以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。なお、各図面において同一の符号を付したものは、同一の構成又は作用をなすものであり、これらについての重複説明は適宜省略した。
図1に画像形成装置の一例を示す。図1では、1個の像担持体1と、像担持体1の周囲に備えられた複数の現像器4(現像器41〜46)を搭載したロータリ4Aを使用した電子写真方式のカラープリンタ(以下「画像形成装置」という)を例示している。
まず図1を用いて電子写真式の画像形成装置の概略構成について説明する。画像形成装置10は、デジタルカラー画像プリンタ部(以下「プリンタ部」という)Aと、プリンタ部Aの上部に設けられたデジタルカラー画像リーダ部(以下「リーダ部」という)Bと、を有している。
プリンタ部Aには、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という)1が矢印方向に回転可能に配設されている。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、帯電手段としての一次帯電器2、露光手段としてのレーザ露光光学系3、現像手段としての現像装置4、中間転写体としての中間転写ベルト5、クリーニング手段としてのクリーニング装置6等が配設されている。これらの部材により、記録材に複数色のトナー画像を形成可能な画像形成手段を構成している。
上述の現像装置4は、回転自在なロータリ4Aと、これに搭載された複数の現像器を有している。ここでは、複数の現像器として、6個の現像器41〜46を例示している。この6個の現像器4には、現像剤として濃シアントナーが収容されたシアン現像器41、濃マゼンタトナーが収容されたマゼンタ現像器42、イエロートナーが収容されたイエロー現像器43、ブラックトナーが収容されたブラック現像器44、淡シアントナーが収容された淡シアン現像器45、淡マゼンタトナーが収容された淡マゼンタ現像器46がある。
つまり、本例の画像形成装置は、マゼンタ、シアンについて、同一色相で明度の異なる組み合わせを有している。すなわち、明度の低いトナー(濃色トナー)として、濃マゼンタ、濃シアンと、明度の高いトナー(淡色トナー)として、淡マゼンタ、淡シアンをそれぞれ収容した濃色トナー現像器41、42と、淡色トナー現像器45、46との2種類を具備している。ここでは、同一色相で明度の異なる組み合わせのない、イエロー現像器43とブラックトナー現像器44も濃色トナー現像器とする。
尚、同一色相で明度の異なるトナーとは、通常、樹脂と発色成分(顔料)とを基体とするトナーの中に含まれる発色成分(顔料)の分光特性が等しく、その量が異なるトナーをいう。明度の高いトナーとは、同一色相で明度の異なるトナーの組み合わせの中、濃度が相対的に低い方のものをいう。
又、同一色相とは、上述のように、発色成分(顔料)の分光特性が同一であるものを言うが、厳密に同一でなくても、一般的にマゼンタ、シアン、イエロー、ブラック等のように、通常の色概念上同一色と呼べる範囲とする。
同一色相で明度の高いトナーは記録材上でのトナー量が0.6mg/cm2につき、定着後の光学濃度が1.0未満であり、低いトナーとは記録材上でのトナー量が0.6mg/cm2につき、定着後の光学濃度が1.0以上である。
本例では、濃色トナーである、濃シアン、濃マゼンタ、イエロー、ブラックは、トナーの記録材上での載り量が0.6mg/cm2の際に定着後光学濃度が1.8となるように顔料の量を調整している。又、淡色トナーである、淡シアン、淡マゼンタは載り量0.6mg/cm2で定着後の光学濃度が0.9となるように設計されている。この濃淡2種類のトナーをうまく混合させて、それぞれの色のトナーの階調を再現している。
又、前記各現像器41〜46に収容されている現像剤は、トナーとキャリアを混合させて用いる二成分現像剤であるが、トナーのみの一成分現像剤でも問題はない。又、トナーの種類として、明度の異なる組み合わせをシアンとマゼンタの2色に関して備えているが、その2種類に限るわけではなく、シアンのみ、マゼンタのみ、イエローのみ等でも、全色に明度の異なる組み合わせを備えてもかまわない。つまり、どの色相に明度の異なる組み合わせを備えても良い。又、それにより、現像器の数は本例では6個であるが、これに限るものではない。
上述の中間転写ベルト5は、駆動ローラ51、テンションローラ52,54、二次転写対向ローラ53に掛け渡されている。また、中間転写ベルト5の内側には、中間転写ベルト5を感光ドラム1に押圧する一次転写ローラ50が配設されている。また、中間転写ベルト5の外側の二次転写対向ローラ53に対向する位置には二次転写ローラ55が配設されている。
また、プリンタ部Aの下部には、画像形成対象となる記録材の搬送方向に沿って、その上流側から順に、給送カセット11,12,13、給送ローラ14,15,16、搬送ローラ17,18,19、レジストローラ20が配設されている。更に、ローラ22,23に掛け渡された搬送ベルト21、第1の画像加熱手段としての熱ローラ定着装置9、排出ローラ24などが配設されている。熱ローラ定着装置9は、定着ローラ91と加圧ローラ92と定着ローラクリーナ93が配設されている。また、プリンタ部Aには、両面搬送パス25、手差しトレイ26、給送ローラ27などが配設されている。
リーダ部Bには、原稿台ガラス31、原稿押圧板32、露光ランプ33、反射ミラー34,35,36、レンズ37、フルカラーCCDセンサ38等が配設されている。
上記画像形成装置において、画像形成時には、リーダ部Bにおいて、原稿をその画像面を下方に向けた状態で原稿台ガラス31上に載せ、原稿押圧板32で押圧する。この原稿の画像面を露光ランプ33により露光走査する。原稿からの反射光像をレンズ37によりフルカラーCCDセンサ38に集光し、カラー色分解画像信号を得る。カラー色分解画像信号は増幅回路(不図示)を経て、ビデオ処理ユニット(不図示)にて画像処理を施され画像メモリ(不図示)を介してプリンタ部Aに送出される。
プリンタ部Aには、リーダ部Bからの信号のほか、外部機器としてのコンピュータからの画像信号、FAXからの画像信号なども同様に送出されてくる。
ここでは、その代表としてリーダ部Bからの信号に基づくプリンタ部Aの動作を説明する。
画像形成時に感光ドラム1は、駆動手段(不図示)によって矢印方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動され、その表面が一次帯電器2によって所定の極性・電位に一様に帯電される(帯電工程)。
帯電後の感光ドラム1表面は、レーザ露光光学系3によって静電潜像が形成される。リーダ部Bからの画像信号は、レーザ出力部(不図示)にて光信号に変換される。光信号に変換されたレーザ光はポリゴンミラー3aで反射され、レンズ3b及び各反射ミラー3cを経て帯電後の感光ドラム1表面に照射される。これにより、それぞれの分解色毎に、レーザ露光光学系3により露光し、感光ドラム1上に静電潜像を形成する(露光工程)。
次に、ロータリ4Aを回転させ、所定の現像器を感光ドラム1上の現像位置に移動させる。そして、その現像位置における現像器を作動させて、感光ドラム1上の潜像を現像し、感光ドラム1上に樹脂と顔料を基体とした現像剤像(トナー像)を形成する(現像工程)。
なお、各現像器内のトナーは、図1に示すようにレーザ露光光学系3上部に配置された各色毎のトナー収容部(ホッパー)61〜66から各現像器41〜46内のトナー比率(又はトナー量)を一定に保つように所望のタイミングにて随時補給される。また、感光ドラム1上には、濃度検知手段であるフォトセンサ70が配置され、感光ドラム1上のトナー量を検知することが可能となっている。
こうして感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ50により、中間転写ベルト5上に一次転写される(一次転写工程)。トナー像転写後の感光ドラム1は、表面に残ったトナー(残留トナー)がクリーニング装置6によって除去され(クリーニング工程)、次の色の画像形成に供される。前述した帯電、露光、現像、一次転写、クリーニングの各画像形成プロセスを、6色の中から必要色について同様に繰り返す。これにより、中間転写ベルト5上で複数色のトナー像が重ね合わされる。
こうして中間転写ベルト5上で重ね合わされたトナー像は、二次転写ローラ55によって記録材上に一括して二次転写される(二次転写工程)。記録材は、給送カセット11〜13から選択的に給送され、レジストローラ20によって中間転写ベルト5上のトナー像とタイミングを合わせるようにして、中間転写ベルト5と二次転写ローラ55との間の二次転写部に供給される。トナー像転写後の中間転写ベルト5は、表面に残ったトナー(残留トナー)がベルトクリーナ56によって除去されて、次の一次転写工程に供される。
なお、中間転写ベルト5において、従動ローラ52の対向には、感光ドラム1から転写された画像の位置ズレおよび濃度の検知を行う検知センサ57が配置されている。そして、検知センサ57の検知結果により画像形成装置本体制御部(不図示)にて、随時画像濃度、トナー補給量、画像書き込みタイミング、及び画像書き込み開始位置等に対して補正を行っている。
前述の如き工程を経てトナー像が転写された記録材は、搬送ベルト21によって第1の画像加熱手段としての熱ローラ定着装置9に搬送される。記録材は、熱ローラ定着装置9において、定着ローラ(加熱回転体)91とこれに押圧されている加圧ローラ(加圧回転体)92との間の定着ニップ部に供給されて加熱・加圧され、表面にトナー像が定着される。
また、記録材の両面に画像を形成する場合には、熱ローラ定着装置9を記録材が通過後すぐに搬送パスガイド(不図示)を駆動し、記録材を搬送パス28を経て反転パス29に一旦導く。その後、記録材を、反転ローラ30の逆転により、送り込まれた際の後端を先頭にして、送り込まれた方向と反対向きに退出させ、両面搬送パス25へと送る。その後、記録材は、両面搬送パス25を通過し、両面搬送ローラにて斜行補正とタイミング取りが行われ、所望のタイミングにてレジストローラ20へと搬送される。その後、再び上述した画像形成プロセスによってもう一方の面にトナー像が転写され、その後、定着される。これにより、記録材の両面に対する画像形成が終了する。
ここで、本画像形成装置の画像処理のブロック図を図3に示す。ここで、入力信号200は、前述したリーダ部Bからの画像信号である。なお、画像形成装置をプリンタやFAXとして使用する場合には、画像形成装置と通信ケーブルを介して接続されている外部機器としてのコンピュータやFAXからの画像信号がこの入力信号200に該当する。
この入力信号200はRGB信号とされており、ダイレクトマッピング部201に入力され、ここでRGBをYMCKの4色へ色分解する処理が行われる。
次に、ガンマ変換処理部202にて、このYMCKが濃シアン、濃マゼンタ、イエロー、淡シアン、淡マゼンタ、ブラックの6色へ色分解する処理が行われる。そして、ガンマ変換処理部202にて、この画像データが画像濃度に対応して信号変換される。
その後、ハーフトーン処理部203にてハーフトーン処理(具体的には、ディザ処理)が行われる。
このような前述の処理を経て、ハーフトーン処理部からの信号に基づきレーザドライバ204が駆動される。その結果、プリンタ部Aのレーザ露光光学系3により画像情報に応じた画像露光が行われる。
ここで、本画像形成装置での現像コントラスト電位(潜像電位と現像バイアス電圧の直流成分値との差分)を横軸にとり、縦軸に光学濃度をとったいわゆるガンマ特性は図4に示すようになっている。具体的には、前述したように、濃シアン、濃マゼンタ、イエローはトナー量0.6mg/cm2で濃度1.8となるように調整されている。また、淡シアン、淡マゼンタはトナー量0.6mg/cm2で濃度0.9となるように調整されている。
ここで、同一色相で明度の異なるトナー(すなわち濃色、淡色トナー)を用いた色処理について説明する。図5において、横軸は上述した入力信号200の入力信号レベルに対応し、縦軸はガンマ変換処理部202から出力される出力信号の出力信号レベルに対応している。
図5は、シアンの入力信号が0〜255(8bit)での濃、淡の出力比率を示している。マゼンタに関してもほぼ同様の濃淡比率で画像形成を行っている。このような信号出力を行うことで、シアン、マゼンタ成分に関して濃度の明るい部分では淡色トナーのみで形成され、濃度の濃い部分(中間調濃度よりも濃い部分)で淡色トナーに濃色トナーが混在する形で出力される。なお、濃度の明るい部分では淡色トナーをメインに濃色トナーをサブ的に使用し、一方、濃度の濃い部分(中間調濃度よりも濃い部分)では濃色トナーをメインに淡色トナーをサブ的に使用する構成としても構わない。
このように、濃度の明るい部分を淡色トナーのみで構成することにより、粒状度の悪化要因となる周期性を持った中間調のディザ処理を行ったとしても、各々の画素が明るいため、その周期性を視認しにくい。また、中間調となる濃度よりも濃い部分ではトナーの載り量が多くなる(ベタ出力となる)ため、粒状度の悪化要因となる周期性が無くなる。
以上の理由から、従来の濃色トナーだけでなく、同一色相で明度の異なる淡色トナーを組み合わせて使用することにより、周期性が視認されにくくなり、粒状性が向上(低減)するのである。
前述したように、同一色相で明度の異なるトナー(すなわち濃色、淡色トナー)を用いた色処理を行うことで、出力画像濃度が1.0までのプロセスグレー画像部において粒状度Rを0.5〜4.0で再現することが可能となっている。
なお、プロセスグレー画像部とは、上述の入力信号のうちR(レッド)信号とG(グリーン)信号とB(ブルー)信号が等しい場合に形成される画像部を意味している。また、プロセスグレーとなる画像部は、ブラックトナーを用いること無く、イエロー色、マゼンタ色、シアン色の3色のトナーを用いて形成された黒画像部となる。つまり、出力画像濃度が1.0となるまでの低濃度域のプロセスグレー画像部は、淡トナーをメインに用いて形成された黒画像部である。本例では、出力画像濃度が1.0となるまでの低濃度域のプロセスグレー画像部は、(濃)イエロートナー、淡マゼンタトナー、淡シアントナーの3種類のトナーを用いて形成された黒画像部である。
ここでいう周期性とは、一般にAMスクリーンと呼ばれる、振幅変調型の中間調処理により発生するスクリーン線数のような形で周期化されるパターンを言う。FMスクリーンというような周波数変調型の中間調処理には、前述の周期性は見られないことが多い。
更に、本例の画像形成装置には、図1に示すように、表面に熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を設けた記録材に画像形成する際に使用されるベルト定着装置110を備えたオプションユニット100が着脱自在に装着されている。
即ち、図1のように、画像形成装置にオプションユニット100が搭載された場合には、以下のような電子写真画像形成システム(画質向上システム)が構築されることになる。つまり、前述した第1の画像加熱手段としての熱ローラ定着装置9と、後述する第2の画像加熱手段としてのベルト定着装置110が搭載された画像形成システム(画質向上システム)が構築されることになる。
ここで、ベルト定着装置110を備えたオプションユニット100の詳細について説明する。
オプションユニット100には、ベルト定着装置110の他に、切替ガイド101が配置されている。この切替ガイド101は、熱ローラ定着装置9にて定着処理された記録材を、オプションユニット100の上面に設けられた排出トレイ102に向けてそのまま搬送するか、ベルト定着装置110に向けて搬送するかを切り替える。またオプションユニット100の側面には、ベルト定着装置110にて定着処理された記録材を載置する排出トレイ103が配置されている。その他、記録材を搬送するためのローラ対104,105,106が適所に配置されている。
図2に第2の画像加熱手段としてのベルト定着装置110(光沢向上装置とも呼ぶ)の模式断面図を示す。
ベルト定着装置110は、記録材上のトナー像を加熱するエンドレスベルトとしての定着ベルト114と、このベルト114を加熱する加熱手段と、を有している。
本例では加熱手段として、熱源を有する加熱回転体としての加熱ローラ111を有する構成としている。本例ではこの熱源として加熱ローラに内蔵されたハロゲンランプを使用しているが、他の熱源を使用しても構わない。
この加熱ローラ111は、ベルト114を駆動する駆動ローラとしての機能も有しており、駆動源から周速が50mm/secとなるように駆動ギア列を介して駆動力が入力される構成とされている。従って、熱ローラ定着装置9による記録材搬送速度が300mm/secであるのに対し、ベルト定着装置110による記録材搬送速度はこれよりも十分に遅い50mm/secとなっている。その結果、後述するように、ベルト定着装置110では、トナー受容層を備えた記録材に対し、機外に排出するには十分な程度にトナー像の定着が行われるような定着条件に設定されている。
また、ベルト定着装置110は、加熱ローラ111から所定間隔を保ち配設された分離ローラ112を有している。そして、この2本のローラ111,112間に定着ベルト114を懸回張設してある。なお、分離ローラ112は定着ベルト114に所定の張力を与えるテンションローラの機能も兼ねている。
定着ベルト114を挟んで加熱ローラ111の対向位置には、加圧回転体としての加圧ローラ115が圧接されている。
また、定着ベルト114の内側で、加熱ローラ111と分離ローラ112との間に、定着ベルト114に密着したまま共に移動する記録材を強制的に冷却するための冷却手段としての冷却ファン116、冷却ダクト121が設けられている。この冷却ダクト121には定着ベルト裏面と摺動する冷却フィン121aが設けられている。定着ベルト114に密着したまま共に移動する記録材は、冷却手段により十分に冷却された後、分離ローラ112と対向した分離位置にて定着ベルト114から分離される。
加熱ローラ111は、同心円状に3層構造を採用しており、コア部分、弾性層、離型層を有している。このコア部分は直径44mm、厚さ5mmのアルミニウム製中空パイプにより構成される。弾性層はJIS−A硬度50度、厚さ300μmのシリコンゴムにより構成される。離型層は厚さ50μmのPFAにより構成される。コア部分の中空パイプ内部には、熱源(ローラ加熱ヒータ)としてのハロゲンランプ117が配設されている。なお、熱源としてはハロゲンヒータに限らず、加熱ローラを励磁コイルから生じた磁束により電磁誘導加熱する構成のものを採用しても構わない。
加圧ローラ115もほぼ同様の構成を採用している。弾性層は厚さ3mmのシリコンゴムを用いる。これは、弾性層により第2加熱ニップ部N2の幅(記録材搬送方向の長さ)を稼ぐためである。加圧ローラ115のコア部分の中空パイプ内部にも、熱源(ローラ加熱ヒータ)としてのハロゲンランプ118が配設されている。
加熱ローラ111と加圧ローラ115は定着ベルト114を挟んで所定の押圧力で圧接させて記録材搬送方向において所定幅の加熱・加圧部としての第2加熱ニップ部N2を形成している。ここでは、加圧ローラ115による加熱ローラ111への加圧力は、総圧で490N(50kgf)に設定している。このときの加熱ニップ部Nの幅(記録材搬送方向の長さ)は5mmであった。
定着ベルト114は、記録材に形成された画像と密着するベルト表面が、高光沢画像を形成するために鏡面状とされている。つまり、定着ベルト114は光沢ベルトと呼ぶこともできる。具体的には、本例の定着ベルト114は、記録材の画像面が密着されるベルト面の光沢度が60以上である(光沢度の測定方法は後述する方法に準ずる)。
また本例の定着ベルト114は、ポリイミド樹脂の上にシリコンゴムを弾性層として持ち、その上に離型層としてポリイミドシリコン樹脂を皮膜してなる。
本例では、冷却ファン116が作動することにより冷却ダクト121内を流れる冷却風によって、定着ベルト114を冷却する構成とされている。その結果、定着ベルト114に密着したまま共に移動する記録材(トナー像)が十分に強制的に冷却される。なお、冷却手段としては、上述の冷却フィンを使用する構成に限らず、定着ベルトに非接触で冷却する冷却ファンのみの構成であっても良い。また定着ベルトに接触して冷却する、ペルチェ素子、ヒートパイプ、水の循環型冷却装置を用いても良い。
このような冷却分離定着方式を採用したベルト定着装置に用いられる記録材は、紙製の基層の上にトナー受容層となる熱可塑性樹脂をコーティングした記録材(レジンコートペーパーなど)とされる。以下、これをフォトメディアと呼ぶ。
本例で使用した記録材は、紙製の基層上にポリエチレン樹脂を塗工し、更にその上にトナーと相溶性の良い樹脂を塗工してなる。このトナーと相容性の良い樹脂としてはトナーの主成分と同じポリエステル樹脂を採用している。このポリエステル樹脂の量は約15g/m2で、記録材全体の坪量として200g/m2としてなる。この記録材のトナー受容層はトナーと相容性があり、ベルト定着装置110による加熱によりトナーと共に軟化(溶融)する性質を有している。本例では、トナー受容層の樹脂を、トナーを構成する樹脂と同じポリエステル樹脂を採用している。そして、本例の記録材のトナー受容層が、熱可塑性樹脂を有する5μm以上30μm以下の透明樹脂層となっている。つまり、形成画像に影響の無いようにトナー受容層は透明化されている。
従って、ベルト定着装置110による加熱及び加圧時に、トナーと共にトナー受容層が軟化しトナー像がトナー受容層に埋め込まれる。そして、トナー像がトナー受容層に埋め込まれた記録材は、定着ベルトに密着されたままの状態でトナー像が十分に冷却された後、定着ベルトから分離される。その結果、記録材の画像面が定着ベルトの鏡面状のベルト面にならって平滑性が良好になり、記録材の画像の光沢度を向上させることが可能となる。
なお、本例では、画像の光沢度とは、画像が形成された記録材(フォトメディア)の画像面の光沢度を指す。つまり、銀塩写真並みに光沢度が高くなるということは、フォトメディアの画像面の中でトナーのある部分と無い部分とで段差がほとんど無くなっている状態と同義である。
このようなフォトメディアを用いた画像形成にベルト定着装置が用いられる理由は、冷却装置が必要なためである。
つまり、トナー像をトナー受容層に埋め込むために必要な熱量を熱ローラ定着装置で供給した場合、記録材表面の樹脂が溶けて粘性が高くなるため、加熱ローラとの付着力が増して加熱ローラから分離しなくなってしまう。
したがって、フォトメディアが熱ローラ定着装置から分離するように熱ローラ定着装置の定着条件を決定し、その後、ベルト定着装置110へ搬送して、加熱、冷却を行い、分離する必要がある。
しかしながら、熱ローラ定着装置において、フォトメディアが分離する条件であっても、トナーの溶融状態が変化し、ベルト定着装置での定着後の画像も変化することがわかった。さらに詳しく説明すると、熱ローラ定着装置において、加熱・加圧し過ぎると、記録材のトナー受容層が温まる前に、記録材上のトナー層が温まるため、図6(b)に示すようにトナー層tはトナー受容層に埋め込まれる前に横方向に広がり過ぎてしまう。横方向に広がり過ぎるとトナー層tの高さムラが粒状度として顕在化し、粒状度の悪化が見られる。したがって、熱ローラ定着装置による加熱及び加圧時に、記録材上のトナー層を記録材の面方向に広がるように潰してしまうと、例えベルト定着装置による加熱及び加圧時にトナー層を記録材のトナー受容層に埋め込んだとしても、画像の粒状度が悪化してしまう。すなわち、高光沢性が得られたとしても、粒状度が悪化してしまい、粒状性及び光沢性に優れた銀塩写真並みの高画質が得られない。一方、熱ローラ定着装置において、加熱・加圧が弱過ぎると、記録材上のトナー像が、加圧ローラにオフセットしてしまったり、ベルト定着装置に至る前に搬送ローラ等に付着してしまったりといった問題が発生する。
そこで、本発明者らは、画質を向上させるために、すなわち最終画質を粒状度0.5〜4.0、光沢度60〜100にするために鋭意検討を行った。その結果、熱ローラ定着装置において、粒状度の悪化の無い範囲で、トナー受容層が十分に温まり、トナー層も必要最低限のメディアへの定着(搬送時に移動や剥離しないレベル)ができる光沢度は5〜40であることがわかった。
本例の画像形成装置では、熱ローラ定着装置9の動作条件を、トナー画像の光沢度Gが5≦G≦40、粒状度Rが0.5≦R≦4.0となるように設定している。更にベルト定着装置110の動作条件を、トナー画像の粒状度Rが4.0以下、光沢度Gが60以上となるように設定している。
すなわち、記録材に転写されたトナー画像の光沢度Gが5≦G≦40、粒状度Rが0.5≦R≦4.0となるように、トナー画像を加熱及び加圧する第1定着工程を行う。次いで第1定着工程にて加熱及び加圧された記録材の画像の粒状度が悪化しないようにしつつ光沢度が向上するように、更にトナー画像を加熱及び加圧する第2定着工程を行う。つまり、最終的にトナー画像の粒状度Rが4.0以下、光沢度Gが60以上となるような画質向上方法を採用することにより、前述した銀塩写真並みの高画質で高光沢な画像を得ることができる。以下、詳しく説明する。
ここでまず、電子写真方式の画像形成装置における写真画質について説明する。本例でいうところの写真画質とは、記録材上の画像の状態が、ISO13660で規定するところの粒状度Rが4.0以下、光沢度Gが60以上であることである。更に詳しくは、粒状度Rが0.5≦R≦4.0、光沢度Gが60≦G≦100である。
写真画質とは、目視で銀塩写真と同等の粗さであることが必要である。基本的には出力画像の粒状度の値は小さいほど良いが、それに要するコストの観点から、目視の限界以上に粒状度を小さくする必要性は低い。本発明者らの調査によれば、ISO13660に規定の粒状度Rで0.5〜4.0の間に入れば、粒状性の観点ではほぼ写真画質ということが出来ることが判明した(図7(a)参照)。
画像の細かい領域が細かく再現できていると粒状性の数値は悪くなるが、それは離散的な画像であるということを視認できるということである。これに対して、いわゆる写真はアナログ画像であるため、粒状度Rの数値が4.0を超え、離散的になると周期性が目に付きやすい。このため、写真というよりは印刷に近い印象になり、写真とは認められない状況となる。
濃色トナーのみで全体にぼかした画像形成にすると、粒状性の観点では写真画質を満たすことができる場合もあるが、その場合鮮鋭性やISO13660にある粒状性よりも低周波領域のノイズ成分であるモトルの値が悪化することになる。よって、総合的な画像として、写真画質を満たすことができないものとなってしまう。一方、淡色トナーを用いて図3に示すように色処理を行い画像形成をすることで、粒状性と鮮鋭性、モトルの値もすべて満たすことが可能となる。それは、濃色トナー、淡色トナーともに、細かい再現はしっかりと行いながら、淡色トナーの濃度が薄く、また濃度0.9では全面ベタ出力となるため、画像の周期性が現れない。このために粒状性がよくなる。また、鮮鋭性が求められる高濃度領域では、濃色トナーでしっかりと再現するため、鮮鋭性の劣化も無く、同様に低周波数域のモトルの再現も悪化しない。このため、本例では粒状度Rの上限値を4.0としている。
また、粒状度は基本的に小さければ小さい程よいが、0.5以下ではその優位性が認められないため、コスト等を考慮すると0.5で十分と言える。このため、本例では下限値を0.5としている。
一方で、光沢度の観点でも銀塩写真と同等の光沢が必要であり、本発明者らの調査によれば、ISO13660に規定の光沢度Gで60〜100の間であれば、ほぼ銀塩写真に匹敵する光沢度であるということが判明した。光沢度Gは、110といった値も測定されることがあるが、光沢度Gが100を超えてしまうのは好ましくない。なぜならば、光沢度Gが100を超えると、記録材の画像面で反射される光が強過ぎることになってしまい、ユーザーが画像を見るのに不快な印象を与えてしまう恐れがあるからである。また、画像表面の傷の目立ちやすさ等から光沢度Gを90以下に抑えることが好ましい(図7(b)参照)。つまり、画像の光沢度Gを60〜90にするのがより好ましい。
なお、前述した粒状度Rの測定は、QEA社製Personal_IASの粒状度測定による。また、光沢度Gは日本電飾製PG−1Mでの60°光沢による。
次に、図2を用いて、前述した写真画質を得るための熱ローラ定着装置9とベルト定着装置110の機能について説明する。
前述したトナー受容層(ポリエステル樹脂層)を有する記録材上に、前述した画像形成方法にてトナー像を形成する。この未定着トナー像を有する記録材は、画像形成装置本体10の熱ローラ定着装置9にて仮定着(以下、第1定着という)を行う。
熱ローラ装置9では、定着ローラ91が駆動機構(不図示)により時計回り方向に所定の速度(本例では300mm/s)で回転駆動される。この定着ローラ91と対向する加圧ローラ92は、前記定着ローラ91の回転に伴い従動回転する。
また定着ローラ91と加圧ローラ92は所定の押圧力で圧接させて記録材搬送方向において所定幅の加熱・加圧部としての第1加熱ニップ部N1を形成している。ここでは、加圧ローラ92による定着ローラ91への加圧力は、総圧で490N(50kgf)に設定している。このときの加熱ニップ部N1の幅(記録材搬送方向の長さ)は5mmであった。
そして、定着ローラ91と加圧ローラ92のそれぞれ内部に配設されるハロゲンランプ93,94に電力が供給され、ハロゲンランプ93,94の発熱により定着ローラ91と加圧ローラ92が加熱されて表面温度が上昇する。定着ローラ91と加圧ローラ92の表面温度はそれぞれサーミスタ(不図示)によって検知され、それらサーミスタの検知温度が制御回路(本例では画像形成装置本体のCPU)にフィードバックされる。制御回路は各サーミスタから入力する検知温度が定着ローラ91と加圧ローラ92のそれぞれに設定された所定の目標温度に維持されるようにハロゲンランプ93,94に供給する電力を制御する。すなわち、定着ローラ91と加圧ローラ92を所定の目標温度に温調管理して第1加熱ニップ部N1の温度を所定の定着温度、本例では約190度に温度管理されている。
従って、熱ローラ定着装置9での記録材分離温度(定着ニップの記録材搬送方向下流端部の温度)は約190度となっている。
熱ローラ定着装置9に送られた記録材は、定着ローラ91と加圧ローラ92により形成された加熱ニップ部N1に導入されて挟持搬送される。この第1定着では、トナー像は加熱によりトナー受容層上に固着しているのみであり、各カラートナー同士が溶融混色する状態までには至っていない。また、記録材のトナー受容層は加熱を受けても非溶融の状態であり、トナー像がトナー受容層に入り込みやすくなる程度に加熱された状態である。このように、記録材上の未定着トナー像に対し仮定着を施すことにより、記録材上のトナー像がベルト定着装置へ至る間に搬送ローラなどにオフセットしてしまうのを防止している。
つまり、トナー受容層を備えた記録材に対しては、ベルト定着装置110により再度加熱・加圧される構成となっている。このため、機外(排出トレイ103)に排出するには不十分な程度にトナー像の定着が行われるように熱ローラ定着装置9の定着条件(動作条件)が設定されている。
一方、普通紙(坪量が80g/m2)などの他の種類の記録材に対しては、この熱ローラ定着装置9のみで定着を行うことになっている。従って、普通紙などの他の種類の記録材に対しては、機外(排出トレイ102)に排出するに当たって十分な程度にトナー像の定着が行われるように熱ローラ定着装置9の定着条件が設定されている。
次に、トナー受容層を備えた記録材に対する熱ローラ定着装置9での定着条件(動作条件)を設定するための実験の一例を図8に示す。図8において、左側の縦軸は粒状度、右側の縦軸は光沢度を表している。また、図8は、熱ローラ定着装置9における定着温度を190度、定着圧力を490N(50kgf)に設定するとともに、熱ローラ定着装置9の定着速度(mm/sec)を変化させた際の画像の粒状度と光沢度の推移を示している。
この図8の実験例によると、定着速度が150(mm/sec)を下回ると、記録材に付与される熱量が過剰となり記録材が熱ローラ定着装置9に巻き付いてしまった。また、定着速度が350(mm/sec)を上回ると、記録材に付与される熱量が過少となりトナーが熱ローラ定着装置9にオフセットしてしまった。
一方、定着速度が200〜300(mm/sec)であれば、銀塩写真画像に匹敵する高画質画像の条件とされる粒状度R、即ち、0.5≦R≦4.0を満たすことが分かる。つまり、粒状度Rについて0.5≦R≦4.0を満足させる光沢度Gの範囲は5≦G≦40である。
言い換えると、熱ローラ定着装置9において粒状度Rについて0.5≦R≦4.0を満足させるには、光沢度Gの範囲が5≦G≦40を満たすのが好ましい。つまり、光沢度Gについて5≦G≦40を満足するように、熱ローラ定着装置9の定着条件(動作条件)を設定するのが好ましい。
本例の熱ローラ定着装置9では、粒状度をできる限り小さくするために定着速度を300(mm/sec)に設定している。その結果、熱ローラ定着装置9による定着後の画像、具体的には、濃度が0.4であるプロセスグレー画像部の粒状度Rが2.0となっている。また、フォトメディアの画像面の光沢度Gが20となっている。
なお、上述したように、濃度が0.4であるプロセスグレー画像部は、イエロートナー、淡マゼンタトナー、淡シアントナーの3種類のトナーを用いて形成された黒画像部となっている。
なお、熱ローラ定着装置9での定着条件(動作条件)としての加熱条件、加圧条件、更には記録材搬送速度、記録材分離温度については前述した値に限定されるものではない。つまり、第1定着後の記録材の画像状態が、粒状度Rが0.5≦R≦4.0、光沢度Gが5≦G≦40となる条件であれば、その他の条件でも良く、装置構成などに応じて適宜設定すれば良い。たとえば、定着速度、加圧力を固定した状態で、定着温度を下げると、光沢度が下がり、粒状度は上がる。また、定着速度を固定した状態で、加圧力を小さくしても、光沢度が下がり、粒状度は上がる。このような傾向を考慮することにより、以下の定着条件(動作条件)を適宜設定すれば構わない。具体的には、定着温度(定着装置、つまり定着ローラの温度)、加圧力(ニップ内の圧力、つまり記録材に付与する圧力)、定着速度(記録材搬送速度)、記録材分離温度(記録材が定着装置から分離する際の温度)を適宜設定すれば構わない。
次に、熱ローラ定着装置9の加熱及び加圧により前記粒状度R(0.5≦R≦4.0)及び前記光沢度G(5≦G≦40)の条件が満たされた記録材を、ベルト定着装置110に進入させる。前述の第1定着後の記録材は、ベルト定着装置110にて更なる加熱及び加圧(以下、第2定着という)を行う。
ベルト定着装置110では、加熱ローラ111が駆動機構(不図示)により時計回り方向に所定の速度で回転駆動される。この加熱ローラ111の回転駆動により定着ベルト114が時計回り方向に所定の速度(本例では50mm/sec)で回動状態になる。分離ローラ112、加圧ローラ115は定着ベルト114の回転に伴い従動回転する。
加熱ローラ111と加圧ローラ115のそれぞれ内部に配設されるハロゲンランプ117,118に電力が供給され、ハロゲンランプ117,118の発熱により加熱ローラ111と加圧ローラ115が加熱されて表面温度が上昇する。加熱ローラ111と加圧ローラ115の表面温度はそれぞれサーミスタ(不図示)によって検知され、それらサーミスタの検知温度が制御回路(本例では画像形成装置本体のCPU)にフィードバックされる。制御回路は各サーミスタから入力する検知温度が加熱ローラ111と加圧ローラ115のそれぞれに設定された所定の目標温度に維持されるようにハロゲンランプ117,118に供給する電力を制御する。すなわち、加熱ローラ111と加圧ローラ115を所定の目標温度に温調管理して第2加熱ニップ部N2の温度を所定の定着温度(本例では約180度)に温度管理する。
なお、ここでは、画像形成装置本体側の制御手段(図1に示すCPU)を用いて、オプションユニット側の制御を行うように構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、オプションユニット側に専用の制御手段を設けた構成としても良いし、或いは画像形成装置本体及びオプションユニットの両方に制御手段をそれぞれ設けた構成としても良い。
ベルト定着装置110に送られた記録材は、定着ベルト114と加圧ローラ115により形成された加熱ニップ部N2に導入されて挟持搬送される。この第2定着では、加熱ローラ111と加圧ローラ115からの熱により、透明樹脂層(トナー受容層)の温度が上昇してトナーと共に軟らかくなり、さらに加熱ローラ111と加圧ローラ115との圧力が加わることによりトナー像がその高温の透明樹脂層中に埋没される。同時に、記録材は定着ベルト114の表面に密着する。この時、トナー像が形成されている記録材の画像面は定着ベルト114の表面性(鏡面状)に沿うように均一化される。
トナー像が透明樹脂層中に埋め込まれた記録材は、定着ベルト114表面に密着したまま、分離ローラ112による分離部に至るまで搬送される。この定着ベルト114に密着した状態の記録材は分離部に至るまでの間(冷却領域)に、冷却ファン116により効率よく強制的に冷却される。すなわち、トナー像は、トナーの軟化点温度(ガラス転移点温度:約50度)よりも低い温度(約35度)に冷却される。即ち、ベルト定着装置110による記録材分離温度は約35度となっている。これによって、定着ベルト表面の離型性と相まって、記録材が定着ベルトから剥がれやすい状態になる。
そして、定着ベルト114の表面に密着された記録材は冷却領域で十分に冷却されてから分離ローラ112により定着ベルト114の曲率が変化する分離部にて定着ベルト114から自らの剛性(こし)により剥離(曲率分離)される。
このように冷却分離を施すことにより、記録材の画像面が定着ベルト114の鏡面状の表面とほぼ対応して凹凸のない状態となり、熱ローラ定着装置9に比して画像の光沢度を飛躍的に向上させることが可能となる。すなわち、第2定着後の記録材の画像状態は粒状度Rが0.5≦R≦4.0のまま、光沢度Gが60≦G≦100となるように、ベルト定着装置110による定着条件(動作条件)が設定されている。本例のベルト定着装置110では、前記条件の加熱及び加圧により、濃度0.4でのプロセスグレーにおける粒状度Rが2.0、光沢度Gが90であった。
従って、前述の熱ローラ定着装置9及びベルト定着装置110を使用すれば、銀塩写真に匹敵する粒状度R(0.5≦R≦4.0)及び光沢度G(60≦G≦100)を備えた高品質画像を得ることができる。
ここまで、粒状性と光沢性に関して述べてきたが、それ以外の画質項目、例えば、ライン再現性や、モトル、画像安定性などの項目を無視すれば、上記範囲内での画像形成が可能となる場合がある。しかしながら、その場合には例えば、ライン幅再現性が本来よりも20%程度太ってしまったり、モトルが悪化したり、画像安定性が劣化する等して画質のバランスとして写真画質とは呼べないものとなってしまう。
すべての画質項目を高いレベルで保ちながら、粒状性Rを0.5≦R≦4.0、光沢度Gを60≦G≦100にすることが重要なのである。
なお、ベルト定着装置110での定着条件(動作条件)としての加熱条件、加圧条件、更には記録材搬送速度、記録材分離温度については前述した値に限定されるものではない。第2定着後の記録材の画像状態が、粒状度が0.5≦R≦4.0、光沢度Gが60≦G≦100となる条件であれば、その他の条件でも良く、装置構成などに応じて適宜設定すれば良い。
上述したように、本例によれば、ベルト定着装置110にてトナー画像を記録材のトナー受容層に埋め込んで記録材全面を平滑な面にする前に、熱ローラ定着装置9にて記録材上のトナー画像を記録材の面方向に広がる方向にはなるべく潰さないようにしている。すなわち、光沢度Gが60以上であり、粒状度Rが4.0以下である銀塩写真並みの高画質を得るために、熱ローラ定着装置9の加熱及び加圧による記録材上の画像の光沢度Gを5≦G≦40、粒状度Rを0.5≦R≦4.0としている。これにより、粒状度を悪化させることなく、光沢度を高めた銀塩写真並みの高画質が得られる。
なお前述した熱ローラ定着装置では、加熱回転体としての定着ローラと、加圧回転体としての加圧ローラの両方が熱源を有する構成としたが、これに限定されるものではなく、少なくとも加熱回転体が熱源を有する構成であれば良い。同様に、前述したベルト定着装置では、加熱回転体としての加熱ローラと、加圧回転体としての加圧ローラの両方が熱源を有する構成としたが、これに限定されるものではなく、少なくとも加熱回転体が熱源を有する構成であれば良い。
また前述した実施の形態では、エンドレスベルトを備えた第2の画像加熱手段としてのベルト定着装置が画像形成装置に選択的に接続可能とされたオプションユニットの例について説明したが、後述するような例でも構わない。つまり、画像形成部を備えた画像形成装置が熱ローラ定着装置だけでなくベルト定着装置も一体に有する構成であっても構わない。
また前述した実施の形態では、画像形成装置として、図1に示すように複数の現像器を回転体で支持し、この回転体を回転移動させて所望の現像器を選択的に使用するロータリ型の画像形成装置を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように複数の現像器を並設して使用する、所謂、タンデム型の画像形成装置であっても良い。
また、図1及び図9に示すように、中間転写体を使用し、該中間転写体に必要色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像を記録材に一括して転写する画像形成装置を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、感光体と接触配置される記録材担持体を用意し、この記録材担持体に担持された記録材に必要色のトナー像を感光体から順次重ねて転写する画像形成装置であっても良い。なお、同様に、記録材担持体を用いた、所謂、タンデム型の画像形成装置とすることも可能である。
また、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に用いられる、無端状ベルト部材を備えた画像加熱装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
その他、以上に説明した画像形成装置の構成部品の寸法、材質、形状、及びその相対位置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。