JP2019219550A - 光沢調整方法および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】形成される画像の光沢度をユーザーの所望する光沢度に制御するための技術を提供すること。【解決手段】画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Pに二次転写することにより、画像を形成する。画像形成装置1は、上記画像上に無色トナーを付与するためのユニット(画像形成ユニット40CLR)をさらに含む。【選択図】図3

Description

本開示は、電子写真方式の画像形成装置によって形成される画像における光沢調整方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、記録媒体上に形成されたトナー画像を熱と圧力によって当該記録媒体上に定着させる。トナーが樹脂を主成分とした現像材料であるので、定着によって、当該トナーによって形成された画像の表面は平滑になりやすい。これにより、形成される画像は、その光沢が高いものと視認される場合が多い。
表面の光沢度が低い記録媒体上に光沢度の高い画像が形成された場合、ユーザーに違和感を与える場合があり得る。そこで、電子写真方式の画像形成装置において、形成される画像の光沢度を抑える技術が種々提案されてきた。
たとえば、特開2007−4034号公報(特許文献1)は、定着後の画像に凹凸のローラーを押圧することにより、画像の光沢度を低下させる技術を提案している。
特開2007−4034号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、形成される画像の光沢度は、用意されたローラーの凹凸パターンに従ったものにしかならない。ユーザーにおいては、光沢度を自由に調整するニーズがある。
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、形成される画像の光沢度をユーザーの所望する光沢度に制御するための技術を提供することである。
本開示のある局面に従うと、電子写真方式の画像形成装置によって形成される画像の光沢を調整する方法が提供される。方法は、離型剤を含む有色トナーを用いて、記録媒体上に画像を形成するステップと、記録媒体上の画像の上に、離型剤の含有量が有色トナーよりも低い調整用トナーを付与するステップと、調整用トナーを付与された画像を、定着回転体と加圧回転体とによって構成されるニップ部で加熱するステップと、を備える。
方法は、画像の光沢の設定を取得するステップをさらに備えていてもよい。調整用トナーを付与するステップは、調整用トナーの付与量を設定に従って調整することを含んでいてもよい。
調整用トナーを付与するステップにおいて、調整用トナーの付与量の最大値は、調整用トナーの付与量に対する画像の光沢度の変化の極小値に対応する付与量であってもよい。
調整用トナーを付与するステップは、有色トナーが付与された位置にのみ調整用トナーを付与することを含んでいてもよい。
調整用トナーを付与するステップは、電子写真方式で調整用トナーを付与することを含んでいてもよい。
調整用トナーは、離型剤を含まないトナーであってもよい。
本開示の他の局面に従うと、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置が提供される。画像は離型剤を含む有色トナーを用いて形成される。画像形成装置は、定着回転体と加圧回転体とによって構成されるニップ部で画像が形成された記録媒体を加熱する加熱部と、ニップ部に突入する前の記録媒体上の画像の上に、離型剤の含有量が有色トナーよりも低い調整用トナーを付与する調整用トナー付与部と、調整用トナー付与部による調整用トナーの付与量を画像の光沢度の設定に従って調整する制御部と、を備える。
本開示によれば、離型剤を含む有色トナーによって形成された画像の上に、当該有色トナーよりも離型剤の含有量が低い調整用トナーが付与されることにより、上記画像の光沢度が調整される。
ニップ部を通過した後の用紙の表面の一例を示す図である。 ニップ部を通過した後の用紙の表面の他の例を示す図である。 無色トナーの付与量と形成された画像の光沢度の関係の一例を模式的に示す図である。 画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。 画像形成装置1の制御系の主要部を示すブロック図である。 光沢度の設定に対応する無色トナーの付与量を規定する設定テーブルの内容の一例を示す図である。 用紙に光沢度の設定に応じた態様で無色トナーを付与するための処理のフローチャートである。 画像形成部40の要部の変形例を示す図である。 制御例(1)において生成された設定テーブルを表わす図である。 制御例(2)において生成された設定テーブルを表わす図である。 制御例(1)について、無色トナーの付与量と光沢度の測定値に加えて、通紙不良が生じた枚数を示す図である。 制御例(1)において、有色のトナーが使用されなかったときの結果を示す図である。 無色トナーを使わずに出力した画像のイメージを表わす図である。 無色トナーを利用して出力した画像のイメージを表わす図である。
以下に、図面を参照しつつ、画像形成装置の一実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
[無色トナーによる画像の光沢の調整]
図1は、ニップ部を通過した後の用紙の表面の一例を示す図である。
画像形成に利用されるトナーは、通常、十分な量の離型剤を含む。画像形成装置は、このようなトナーを用いて画像を形成された用紙を、定着回転体と加圧回転体によって構成されるニップ部で加熱する。当該加熱において、トナーに含まれる離型剤が、浸み出して、当該トナーと定着回転体表面の間に層を作る。これによって、ニップ部の出口では、記録媒体が定着回転体から容易に剥がれることとなる。すなわち、このように記録媒体が定着回転体から剥がれる手助けをするのが離型剤の働きである。図1には、用紙P上に載置されたトナーTNの表面に、離型剤PAが染み出ている状態が示されている。用紙Pは、記録媒体の一例である。
一般的には、離型剤は、トナーと定着回転体表面の間に、一様に層を形成する。このため、トナーTNの表面は平滑となる。これにより、用紙P上に形成される画像は、高い光沢度を持つことになる。一方で、ユーザーが光沢度の低い画像の形成を希望する場合がある。本実施の形態の画像形成装置1は、形成される画像の光沢を調整するための構成を有する。
図2は、ニップ部を通過した後の用紙の表面の他の例を示す図である。
画像形成装置1は、用紙P上に、十分な量の離型剤を含んだトナー(トナーAとする。複数の種類のトナーから構成されてもよい。)を用いて画像を形成し、当該画像の上に、離型剤含有量がトナーAより少ないトナー(トナーBとする)を付与した後、用紙Pをニップ部へ送る。
ニップ部において、トナーAからは十分な量の離型剤が浸み出すものの、トナーBからは少量の離型剤しか浸み出さない。トナーBが溶融すると、当該トナーBは定着回転体の表面と密着し、その密着した部分には離型剤が入り込みにくくなる。このため、トナーと定着回転体表面の間には、離型剤は完全な層を形成することができない。ある部分では離型剤が存在するが、ある部分では離型剤が存在しない。用紙Pがニップ部から排出されるとき、離型剤が存在する部分は定着回転体から剥がれやすいが、離型剤が存在しない部分は剥がれづらくなる。すなわち、用紙Pの表面において、定着回転体からの剥がれやすさが一様ではない。剥がれづらい部分では、トナーが定着回転体表面に引っ張られることによって凸部を形成する。これにより、ニップ部を通過した後の用紙P上の画像の表面には、図2に示されるように凹凸が生じる。すなわち、画像の光沢度が下がる。
本実施の形態では、用紙上に形成される画像の光沢度を低下させるために、上記においてトナーAとして説明されたような離型剤含有量の高いトナーに加えて、トナーBとして説明されたような離型剤含有量の低いトナーを利用する。トナーBは、光沢度調整用のトナーであるため、染料、顔料等の着色材料を含まないことが好ましい。本明細書では、離型剤含有量の低い、光沢度調整用のトナーを、「無色トナー」ともいう。なお、無色トナーは、調整用トナーの一例である。また、「無色」とは、光沢調整用に、YMCKのトナーよりも着色材料の含有量が比較的低いことを意味するのであって、着色材料を全く含むことを排除することを意味するものではない。
図3は、無色トナーの付与量と形成された画像の光沢度の関係の一例を模式的に示す図である。無色トナーの付与量とは、たとえば、用紙において画像が形成される単位面積当たりで当該用紙上に付与される量である。
図3に示されるように、無色トナーの付与量D1までは、付与量の増加に伴って画像の光沢度は低下する。一方、付与量D1を超えると、付与量の増加に伴って画像の光沢度が上昇する。すなわち、画像の光沢度は付与量D1で極小値を有する。
[画像形成装置の構成]
図4は、画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図5は、画像形成装置1の制御系の主要部を示すブロック図である。以下、図4および図5を参照して、画像形成装置1の構成を説明する。
画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置であって、たとえば、カラーコピー機またはMFP(Multi-Functional Peripheral)によって実現される。
画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト(第1転写部材)421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Pに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。画像形成装置1では、YMCKの4色のそれぞれに対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させる、タンデム方式が採用されている。画像形成装置1は、無色トナーを用紙P上に付与するためのユニットをさらに含む。
図5に主に示されるように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、通信部71、記憶部72及び制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブ等の記憶装置で構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。通信部71は、たとえばネットワークカード等の通信制御カードによって実現される。制御部100は、用紙Pに印字すべき画像のデータ(入力画像データ)を取得し、取得した入力画像データに基づいて用紙P上に画像を形成する。制御部100は、例えば外部の装置から送信された画像データを受信することで、入力画像データを取得する。
画像読取部10は、主に図4に示されるように、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等の要素を備える。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11が原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dを連続して原稿画像走査装置12に送り出すことにより、原稿画像走査装置12は、多数数の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面・画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示、を行う。操作部22は、ソフトウェアキーであってもよいし、ハードウェアキーであってもよいし、これらの組合せであってもよい。一例では、操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された入力画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成し、用紙上に無色トナーを付与するための、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、41CLR、中間転写ユニット42を備える。図4は、説明の便宜上、共通する構成要素を同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、K、又はCLRを添えて示す。図4では、無色トナー用の画像形成ユニット41CLRの構成要素についてのみ「412」等の符号が付され、その他の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。感光体ドラム413は、例えばドラム径が80[mm]のアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
現像装置412は、例えば二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナー(ワックスをトナー粒子内に含むオイルレストナー)を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。ローラー(駆動ローラー)423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Pへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
中間転写ベルト421への転写の後、用紙Pが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Pに二次転写される。具体的には、二次転写バイアスを二次転写ローラー424に印加し、用紙Pの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像が用紙Pに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着部60に向けて搬送される。
本実施の形態の画像形成装置1では、無色トナー用の画像形成ユニット41CLRは、他のトナー用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kよりも上流側に配置されている。これにより、無色トナーは、各色のトナーよりも中間転写ベルト421に近い位置に配置される。これにより、用紙Pへの二次転写後の画像では、無色トナーが他の色のトナーの上に配置される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
定着部60は、用紙Pのトナー像が形成されている面(定着面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Pの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源(図示略)等を備える。定着面側の部材に裏面側の支持部材が圧接されることにより、用紙Pが狭持される。このように用紙Pが挟持される部分を、適宜「ニップ部」という。定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Pをニップ部で加熱・加圧することにより、用紙Pにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
上側定着部60Aは、定着ベルト61、加熱ローラー62、上加圧ローラー63及び張架部材64を有する(ベルト加熱方式)。定着ベルト61は、定着面側部材であり、無端状のベルトであり、そして、加熱ローラー62と上加圧ローラー63と張架部材64(テンションローラー)とに所定のベルト張力(例えば、400[N])で張架されている。定着ベルト61は、下加圧ローラー65とともに、ニップ部を構成する。定着ベルト61は、定着回転体の一例である。下加圧ローラー65は、加圧回転体の一例である。
定着ベルト61は、トナー像が形成された用紙Pに接触して、当該トナー像を用紙Pに定着温度(例えば、160〜200[℃])で加熱定着する。ここで、定着温度とは、用紙P上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度であり、画像形成される用紙Pの紙種等によって異なる。
定着ベルト61は、たとえば、厚さが50μmのPI(ポリイミド)によって外径110mmの円筒状に構成された基材と、基材の表面(外周面)上に積層された弾性層と、弾性層の表面(外周面)上に積層された離型層とを有している。定着ベルト61は加熱ローラー62および上加圧ローラー63に所定のテンションで巻き掛けられることにより、水平方向に沿った長円形状になっている。定着ベルト61の弾性層は、厚さ200μmのシリコーンゴムによって構成されており、離型層は、厚さが30μmのPFAチューブ(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体のチューブ)によって構成されている。このような構成により、定着ベルトの熱容量は、比較的小さい。
加熱ローラー62は、定着ベルト61を加熱する。加熱ローラー62は、定着ベルト61を加熱する加熱源(ハロゲンヒーター)を内蔵している。加熱源の温度は、制御部100によって制御される。加熱源によって加熱ローラー62が加熱され、その結果、定着ベルト61が加熱される。
加熱ローラー62は、例えば円筒状の芯金の外周面(表面)にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コートが積層されており、外径が60mmになっている。芯金は、厚さが1mmのアルミニウム板によって構成されている。このような構成の加熱ローラー62の熱容量は、比較的小さい。
加熱ローラー62の内部には、電気−熱変換方式で加熱ローラーを加熱する複数のヒーターランプが設けられている。ヒーターランプのいずれか1つまたは複数によって加熱ローラー62が加熱されると、加熱ローラー62に巻き掛けられて走行する定着ベルト61が加熱され、加熱された定着ベルト61によって、定着ニップ(ニップ部)を通過する用紙Pが加熱される。ヒーターランプは、例えばハロゲンヒーターランプによって構成されており、加熱ローラー62の軸心を中心とした一定半径の円周上に、それぞれが周方向に等しい間隔をあけた状態で、加熱ローラー62の軸心に沿って配置されている。ヒーターランプの定格電力は、たとえば計1500Wである。
ヒーターランプは、電力が供給されることによって点灯(発熱)状態になり、供給される電力にほぼ比例した発熱量で加熱ローラー62を加熱する。複数のヒーターランプは、たとえば290mmという同じ長さを有する。複数のヒーターランプのそれぞれでは、定着ベルト61における幅方向(用紙の搬送方向に直交する方向)の両側の各端部での定着性を確保するために、長手方向の両側の各端部における配光(光の強度、加熱強度に相当)が、長手方向の中央部における配光よりも大きくなっている。本実施形態では、ヒーターランプのそれぞれの両側の各端部における20mmの長さの部分の配光は、両側の端部以外の長さ250mmの中央部の配光を100%とすると、それぞれ115%になっている。
加熱ローラー62の近傍には、定着ベルト61の表面温度を検出する温度センサー(図示略)が設けられている。温度センサーは、定着ベルト61における走行方向の上流側部分に対向して配置されている。温度センサーとしては、たとえば非接触サーミスターが使用される。
上加圧ローラー63は、定着部60における主駆動源(図示略)により駆動回転する下加圧ローラー65に定着ベルト61を介して圧接される。下側定着部60Bは、例えば裏面側支持部材である下加圧ローラー65を有する(ローラー加圧方式)。制御部100は、主駆動源(駆動モーター)を制御して、下加圧ローラー65を反時計回り方向に回転させる。駆動モーターの駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、周速度等)は、制御部100によって行われる。下加圧ローラー65には、ハロゲンヒーター等の加熱源(図示略)が内蔵されている。この加熱源が発熱することにより、下加圧ローラー65は加熱される。制御部100は、加熱源に供給する電力を制御し、下加圧ローラー65を所定温度(例えば、80〜120[℃])に制御する。
上加圧ローラー63は、たとえば、アルミニウム製(直径30mm)の芯金と、芯金の外周面(表面)上に15mmの厚さで積層された弾性層とを有している。弾性層は、たとえばJIS A硬度10度のシリコーンゴムによって構成されている。上加圧ローラー63がこのように軟らかい弾性層を有することによって、下加圧ローラー65と圧接した時にニップ部で大きく変形して、ニップ部が定着用に十分な面積を持ち得る。
下加圧ローラー65は、定着ベルト61を介して上加圧ローラー63に所定の定着荷重(例えば、2650[N])で圧接される。このようにして、定着ベルト61と下加圧ローラー65との間には、用紙Pを狭持して搬送する定着ニップが形成される。下加圧ローラー65が駆動回転すると、定着ベルト61が時計回り方向に従動回転する。これに伴い、上加圧ローラー63は、時計回り方向に従動回転する。張架部材64は、時計回り方向に従動回転する。
下加圧ローラー65は、たとえば、アルミニウム製(厚さ5mm)の芯金と、芯金の外周面(表面)上に積層された弾性層と、弾性層の外周面(表面)上に積層された離型層(図示していない)とを有している。弾性層はシリコーンゴムによって構成されている。離型層は、例えば厚さが30μmのPFAチューブによって構成されている。このように、下加圧ローラー65は、厚さ5mmのアルミニウム製の芯金を有することによって高剛性に構成されており、しかも、定着ベルトよりも大きな熱容量になっている。下加圧ローラー65は、長手方向中央部になるほど径が小さい、いわゆる逆クラウン形状を有する。端部の外形をD1、中央部の外形をD2としたときに両者の差分を逆クラウン量とする。逆クラウン量は0.1〜0.8mm程度に設定される。下加圧ローラー65は、駆動部によって、所定の表面速度で回転される。
定着部60は、上加圧ローラー63を回転させる駆動源と下加圧ローラー65を回転させる駆動源とを有している。これら駆動源としては、たとえば、一般的な交流モーターやDCブラシレスモーターが使用され得る。DCブラシレスモーターは構造的には交流モーターの永久磁石式同期モーターと類似の構成を有し、回転子に永久磁石を使用し、回転子の回転位置をホール素子などでセンシングして参照して回転磁界を発生しこれをコントロールすることで、トルクや速度が制御され得る。これらの駆動源には、駆動制御装置が接続されており、駆動制御装置によって速度等が制御され得る。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙P(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Pは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Pの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Pの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Pは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。なお、機外に排紙された用紙は、例えば、排紙トレイ(図示略)上に排紙される。また、複数の用紙に対して連続的に画像形成を行う連続印刷時においては、機外に排紙された複数の用紙が排紙トレイ上に積載される。
[設定テーブル]
図6は、光沢度の設定に対応する無色トナーの付与量を規定する設定テーブルの内容の一例を示す図である。当該設定テーブルを特定する情報は、CPU101がアクセス可能な記憶装置(たとえば、記憶部72)に格納される。
図6に示されるように、設定される光沢度が低くなるほど、無色トナーの付与量が大きくなる。一例では、設定テーブルは、設定される光沢度として、図3に示されたような極小値までの光沢度を含む。この場合、設定テーブルにおいて規定される無色トナーの付与量の最大値は、極小値の光沢度の対応する値以下の値となる。
[処理の流れ]
図7は、用紙に光沢度の設定に応じた態様で無色トナーを付与するための処理のフローチャートである。図7の処理は、画像形成装置1が用紙Pへの画像の形成の指示を受けたことによって開始され、たとえばCPU101が所与のプログラムを実行することによって実現される。図7を参照して、当該処理の流れを説明する。なお、当該処理は、所与の処理(たとえば、画像形成処理)の一部として構成されてもよい。
ステップS10にて、CPU101は、用紙P上に形成される画像についての光沢度の設定を取得する。一例では、当該設定はプリントジョブの記述に含まれ、CPU101は、プリントジョブから設定度を読み出すことによってステップS10の制御を実現する。
ステップS20にて、CPU101は、設定テーブルから、ステップS10において取得した光沢度に対応する無色トナーの付与量を取得する。
ステップS30にて、CPU101は、ステップS20にて取得した付与量に従って画像形成ユニット41CLRを制御することにより、当該付与量の無色トナーを用紙P上に付与する。一例では、CPU101は、画像形成ユニット41CLRの電荷発生層で発生する正電荷の大きさを、無色トナーの付与量に対応するように制御する。
[変形例]
画像形成装置1が画像形成する色の数は、図4に記載されたものに限定されない。図8は、画像形成部40の要部の変形例を示す図である。
図8の例では、画像形成部40は、4種類の画像形成ユニット41CLR,41Y,41M,41Cを含む。すなわち、図8の例では、画像形成装置1が出力できる色は3種類(Y,M,C)である。このような画像形成装置1においても、無色トナーの画像形成ユニット41CLRは、当該3種類の色の画像形成ユニット41Y,41M,41Cよりも上流側に配置されている。これにより、無色トナーが、3種類の色(Y,M,C)のトナーの上に付与され得る。
[実施例]
(トナーの製造例)
<樹脂分散液の製造例1>
テレフタル酸85質量部、トリメリット酸6質量部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物250質量部、を、撹拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、チタンテトラブトキサイド0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下で約180℃で8時間撹拌反応を行った。更にチタンテトラブトキサイド0.2質量部を添加し温度を約220℃に上げ6時間撹拌反応を行った後、反応容器内を10mmHgまで減圧し、減圧下で反応を行いポリエステル樹脂〔A1〕を得た。
ポリエステル樹脂〔A1〕のガラス転移点(Tg)は59℃、重量平均分子量(Mw)は9,000であった。
非晶性ポリエステル樹脂〔A1〕200質量部を酢酸エチル200質量部に溶解し、この溶液を撹拌しながら、イオン交換水800質量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを濃度が1質量%になるよう溶解させた水溶液をゆっくりと滴下した。この溶液を減圧下、酢酸エチルを除去した後、アンモニアでpHを8.5に調整した。その後、固形分濃度を20質量%に調整した。これにより、水系媒体中にポリエステル樹脂〔A1〕の微粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂〔A1〕の微粒子の分散液を調製した。
<樹脂分散液の製造例2>
ドデカン二酸315質量部、1,6−ヘキサンジオール220質量部を、撹拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、チタンテトラブトキサイド0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下で約180℃で8時間撹拌反応を行った。更にチタンテトラブトキサイド0.2質量部を添加し温度を約220℃に上げ6時間撹拌反応を行った後、反応容器内を10mmHgまで減圧し、減圧下で反応を行いポリエステル樹脂〔B1〕を得た。
ポリエステル樹脂〔B1〕の融点(Tm)は72℃、重量平均分子量(Mw)は14,000であった。
ポリエステル樹脂〔B1〕を溶剤に溶解させ、アンモニア水を加え、その後イオン交換水を滴下して転相乳化法によりポリエステル樹脂溶液〔B1〕を得た。ポリエステル樹脂溶液〔B1〕の固形分濃度は20%であった。
<ワックス分散液の調整例>
エステル系ワックス(融点:73℃)200質量部を95℃に加温し溶融させた。これを、更にアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムが3質量%の濃度となるようイオン交換水800質量部に溶解させた界面活性剤水溶液に投入した後、超音波ホモジナイザーを用いて分散処理を行った。固形分濃度は20質量%に調整した。これにより、水系媒体中にワックスの微粒子が分散されたワックス分散液を調製した。
<着色剤分散液の製造例>
ドデシル硫酸ナトリウム90重量部をイオン交換水1600重量部に撹拌、溶解し、この溶液を撹拌しながら、シアン顔料である銅フタロシアニン420重量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置を用いて分散処理することにより、着色剤分散液Cを調整した。
同様に着色剤分散液1の顔料をマゼンタ顔料であるカーミン6B(PR57:1)に変更して着色剤分散液Mを調製した。
同様に着色剤分散液1の顔料をイエロー顔料であるPY−180に変更して着色剤分散液Yを調製した。
<シアントナー>
ポリエステル樹脂〔A1〕分散液300質量部、ポリエステル樹脂〔B1〕分散液100質量部、ワックス分散液70質量部、着色剤分散液C41.3質量部、イオン交換水225質量部およびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム2.5質量部を、撹拌機、冷却管、温度計を備えた反応容器に投入し、撹拌しながら0.1Nの塩酸を加えてpHを2.5に調整した。
次いで、ポリ塩化アルミニウム水溶液(AlCl3換算で10%水溶液)0.3質量部を10分間かけて滴下した後、撹拌しつつ内温を60℃まで昇温した。更に徐々に75℃まで昇温を行い、内温を75℃に維持し、コールターカウンターで測定を行い、平均粒径が6μm台に到達した所で3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム水溶液(40%水溶液)2質量部を加えて、粒径成長を停止し内温を85℃まで昇温し「FPIA−2000」を用いて測定した形状係数が0.96になった時点で、10℃/minの速度で室温まで冷却した。この反応液を、濾過、洗浄を繰り返した後、乾燥することにより、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)1質量%および疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合し、その後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去することにより、シアントナーを得た。
シアントナーの体積基準のメジアン径は6.10μm、平均円形度は0.965であった。
<マゼンタトナー,イエロートナー>
上記シアントナーの製造方法において、着色剤分散液Cの代わりに、着色剤分散液M、着色剤分散液Yのそれぞれを使用することによって、マゼンタトナー,イエロートナーのそれぞれを生成した。
<無色トナー(1)>
上記シアントナーの製造方法において、ワックス分散液および着色剤分散液のみの使用を省略して、無色トナー(1)を生成した。
<無色トナー(2)>
上記シアントナーの製造方法において、ワックス分散液の量を15部(シアントナーの製造において用いられた量の1/5)に変更し、着色剤分散液の使用を省略することにより、無色トナー(2)を生成した。
(制御例)
以下、具体的な制御態様の例として、制御例(1)および制御例(2)を説明する。
制御例(1)および制御例(2)ではbizhub PRESS C1070(コニカミノルタ製)を用いた。bizhub PRESS C1070の画像形成部40は、たとえば図11を参照して説明された構成を有する。すなわち、bizhub PRESS C1070では、用紙P上に、用紙Pに近いほうから、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、無色トナーの順でトナーが付与される。すなわち、無色トナーが用紙Pから最も遠い位置に付与される。
制御例(1)では、無色トナーとしてワックスが全く含まれていないもの(無色トナー(1))を用いた。制御例(2)では、無色トナーとして、ワックスの含有量が有色トナーの含有量の1/5であるトナー(無色トナー(2))を用いた。用紙Pとして、三菱製紙社製の金菱紙(81.4g/m)を用いた。
制御例(1)と制御例(2)のそれぞれで、予備実験により無色トナー付与量と60度光沢度(以下、単に「光沢度」という)の関係を求め、狙いの光沢度の値から付与する無色トナーの量の関係を決める設定テーブルを生成した。図9は、制御例(1)において生成された設定テーブルを表わす図である。図10は、制御例(2)において生成された設定テーブルを表わす図である。無色トナーの量の単位はg/mである(以下同様)。
図9と図10のそれぞれの設定テーブルは、定着ベルト61の温度が190℃のものである。定着ベルト61の温度が違う場合には、定着ベルト61のそれぞれの温度毎に設定テーブルが用意されてもよい。また、弾性層の硬度など、定着ベルト61の種類が変更された場合には、それぞれの種類について設定テーブルが用意されてもよい。
なお、制御例(1)および制御例(2)では、付与する無色トナーの量の決定に「設定テーブル」が参照されたが、参照される情報の形態は「テーブル」である必要はない。他の形態の一例は、無色トナーの量をT、狙いの光沢度をGとしたときの関数T=f(G)であってもよい。f(G)は、例えばGの2次関数であってもよい。
図9および図10に戻って、これらの図には、さらに検証結果として、出力された画像の光沢度が示されている。図9および図10に示された出力画像光沢度は、シアンとマゼンタによるブルーベタ画像の上にテーブル通りの量の無色トナーを付与して定着した後の画像の光沢度の測定値である。
図9および図10のいずれの例においても、出力画像光沢度の値は、設定光沢度の値と同じまたは近い値である。このことから、制御例(1)および制御例(2)のいずれにおいても、ほぼ狙い通りの光沢度が実現されることが確認された。
制御例(1)と制御例(2)とを比較すると、制御例(1)では、光沢度を11に調整するのに必要とされた付与量は1(g/m)あったのに対し、制御例(2)では、2.5(g/m)あった。このことから、ワックスが含まれない無色トナーを使用した制御例(1)の方が、より少ない無色トナーの付与量で光沢度を大きく変化させられる、という知見が得られる。
したがって、無色トナーの消費量を減らすためには、無色トナーに含まれるワックスが少ないほうが有利である。ワックスが全く含まれないことがより望ましい。
図11は、制御例(1)について、無色トナーの付与量と光沢度の測定値に加えて、通紙不良が生じた枚数を示す図である。通紙不良とは、用紙Pが定着ベルト61に貼り付くことによる紙詰まりが生じたことを含む。図11には、10枚の画像形成において、通紙不良が発生した枚数が示される。なお、図11の例では、シアンとマゼンタによるブルーベタ画像の上に付与される無色トナー(1)の量が、上記の設定テーブルとは関係なく増やされている。光沢度の測定値は、正常に通紙された用紙P上に形成された画像の光沢度を表す。
図11に示された結果によれば、無色トナー(1)の付与量が増加すると、ある量から光沢度は下がらなくなり、その量から通紙不良が起こりやすくなることが確認される。このことから、無色トナーの付与量の最大値として、光沢度を下げる効果がある上限の値(光沢度の極小値)に対応する量が設定されることが望ましい。
図12は、制御例(1)において、有色のトナーが使用されなかったときの結果を示す図である。すなわち、図12の例では、無色トナーのみが用紙P上に付与された。通紙不良枚数は、各付与量において10枚の画像形成が行なわれたときに通紙不良が生じた枚数を表わす。光沢度は、正常に通紙された用紙P上に形成された画像の光沢度の測定値を表わす。
図12に示された結果によれば、有色トナーの画像部以外に無色トナーが付与された場合、わずかながら光沢度が上がること、さらに通紙不良も起こりやすくなる、という知見が得られる。このことから、無色トナーは、有色トナーが付与された部分(画像部)にのみ付与されることが望ましい。
(画像例)
図13は、無色トナーを使わずに出力した画像のイメージを表わす図である。図13に示された画像1300では、画像部の全ての部分において、光沢度は同じである。
図14は、無色トナーを利用して出力した画像のイメージを表わす図である。無色トナーを使用して光沢が調整されることにより、図14の画像1400では、画像の要素内で光沢が変更される。光沢の変更についてより具体的に説明する。
画像1400は、太陽1410と、山1420と、山1430とを含む。太陽1410は、光沢度50で出力される。山1420において、部分1421は光沢度20で出力され、部分1422は光沢度50で出力される。山1430において、部分1421は光沢度20で出力され、部分1422は光沢度50で出力される。
以上のように、図14の例では、同じ要素内でも、異なる光沢度で出力され得る。このような態様で画像を出力するためには、たとえば、部分ごとに、無色トナーの付与量が調整されればよい。
無色トナーの付与の方法は、用紙がニップ部において加熱・加圧される前に無色トナーが付与されるのであれば、図4等において説明されたような電子写真方式に限定されない。一方で、図14に示されたように、画像の要素内の正確な位置に無色トナーを付与するためには、無色トナーは、電子写真方式で付与されることが好ましい。
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
1 画像形成装置、30 画像処理部、40 画像形成部、41,41C,41CLR,41M,41Y 画像形成ユニット、42 中間転写ユニット、50 用紙搬送部、51 給紙部、53 搬送経路部、60 定着部、60A 上側定着部、60B 下側定着部、61 定着ベルト、62 加熱ローラー、63 上加圧ローラー、64 張架部材、65 下加圧ローラー、411 露光装置、412 現像装置、413 感光体ドラム、414 帯電装置、415 ドラムクリーニング装置、421 中間転写ベルト、422 一次転写ローラー、423 支持ローラー、423A ローラー、423B バックアップローラー、424 二次転写ローラー、426 ベルトクリーニング装置。

Claims (7)

  1. 電子写真方式の画像形成装置によって形成される画像の光沢を調整する方法であって、
    離型剤を含む有色トナーを用いて、記録媒体上に画像を形成するステップと、
    前記記録媒体上の前記画像の表面に、離型剤の含有量が前記有色トナーよりも低い調整用トナーを付与するステップと、
    前記調整用トナーを付与された前記画像を、定着回転体と加圧回転体とによって構成されるニップ部で加熱するステップと、を備える、光沢調整方法。
  2. 画像の光沢の設定を取得するステップをさらに備え、
    前記調整用トナーを付与するステップは、前記調整用トナーの付与量を前記設定に従って調整することを含む、請求項1に記載の光沢調整方法。
  3. 前記調整用トナーを付与するステップにおいて、前記調整用トナーの付与量の最大値は、前記調整用トナーの付与量に対する画像の光沢度の変化の極小値に対応する付与量である、請求項2に記載の光沢調整方法。
  4. 前記調整用トナーを付与するステップは、前記有色トナーが付与された位置にのみ前記調整用トナーを付与することを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光沢調整方法。
  5. 前記調整用トナーを付与するステップは、電子写真方式で前記調整用トナーを付与することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光沢調整方法。
  6. 前記調整用トナーは、離型剤を含まないトナーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光沢調整方法。
  7. 電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置であって、
    前記画像は離型剤を含む有色トナーを用いて形成され、
    定着回転体と加圧回転体とによって構成されるニップ部で前記画像が形成された記録媒体を加熱する加熱部と、
    前記ニップ部に突入する前の前記記録媒体上の前記画像の表面に、離型剤の含有量が前記有色トナーよりも低い調整用トナーを付与する調整用トナー付与部と、
    前記調整用トナー付与部による前記調整用トナーの付与量を前記画像の光沢度の設定に従って調整する制御部と、を備える画像形成装置。
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