I.定義
本明細書での「アクセプターヒトフレームワーク」は、下で定義されるようなヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、それらの同じアミノ酸配列を含むこともあり、又はある特定のアミノ酸配列変化を有することもある。一部の実施態様では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下又は2以下である。一部の実施態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列の点で、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
「アフィニティー」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との非共有結合的相互作用の総計の強度を指す。別途指示がない限り、本明細書で使用される「結合アフィニティー」は、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)間の1:1相互作用を表す固有の結合アフィニティーを指す。分子XのそのパートナーYに対するアフィニティーは、解離速度定数と結合速度定数(それぞれ、koffとkon)の比である、解離定数(KD)によって一般に表すことができる。したがって、同等のアフィニティーは、速度定数の比が同じままであるならば、異なる速度定数を含むこともある。アフィニティーは、本明細書に記載のものを含む、当該技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができる。結合アフィニティーの測定についての説明に役立つ例示的な具体的実施態様は、下記で説明される。
「アフィニティー成熟した」抗体は、1つ又は複数の超可変領域(HVR)(例えば、CDR)に改変(例えば、アミノ酸突然変異)を、そのような改変を有さない親抗体と比較して1つ又は複数有し、そのような改変は、抗原に対する抗体のアフィニティーの向上をもたらす。典型的に、アフィニティー成熟した抗体は、親抗体と同じエピトープと結合する。
用語「抗TnC抗体」及び「TnCと結合する抗体」は、テネイシンC(TnC)に十分なアフィニティーで結合することができる抗体を指し、したがって、前記抗体は、TnCを標的とする点で診断及び/又は治療剤として有用である。一実施態様では、無関係の非TnCタンパク質への抗TnC抗体の結合度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定して、TnCへの抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施態様では、TnCと結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦5nM、≦2nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8Mから10−13M、例えば、10−9Mから10−13M、例えば、10nMから0.1nM、例えば、5nMから0.1nM、例えば、2nMから0.1nM)の解離定数(KD)を有する。ある特定の実施態様では、抗TnC抗体は、異なる種からのTnC間で保存されるTnCエピトープと結合する。ある特定の実施態様では、TnCのエピトープと結合する抗体は、A1、A2、A3、A4、B、AD1、AD2、C及びDからなる群から選択されるドメインのうちの少なくとも1つに特異的である。ある特定の実施態様では、TnC A1及びTnC A4ドメインに特異的な抗体が提供される。ある特定の実施態様では、TnC Cドメインに特異的な抗体が提供される。
本明細書での用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、様々な抗体構造を包含し、そのような抗体構造には、これらに限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)が含まれ、抗体断片も、それらが所望の抗原結合活性を呈示するのであれば、含まれる。Fc領域を有する抗体断片、及び免疫グロブリンのFc領域と同等の領域を含む融合タンパク質も、含まれる。
「抗体断片」は、インタクト抗体が結合する抗原に結合するインタクト抗体の一部分を含む、インタクト抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
参照抗体と「同じエピトープと結合する抗体」は、競合アッセイで参照分子のその抗原への結合を50%以上ブロックする抗体を指し、逆に言うと、参照分子は、競合アッセイで抗体のその抗原への結合を50%以上ブロックする。例示的競合アッセイは、本明細書で提供される。
用語「抗原結合ドメイン」は、抗原の一部又は全てと特異的に結合する領域であって抗原の一部又は全てと相補的である領域を含む、抗原結合分子の一部を指す。抗原が大きい場合、抗原結合分子は、エピトープと称される抗原の特定の部分のみと結合することができる。抗原結合ドメインは、例えば、1つ又は複数の抗体可変ドメイン(抗体可変領域とも呼ばれる)によってもたらされることがある。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含む。
用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の源又は種に由来するが、その重鎖及び/又は軽鎖の残部が異なる源又は種に由来する抗体を指す。キメラ抗体については、例えば、非抗原結合成分は、チンパンジー及びヒトなどの霊長類を含む、多種多様な種に由来し得る。ヒト化抗体は、キメラ抗体の特に好ましい形態である。
抗体の「クラス」は、その重鎖が有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMという5つの主要抗体クラスがあり、これらのうちの幾つかは、さらに、サブクラス(アイタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ。α、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。
「輸注反応」である「サイトカイン放出症候群」は、抗体の輸注の使用に伴って発生する一般的な即時型副作用である。発病機序は、抗体がT細胞受容体と結合して前記T細胞を活性化することを特徴とする。活性化T細胞により放出されるサイトカインは、高血圧、発熱及び悪寒を特徴とする重症感染症の際に見られるものに類似したタイプの全身性炎症反応を生じさせる。サイトカイン放出症候群に起因する死亡が報告されており、サイトカイン放出症候群は、患者が水分過負荷状態になると、致死性肺水腫を引き起こし得る。
本明細書で使用される用語「細胞毒性剤」は、細胞機能を阻害する若しくは妨げる及び/又は細胞死若しくは破壊を引き起こす物質を指す。細胞傷害性剤としては、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体);化学療法剤若しくは化学療法薬(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤);増殖阻害剤;酵素及びそれらの断片、例えば核酸分解酵素;抗生物質;毒素、例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来の低分子毒素又は酵素的に活性な毒素(それらの断片及び/又は変異体を含む);並びに下で開示される様々な抗腫瘍又は抗がん剤が挙げられるが、これらに限定されない。
「種間交差反応性」は、ある特定の抗体が抗体のそれぞれの標的抗原と特異的に結合できることを指し、ここで前記標的抗原は、異なる種(例えば、ヒト、マウス、カニクイザル等)に由来し得る。種間交差反応性抗体は、少なくとも2つの異なる種に由来するそのそれぞれの標的抗原と約1μM未満、好ましくは約100nM未満、より好ましくは約10nM未満、より好ましくは約5nM未満、最も好ましくは約2nM未満のKD値で結合する。用語「少なくとも2つの異なる種に由来するそのそれぞれの標的抗原と〜未満のKD値で結合する」は、それぞれの抗体が、指定された種の各々に由来する標的抗原と、指定されたKD値未満の解離定数KDで結合することを意味する。好ましい実施態様では、種間交差反応性抗体は、指定された全ての種からの標的抗原と、同様のアフィニティーで、好ましくは、10nMから0.1nM、より好ましくは5nMから0.1nM、最も好ましくは2nMから0.1nMのKD範囲内で結合する。一部の実施態様では、数種に由来する抗原に対する同様のアフィニティーは、目的の全ての種に対して狭いKD範囲内(例えば、10nMから0.1nMの範囲内又はそれより狭い範囲内)での標的抗原の結合を意味し、例えば、ヒト疾患の診断アッセイ又は動物モデルに有利である。さらに好ましい実施態様では、種間交差反応性抗体は、指定された全ての種(例えば、ヒト、マウス及びカニクイザル)からの標的抗原と、同様のアフィニティーで、特に、100倍のKD範囲内、50倍のKD範囲内、20倍のKD範囲内、10倍のKD範囲内、5倍のKD範囲内で結合する。好ましい実施態様では、種間交差反応性抗体は、ヒト、マウス及びカニクイザルからの標的抗原と、同様のアフィニティーで、特に10倍のKD範囲内で結合する。明確にするために言えば、種間交差反応性抗体は、指定された他の種と比較して最も高いアフィニティーを有する指定された種の1つと結合する。したがって、種間交差反応性抗体は、指定された他の種と比較して最も低いアフィニティーを有する指定された種の1つと結合する。定義された倍数XのKD範囲内とは、最高のアフィニティーを有する指定された種に対するアフィニティーが、最低のアフィニティーを有する指定された種に対するアフィニティーのX倍以下であることを意味する。言い換えると、最低のアフィニティーを有する指定された種のKD値は、最高のアフィニティーを有する指定された種のKD値のX分の1以下である。指定された全ての種のKD測定に同じ条件が適用されるのであれば、何れのアフィニティー又はアヴィディティー測定方法を使用して、種間交差反応性抗体が、指定された全ての種からの標的抗原と本明細書に記載の所与のKD倍数範囲内で結合することを検証してもよいことは、明らかである。好ましくは、KD値は、SPRを使用して、特に25℃で測定される。好ましくは、アフィニティーは、種間交差反応性抗体をFab断片として使用して測定される。
「エフェクター機能」は、抗体アイソタイプによって異なる、抗体のFc領域に起因する生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の発現低下、及びB細胞活性化が挙げられる。エフェクター機能と関連して本明細書で使用される用語「低下された」又は「増加された」は、Fc領域の修飾を含まない対応する親抗体により誘導されるエフェクター機能と比較して、修飾されたFc領域を含む本発明の抗体により誘導されるエフェクター機能の測定可能な低下又は増加を指す。エフェクター機能は、本明細書で開示されるように、及び本明細書で開示される実施例を参照して、測定することができる。エフェクター機能と関連して本明細書で使用される用語「強く低下された」、「消失された」及び「残留の」は、Fc領域に修飾を含まない対応する親抗体により誘導されるエフェクター機能と比較して、修飾されたFc領域を含む本発明の抗体により誘導される指名エフェクター機能の低下を指す。「強く低下された」は、対応する親非修飾(例えば、非置換)抗体により誘導されるそれぞれのエフェクター機能と比較して、50%以下への低下を意味し、「消失された」は、10%未満への低下を意味し、「残留の」は、10%超えを意味する。したがって、Fc変異体を含む本発明の抗体は、次の特性のうちの少なくとも1つ又は複数を含む:ADCCの低下又は消失、CDCの低下又は消失、ADCPの低下又は消失、Fc受容体への結合の低減又は消失、C1qへの結合の低減又は消失、及び輸注反応(サイトカイン放出症候群)の低減又は消失。
薬剤、例えば薬学的製剤の「有効量」は、必要な投薬量で、必要な期間にわたって、所望の治療又は予防結果を達成するために、有効な量を指す。
本明細書での用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部分を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域及び変異Fc領域を含む。一実施態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端にわたる。しかし、Fc領域のC末端リジン(Lys447)が存在してもよく、又は存在しなくてもよい。本明細書中で別途定めがない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD、1991に記載されているような、EUインデックスとも呼ばれる、EU番号付けシステムによるものである。
「免疫グロブリンのFc領域と同等の領域」は、免疫グロブリンのFc領域の天然に存在する対立遺伝子変異体はもちろん、置換、付加又は欠失を生じさせる改変だが免疫グロブリンのエフェクター機能を媒介する能力(例えば、抗体依存性細胞傷害)を実質的に低下させない改変を有する変異体も含むことを意図したものである。例えば、生物学的機能を実質的に失うことなく、1つ又は複数のアミノ酸を免疫グロブリンのFc領域のN末端又はC末端から欠失させることができる。当該技術分野で公知の一般的規則に従って、活性に対してわずかな影響しか及ぼさないような変異体を選択することができる(例えば、Bowie, J. U.等、Science 247:1306-10(1990)を参照されたい)。
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)(又はCDR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、FR1、FR2、FR3及びFR4という4つのFRドメインからなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般に、VH(又はVL)内に、FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4という配列で出現する。
用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」は、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有する抗体、又は本明細書で定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すために、本明細書では同義で使用される。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」は、同義で使用され、外来性核酸が導入された細胞を、そのような細胞の子孫を含めて、含む。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換細胞」を含み、これらには、初代形質転換細胞、及び継代数を問わずそれらに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含有量の点で親細胞と完全に同一でないこともあり、突然変異を含有することもある。最初に形質転換された細胞の中でスクリーニング又は選択されたのと同じ機能又は生物学的活性を有する変異体子孫が、ここに含まれる。一実施態様では、宿主細胞は、修飾されたオリゴ糖を有する抗体の産生を可能にするように操作される。ある特定の実施態様では、宿主細胞は、β(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を有する増加されたレベルの1つ又は複数のポリペプチドを発現するように、さらに操作されたものである。宿主細胞には、培養細胞、例えば、ほんの数例を挙げれば、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞又はハイブリドーマ細胞等の、哺乳動物培養細胞、酵母細胞、昆虫細胞及び植物細胞が含まれるが、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物又は培養植物若しくは動物組織内に含まれている細胞も含まれる。
「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞によって産生される抗体のアミノ酸配列に対応する、又はヒト抗体レパートリーを用いる若しくはヒト抗体をコードする他の配列を用いる非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応する、アミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、厳密に言えば、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択の際に最も多く存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、NIH Publication 91−3242、Bethesda MD(1991)、1−3巻におけるようなサブグループである。一実施態様では、VLについてのサブグループは、上掲のKabat等におけるようなサブグループカッパIである。一実施態様では、VHについてのサブグループは、上掲のKabat等におけるようなサブグループIIIである。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基とヒトFRからのアミノ酸残基とを含むキメラ抗体を指す。ある特定実施態様ではヒト化抗体は、HVR(例えば、CDR)の全て又は実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト抗体のものに対応する、少なくとも1つの、典型的には2つの、可変ドメインの実質的に全てを含むことになる。ヒト化抗体は、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を任意選択的に含んでいてもよい。抗体の、例えば非ヒト抗体の、「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
本明細書で使用される用語「超可変領域」、又は「HVR」は、配列が超可変性である、及び/又は構造的に明確なループ(「超可変ループ」)を形成する、抗体可変ドメインの領域の各々を指す。一般に、天然4鎖抗体は、VHに3つ(H1、H2、H3)及びVLに3つ(L1、L2、L3)の、6つのHVRを含む。HVRは、超可変ループからの及び/又は「相補性決定領域」(CDR)からのアミノ酸残基を含み、CDRは、配列可変性が最も高い及び/又は抗原認識に関与するものである。VH中のCDR1を除いて、CDRは、一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。超可変領域(HVR)は、相補性決定領域(CDR)とも称され、これらの用語は、本明細書では抗原結合領域を形成する可変領域の部分に言及する際に同義で使用される。この特定の領域は、Kabat等、U.S.Dept.of Health and Human Services、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」(1983)によって及びChothia等、J.Mol.Biol.196:901−917(1987)によって記載されており、これらの文献における定義は、互いに比較したとき、アミノ酸残基の重複又はサブセットを含む。それでもなお、抗体又はその変異体のCDRに言及するためのどちらかの定義の適用は、本明細書中で定義され、使用されるこの用語の範囲内であると考えている。上記引用参考文献の各々によって定義されるCDRを包含する適切なアミノ酸残基を比較として下の表1に記載する。特定のCDRを包含する正確な残基番号は、CDRの配列及びサイズによって変わることになる。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列を考えれば、どの残基が特定のCDRを含むかを常套的に決定することができる。
1 表1中の全てのCDR定義の番号付けは、カバット等により記載された番号付け規定によるものである(下記参照)。
2 表1中で使用されている小文字「b」を伴う「AbM」は、Oxford Molecularの「AbM」抗体モデル化ソフトウェアによって定義されるようなCDRを指す。
カバット等は、任意の抗体に適用することができる可変領域配列の番号付けシステムも定義した。当業者は、配列自体以外の何れの実験データにも頼らずに、「カバット番号付け」のこのシステムを任意の可変領域配列に明確に割り当てることができる。本明細書で使用される「カバット番号付け」は、Kabat等、U.S.Dept.of Health and Human Services、「Sequence of Proteins of Immunological Interest」(1983)によって記載された番号付けシステムを指す。別途定めがない限り、抗体可変領域内の特定のアミノ酸残基位置の番号付けへの言及は、カバット番号付けシステムによるものである。
CDRは、抗原と接触する残基である「特異性決定残基」、すなわち「SDR」も含む。SDRは、短縮CDR又はa−CDRと呼ばれる、CDRの領域内に含有される。一般に、所与のCDR内の残基の5分の1から3分の1のみが抗原結合に関与する。特定のCDR内の特異性決定残基は、例えば、Padlan等、FASEB J.9(1):133−139(1995)に記載の方法に従って三次元モデル化からの原子間接触の計算及び所与の残基位置における配列可変性の決定により、同定することができる。例示的a−CDR(a−CDR−L1、a−CDR−L2、a−CDR−L3、a−CDR−H1、a−CDR−H2、及びa−CDR−H3)は、L1のアミノ酸残基31−34、L2のアミノ酸残基50−55、L3のアミノ酸残基89−96、H1のアミノ酸残基31−35B、H2のアミノ酸残基50−58、及びH3のアミノ酸残基95−102に存在する。(Almagro及びFransson、Front. Biosci. 13:1619-1633(2008)を参照されたい)。別途指示がない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上掲のKabat等に従って番号付けされる。
「抗体コンジュゲート」又は「イムノコンジュゲート」は、細胞毒性剤にコンジュゲートしている抗体である。
「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類、例えばサル)、ウサギ、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施態様では、個体又は対象はヒトである。
「単離された抗体」は、その天然の環境の成分から分離されたものである。一部の実施態様では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換若しくは逆相HPLC)により判定して、95%又は99%より高い純度に精製される。抗体純度の評定方法の概説については、例えば、Flatman等、J.Chromatogr.B 848:79−87(2007)を参照されたい。
「単離されたポリヌクレオチド」は、その天然の環境の成分から分離されたポリヌクレオチド分子を指す。単離されたポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチド分子を元々含有する細胞に含有されているポリヌクレオチド分子を含むが、前記ポリヌクレオチド分子は、染色体外に存在するか、又はその自然な染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
「抗TnC抗体をコードする単離されたポリヌクレオチド」は、抗体重鎖及び軽鎖(又はそれらの断片)をコードする1つ又は複数のポリヌクレオチド分子を、単一のベクター又は別々のベクター内のそのようなポリヌクレオチド分子、及び宿主細胞内の1つ又は複数の位置に存在するそのようなポリヌクレオチド分子を含めて、指す。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、生じ得る変異抗体、例えば、天然に存在する突然変異を含有する変異抗体又はモノクローナル抗体の産生中に生じる変異抗体であって、一般に少量で存在するそのような変異体を除いて、同一である、及び/又は同一のエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を概して含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られた場合の抗体の特徴を示すものであり、何れかの特定の方法による抗体の産生を求めるものとみなすべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない、様々な手法により作製することができ、そのような方法及びモノクローナル抗体の他の例示的作製方法は、本明細書中で説明される。
「ネイキッド抗体」は、異種部分(例えば、細胞傷害性部分)にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、薬学的製剤中に存在することもある。
「天然抗体」は、様々な構造を有する、天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から構成されている、約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端へ、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)、続いて、重鎖定常領域とも呼ばれる3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端へ、各軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)、続いて、軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプの一方に割り当てることができる。
「実質的交差反応性がない」は、分子(例えば、抗体)が、その分子の実際の標的抗原とは異なる抗原(例えば、その抗原と近縁の抗原)を認識せず、そのような抗原に、特にその実際の標的抗原と比較して、特異的に結合もしないことを意味する。例えば、抗体は、実際の標的抗原とは異なる抗原の約10%未満から約5%未満に結合することがあり、又は実際の標的抗原とは異なる前記抗原に、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.2%、若しくは0.1%未満、好ましくは、約2%、1%、又は0.5%未満からなる群から選択される量で、最も好ましくは、実際の標的細胞抗原とは異なる抗原約0.2%又は0.1%未満に、結合することもある。
用語「添付文書」は、治療用製品の市販のパッケージの中に通例含まれている説明書であって、そのような治療用製品に関する適応症、用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告についての情報を含む説明書を指すために使用される。
用語「親」抗体は、変異体の調製の出発点又は基礎として使用される抗体を指す。
参照ポリペプチド配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列をアラインし、必要に応じて、最大パーセントの配列同一性を達成するようにギャップを導入した後の、いかなる保存的置換も配列同一性の一部とみなさない、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義する。パーセントアミノ酸配列同一性の決定を目的とするアラインメントは、当該技術分野での技能の範囲内である様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の、公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、果たすことができる。当業者は、比較される配列の完全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアライメントに適しているパラメータを決定することができる。しかし、本明細書では、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用して生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.の著作物であり、ソースコードは、米国著作権局、Washington D.C.、20559にユーザー文書と共に出願され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech,Inc.、South San Francisco、Californiaから公的に入手可能であり、又はALIGHN−2プログラムをソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムを、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIX操作システムでの使用用にコンパイルしたほうがよい。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され、変わらない。
ALIGN−2がアミノ酸配列比較に利用される状況では、所与のアミノ酸配列Bに対しての、それとの、又はそれに対する所与のアミノ酸配列Aの%アミノ酸同一性(或いは、所与のアミノ酸配列Bに対しての、それとの、又はそれに対するある特定の%アミノ酸配列同一性を有する又は含む所与のアミノ酸配列Aと表現することができる)は、次のように算出される:
100×分数X/Y
(ここで、Xは、配列アライメントプログラムALIGN−2により該プログラムのAとBのアライメントで同一マッチとしてスコアされるアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと同一でない場合、AのBに対しての%アミノ酸配列同一性が、BのAに対しての%アミノ酸配列同一性と同一にならないことは理解されるであろう。別途特に指定のない限り、本明細書で使用される全ての%アミノ酸同一異性は、ALIGN−2コンピュータプログラムを使用して直ぐ前の段落で説明したように得たものである。
同様に、本発明の参照ヌクレオチド配列と少なくとも例えば95%「同一の」ヌクレオチド配列を有する核酸又はポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列のヌクレオチド100個毎に5つ以下の点突然変異を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意図したものである。言い換えると、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列中のヌクレオチドの5%以下を欠失させてもよく、若しくは別のヌクレオチドで置換してもよく、又は参照配列中の全ヌクレオチドの5%以下の数のヌクレオチドを参照配列に挿入してもよい。参照配列のこれらの改変を、参照ヌクレオチド配列の5’又は3’末端位置で行ってもよく、或いは参照配列内の残基又は参照配列内の1つ若しくは複数の近接する基内の残基間に個々に散在する、これらの末端位置の間のどこで行ってもよい。実際問題として、何れかの特定のポリヌクレオチド又はポリペプチドが、本発明のヌクレオチド配列又はポリペプチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるかどうかは、上に列挙したもの等の、公知のコンピュータプログラムを使用して従来通りに決定することができる。
用語「薬学的製剤」は、含有する活性成分の生物活性が有効であることを可能にするような形態である調製物であって、その製剤が投与されることになる対象にとって許容できないほど毒性であるさらなる成分を含有しない調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」は、薬学的製剤物中の活性成分以外の成分であって、対象にとって非毒性である成分を指す。薬学的に許容される担体としては、バッファー、添加剤、安定剤又は防腐剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「テネイシンC」又は「TnC」は、別途指示がない限り、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然TnCを指す。この用語は、「完全長」のプロセッシングされていないTnC、並びに細胞内でのプロセッシングの結果として得られる任意の形態のTnCを包含する。この用語は、TnCの天然に存在する変異体、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子変異体も包含する。例示的ヒトTnC抗原配列(N末端GST及び6xHisタグ、並びにC末端aviタグ及び6xHisタグを有する)のアミノ酸配列は、配列番号4で示される。例示的マウスTnC抗原配列(N末端GST及び6xHisタグ、並びにC末端aviタグ及び6xHisタグを有する)のアミノ酸配列は、配列番号5で示される。例示的カニクイザルTnC抗原配列(N末端GST及び6xHisタグ、並びにC末端aviタグ及び6xHisタグを有する)のアミノ酸配列は、配列番号6で示される。ヒトTnC分子に関して、5番目の定常フィブロネクチンIII型ドメインと6番目の定常フィブロネクチンIII型ドメイン間に挿入され得る、9つ以下の選択的スプライシングを受けたフィブロネクチンIII型ドメインが公知である(TnCのドメイン構造の模式図については、例えば、Orend及びChiquet-Ehrismann、Cancer Letters 244、143-163(2006)を参照されたい)。同様に、マウスTnC分子に関して、6つの選択的スプライシングを受けたフィブロネクチンIII型ドメインが(例えば、Joestner and Faissner、J Biol Chem 274、17144-17151(1999)に)記載されている。
本明細書で使用される「治療」(及び「治療する」又は「治療すること」等の文法上の語尾変化形)は、治療を受ける個体の疾患の自然な経過を改変しようとする臨床的介入を指し、予防のために行われることもあり、又は臨床病理検査の過程において行われることもある。治療の望ましい効果としては、疾患の発生又は再発の予防、症候の緩和、疾患の任意の直接的又は間接的病理学的帰結の減少、転移の予防、疾患進行速度の低下、病態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施態様では、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるために、又は疾患の進行を緩徐化するために使用される。
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する、抗体重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む、同様の構造を一般に有する。(例えば、Kindt等、Kuby Immunology、第6版、W.H.Freeman and Co.、p.91(2007)を参照されたい)。抗原結合特異性を付与するには単一のVH又はVLドメインで十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、その抗原に結合する抗体からのVH又はVLドメインを使用して単離して、相補的VL又はVHドメインのライブラリーをそれぞれスクリーニングしてもよい。例えば、Portolano等、J.Immunol.150:880−887(1993);Clarkson等、Nature 352:624−628(1991)を参照されたい。
本明細書で使用される用語「ベクター」は、核酸分子であって、その核酸分子が連結されている別の核酸を伝達することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクターはもちろん、導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターも含む。ある特定のベクターは、そのベクターが動作可能に連結されている核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称される。
本明細書で使用される用語「GnTIII活性を有するポリペプチド」は、N結合型オリゴ糖のトリマンノシルコアのβ結合マンノシドへのβ1−4結合におけるN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基の付加を触媒することができるポリペプチドを指す。この用語には、特定の生物学的アッセイにおいて測定して、国際生化学・分子生物学連合の命名法委員会(the Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology)(NC−IUBMB)に従ってβ−1,4−マンノシル−糖タンパク質4−β−N−アセチルグルコサミニル−トランスフェラーゼ(EC2.4.1.144)としても公知のβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIIIの活性と必ずしも同一の酵素活性とは限らないが同様の酵素活性を、用量に依存して又は依存せずに呈示する、融合タンパク質が含まれる。用量依存性が存在する場合、その用量依存性は、GnTIIIのものと同一である必要はなく、むしろGnTIIIと比較して所与の活性に関するその用量依存性と実質的に同様である(すなわち、候補ポリペプチドは、GnTIIIと比べて大きい活性を呈示するか、又はその約25分の1以下、好ましくは約10分の1以下の活性、最も好ましくは3分の1以下の活性を呈示することになる)。
本明細書で使用される用語「ゴルジ局在ドメイン」は、ゴルジ複合体内の位置へのポリペプチドの固定に関与するゴルジ常在性ポリペプチドのアミノ酸配列を指す。一般に、局在ドメインは、酵素のアミノ末端「テール」を含む。
本明細書で使用される用語「操作する、操作された、操作すること」、特に接頭語「糖(glyco-)」を伴うもの、加えて用語「グリコシル化操作」は、天然に存在するポリペプチド若しくは組換えポリペプチド又はその断片のグリコシル化パターンの任意の操作を含むと考えられる。グリコシル化操作には、細胞において発現された糖タンパク質のグリコシル化の改変を果たすためのオリゴ糖合成経路の遺伝子操作を含む、細胞のグリコシル化機構の代謝的操作が含まれる。さらに、グリコシル化操作には、グリコシル化に対する突然変異及び細胞環境の作用が含まれる。一実施態様では、グリコシル化操作は、グルコシルトランスフェラーゼ活性の改変である。特定の実施態様では、この操作の結果として、グルコシルトランスフェラーゼ活性及び/又はフコシルトランスフェラーゼ活性が改変されることになる。
本明細書で使用される用語「Fc媒介細胞傷害性」は、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)、及びヒトFc領域を含有する可溶型Fc融合タンパク質により媒介される細胞傷害性を含む。これは、「ヒト免疫エフェクター細胞」による「標的細胞」の溶解につながる免疫機構である。
本明細書で使用される用語「ヒト免疫エフェクター細胞」は、白血球の表面にFc受容体を提示し、それによって抗体のFc領域又はFc融合タンパク質のFc領域と結合し、エフェクター機能を果たす、白血球の集団を指す。そのような集団としては、これらに限定されないが、抹消血単核細胞(PBMC)及び/又はナチュラルキラー(NK)細胞を挙げることができる。
本明細書で使用される用語「標的細胞」は、Fc領域を含む抗原結合分子(例えば、Fc領域を含む抗体若しくはそれらの断片)又はFc融合タンパク質が特異的に結合する細胞を指す。抗原結合分子又はFc融合タンパク質は、Fc領域のN末端側にあるタンパク質部分によって標的細胞と結合する。
本明細書で使用される用語「Fc媒介細胞傷害性の増加」は、上で定義されたFc媒介細胞傷害性機序による、所与の時間内に所与の抗体濃度若しくは所与のFc融合タンパク質濃度で標的細胞を包囲する培地に溶解される「標的細胞」の数の増加、及び/又はFc媒介細胞傷害性機序による、所与の時間内に所与の数の「標的細胞」の溶解を果たすために必要な、標的細胞を包囲する培地中の抗体若しくはFc融合タンパク質の濃度の低下、のどちらかと定義される。Fc媒介細胞傷害性の増加は、同じ標準的産生、精製、製剤化及び保管方法(これらは、当業者に公知である)を使用して同じ型の宿主細胞により産生された同じ抗原結合分子又はFc融合タンパク質だが、本明細書に記載の方法により改変されたグリコシル化パターンを有するように(例えば、グルコシルトランスフェラーゼ、GnTIII、若しくは他のグルコシルトランスフェラーゼを発現するように)操作された宿主細胞により産生されたものではない抗原結合分子又はFc融合タンパク質によって媒介される細胞傷害性と比べての増加である。
本明細書で使用される用語「Fc媒介細胞傷害性の低下」は、上で定義されたFc媒介細胞傷害性機序による、所与の時間内に所与の抗体濃度若しくは所与のFc融合タンパク質濃度で標的細胞を包囲する培地に溶解される「標的細胞」の数の減少、及び/又はFc媒介細胞傷害性機序による、所与の時間内に所与の数の「標的細胞」の溶解を果たすために必要な、標的細胞を包囲する培地中の抗体若しくはFc融合タンパク質の濃度の増加、のどちらかと定義される。Fc媒介細胞傷害性の低下は、同じ標準的産生、精製、製剤化及び保管方法(これらは、当業者に公知である)を使用して同じ型の宿主細胞により産生された同じ抗原結合分子又はFc融合タンパク質だが、抗体のFc領域におけるアミノ酸置換により修飾されていない抗原結合分子又はFc融合タンパク質によって媒介される細胞傷害性と比べての低下である。
抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)が増加又は低下された抗体は、この用語が本明細書中で定義される通り、当業者に公知の任意の好適な方法により判定してADCCの増加又は低下を誘導する。1つの受入れられているインビトロADCCアッセイは、次の通りである:
1)このアッセイは、抗体の抗原結合領域により認識される標的抗原を発現することが公知である標的細胞を使用する、
2)このアッセイは、無作為に選択された健常ドナーの血液から単離されたヒト抹消血単核細胞(PBMC)をエフェクター細胞として使用する、
3)このアッセイは、次のプロトコールに従って行われる:
i)標準的密度遠心分離手順を使用してPBMCを単離し、RPMI細胞培養培地に細胞5x106個/mlで懸濁させる、
ii)標的細胞を標準的組織培養法により増殖させ、90%より高い生存率で指数増殖期から回収し、RPMI細胞培養培地で洗浄し、100マイクロキューリーの51Crで標識し、細胞培養培地で2回洗浄し、細胞培養培地に細胞105個/mlの密度で再懸濁させる、
iii)100マイクロリットルの上記最終標的細胞懸濁液を96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに移す、
iv)抗体を細胞培養培地中4000ng/mlから0.04ng/mlに段階希釈し、50マイクロリットルの得られた抗体溶液を96ウェルマイクロタイタープレートの標的細胞に添加し、上記全濃度範囲をカバーする様々な抗体濃度を3連で試験する、
v)最大放出(MR)コントロールについては、標識された標的細胞を収容しているプレートの3つのさらなるウェルに、抗体溶液(上記ポイントiv)ではなく、50マイクロリットルの非イオン性界面活性剤(Nonidet、Sigma、St.Louis)の2%(V/V)水溶液を加える、
vi)自然放出(SR)コントロールについては、標識された標的細胞を収容しているプレートの3つのさらなるウェルに、抗体溶液(上記ポイントiv)ではなく、50マイクロリットルのRPMI細胞培養培地を加える、
vii)次いで、96ウェルマイクロタイタープレートを1分間、50xgで遠心分離し、そして1時間、4℃でインキュベートする、
viii)50マイクロリットルのPBMC懸濁液(上記ポイントi)を各ウェルに添加して、25:1のエフェクター:標的細胞比を得、プレートを37℃で5%CO2雰囲気下のインキュベーターの中に4時間入れておく、
ix)各ウェルから無細胞上清を回収し、ガンマカウンターを使用して実験的放出放射能(ER)を定量する、
x)各抗体濃度についての特異的溶解率を、式(ER−MR)/(MR−SR)×100(式中、ERは、その抗体濃度について定量された平均放射能(上記ポイントix参照)であり、MRは、MRコントロール(上記ポイントv参照)について定量された平均放射能(上記ポイントix参照)であり、SRは、SRコントロール(上記ポイントvi参照)について定量された平均放射能(上記ポイントix参照)である)に従って算出する、
4)「ADCCの増加」は、上で試験した抗体濃度範囲内で観察される最大特異的溶解率の増加、及び/又は上で試験した抗体濃度範囲内で観察される最大特異的溶解率の2分の1を達成するために必要される抗体の濃度の低下、のどちらかと定義される。ADCCの増加は、当業者に公知である同じ標準的産生、精製、製剤化及び保管方法を使用して同じ型の宿主細胞により産生された同じ抗体だが、GnTIIIを過剰発現するように操作された宿主細胞により産生されたものではない抗体よって媒介される、上記アッセイで測定される、ADCCと比べての増加である。「ADCCの低下」は、上で試験した抗体濃度範囲内で観察される最大特異的溶解率の低下、及び/又は上で試験した抗体濃度範囲内で観察される最大特異的溶解率の2分の1を達成するために必要とされる抗体の濃度の増加、のどちらかと定義される。ADCCの低下は、当業者に公知である同じ標準的産生、精製、製剤化及び保管方法を使用して同じ型の宿主細胞により産生された同じ抗体だが、抗体のFc領域におけるアミノ酸置換により修飾されていない抗体によって媒介される、上記アッセイで測定される、ADCCと比べての低下である。
II.組成物及び方法
テネイシンC(TnC)の選択的スプライシングを受けた異なるアイソフォームは、ある特定の病的状態で特異的に発現されるが健常成人組織には本質的に存在せず、したがって、TnC標的抗体には大きな治療上の可能性がある。本発明は、TnCと結合する抗体、特に、高いアフィニティー及び向上した種間交差反応性を有する抗体を提供する。本発明の抗体は、例えば、TnCの発現を特徴とする疾患、例えばがん、の診断又は治療に有用である。
本発明は、TnCと特異的に結合する抗体を提供する。特に、本発明は、TnCに特異的結合する抗体であって、アフィニティー及び/又は種間交差反応性が向上された抗体を提供する。
一実施態様では、本発明の抗TnC抗体は、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53及び配列番号54からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5若しくは6つ)の重鎖若しくは軽鎖相補性決定領域(CDR)、又は前記CDRの特異性決定残基(SDR)を少なくとも含有する領域の変異体若しくは切断型を含む。
一実施態様では、本発明の抗体は、(a)配列番号49及び配列番号52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号50及び配列番号53からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(c)配列番号51及び配列番号54からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3、から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全ての重鎖CDR(HCDR)を含む。さらなる実施態様では、抗体は、(a)配列番号49及び配列番号52からなる群から選択される重鎖CDR1、(b)配列番号50及び配列番号53からなる群から選択される重鎖CDR2、及び(c)配列番号51及び配列番号54からなる群から選択される重鎖CDR3、を含む重鎖可変領域、又は前記CDRについてのSDRを少なくとも含有する重鎖可変領域の変異体若しくは切断型を含む。
一実施態様では、本発明の抗体は、(a)配列番号37及び配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1、(b)配列番号38及び配列番号41からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(c)配列番号39及び配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3、から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全ての軽鎖CDR(LCDR)を含む。さらなる実施態様では、抗体は、(a)配列番号37及び配列番号40からなる群から選択される軽鎖CDR1、(b)配列番号38及び配列番号41からなる群から選択される軽鎖CDR2、及び(c)配列番号39及び配列番号42からなる群から選択される軽鎖CDR3、を含む、軽鎖可変領域、又は前記CDRについてのSDRを少なくとも含有する軽鎖可変領域の変異体若しくは切断型を含む。
一実施態様では、本発明の抗体は、配列番号49及び配列番号52からなる群から選択される重鎖CDR1と、配列番号50及び配列番号53からなる群から選択される重鎖CDR2と、配列番号51及び配列番号54からなる群から選択される重鎖CDR1とを含む、重鎖可変領域;及び配列番号37及び配列番号40からなる群から選択される軽鎖CDR1と、配列番号38及び配列番号41からなる群から選択される軽鎖CDR2と、配列番号39及び配列番号42からなる群から選択される軽鎖CDR1とを含む、軽鎖可変領域;又は前記CDRについてのSDRを少なくとも含有する可変領域の変異体若しくは切断型を含む。
さらに別の具体的な実施態様では、本発明の抗体は、配列番号49の重鎖CDR1と、配列番号50の重鎖CDR2と、配列番号51の重鎖CDR3とを含む重鎖可変領域;及び配列番号37の軽鎖CDR1と、配列番号38の軽鎖CDR2と、配列番号39の軽鎖CDR3とを含む軽鎖可変領域を含む。
さらに別の具体的な実施態様では、本発明の抗体は、配列番号52の重鎖CDR1と、配列番号53の重鎖CDR2と、配列番号54の重鎖CDR3とを含む重鎖可変領域;及び配列番号40の軽鎖CDR1と、配列番号41の軽鎖CDR2と、配列番号42の軽鎖CDR3とを含む軽鎖可変領域を含む。
一実施態様では、本発明の抗体は、配列番号28及び配列番号30からなる群から選択される配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む。一実施態様では、抗体は、配列番号28及び配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
ある特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗TnC抗体は、TnCと結合する能力を保持する。ある特定の実施態様では、配列番号28又は配列番号30における合計1から10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。ある特定の実施態様では、置換、挿入又は欠失は、HVR又はCDR外の領域で(すなわち、FR内で)行われる。任意選択的に、本発明による抗TnC抗体は、配列番号28又は配列番号30のVH配列を含み、この配列は、この配列の後翻訳修飾を含む。特定の実施態様では、VHは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3について配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53及び配列番号54に記載の配列から選択される1、2又は3つの重鎖CDRを含む。
別の実施態様では、本発明の抗体は、配列番号27及び配列番号29からなる群から選択される配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。さらに別の実施態様では、抗体は、配列番号27及び配列番号29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
ある特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗TnC抗体は、TnCと結合する能力を保持する。ある特定の実施態様では、配列番号27又は配列番号29における合計1から10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。ある特定の実施態様では、置換、挿入又は欠失は、HVR又はCDR外の領域で(すなわち、FR内で)行われる。任意選択的に、本発明の抗TnC抗体は、配列番号27又は配列番号29のVL配列を含み、この配列は、この配列の後翻訳修飾を含む。特定の実施態様では、VLは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3について配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41及び配列番号42に記載の配列から選択される1、2又は3つの軽鎖CDRを含む。
別の態様では、上で提供された実施態様の何れかにおけるようなVHと、上で提供された実施態様の何れかにおけるようなVLとを含む、抗TnC抗体が提供される。一実施態様では、抗体は、配列番号28及び配列番号30の群から選択される配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号27及び配列番号29の群から選択される配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一実施態様では、抗体は、配列番号28又は配列番号30及び配列番号27又は配列番号29のVH及びVL配列をそれぞれ含み、これらの配列は、これらの配列の後翻訳修飾を含む。
具体的な実施態様では、本発明の抗体は、配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。具体的な実施態様では、本発明の抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様では、上記実施態様の何れかによる抗体は、さらに、Fc領域を含むか、又は免疫グロブリンのFc領域と同等の領域を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、Fc領域、特にIgG Fc領域、最も特にIgG1 Fc領域を含む。特定の実施態様では、本発明の抗体は、完全長抗体、特にIgGクラス抗体、最も特にIgG1アイソタイプ抗体である。別の実施態様では、本発明の抗体は、sdFv断片、Fv断片、Fab断片及びF(ab’)2断片の群から選択される、抗体断片である。さらなる実施態様では、本発明の抗体は、Fc領域を有する抗体断片であるか又は免疫グロブリンのFc領域と同等の領域を含む融合タンパク質である。一実施態様では、本発明の抗体は、モノクローナル抗体である。一実施態様では、本発明の抗体は、キメラのものであり、より具体的にはヒト化されたものである。特定の実施態様において、本発明の抗体は、ヒトのものである。別の実施態様では、本発明の抗体は、ヒト定常領域を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、ヒトFc領域、好ましくはヒトIgG Fc領域、最も特にヒトIgG1 Fc領域を含む。
一実施態様では、本発明の抗体は、重鎖定常領域を含み、前記重鎖定常領域は、Fc領域を含むヒトIgG定常領域、特にヒトIgG1定常領域である。一実施態様では、本発明の抗体は、重鎖領域を含み、前記重鎖領域は、Fc領域を含むヒトIgG重鎖領域、特にヒトIgG1重鎖領域である。具体的な実施態様では、抗体は、配列番号60、配列番号62、配列番号65及び配列番号66からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖領域を含む。別の具体的な実施態様では、本発明の抗体は、配列番号59及び配列番号61からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖領域を含む。さらに別の具体的な実施態様では、本発明の抗体は、配列番号60のアミノ酸配列を含む重鎖領域、及び配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む。さらに別の具体的な実施態様では、本発明の抗体は、配列番号62のアミノ酸配列を含む重鎖領域、及び配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む。
特定の実施態様では、本発明は、TnCと特異的に結合する抗体であって、a)Fc領域を含むか又は免疫グロブリンのFc領域と同等の領域を含む、配列番号60及び配列番号62からなる群から選択される配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖領域、又は配列番号59及び配列番号61からなる群から選択される配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖領域、又はこれらの組合せを含む、抗体を提供する。
一実施態様では、向上したアフィニティーを有する、本発明の抗体を提供する。一実施態様では、本発明の抗体は、テネイシンC(TnC)と、約1μM未満から約0.01nMの解離定数(KD)値、特に約100nM未満、約10nM未満、又は約1nM未満のKD値で結合する。具体的な実施態様では、本発明の抗体は、ヒトテネイシンC(TnC)と、約1nM未満の解離定数(KD)で結合する。一実施態様では、本発明の抗体は、ヒト、マウス及びカニクイザルTnCと結合する。一実施態様では、本発明の抗体は、種間交差反応性を有する。別の具体的な実施態様では、本発明の抗体は、ヒト、マウス及びカニクイザルTnCのCドメインと結合する。一実施態様では、本発明の抗体は、種間交差反応性を有する。一実施態様では、本発明の抗体は、ヒト、マウス及びカニクイザルTnCのうちの少なくとも1つと約100nM未満、10nM未満、5nM未満又は2nM未満のKD値で結合する。具体的な実施態様では、本発明の抗体は、ヒト、マウス及びカニクイザルTnCのうちの少なくとも1つと約2nM未満のKD値で結合する。さらなる実施態様では、本発明の抗体は、ヒトTnCと第1のKD値KD1で結合し、前記抗体は、マウスと第2のKD値KD2で結合し、前記抗体は、カニクイザルと第3のKD値KD3で結合し、KD1、KD2及びKD3からなる群から選択されるKD値の全てが、約10nM未満、5nM未満又は2nM未満である。なおさらなる実施態様では、本発明の抗体は、ヒトTnCと第1のKD値KD1で結合し、前記抗体は、マウスと第2のKD値KD2で結合し、前記抗体は、カニクイザルと第3のKD値KD3で結合し、KD1、KD2及びKD3からなる群から選択されるKD値の全てが、10nMから0.1nMの範囲、5nMから0.1nMの範囲、又は2nMから0.1nMの範囲である。さらなる実施態様では、本発明の抗体は、ヒトTnCと第1のKD値KD1で結合し、前記抗体は、マウスと第2のKD値KD2で結合し、前記抗体は、カニクイザルと第3のKD値KD3で結合し、KD1、KD2及びKD3からなる群から選択されるKD値の全てが、20倍のKD範囲内である。さらなる実施態様では、本発明の抗体は、ヒトTnCと第1のKD値KD1で結合し、前記抗体は、マウスと第2のKD値KD2で結合し、前記抗体は、カニクイザルと第3のKD値KD3で結合し、KD1、KD2及びKD3からなる群から選択されるKD値の全てが、10倍のKD範囲内である。一実施態様では、本発明の抗体は、A1、A2、A3、A4、B、AD1、AD2、C及びDからなる群から選択されるTnCドメインのうちの少なくとも1つに特異的である。一実施態様では、A1、A4及びCからなる群から選択されるTnCドメインのうちの少なくとも1つと特異的に結合することができる抗体が提供される。一実施態様では、本発明の抗体は、TnCドメインA1及びA4に特異的である。一実施態様では、本発明の抗体は、TnCドメインCに特異的である。具体的な実施態様では、本発明の抗体は、ヒト、マウス及びカニクイザルTnCの、A1ドメインと及びA4ドメインと結合する。別の具体的な実施態様では、本発明の抗体は、ヒト、マウス及びカニクイザルTnCのCドメインと結合する。一実施態様では、本発明の抗体は、種間交差反応性を有する。より具体的な実施態様では、本発明の抗体は、ヒト、マウス及びカニクイザルTnC A1のA1ドメインと、並びにヒト、マウス及びカニクイザルTnC A4のA4ドメインと、約100nM未満、約10nM未満、約5nM未満又は約2nM未満のKD値で結合する。KD値は、抗体をFab又はIgGとして使用して表面プラズモン共鳴により決定される。一実施態様では、本発明の抗TnC抗体は、ヒト組織内のTnCに結合する。
一実施態様では、本発明の抗体は、Fc領域を含み、前記抗体は、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。一実施態様では、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む本発明の抗体は、親非置換Fc領域を含む抗体と比較して、エフェクター機能が低下されている、及び/又はFc受容体結合アフィニティーが低下されている。具体的な実施態様では、前記親非置換Fc領域は、アミノ酸残基Leu234、Leu235及びPro329を含み、置換Fc領域は、親非置換Fc領域と比べて、Leu234Ala、Leu235Ala及びPro329Glyからなる群から選択されるアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含む。特定の実施態様では、本発明は、TnCと特異的に結合する抗体であって、a)配列番号65及び配列番号66からなる群から選択される配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖領域と、配列番号59及び配列番号61からなる群から選択される配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖領域とを含む、抗体を提供する。具体的な実施態様では、本発明の抗体は、配列番号65及び配列番号66の群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖領域を含む。さらなる実施態様では、置換Fc領域を含む抗体は、親非置換重鎖領域を含む抗体と比較して、エフェクター機能が低下されている、及び/又はFc受容体結合アフィニティーが低下されている。さらなる具体的な実施態様では、前記置換Fc領域を含む本発明の抗体は、親非置換Fc領域と比べてアミノ酸置換Leu234Ala、Leu235Ala及びPro329Glyを含み、FcγR及びC1qとの結合が消失される、及び/又はFc媒介エフェクター機能が消失される。一実施態様では、本発明の抗体は、エフェクター機能が低下されている、及び/又はFc受容体結合アフィニティーが低下されている。一実施態様では、エフェクター機能の低下及び/又はFc受容体結合の減少は、抗体のFc領域におけるアミノ酸置換の結果である。エフェクター機能の低下は、これらに限定されないが、次のうちの1つ又は複数を含み得る:Fc媒介細胞傷害性の低下(抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)の低下を含む)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)の低下、サイトカイン分泌の低下、抗原提示細胞による免疫複合体媒介抗原取り込みの減少、NK細胞への結合の減少、マクロファージへの結合の減少、単球への結合の減少、多形核細胞への結合の減少、樹状細胞成熟の減少、又はT細胞プライミングの減少。特定の実施態様では、エフェクター機能の低下は、ADCCの低下である。別の特定の実施態様では、エフェクター機能の低下は、ADCCの消失である。Fc受容体結合の減少は、好ましくは、活性化Fc受容体、最も好ましくはFcγRIIIaへの結合の減少である。一実施態様では、本発明の抗体は、治療有効量で個体に投与されたとき、臨床的に有意なレベルの毒性の原因とならない。
特定の実施態様では、本発明は、TnCと特異的に結合する抗体であって、a)配列番号28及び配列番号30からなる群から選択される配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、又は配列番号27及び配列番号29からなる群から選択される配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、又はこれらの組合せと、b)Fc領域、又は免疫グロブリンのFc領域と同等の領域とを含む、抗体を提供する。一実施態様では、本発明の抗体は、Fc領域を含み、Fc領域は、糖改変Fc領域である。さらなる実施態様では、本発明の抗体は、Fc領域に修飾オリゴ糖を有するように糖改変される。具体的な実施態様では、抗体は、非糖改変抗体と比較して、Fc領域内の二分されたオリゴ糖の割合が増加されている。より具体的な実施態様では、抗体のFc領域内のN結合型オリゴ糖の少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%又は約100%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%は、二分されている。二分されたオリゴ糖は、ハイブリッド型であってもよく、複合体型であってもよい。別の具体的な実施態様では、本発明の抗体は、非糖改変抗体と比較して、Fc領域内の非フコシル化オリゴ糖の割合が増加されている。より具体的な実施態様では、抗体のFc領域内のN結合型オリゴ糖の少なくとも約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%又は約100%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%は、フコシル化されていない。非フコシル化オリゴ糖は、ハイブリッド型であってもよく、複合体型であってもよい。特定の実施態様では、本発明の抗体は、非糖改変抗体と比較して、Fc領域内の二分された非フコシル化オリゴ糖の割合が増加されている。具体的には、抗体は、N結合型オリゴ糖の少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%又は約100%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約25%、少なくとも約35%又は少なくとも約50%が、二分されており、フコシル化されていない、Fc領域を含む。二分された非フコシル化オリゴ糖は、ハイブリッド型であってもよく、複合体型であってもよい。一実施態様では、本発明の抗体は、エフェクター機能が増加されている、及び/又はFc受容体結合アフィニティーが増大されている。エフェクター機能の増加及び/又はFc受容体結合の増加は、例えば、抗体の糖改変及び/又はアフィニティー成熟に起因し得る。一実施態様では、エフェクター機能の増加及び/又はFc受容体結合の増加は、抗体のFc領域の糖改変の結果である。別の実施態様では、エフェクター機能の増加及び/又はFc受容体結合の増加は、アフィニティーの増大と糖改変の組合せの結果である。エフェクター機能の増加は、これらに限定されないが、次のうちの1つ又は複数を含み得る:Fc媒介細胞傷害性の増加(抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)の増加を含む)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)の増加、サイトカイン分泌の増加、抗原提示細胞による免疫複合体媒介抗原取り込みの増加、NK細胞への結合の増加、マクロファージへの結合の増加、単球への結合の増加、多形核細胞への結合の増加、アポトーシスを誘導する直接的シグナル伝達の増加、標的結合抗体の架橋の増加、樹状細胞成熟の増加、又はT細胞プライミングの増加。特定の実施態様では、エフェクター機能の増加は、ADCCの増加である。Fc受容体結合の増加は、好ましくは、活性化Fc受容体、最も好ましくはFcγRIIIaへの結合の増加である。一実施態様では、本発明の抗体は、治療有効量で個体に投与されたとき、臨床的に有意なレベルの毒性の原因とならない。
特定の実施態様では、本発明は、TnCのA1及びA4ドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、ヒトIgG Fc領域とを含む抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、TnCのCドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、ヒトIgG Fc領域とを含む抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、TnCのA1及びA4ドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、ヒトIgG Fc領域とを含み、エフェクター機能の増加及び/又はFc受容体結合アフィニティーの増大を有するように糖改変されている、抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、TnCのCドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、ヒトIgG Fc領域とを含み、エフェクター機能の増加及び/又はFc受容体結合アフィニティーの増大を有するように糖改変されている、抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、TnCのA1及びA4ドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、ヒトIgG Fc領域とを含み、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、抗体であり、親非置換Fc領域が、アミノ酸残基Leu234、Leu235及びPro329を含み、置換されているFc領域が、親非置換Fc領域と比べてLeu234Ala、Leu235Ala及びPro329Glyからなる群から選択されるアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含み、置換されているFc領域を含む当該抗体が、親非置換Fc領域を含む抗体と比較して、エフェクター機能が低下されており、及び/又はFc受容体結合アフィニティーが低下されている、抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、TnCのCドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、ヒトIgG Fc領域とを含み、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、抗体であり、親非置換Fc領域が、アミノ酸残基Leu234、Leu235及びPro329を含み、置換されているFc領域が、親非置換Fc領域と比べてLeu234Ala、Leu235Ala及びPro329Glyからなる群から選択されるアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含み、置換されているFc領域を含む当該抗体が、親非置換Fc領域を含む抗体と比較して、エフェクター機能が低下されており、及び/又はFc受容体結合アフィニティーが低下されている、抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、TnCのA1及びA4ドメインと特異的に結合する抗体であって、
(a)配列番号49の重鎖CDR1、
(b)配列番号50の重鎖CDR2、
(c)配列番号51の重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域と、
(a)配列番号37の軽鎖CDR1、
(b)配列番号38の軽鎖CDR2、及び
(c)配列番号39の軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域と
を含む抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、TnCのCドメインと特異的に結合する抗体であって、
(a)配列番号52の重鎖CDR1、
(b)配列番号53の重鎖CDR2、
(c)配列番号54の重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域と、
(a)配列番号40の軽鎖CDR1、
(b)配列番号41の軽鎖CDR2、及び
(c)配列番号42の軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域と
を含む抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、TnCのA1及びA4ドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号60のアミノ酸配列を含む重鎖領域と、配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖領域とを含む抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、ヒト、マウス及びカニクイザルTnCのA1及びA4ドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、ヒトIgG Fc領域とを含む抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、TnCのCドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号62のアミノ酸配列を含む重鎖領域と、配列番号61の群から選択されるアミノ酸を含む軽鎖領域とを含む、抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、ヒト、マウス及びカニクイザルTnCのCドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、ヒトIgG Fc領域とを含む抗体を提供する。
別の特定の実施態様では、本発明は、TnCのA1及びA4ドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、ヒトIgG Fc領域とを含み、Fc領域内の非フコシル化オリゴ糖の割合が増加されている、及び/又は二分されたオリゴ糖の割合が増加されている、抗体を提供する。別の特定の実施態様では、本発明は、TnCのCドメインと特異的に結合する抗体であって、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、ヒトIgG Fc領域とを含み、Fc領域内の非フコシル化オリゴ糖の割合が増加されている、及び/又は二分されたオリゴ糖の割合が増加されている、抗体を提供する。
一態様では、本発明は、TnCと特異的に結合する抗体であって、親抗体の少なくとも1つの重鎖又は軽鎖CDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を含む抗体を提供する。例えば、抗体は、親抗体の1つ又は複数の超可変領域又はCDR(すなわち、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つの超可変領域又はCDR)に、少なくとも1つの、例えば、約1つから約10(すなわち、約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10)、特に、約2つから約5つの置換を含み得る。
加えて、抗体は、親抗体と比較して、重鎖又は軽鎖どちらかの1つ又は複数のフレームワーク領域に1つ又は複数の付加、欠失及び/又は置換も含み得る。一実施態様では、少なくとも1つのCDRにおける前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、その親抗体と比較して、抗体の結合アフィニティーの増加の一因となる。別の実施態様では、前記抗体は、TnCに対して親抗体より少なくとも約2倍から約10倍大きいアフィニティーを(本発明の抗体と親抗体を同じ形式、例えばFab形式で比較したとき)有する。さらに、親抗体に由来する抗体は、本発明の抗体に関して上段で説明した特徴の何れかを、単独で又は組合せで取り入れることができる。
本発明は、TnCと特異的に結合する抗体をコードするポリヌクレオチドも提供する。一態様では、本発明は、上文に記載の本発明による抗TnC抗体の一部を形成するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドに関する。一実施態様では、単離されたポリヌクレオチドは、上文に記載の本発明による抗TnC抗体の一部を構成する、抗体重鎖及び/又は軽鎖をコードする。
一実施態様では、本発明は、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53及び配列番号54に記載の重鎖若しくは軽鎖相補性決定領域(CDR)のうちの1つ又は複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5若しくは6つ)をコードする配列、又は前記CDRについての特異性決定残基(SDR)を少なくとも含有する配列の変異体若しくは切断型を含む。別の実施態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53及び配列番号54から選択される3つの重鎖CDR(例えば、HCDR1、HCDR2及びHCDR3)若しくは3つの軽鎖CDR(例えばLCDR1、LCDR2及びLCDR3)をコードする配列、又は前記3つの相補性決定領域の各々についてのSDRを少なくとも含有する配列の変異体若しくは切断型を含む。さらに別の実施態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53及び配列番号54から選択される3つの重鎖CDR(例えば、HCDR1、HCDR2及びHCDR3)及び3つの軽鎖軽鎖CDR(例えばLCDR1、LCDR2及びLCDR3)をコードする配列を含む。特定の実施態様では、1つ又は複数のCDRをコードするポリヌクレオチドは、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47及び配列番号48のCDRヌクレオチド配列のうちの1つ又は複数と少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である配列を含む。
さらなる実施態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号28及び配列番号30の群から選択される重鎖可変領域をコードする配列、並びに/又は配列番号27及び配列番号29の群から選択される軽鎖可変領域をコードする配列を含む。特定の実施態様では、重鎖及び/又は軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、配列番号23、配列番号24、配列番号25及び配列番号26からなる可変領域ヌクレオチド配列の群からなる群から選択される選択される配列、又はそれらの組合せを含む。
具体的な実施態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号28及び配列番号30の群から選択される重鎖可変領域をコードする配列と、重鎖定常領域、特にヒト重鎖定常領域、をコードする配列とを含む。特定の実施態様では、前記重鎖定常領域は、Fc領域を含むヒトIgG重鎖定常領域、特にヒトIgG1重鎖定常領域である。別の具体的な実施態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号27及び配列番号29の群から選択される軽鎖可変領域をコードする配列と、軽鎖定常領域、特にヒト軽鎖定常領域、をコードする配列とを含む。
一実施態様では、本発明は、配列番号59及び配列番号61からなる群から選択される配列と少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする第1の単離されたポリヌクレオチドと、配列番号60及び配列番号62からなる群から選択される配列と少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする第2の単離されたポリヌクレオチドとを含む、組成物に関する。
一実施態様では、本発明は、配列番号59及び配列番号61からなる群から選択される配列と少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である配列を含む第1の単離されたポリヌクレオチドと、配列番号65及び配列番号66からなる群から選択される配列と少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である配列を含む第2の単離されたポリヌクレオチドとを含む、組成物に関する。
さらなる態様では、本発明は、上文に記載の本発明によるポリヌクレオチドの何れかによりコードされている、単離されたポリペプチドにも関する。
さらなる態様では、上記実施態様の何れによる抗TnC抗体も、下記セクション1−7で説明されるような特徴の何れかを、単独で又は組合せで取り入れることができる。
1.抗体アフィニティー
ある特定の実施態様では、本明細書で提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦5nM、≦2nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8Mから10−13M、例えば、10−9Mから10−13M)の解離定数(KD)を有する。一実施態様では、KDは、下記のアッセイにより説明されるような、目的の抗体のFabバージョン及びその抗原を用いて行われる放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって、測定される。抗原に対するFabの溶液結合アフィニティーは、非標識抗原の滴定系列の存在下、最小濃度の(125I)標識抗原でFabを平衡させ、次いで、抗Fab抗体でコートされたプレートを用いて結合した抗原を捕捉することにより測定される(例えば、Chen等、J. Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい)。アッセイのための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)が50mM 炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mlの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングされ、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2から5時間、室温(おおよそ23℃)でブロックされる。非吸着プレート(Nunc #269620)において、100pM又は26pM[125I]−抗原が目的のFabの段階希釈物(例えば、Presta等、Cancer Res. 57:4593-4599 (1997)における抗VEGF抗体、Fab−12、の評定と一致する)と混合される。次いで、目的のFabが一晩インキュベートされるが、確実に平衡に達するためにこのインキュベーションをより長期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、混合物は、室温での(例えば1時間の)インキュベーションのために捕捉プレートに移される。次いで、溶液が除去され、プレートは、PBS中の0.1%ポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))で8回洗浄される。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MICROSCINT−20(商標)、Packard)が添加され、プレートはTOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)で10分間カウントされる。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度が競合結合アッセイでの使用に選択される。
別の実施態様によれば、KDは、BIACORE(登録商標)−2000又はBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を使用して、25℃で、〜10反応単位(RU)の固定化抗原CM5チップを用いて、表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc)を供給業者の指示書に従ってN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を10mM 酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、その後、おおよそ10応答単位(RU)の結合タンパク質を獲得するために5μl/分の流速で注入する。抗原の注入後、1M エタノールアミンを注入して未反応基をブロックする。反応速度論的な測定のために、0.05%ポリソルベート20(TWEEN−20(商標))界面活性剤(PBST)を含有するPBS中のFabの2倍段階希釈物(0.78nMから500nM)を、25℃で、おおよそ25μl/分の流速で注入する。単純1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して、結合及び解離センソグラムの同時フィッティングにより、結合速度(kon)及び解離速度(koff)を算出する。平衡解離定数(KD)をkoff/kon比として算出する。例えば、Chen等、J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照されたい。会合速度が、上記表面プラズモン共鳴アッセイにより106M−1s−1を超える場合には、流動停止を備えた分光光度計(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計で測定されるような、漸増濃度の抗原の存在下、PBS、pH7.2中の20nM 抗抗原抗体(Fab形態)の25℃での蛍光放出強度(励起=295nm、放出=340nm、16nm帯域通過)の増加又は減少を測定する蛍光消光技術を使用することにより、会合速度を決定することができる。
2.抗体断片
ある特定の実施態様では、本明細書で提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片には、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv及びscFv断片、並びに下記の他の断片が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の概説については、Hudson等、Nat Med.9:129−134(2003)を参照されたい。scFv断片の概説については、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer−Verlag、New York、p269−315(1994)を参照されたい。国際公開第93/16185号、並びに米国特許第5571894号及び同第5587458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボ半減期が増加されている、Fab及びF(ab’)2断片の論考については、米国特許第5869046号を参照されたい。
ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片であり、例えば、欧州特許第404097号;国際公開第1993/01161号、Hudson等、Nat Med 9、129−134(2003);及びHollinger等、Proc Natl Acad Sci USA 90、6444−6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディも、Hudson等、Nat. Med. 9:129−134(2003)に記載されている。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て若しくは一部分又は軽鎖可変ドメインの全て若しくは一部分を含む、抗体断片である。ある特定の実施態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体(Domantis,Inc.、Waltham、MA;例えば、米国特許第6248516号B1を参照されたい)である。
抗体断片は、インタクトな抗体のタンパク質消化、及び組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)又はファージ)による産生を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載の様々な手法によって作製することができる。
3.キメラ及びヒト化抗体
ある特定の実施態様では、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号、及びMorrison等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851−6855(1984)に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ又は非ヒト霊長類、例えばサル、に由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のものから変更された「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、それらの抗原結合断片が含まれる。
ある特定の実施態様では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的に、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性及びアフィニティーを保持しながらヒトに対する免疫原性が低下されるようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えばCDR(又はそれらの部分)が非ヒト抗体に由来し、FR(又はそれらの部分)がヒト抗体配列に由来する、1つ又は複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、ヒト定常領域の少なくとも一部分も任意選択的に含むことになる。一部の実施態様では、ヒト化抗体中の一部のFR残基は、例えば、抗体特異性又はアフィニティーを回復又は向上させるために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)からの対応する残基で置換される。
ヒト化抗体及びそれらの作製方法は、例えば、Almagro及びFransson、Front. Biosci. 13:1619−1633(2008)に概説があり、さらに、例えば、Riechmann等、Nature 332:323−329(1988);Queen等、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 86:10029−10033(1989);米国特許第5821337号、同第7527791号、同第6982321号及び同第7087409号;Kashmiri等、Methods 36:25−34(2005)(該文献にはSDR(a−CDR)グラフト化が記載されている);Padlan、Mol. Immunol. 28:489−498(1991)(該文献には「リサーフェーシング」が記載されている);Dall’Acqua等、Methods 36:43−60(2005)(該文献には「FRシャッフリング」が記載されている);並びにOsbourn等、Methods 36:61−68(2005)及びKlimka等、Br. J. Cancer 83:252−260(2000)(該文献にはFRシャッフリングへの「誘導選択」アプローチが記載されている)に記載されている。
ヒト化に使用することができるヒトフレームワーク領域としては、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims等、J. Immunol. 151:2296 (1993)を参照されたい)、軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:4285 (1992);及びPresta等、J. Immunol.、151:2623 (1993)を参照されたい)、ヒト成熟(体細胞突然変異した)フレームワーク領域又はヒト生殖系列フレームワーク(例えば、Almagro及びFransson、Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)を参照されたい)、及びFRライブラリーのスクリーニングから誘導されたフレームワーク領域(例えば、Baca等、J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997)及びRosok等、J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996)を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。
4.ヒト抗体
ある特定の実施態様では、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で公知の様々な手法を使用して産生することができる。ヒト抗体は、van Dijk及びvan de Winkel、Curr Opin.Pharmacol.5:368−74(2001)並びにLonberg、Curr Opin.Immunol.20:450−459(2008)に一般的に記載されている。
ヒト抗体は、抗原曝露に応答してインタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように修飾されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製することができる。そのような動物は、内因性の免疫グロブリン遺伝子座に置き換わっている、又は染色体外に存在する若しくはその動物の染色体に無作為に組み込まれている、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部分を典型的に有する。そのようなトランスジェニックマウスの場合、内因性の免疫グロブリン遺伝子座は、一般に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得る方法の概説については、Lonberg、Nat.Biotech.23:1117−1125(2005)を参照されたい。例えば、XENOMOUSE(商標)技術が記載されている米国特許第6075181号及び同第6150584号、HUMAB(登録商標)技術が記載されている米国特許第5770429号、K−M MOUSE(登録商標)技術が記載されている米国特許第7041870号、並びにVELOCIMOUSE(登録商標)技術が記載されている米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。そのような動物により生成されたインタクトな抗体からのヒト可変領域を、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、さらに修飾することができる。
ヒト抗体を、ハイブリドーマに基づく方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒト異種骨髄腫(heteromyeloma)細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J. Immunol.、133: 3001 (1984);Brodeur等、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、p51-63(Marcel Dekker, Inc.、New York、1987);及びBoerner等、J. Immunol.、147: 86 (1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体も、Li等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103:3557−3562(2006)に記載されている。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生が記載されている)及びNi、Xiandai Mianyixue、26(4):265−268(2006)(ヒト−ヒトハイブリドーマが記載されている)に記載されているものが挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)は、Vollmers及びBrandlein、Histology and Histopathology、20(3):927−937(2005)、並びにVollmers及びBrandlein、Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology、27(3):185−91(2005)にも記載されている
ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することにより生成することもできる。その後、そのような可変ドメイン配列を所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択する手法は、下で説明される。
5.ライブラリー由来の抗体
本発明の抗体は、所望の活性(一又は複数)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより単離することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成するための、及び所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするための、様々な方法が、当該技術分野で公知である。そのような方法は、例えば、Hoogenboom等、Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brien等編、Human Press、Totowa、NJ、2001)に概説があり、例えば、さらに、the McCafferty等、Nature 348:552−554;Clackson等、Nature 352:624−628(1991);Marks等、J.Mol.Biol.222:581−597(1992);Marks及びBradbury、Methods in Molecular Biology 248:161−175(Lo編、Human Press、Totowa、NJ、2003);Sidhu等、J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004);Lee等、J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004);Fellouse、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004);並びにLee等、J.Immunol.Methods 284(1−2):119−132(2004)に記載されている。
ある特定のファージディスプレイ方法では、Winter等、Ann.Rev.Immunol.、12:433−455(1994)に記載されているように、VH及びVL遺伝子のレパートリーがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により別々にクローニングされ、ファージライブラリーの中で無作為に再び組み合わせられ、次いで、それらが抗原結合ファージについてスクリーニングされる。ファージは、概して、抗体断片を単鎖Fv(scFv)断片として提示するか、又はFab断片として提示する。免疫化された源からのライブラリーにより、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原に対する高アフィニティー抗体が得られる。或いは、Griffiths等、EMBO J、12:725−734(1993)により記載されているように、一切の免疫化なしに、天然レパートリーを(例えばヒトから)クローニングして広範な非自己及びまた自己抗原に対する抗体の単一の源を得ることができる。最後に、Hoogenboom及びWinter、J.Mol.Biol.、227:381−388(1992)により記載されているように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングすること、並びに高可変性CDR3領域をコードするために及びインビトロで再配列を果たすためにランダム配列を含有するPCRプライマーを使用することにより、天然ライブラリーを合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーが記載されている特許公報としては、例えば、米国特許第5750373号並びに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体断片と見なされる。
6.多重特異性抗体
ある特定の実施態様では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性断片である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施態様では、結合特異性の一方は、TnCに対するものであり、他方は、任意の他の抗原に対するものである。ある特定の実施態様では、二重特異性抗体は、TnCの2つの異なるエピトープと結合することができる。二重特異性抗体を使用して、TnCを発現する細胞に細胞傷害性剤を局在させることもできる。二重特異性抗体を完全長抗体として又は抗体断片として調製することができる。
多重特異性抗体を作製する技法としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの組換え共発現(Milstein及びCuello、Nature 305: 537 (1983)、国際公開第93/08829号、及びTraunecker等、EMBO J. 10: 3655 (1991)を参照されたい)、及び「ノブインホール」操作(例えば、米国特許第5731168を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。抗体Fc−ヘテロ二量体分子を作製するために静電的ステアリング効果を操作すること(国際公開第2009/089004号A1)、2つ以上の抗体又は断片を架橋させること(例えば米国特許第4676980号、及びBrennan等、Science、229: 81 (1985)を参照されたい)、二重特異性抗体を産生するためにロイシンジッパーを使用すること(例えば、Kostelny等、J. Immunol.、148(5):1547-1553 (1992)を参照されたい)、二重特異性抗体断片を作製するために「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Hollinger等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:6444-6448 (1993)を参照されたい)、及び単鎖Fv(scFv)ダイマーを使用すること(例えば、Gruber等、J. Immunol.、152:5368 (1994)を参照されたい)、並びに例えばTutt等、J. Immunol. 147: 60 (1991)に記載されているように三重特異性抗体を調製することにより、多重特異性抗体を作製することもできる。
「オクトパス抗体」をはじめとする、3つ以上の機能性抗原結合部位を有する操作された抗体もここに含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号A1を参照されたい)。
本明細書における抗体又は断片には、TnCとはもちろん別の異なる抗原とも結合する抗原結合部位を含む「二重作用性FAb」すなわち「DAF」(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号)も含まれる。
7.抗体変異体
ある特定の実施態様では、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合アフィニティー及び/又は他の生物学的特性を向上させることが望ましいこともある。抗体のアミノ酸配列変異体は、該抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって、調製することができる。そのような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列からの残基の欠失、及び/又は前記アミノ酸配列への残基の挿入、及び/又は前記アミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。最終コンストラクトが所望の特性、例えば、抗原結合を有するのであれば、欠失、挿入及び置換をどのように組み合わせて最終コンストラクトに達してもよい。
a)置換、挿入及び欠失変異体
ある特定の実施態様では、1つ又は複数のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換突然変異の対象となる部位としては、HVR及びFRが挙げられる。保存的置換は、表2中の「保存的置換」という見出しの下に示される。より大きな変化は、表2中の「例示的置換」という見出しの下に提供され、アミノ酸側鎖クラスに関しては下でさらに説明される通りである。目的の抗体にアミノ酸置換を導入し、それらの産物を所望の活性、例えば、抗原結合の保持/向上、免疫原性の低下、又はADCC若しくはCDCの向上についてスクリーニングすることができる。
アミノ酸を共通側鎖特性に従って分類することができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性:Asp、Glu、
(4)塩基性:His、Lys、Arg、
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro、
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1クラスのメンバーを別のクラスと交換することを必然的に伴うことになる。
1つのタイプの置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体)の1つ又は複数の超可変領域残基の置換を含む。一般に、さらなる研究に選択される、結果として得られる変異体は、親抗体と比較してある特定の生物学的特性の修飾(例えば、向上)(例えば、アフィニティーの増大、免疫原性の低下)を有することになり、及び/又は親抗体のある特定の生物学的特性を実質的に保持していることになる。例示的な実質的変異体は、アフィニティー成熟した抗体であり、この抗体は、例えば、ファージディスプレイに基づくアフィニティー成熟手法、例えば本明細書に記載の手法を使用して生成することができる。簡単に言うと、1つ又は複数のHVR残基を突然変異させ、変異抗体をファージ上に提示させ、特定の生物活性(例えば、結合アフィニティー)についてスクリーニングする。
例えば抗体アフィニティーを向上させるために、HVRに改変(例えば、置換)を加えることができる。HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞突然変異プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによりコードされている残基(例えば、Chowdhury、Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008)を参照されたい)、及び/又はSDR(a−CDR)に、そのような改変を加えて、結果として得られる変異VH又はVLを結合アフィニティーについて試験することができる。二次ライブラリーからの構築及び再選択によるアフィニティー成熟は、例えば、Hoogenboom等、Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brien等編、Human Press、Totowa、NJ、(2001)に記載されている。アフィニティー成熟の一部の実施態様では、様々な方法の何れか(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、又はオリゴヌクレオチド指定変異)により、成熟について選択された可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリーが作出される。次いで、所望のアフィニティーを有する任意の抗体変異体を同定するためにそのライブラリーがスクリーニングされる。多様性を導入する別の方法は、幾つかのHVR残基(例えば、1度に4−6残基)が無作為化されるHVR指向性アプローチを含む。例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発又はモデル化を使用して、抗原結合に関与するHVR残基を特異的に同定することができる。特に、CDR−H3及びCDR−L3は標的とされることが多い。
ある特定の実施態様では、置換、挿入又は欠失を、そのような改変が、抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させないのであれば、1つ又は複数のHVR内で行うことができる。例えば、結合アフィニティーを実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)をHVR内で行うことができる。そのような変異は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外部に存在することもある。上記で提供された変異VH及びVL配列の一部の実施態様では、各HVRは、改変されないか、又は1つ、2つ若しくは3つ以下のアミノ酸置換を含有する。
突然変異誘発の標的となり得る抗体の残基又は領域の有用な同定方法は、Cunningham及びWells(1989)Science、244:1081−1085により記載されているように、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基(例えば、荷電残基、例えばarg、asp、his、lys及びglu)の残基又は群が同定され、中性又は負荷電アミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)に置換され、それによって、抗体と抗原の相互作用が影響を受けるかどうかが判定される。最初の置換に対する官能基の感受性を立証するために、さらなる置換がアミノ酸位置に導入してもよい。或いは、又は加えて、抗原−抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原間の接点を同定することができる。そのような接触残基及び隣接残基を置換の候補として、標的にしてもよく、又は除去してもよい。変異体をスクリーニングして、それらが所望の特性を含有するかどうかを判定してもよい。
アミノ酸配列挿入は、1残基から100以上の残基を含有するポリペプチドまで長さに幅があるアミノ及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一の又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。前記抗体分子の他の挿入変異体は、前記抗体の血清半減期を増加させる、酵素(例えば、ADEPTのためのもの)又はポリペプチドへの抗体のN又はC末端の融合を含む。
b)グリコシル化変異体
一部の実施態様では、本発明の抗体中のオリゴ糖の修飾を行って、ある特定の特性向上を有する抗体変異体を作出することができる。一態様では、本発明は、抗体依存性細胞傷害をはじめとするエフェクター機能が増加された抗TnC抗体のグリコフォームを提供する。抗体のグリコシル化操作は、以前に記載されている。例えば、その全内容が本明細書に参照により援用される米国特許第6602684号を参照されたい。グリコシル化に関与する遺伝子の活性が改変された宿主細胞から抗TnC抗体を産生する方法も、本明細書で詳細に説明される(例えば、下記の「組換え方法及び組成物」という表題のセクションを参照されたい)。
二分されたオリゴ糖を有する抗体であって、例えば、抗体のFc領域に結合している二分岐オリゴ糖がGlcNAcにより二分されている抗体が提供される。そのような抗体変異体は、フコシル化の低下及び/又はADCC機能の向上を有することができる。そのような抗体変異体の例は、例えば、国際公開第2003/011878号(Jean−Mairet等)、米国特許第6602684号(Umana等)、及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umana等)に記載されている。
一実施態様では、本発明の抗TnC抗体は、Fc領域内の二分されたオリゴ糖の割合が、本発明の方法によるそれらのオリゴ糖の修飾の結果として増加されている。一実施態様では、本発明の抗TnC抗体のFc領域内の二分されたN結合型オリゴ糖のパーセンテージは、全オリゴ糖の少なくとも約10%から約100%、具体的には、少なくとも約50%、より具体的には、少なくとも約も60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90−95%である。二分されたオリゴ糖は、ハイブリッド型であってもよく、複合体型であってもよい。
別の実施態様では、本発明の抗TnC抗体は、Fc領域内の非フコシル化オリゴ糖の割合が、本発明の方法によるそれらのオリゴ糖の修飾の結果として増加されている。一実施態様では、非フコシル化オリゴ糖のパーセンテージは、少なくとも約20%から約100%、具体的には、少なくとも約50%、少なくとも約60%から約70%、より具体的には、少なくとも約75%である。非フコシル化オリゴ糖は、ハイブリッド型であってもよく、複合体型であってもよい。
フコースの量は、例えば亜国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI−TOF質量分析により測定されるAsn297に結合している全ての糖構造体(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造体)の合計に対して糖鎖内のAsn297におけるフコースの平均量を算出することにより決定される。Asn297は、Fc領域内の約297位(Fc領域残基のEU番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は、抗体内の小さい配列差異に起因して297位の約±3アミノ酸上流又は下流に、すなわち、294位と300位の間に位置することもある。フコースの相対量は、MALDI−TOF MSによりN−グリコシダーゼF処理試料(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造体)において同定された全ての糖構造体に対するフコース含有構造体のパーセンテージである。そのようなフコシル化変異体は、ADCC機能の向上を有することができる。
本発明の抗TnC抗体と共に使用することができる糖鎖工学方法論は、より詳細に、米国特許第6602684号、米国特許出願公開第2004/0241817号A1、米国特許出願公開第2003/0175884号A1、米国特許仮出願第60/441307号及び国際公開第2004/065540号に記載されており、前記特許文献の全内容は、その全内容が本明細書に参照により援用される。或いは、本発明の抗TnC抗体を、米国特許出願公開第2003/0157108(Genentech)に、又は欧州特許第1176195号A1、国際公開第03/084570、国際公開第03/085119号及び米国特許出願公開第2003/0115614号、同第2004/093621号、同第2004/110282号、同第2004/110704号、同第2004/132140号、Niwa等、J Immunol Methods 306、151/160(2006)、米国特許第6946292号(協和発酵工業株式会社)に開示されている手法に従って、Fc領域内のフコース残基が低減されるように糖改変することができる。米国特許出願公開第60/344169号及び国際公開第03/056914(GlycoFi,Inc.)に又は国際公開第2004/057002号及び国際公開第2004/024927号(Greenovation)に教示されているもの等の、修飾糖タンパク質を産生する発現系で、本発明の糖改変抗TnC抗体を産生することもできる。
「脱フコシル化」又は「フコース欠損」抗体変異体に関する公表文献さらなる例としては、国際公開第2000/61739号、国際公開第2001/29246号、米国特許出願公開第2002/0164328号、米国特許出願公開第2004/0109865号、国際公開第2005/035586号、国際公開第2005/035778号、国際公開第2005/053742号、国際公開第2002/031140号;Okazaki等、J.Mol.Biol.336:1239−1249(2004);Yamane−Ohnuki等、Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka等、Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第2003/0157108号A1、Presta,L;及び国際公開第2004/056312号A1、Adams等、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えば、アルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki等、Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004);Kanda, Y.等、Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);及び国際公開第2003/085107号を参照されたい)が挙げられる。
ある特定の実施態様では、本明細書で提供される抗体は、該抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように改変される。グリコシル化部位の抗体への付加又はグリコシル化部位の欠失は、1つ又は複数のグリコシル化部位が作出又は除去されるようにアミノ酸配列を改変することによって果たすことができる。
Fc領域に結合しているオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は、CDC機能の向上を有することができる。そのような抗体変異体は、例えば国際公開第1997/30087号((Patel等)、国際公開第1998/58964号(Raju,S.)、及び国際公開第1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。
本発明の抗TnC抗体のADCC又は他のエフェクター機能の増加は、TnCに対する抗原結合分子のアフィニティーを増加させることにより、例えば、アフィニティー成熟若しくは他のアフィニティー向上方法(Tang等、J. Immunol. 2007、179:2815-2823を参照されたい)により、又は下で説明されるようなFc領域のアミノ酸修飾により、果たすことができる。これらの手法の組み合わせも本発明により包含される。
c)Fc領域変異体
ある特定の実施態様では、1つ又は複数のアミノ酸修飾を本明細書で提供される抗体のFc領域に導入することによってFc領域変異体を生成することができる。Fc領域変異体は、1つ又は複数のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4 Fc領域)を含み得る
ある特定の実施態様では、本発明は、抗体変異体であって、インビボでの抗体の半減期は重要であるがある特定のエフェクター機能(例えば、補体及びADCC)は不必要又は有害である応用のための望ましい候補に該抗体をする、全てではないが一部のエフェクター機能を有する抗体変異体を企図している。インビトロ及び/又はインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDC及び/又はADCC活性の低下/喪失を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体が、FcγR結合を欠いている(したがって、ADCC活性を欠いている可能性が高い)がFcRn結合能力を保持することを保証することができる。ADCCを媒介する初代細胞であるNK細胞は、FcγRIIIしか発現しないが、単球は、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、Ravetch及びKinet、Annu.Rev.Immunol.9:457−492(1991)の464頁の表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評定するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、本明細書に、並びに米国特許第5500362号(例えば、Hellstrom, I.等、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986)を参照されたい)及びHellstrom,I等、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499−1502(1985);米国特許第5821337号(Bruggemann, M.等、J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987)を参照されたい)に記載されている。或いは、非放射性方法を用いてもよい(例えば、フローサイトメトリー用のACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View、CA);及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、WI)を参照されたい)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、抹消血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。或いは、又は加えて、目的の分子のADCC活性を、インビボで、例えば、Clynes等、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652−656(1998)に開示されているもの等の動物モデルにおいて、評定することができる。C1q結合アッセイを行って、抗体がC1qに結合できないこと、したがって、CDC活性を欠いていることを確認することもできる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評定するために、CDCアッセイを行ってもよい(例えば、Gazzano-Santoro等、J Immunol. Methods 202:163 (1996);Cragg, M.S.等、Blood 101:1045-1052 (2003);並びにCragg, M.S.及びM.J. Glennie、Blood 103:2738-2743 (2004)を参照されたい)。当技術分野において公知の方法(例えば、Petkova, S.B.等、Int’l. Immunol. 18(12):1759-1769 (2006)を参照されたい)を使用して、FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期決定を行うこともできる。
一態様では、本発明の抗体のFcドメインは、Fc受容体へのFcドメインの結合アフィニティー及び/又はエフェクター機能を低下させる1つ又は複数のアミノ酸突然変異を含む。典型的に、同じ1つ又は複数のアミノ酸突然変異が、Fcドメインの2つのサブユニットの各々に存在する。特に、Fcドメインは、E233、L234、L235、N297、P331及びP329(EU番号付け)の位置に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。特に、Fcドメインは、IgG重鎖の234及び235位(EU番号付け)並びに/又は329位(EU番号付け)にアミノ酸置換を含む。より特に、IgG重鎖にアミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(「P329G LALA」、EU番号付け)を有するFcドメインを含む、本発明による抗体が提供される。アミノ酸置換L234A及びL235Aは、いわゆるLALA突然変異を指す。アミノ酸置換の組合せ「P329G LALA」は、ヒトIgG1 FcドメインのFcγ受容体結合をほぼ完全に消失させ、国際特許出願公開第2012/130831号A1に記載されており、この参考特許文献には、そのような変異Fcドメインを調製する方法、及びその特性、例えば、Fc受容体結合又はエフェクター機能を判定する方法も記載されている。
Fc受容体結合が低減された及び/又はエフェクター機能が低下したFcドメインは、Fc領域残基238、265、269、270、297、327及び329のうちの1つ又は複数についての置換を有するものも含む(米国特許第6737056号)。そのようなFc突然変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc突然変異体を含む、アミノ酸265、269、270、297及び327位のうちの2カ所以上に置換を有するFc突然変異体を含む(米国特許7332581号)。
別の態様では、Fcドメインは、IgG4 Fcドメインである。IgG4抗体は、IgG1抗体と比較して、Fc受容体への結合アフィニティーの低下及びエフェクター機能の低下を呈示する。より具体的な態様では、Fcドメインは、S228位(カバット番号付け)にアミノ酸置換を含む、特に、アミノ酸置換S228Pを含む、IgG4 Fcドメインである。より具体的な態様では、Fcドメインは、アミノ酸置換L235E及びS228P及びP329G(EU番号付け)を含む、IgG4 Fcドメインである。そのようなIgG4 Fcドメイン突然変異体及びそれらのFcγ受容体結合特性は、国際公開第2012/130831号にも記載されている。
FcRへの結合が改善又は減少されたさらなる抗体が記載されている。(例えば、米国特許第6737056号、国際公開第2004/056312号、及びShields等、J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)を参照されたい)。ある特定の実施態様では、抗体変異体は、ADCCを向上させる1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333及び/又は334位(残基のEU番号付け)における置換を有するFc領域を含む。一部の実施態様では、例えば、米国特許第6194551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie等、J.Immunol.164:4178−4184(2000)に記載されているように、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の改変(すなわち、向上又は減少、のどちらか)をもたらす改変がFc領域に加えられる。
Fcドメインのエフェクター機能、又はFcドメインを含む本発明の抗体のエフェクター機能は、当該技術分野で公知の方法により測定することができる。ADCCの測定に好適なアッセイは、本明細書で説明される。目的の分子のADCC活性を評定するためのインビトロアッセイの他の例は、米国特許第5500362号;Hellstrom等、Proc Natl Acad Sci USA 83、7059−7063(1986);及びHellstrom等、Proc Natl Acad Sci USA 82、1499−1502(1985);米国特許第5821337号;Bruggemann等、J Exp Med 166、1351−1361(1987)に記載されている。或いは、非放射性アッセイの方法を用いてもよい(例えば、フローサイトメトリー用のACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View、CA);及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、WI)を参照されたい)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、抹消血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。或いは、又は加えて、目的の分子のADCC活性を、インビボで、例えば、Clynes等、Proc Natl Acad Sci USA 95、652−656(1998)に開示されているもの等の動物モデルにおいて、評定することができる。
一部の実施態様では、補体成分への、特にC1qへの、Fcドメインの結合が低減される。したがって、エフェクター機能を低下させるようにFcドメインを操作する一部の実施態様では、前記エフェクター機能の低下は、CDCの低下を含む。本発明の抗体が、C1qに結合することができるかどうか、及びそれ故にCDC活性を有するかどうかを判定するために、C1q結合アッセイを行ってもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評定するために、CDCアッセイを行ってもよい(例えば、Gazzano-Santoro等、J Immunol Methods 202、163(1996);Cragg等、Blood 101、1045-1052(2003);並びにCragg及びGlennie、Blood 103、2738-2743(2004)を参照されたい)。
半減期の増加、及び胎児への母性IgGの伝達に関与する新生児型Fc受容体(FcRn)への結合の向上(Guyer等、J. Immunol. 117:587 (1976)、及びKim等、J. Immunol. 24:249 (1994))を有する抗体が、米国特許出願公開第2005/0014934号A1(Hinton等)に記載されている。それらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を向上させる1つ又は複数の置換を内部に有するFc領域を含む。そのようなFc変異体には、Fc領域残基238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうちの1つ又は複数における置換、例えば、Fc残基434の置換(米国特許第7371826号)を有するものが含まれる。
Fc領域変異体に関するさらなる例については、米国特許出願第60/439498号、同第60/456041号、同第60/514549号;又は国際公開第2004/063351号(アミノ酸修飾に起因して結合アフィニティーが増大された変異Fc領域);又は米国特許出願第10/672280号若しくは国際公開第2004/099249号(アミノ酸修飾に起因してFcγRへの結合が改変されたFc変異体)、Duncan及びWinter、Nature 322:738−40(1988);米国特許第5648260号、米国特許第5624821号、及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
d)システイン操作抗体変異体
ある特定の態様では、システイン操作抗体、例えば、当該抗体の1つ又は複数の残基がシステイン残基で置換されている「チオMab」を作出することが望ましいこともある。特定の実施態様では、置換される残基は、抗体の到達可能な部位に存在する。それらの残基をシステインで置換することにより、その結果として反応性チオール基は抗体の到達可能な部位に位置し、その反応性チオール基を使用して抗体を他の部分、例えば、薬物部分又はリンカー−薬物部分にコンジュゲートさせて、本明細書中でさらに説明されるようなイムノコンジュゲートを作出することができる。ある特定の実施態様では、次の残基の何れか1つ又は複数をシステインで置換することができる:軽鎖のV205(カバット番号付け)、重鎖のA118(EU番号付け)、及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば米国特許第7521541号に記載されているように生成することができる。
e)抗体誘導体
ある特定の実施態様では、当該技術分野で公知であり、容易に利用できる、さらなる非タンパク質性部分を含有するように、本明細書で提供される抗体をさらに修飾することができる。抗体の誘導体化に好適な部分は、水溶性ポリマーが含むが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダム共重合体のどちらか)、及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定のため、製造において有利であり得る。ポリマーは、何れの分子量のものであってもよく、及び分岐していてもよく、又は分岐していなくてもよい。抗体に結合しているポリマーの数は様々であってよく、1つより多くのポリマーが結合している場合、それらは、同じ分子であってもよく、又は異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、これらに限定されないが、抗体の向上させるべき特定の特性又は機能、抗体誘導体が定義された条件下で治療に使用されることになるかどうか等を含む、考慮事項に基づいて、決定することができる。
別の実施態様では、放射線への曝露により選択的に加熱することができる、抗体と非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。一実施態様では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブ(Kam等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 11600-11605(2005))である。放射線は、何れの波長のものであってもよく、抗体−非タンパク質性部分の近位にある細胞が殺滅される温度に非タンパク質性部分を加熱するが通常の細胞を害さない波長を含むが、これに限定されない。
組換え方法及び組成物
例えば米国特許第4816567号に記載されているように、組換え方法及び組成物を使用して抗体を産生することができる。一実施態様では、本明細書に記載の抗TnC抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される。そのようなポリヌクレオチドは、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードし得る。さらなる実施態様では、そのようなポリヌクレオチドを含む1つ又は複数のベクター(例えば、クローニングベクター又は発現ベクター)が提供される。さらなる実施態様では、そのようなポリヌクレオチド又はそのようなベクターを含む、宿主細胞が提供される。1つのそのような実施態様では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列と抗体のVHを含むアミノ酸配列とをコードするポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、ポリシストロニックベクター)、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む(例えば、それらで形質転換されている)。一実施態様では、宿主細胞は、真核細胞、特に、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施態様では、抗TnC抗体を作製する方法であって、上で提供したような抗体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、該抗体の発現に好適な条件下で培養するステップ、及び任意選択で、前記宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から前記抗体を回収するステップを含む方法が提供される。
抗TnC抗体の組換え産生の場合、抗体、例えば上記の抗体、をコードする1つ又は複数のポリヌクレオチドは、宿主細胞におけるさらなるクローニング及び/又は発現のために、単離され、1つ又は複数のベクターに挿入される。当業者に周知である方法を使用して、抗TnC抗体のコード配列を適切な転写/翻訳制御シグナルと共に含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、組換えDNA手法、合成手法及びインビボ組換え/遺伝子組換えが含まれる。例えば、Maniatis等、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory、N.Y.(1989)、及びAusubel等、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、Greene Publishing Associates and Wiley Interscience、N.Y(1989)に記載されている手法を参照されたい。
一実施態様では、抗TnC抗体をコードする1つ又は幾つかのポリヌクレオチドを構成的プロモーター又は代替的に調節発現系の制御下で発現させることができる。好適な調節発現系としては、テトラサイクリン調節発現系、エクジソン誘導性発現系、lac−switch発現系、グルココルチコイド誘導性発現系、温度誘導性プロモーターシステム、及びメタロチオネイン金属誘導性発現系が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗体をコードする幾つかの異なるポリヌクレオチドが宿主細胞系内に含まれている場合、それらの一部を構成的プロモーターの制御下で発現させることができるが、他のものは、調節プロモーターの制御下で発現される。
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現に好適な宿主細胞には、本明細書に記載の原核及び真核細胞が含まれる。例えば、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合、抗体を細菌において産生させてもよい。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5648237号、同第5789199号及び同第5840523号を参照されたい。(大腸菌における抗体断片の発現が記載されている、Charlton、Methods in Molecular Biology、248巻(B.K.C. Lo編、Humana Press、Totowa、NJ、2003)、p245-254も参照されたい)。発現後、抗体を可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離してもよく、そしてさらに精製することができる。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母等の真核微生物は、抗体をコードするベクターのための好適なクローニング又は発現宿主であり、そのような糸状菌又は酵母等の真核微生物には、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、その結果、部分的又は完全ヒトグリコシル化パターンを有する抗体を産生することになる、真菌及び酵母株が含まれる。Gerngross、Nat.Biotech.22、1409−1414(2004)、及びLi等、Nat.Biotech.24、210−215(2006)を参照されたい。そのような発現系は、米国特許出願第60/344169及び国際公開第03/056914(非ヒト真核生物宿主細胞においてヒト様糖タンパク質を産生する方法)にも教示されている。
グリコシル化された抗体の発現に好適な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。非常に多数のバキュロウイルス株が同定されており、それらは、特にヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と併用され得る。植物細胞培養物も宿主として用いることができる。例えば、米国特許第5959177号、同第6040498号、同第6420548号、同第7125978号及び同第6417429号を参照されたい(これらの特許文献には、トランスジェニック植物において抗体を産生させるためのPLANTIBODIES(商標)技術が記載されている)。
脊椎動物細胞も宿主として使用することができる。例えば、懸濁状態での増殖に適応する哺乳動物細胞株は、有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1系(COS−7)、ヒト胎児腎臓系(例えば、Graham等、J Gen Virol 36:59(1977)に記載の、293又は293T細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather、Biol. Reprod. 23:243-251(1980)に記載の、TM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);TRI細胞(例えば、Mather等、Annals N.Y. Acad. Sci. 383: 44-68(1982)に記載のもの);MRC 5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR−CHO細胞(Urlaub等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216(1980))をはじめとするチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、並びに骨髄腫細胞株、例えば、Y0、NS0及びSp2/0が挙げられる。抗体産生に好適な哺乳動物宿主細胞の概説については、例えば、Yazaki及びWu、Methods in Molecular Biology、248巻(B.K.C. Lo編、Humana Press、Totowa、NJ)、p255−268(2003)を参照されたい。
安定的発現は、一過性発現より、再現性の高い結果を概して達成し、大規模産生にもより適しているため、一般に好ましいが、特定の状況にとって一過性発現のほうがよいかどうかを判定することは、当業者の技能の範囲内である。
本発明は、抗TnC抗体を産生する方法であって、(a)本発明による抗TnC抗体をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、培地中で、前記抗体の発現を可能にする条件下で培養するステップ、及び(b)前記抗体を回収するステップを含む方法にも関する。
本発明は、宿主細胞により産生される本発明の抗TnC抗体のグリコシル化プロファイルを修飾する方法であって、前記宿主細胞において、抗TnC抗体をコードする1つ又は複数のポリヌクレオチドとグルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする1つ又は複数のポリヌクレオチドとを発現させる又はそのようなポリヌクレオチドを含むベクターを発現させることを含む方法に、さらに関する。一般に、上述の細胞株を含む、任意のタイプの培養細胞株を使用して、グリコシル化パターンが改変された抗TnC抗体の産生用の細胞株を生成することができる。好ましい細胞株としては、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞又はハイブリドーマ細胞、及び他の哺乳動物細胞が挙げられる。グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドとしては、β(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)、α−マンノシダーゼII(ManII)、β(1,4)−ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)、β(1,2)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTI)、及びβ(1,2)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼII(GnTII)が挙げられる。一実施態様では、グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドの組み合わせが宿主細胞において発現される(例えば、GnTIII及びMan II)。同様に、前記方法は、グルコシルトランスフェラーゼ遺伝子が破壊された又は別様に不活性化された宿主細胞(例えば、α1,6コアフコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子の活性がノックアウトされた宿主細胞)における、抗TnC抗体をコードする1つ又は複数のポリヌクレオチドの発現も包含する。特定の実施態様では、GnTIII活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに発現する宿主細胞において本発明の抗TnC抗体を発現させて、前記抗体のグリコシル化パターンを修飾することができる。特定の実施態様では、GnTIII活性を有するポリペプチドは、ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在ドメインを含む融合ポリペプチドである。別の特定の実施態様では、GnTIII活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現する宿主細胞における本発明の抗TnC抗体の発現は、Fc受容体結合アフィニティーが増大された及び/又はエフェクター機能が増加された抗TnC抗体をもたらす。したがって、一実施態様では、本発明は、(a)GnTIII活性を有するポリペプチドをコードする配列を含む1つ又は複数の単離されたポリヌクレオチドと、(b)本発明の抗TnC抗体をコードする1つ又は複数の単離されたポリヌクレオチドとを含む、宿主細胞に関する。特定の実施態様では、GnTIII活性を有するポリペプチドは、GnTIIIの触媒ドメインとゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在ドメインとを含む、融合ポリペプチドである。特に、前記ゴルジ局在ドメインは、マンノシダーゼIIのゴルジ局在ドメインである。そのような融合ポリペプチドを生成する方法、及びエフェクター機能が増加された抗体を産生するためにそれらを使用する方法は、それらの全内容が本明細書に参照により明確に援用される国際公開第2004/065540号、米国特許仮出願第60/495142号及び米国特許出願公開第2004/0241817号に開示されている。別の実施態様では、宿主細胞は、マンノシダーゼII(ManII)活性を有するポリペプチドをコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドをさらに含む。抗TnC抗体をコードするポリヌクレオチドのような、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、構成的プロモーター又は代替的に調節発現系の制御下で発現させることができる。そのようなシステムは、当該技術分野で周知であり、上述のシステムを含む。
抗TnC抗体のコード配列及び/又はグリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのコード配列を含有する宿主細胞であって、生物活性遺伝子産物を発現する宿主細胞は、例えば、DNA−DNA若しくはDNA−RNAハイブリダイゼーション;「マーカー」遺伝子機能の存在若しくは非存在;宿主細胞中のそれぞれのmRNA転写物の発現により測定されるような転写レベルの評定;又はイムノアッセイにより若しくはその生物活性により測定されるような遺伝子産物の検出−当該技術分野で周知の方法−によって、同定することができる。GnTIII又はManII活性は、例えば、GnTIII及びManIIの生合成産物と結合するレクチンを用いることにより、それぞれ検出することができる。そのようなレクチンの例は、バイセクティングGlcNAcを含有するオリゴ糖と優先的に結合するE4−PHAレクチンである。GnTIII又はManII活性を有するポリペプチドの生合成産物(すなわち、特異的オリゴ糖構造体)は、前記ポリペプチドを発現する細胞により産生される糖タンパク質から放出されるオリゴ糖の質量分光分析によっても検出することができる。或いは、GnTIII活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて操作された細胞により産生される抗体により媒介されるFc受容体結合の増加又はエフェクター機能の増加を測定する、機能性アッセイを使用してもよい。
本発明は、修飾されたオリゴ糖を有する抗TnC抗体を産生する方法であって、(a)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現するように操作された宿主細胞を本発明による抗TnC抗体の産生を可能にする条件下で培養するステップ(ここで、グリコシルトランスフェラーゼ活性を有する前記ポリペプチドは、前記宿主細胞により産生される前記抗TnC抗体のFc領域内のオリゴ糖を修飾するのに十分な量で発現される)、及び(b)前記抗TnC抗体を単離するステップを含む方法にも関する。一実施態様では、グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドは、GnTIIIである。別の実施態様では、グルコシルトランスフェラーゼ活性を有する2つのポリペプチドが存在する。特定の実施態様では、グルコシルトランスフェラーゼ活性を有する2つのペプチドは、GnTIII及びManIIである。別の実施態様では、グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドは、GnTIIIの触媒ドメインを含む融合ポリペプチドである。より具体的な実施態様では、融合ポリペプチドは、ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在ドメインをさらに含む。特に、ゴルジ局在ドメインは、マンノシダーゼII又はGnTIの局在ドメイン、最も特にマンノシダーゼIIの局在ドメインである。或いは、ゴルジ局在ドメインは、マンノシダーゼIの局在ドメイン、GnTIIの局在ドメイン、及びα1,6コアフコシルトランスフェラーゼの局在ドメインからなる群から選択される。
特定の実施態様では、宿主細胞又は上記の方法により産生される修飾された抗TnC抗体は、Fc領域を含むIgG定常領域又はその断片を有する。別の特定の実施態様では、抗TnC抗体は、Fc領域を含むヒト化若しくはヒト抗体又はその断片である。
宿主細胞又は上記の方法により産生されるグリコシル化が改変された抗TnC抗体は、宿主細胞の(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の発現による)修飾の結果として、Fc受容体結合アフィニティーの増大及び/又はエフェクター機能の増加を概して呈示する。好ましくは、Fc受容体結合アフィニティーの増大は、活性化Fcγ受容体、最も好ましくはFcγRIIIa受容体への結合の増加である。エフェクター機能増加は、好ましくは、次のうちの1つ又は複数の増加を含み得る:抗体依存性細胞傷害性の増加、抗体依存性細胞貪食(ADCP)の増加、サイトカイン分泌の増加、抗原提示細胞による免疫複合体媒介抗原取り込みの増加、Fc媒介細胞障害性の増加、NK細胞への結合の増加、マクロファージへの結合の増加、多形核細胞(PMNC)への結合の増加、単球への結合の増加、標的結合抗体の架橋の増加、アポトーシスを誘導する直接的シグナル伝達の増加、樹状細胞成熟の増加、及びT細胞プライミングの増加。
アッセイ
本明細書で提供される抗TnC抗体を、当該技術分野で公知の様々なアッセイにより、同定することができ、それらの物理的/化学的特性及び/又は生物活性についてスクリーニングすること又は特徴を明らかにすることができる。
a)結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様では、本発明の抗体は、その抗原結合活性について、例えば、ELISA、ウェスタンブロット等のような公知の方法により試験される。
別の態様では、競合アッセイを使用して、TnCへの結合について他の抗TnC抗体と競合する抗体を同定することができる。ある特定の実施態様では、そのような競合抗体は、前記他の特定の抗TnC抗体が結合するのと同じエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)と結合する。抗体が結合するエピトープの詳細な例示的マッピング方法は、Methods in Molecular Biology 66巻(Humana Press、Totowa、NJ)のMorris(1996)「Epitope Mapping Protocols」に提供されている。
例示的競合アッセイでは、固定化抗原は、TnCと結合する第1の標識抗体(例えば、実施例に記載の18D4抗体)と、TnCへの結合について前記第1の抗体と競合するその能力について試験されることになる第2の非標識抗体とを含む溶液中で、インキュベートされる。第二の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。コントロールとして、固定化TnCが、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。第1の抗体のTnCへの結合が可能な条件下でのインキュベーション後、過剰な非結合抗体が除去され、固定化TnCと結合している標識の量が測定される。固定化TnCと結合している標識の量が、試験試料においてコントロール試料と比べて実質的に低減された場合には、それは、第2の抗体が第1の抗体とTnCへの結合について競合していることを示す。Harlow及びLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual 第14章(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY)を参照されたい。
b)活性アッセイ
一態様では、生物活性を有するその抗TnC抗体を同定するためのアッセイが提供される。生物活性としては、例えば、標的細胞の溶解、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、又はアポトーシスの誘導を挙げることができる。in vivo及び/又はin vitroでそのような生物学的活性を有する抗体も提供される。
ある特定の実施態様では、本発明の抗体は、そのような生物活性について試験される。ADCCを試験するための例示的アッセイは、下文で説明される(「定義」:「ADCCが増加された抗体」の下を参照されたい)。細胞溶解を(例えば、LDH放出の測定により)検出するためのアッセイ又はアポトーシスを(例えば、TUNELアッセイを使用して)検出するアッセイは、当該技術分野で周知である。ADCC又はCDCを測定するためのアッセイは、その全内容が本明細書に参照により援用される国際公開第2004/065540にも記載されている(この特許文献中の実施例1を参照されたい)。
イムノコンジュゲート
本発明は、1つ又は複数の細胞毒性剤、例えば、化学療法剤若しくは化学療法薬、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物若しくは動物由来の酵素的に活性な毒素、又はそれらの断片)又は放射性同位体にコンジュゲートしている、本明細書の抗TnC抗体を含むイムノコンジュゲートも提供する。
一実施態様では、イムノコンジュゲートは、抗体が1つ又は複数の薬物にコンジュゲートしている抗体−薬物コンジュゲート(ADC)であって、前記薬物が、これらに限定されないが、メイタンシノイド(米国特許第5208020号、同第5416064号及び欧州特許第0425235号B1を参照されたい);アウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)(米国特許第5635483号及び同第5780588号及び同第7498298を参照されたい);ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(米国特許第5712374号、同第5714586号、同第5739116号、同第5767285号、同第5770701号、同第5770710号、同第5773001号及び同第5877296号;Hinman等、Cancer Res. 53:3336-3342 (1993);並びにLode等、Cancer Res. 58:2925-2928 (1998)を参照されたい);アントラサイクリン、例えば、ダウノマイシン又はドキソルビシン(Kratz等、Current Med. Chem. 13:477-523 (2006);Jeffrey等、Bioorganic & Med. Chem. Letters 16:358-362 (2006);Torgov等、Bioconj. Chem. 16:717-721 (2005);Nagy等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:829-834 (2000);Dubowchik等、Bioorg. & Med. Chem. Letters 12:1529-1532 (2002);King等、J. Med. Chem. 45:4336-4343 (2002);及び米国特許第6630579号を参照されたい);メトトレキサート;ビンデシン;タキサン、例えば、ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル及びオルタタキセル;トリコテセン;並びにCC1065を含む、ADCである。
別の実施態様では、イムノコンジュゲートは、酵素的に活性な毒素又はその断片にコンジュゲートしている本明細書に記載の抗体であって、前記毒素又はその断片が、これらに限定されないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、エキソトキシンA鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)からのもの)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サポンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含む、抗体を含む。
別の実施態様では、イムノコンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートして放射性コンジュゲートを形成している、本明細書に記載の抗体を含む。様々な放射性同位体が放射性コンジュゲートの生成に利用可能である。例としては、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、212Pb、及びLuの放射性同位体を挙げることができる。放射性コンジュゲートは、検出に使用される場合、シンチグラフィー研究のための放射性原子、例えば、99mTc若しくは123I、又は核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、mri、としても公知)用のスピン標識、例えば、この場合もやはりヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン若しくは鉄を含み得る。
抗体と細胞傷害性剤のコンジュゲートは、様々な二機能性タンパク質カップリング剤、例えば、3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸N−スクシンイミジル(SPDP)、4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸スクシンイミジル(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二機能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチルHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアン酸塩(例えば、2,6−ジイソシアン酸トルエン)、及びビス活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、Vitetta等、Science 238:1098(1987)に記載されているようにリシンイムノトキシンを調製することができる。炭素14で標識された1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドのコンジュゲーションのための例示的キレート剤である。国際公開第94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞内での細胞傷害性薬物の放出を助長する「切断可能なリンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari等、Cancer Res. 52:127-131 (1992);米国特許第5208020号)を使用することができる。
本明細書におけるイムノコンジュゲート又はADCは、市販されている(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.、Rockford、IL、U.S.Aから)、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、sulfo−EMCS、sulfo−GMBS、sulfo−KMUS、sulfo−MBS、sulfo−SIAB、sulfo−SMCC、及びsulfo−SMPB、並びにSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)安息香酸エステル)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されるそのようなコンジュゲートを、これに限定されないが、明確に企図している。
診断及び検出のための方法及び組成物
ある特定の実施態様では、本明細書で提供される抗TnC抗体の何れも、生物学的試料中のTnCの存在の検出に有用である。本明細書で使用される用語「検出すること」は、定量的又は定性的検出を包含する。ある特定の実施態様では、生物学的試料は、細胞又は組織、例えば、脳、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、小腸、胃又は子宮からの細胞又は組織を、これらの器官の細胞又は組織腫瘍も含めて、含む。
一実施態様では、診断又は検出方法に使用するための抗TnC抗体が提供される。さらなる態様では、生物学的試料中のTnCの存在を検出する方法が提供される。ある特定の実施態様では、方法は、生物学的試料と本明細書に記載の抗TnC抗体を、TnCへの前記抗TnC抗体の結合が可能な条件下で接触させるステップ、及び前記抗TnC抗体とTnc間で複合体が形成されるかどうかを検出するステップを含む。そのような方法は、インビトロ法であってもよく、又はインビボ法であってもよい。一実施態様では、抗TnC抗体は、抗TnC抗体での治療に適格な対象を選択するために使用され、例えば、この場合、TnCが患者の選択のためのバイオマーカーである。
ある特定の実施態様では、標識された抗TnC抗体が提供される。標識は、直接検出される標識又は部分(例えば、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識及び放射性標識)、並びに間接的に、例えば、酵素反応又は分子相互作用によって検出される部分、例えば酵素又はリガンドを含むが、これらに限定されない。例示的標識としては、放射性同位体32P、14C、125I、3H及び131I、フルオロフォア、例えば希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4737456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン類、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、色素前駆体を酸化するために過酸化水素を利用する酵素、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ又はミクロペルオキシダーゼ、とカップリングされた複素環式オキシダーゼ、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定なフリーラジカル等が挙げられるが、これらに限定されない。
薬学的製剤
本明細書に記載の抗TnC抗体の薬学的製剤は、所望の純度を有するそのような抗体を1つ又は複数の任意選択の薬学的に許容される担体(Remington's Pharmaceutical Sciences 第16版、Osol, A.編(1980))と混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で調製される。薬学的に許容される担体は、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して一般に非毒性であり、これらに限定されないが、バッファー、例えば、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸;抗酸化剤(アスコルビン酸及びメチオニンを含む);防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロライド;ベンザルコニウムクロライド;ベンゼトニウムクロライド;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル若しくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン若しくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン若しくはリジン;単糖類、二糖類及び他の糖(グルコース、マンノース若しくはデキストリンを含む);キレート剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えばナトリウム、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);並びに/又は非イオン性界面活性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)を含む。本明細書での例示的な薬学的に許容される担体としては、侵入型の薬物分散剤、例えば、可溶型中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、ヒト可溶型PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えばrHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)がさらに挙げられる。rHuPH20を含む、ある特定の例示的sHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、コンドロイチナーゼ等の1つ又は複数のグルコサミノグリカナーゼと併用される。
例示的凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6267958号に記載されている。水性抗体製剤には、米国特許第6171586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤は、ヒスチジン−酢酸塩バッファーを含む。
本明細書における製剤はまた、治療することになる特定の適応症のための活性成分、好ましくは、互いに有害に作用しない相補的活性を有するものも、必要に応じて1つより多く含有することができる。例えば、治療することになる疾患ががんである場合、1つ又は複数の抗がん剤、例えば、化学療法剤、腫瘍細胞増殖の阻害剤、又は腫瘍細胞アポトーシスの活性化剤をさらに提供することが望ましいこともある。そのような活性成分は、好適には、所期の目的に有効である量での組合せで存在する。
活性成分を、例えば、コアセルベーション手法により若しくは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)に、又はマクロエマルジョンに封入してもよい。そのような手法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16版、Osol,A.編(1980)に開示されている
徐放性調製物を調製してもよい。徐放調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、造形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。
インビボでの投与に使用されることになる製剤は、一般に無菌である。無菌状態は、例えば滅菌濾過膜による濾過により、容易に果たすことができる。
本明細書に記載の分子は、溶液又は懸濁液、錠剤、ピル、粉末、座剤、高分子マイクロカプセル又はマイクロベシクル、リポソーム、及び注射可能な又は注入可能な溶液を含むがこれらに限定されない、様々な剤形であり得る。好ましい形は、投与様式及び治療応用に依存するが、典型的には注射可能な又は注入可能な溶液であろう。
治療方法及び治療用組成物
本明細書で提供される抗TnC抗体又は抗TnC抗体を含む薬学的製剤の何れを治療方法に使用してもよい。
本明細書で提供される抗TnC抗体は、TnC発現、特に、同じ細胞型の正常組織と比較してTnCの異常な発現(例えば、過剰発現、又は細胞における異なるパターンでの発現)を特徴とする疾患の治療に使用することができる。TnCは、多くのヒト腫瘍において同じ細胞型の非腫瘍組織と比較して異常に発現される(過剰発現される)。したがって、本明細書で提供される抗TnC抗体は、腫瘍形成の予防、腫瘍の根絶及び腫瘍増殖又は転移の阻害に特に有用である。本明細書で提供される抗TnC抗体は、TnCを発現する任意の腫瘍を治療するために使用することができる。本明細書で提供される抗TnC抗体により治療することができる特定の悪性腫瘍としては、例えば、肺がん、結腸がん、胃がん、乳がん、頭頸部がん、皮膚がん、肝臓がん、腎臓がん、前立腺がん、膵臓がん、脳がん、骨格筋のがんが挙げられる。
本明細書で開示される抗TnC抗体は、腫瘍増殖を阻害するために又は腫瘍細胞を殺滅するために使用することができる。例えば、抗TnC抗体は、がん性細胞(腫瘍細胞又は腫瘍間質の細胞)の膜又は細胞表面上にあるTnCと結合して、例えば、がん性細胞に対するADCC又は他のエフェクター媒介殺滅を惹起することができる。
或いは、抗TnC抗体は、TnCの機能を、特に、別の化合物へのその結合に物理的に干渉することにより、ブロックするために使用することができる。例えば、抗原結合分子は、TnCにより媒介される細胞の接着、伸展又は遊走をブロックするために使用することができる。
一態様では、医薬として使用するための抗TnC抗体が提供される。さらなる態様では、TnCの発現を特徴とする疾患の治療に使用するための抗TnC抗体が提供される。ある特定の実施態様では、治療方法に使用するための抗TnC抗体が提供される。ある特定の実施態様では、本発明は、TnCの発現を特徴とする疾患を有する個体を治療する方法に使用するための抗TnC抗体を提供し、前記方法は、前記抗TnC抗体の有効量を前記個体に投与することを含む。1つのそのような実施態様では、方法は、例えば下で説明されるような、少なくとも1つのさらなる治療剤の有効量を個体に投与することをさらに含む。さらなる実施態様では、本発明は、細胞の溶解を誘導するために使用するための抗TnC抗体を提供する。ある特定の実施態様では、本発明は、個体における細胞の溶解を誘導する方法に使用するための抗TnC抗体を提供し、前記方法は、細胞の溶解を誘導するために前記抗TnC抗体の有効量を前記個体に投与することを含む。上記実施態様の何れによる「個体」も好ましくはヒトである。上記実施態様の何れによる「TnCの発現を特徴とする疾患」も、好ましくは、がん、最も好ましくは、肺がん、結腸がん、胃がん、乳がん、頭頸部がん、皮膚がん、肝臓がん、腎臓がん、前立腺がん、膵臓がん、脳がん、骨格筋のがんの群から選択されるがんである。上記実施態様の何れによる「細胞」も、好ましくは、腫瘍内に存在する細胞、例えば、腫瘍細胞又は腫瘍間質の細胞、最も好ましくは、腫瘍細胞である。上記実施態様の何れによる「TnC発現」も、好ましくは、同じ細胞型の正常組織と比較して異常な発現、例えば、過剰発現、又は細胞における異なるパターンでの発現である。
さらなる態様では、本発明は、医薬の製造又は調製における抗TnC抗体の使用を提供する。一実施態様では、医薬は、TnCの発現を特徴とする疾患の治療のためのものである。さらなる実施態様では、医薬は、TnCの発現を特徴とする疾患を治療する方法に使用するためのものであり、前記方法は、TnCの発現を特徴とする疾患を有する個体に前記医薬の有効量を投与することを含む。1つのそのような実施態様では、方法は、例えば下で説明されるような、少なくとも1つのさらなる治療剤の有効量を個体に投与することをさらに含む。さらなる実施態様では、医薬は、細胞の溶解を誘導するためのものである。さらなる実施態様では、医薬は、個体における細胞の溶解を誘導する方法に使用するためのものであり、前記方法は、細胞の溶解を誘導するために前記医薬の有効量を前記個体に投与することを含む。上記実施態様の何れによる「個体」も好ましくはヒトである。上記実施態様の何れによる「TnCの発現を特徴とする疾患」も、好ましくは、がん、最も好ましくは、肺がん、結腸がん、胃がん、乳がん、皮膚がん、肝臓がん、腎臓がん、前立腺がん、膵臓がん、脳がん、骨格筋のがんの群から選択されるがんである。上記実施態様の何れによる「細胞」も、好ましくは、腫瘍内に存在する細胞、例えば、腫瘍細胞又は腫瘍間質の細胞、最も好ましくは、腫瘍細胞である。上記実施態様の何れによる「TnC発現」も、好ましくは、同じ細胞型の正常組織と比較して異常な発現、例えば、過剰発現、又は細胞における異なるパターンでの発現である。
さらなる態様では、本発明は、TnCの発現を特徴とする疾患を治療する方法を提供する。一実施態様では、方法は、TnCの発現を特徴とするそのような疾患を有する個体に抗TnC抗体の有効量を投与することを含む。1つのそのような実施態様では、方法は下で説明されるような少なくとも1つのさらなる治療剤の有効量を個体に投与することをさらに含む。さらなる実施態様では、本発明は、個体における細胞の溶解を誘導する方法を提供する。一実施態様では、方法は、細胞の溶解を誘導するために抗TnC抗体の有効量を個体に投与することを含む。上記実施態様の何れによる「個体」もヒトであり得る。上記実施態様の何れによる「TnCの発現を特徴とする疾患」も、好ましくは、がん、最も好ましくは、肺がん、結腸がん、胃がん、乳がん、皮膚がん、肝臓がん、腎臓がん、前立腺がん、膵臓がん、脳がん、骨格筋のがんの群から選択されるがんである。上記実施態様の何れによる「細胞」も、好ましくは、腫瘍内に存在する細胞、例えば、腫瘍細胞又は腫瘍間質の細胞、最も好ましくは、腫瘍細胞である。上記実施態様の何れによる「TnC発現」も、好ましくは、同じ細胞型の正常組織と比較して異常な発現、例えば、過剰発現、又は細胞における異なるパターンでの発現である。
さらなる態様では、本発明は、本明細書で提供される抗TnC抗体の何れかを含む薬学的製剤であって、例えば、上記治療方法の何れかにおいて使用するための薬学的製剤を提供する。一実施態様では、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗TnC抗体の何れかと、1つ又は複数の薬学的に許容される担体とを含む。別の実施態様では、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗TnC抗体の何れかと、少なくとも1つのさらなる治療剤、例えば下で説明されるような治療剤とを含む。
本発明の抗体は、治療の際に単独で又は他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体を少なくとも1つのさらなる治療剤と共投与してもよい。ある特定の実施態様では、さらなる治療剤は、抗がん剤である。好適な抗がん剤は、例えば、化学療法剤、腫瘍細胞増殖の阻害剤、又は腫瘍細胞アポトーシスの活性化剤である。
上述のそのような併用療法は、併用投与(この場合、2つ以上の治療剤が同じ又は別々の組成物に含まれている)及び別々の投与を包含し、別々の投与の場合、本発明の抗体の投与を、さらなる治療剤及び/又はアジュバントの投与より前に、投与と同時に、及び/又は投与の後に行うことができる。本発明の抗体を放射線療法と組み合わせて使用することもできる。本発明の抗体(及び任意のさらなる治療剤)は、非経口投与、肺内投与及び鼻腔内投与、並びに局所治療のために必要に応じて病巣内投与を含む、任意の好適な手段により投与することができる。非経口投与は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下投与を含む。静脈内投与が概して好ましい。しかし、腹腔内経路は、例えば結腸直腸腫瘍の治療の際に、特に有用であると予想される。投薬は、投与が短期的であるか慢性的であるかに一部は依存して、何れの好適な経路によるものであってもよく、例えば、静脈内若しくは皮下注射等の注射によるものであってもよい。単回投与又は様々な時点にわたっての複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない、様々な投薬スケジュールが、本明細書では企図されている。
本発明の抗体を、医学行動規範と一致した様式で製剤化、投薬及び投与されることになる。これに関連して考慮する因子としては、治療されることになる特定の障害、治療されることになる特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療施術者に公知の他の因子が挙げられる。抗体は、問題の障害を予防又は治療するために現在使用されている1つ又は複数の薬剤と共に製剤化される必要はないが、任意選択でそれらと共に製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害又は治療のタイプ、及び上で論じた他の因子に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載のものと同じ投薬量で及び同じ投薬経路で、又は本明細書に記載の投薬量の約1から99%で、又は適切であると実験的に/臨床的に判定される、任意の投薬量で及び任意の経路により使用される。
疾患の予防又は治療のための、本発明の抗体の(単独で使用される場合、又は1つ若しくは複数の他のさらなる治療剤と併用される場合の)適切な投薬量は、治療されることになる疾患のタイプ、抗体のタイプ、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的で投与されるのか又は治療目的で投与されるのか、以前の治療、患者の病歴及び抗体への応答、並びに主治医の裁量に依存することになる。抗体は、単回、又は一連の治療にわたって、患者に適切に投与される。疾患のタイプ及び重症度に依存して、抗体約1μg/kgから15mg/kg(例えば、0.1mg/kgから10mg/kg)が、例えば、1回の投与若しくは複数回の別々の投与によるか、連続注入によるかを問わず、患者への投与のための最初の候補投薬量であり得る。1つの典型的な1日投薬量は、上述の因子に依存して約1μg/kgから100mg/kg以上にわたり得る。状態に応じて数日又はそれより長きにわたる反復投与については、一般に、病徴の所望の抑制が起こるまでその治療が持続されることになる。抗体の1つの例示的投薬量は、約0.05mg/kgから約10mg/kgの範囲となる。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg又は10mg/kgのうちの1つ又は複数の用量(又はこれらの任意の組合せ)を患者に投与してもよい。そのような用量を、間欠的に、例えば、週に1回又は3週間に1回(例えば、患者が、約2から約20用量、又は例えば約6用量の抗体を受けるように)投与してもよい。より高い初期負荷用量、その後、より低い1用量又は複数の用量を投与してもよい。しかし、他の投与レジメンが有用であることもある。この治療の進展は、従来の手法及びアッセイによって容易にモニターされる。
当然のことながら、上記製剤又は治療方法の何れも、抗TnC抗体の代わりに又は抗TnC抗体に加えて本発明の抗体コンジュゲートを使用して行うことができる。
製造品
本発明の別の態様では、上記の障害の治療、予防及び/又は診断に有用な材料を含有する製造品が提供される。製造品は、容器と、その容器上の又はその容器に付随するラベル又は添付文書を含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、注射器、IV溶液バッグ等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成されたものであり得る。容器は、単独である組成物を保持するか、又は状態の治療、予防及び/若しくは診断に有効な別の組成物と組み合わされた組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、静脈内溶液バッグであってもよく、又は皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1種の活性薬剤は、本発明の抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が選ばれた状態の治療に使用されることを示す。さらに、製造品は、(a)本発明の抗体を含む組成物が中に入っている第1の容器、及び(b)さらなる細胞傷害性剤又は別の治療剤を含む組成物が中に入っている第2の容器を含むことができる。本発明のこの実施態様での製造品は、特定の状態を治療するために組成物を使用することができることを示す添付文書をさらに含むことができる。或いは、又は加えて、製造品は、静菌性の注射用水(BWFI)、リン酸塩緩衝食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液等の、薬学的に許容されるバッファーを含む、第2の(又は第3の)容器をさらに含むことができる。製造品は、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針及び注射器を含む、商業的及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含むことができる。
当然のことながら、上記製造品の何れも、抗TnC抗体の代わりに又は抗TnC抗体に加えて本発明のイムノコンジュゲートを含んでいてもよい。
特定の実施態様
1. テネイシンC(TnC)と特異的に結合する抗体であって、
(a)配列番号49及び配列番号52の群から選択される重鎖CDR1、
(b)配列番号50及び配列番号53の群から選択される重鎖CDR2、
(c)配列番号51及び配列番号54の群から選択される重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、並びに
(a)配列番号37及び配列番号40の群から選択される軽鎖CDR1、
(b)配列番号38及び配列番号41の群から選択される軽鎖CDR2、及び
(c)配列番号39及び配列番号42の群から選択される軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域
を含む抗体。
2. テネイシンC(TnC)と特異的に結合する抗体であって、
(i)配列番号49の重鎖CDR1、配列番号50の重鎖CDR2、配列番号51の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号37の軽鎖CDR1、配列番号38の軽鎖CDR2、配列番号39の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域;又は
(ii)配列番号52の重鎖CDR1、配列番号53の重鎖CDR2、配列番号54の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号40の軽鎖CDR1、配列番号41の軽鎖CDR2、配列番号42の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域
を含み、種間交差反応性を有する抗体。
3. (a)配列番号49の重鎖CDR1、
(b)配列番号50の重鎖CDR2、
(c)配列番号51の重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、並びに
(a)配列番号37の軽鎖CDR1、
(b)配列番号38の軽鎖CDR2、及び
(c)配列番号39の軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域
を含む、実施態様1又は2の何れか一実施態様の抗体。
4. (a)配列番号52の重鎖CDR1、
(b)配列番号53の重鎖CDR2、
(c)配列番号54の重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、並びに
(a)配列番号40の軽鎖CDR1、
(b)配列番号41の軽鎖CDR2、及び
(c)配列番号42の軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域
を含む、実施態様1又は2の何れか一実施態様の抗体。
5. 配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様1から4の何れか一実施態様の抗体。
6. 配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様1から4の何れか一実施態様の抗体。
7. Fc領域を含むか又は免疫グロブリンのFc領域と同等の領域を含む、実施態様1から6の何れか一実施態様の抗体。
8. 前記Fc領域が、IgG1 Fc領域である、実施態様1から7の何れか一実施態様の抗体。
9. 完全長IgG1クラス抗体である、実施態様1から8の何れか一実施態様の抗体。
10. ヒト定常領域を含む、実施態様1から9の何れか一実施態様の抗体。
11. ヒト抗体である、実施態様1から10の何れか一実施態様の抗体。
12. 配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、及び配列番号60のアミノ酸配列を含む重鎖領域を含む、実施態様1から11の何れか一実施態様の抗体。
13. 配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、及び配列番号62のアミノ酸配列を含む重鎖領域を含む、実施態様1から12の何れか一実施態様の抗体。
14. 向上したアフィニティーを有する、実施態様1から13の何れか一実施態様の抗体。
15. ヒトTnCと約1nM未満のKD値で結合する、実施態様1から14の何れか一実施態様の抗体。
16. 種間交差反応性を有する、実施態様1から15の何れか一実施態様の抗体。
17. ヒト、マウス及びカニクイザルTnCのうちの少なくとも1つと約2nM未満のKD値で結合する、実施態様1から16の何れか一実施態様の抗体。
18. ヒト、マウス及びカニクイザルTnCと結合する、実施態様1から17のいずれか一実施態様の抗体。
19. 指定された全ての種からの標的抗原と同様のアフィニティーで結合する、実施態様1から18の何れか一実施態様の抗体。
20. 指定された全ての種からの標的抗原と同様のアフィニティー、特に、100倍のKD範囲内、50倍のKD範囲内、20倍のKD範囲内、10倍のKD範囲内、5倍のKD範囲内で結合する、実施態様1から19の何れか一実施態様の抗体。
21. 指定された全ての種からの標的抗原と同様の10倍のKD範囲内のアフィニティーで結合する、実施態様1から20の何れか一実施態様の抗体。
22. ヒトTnCと第1のKD値KD1で結合し、マウスTnCと第2のKD値KD2で結合し、カニクイザルTnCと第3のKD値KD3で結合し、KD1、KD2及びKD3からなる群から選択される前記KD値の全てが、約2nM未満である、実施態様1から21の何れか一実施態様の抗体。
23. ヒトTnCと第1のKD値KD1で結合し、マウスTnCと第2のKD値KD2で結合し、カニクイザルTnCと第3のKD値KD3で結合し、KD1、KD2及びKD3からなる群から選択される前記KD値の全てが、2nMから0.1nMの範囲内である、実施態様1から22の何れか一実施態様の抗体。
24. A1、A2、A3、A4、B、AD1、AD2、C及びDからなる群から選択されるTnCドメインのうちの少なくとも1つに特異的である、実施態様1から23の何れか一実施態様の抗体。
25. TnCドメインA1及びA4に特異的である、実施態様1、2、3、5又は12の何れか一実施態様の抗体。
26. TnCドメインCに特異的である、実施態様1、2、4、6又は13の何れか一実施態様の抗体。
27. Fc領域を含み、前記Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、実施態様1から26の何れか一実施態様の抗体。
28. 親非置換Fc領域が、アミノ酸残基Leu234、Leu235及びPro329を含み、置換Fc領域が、前記親非置換Fc領域と比べて、Leu234Ala、Leu235Ala及びPro329Glyからなる群から選択されるアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含む、実施態様27の抗体。
29. 前記置換Fc領域を含む抗体は、親非置換重鎖領域を含む抗体と比較して、エフェクター機能が低下している、及び/又はFc受容体結合アフィニティーが低下している、実施態様28の抗体。
30. 親非置換Fc領域と比べて、アミノ酸置換Leu234Ala、Leu235Ala及びPro329Glyを含み、FcγR及びC1qへの結合が消失される、及び/又はFc媒介エフェクター機能が消失される、実施態様27から29のいずれか一実施態様の抗体。
31. 前記エフェクターの機能の消失が、ADCCの消失である、実施態様30の抗体。
32. 配列番号65及び配列番号66の群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖領域を含む、実施態様1から31のいずれか一実施態様の抗体。
33. 糖改変Fc領域を含む、実施態様1から32の何れか一実施態様の抗体。
34. 非糖改変抗体と比較して、前記Fc領域内の非フコシル化オリゴ糖の割合が増加されている、実施態様33の抗体。
35. 前記Fc領域内のN結合型オリゴ糖の少なくとも約20%から約100%が、フコシル化されていない、実施態様33又は34の抗体。
36. 非糖改変抗体と比較して、前記Fc領域内の二分されたオリゴ糖の割合が増加されている、実施態様33から35の何れか一実施態様の抗体。
37. 前記Fc領域内のN結合型オリゴ糖の少なくとも約20%から約100%が、二分されている、実施態様33から36の何れか一実施態様の抗体。
38. 前記Fc領域内のN結合型オリゴ糖の少なくとも約20%から約50%が、二分されており、フコシル化されていない、実施態様33から37の何れか一実施態様の抗体。
39. エフェクター機能が増加されている、及び/又はFc領域結合アフィニティーが増大されている、実施態様33から38の何れか一実施態様の抗体。
40. 前記エフェクターの機能の増加が、ADCCの増加である、実施態様39の抗体。
41. 多重特異性抗体である、実施態様1から40の何れか一実施態様の抗体。
42. 二重特異性抗体である、実施態様1から41の何れか一実施態様の抗体。
43. 1から42いずれか一実施態様の抗体の一部を形成するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
44. 43のポリペプチドによりコードされた、単離されたポリペプチド。
45. 配列番号60、配列番号62、配列番号65及び配列番号66の群から選択される配列を含むポリペプチドをコードする第1の単離されたポリヌクレオチドと、配列番号59及び配列番号61の群から選択される配列を含むポリペプチドをコードする第2の単離されたポリヌクレオチドとを含む組成物。
46. 43のポリヌクレオチドを含むベクター。
47. 43のポリヌクレオチド、実施態様45の組成物又は実施態様46のベクターを含む、宿主細胞。
48. GnTIII活性を有する増加されたレベルの1つ又は複数のポリペプチドを発現するように操作された、実施態様47の宿主細胞。
49. GnTIII活性を有する前記ポリペプチドが、GnTIIIの触媒ドメインとManIIのゴルジ局在ドメインとを含む融合ポリペプチドである、実施態様48の宿主細胞。
50. ManII活性を有する増加されたレベルの1つ又は複数のポリペプチドを発現するようにさらに操作された、実施態様48又は49の宿主細胞。
51. TnCと特異的に結合する抗体を産生する方法であって、
a)実施態様47から50の何れか一実施態様の宿主細胞を、培地中で、前記抗体の発現を可能にする条件下で培養するステップ、及び
b)前記抗体を回収するステップ
を含む方法。
52. TnCと特異的に結合する抗体を産生する方法であって、
a)実施態様48から50の何れか一実施態様の宿主細胞を、培地中で、前記抗体の発現と、前記抗体のFc領域上に存在するオリゴ糖のGnTIII活性を有する前記ポリペプチドによる修飾とを可能にする条件下で培養するステップ、及び
b)前記抗体を回収するステップ
を含む方法。
53. 51又は52の方法により産生される、TnCと特異的に結合する抗体。
54. 1から40の何れか一実施態様の抗体と細胞毒性剤とを含む抗体コンジュゲート。
55. 1から42の何れか一実施態様の抗体と薬学的に許容される担体とを含む薬学的製剤。
56. さらなる治療剤をさらに含む、実施態様55の薬学的製剤。
57. 医薬として使用するための、実施態様1から42の何れか一実施態様の抗体。
58. TnCの発現を特徴とする疾患の治療に使用するための、実施態様1から42の何れか一実施態様の抗体。
59. 前記疾患が、がんである、実施態様58の抗体。
60. 腫瘍細胞又は腫瘍の間質細胞の細胞溶解の誘導に使用するための、実施態様1から42の何れか一実施態様の抗体。
61. TnCの発現を特徴とする疾患の治療用の医薬の製造における、実施態様1から42の何れか一実施態様の抗体の使用。
62. 前記疾患が、がんである、実施態様61の使用。
63. 腫瘍細胞又は腫瘍の間質細胞の溶解を誘導するための医薬の製造のための、実施態様1から42の何れか一実施態様の抗体の使用。
64. TnC発現を特徴とする疾患を有する個体を治療する方法であって、実施態様1から42の何れか一実施態様の抗体又は実施態様55若しくは56の薬学的製剤の有効量を前記個体に投与することを含む方法。
65. さらなる治療剤を前記抗体に投与することをさらに含む、実施態様64の方法。
66. 前記疾患が、がんである、実施態様64又は65の方法。
67. 腫瘍細胞又は腫瘍の間質細胞の細胞溶解を誘導する方法であって、前記腫瘍細胞又は間質細胞と実施態様1から42の何れか一実施態様の抗体とを接触させることを含む方法。
68. 前記細胞溶解が、前記抗体の抗体依存性細胞傷害により誘導される、実施態様67の方法。
69. 個体における疾患を診断する方法であって、診断剤の有効量を前記抗体に投与することを含み、前記診断剤が、実施態様1から42の何れか一実施態様の抗体、及び前記診断剤とTnCの複合体の検出を可能にする標識を含む、方法。
70. 上文に記載の本発明。
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。当然のことながら、上で提供した一般的な説明を考慮して様々な実施態様を実施することができる。
組換えDNA手法
Sambrook,J.等、Molecular cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1989に記載されているような標準的方法を使用してDNAを操作した。分子生物学試薬は、製造業者の説明書に従って使用した。DNA配列は、二本鎖配列決定により決定した。一部のケースでは、Geneart AG(Regensburg、Germany)が自動遺伝子合成により合成オリゴヌクレオチド及びPCR産物から所望の遺伝子セグメントを調製した。単一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位が隣接している遺伝子セグメントを、述べるプラスミドにクローニングした。形質転換された細菌からプラスミドDNAを精製し、UV分光法により濃度を決定した。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列をDNA配列決定により確認した。好適な制限部位を用いて、それぞれの発現ベクターへのサブクローニングを可能にするように遺伝子セグメントを設計した。
ヒト免疫グロブリン軽鎖及び重鎖のヌクレオチド配列に関する一般的な情報は、Kabat,E.A.等、(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、NIH出版番号91−3242に与えられている。発現のために、全てのコンストラクトは、真核細胞内での分泌のためのタンパク質を標的とするリーダーペプチドをコードする5’末端DNA配列を含有した。それらをコードする例示的リーダーペプチド及びポリヌクレオチド配列を配列67から配列番号75に与える。
実施例1
TnC抗原配列及び抗原の産生
表3及び表4の全てのコンストラクトをGSTのC末端に融合させ、大腸菌BL21(DE3)において発現させる。部位特異的ビオチン化のために、テネイシン配列のC末端にAviタグを付加させ、BirAビオチンリガーゼを別のプラスミド(Avidity、Colorado、USA)上で共発現させた。増殖培地は、100μg/mlのアンピシリン及び20μg/mlのクロラムフェニコールを含有する2YTであった。ビオチンを添加して50μMの最終濃度にした。1mM IPTGを用いて22℃で一晩、タンパク質発現を誘導した。細胞を遠心分離により回収し、B−PER試薬(pierce 78260)及び1mg/mlのリゾチーム(Sigma L6876)の存在下での超音波処理により細胞溶解を行った。溶解物を遠心分離し、清澄化された溶解物をグルタチオンセファロースカラム(GE Healthcare;製品番号17−0756−01)に負荷した。洗浄後、TnC分子をトロンビン(Sigma Aldrich、製品番号10602400001)によって一晩、4℃でGSTから切断した。溶出は、50mM Trisバッファー pH8.0、200mM NaCl、5mM MgCl2、1mM DTT及び10%グリセロール中で行った。最終精製ステップは、ゲル濾過カラム(Superdex 75 16/60、GE Healthcare)を用いて行った。試料は、処理するまで液体窒素中で急速冷凍しておいた。
実施例2
一般的Fabライブラリーからの抗TnC抗体の選択
抗TnC抗体を、DP88−4(クローン18D4)及びラムダDP47(クローン11C7)という2つの異なる一般的ファージディスプレイライブラリーから選択した。
ライブラリー構築
Dp88−4ライブラリーは、軽鎖(L3、3つの異なる長さ)のCDR3及び重鎖(H3、3つの異なる長さ)のCDR3内に無作為化配列空間を含むVk1_5(カッパ軽鎖)及びVH1_69(重鎖)のVドメインペアリングを使用して、ヒト生殖系列遺伝子に基づいて構築した。ライブラリー生成は、スプライシングを利用するオーバーラップ伸長(SOE)PCRによる3つのpPCR増幅断片のアセンブリーによって行った。断片1は、無作為化L3を含む抗体遺伝子の5’末端を含み、断片2は、L3からH3に及ぶ中心コンストラクト断片であるのに対して、断片3は、無作為化H3、及び抗体遺伝子の3’部分を含む。次のプライマーの組合せをそれぞれ使用して、DP88−4ライブラリー用のこれらのライブラリー断片を生成した:断片1(リバースプライマーVk1_5_L3r_S又はVk1_5_L3r_SY又はVk1_5_L3r_SPYと組み合わせたフォワードプライマーLMB3)、断片2(リバースプライマーRJH32と組み合わせたフォワードプライマーRJH31)及び断片3(リバースプライマーfdseqlongと組み合わせたフォワードプライマーDP88−v4−4又はDP88−v4−6又はDP88−v4−8)。ライブラリー断片の生成のためのPCRパラメータは、94℃での5分の初期変性、1分94℃、1分58℃、1分72℃の25サイクル、そして10分間72℃での末端伸長であった。等モル比のゲル精製された単一断片を鋳型として使用するアセンブリーPCRのためのパラメータは、94℃で3分の初期変性、そして30秒94℃、1分58℃、2分72℃の5サイクルであった。この段階で、外部プライマー(LMB3及びfdseqlong)を添加し、さらなる20サイクルを行った後、10分間72℃で末端伸長を行った。十分な量の完全長無作為化Fabコンストラクトのアセンブリー後、それらをNcoI/NheI消化し、同様に処理したアクセプターファージミドベクターにライゲーションした。精製されたライゲーション体を、エレクトロコンピテント大腸菌TG1への〜60回の形質転換に使用した。Fabライブラリーを提示するファージミド粒子をレスキューし、選択に使用することができるようにPEG/NaCl精製により精製した。これらのライブラリー構築ステップを3回繰り返して、4.4x109の最終ライブラリーサイズを得た。機能性クローンのパーセンテージは、ドットブロットでのC末端タグ検出により判定して、それぞれ、軽鎖については92.6%、重鎖については93.7%であった。
ラムダDP47ライブラリーは、次のVドメインペアリングを使用してヒト生殖系列遺伝子に基づいて構築した:Vl3_19ラムダ軽鎖とVH3_23重鎖。ライブラリーを軽鎖(L3)のCDR3及び重鎖(H3)のCDR3に関して無作為化し、「オーバーラップ伸長によるスプライシング」(SOE)PCRにより3つの断片からのアセンブリーを行った。断片1は、無作為化L3を含む抗体遺伝子の5’末端を含み、断片2は、L3の終点からH3の始点に及ぶ中心コンストラクト断片であるのに対して、断片3は、無作為化H3、及びFab断片の3’部分を含む。次のプライマーの組合せを使用して、ライブラリー用のライブラリー断片を生成した:断片1(LMB3−Vl_3_19_L3r_V/Vl_3_19_L3r_HV/Vl_3_19_L3r_HLV)、断片2(RJH80−DP47CDR3_ba(mod))及び断片3(DP47−v4−4/DP47−v4−6/DP47−v4−8−fdseqlong)。ライブラリー断片の産生のためのPCRパラメータは、94℃での5分の初期変性、60秒94℃、60秒55℃、60秒72℃の25サイクル、そして10分間72℃での末端伸長であった。等モル比の3つの断片を鋳型として使用するアセンブリーPCRのためのパラメータは、94℃で3分の初期変性、そして60秒94℃、60秒55℃、120秒72℃の5サイクルであった。この段階で、外部プライマーを添加し、さらなる20サイクルを行った後、10分間72℃で末端伸長を行った。十分な量の完全長無作為化Fabコンストラクトのアセンブリー後、それらをNcoI/NheI消化し、並行してアクセプターファージミドベクターを同様に処理した。15μgのFabライブラリーインサートを13.3μgのファージミドベクターとライゲーションした。精製されたライゲーション体を60回の形質転換に使用し、その結果、1.5x109の形質転換体を得た。Fabライブラリーを提示するファージミド粒子をレスキューし、選択に使用することができるようにPEG/NaCl精製により精製した。
ファージディスプレイ選択及びELISAスクリーニング
ファージディスプレイ選択のための抗原としてのヒトGST融合TNC fn5 A1234 BC fn6を大腸菌において発現させ、融合タンパク質のC末端に位置するaviタグ認識配列でのBirAビオチンリガーゼの共発現によりインビボで部位特異的にビオチン化した(抗原の産生は実施例1に従い、配列は表4から導かれる)。この抗原は、2つのフィブロネクチンIII型ドメイン5と6の間に位置するヒトTnC追加スプライスドメインA1、A2、A3、A4、B及びCを含む。ファージディスプレイ選択は、これらの追加スプライスドメインの何れかへの結合物質の選択を目的するものであった。後続のステップでより少数の追加スプライスドメインを含むさらなる抗原コンストラクトを使用して表面プラズモン共鳴によりドメイン特異性を判定する。
選択ラウンド(バイオパニング)は、次のパターンに従って溶液中で行った:1.3つの異なるタグを認識する抗体のライブラリーを枯渇させるための、無関係のGST融合タンパク質を有し、TnC標的抗原と同様のaviタグ及びHis6タグも有する、〜1012個のファージミド粒子の予備清浄化;2.総体積1ml中のタグ結合物質のさらなる枯渇のための、上清中の予備清浄化したファージミド粒子と、100nM ビオチン化ヒトGST融合TNC fn5 A1234 BC fn6との、無関係の非ビオチン化GST融合タンパク質の存在下で0.5時間のインキュベーション;3.ニュートラアビジン予備被覆マイクロタイタープレートの4ウェルへの10分間の移入による、ビオチン化ヒトGST融合TNC fn5 A1234 BC fn6及び付着した特異的に結合しているファージの捕捉(ラウンド1及び3);4.5xPBS/Tween20及び5xPBSを使用するそれぞれのウェルの洗浄;5.10分間の1ウェル当り250μlの100mM TEA(トリエチルアミン)の添加によるファージ粒子の溶出及び4ウェルからプールした溶出物への500μlの1M Tris/HCl pH7.4の添加による中和;6.溶出したファージ粒子の上清による対数期大腸菌TG1細胞の再感染、ヘルパーファージVCSM13による感染、30℃で一晩の振盪機でのインキュベーション、そして次の選択ラウンドで使用されることになるファージミド粒子のその後のPEG/NaCl沈殿。100nMの一定抗原濃度を使用して3ラウンドにわたって選択を行った。ラウンド2では、ニュートラアビジンへの結合物質の濃縮を回避するために、5.4x107個のストレプトアビジン被覆磁性ビーズの添加により抗原:ファージ複合体の捕捉を行った。ラウンド2及び3の後に次のようにELISAにより特異的結合物質を同定した:100μlの100mM ビオチン化ヒトGST融合TNC fn5 A1234 BC fn6でニュートラアビジンプレートを被覆した。Fab含有細菌上清を添加し、抗Flag/HPR二次抗体を使用して結合FabをそれらのFlagタグによって検出した。ヒトGST融合TNC fn5 A1234 BC fn6に関するシグナルを提示するクローンであって、標的と同じタグを有する無関係のGST融合タンパク質に関してネガティブであるクローンを、さらなる分析の最終選考に残した。それらを培養体積0.5リットルで細菌により発現させ、アフィニティー精製し、マウスTnCとの交差反応性を試験するために、及び抗体が認識する追加スプライスドメインを決定するために、BioRadのProteOn XPR36バイオセンサーを使用するSPR分析によりさらに特徴を明らかにした。
BioRadのProteOn XPR36バイオセンサーを使用するSPR分析
ニュートラアビジン捕捉によりNLCチップ上に固定化したビオチン化ヒト及びマウスTnC抗原に関して25℃でProteOn XPR36装置(Biorad)を使用して表面プラズモン共鳴(SPR)により選択クローンのアフィニティー(KD)を測定した。抗原(リガンド)の固定化:組換え抗原をPBST(10mM リン酸塩、150mM 塩化ナトリウム pH7.4、0.005%Tween 20)で10μg/mlに希釈し、次いで30μl/分で垂直の向きに注入した。被分析物の注入:「ワンショット動態(one-shot kinetics)」測定のために、注入方向を水平の向きに変え、精製Fabの2倍希釈系列を別々のチャネル1−5に沿って同時に注入し、200秒の結合時間及び240秒の解離時間をそれぞれ用いた。参照用の「インライン」ブランクを得るために、バッファー(PBST)を第6のチャネルに沿って注入した。ProteOn Manager v3.1ソフトウェアの単純1対1ラングミュア結合モデルを使用して、結合センソグラムと解離センソグラムの同時フィッティングにより、結合速度定数(kon)及び解離速度定数(Koff)を算出した。平衡解離定数(KD)をkoff/kon比として算出した。表5は、種及び追加スプライスドメインの組成が異なる幾つかのTnC抗原についての2つの選択クローン18D4及び11C7の平衡解離定数(KD)を収載するものである。
下線付きの塩基:60%所与の配列及び40%N;イタリック体の塩基:60%所与の配列及び40%M。
1: G/D = 20%, E/V/S = 10%, A/P/R/L/T/Y=5%; 2: G/Y/S=15%, A/D/T/R/P/L/V/N/W/F/I/E = 4,6%; 3: G/A/Y = 20%, P/W/S/D/T = 8%; 4: F = 46%, L/M = 15%, G/I/Y = 8%.
無作為化プライマー中のトリヌクレオチド混合物:1 (G/D=20%, E/V/S=10%, A/P/R/L/T/Y=5%); 2 (G/Y/S=15%, A/D/T/R/P/L/V/N/W/F/I/E=4,6%); 3 (G/A/Y=20, P/W/S/D/T=8%); 4 (F=46%, L/M=15%, G/I/Y=8%); 5 (K=70%, R=30%)
実施例3
可変抗体ドメインの発現ベクターへのクローニング
選択抗TnC結合物質(表14から表19)の重鎖及び軽鎖DNA配列の可変領域をヒトIgG1の定常重鎖又は定常軽鎖のどちらかと共にインフレームでサブクローニングした。抗体を、野生型ヒトIgG1骨格として調製したか、又は特許出願公開番号・国際公開第2012/130831号A1に記載の方法に従ってFcガンマ受容体への結合を妨げるために導入されるPro329Gly、Leu234Ala及びLeu235Ala突然変異を含有する変異体として調製した。
抗TnC結合物質のCDR配列を表16から表19に示す。抗TnC IgGの塩基対及びアミノ酸配列を表20及び表21に示す。抗TnC P319GLALA IgGの塩基対及びアミノ酸配列を表22及び表23に示す。キメラMPSVプロモーターでインサートの転写を駆動する発現ベクターであって、CDSの3’末端に位置する合成ポリAシグナル配列を含有する発現ベクターに、抗体をコードする配列全てをクローニングした。加えて、このベクターは、プラスミドのエピソーム維持のためのEBV OriP配列を含有する。
ファージディスプレイにより選択される11C7クローンのLCDR3(NSINSTRNEV)は、潜在的Nグリコシル化部位、すなわちNSTを含有し、これは、均一な産物の産生を助長するためにアミノ酸置換により除去され得る可能性がある。それでもやはり、標的への結合を保持しなければならない。N(1位)をQ、S又はTによって優先的に置換することができるだろう。或いは、S(2位)をPに置換することができるだろう。或いは、T(3位)を、G若しくはNに、又はS若しくはCを除く任意の他のタンパク質構成アミノ酸に、優先的に置換することができるだろう。何れにせよ最良であろう置換を当業者は実験によって決定することができる。
実施例4
抗TnC IgGの精製
CMVプロモーターエンハンサー断片と組み合わせたMPSVコアプロモーターからなるキメラMPSVプロモーターの制御下で全ての遺伝子を一過性に発現させた。発現ベクターは、EBNA(エプスタイン・バーウイルス核抗原)含有宿主細胞におけるエピソーム複製のためのoriP領域も含有する。
抗TnC IgGは、ポリエチレンイミンを使用して哺乳動物発現ベクターをHEK293−EBNA細胞にコトランスフェクトすることにより産生させた。対応する発現ベクターを1:1比(「ベクターHC」:「ベクターHLC」)で細胞にトランスフェクトした。
500mL振盪フラスコ内での200mLの産生のために、サプリメントを含有するExcell培地に2億5千万個のHEK293 EBNA細胞をトランスフェクションの24時間前に播種した。トランスフェクションのために、細胞を5分間、210xgで遠心分離し、上清を予温CD−CHO培地に置換した。DNAの最終量が200μgになるように発現ベクターを20mL CD−CHO培地に混入した。540μL PEI(1mg/mL)の添加後、溶液を15秒間ボルテックスし、10分間、室温でインキュベートした。その後、細胞をDNA/PEI溶液と混合し、500mL振盪フラスコに移し、5%CO2雰囲気を有する、165rpmで振盪するインキュベーターの中で、3時間、37℃でインキュベートした。インキュベーション後、サプリメントを含有する160mLのExcell培地を添加し、細胞を24時間培養した。この時点で、バルプロ酸濃度は1mMである(培地は、g/LのPepSoy及び6mMのL−グルタミンをさらに含む)。トランスフェクションの24時間後、細胞にアミノ酸及びグルコースフィードを12%最終体積(24mL)で補充し、3g/Lのグルコース(500g/Lのストックからの1.2mL)を補充する。7日間の培養後、細胞上清を45分間の2000−3000xgでの遠心分離により収集した。溶液を滅菌濾過し(0.22μmフィルター)、0.01%(w/v)の最終濃度になるようにアジ化ナトリウムを補充し、4℃で保持した。
MabSelectSureを使用してアフィニティークロマトグラフィーにより細胞培養上清からの抗TnC IgGの精製を行った。タンパク質を濃縮し、濾過し、その後、20mM ヒスチジン、140mM NaCl、pH6.0の0.01%Tween−20溶液で平衡させたHiLoad Superdex 200カラム(GE Healthcare)に負荷した。
アフィニティークロマトグラフィーのために、36mLの20mM クエン酸ナトリウム、20mM リン酸ナトリウム、pH7.5で平衡させたProtA MabSelect Sureカラム(CV=6mL、GE Healthcare)に上清を負荷した。20mM クエン酸ナトリウム、20mM リン酸ナトリウム、pH7.5を含有する、6−10カラム容積のバッファーで洗浄することにより、非結合タンパク質を除去した。20mM クエン酸ナトリウム、100mM 塩化ナトリウム、100mM グリシン、0.01%(v/v)Tween−20、pH3.0の、15CVの塩化ナトリウム(20から100%)の線形pH勾配を使用して、非結合タンパク質を溶出した。次いで、20mM クエン酸ナトリウム、100mM 塩化ナトリウム、100mM グリシン、0.01%(v/v)Tween−20、pH3.0を含有する、4カラム容積の溶液でカラムを洗浄し、その後、再平衡ステップを行った。
収集した画分のpHを、1/10(v/v)の0.5M Na2HPO4、pH8.0の添加により調整した。タンパク質を濃縮し、濾過し、その後、20mM ヒスチジン、140mM NaCl、pH6.0、0.01%Tween20で平衡させたHiLoad Superdex 200カラム(GE Healthcare)に負荷した。
アミノ酸配列に基づいて算出したモル吸光係数を使用して、280nmでODを測定することにより精製IgGのタンパク質濃度を決定した。LabChipGXII(Caliper)を使用して、還元剤(Invitrogen、USA)の存在及び非存在下でのCE−SDSにより、IgGの純度及び分子量を分析した。精製タンパク質の凝集物含有量は、25℃で25mM K2HPO4、125mM NaCl、200mM L−アルギニン・一塩酸塩、0.02%(w/v)NaN3、pH6.7のランニングバッファー中で平衡させたTSKgel G3000 SW XL分析用サイズ排除カラム(東ソー株式会社)を使用して分析した(表25)。
実施例5
表面プラズモン共鳴(TnC結合)
ヒト、マウス及びカニクイザルTnC(表4による抗原)への、抗TnC IgG 18D4の結合、抗TnC IgG 11C7の結合、及び抗TnC 18D4のFab断片の結合を、表面プラズモン共鳴(SPR)により評定した。全てのSPR実験は、ランニングバッファーとしてHBS−EP(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%Surfactant P20、Biacore、Freiburg/Germany)を用いて、25℃で、Biacore T200で行った。
固定化ウィザード機能を使用して100RUまでの固定化を目指して、ビオチン化ヒト、マウス又はカニクイザルTnCの20μg/mlの保存液をSAチップに注入した。最終固定化レベルは、79−400RUの間であった。
次いで直ちに、抗TnC IgG 18D4(PGLALA及びwtFc)、抗TnC IgG 11C7(rb IgG)、及び18D4 Fab断片に、0.02−12.5nMの範囲の濃度(IgG)及び0.02−50nMの範囲の濃度(Fab断片)で、180秒間、30μl/分の流量でチップ表面を通過させ、その後、180秒の解離ステップを行った。最高濃度のIgGについては、1800秒のさらなる解離ステップを行った。各ステップ後、60秒間の10mM グリセリン pH2.1の2回の逐次的注入の結果として表面を再生した。TNCのない参照フローセルで得た応答を減算することにより、バルク屈折率差を補正した。ラングミュア1:1動態モデルを使用して、アフィニティー及びアヴィディティーを計算した。しかし、二価相互作用の1:1フィッティングについてのKDは、見掛けの値に過ぎないので、比較にしか使用するべきでない。
抗TnC結合物質18D4は、pM範囲の同様のアヴィディティーでマウス及びカニクイザルTnCと交差反応する。18D4 Fab断片のTnCへの一価結合は、低nM範囲のKDをもたらす。抗TNC結合物質11C7もまたpM範囲でヒトTnCに結合する。このBiacore実験で使用したマウス及びカニクイザルTNCコンストラクトにはCドメインが存在しなかったため、結合物質11C7については種間交差反応性を評定することができなかった(表26)。
熱安定性
静的光散乱(SLS)により、及び加えた温度ストレスに対する固有タンパク質蛍光を測定することにより、熱安定性をモニターした。1mg/mlのタンパク質濃度を有する30μgの濾過したタンパク質試料をOptim 2装置(Avacta Analytical Ltd)に2回ずつ適用した。半径及び全散乱強度を収集しながら、温度を0.1℃/分で25℃から85℃に上昇させた。固有タンパク質蛍光の決定のために、試料を266nmで励起させ、放出を275nmと460nmの間で収集した。
両方のIgGは、62℃の凝集温度を有する(表27)。
実施例6
LS174T異種移植片由来腫瘍組織及びヒト組織アレイにおけるTnC染色の結果
免疫組織化学手法でのTnCの検出のために、LS174T異種移植片由来腫瘍組織及びヒト組織アレイにおいてウサギIgG抗体としての抗TnCクローン18D4及び11C7を試験した。
LS174T結腸直腸癌凍結腫瘍試料をクリオスタットで12μm厚の切片にし、スーパーフロスト(superfrost)スライド(Thermo Scientific、Germany)にマウントした。ペアの正常試料と腫瘍試料を含むヒト組織アレイの凍結試料をBiochain(San Francisco、USA)から購入した。組織切片を30分間放置して解凍した。スライドをPBSで洗浄し、冷アセトンで10分間固定し、水中の0.03%水素ペルオキシダーゼのインキュベーションステップを行って、内因性ペルオキシダーゼをブロックした。次いで、切片をPBS中の5%ヤギ血清と共に1時間インキュベートし、その後、0.5μg/mlの抗TnCクローン18D4若しくは11C7又はアイソタイプコントロール抗体(Serotec、Germany)と共に4℃で一晩インキュベートした。その後、切片をPBSで3回、各々5分間洗浄し、ペルオキシダーゼRabbit Vectastatin ABCキット(PK−6101、Vector laboratories、California、USA)を製造業者の説明書に従って使用して現像した。次いで、漸増濃度のエタノールでスライドを脱水し、2分間、キシレン中でインキュベートした。1滴のPermount封入剤(Fischer Chemical、Germany)を切片及びカバースリップに添加した。OlympusスキャナーVS120(Olympus、Germany)で画像を得て分析した。
LS174T異種移植片腫瘍における組織学的染色のパターンは、特定のTnC間質線維に対応した(図1)。クローン18D4とクローン11C7両方についてのTnC染色は、全体的に見て中等度の強度で発現される。ネガティブアイソタイプコントロールシグナルは、この手法の特異性を確証する。ウサギアイソタイプコントロールでの対応する組織学的染色におけるネガティブアイソタイプコントロールシグナルによって、染色の特異性を確証する(図2)。抗TnCクローン18D4でのヒト腫瘍アレイにおける組織学的染色は、特定のTnC間質線維に対応する。TnC染色は、殆どの腫瘍組織においてコントロール正常ペア組織と比較して高レベルで発現される(図3)。抗TnCクローン11C7でのヒト腫瘍アレイにおける組織学的染色は、特定のTnC間質線維に対応する。TnC染色は、殆どの腫瘍組織においてコントロール正常ペア組織と比較して高レベルで発現される(図4)。
上述の本発明は、明白な理解のために実例及び実施例によってある程度詳細に説明されているが、これらの説明及び実施例を本発明の範囲の限定と解釈すべきでない。本明細書に引用した全ての特許及び科学文献の開示は、それらの全内容が本明細書に参照により明確に援用される。