JP2019211443A - タイヤのアンバランス修正方法、及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】重量アンバランスの修正効果を発揮しながら、修正の有無を判別し難くさせるアンバランス修正方法を提供する。【解決手段】タイヤ内面かつタイヤ軽点位置Pに、黒色被膜10を形成することにより、タイヤ1の重量アンバランスを低減させる。黒色被膜10のタイヤ周方向の長さは、タイヤ中心角度θに換算して15〜70°の範囲であるのが好ましい。黒色塗膜10は膜厚が小かつタイヤ内面と実質的に同色(黒色)であるため、黒色被膜10の形成の有無を判別できない。【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤ内面に黒色被膜を形成することにより重量アンバランスを低減させるタイヤのアンバランス修正方法、及びタイヤに関する。
タイヤの重量アンバランスを修正する方法として、下記の方法が広く採用されている。まず、バランス測定機により、タイヤとホイールとの組立体の重量のアンバランス量と、アンバランスのタイヤ周方向位置(例えば軽点位置)とを測定する。そして、アンバランス量に応じた重さの金属製(例えば、鉛、真鍮等)のバランスウエイトを、軽点位置かつホイールのリムフランジ部に固定する方法がとられている。
しかしこの方法は、タイヤ自体には何ら改善がなされていないため、ホイールを交換した際には、改めて重量アンバランスの修正が必要になる。
そこで、下記の特許文献1には、タイヤ内面に、例えばスポンジ材等の低比重材料(比重0.016〜0.21)からなるウエイトを貼り付けることにより、タイヤ自体のアンバランスを低減する方法が提案されている。
しかし、スポンジ材等をウエイトとしてタイヤ内面に貼り付けた場合、走行中の剥がれが懸念される。又展示販売されるタイヤにおいては、ウエイトが見えるため、見栄えを損ねかつユーザーに違和感を生じさせる。しかも、ウエイトの体積が大きくなるため、修正前のアンバランス量が大きいと連想されてしまい、商品価値を下げるという問題がある。
従って、アンバランスの修正の有無を、ユーザーが判別できないような修正方法が望ましい。
特開2002−15907号公報
本発明は、タイヤの重量アンバランスの修正効果を発揮しながら、修正の有無を判別し難くさせることができ、タイヤの外観性の低下等を抑えて商品価値の維持を図りうるタイヤのアンバランス修正方法、及びタイヤを提供することを課題としている。
第1の発明は、タイヤのアンバランス修正方法であって、タイヤ内面かつタイヤ軽点位置に、黒色被膜を形成することにより、タイヤの重量アンバランスを低減させる。
本発明に係るタイヤのアンバランス修正方法では、前記黒色被膜は、カーボンブラックを含有する黒色塗液を塗布することにより形成されるのが好ましい。
本発明に係るタイヤのアンバランス修正方法では、前記黒色塗液は、比重が1.00〜1.10であるのが好ましい。
本発明に係るタイヤのアンバランス修正方法では、前記黒色被膜の重量は、3〜10gであるのが好ましい。
本発明に係るタイヤのアンバランス修正方法では、前記黒色被膜のタイヤ周方向の長さは、タイヤ中心角度θに換算して15〜70°の範囲であるのが好ましい。
第2の発明は、第1の発明のタイヤのアンバランス修正方法によって、重量バランスが低減されたタイヤである。
本発明は叙上の如く、タイヤ内面かつタイヤ軽点位置に、黒色被膜を形成している。そのため、タイヤの重量アンバランスの修正効果を発揮しながら、修正の有無を判別し難くさせることができ、タイヤの外観性の低下等を抑えて商品価値の維持を図りうる。
本発明のタイヤのアンバランス修正方法によって、重量バランスが低減されたタイヤの一実施例を示すタイヤ赤道と直角な断面図である。 図1のタイヤのタイヤ赤道に沿った断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1、2に示すように、本実施形態のタイヤ1は、タイヤ内面Sかつタイヤ軽点位置Pに、バランスウエイトとして黒色被膜10が形成され、タイヤ単体における重量アンバランスが低減される。
「タイヤ軽点位置Pに黒色被膜10が形成される」とは、黒色被膜10の少なくとも一部がタイヤ軽点位置Pに配されることを意味する。またタイヤ軽点位置Pは、周知のバランス測定機により測定できる。
タイヤ1は、空気入りタイヤがであって、接地面2Sを有するトレッド部2と、そのタイヤ軸方向両端からタイヤ半径方向内側にのびるサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の半径方向内端部に配されるビード部4とを具える。タイヤ1は、例えばカーカス、ベルト層、バンド層、ビードコアなどの補強部材を用いた周知の内部構造を具える。
そして、タイヤ内腔面であるタイヤ内面Sに、カーボンブラックを含有する黒色塗液を塗布することにより、前記黒色被膜10が形成される。
黒色被膜10は、タイヤ内面Sのうち、トレッド部2の内面(トレッド内面という場合がある。)Stに形成されるのが好ましい。これにより、タイヤ軸芯から黒色被膜10までの半径方向距離H(図2に示す)を最も大きく確保でき、重量アンバランスの低減効果を高めうる。なおトレッド内面Stとは、タイヤ内面Sのうち、トレッド端Teを通る半径方向線X、X間の面を意味する。また「黒色被膜10がトレッド内面Stに形成される」とは、黒色被膜10の少なくとも一部がトレッド内面Stに配されることを意味し、好ましくは、タイヤ赤道Coを中心とした線対称状に配される。
トレッド端Teとは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した状態のタイヤに正規荷重を負荷した時に接地する接地面のタイヤ軸方向最外端の位置を意味する。又前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば"Measuring Rim"を意味する。前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。前記「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
黒色塗液としては、水溶性塗液に、顔料及び骨材等として少なくともカーボンブラックを含有させたものが好適に採用しうる。水溶性塗液としては、水に溶解する樹脂を用いて塗料化した溶解形水溶性塗液、及び水中に樹脂を分散させて塗料化したエマルジョン形水性塗液が採用しうる。黒色塗液は乾燥することで、樹脂及びカーボンブラックを含む固形成分(塗膜成分)が黒色被膜10を形成し、バランスウエイトとして機能する。なお黒色塗液には、可塑剤、増粘添等の周知の添加剤を含有することができる。なお黒色塗液に占めるカーボンブラックの割合は、10重量%以下、さらには7重量%以下であるのが好ましい。
このような黒色塗液は、スプレーガンによる吹き付け、或いは刷毛塗り等によって塗布することができる。しかし、塗布効率、及び膜厚の均一性などの観点から、スプレーガンによる吹き付けがより好適である。
ここで、例えばタイヤサイズ225/50R20のタイヤ(タイヤ赤道におけるタイヤ軸芯からタイヤ内面Sまでの距離は約362mm)において、タイヤの重量アンバランスを3.0N・cm 低減させるためには、約8.5gの重さWの黒色被膜10を、トレッド内面Stに形成する必要がある。
他方、黒色被膜10は、単位面積当たりの重量が小であるため、必要な重さWを得るためには、黒色被膜10の形成面積(黒色塗液の塗布面積)を広くすることが必要となる。しかし、形成面積が広くなるにつれ、タイヤ軽点位置Pから離れるため、重量アンバランスの低減効果が低下する。
このような観点から、図2に示すように、黒色被膜10のタイヤ周方向の長さは、タイヤ中心角度θに換算して15〜70°の範囲であるのが好ましい。またタイヤ軽点位置Pと、前記タイヤ中心角度θの二等分線yとの間の角度αは、好ましくは15°以下、さらには10°以下である。
なおタイヤ中心角度θを15°以下としながら、黒色被膜10を厚く形成することで必要な重さWを得ることは、一応可能である。しかし、黒色塗液を厚く塗布(吹き付け)する場合、塗液がダマになりやすく、乾燥後、黒色被膜10に剥がれが発生する傾向を招く。
同様の観点から、黒色塗液の比重は1.00〜1.10であるのが好ましい。比重が1.00を下回ると、黒色被膜10の単位面積当たりの重量が減じ、得られる重さWが小となるなど重量アンバランスの低減代が過小となる。逆に比重が1.10を越えると、塗液がダマになりやすく、乾燥後、黒色被膜10に剥がれが発生する傾向を招く。
黒色被膜10の重量は、3〜10gであるのが好ましく、3gを下回ると、重量アンバランスの低減代が過小となる。逆に、黒色被膜10の重量が10gを越えると、例えばRFV(ラジアルフォースバリエーション)などの、他のユニフォーミティに悪影響を与える恐れを招く。
また黒色被膜10を形成した場合、厚さが小でありかつタイヤ内面Sと実質的に同色(黒色)であるため、黒色被膜10の形成の有無が判別し難い。そのため、重量アンバランスの修正効果を発揮しながら、タイヤの外観性の低下等を抑えることができ、商品価値の維持を図りうる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の効果を確認するため、空気入りタイヤ(225/50R20)のトレッド内面かつタイヤ軽点位置に、表1の仕様に基づき、カーボンブラックを含有する黒色塗液を塗布して、黒色塗膜を形成した。比較例として、黒色塗膜に代えてスポンジ材(低比重材料)を、タイヤ軽点位置に貼り付けている。スポンジ材の比重は0.16であった。そして、重量アンバランスの低減量を測定し、互いに比較した。また黒色塗膜における、RFVへの影響の有無、黒色塗膜の耐久性を比較した。
(1)重量アンバランスの低減量:
ユニフォミティー試験機を用い、黒色塗膜の形成前後における重量アンバランス量の差を測定した。数値が大なほど低減量が大である。
(2)RFVへの影響:
ユニフォミティー試験機を用い、JASO C607(自動車用タイヤのユニフォミティ試験方法)に準拠して、下記の条件にてRFV(ラジアルフォースバリエーション)を測定した。そして、黒色塗膜の形成前後におけるRFVの差が3.0N以下を影響なしとした。
---リム:20x8.0J
---内圧:200kPa
---荷重:6835N
(3)黒色塗膜の耐久性:
3.1)温度変化の影響:
黒色塗膜を形成したタイヤを、高温条件(80℃)で8日間保管した後、低温条件(−30°)で3日間保管した。そして、目視により、黒色塗膜の変色、ひび割れ等の内観への影響の有無を確認した。
3.2)走行後の重量アンバランスの戻り:
黒色塗膜を形成したタイヤを、リム(20x8.0J)、内圧(200kPa)の条件にて車両の全輪に装着し、速度100kmにて30000kmを連続走行した。そして、走行の前後における重量アンバランスの差を測定した。差が1.0N・cm 以下を影響なしとした。
3.3)走行後の黒色塗膜の剥がれ:
上記走行の後、黒色塗膜の剥がれの有無を、目視によって確認した。
Figure 2019211443
実施例に示されるように、黒色塗膜により、重量アンバランスの修正効果が得られることが確認できる。また、黒色塗膜は膜厚が小かつタイヤ内面Sと実質的に同色(黒色)であるため、黒色被膜の形成の有無を判別できないのが確認できる。
1 タイヤ
10 黒色被膜
P タイヤ軽点位置
S タイヤ内面

Claims (6)

  1. タイヤ内面かつタイヤ軽点位置に、黒色被膜を形成することにより、タイヤの重量アンバランスを低減させるタイヤのアンバランス修正方法。
  2. 前記黒色被膜は、カーボンブラックを含有する黒色塗液を塗布することにより形成される請求項1記載のタイヤのアンバランス修正方法。
  3. 前記黒色塗液は、比重が1.00〜1.10である請求項2記載のタイヤのアンバランス修正方法。
  4. 前記黒色被膜の重量は、3〜10gである請求項1〜3の何れかに記載のタイヤのアンバランス修正方法。
  5. 前記黒色被膜のタイヤ周方向の長さは、タイヤ中心角度θに換算して15〜70°の範囲である請求項1〜4の何れかに記載のタイヤのアンバランス修正方法。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載のタイヤのアンバランス修正方法によって、重量バランスが低減されたタイヤ。
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