JP2019207916A - 超電導コイル体および超電導機器 - Google Patents

超電導コイル体および超電導機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2019207916A
JP2019207916A JP2018101499A JP2018101499A JP2019207916A JP 2019207916 A JP2019207916 A JP 2019207916A JP 2018101499 A JP2018101499 A JP 2018101499A JP 2018101499 A JP2018101499 A JP 2018101499A JP 2019207916 A JP2019207916 A JP 2019207916A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling
coil
superconducting
coil body
stacking direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018101499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7151173B2 (ja
Inventor
西村 崇
Takashi Nishimura
崇 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2018101499A priority Critical patent/JP7151173B2/ja
Publication of JP2019207916A publication Critical patent/JP2019207916A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7151173B2 publication Critical patent/JP7151173B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)

Abstract

【課題】超電導コイル体の大型化、重量化およびコスト上昇を抑制しつつ、冷却効率を向上させることが可能な超電導コイル体および超電導機器を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る超電導コイル体91は、超電導線材が巻回された複数のコイル要素11が積層されたコイル部10と、コイル部10を冷却するための冷却ヘッド20と、コイル部10と冷却ヘッド20とを互いにつなぐ伝熱部30とを備える。伝熱部30は、複数のコイル要素11の積層方向に沿って少なくとも1つのコイル要素11と積層された複数の冷却板31を含む。複数の冷却板31の各々は、冷却ヘッド20と熱的に接続される部分を有する。複数の冷却板31のうち少なくとも2つの冷却板31は、冷却ヘッド20と熱的に接続される部分とは異なる部分において、積層方向に互いに熱的に接続される。【選択図】図2

Description

この発明は、超電導コイル体および超電導機器に関する。
特開平11−186025号公報(特許文献1)には、超電導コイル体を冷凍機を用いて冷却する超電導機器が開示される。特許文献1に記載される超電導機器において、超電導コイル体は、軸方向に積層された第1および第2のパンケーキコイルと、第1のパンケーキコイルと第2のパンケーキコイルとの間に介在するように配置された冷却板とを備える。冷却板は、熱伝導用バーを介して冷却ヘッドに接続されており、第1および第2のパンケーキコイルの発熱を直接的に冷却する。
特開平11−186025号公報
上記特許文献1に開示された構成において、超電導コイル体の冷却効率を高めるためには、冷却板の厚みを厚くして冷却板の熱抵抗を小さくすることが考えられる。しかしながら、冷却板を厚くすると、超電導コイル体の軸方向の寸法を大きくすることになる。また、第1および第2のパンケーキコイルの間隔が広がるため、軸方向における超電導線材の見かけ密度が低下し、結果的に磁場強度を低下させてしまう。この磁場強度の低下分を補填するためには、各パンケーキコイルの巻き数を増やすことが必要となり、必要な線材量を増大させるとともに、超電導コイル体の径方向の寸法を大きくすることになる。このように冷却板の厚みを厚くすることは、超電導コイル体の大型化およびコスト上昇を招くことが懸念される。
本発明の一態様の目的は、超電導コイル体の大型化、重量化およびコスト上昇を抑制しつつ、冷却効率を向上させることが可能な超電導コイル体および超電導機器を提供することである。
本発明の一態様に係る超電導コイル体は、超電導線材が巻回された複数のコイル要素が積層されたコイル部と、コイル部を冷却するための冷却ヘッドと、コイル部と冷却ヘッドとを互いにつなぐ伝熱部とを備える。伝熱部は、複数のコイル要素の積層方向に沿って少なくとも1つのコイル要素と積層された複数の冷却板を含む。複数の冷却板の各々は、冷却ヘッドと熱的に接続される部分を有する。複数の冷却板のうち少なくとも2つの冷却板は、冷却ヘッドと熱的に接続される部分とは異なる部分において、積層方向に互いに熱的に接続される。
上記によれば、超電導コイル体の大型化およびコスト上昇を抑制しつつ、超電導コイル体の冷却効率を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係る超電導機器の全体構成を概略的に示す断面図である。 図1における超電導コイル体の構成を概略的に示す図である。 超電導コイル体における冷却板の構成を示す平面模式図である。 図2のコイル要素の構成を概略的に示す斜視図である。 超電導線材の電流−電圧特性を模式的に示す図である。 従来の超電導コイル体の伝熱経路を模式的に示す図である。 本実施の形態に係る超電導コイル体における伝熱経路を説明するための模式図である。 実施の形態1に係る超電導コイル体の斜視模式図である。 図8における領域RNを部分的に拡大した図である。 図8に示した超電導コイル体の部分断面模式図である。 図8に示した超電導コイル体の模式図である。 図8に示した超電導コイル体の模式図である。 実施の形態2に係る超電導コイル体の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態3に係る超電導コイル体の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態4に係る超電導コイル体の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態5に係る超電導機器の全体構成を概略的に示した上面透視図である。 図16のXVII−XVII線での断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る超電導コイル体91(図2参照)は、超電導線材が巻回された複数のコイル要素11が積層されたコイル部10と、コイル部10を冷却するための冷却ヘッド20と、コイル部10と冷却ヘッド20とを互いにつなぐ伝熱部30とを備える。伝熱部30は、複数のコイル要素11の積層方向に沿って少なくとも1つのコイル要素11と積層された複数の冷却板31を含む。複数の冷却板31の各々は、冷却ヘッド20と熱的に接続される部分を有する。複数の冷却板31のうち少なくとも2つの冷却板31は、冷却ヘッド20と熱的に接続される部分とは異なる部分において、積層方向に互いに熱的に接続される。
このようにすれば、1つのコイル要素11の発熱が大きい場合においても、当該コイル要素11の発熱を、当該コイル要素11と接触する冷却板31と、当該冷却板31に熱的に接続される他の冷却板31とで分担して負担することができる。したがって、当該コイル要素11と接触する冷却板31の負担が低減されるため、当該コイル要素11の温度上昇を抑制することが可能となる。この結果、冷却板31を厚くすることによる超電導コイル体91の大型化およびコスト上昇を抑制しつつ、超電導コイル体91の冷却効率を向上させることができる。
(2)上記超電導コイル体91において、少なくとも2つの冷却板31は、コイル部10の積層方向における端部に位置するコイル要素11(端部コイル要素11e)に接触する第1の冷却板31と、コイル部10の積層方向における端部よりも中央部側に位置するコイル要素11に接触する第2の冷却板31とを含む。
このようにすると、発熱が集中的に生じ易い端部コイル要素11eと接触する冷却板31の負担が低減されるため、冷却板31を厚くすることなく、端部コイル要素11eの温度上昇を抑制することができる。
(3)上記超電導コイル体91において、複数の冷却板31は、冷却ヘッド20と熱的に接続される部分とは異なる部分において、積層方向に互いに熱的に接続される。
このようにすると、発熱が集中的に生じ易い端部コイル要素11eと接触する冷却板31の負担が低減されるため、冷却板31を厚くすることなく、端部コイル要素11eの温度上昇を抑制することができる。
(4)上記超電導コイル体91は、積層方向に沿って少なくとも2つの冷却板31と交互に積層され、かつ少なくとも2つの冷却板31と熱的に接続される伝熱部材(伝熱ブロック40)と、少なくとも2つの冷却板31を積層方向から押圧する押圧機構(フランジ14a,14b)とをさらに備える。
このようにすると、押圧機構の押圧力を利用して、冷却板31と伝熱部材とを接触させることができ、冷却板31と伝熱部材との密着性を確保することができる。これにより、冷却板31と伝熱部材との機械的な接触が改善されるため、冷却板31と伝熱部材との間の熱抵抗を小さくすることができる。
(5)上記超電導コイル体91において、複数の冷却板31の各々は、積層方向から見てコイル要素11と重なる第1の部分31aと、第1の部分31aに接続されるとともに、冷却ヘッド20と熱的に接続される第2の部分31bと、第1の部分31aと接続され、かつ積層方向に垂直な方向外側に向けて突出する第3の部分31cとを有する(図3参照)。伝熱部材40は、積層方向に沿って少なくとも2つの冷却板31の第3の部分31cとともに並べられ、かつ第3の部分31cと熱的に接続される。押圧機構(フランジ14a,14b)は、コイル部10を積層方向から押圧することにより、複数の冷却板31および伝熱部材(伝熱ブロック40)を把持する。
このようにすると、押圧機構の押圧力を利用して、冷却板31の第3の部分31cと伝熱部材とを接触させることができ、冷却板31と伝熱部材との密着性を確保することができる。
(6)上記超電導コイル体91において、押圧機構は、コイル部10の積層方向における両端部に配置された第1フランジ部材14aおよび第2フランジ部材14bを含む。積層方向から見て第1フランジ部材14aおよび第2フランジ部材14bは、第1の部分31aおよび第3の部分31cと重なる。
このようにすると、複数のコイル要素11および冷却板31を把持するための第1フランジ部材14aおよび第2フランジ部材14bの押圧力を利用して、冷却板31の第3の部分31cと伝熱部材との密着性を確保することができる。
(7)上記超電導コイル体91において、第3の部分31cは、第1の部分31aに複数接続されている(図3参照)。複数の第3の部分31cは、第1の部分31aの外周に沿って互いに離間して配置される。
このようにすると、少なくとも2つの冷却板31間に複数の伝熱経路を分散して形成することができるため、コイル要素の発熱を速やかに伝えることができる。
(8)上記超電導コイル体91において、伝熱部30は、少なくとも2つの冷却板31と伝熱部材(伝熱ブロック40)との間に配置された絶縁部材45をさらに含む。
このようにすると、超電導コイル体91を高周波数で励磁する場合において、少なくとも2つの冷却板31間に形成される渦電流経路を遮断することができるため、渦電流損失の発生を抑制することができる。
(9)上記超電導コイル体91(図16および図17参照)は、支持部材70によって積層方向における一方の端部が容器111につながれることによって、容器111内に保持されるように構成される。冷却ヘッド20と熱的に接続される部分とは異なる部分は、積層方向から見て支持部材70に近接して配置される。
このようにすると、支持部材を経由して侵入した熱がコイル要素に伝わることを抑制することができるため、超電導コイル体91の冷却効率の低下を抑制することができる。
(10)本発明の一態様に係る超電導機器(図1および図16参照)は、上記超電導コイル体91と、超電導コイル体91を内部の保持する容器111と、容器111に設置され、冷却ヘッド20を冷却する冷却装置(冷凍機121)とを備える。
このようにすれば、超電導コイル体91の大型化、重量化およびコスト上昇を抑制しつつ、超電導コイル体91の冷却効率を向上させることが可能な超電導機器を実現することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態に係る超電導機器の全体構成を概略的に示す断面図である。図1に示されるように、超電導機器100は、超電導コイルを冷凍機で冷却する冷凍機冷却型の超電導機器である。超電導機器100は、超電導コイル体91と、断熱容器111と、冷凍機121と、ホース122と、コンプレッサ123と、ケーブル131と、電源132とを備える。
超電導コイル体91は、本発明の実施の形態に係る超電導マグネットの主要な部分である。断熱容器111は、超電導コイル体91を収容する。図1に示された構成では、磁場印加領域SCが断熱容器111内に設けられている。
図2は、図1における超電導コイル体91の構成を概略的に示す図である。図2に示されるように、超電導コイル体91は、コイル部10と、フランジ14a,14bと、固定部材15と、冷却ヘッド20と、伝熱部30と、芯部81とを含む。
コイル部10は、超電導線材が巻回されることによって形成されており、磁束MFを発生するためのものである。コイル部10は、複数のコイル要素11を含む。軸方向Aaは、コイル要素11の巻軸Awの方向に対応するとともに、コイル要素11の積層方向に対応する。径方向Arは、当該積層方向に垂直な方向(コイル要素11の中心から外周に向かう方向)に対応する。コイル要素11は、例えばパンケーキコイルである。より好ましくは、コイル要素11は、ダブルパンケーキコイルである。
冷却ヘッド20は、コイル部10を冷却するためのものである。冷却ヘッド20は、冷却可能な端部21と、端部21および冷凍機121(図1)の間を繋ぐ接続部22とを含む。
伝熱部30は、複数の冷却板31からなる冷却板群と、固定具32と、複数の伝熱ブロック40とを含む。図3は、超電導コイル体91における冷却板31の構成を示す平面模式図である。
図2および図3に示されるように、複数の冷却板31の各々はコイル部10に取り付けられている。固定具32は冷却ヘッド20の端部21に取り付けられている。固定具32は冷却板群を把持している。冷却板群のうち固定具32に把持されている部分において、複数の冷却板31は互いに直接積層されている。このような構造によって、伝熱部30はコイル部10および冷却ヘッド20を互いにつないでいる。
コイル部10と、冷却板群のコイル部10に取り付けられた部分とは、冷却板31とコイル要素11とが積層された構成を有している。したがって、冷却板31は、コイル要素11の巻軸Awの方向に沿ってコイル要素11とともに並べられ、かつコイル要素11に熱的に接続される。なお、図2の例では、冷却板31とコイル要素11とが交互に積層されているが、複数のコイル要素11のうち一部のコイル要素11と冷却板31とが積層されていてもよい。冷却板31の材料は、熱伝導率および可撓性が大きい材料が好ましく、例えばアルミニウム(Al)または銅(Cu)である。Al(またはCu)の純度は99.9%以上が好ましい。
冷却板31は、第1の部分31a、第2の部分31b、および第3の部分31cを有する。第1の部分31aは、円環状(ドーナツ状)の形状を有する。巻軸Awの方向から見て、第1の部分31aは、コイル要素11と重なる。なお、図3では、コイル要素11と冷却板31との両方を示すために、コイル要素11が冷却板31の第1の部分31aよりも小さく描かれている。しかし、コイル要素11の寸法はこのように限定されるものではない。以下に説明する図においても同様である。
冷却板31の第2の部分31bは、第1の部分31aと接続されるとともに、固定具32を介して冷却ヘッド20に熱的に接続される。これにより第2の部分31bは、冷凍機121に熱的に接続される。第2の部分31bは、巻軸Awの方向から見てコイル要素11とは重ならないように配置される。第2の部分31bは、固定具32まで延びることができるように、折曲部FDを有してもよい。
冷却板31の第3の部分31cは、第1の部分31aと接続される。第3の部分31cは、第1の部分31aの外周から巻軸Awに垂直な方向外側に向けて突出するように設けられている。第3の部分31cは、例えば矩形状の形状を有する。
第3の部分31cは、第1の部分31aに対して、第2の部分31bが接続される部分とは異なる部分と接続される。第3の部分31cは、単数であっても複数であってもよい。本実施の形態では、第3の部分31cは、第1の部分31aに複数接続される。複数の第3の部分は、第1の部分31aの外周に沿って互いに離間して配置される。図3の例では、5つの第3の部分31cが、第2の部分31bも含めて巻軸Awに対して等角度(60°)となるように配置されている。しかし、第3の部分31cの個数および配置はこのように限定されるものではない。
固定具32は、部材32a,32bと、ねじ34a,34bとを含む。部材32aおよび32bの間の隙間に冷却板群が挟まれており、かつ、ねじ34aで締め付けることによって、冷却板群が固定具32に把持されている。すなわち、複数の冷却板31がともに固定具32に把持されている。ねじ34bは、部材32a,32bの各々が冷却ヘッド20の端部21の側面を締め付けることができるように設けられている。これにより固定具32は冷却ヘッド20の端部21に取り付けられている。
フランジ14a,14bは、コイル部10の軸方向Aaにおける両端部にそれぞれ配置されている。フランジ14a,14bは、例えば真鍮またはSUS(Steel Use Stainless)等の金属材料から構成される。フランジ14a,14bの各々は、コイル要素11の平面形状より大きいサイズであって、例えば円形状の平面形状を有していてもよい。軸方向Aaから見てフランジ14a,14bは、冷却板31の第1の部分31aおよび第3の部分31cと重なる。フランジ14a,14bは、固定部材15により、コイル部10の上端面および下端面を挟んだ状態で固定されている。
具体的には、固定部材15は、連結用ボルト15aおよびナット15bを含む。フランジ14a,14bの各々には例えば外周に沿って複数の貫通孔が形成されている。このフランジ14aの貫通孔とフランジ14bの貫通孔とに連結用ボルト15aが挿入された状態となっている。連結用ボルト15aの先端部には、連結用ボルト15aが貫通孔から抜けないようにするためのナット15bが接続固定されている。ナット15bの締め付け圧力を受けてフランジ14aからコイル部10の上端面に対して面圧が作用するとともに、フランジ14bからコイル部10の下端面に対して面圧が作用する。このようにして、コイル部10は冷却板31とともにフランジ14aおよび14bに把持されている。フランジ14aおよび14bはそれぞれ、「第1フランジ部材」および「第2フランジ部材」の一実施例に対応する。
伝熱ブロック40は、コイル要素11の巻軸Awの方向に沿って、冷却板31の第3の部分31cと交互に積層されている。伝熱ブロック40は、例えば直方体の形状を有しており、巻軸Awの方向から見て、第3の部分31cと重なる。すなわち、伝熱ブロック40は、互いに隣り合う2つの第3の部分31cに挟まれるように配置されている。したがって、複数の伝熱ブロック40は、巻軸Awの方向に沿って第3の部分31cとともに並べられ、かつ、第3の部分31cと熱的に接続される。このように伝熱ブロック40が冷却板31に熱的に接続されることによって、複数の冷却板31は、伝熱ブロック40を介して互いに熱的に接続されることになる。伝熱ブロック40は「伝熱部材」の一実施例に対応する。
伝熱ブロック40の材料は、熱伝導率の大きい材料が好ましく、例えばAlまたはCuである。Al(またはCu)の純度は99.9%以上が好ましい。
なお、図2の例では、伝熱ブロック40の表面は、コイル要素11の外周端面と接触している。この場合、伝熱ブロック40は、コイル要素11の外周端面と接触する表面が平面であってもよいが、当該表面が曲面となっていてもよい。当該曲面の巻軸Awの方向から見た曲率半径は、コイル要素11の外周端面の曲率半径と同じとしてもよく、当該外周端面の曲率半径より大きくしてもよい。あるいは、伝熱ブロック40の表面は、コイル要素11の外周端面と接触しない構成としてもよい。
固定部材15のナット15bを締め付けることによって、複数の伝熱ブロック40はフランジ14a,14bに把持されている。具体的には、ナット15bを締め付けることによって、フランジ14aから冷却板31の第3の部分31cおよび伝熱ブロック40の積層体の上端面に面圧が作用するとともに、当該積層体の下端面に対して面圧が作用する。このようにして、伝熱ブロック40は、冷却板31の第3の部分31cとともにフランジ14aおよび14bに把持されている。フランジ14a,14bは、冷却板31の第3の部分31cおよび伝熱ブロック40の積層体を積層方向から押圧する「押圧機構」の一実施例に対応する。
このようにすると、フランジ14a,14bからの押圧力を利用して、第3の部分31cと伝熱ブロック40とを接触させることで、第3の部分31cと伝熱ブロック40との密着性を確保することができる。これにより、第3の部分31cと伝熱ブロック40との機械的な接触が改善されるため、第3の部分31cと伝熱ブロック40との間の熱抵抗を小さくすることができる。
図4は、図2のコイル要素11の構成を概略的に示す斜視図である。図4に示すように、コイル要素11は、ダブルパンケーキコイルであり、互いに積層されたパンケーキコイル12a,12bを含む。パンケーキコイル12aにおける超電導線材の巻回し方向Waと、パンケーキコイル12bにおける超電導線材の巻回し方向Wbとは互いに逆である。パンケーキコイル12aの内週側に位置する超電導線材の端部ECiと、パンケーキコイル12bの内周側に位置する超電導線材の端部ECiとは、互いに電気的に接続されている。これにより、パンケーキコイル12aの外周側に位置する端部ECoと、パンケーキコイル12bの外周側に位置する端部ECoとの間で、パンケーキコイル12a,12bは互いに直列に接続されている。
複数のコイル要素11のうち、互いに隣り合うものの各々の端部ECoは互いに電気的に接続されている。これにより、複数のコイル要素11は互いに直列に接続されている。
ここで、超電導コイル体に交流電流を流した場合には、超電導線材にはジュール損失と交流損失とが発生する。酸化物高温超電導線材等の、臨界電流が高く、かつ、常電導転移が緩やかで安定性の高い超電導線材を用いた超電導コイル体は、臨界電流付近の高い電流で運転される。図5には、高磁場印加時および低磁場印加時における超電導線材の電流−電圧特性が模式的に示される。図5に示すように、臨界電流付近では超電導線材に電圧が発生するため、ジュール損失が発生する。また、超電導線材に対して高磁場が印加されるに従って、臨界電流が低下する。そのため、高磁場が印加された状態では、低磁場が印加された状態に比べて、超電導線材には同じ電流でもより高い電圧が発生することから、結果的にジュール損失も増大することになる。
交流損失は、その発生メカニズムによって、ヒステリシス損失、結合損失、および渦電流損失に分類される。これらの損失のうちヒステリシス損失が支配的であり、高い磁場が印加されるほど、ヒステリシス損失が増大する。
以上により、高い磁場が印加されるほど、ジュール損失およびヒステリシス損失が増大する。なお、帯状の超電導線材においては、ジュール損失およびヒステリシス損失は、帯状面に対して垂直な方向の磁場(垂直磁場)の影響が大きい。
図6は、特許文献1に示される、従来の超電導コイル体の伝熱経路を模式的に示す図である。図6に示した超電導コイル体において、コイル要素11と冷却板31とが交互に積層されたコイル部10では、軸方向Aa(積層方向)における端部に位置するコイル要素11e(以下、「端部コイル要素」とも称する)は、軸方向Aaにおける中央部に位置するコイル要素11c(以下、「中央部コイル要素」とも称する)に比べて、超電導線材の主表面に対して垂直な方向の磁束が多くなるために、損失(ジュール損失およびヒステリシス損失)が大きくなりやすい。そのため、端部コイル要素11eに発熱が集中的に生じやすくなる。図6中の矢印は、各冷却板31と冷凍機121との間に形成される伝熱経路を示している。軸方向Aaにおける中央部から端部に向かうに従って、冷却板31の熱負担が大きくなる。端部コイル要素11eと接触する冷却板31は、中央部コイル要素11cと接触する冷却板31に比べて、熱負担が著しく大きくなるため、端部コイル要素11eの温度上昇を抑制することが困難となることが懸念される。
ここで、超電導コイル体の冷却効率を向上させるための方法としては、冷却板31の厚みを厚くして冷却板31の熱抵抗を小さくすることが考えられる。しかしながら、冷却板31を厚くすると、コイル部10の軸方向Aaの寸法を大きくすることになる。また、コイル要素11の間隔が広がるため、軸方向Aaにおける超電導線材の見かけ密度が低減し、結果的に磁場強度が低減してしまう。この磁場強度の低下分を補填するためには、各コイル要素11の巻き数を増やすことが必要となり、必要な線材量を増大させるとともに、コイル部10の径方向Arの寸法を大きくすることになる。このように、冷却板31の厚みを厚くすることは、超電導コイル体の大型化およびコスト上昇を招くことが懸念される。
そこで、本発明の実施の形態では、複数の冷却板31を、冷却ヘッド20に熱的に接続される第2の部分31bとは異なる第3の部分31cにおいて、積層方向に互いに熱的に接続する。図7は、本実施の形態に係る超電導コイル体91における伝熱経路を説明するための模式図である。
図7に示すように、端部コイル要素11eと接触する冷却板31は、伝熱ブロック40を介して、端部コイル要素11eよりも中央部側に位置するコイル要素11と接触する他の冷却板31と熱的に接続される。そのため、図7中に矢印で示されるように、端部コイル要素11eの熱を他の冷却板31に伝える伝熱経路が形成される。他の冷却板31に伝えられた熱は、他の冷却板31に接触するコイル要素11の熱とともに、冷凍機121に伝搬されることになる。
これによると、端部コイル要素11eの発熱を、端部コイル要素11eと接触する冷却板31に比べて熱負担の小さい他の冷却板31にも分担させることができる。各冷却板31が負担すべき熱が平準化されることによって、端部コイル要素11eと接触する冷却板31の負担が低減されるため、端部コイル要素11eの温度上昇を抑制することができる。この結果、冷却板31を厚くすることなく、超電導コイル体91の冷却効率を向上させることができる。以下に本発明の各実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図8は、実施の形態1に係る超電導コイル体91の斜視模式図である。図9は、図8における領域RNを部分的に拡大した図である。なお、図8および図9ではフランジ14aの図示が省略されている。
図8および図9に示すように、冷却板31の第3の部分31cは、円環状の第1の部分31aの外周と接続され、かつ、コイル要素11の積層方向に垂直な方向外側に向けて突出している。伝熱ブロック40は、積層方向に沿って第3の部分31cと交互に積層され、冷却板31と熱的に接続される。
第3の部分31cおよび伝熱ブロック40の両側には固定部材15が配置されている。固定部材15により、伝熱ブロック40は、第3の部分31cとともにフランジ14a(図示せず)および14bに把持される。フランジ14a,14bは、冷却板31を積層方向押圧する。この押圧力を利用して第3の部分31cと伝熱ブロック40とを接触させることで、第3の部分31cと伝熱ブロック40との密着性を確保することができる。これにより、第3の部分31cと伝熱ブロック40との機械的な接触が改善されるため、第3の部分31cと伝熱ブロック40との間の熱抵抗を小さくすることができる。よって、端部コイル要素11eの発熱を複数の冷却板31で分担することができる。
実施の形態1に係る超電導コイル体91では、整列部材として3つの整列部材80a〜80cが配置されている。複数の整列部材80a〜80cは、フランジ14aとフランジ14bとを接続するとともに、コイル部10を積層方向と交差する方向から押圧する。
具体的には、複数の整列部材80a〜80cは、コイル部10の内周側に配置されている。複数の整列部材80a〜80cは、図10に示すように、コイル部10を構成する複数のコイル要素11の内周端面11aを押圧する。図8では、複数の整列部材80a〜80cとして、3つの整列部材80a〜80cが配置されている。複数の整列部材80a〜80cは、複数のコイル要素11の開口部における端面である内周端面に、互いに間隔を隔てて接触している。図11に示すように、複数の整列部材80a〜80cは、複数のコイル要素11の開口部の周方向において等間隔に配置されている。なお、複数の整列部材80a〜80cは当該周方向において異なる間隔で配置されてもよい。図8では3つの整列部材80a〜80cを備える超電導コイル体91が示されているが、整列部材の数は2でもよく、4以上でもよい。
複数の整列部材80a〜80cでは、コイル要素11と接触する表面が平面であってもよいが、図11に示すように、当該表面が曲面となっていてもよい。巻軸Awの方向から見た曲率半径は、コイル要素11の内周端面の曲率半径と同じとしてもよいが、当該内周端面の曲率半径より大きくしてもよい。
図10に示すように、複数の整列部材80a〜80cの上部である一方端部は、フランジ14aに接続されている。複数の整列部材80a〜80cの下部である他方端部はフランジ14b(図示せず)に接続されている。整列部材80a〜80cの一方端部とフランジ14aの固定部140aとの接続部には、接続部材50が配置されている。接続部材50は、具体的にはボルト51と、ナット52と、弾性部材としての皿バネ53とを含む。
例えば図10に示すように、ボルト51は整列部材80aの内周側から穴54に通され、フランジ14aの穴58を介して開口部55にまで到達するように配置されている。ナット52は、フランジ14aの開口部55内部においてボルト51の端部に固定される。また、皿バネ53は、ボルト51に取り付けられるとともに、ナット52と開口部55の内周面(穴54が開口している内周面)との間に配置されている。ナット52は、皿バネ53を整列部材80a側の方向に押圧した状態で、ボルト51に固定される。このため、皿バネ53が弾性変形することで、ボルト51および整列部材80aをフランジ14a側に引き寄せる力が発生している。
また、図10に示すように、フランジ14aおよび整列部材80aの接続部において、整列部材80aとフランジ14aの固定部140aとの間には隙間が形成されている。このようにすれば、整列部材80aは、皿バネ53によりフランジ14a側に向かうように付勢されているため、結果的に、図11中の矢印56で示すように、整列部材80aがコイル要素11の内周端面11aを押圧する。
また、整列部材80a〜80cとフランジ14aおよび14bとの接続部の構造は、図9に示した整列部材80aとフランジ14aとの接続部の構造と同様である。具体的には、図12に示すように、整列部材80aは、接続部材50としてのボルト51a、ナット52aおよび皿バネ53によりフランジ14aに接続される。整列部材80bは、接続部材50としてのボルト51b、ナット52bおよび皿バネ53によりフランジ14aに接続される。整列部材80cは、接続部材50としてのボルト51c、ナット52cおよび皿バネ53によりフランジ14aに接続される。
この結果、複数の整列部材80a〜80cが、複数のコイル要素11の内周端面11aの複数個所を押圧することで、結果的に整列部材80a〜80cとコイル要素11との接触面に沿って複数のコイル要素11が整列する。すなわち、複数の整列部材80a〜80cは、複数のコイル要素11を積層方向において整列させている。
ここで、コイル要素11と積層されている冷却板31は、その積層部分において、コイル要素11の開口部に対応する開口部が形成されている。図10に示すように、冷却板31の開口部の内周端面は、整列部材80a〜80cと接触している。この場合、複数の冷却板31も複数のコイル要素11と同様に、整列部材80a〜80cにより積層方向において整列される。ただし、冷却板31の開口部の内周端面が整列部材80a〜80cと接触しない構成としてもよい。
以上説明したように、実施の形態1に係る超電導コイル体91によれば、複数の冷却板31は、冷却ヘッド20に熱的に接続される第2の部分31bとは異なる第3の部分31cにおいて、積層方向に互いに熱的に接続されているため、集中的に発熱が生じ易い端部コイル要素11eの発熱を、端部コイル要素11eと接触する冷却板31に比べて熱負担の小さい他の冷却板31にも分担させることができる。これにより、端部コイル要素11eと接触する冷却板31の熱負担が低減されるため、端部コイル要素11eの温度上昇を抑制することが可能となる。この結果、冷却板31を厚くすることなく、超電導コイル体91の冷却効率を向上させることができる。
また、実施の形態1に係る超電導コイル体91では、複数の整列部材80a〜80cが複数のコイル要素11を積層方向と交差する方向である径方向から押圧することで、各コイル要素11において複数の整列部材80a〜80cと接触する部分について、径方向での配置を揃えることができる。この結果、径方向において複数のコイル要素11の位置が揃うため、巻軸Awの方向から見て複数のコイル要素11の位置が揃った状態、つまり、巻軸Awの方向において複数のコイル要素11が整列した状態を実現することができる。したがって、巻軸Awの方向において整列した複数のコイル要素11により、超電導コイル体91は均一性の高い磁場を形成することができる。
(実施の形態2)
図13は、実施の形態2に係る超電導コイル体91の構成を概略的に示す断面図である。図13に示すように、実施の形態2に係る超電導コイル体91は、実施の形態1に係る超電導コイル体91と比較して、シム部材44a,44bをさらに備える点が異なる。
シム部材44aは、フランジ14aと冷却板31との間に配置される。シム部材44bは、フランジ14bと冷却板31との間に配置される。シム部材44a,44bは、展性および延性を有する熱伝導材料から構成されている。シム部材44a,44bは、例えばインジウムシートを用いることができる。
超電導コイル体91においてナット15b(図2)の締め付け圧力が大きいと、押圧部材であるフランジ14a,14bが撓んでしまう場合がある。このような場合、冷却板31とコイル要素11との接触面に働く面圧力が不均一となり、冷却板31とコイル要素11との密着性が損なわれる可能性がある。同様に、冷却板31と伝熱ブロック40との接触面に働く面圧力が不均一となるために、冷却板31および伝熱ブロック40の密着性が損なわれる可能性がある。その結果、冷却板31とコイル要素11との熱抵抗、および冷却板31と伝熱ブロック40との熱抵抗を増加させる(すなわち、熱伝導性を低下させる)可能性がある。
実施の形態2では、図13に示すように、フランジ14a,14bと冷却板31との隙間にシム部材44a,44bをそれぞれ挟み込むことで、冷却板31およびコイル要素11の接触面における密着性、ならびに冷却板31および伝熱ブロック40の接触面における密着性を確保することができる。この結果、冷却板31およびコイル要素11間、ならびに冷却板31および伝熱ブロック40間の熱伝導性を改善できるため、超電導コイル体91の冷却効率をより一層向上させることができる。
(実施の形態3)
上述したように、伝熱ブロック40によって複数の冷却板31を熱的に接続する構成においては、複数の冷却板31間に伝熱経路を形成することができるが、その一方で、冷却板31が導電性を有する場合には、複数の冷却板31間が電気的に接続されることになる。この結果、超電導コイル体91に交流電流を流したときに、複数の冷却板31の間に渦電流が流れる経路が形成されてしまうため、結果的に渦電流損失が増大することが懸念される。なお、渦電流損失の大きさは、一般的に、周波数(すなわち、励磁速度)の2乗に比例する。すなわち、周波数が高いほど(励磁速度が速いほど)、渦電流損失が大きくなる。よって、超電導コイル体91を高周波数で励磁する場面では、渦電流損失の増大が懸念される。
実施の形態3では、複数の冷却板31を、熱的な接続を保ちつつ、互いに電気的に分離することで、複数の冷却板31間で形成される渦電流経路を遮断する。
図14は、実施の形態3に係る超電導コイル体91の構成を概略的に示す断面図である。図14に示すように、実施の形態3に係る超電導コイル体91は、実施の形態1に係る超電導コイル体91と比較して、絶縁部材45を備える点が異なる。
絶縁部材45は、冷却板31と伝熱ブロック40との間に配置される。すなわち、伝熱ブロック40の巻軸Awの方向における両端面は、絶縁部材45で覆われており、絶縁部材45を介して冷却板31と熱的に接続されることになる。絶縁部材45は、例えばポリイミドまたはFRP(Fiber Reinforced Plastics)等の絶縁フィルムを用いることができる。
絶縁部材45は、冷却板31および伝熱ブロック40との間に配置され、冷却板31および伝熱ブロック40とともに、フランジ14a,14bによって把持される。絶縁部材45を、薄膜のフィルムで構成することで、超電導コイル体91の大型化および重量化を抑制することができる。
なお、本実施の形態に係る超電導コイル体91を磁場共鳴診断装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging)や核磁気共鳴分析装置(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)等、高磁場が必要とされる超電導マグネット装置に適用する場合には、超電導コイル体91を低周波数で励磁し、静磁場(時間的に変化しない定常磁場)を生成させた状態を長時間保持して診断または分析を行なうように構成される。
このような構成では、超電導コイル体91は、高周波数での励磁を必要とせず、低周波数もしくは周波数が零となる条件で専ら使用される。なお、上記構成において超電導コイル体91を高周波数で励磁しない理由には、超電導コイル体91が大型であるために、交流損失が非常に大きくなることが挙げられる。
上記条件によると、超電導コイル体91に発生する渦電流損失は小さく抑えられるため、図2および図7に示すように、複数の冷却板31を伝熱ブロック40を介して熱的かつ電気的に接続しても、直ちに渦電流損失の増大に繋がることがない。言い換えれば、本実施の形態に係る超電導コイル体91は、MRI装置やNMR装置等のような低周波数または静磁場を生成する超電導マグネット装置に好適に用いることができる。これによれば、超電導マグネット装置の運転中において、超電導コイル体91の端部コイル要素11eの発熱(ジュール損失およびヒステリシス損失)を効率的に除去できるため、超電導コイル体91の冷却効率を向上することができる。
(実施の形態4)
上述した実施の形態1から3では、超電導コイル体91に含まれる複数の冷却板31の全てを熱的に接続する構成について説明したが、基本的に、端部コイル要素11eと接触する冷却板31を他の冷却板31と熱的に接続することができれば、端部コイル要素11eの発熱を熱負担が小さい他の冷却板31に分担させることができる。すなわち、端部コイル要素11eと接触する冷却板31を含む、少なくとも2つの冷却板31を熱的に接続すれば、端部コイル要素11eと接触する冷却板31の熱負担を低減することができる。
図15は、実施の形態4に係る超電導コイル体91の構成を概略的に示す断面図である。図15に示すように、実施の形態4に係る超電導コイル体91においては、端部コイル要素11eと接触する冷却板31は、端部コイル要素11eと隣接する2つのコイル要素と接触する冷却板31と熱的に接続される。
図15においても、端部コイル要素11eと接触する冷却板31から隣接する2つの冷却板31に熱を伝える伝熱経路が形成されるため、端部コイル要素11eの発熱を当該2つの冷却板31に分担させることができる。よって、超電導コイル体91の冷却効率を向上させることができる。
なお、図15に示すように複数の冷却板31の一部にのみ伝熱ブロック40を接続する場合、フランジ14a,14bによって冷却板31の第3の部分31cおよび伝熱ブロック40を把持することができない。そのため、冷却板31の第3の部分31cと伝熱ブロック40との密着性を保つことが難しくなる。
そこで、図15に示すように、伝熱ブロック40が接続されない冷却板31に対しては、伝熱ブロック40と同一の形状を有するダミーブロック42を接続させることで、フランジ14a,14bによる第3の部分31cおよび伝熱ブロック40の把持を可能としている。ダミーブロック42は、絶縁性を備えた材料から構成される。ダミーブロック42は、例えば、FRPなどより形成される。
(実施の形態5)
図16は、実施の形態5に係る超電導機器の全体構成を概略的に示した上面透視図である。図17は、実施の形態5に係る超電導機器の全体構成を概略的に示した側面図であり、図16のXVII−XVII線での断面図に対応する。
図16に示すように、実施の形態5に係る超電導機器100は、図1に示す超電導機器100と比較して、支持部材70を備える点が異なる。
支持部材70は、超電導コイル体91の巻軸Awの方向の荷重を支持する。支持部材70は、例えば棒状の形状を有しており、一方の端部が断熱容器111の上面111cに取り付けられる。支持部材70の他方の端部は、ねじ70aによってフランジ14bに固定される。すなわち、支持部材70は、フランジ14bと断熱容器111の上面111cとをつなぐ。
なお、支持部材70は、フランジ14a,14bのいずれに接続されてもよい。したがって、支持部材70は、フランジ14aと、断熱容器111の上面11cとつなぐように設けられてもよい。しかし、超電導コイル体91の冷却効率の観点からは、支持部材70は、フランジ14bと、断熱容器111の上面111cとをつなぐように設けられることが好ましい。
フランジ14aには、貫通孔142が形成される。支持部材70は、貫通孔142を通される。貫通孔142の径は、支持部材70がフランジ14a(貫通孔142の内壁)に接触しないように定められている。支持部材70がフランジ14aに接触した場合、断熱容器111と超電導コイル体91との間の伝熱経路が短くなり、断熱容器111の外部の熱が超電導コイル体91に伝わりやすくなるためである。支持部材70はフランジ14aに接触せず、フランジ14bに接触することで、断熱容器111と超電導コイル体91との間の伝熱経路を長くすることができる。
なお、図16に示された構成では、支持部材70の数が4本である。例えば4つの支持部材70は、水平面において、巻軸Awに対して等角度(90°)となるように配置される。
支持部材70の材質は、例えばGFPR(Glass Fiber Reinforced Plastics)である。これにより、高い断熱性および高い強度を有する支持部材を実現することができる。
支持部材70は、断熱容器111外部の熱を超電導コイル体91に伝える伝熱経路を構成する。そのため、支持部材70の本数を多くするほど、1本の支持部材70に加わる荷重を小さくすることができる一方で、伝熱経路が増えるため、超電導コイル体91の冷却効率が低下しやすくなる。
本実施の形態では、図16に示すように、巻軸Awの方向から見て、支持部材70に近接するように、第3の部分31cを配置する。このようにすると、断熱容器111の外部から支持部材70を経由して侵入した熱は、フランジ14bに伝わると、フランジ14bに接触する冷却板31と、この冷却板31に伝熱ブロック40を介して熱的に接続される冷却板31とに伝わる。そして、これらの冷却板31に経由して冷凍機121に熱が伝わる。したがって、支持部材70を経由して侵入した熱がコイル要素11に伝わるのを抑制することができ、結果的に超電導コイル体91の冷却効率の低下を抑制することができる。
なお、図16の例では、4つの支持部材70のうち、冷却ヘッド20から離れて位置する2つの支持部材70に近接するように、第3の部分31cが配置されている。冷却ヘッド20の近くに位置する2つの支持部材70を経由して侵入した熱は第2の部分31bによって吸収することができるのに対して、冷却ヘッド20から離れて位置する2つの支持部材70は、第2の部分31bまでの伝熱経路が長くなるため、当該2つの支持部材70を経由して侵入した熱がコイル要素11に伝わることを阻止するために、当該2つの支持部材70に近接して第3の部分31cが配置されている。
なお、上述した実施の形態1から5による構成は単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて用いてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 コイル部
11 コイル要素
11e 端部コイル要素
11c 中央部コイル要素
12a,12b パンケーキコイル
14a,14b フランジ
15 固定部材
15a 連結用ボルト
15b ナット
20 冷却ヘッド
21 端部
31 冷却板
31a 第1の部分(冷却板)
31b 第2の部分(冷却板)
31c 第3の部分(冷却板)
32 固定具
32a,32b 部材
34a,34b ねじ
40 伝熱ブロック
42 ダミーブロック
44a,44b シム部材
45 絶縁部材
50 接続部材
51 ボルト
52 ナット
53 皿バネ
70 支持部材
80a〜80c 整列部材
81 芯部
91 超電導コイル体
100 超電導機器
111 断熱容器
111c 上面
121 冷凍機
122 ホース
123 コンプレッサ
131 ケーブル
132 電源
140a 固定部
142 貫通孔
Aa 軸方向
Ar 径方向
Aw 巻軸
FD 折曲部
MF 磁束
SC 磁場印加領域

Claims (10)

  1. 超電導線材が巻回された複数のコイル要素が積層されたコイル部と、
    前記コイル部を冷却するための冷却ヘッドと、
    前記コイル部と前記冷却ヘッドとを互いにつなぐ伝熱部とを備え、
    前記伝熱部は、前記複数のコイル要素の積層方向に沿って少なくとも1つのコイル要素と積層された複数の冷却板を含み、前記複数の冷却板の各々は、前記冷却ヘッドと熱的に接続される部分を有し、
    前記複数の冷却板のうち少なくとも2つの冷却板は、前記冷却ヘッドと熱的に接続される部分とは異なる部分において、前記積層方向に互いに熱的に接続される、超電導コイル体。
  2. 前記少なくとも2つの冷却板は、
    前記コイル部の前記積層方向における端部に位置する前記コイル要素に接触する第1の冷却板と、
    前記コイル部の前記積層方向における端部よりも中央部側に位置する前記コイル要素に接触する第2の冷却板とを含む、請求項1に記載の超電導コイル体。
  3. 前記複数の冷却板は、前記冷却ヘッドと熱的に接続される部分とは異なる部分において、前記積層方向に互いに熱的に接続される、請求項1に記載の超電導コイル体。
  4. 前記積層方向に沿って前記少なくとも2つの冷却板と交互に積層され、前記少なくとも2つの冷却板と熱的に接続される伝熱部材と、
    前記少なくとも2つの冷却板を前記積層方向から押圧する押圧機構とをさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超電導コイル体。
  5. 前記複数の冷却板の各々は、
    前記積層方向から見て前記コイル要素と重なる第1の部分と、
    前記第1の部分に接続されるとともに、前記冷却ヘッドと熱的に接続される第2の部分と、
    前記第1の部分と接続され、かつ前記積層方向に垂直な方向外側に向けて突出する第3の部分とを有し、
    前記伝熱部材は、前記積層方向に沿って前記少なくとも2つの冷却板の前記第3の部分とともに並べられ、かつ前記第3の部分と熱的に接続され、
    前記押圧機構は、前記コイル部を前記積層方向から押圧することにより、前記複数の冷却板および前記伝熱部材を把持する、請求項4に記載の超電導コイル体。
  6. 前記押圧機構は、前記コイル部の前記積層方向における両端部に配置された第1フランジ部材および第2フランジ部材を含み、
    前記積層方向から見て前記第1フランジ部材および前記第2フランジ部材は、前記第1の部分および前記第3の部分と重なる、請求項5に記載の超電導コイル体。
  7. 前記第3の部分は、前記第1の部分に複数接続されており、
    複数の前記第3の部分は、前記第1の部分の外周に沿って互いに離間して配置される、請求項5または請求項6に記載の超電導コイル体。
  8. 前記伝熱部は、前記少なくとも2つの冷却板と前記伝熱部材との間に配置された絶縁部材をさらに含む。請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の超電導コイル体。
  9. 前記超電導コイル体は、支持部材によって前記積層方向における一方の端部が容器につながれることによって、前記容器内に保持されるように構成され、
    前記冷却ヘッドと熱的に接続される部分とは異なる部分は、前記積層方向から見て前記支持部材に近接して配置される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の超電導コイル体。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の超電導コイル体と、
    前記超電導コイル体を内部の保持する容器と、
    前記容器に設置され、前記冷却ヘッドを冷却する冷却装置とを備える、超電導機器。
JP2018101499A 2018-05-28 2018-05-28 超電導コイル体および超電導機器 Active JP7151173B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018101499A JP7151173B2 (ja) 2018-05-28 2018-05-28 超電導コイル体および超電導機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018101499A JP7151173B2 (ja) 2018-05-28 2018-05-28 超電導コイル体および超電導機器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019207916A true JP2019207916A (ja) 2019-12-05
JP7151173B2 JP7151173B2 (ja) 2022-10-12

Family

ID=68767837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018101499A Active JP7151173B2 (ja) 2018-05-28 2018-05-28 超電導コイル体および超電導機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7151173B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021027268A (ja) * 2019-08-08 2021-02-22 株式会社日立製作所 超電導磁石装置及び粒子線治療システム
JP7142811B1 (ja) * 2022-03-08 2022-09-27 三菱電機株式会社 位置出し部材並びに超電導マグネット及び超電導マグネットの製造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000114027A (ja) * 1998-10-07 2000-04-21 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 超伝導コイル装置
JP2002208512A (ja) * 2001-01-09 2002-07-26 Sumitomo Electric Ind Ltd 高温超電導コイルの冷却方法および冷却構造物
WO2014049842A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 株式会社日立製作所 超電導コイル及び超電導磁石装置
JP2016086138A (ja) * 2014-10-29 2016-05-19 住友電気工業株式会社 超電導マグネットおよび超電導機器
WO2016092882A1 (ja) * 2014-12-09 2016-06-16 三菱電機株式会社 ダブルパンケーキコイル位置出し部材、超電導電磁石装置の製造方法及び超電導電磁石装置
JP2017112254A (ja) * 2015-12-17 2017-06-22 三菱電機株式会社 超電導電磁石装置、及びその製造方法
WO2018021507A1 (ja) * 2016-07-27 2018-02-01 新日鐵住金株式会社 バルクマグネット構造体、これを用いたnmr用マグネットシステム、およびバルクマグネット構造体の着磁方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000114027A (ja) * 1998-10-07 2000-04-21 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 超伝導コイル装置
JP2002208512A (ja) * 2001-01-09 2002-07-26 Sumitomo Electric Ind Ltd 高温超電導コイルの冷却方法および冷却構造物
WO2014049842A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 株式会社日立製作所 超電導コイル及び超電導磁石装置
JP2016086138A (ja) * 2014-10-29 2016-05-19 住友電気工業株式会社 超電導マグネットおよび超電導機器
WO2016092882A1 (ja) * 2014-12-09 2016-06-16 三菱電機株式会社 ダブルパンケーキコイル位置出し部材、超電導電磁石装置の製造方法及び超電導電磁石装置
JP2017112254A (ja) * 2015-12-17 2017-06-22 三菱電機株式会社 超電導電磁石装置、及びその製造方法
WO2018021507A1 (ja) * 2016-07-27 2018-02-01 新日鐵住金株式会社 バルクマグネット構造体、これを用いたnmr用マグネットシステム、およびバルクマグネット構造体の着磁方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021027268A (ja) * 2019-08-08 2021-02-22 株式会社日立製作所 超電導磁石装置及び粒子線治療システム
JP7210403B2 (ja) 2019-08-08 2023-01-23 株式会社日立製作所 超電導磁石装置及び粒子線治療システム
JP7142811B1 (ja) * 2022-03-08 2022-09-27 三菱電機株式会社 位置出し部材並びに超電導マグネット及び超電導マグネットの製造方法
WO2023170773A1 (ja) * 2022-03-08 2023-09-14 三菱電機株式会社 位置出し部材並びに超電導マグネット及び超電導マグネットの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7151173B2 (ja) 2022-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5534713B2 (ja) 超電導マグネット
EP1443528B1 (en) Super conductive magnet apparatus
JP5101619B2 (ja) 超伝導装置用のステータ巻線の支持体
JP5332217B2 (ja) 超電導装置
JP5226930B2 (ja) 熱管理機器及びその製造方法
JP2019207916A (ja) 超電導コイル体および超電導機器
JP2001244109A (ja) 高温超電導コイル装置
US20160180996A1 (en) Superconducting magnet system
WO2014049842A1 (ja) 超電導コイル及び超電導磁石装置
JP6375872B2 (ja) 超電導マグネットおよび超電導機器
JP2018037480A (ja) 非接触給電装置及び非接触給電装置用電力伝送コイルユニット
JP2012248726A (ja) 超電導コイルおよび超電導マグネット
KR20230116859A (ko) 초전도 전자석 장치 및 초전도 전자석 장치의 냉각방법
JP4922192B2 (ja) 超電導コイル装置
JP5980651B2 (ja) 超電導磁石
KR101891348B1 (ko) 초전도 코일 및 초전도 자석
JP2009170724A (ja) 超電導コイルの冷却容器
JPH10116725A (ja) 超電導磁石装置
JP6452599B2 (ja) 超電導電磁石装置、及びその製造方法
JP5384245B2 (ja) Re系超電導コイル伝導冷却方法及びその装置
JP6392028B2 (ja) 超伝導電磁石
JP2014236057A (ja) 超電導コイル体および超電導機器
JP6349898B2 (ja) 超電導コイル体および超電導機器
KR101605971B1 (ko) 유지 보수기능이 개선된 토로이드 타입 초전도 마그넷 구조
JP6400387B2 (ja) 超伝導電磁石

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220201

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220621

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220727

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20220727

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20220804

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20220816

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220912

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7151173

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150