量となり、ともに高い発生個数及び重量の良好な結果が得られた。
これらから、0.2〜1.0ml/cm3(培地体積当たりの空間容積)の範囲において良好なしいたけ子実体の生育が得られることが実証された。
この結果、本発明における培地体積当たりの空間容積を0.2〜1.0ml/cm3
と設定したものである。
これは、きのこの成長段階には栄養成長から生殖成長へと切り替わる段階があり、この段階において過剰な酸素が存在すると、却って切り換えに適切な刺激が与えられず、成長不良に繋がることが予想される。
これに対し、0.2〜1.0ml/cm3の範囲となる条件(a)、(b)にあっては、菌床に形成した空気の貯留空間から適切量の酸素が供給され、菌糸蔓延に必要な栄養が与えたれると共に栄養成長から生殖成長への切り換えが円滑に行われ、その後の原基形成や菌糸塊隆起等が円滑に行われ良好なきのこ成長へと繋がるものと考えられる。同時に、この貯留空間の形成は、培地と空間を境にして、比較的水分を保持した内側の培地と蒸散により水分の減じた外側の培地という性格の異なる2つの層が形成される場合があり、その水分の濃度落差が上記切り換えへの刺激となることも要因の一つになるものと推察される。
<接種穴型>
接種穴型とは、図1に示す如くで、種菌を接種しようとしたとき、その種菌が菌床3の底部に向かって一定深さにまで達する窪みを形成しようとするもので、ここに窪み空間に貯留用の空気を貯留させると共に、種菌接種後から子実体の成熟に至るまでの菌糸蔓延、原基形成等の各工程が菌床3に対して均一で且つ効率的なものを使用しようとするものである。図8に平面から見た写真図を示した。
例えば、菌床上面面積1cm2に対して直径2〜5cmで深さ2.29cm〜5.73cmの穴3a(or窪み)とし、例えば、直径2.0cmの穴3a(窪み)としたとき、40cm2に1個程度の割合に、複数個を穿設する。
チップ間隙型とは、図6に示す如くで、チップ形の木材等を培地とするタイプをいい、チップ形であることからそれらを充填したとき空隙を生じるもので、その大きさは寸法を厚み×長さ×幅で規定したとき、最小で0.5×5×5mm=12.5mm3で、最大で2×20×20mm3=800mm3となるものが適合し、その結果12.5〜800mm3の体積を備えるチップが適合範囲となる。
例えば、通常の小さいおが粉は0.5〜2mm角程度であるところを、厚さ0.5m〜2mm、一辺の長さ5〜20mm程度のサイズの大きめな木質チップを主体に配合する。より望ましくは、加水量(培地含水率)を減らして、菌床3の充填圧を低くするものとし、例えば杉、コーンコブ等の比重が小さく気相が多くなる基材とする。その際の木質チップ配合率は菌床容積の50%以上が目安となる。
蓋との上部空間型とは、図5の如くで、容器本体2に被せた蓋体と培地の上部とで形成される空間を指し、この領域に0.2〜1.0ml/cm3(培地体積当たりの空間容積)の貯留空間を形成することをいう。
例えば、縦60cm、横45cm、高さ5cm(内寸4cm)の容器本体に培地を厚さ(深さ)2.5cmに充填し、容器本体の上端開口部をフィルム体で覆った形態とする。このとき、培地とフィルム体との距離は1.5cmとなり、0.6ml/cm3の貯留空間が形成される。
小容器タイプ型とは、図7に示す如くで、比較的大きな容積を持つ容器本体2に対し、小さな容積の容器を用意し、これに培地を充填したものを容器本体2内に敷設し、容器本体と小容器との間に貯留空間を形成するものをいう。
例えば、酸素透過性を備えた素材の紙容器、又は側面に小孔をあけたプラスチック素材の容器を用い、これに培地を充填する。この小容器をより大きな容積をもつ容器本体内に並べ置き、容器本体の開口部をフィルム体4で覆って、密閉状態とする。
容器本体2のサイズを60×45×5(内寸4)cm(10800cm3)とし、小容器のサイズを直径7.0cmで高さ3.5cmの円筒形とし、この小容器を48個敷設すると、容器本体2と小容器との間に(10800−6462)cm3/6462cm3=0.67ml/cm3(培地体積当たり)の貯留空間が形成される。
上記菌床形成工程で、フィルム体4を被せた場合には、該フィルム体4を外して接種する。
接種は、通常の種菌の接種と同様で、微粒子の種菌を水との懸濁液とし、噴霧状に降りかける等して行う(図3(b)参照)。
そして、容器本体2をフィルム体4で被覆して固着手段5で密着固定する(図3(c)参照)。
固着手段5は、上記の如く、容器本体2の上外縁部を平滑面に形成するか、ゴム紐又はテープ、糸紐等で縛着する等して、フィルム体4に後述する菌糸塊による隆起作用が加わったとき、該フィルム体4が容器本体2から外れることなく、その密着性を保つものとする。
該フィルム体4の固着は、容器本体2とフィルム体4との間にできる貯留空間への雑菌侵入によるコンタミネーションを防止する為のものである。
即ち、菌糸培養前期工程においては、雑菌の侵入を許すと、コンタミネーションが起こり、菌糸の成長が阻害されてしまう危険がある。
そこで本発明では、容器本体2をフィルム体4で被覆して密着固定させる手段を採り、少しの雑菌の侵入も許さない形態とする。隙間がすべて閉塞され、どんな微細な雑菌の侵入も防いで、その弊害を皆無なものとすることができる。
即ち、先ず、この菌糸の蔓延には、本来酸素が必要とされるが、本発明にあっては、上記の如く、雑菌の侵入を防ぐため容器本体2をフィルム体4で被覆して密着固定させ、且つ、その素材を酸素透過性を必要としないフィルム体4で被覆すると、容器内への空気の流入が阻止されることから、酸素が不足して、そのままでは菌糸の蔓延が阻害される虞がある。
しかし、本発明にあっては、容器本体2と充填した殺菌処理後の培地との間に0.2〜1.0ml/cm3の空気が貯留可能な空間の形成された菌床3が設けられるので、蔓延過程にある菌糸は、その貯留空間Sから酸素を吸収し、栄養成長を旨とする菌糸の蔓延にとって必要最低限以上の酸素が供給され、支障のない菌糸蔓延が図られるものとなる。
即ち、上記の如く、菌糸が蔓延していく過程にあって通常では菌床3に雑菌の侵入が懸念されるところ、本発明の栽培容器1には、フィルム体4を容器本体2に密閉状に固定する固着手段5が施されているので、雑菌の侵入が防御され、雑菌汚染による菌糸伸長が阻害されることはない。
ところで、この菌糸の蔓延工程がつつがなく進行し、原基の形成が始まろうとする段階に至ると、その菌床3には菌糸蔓延が進むにつれて雑菌への抵抗性が育まれ、多少の雑菌の侵入に対しては一定の耐性が形成されるものとなる。一方で、菌糸の蔓延に終了とともに原基形成が開始されると、栄養成長から生殖成長へと成長段階が切り替わり、そこには、比較的多くの酸素が必要とされる。
そこで、本発明にあっては、この時期を狙って、フィルム体4に複数の孔4aを穿設する処理を施すものとする。
この意味で、このフィルム体4に孔4aを穿設すべき菌糸培養前期工程とは、原基形成が開始される初期段階を含む意である。更に詳しい穿設のタイミングは、きのこの品種によって異なるものとなるが、概ね培養開始から14〜40日の間で、実質的には20〜30日が最適となる。
このフィルム体4に複数の孔4aを穿設するとは、容器本体2を覆ったフィルム体4に、直径0.5〜2.0mm程度の孔4aを2〜7個/100cm2間隔程度で穿つことをいう。その手段は、レーザー光(LB)や穿孔針等の物理的手段等の別を問わない。
穿孔された孔4a周囲から空気の流入が図られ、原基形成に必要とされる酸素が充分に供給される体勢が整う。
その理由は、原基形成にあっては、キノコの成長が栄養成長から生殖成長へと切り替わる時期であり、この光の存在によって、刺激が与えられ、成長段階の切り替えの契機となるからである。
しかし、従来、一般的に半透明の素材を用いているため、素材通過後の照度は83%程度に減少し、原基形成の遅れを招き、培養期間短縮の妨げとなっていた。
これに対し、本発明のフィルム体4は、透明体であり、優れた透光性を備えたもので、上記光照射の要求に応え得るものとなる。
自然光を利用する場合には、容器本体2の上部に自然光が射し込み可能な隙間を確保し、人工照明の場合には、上部にLED等の照明具6を配設する。
その理由は、以下の如くに、推察される。
菌床3全体に菌糸が蔓延すると、菌糸は原基形成のための被膜を形成すると共に、菌床3内部の菌糸体量を増加させ、養分蓄積を充実させるため菌床3の上部の方から菌糸塊をつくることがある。つまり、原基を形成する菌糸体量を確保するのに必要な空間が菌床3内だけでは確保できず、形成された菌糸塊が菌床3を膨張させ、菌床表面を隆起3aさせるものと考えられる。
従って、この菌糸塊の形成を抑制してしまうことは、菌糸体量の増加を阻害することになり、適正な原基形成を妨害する結果を招くことになる。
これに対し、本発明フィルム体4は上記の如く、優れた展伸性を示すものである。
従って、菌糸塊の形成により菌床3が隆起3aする場合に、その隆起3aに展伸性のフィルム体4が追随し、菌糸体量の増加を妨害することなく適正な原基形成を促すものとなる。
例えば、ポリ塩化ビニールフィルムとしたときは、充分な展伸性が得られる。
原基形成が終期に近づくと、菌床表面の略全体が褐色化する変化が見られ、これは原基形成が略完了した証左でもある。又、原基形成がほぼ終了し、子実体の発生初期に幼子実体が見られる時期となる。
そこで、この原基形成が終了し、又は、幼子実体の発生の見られる附近の時期を原基形成の完了時と捉え、この時期に、固着手段5を解いてフィルム体4を容器本体2から外し、子実体の生育を促すべく15℃程度の発生室へと移動させる。
ここでフィルム体4を容器本体2から外すとは、フィルム体4が容器を密閉する状態を脱することをいい、フィルム体4を切って菌床3が露出する状態とすることも含む意である。
フィルム体4を外すとき、フィルム体4とキノコが癒着すると、キノコ発生を損傷させるものとなるが、本発明フィルム体表面を平坦状とすれば、キノコとの癒着性のないものとなる。
この工程は、基本的に通常の子実体の生育と変わらぬ環境であるが、上記菌糸体量の増加が妨害されず充分な原基形成が促された後での子実体の生育となり、適正で多くの子実体の生育が確認されている。
同時に、上記の如く、菌床3が隆起する場合に、菌床3の隆起3aに追随して展伸性に富んだフィルム体4を伸長させることができ、菌糸塊を抑制してしまい菌糸体量の増加を阻害するという発生上の欠点を克服することができる。
従って、高い収納密度と良好なキノコの発生条件の確保という双方の要求を両立させることができるものとなる。
対象をシイタケとし、これに適した菌床3として、広葉樹オガコに栄養体としてフスマを菌床重量の10wt%を添加・混合し、加水して62wt%の水分量に調整した。
600×450×50mmの箱型のポリプロピレン製の容器本体2に、直径20〜30mmの接種穴を菌床底部10mm近くにまで押しあけ、その数35個を穿設した。
そこを8μm厚のポリ塩化ビニール製フィルム(商標:日立ラップ)で覆い、ゴム紐で縛着した。これを120℃で60分間の蒸気殺菌を施した。
冷却後、フィルム体4を一旦外し、シイタケ種菌を接種し、再びフィルム体4を縛着した。
これを20℃、RH60〜80%に管理した部屋で、60日間培養した。照明は、作業中に室内照明灯を点灯し、菌床表面付近で200〜300lux、1日に0.5〜4時間の照射とした。
20日目にフィルム体4に縫い針で100個の孔4aを穿った。
培養完了した菌床3を15℃、RH80〜90%に管理した発生室に移し、フィルム体4を除去し24時間浸水した。その後10日目にキノコ(シイタケ)を得た(図9参照)。
一般に用いられている3Kg菌床の場合は、100日の培養期間と120日の発生期間を合わせた220日の栽培期間に収穫できるキノコ生重が700〜1000gであり、菌床重量の23%〜30%である。
今回のラップ利用栽培と既存の3kg袋栽培を比較すると、単位菌床重量あたりで比較した場合は同等の生重のキノコを、ラップ利用栽培においては既存袋栽培と比較して30%以下の栽培期間で得られたことになる。
接種穴を形成することで、通気量が多くなり部分的に培地の腐朽と熟成が進み、水分のバランスが適切となった。
2・・ 容器本体
2a・・脚
3・・ 菌床
3a・・接種穴
3b・・隆起
4・・ フィルム体
4a・・ 孔
5・・ 固着手段
6・・ 照明具
Claims (5)
- 保形性を備え上面に開口部を配して一定量の培地が充填可能な容器本体と、該容器本体の上面を被覆する酸素透過性を要しないが展伸性及び透光性を備えたフィルム体と、該フィルム体を容器本体に固定する固着手段とを備えた栽培容器を用い、
a)該容器本体と充填した殺菌処理後の培地との間に、0.2〜1.0ml/cm3
の空気が貯留可能な空間を形成した菌床を形作った菌床形成工程と、
b)該菌床表面に種菌を散布すると共に、容器本体をフィルム体で被覆して固着手段で密着固定させる種菌接種工程と、
c)透光性の環境下で接種した菌糸を菌床に蔓延させた後、該フィルム体に空気の流入を促す複数の孔を穿設する菌糸培養前期工程と、
d)菌糸蔓延によって原基形成が開始され且つ菌糸塊の形成により培地が隆起する場合に、その隆起に展伸性のフィルム体が追随して菌糸体量の増加を妨害することなく原基形成を促す菌糸培養後期工程と、
e)原基形成が完了したら、容器本体からフィルム体を外した状態で子実体の成長を促す子実体生育工程と、
f)成熟した子実体を採取する採取工程と、
から成ることを特徴とする展伸性フィルムによるキノコの栽培方法。 - 請求項1記載の菌床形成工程において、菌床内に接種穴を形成するものとしたことを特徴とする展伸性フィルムによるキノコの栽培方法。
- 請求項1記載の菌床形成工程において、菌床を12.5〜800mm3の木材チップで形成したことを特徴とする展伸性フィルムによるキノコの栽培方法。
- 請求項1〜2記載のフィルム体を、キノコとの癒着性のない平滑状としたことを特徴とする展伸性フィルムによるキノコの栽培方法。
- 請求項1〜3記載の容器本体の上部に照明具を配したことを特徴とする展伸性フィルムによるキノコの栽培方法。
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