JP2014236057A - 超電導コイル体および超電導機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】垂直磁場強度を低減することで特性の劣化を防止することが可能な超電導コイル体および超電導機器を提供する。
【解決手段】コイル部は、超電導線を含む複数の超電導コイル(ダブルパンケーキコイル62a〜62dおよび中央部コイル51を構成するダブルパンケーキコイル)を軸方向に積層したコイル部である。ダブルパンケーキコイルの径方向における厚みをr(mm)、超電導線の厚みをt(mm)、ダブルパンケーキコイルにおける超電導線の巻数をnとしたときに、n/(r/t)×100(%)で定義されるパッキング率について、中心軸80の延在方向である軸方向の端部に位置する第1の超電導コイル(端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイル62a〜62d)のパッキング率は、軸方向の中央部に位置する第2の超電導コイル(中央部コイル51を構成するダブルパンケーキコイル)のパッキング率より小さい。
【選択図】図10
【解決手段】コイル部は、超電導線を含む複数の超電導コイル(ダブルパンケーキコイル62a〜62dおよび中央部コイル51を構成するダブルパンケーキコイル)を軸方向に積層したコイル部である。ダブルパンケーキコイルの径方向における厚みをr(mm)、超電導線の厚みをt(mm)、ダブルパンケーキコイルにおける超電導線の巻数をnとしたときに、n/(r/t)×100(%)で定義されるパッキング率について、中心軸80の延在方向である軸方向の端部に位置する第1の超電導コイル(端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイル62a〜62d)のパッキング率は、軸方向の中央部に位置する第2の超電導コイル(中央部コイル51を構成するダブルパンケーキコイル)のパッキング率より小さい。
【選択図】図10
Description
この発明は、超電導コイル体および超電導機器に関し、より特定的には、複数の超電導コイルを積層した超電導コイル体および超電導機器に関する。
従来、複数の超電導コイルを積層体超電導コイル体を用いた超電導機器が提案されている(たとえば、特開2012−248730号公報参照)。特開2012−248730号公報では、冷却板を介して複数の超電導コイルを積層した超電導コイル体であって、積層方向の端部側における冷却板の厚みが相対的に厚くなっているものが開示されている。
上述した従来の超電導コイル体では、超電導コイルで発生した熱を効率的に除去することが考慮されている。一方、超電導コイル体の特性の劣化(たとえば臨界電流密度の低下)を防止すると言う観点から言えば、上述のように超電導コイルを確実に冷却することに加えて、超電導コイル体の特性に影響を与える垂直磁場(超電導コイルを構成する超電導線材の広い面(主表面)に対して垂直な方向の磁場)の強度を低減することも重要である。しかし、上述した従来の超電導コイル体では、このような垂直磁場強度の低減について特に考慮されていない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、垂直磁場強度を低減することで特性の劣化を防止することが可能な超電導コイル体および超電導機器を提供することである。
この発明に従った超電導コイル体は、超電導線材を含む複数の超電導コイルを軸方向に積層した超電導コイル体である。超電導コイルの径方向における厚みをr(mm)、超電導線材の厚みをt(mm)、超電導コイルにおける超電導線材の巻数をnとしたときに、n/(r/t)×100(%)で定義されるパッキング率について、軸方向の端部に位置する第1の超電導コイルのパッキング率は、軸方向の中央部に位置する第2の超電導コイルのパッキング率より小さい。
他の観点から見ると、超電導コイル体は、超電導線材を含む複数の超電導コイルを軸方向に積層した超電導コイル体である。超電導コイルは、径方向における厚みr(mm)を有する。超電導線材は、厚みt(mm)を有する。超電導コイルにおける超電導線材の巻数は、nと定義される。超電導線材は、そのパッキング率が、n/(r/t)×100(%)で定義される。軸方向の端部に位置する第1の超電導コイルのパッキング率は、軸方向の中央部に位置する第2の超電導コイルのパッキング率より小さい。
この発明に従った超電導コイル体は、複数の超電導コイルを軸方向に積層した超電導コイル体であって、第1〜第4の超電導コイルを備える。第1の超電導コイルは軸方向の端部に位置する。第2の超電導コイルは、軸方向の中央部に位置する。第3の超電導コイルは、軸方向において第1の超電導コイルにスペーサを介して隣接する。第4の超電導コイルは、軸方向において第2の超電導コイルに絶縁スペーサを介して隣接する。第1の超電導コイルと第3のコイルとの間の軸方向における第1の距離は、第2の超電導コイルと第4の超電導コイルとの間の軸方向における第2の距離より大きい。
この発明に従った超電導機器は、上記超電導コイル体を備える。このようにすれば、臨界電流密度の低下が抑制された、特性の優れた超電導コイル体を用いることにより、優れた特性の超電導機器を実現できる。
本発明によれば、特性の劣化を防止することが可能な超電導コイル体および超電導機器を得ることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態の超電導機器としての超電導マグネット100は、超電導コイル集合体91と、断熱容器111と、冷却装置121と、ホース122と、コンプレッサ123と、ケーブル131と、電源132とを有する。断熱容器111は超電導コイル集合体91を収めている。本実施の形態においては、磁場が印加される試料(図示せず)を収めるための磁場印加領域SCが断熱容器111内に設けられている。
図1を参照して、本実施の形態の超電導機器としての超電導マグネット100は、超電導コイル集合体91と、断熱容器111と、冷却装置121と、ホース122と、コンプレッサ123と、ケーブル131と、電源132とを有する。断熱容器111は超電導コイル集合体91を収めている。本実施の形態においては、磁場が印加される試料(図示せず)を収めるための磁場印加領域SCが断熱容器111内に設けられている。
図2および図3を参照して、超電導コイル集合体91は、コイル部10と、冷却ヘッド20と、伝熱部30と、芯部81とを有する。伝熱部30は伝熱板群31および固定具32を有する。伝熱板群31は伝熱板31a〜31eから構成されている。本実施形態の伝熱板31a〜31eは絶縁体を含む。しかしながら、伝熱板31a〜31eは、絶縁体を含まなくても良い。すなわち、伝熱板は絶縁体を有していても良く、絶縁体を有していなくても良い。
コイル部10は、超電導線14(図5)が巻き回されることによって形成されており、磁束MFを発生させるためのものである。なお、図5から理解されるように、超電導線14は、テープ状に形成されている。またコイル部10は、磁束MFが通過する端部(図2における上端または下端)を有する。またコイル部10は、ダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nを有する。ダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nは、この順に並ぶように積層されている。軸方向Aa(図2)はダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nの積層方向に対応しており、径方向Arは当該積層方向に垂直な方向(ダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nの中心から外周に向かう方向)に対応している。
冷却ヘッド20は、コイル部10を冷却するためのものであり、冷却可能な端部21と、端部21と冷却装置121(図1)との間をつなぐ接続部22とを有する。
伝熱板群31の各々はコイル部10に取り付けられている。伝熱板31a〜31eにおいて少なくともダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nと、ダブルパンケーキコイルの軸方向Aaにおいて重なる部分は絶縁体を含んでいる。固定具32は冷却ヘッド20の端部21に取り付けられている。固定具32は伝熱板群31の端部を把持している。伝熱板群31のうち固定具32に把持されている部分において、伝熱板31a〜伝熱板31eは互いに直接積層されている。このような構造によって、伝熱部30はコイル部10および冷却ヘッド20を互いにつないでいる。
コイル部10と、伝熱板群31のコイル部10に取り付けられた部分とは、伝導板とパンケーキコイルとが交互に積層された構成を有している。伝熱板31aは、コイル部10の両端において、ダブルパンケーキコイル11aおよび11nの各々の位置に取り付けられている。伝熱板31bは、ダブルパンケーキコイル11aおよび11bの間と、ダブルパンケーキコイル11nおよび11mの間との各々の位置に取り付けられている。伝熱板31cは、ダブルパンケーキコイル11bおよび11cの間と、ダブルパンケーキコイル11mおよび11kの間との各々の位置に取り付けられている。伝熱板31dは、ダブルパンケーキコイル11cおよび11dの間と、ダブルパンケーキコイル11kおよび11jの間との各々の位置に取り付けられている。伝熱板31eは、ダブルパンケーキコイル11eおよび11fの間と、ダブルパンケーキコイル11jおよび11iの間と、ダブルパンケーキコイル11fおよび11gの間との各々の位置に取り付けられている。言い換えると、伝熱板31a〜31eはこの順に、コイル部10のより端部に近い位置に取り付けられている。また伝熱板31a〜31eのそれぞれは、コイル部10における互いに離れた位置に取り付けられている。
伝熱板31a〜31eのうち、コイル部10の端部側に位置する1つ以上の伝熱板(図2では伝熱板31b、31c)の厚みは、他の伝熱板31d、31eの厚みより厚くなっている。このため、ダブルパンケーキコイル11a〜11cのうちの隣接するダブルパンケーキコイル間の距離は、ダブルパンケーキコイル11c〜11kにおける隣接したダブルパンケーキコイル間の距離より大きくなっている。また、ダブルパンケーキコイル11k、11m、11nのうちの隣接するダブルパンケーキコイル間の距離は、ダブルパンケーキコイル11c〜11kにおける隣接したダブルパンケーキコイル間の距離より大きくなっている。なお、詳細は後述する。
伝熱板31a〜31eの特に伝熱特性を担う材料は、熱伝導率が大きい材料が好ましく、たとえばアルミニウム(Al)または銅(Cu)である。Al(またはCu)の純度は99.9%以上が好ましい。また、伝熱板31a〜31eは、固定具32まで延びることができるように、折曲部FDを有してもよい。
固定具32は、部材32a、32bと、ねじ34a、34bとを有する。ねじ34aは、部材32a、32bの間の隙間を調整することができるように、部材32a、32bの両方に形成されたねじ穴に挿入固定されている。部材32aと部材32bの間の隙間に伝熱板群31の端部が挟まれている。この状態で、ねじ34aが締め付けられていることによって、伝熱板群31が固定具32に把持されている。すなわち伝熱板31a〜31eは積層された状態で固定具32に把持されている。部材32a、32bの一部は冷却ヘッド20の端部21の外周に沿った屈曲部を有する。冷却ヘッド20の端部21は端面BMおよび端面BMを取り囲む側面SDを有する。冷却ヘッド20は、たとえば円筒形状を有する。ねじ34bは、部材32a、32bの各々が冷却ヘッド20の端部21の側面SDを締め付けることができるように、当該屈曲部に設けられている。つまり、上記屈曲部は2分割されており、ねじ34bは当該2分割された屈曲部の部分同士をつなぐ様に配置されている。これにより固定具32は冷却ヘッド20の端部21に取り付けられている。
図4および図5を参照して、ダブルパンケーキコイル11aは、互いに積層されたパンケーキコイル12aおよび12bを有する。パンケーキコイル12aにおける超電導線14の巻き回し方向Waと、パンケーキコイル12bにおける超電導線14の巻き回し方向Wbとは互いに逆である。パンケーキコイル12aの内周側に位置する超電導線14の端部ECiと、パンケーキコイル12bの内周側に位置する超電導線の端部ECiとは、互いに電気的に接続されている。これにより、パンケーキコイル12aの外周側に位置する超電導線14の端部ECoと、パンケーキコイル12bの外周側に位置する超電導線14の端部ECoとの間で、パンケーキコイル12aおよび12bは互いに直列に接続されている。
ダブルパンケーキコイル11b〜11k、11m、11nの各々もダブルパンケーキコイル11aと同様の構成を有する。ダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nは、基本的に同じ巻数および外径を有する。ダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nのうち互いに隣り合うものの各々の端部ECoは互いに電気的に接続されている。これにより、ダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nは互いに直列に接続されている。
超電導線14は、厚さ方向における寸法である厚みと、その延在方向(軸方向)における寸法である幅とを有し、延在方向に沿って延在している。幅は厚みよりも大きい。つまり、超電導線14は所定の幅を有する帯状面を有する。超電導線14は、帯状面に垂直な磁場(垂直磁場)が印加されるほど交流損失が増大するような特性を有する。
たとえば、上記厚みは0.2mm程度、幅は4mm程度である。またたとえば超電導線14は、延在方向に延びるBi系超電導体と、この超電導体を被覆するシースとを有する。シースは、たとえば銀や銀合金よりなっている。
伝熱板31a〜31eは、積層板であってもよく、好ましくは、同一の厚さを有する単層板が積層されることによって形成されている。あるいは伝熱板31a〜31eは単層板であってもよい。伝熱板31a〜31eとして積層板が用いられる場合、伝熱板31a〜31eの厚さは、たとえば、各積層板を構成する単層板の数によって調整することができる。
図2および図6に示すように、本発明によるコイル部10では、厚さH1のダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nが積層配置されている。コイル部10の中心軸80に沿った方向における端部に位置するダブルパンケーキコイルを端部コイル52と呼ぶ。また、コイル部10の中心軸80に沿った方向における中央部に位置するダブルパンケーキコイルを中央部コイル51と呼ぶ。ここで、端部コイル52は、たとえば図6に示すようにダブルパンケーキコイル11a、11b、11m、11nを含む。また、中央部コイル51は、たとえば図2に示すダブルパンケーキコイル11c〜11kを含む。端部コイル52において隣接するダブルパンケーキコイルの間の距離H2は、中央部コイル51において隣接するダブルパンケーキコイルの間の距離H3より大きくなっている。また、中央部コイル51と端部コイル52との間の距離H2も上記距離H3より大きくなっている。なお、ここではダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nの厚さH1はすべて同じとしている。
このように、コイル部10の端部コイル52におけるダブルパンケーキコイル間の距離H2を、中央部コイル51におけるダブルパンケーキコイル間の距離H3より相対的に大きくしている。このようにして、コイル部10の端部での軸方向における超電導線14の見かけ密度を低減している。この結果、コイル部10の端部において磁場強度を低減できる。そのため、ダブルパンケーキコイル11a、11b、11m、11nを構成する超電導線14に対する垂直磁場の強度をより効果的に低減できる。したがって、軸方向端部に位置するダブルパンケーキコイル11a、11b、11m、11nでの、垂直磁場に起因する臨界電流密度の低下を抑制できる。この結果、優れた特性のコイル部10を実現できる。なお、図6では、ダブルパンケーキコイル11b、11cの間の距離H2も中央部コイル51における距離H3より大きくなっている。また、ダブルパンケーキコイル11k、11mの間の距離H2も中央部コイル51における距離H3より大きくなっている。異なる観点から言えば、中央部コイル51と端部コイル52との間の軸方向での距離H2は、中央部コイル51におけるダブルパンケーキコイル間の距離H3より大きくなっている。
ダブルパンケーキコイル11a、11bの間の距離H2は、図7に示すように伝熱板31bの厚みによって規定することができる。また、他のダブルパンケーキコイルの間の距離H2、H3も、伝熱板の厚みによって規定することができる。
また、図8に示すように、ダブルパンケーキコイル11a、11bの間に、絶縁部材53の対向する表面に1組の伝熱板31を接続した部材を配置することで、上記距離H2を規定してもよい。また、同様の構造の部材を、ダブルパンケーキコイル11bと中央部コイル51を構成するダブルパンケーキコイル11cとの間に配置してもよい。また、図7に示したダブルパンケーキコイル11m、11nの間に、上述した絶縁部材53と1組の伝熱板31とからなる部材を配置することで、上記距離H2を規定してもよい。このようにすれば、図7に示したコイル部10と同様の効果を得られると共に、絶縁部材53の厚みを変更することで容易に距離H2を調整することができる。
(実施の形態2)
図9を参照して、本実施の形態の超電導マグネットは、基本的には図1〜図8に示した超電導マグネットと同様の構造を備える。しかし、図9に示したコイル部10を構成するダブルパンケーキコイルのうち、端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイル11a、11b、11m、11nの構成、および伝熱板群31(図2参照)の構成が図1〜図8に示した超電導マグネットと異なっている。
図9を参照して、本実施の形態の超電導マグネットは、基本的には図1〜図8に示した超電導マグネットと同様の構造を備える。しかし、図9に示したコイル部10を構成するダブルパンケーキコイルのうち、端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイル11a、11b、11m、11nの構成、および伝熱板群31(図2参照)の構成が図1〜図8に示した超電導マグネットと異なっている。
すなわち、図9に示した超電導マグネットのコイル部10では、軸方向の端部に位置する端部コイル62と、中央部コイル51とでダブルパンケーキコイルの構成が異なっている。また、中央部コイル51および端部コイル62のそれぞれにおいて、ダブルパンケーキコイル間の軸方向での距離は同じに設定されている。すなわち、中央部コイル51および端部コイル62のそれぞれにおいて、ダブルパンケーキコイルの間に配置され、上記軸方向での距離を規定する伝熱板群31(図2参照)は、同じ厚みの複数の伝熱板により構成されている。
ここで、超電導コイルであるダブルパンケーキコイルの径方向における厚み(図9参照)をr(mm)、超電導線14(図5参照)の厚みをt(mm)、ダブルパンケーキコイルにおける超電導線14の巻数をnとしたときに、n/(r/t)×100(%)で定義されるパッキング率を考える。そして、図9に示したコイル部10では、軸方向の端部に位置する端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイルのパッキング率は、軸方向の中央部に位置する中央部コイル51のダブルパンケーキコイルのパッキング率より小さくなっている。具体的には、端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイルは、中央部コイル51のダブルパンケーキコイルと同様の外径である。一方、端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイルでは超電導線14の巻数が中央部コイル51における巻数より少なくなっている。このような巻数の調整は、たとえば超電導線14をコイル状に巻くときに、シート状部材(たとえば絶縁体からなるシート)を一緒に巻き込むことにより実施できる。また、超電導線14をコイル状に巻くときの張力を小さくして、超電導コイル14間の径方向における隙間を大きくしても、巻数を調整できる。
このようにすれば、軸方向でパッキング率がすべて同じダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11nを用いる場合よりも、軸方向端部におけるダブルパンケーキコイルによって発生する磁場の強度を低減できる。このため、軸方向端部に位置する端部コイル62のダブルパンケーキコイルに対する垂直磁場の強度を効果的に低減できる。したがって、軸方向端部に位置する端部コイル62を構成する超電導コイルでの、垂直磁場に起因する臨界電流密度の低下を抑制できる。また、コイル部10の軸方向における中心部において磁場の強度を一定の値に維持できる。この結果、優れた特性のコイル部10および超電導マグネットを実現できる。
上述した、端部コイル62と中央部コイル51とにおいてそれぞれパッキング率を異ならせる構成において、図10に示すように端部コイル62におけるダブルパンケーキコイル62a〜62b間の距離H2を、中央部コイル51におけるダブルパンケーキコイル間の距離H3より大きくする構成を採用してもよい。この場合、上述した図9に示したコイル部10による効果に加えて、さらに図6に示したコイル部10と同様に端部コイル62での垂直磁場の強度をより効果的に低減できる。
ここで、上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
この発明に従った超電導コイル体としてのコイル部10は、超電導線材(超電導線14)を含む複数の超電導コイル(ダブルパンケーキコイル62a〜62dおよび中央部コイル51を構成するダブルパンケーキコイル11c〜11k)を軸方向に積層したコイル部10である。ダブルパンケーキコイル62a〜62d、11c〜11kの径方向における厚みをr(mm)、超電導線14の厚みをt(mm)、ダブルパンケーキコイル62a〜62d、11c〜11kにおける超電導線14の巻数をnとしたとき、超電導コイルのパッキング率は、n/(r/t)×100(%)で定義される。中心軸80の延在方向である軸方向の端部に位置する第1の超電導コイル(端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイル62a〜62d)のパッキング率は、軸方向の中央部に位置する第2の超電導コイル(中央部コイル51を構成するダブルパンケーキコイル11c〜11k)のパッキング率より小さい。
このようにすれば、軸方向でパッキング率がすべて同じダブルパンケーキコイルを用いる場合よりも、軸方向端部におけるダブルパンケーキコイル62a〜62dに対する垂直磁場強度を効果的に低減できる。このため、軸方向端部に位置するダブルパンケーキコイル62a〜62dでの、垂直磁場に起因する臨界電流密度の低下を抑制できる。また、コイル部10の軸方向における中心部(磁場印加領域SC)において磁場の強度を一定の値に維持できる。この結果、優れた特性のコイル部10および超電導マグネット100を実現できる。なお、垂直磁場強度とは、ダブルパンケーキコイル62a〜62dを構成する超電導線14の主表面に対して垂直な方向における磁場の強度を意味する。
上記コイル部10において、図10に示すように、第1の超電導コイル(ダブルパンケーキコイル62a、62d)と、軸方向において第1の超電導コイルに隣接する第3の超電導コイル(ダブルパンケーキコイル62b、62c)との間の軸方向における距離を第1の距離H2とする。また、第2の超電導コイル(中央部コイル51を構成する1つのダブルパンケーキコイル)と、軸方向において第2の超電導コイルに隣接する第4の超電導コイル(中央部コイル51を構成する他のダブルパンケーキコイル)との間の軸方向における距離を第2の距離H3とする。上記第1の距離H2は、上記第2の距離H3より大きくてもよい。
このようにすれば、コイル部10の軸方向端部(端部コイル62)において、第1および第3の超電導コイル間の軸方向での距離H2を相対的に大きくすることで、軸方向における超電導線14の見かけ密度を低減できる。また、端部コイル62では、上述のようにパッキング率を軸方向中央部(中央部コイル51)より相対的に小さくしている。そのため、端部コイル62では、コイルの径方向における超電導線14の見かけの密度も低減されている。この結果、コイル部10の端部(端部コイル62)における磁場の強度を低減できる。そのため、端部コイル62のダブルパンケーキコイル62a〜62dを構成する超電導線14に対する垂直磁場の強度をより効果的に低減できる。
上記コイル部10において、第1の距離H2は5mm以上20mm以下であってもよい。この場合、コイル部10での損失による発熱を十分小さい値(たとえば10W以下)に抑制することができる。また、上記第1の距離H2は、好ましくは10mm以上15mm以下である。この場合、上記損失をより小さくする(たとえば損失による発熱を8W以下にする)ことができる。
上記コイル部10において、第1の超電導コイル(図9の端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイル、または図10のダブルパンケーキコイル62a、62d)のパッキング率は15%以上95%以下であってもよい。この場合、コイル部10での損失による発熱を十分小さい値(たとえば10W以下)に抑制することができる。また、上記第1の超電導コイル(図9の端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイル、または図10のダブルパンケーキコイル62a、62d)のパッキング率は好ましくは30%以上80%以下である。この場合、上記損失による発熱をより低減できる(たとえば5W以下に抑制できる)。また、上記第1の超電導コイル(図9の端部コイル62を構成するダブルパンケーキコイル、または図10のダブルパンケーキコイル62a、62d)のパッキング率は、より好ましくは45%以上60%以下である。この場合、上記損失による発熱をさらに低減できる(たとえば2W以下に抑制できる)。
この発明に従った超電導コイル体としてのコイル部10は、図6、図8、図10に示すように、複数の超電導コイル(図6のダブルパンケーキコイル11a〜11k、11m、11n、図10のダブルパンケーキコイル62a〜62d、中央部コイル51を構成するダブルパンケーキコイル)を軸方向に積層したコイル部10であって、第1〜第4の超電導コイル(図6のダブルパンケーキコイル11a、11b、11m、11n、または図10のダブルパンケーキコイル62a〜62d)を備える。第1の超電導コイル(ダブルパンケーキコイル11a、11n、62a、62d)は軸方向の端部に位置する。第2の超電導コイル(中央部コイル51を構成するダブルパンケーキコイル11c〜11kのうちのいずれか1つ)は、軸方向の中央部に位置する。第3の超電導コイル(ダブルパンケーキコイル11b、11m、62b、62c)は、軸方向において第1の超電導コイル(ダブルパンケーキコイル11a、11n、62a、62d)に絶縁スペーサ(図8の絶縁部材53)を介して隣接する。第4の超電導コイル(中央部コイル51を構成するダブルパンケーキコイル11c〜11kのうちの他の1つ)は、軸方向において第2の超電導コイルに絶縁スペーサ(図8の絶縁部材53と同様の絶縁部材)を介して隣接する。第1の超電導コイルと第3の超電導コイルとの間の軸方向における第1の距離H2は、第2の超電導コイルと第4の超電導コイルとの間の軸方向における第2の距離H3より大きい。
このようにすれば、ダブルパンケーキコイル間の軸方向での距離がすべて同じである場合よりも、軸方向端部におけるダブルパンケーキコイル11a、11n、62a、62dに対する垂直磁場強度を効果的に低減できる。このため、軸方向端部に位置するダブルパンケーキコイル11a、11n、62a、62dでの、垂直磁場に起因する臨界電流密度の低下を抑制できる。また、コイル部10の軸方向における中心部(磁場印加領域SC)において磁場の強度を一定の値に維持できる。この結果、優れた特性のコイル部10を実現できる。
この発明に従った超電導機器としての超電導マグネット100は、上記コイル部10を備える。このようにすれば、臨界電流密度の低下が抑制された、特性の優れたコイル部10を用いることにより、優れた特性の超電導マグネット100を実現できる。
(実施例1)
本発明の効果を確認するため、以下のようなシミュレーション実験を行なった。
本発明の効果を確認するため、以下のようなシミュレーション実験を行なった。
<検討対象>
巻線内径(超電導コイルの内径)を147mm、中心磁場の強度を8Tとして、超電導マグネットの構成についてID1〜ID5という5種類のコイル体を検討した。検討対象の詳細な構成を、後述するシミュレーション結果とともに以下の表1に示す。
巻線内径(超電導コイルの内径)を147mm、中心磁場の強度を8Tとして、超電導マグネットの構成についてID1〜ID5という5種類のコイル体を検討した。検討対象の詳細な構成を、後述するシミュレーション結果とともに以下の表1に示す。
表1からわかるように、ID1のコイル体は、同一種類のダブルパンケーキコイル(DPコイル1)を複数個(22個)、同じ間隔で積層した比較例である。また、ID2〜ID5は本発明の実施例である。ID2のコイル体では、積層方向(軸方向)の中央部にDPコイル1を複数個(12個)所定の間隔で積層する。また、ID2のコイル体では、軸方向の端部にそれぞれ複数個(両端それぞれに3個:合計6個)、ダブルパンケーキ(DP)コイル2を所定の間隔(10.4mm)を隔てて配置する。また、ID3〜ID5のコイル体では、軸方向の中央部にDPコイル1を複数個積層する。ID3〜ID5のコイル体では、軸方向の両端部にそれぞれ6個づつ、パッキング率を相対的に低くしたDPコイル2を配置している。なお、パッキング率の調整は、DPコイル2を形成するために超電導線材を巻回するときに、スペーサとして絶縁シートを同時に巻き込むことにより超電導線材のターン数を調整して行なう。
また、ここで表1中の線材1としては、住友電気工業製のビスマス系超電導線材(DI−BSCCO(登録商標)TypeHT:ステンレススチールからなる補強部材が線材の主面の両面に設置されたもの)を用い、線材2としては、住友電気工業製のビスマス系超電導線材(DI−BSCCO(登録商標)TypeH)を用いる。DPコイル1およびDPコイル2とも、内周側に線材1を配置し、外周側に線材2を配置している。
<検討方法>
表1に示したID1〜ID5のコイル体について、冷却条件などを一定にして中心磁場強度を8Tとしたときの、運転電流、コイル体の軸方向端部における最大垂直磁場強度、DC発熱およびAC発熱をシミュレーション計算により求めた。なお、最大垂直磁場強度とは、コイル体のダブルパンケーキコイルを構成する超電導線材の主面に垂直な方向における磁場の最大強度を意味する。
表1に示したID1〜ID5のコイル体について、冷却条件などを一定にして中心磁場強度を8Tとしたときの、運転電流、コイル体の軸方向端部における最大垂直磁場強度、DC発熱およびAC発熱をシミュレーション計算により求めた。なお、最大垂直磁場強度とは、コイル体のダブルパンケーキコイルを構成する超電導線材の主面に垂直な方向における磁場の最大強度を意味する。
<結果>
表1に示すように、比較例としてのID1のコイル体とくらべて、ID2〜ID5のコイル体ではいずれも最大垂直磁場強度を小さくすることができる。このため、超電導コイルにおける臨界電流値を大きくでき、超電導マグネットの運転電流を大きくできる。このため、超電導線材の使用量を低減して低コストな超電導マグネットを実現できる。また、交流損失(AC発熱)も低減できることがわかる。
表1に示すように、比較例としてのID1のコイル体とくらべて、ID2〜ID5のコイル体ではいずれも最大垂直磁場強度を小さくすることができる。このため、超電導コイルにおける臨界電流値を大きくでき、超電導マグネットの運転電流を大きくできる。このため、超電導線材の使用量を低減して低コストな超電導マグネットを実現できる。また、交流損失(AC発熱)も低減できることがわかる。
(実施例2)
<検討対象>
巻線内径(超電導コイルの内径)を350mm、中心磁場の強度を5Tとして、超電導マグネットの構成についてID6〜ID9という4種類のコイル体を検討した。検討対象の詳細な構成を、後述するシミュレーション結果とともに以下の表2に示す。
<検討対象>
巻線内径(超電導コイルの内径)を350mm、中心磁場の強度を5Tとして、超電導マグネットの構成についてID6〜ID9という4種類のコイル体を検討した。検討対象の詳細な構成を、後述するシミュレーション結果とともに以下の表2に示す。
表2からわかるように、ID6のコイル体は、同一種類のダブルパンケーキコイル(DPコイル1)を複数個(44個)、同じ間隔で積層した比較例である。また、ID7〜ID9は本発明の実施例である。ID7のコイル体では、積層方向(軸方向)の中央部にDPコイル1を複数個(38個)所定の間隔で積層する。また、ID7のコイル体では、軸方向の端部において、上記DPコイル1に隣接してそれぞれ複数個(両端それぞれに2個:合計4個)、ダブルパンケーキ(DP)コイル2を所定の間隔(0.5mm)を隔てて配置する。さらに、ID7のコイル体では、軸方向においてDPコイル2の外側に隣接して、それぞれ複数個(両端それぞれに2個:合計4個)、ダブルパンケーキ(DP)コイル3を所定の間隔(0.5mm)を隔てて配置する。なお、DPコイル1、DPコイル2、DPコイル3と徐々にパッキング率が低くなっている。また、ID8およびID9のコイル体は、基本的にID7のコイル体と同様の構成を備えるが、DPコイル2、3のパッキング率やDPコイル2の個数などがID7のコイル体とは異なっている。
また、ここで表2中の線材1、線材2については、上記実施例1と同様の超電導線材を用いた。DPコイル1〜DPコイル3ではいずれも、内周側に線材1を配置し、外周側に線材2を配置している。
<検討方法>
表2に示したID6〜ID9のコイル体について、上述した実施例1と同様に、冷却条件などを一定にして中心磁場強度を5Tとしたときの、運転電流、コイル体の軸方向端部における最大垂直磁場強度、DC発熱およびAC発熱をシミュレーション計算により求めた。
表2に示したID6〜ID9のコイル体について、上述した実施例1と同様に、冷却条件などを一定にして中心磁場強度を5Tとしたときの、運転電流、コイル体の軸方向端部における最大垂直磁場強度、DC発熱およびAC発熱をシミュレーション計算により求めた。
<結果>
表2に示すように、比較例としてのID6のコイル体とくらべて、ID7〜ID9のコイル体ではいずれも最大垂直磁場強度を小さくすることができる。このため、超電導コイルにおける臨界電流値を大きくできる。したがって、超電導マグネットの運転電流を大きくできる。この結果、低コストな超電導マグネットを実現できる。また、交流損失(AC発熱)も低減できることがわかる。
表2に示すように、比較例としてのID6のコイル体とくらべて、ID7〜ID9のコイル体ではいずれも最大垂直磁場強度を小さくすることができる。このため、超電導コイルにおける臨界電流値を大きくできる。したがって、超電導マグネットの運転電流を大きくできる。この結果、低コストな超電導マグネットを実現できる。また、交流損失(AC発熱)も低減できることがわかる。
(実施例3)
<検討対象>
巻線内径(超電導コイルの内径)を100mm、運転時の通電電流を360A、中心磁場を6Tとして、軸方向の端部におけるダブルパンケーキ(DP)コイルの間隔の影響について検討した。検討対象のコイル体の詳細な構成を、後述するシミュレーション結果とともに以下の表3、表4および図11に示す。
<検討対象>
巻線内径(超電導コイルの内径)を100mm、運転時の通電電流を360A、中心磁場を6Tとして、軸方向の端部におけるダブルパンケーキ(DP)コイルの間隔の影響について検討した。検討対象のコイル体の詳細な構成を、後述するシミュレーション結果とともに以下の表3、表4および図11に示す。
図11および表3に示すように、検討対象のコイル体は、基本的には図6に示したコイル体と同様の構成を備えている。すなわち、中央部コイル51を構成するダブルパンケーキ(DP)コイルは表3のコイル−No.1に記載した構成となっている。また、図11の中央部コイル51の上方に位置する端部コイル52のうち、中央部コイル51に面する一方のDPコイル52bは、表3のコイル−No.2に記載した構成となっている。また、図11の中央部コイル51の上方に位置する端部コイル52のうち、一方のDPコイル52bから見て中央部コイル51側と反対側に位置する他方のDPコイル52aは、表3のコイル−No.3に記載した構成となっている。また、図11の中央部コイル51の下方に位置する端部コイル52のうち、中央部コイル51に面する一方のDPコイル52cは、表3のコイル−No.4に記載した構成となっている。また、図11の中央部コイル51の下方に位置する端部コイル52のうち、一方のDPコイル52cから見て中央部コイル51側と反対側に位置する他方のDPコイル52dは、表3のコイル−No.5に記載した構成となっている。
他の観点から説明すると、図11に示すコイル体は、中央部コイル51と第1および第2の端部コイル52とを有する。第1の端部コイル52は、中央部コイル51の一端側に設けられており、第2の端部コイル52は、中央部コイル51の他端側に設けられている。第1の端部コイル52は、少なくとも、DPコイル52aとDPコイル52bとを有する。DPコイル52aは表3のコイル−No.3である。DPコイル52bは、表3のコイル−No.2である。DPコイル52bは、DPコイル52aと中央部コイル51との間に位置するように配置されている。第2の端部コイル52は、DPコイル52cとDPコイル52dとを有する。DPコイル52cは、表3のコイル−No.4である。DPコイル52dは、コイル−No.5である。DPコイル52cは、DPコイル52dと中央部コイル51との間に位置する。
図11に示したコイル体の内径D1は100mm、外径D2は表4に示す通りである。すなわち、外形D2が153mm〜158mmまで変更した6種類のコイル体で検討している。
また、各DPコイルの軸方向での両端面には、厚さが0.5mmの冷却板が配置されている。
このような構成のコイル体であって、6種類のコイル体は、軸方向端部に位置するDPコイル間の距離H2を、表4の距離H2の欄に示すように0.5mm〜25mmまで変更して検討した。
また、ここで表3に示したDPコイルを構成した超電導線材は、住友電気工業製のビスマス系超電導線材(DI−BSCCO(登録商標)TypeHに絶縁被覆をほどこしたもの)を用いた。
<検討方法>
表4に示した6種類の距離H2(図11の距離H2)のコイル体について、上述した実施例1と同様に、冷却条件などを一定にして中心通電電流360A、温度21Kとしたときの、コイル体の軸方向端部における最大垂直磁場強度、DC発熱およびAC発熱をシミュレーション計算により求めた。
表4に示した6種類の距離H2(図11の距離H2)のコイル体について、上述した実施例1と同様に、冷却条件などを一定にして中心通電電流360A、温度21Kとしたときの、コイル体の軸方向端部における最大垂直磁場強度、DC発熱およびAC発熱をシミュレーション計算により求めた。
<結果>
表4および図12に示すように、軸方向端部でのDPコイル間の距離H2により、特にDC発熱(DCロス)およびAC発熱(ACロス)が異なることが分かる。ここで、図12の横軸は軸方向端部でのDPコイル間の距離H2(端部コイルのギャップ長、単位:mm)を示し、右側の縦軸がコイル体を構成する超電導線の線材長(単位:m)、左側の縦軸が磁場強度(単位:T)、ACロス(単位:W)、DCロス(単位:W)を示している。図12のグラフにおいて、曲線Aが最大垂直磁場強度を示し、曲線BがACロスを示し、曲線CがDCロスを示し、曲線Dが線材長を示す。
表4および図12に示すように、軸方向端部でのDPコイル間の距離H2により、特にDC発熱(DCロス)およびAC発熱(ACロス)が異なることが分かる。ここで、図12の横軸は軸方向端部でのDPコイル間の距離H2(端部コイルのギャップ長、単位:mm)を示し、右側の縦軸がコイル体を構成する超電導線の線材長(単位:m)、左側の縦軸が磁場強度(単位:T)、ACロス(単位:W)、DCロス(単位:W)を示している。図12のグラフにおいて、曲線Aが最大垂直磁場強度を示し、曲線BがACロスを示し、曲線CがDCロスを示し、曲線Dが線材長を示す。
図12から、DC発熱を約10W以下に抑制するためには、上記距離H2を5mm以上20mm以下とすればよく、DC発熱を約8W以下に抑制するためには、上記距離H2を10mm以上15mm以下とすればよいことがわかる。
(実施例4)
<検討対象>
巻線内径(超電導コイルの内径)を147mm、運転時の通電電流を310A、中心磁場を8Tとして、ダブルパンケーキ(DP)コイルのパッキング率の影響について検討した。検討対象のコイル体の詳細な構成を、後述するシミュレーション結果とともに以下の表5、表6および図13に示す。
<検討対象>
巻線内径(超電導コイルの内径)を147mm、運転時の通電電流を310A、中心磁場を8Tとして、ダブルパンケーキ(DP)コイルのパッキング率の影響について検討した。検討対象のコイル体の詳細な構成を、後述するシミュレーション結果とともに以下の表5、表6および図13に示す。
図13および表5に示すように、検討対象のコイル体は、基本的には図9に示したコイル体と同様の構成を備えている。すなわち、コイル体は中央部コイル51と、2つの端部コイル62とを有する。中央部コイル51の軸方向における両端側にそれぞれ端部コイル62が配置されている。中央部コイル51の内周側を構成するダブルパンケーキ(DP)コイル51bは表5のコイル−No.1に記載した構成となっている。また、図13の中央部コイル51の外周側を構成するDPコイル51aは、表5のコイル−No.2に記載した構成となっている。DPコイル51aは、DPコイル51bの外周を囲むように配置されている。また、図13の中央部コイル51の上方(軸方向での一端側)に位置する端部コイル62のうち、内周側のDPコイル62bは、表5のコイル−No.3に記載した構成となっている。また、図13の中央部コイル51の上方に位置する端部コイル62のうち、外周側のDPコイル62aは、表5のコイル−No.4に記載した構成となっている。DPコイル62aは、DPコイル62bの外周を囲むように配置されている。また、図13の中央部コイル51の下方(軸方向での他端側)に位置する端部コイル62のうち、内周側のDPコイル62dは、表5のコイル−No.5に記載した構成となっている。また、図13の中央部コイル51の下方に位置する端部コイル62のうち、外周側のDPコイル62cは、表5のコイル−No.6に記載した構成となっている。DPコイル62cは、DPコイル62dの外周を囲むように配置されている。図11に示したコイル体の内径D1は147mmである。また、各DPコイルの軸方向での両端面には、厚さが0.5mmの冷却板が配置されている。
このような構成のコイル体であって、軸方向端部に位置する端部コイル62のパッキング率を、表6の径方向パッキング率(端部コイル)の欄に示すように0%〜100%まで変更した11種類のコイル体を検討した。
なお、ここで表5に示したコイル−No.1、3、5を構成した超電導線材としては、住友電気工業製のビスマス系超電導線材(DI−BSCCO(登録商標)TypeHTに絶縁被覆をほどこしたもの)を用いた。また、表5に示したコイル−No.2、4、6を構成した超電導線材は、住友電気工業製のビスマス系超電導線材(DI−BSCCO(登録商標)TypeHに絶縁被覆をほどこしたもの)を用いた。
<検討方法>
表6に示した11種類のパッキング率のコイル体について、上述した実施例3と同様に、冷却条件などを一定にして通電電流310A、温度21Kとしたときの、コイル体の軸方向端部における最大垂直磁場強度、DC発熱およびAC発熱をシミュレーション計算により求めた。
表6に示した11種類のパッキング率のコイル体について、上述した実施例3と同様に、冷却条件などを一定にして通電電流310A、温度21Kとしたときの、コイル体の軸方向端部における最大垂直磁場強度、DC発熱およびAC発熱をシミュレーション計算により求めた。
<結果>
表6および図14に示すように、端部コイル62でのパッキング率により、特にDC発熱(DCロス)およびAC発熱(ACロス)が異なることが分かる。ここで、図14の横軸は軸方向端部でのDPコイルのパッキング率(単位:%)を示し、右側の縦軸がコイル体を構成する超電導線の線材長(単位:m)、左側の縦軸が磁場強度(単位:T)、ACロス(単位:W)、DCロス(単位:W)を示している。図14のグラフにおいて、曲線Aが最大垂直磁場強度を示し、曲線BがACロスを示し、曲線CがDCロスを示し、曲線Dが線材長を示す。
表6および図14に示すように、端部コイル62でのパッキング率により、特にDC発熱(DCロス)およびAC発熱(ACロス)が異なることが分かる。ここで、図14の横軸は軸方向端部でのDPコイルのパッキング率(単位:%)を示し、右側の縦軸がコイル体を構成する超電導線の線材長(単位:m)、左側の縦軸が磁場強度(単位:T)、ACロス(単位:W)、DCロス(単位:W)を示している。図14のグラフにおいて、曲線Aが最大垂直磁場強度を示し、曲線BがACロスを示し、曲線CがDCロスを示し、曲線Dが線材長を示す。
図14から、DC発熱を約10W以下に抑制するためには、上記パッキング率を15%以上95%以下とすればよい。また、DC発熱を約5W以下に抑制するためには、上記パッキング率を30%以上80%以下とすればよい。また、DC発熱を約2W以下に制御するためには、上記パッキング率を45%以上60%以下とすればよいことがわかる。
また、図14から分かるように、AC発熱を45W以下に抑制するためには、上記パッキング率を22%以上とすればよい。また、AC発熱を40W以下に抑制するためには、上記パッキング率を40%以上とすればよい。また、AC発熱を40W以下に抑制するためには、上記パッキング率を98%以下とすればよい。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、複数の超電導コイルを積層した超電導コイル体および超電導機器に特に有利に適用される。
10 コイル部、11a〜11k,11m,11n,51a,51b,52a〜52d,62a〜62d ダブルパンケーキコイル、12a,12b パンケーキコイル、14 超電導線、20 冷却ヘッド、21 端部、22 接続部、30 伝熱部、31 伝熱板群、31a〜31e 伝熱板、32 固定具、32a,32b 部材、34a,34b ねじ、51 中央部コイル、52,62 端部コイル、53 絶縁部材、80 中心軸、81 芯部、91 超電導コイル集合体、100 超電導マグネット、111 断熱容器、121 冷却装置、122 ホース、123 コンプレッサ、131 ケーブル、132 電源。
Claims (6)
- 超電導線材を含む複数の超電導コイルを軸方向に積層した超電導コイル体であって、
前記超電導コイルの径方向における厚みをr(mm)、前記超電導線材の厚みをt(mm)、前記超電導コイルにおける前記超電導線材の巻数をnとしたときに、n/(r/t)×100(%)で定義されるパッキング率について、前記軸方向の端部に位置する第1の超電導コイルの前記パッキング率は、前記軸方向の中央部に位置する第2の超電導コイルの前記パッキング率より小さい、超電導コイル体。 - 前記第1の超電導コイルと、前記軸方向において前記第1の超電導コイルに隣接する第3の超電導コイルとの間の前記軸方向における第1の距離は、前記第2の超電導コイルと、前記軸方向において前記第2の超電導コイルに隣接する第4の超電導コイルとの間の前記軸方向における第2の距離より大きい、請求項1に記載の超電導コイル体。
- 前記第1の距離は5mm以上20mm以下である、請求項2に記載の超電導コイル体。
- 前記第1の超電導コイルの前記パッキング率は15%以上95%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導コイル体。
- 複数の超電導コイルを軸方向に積層した超電導コイル体であって、
前記軸方向の端部に位置する第1の超電導コイルと、
前記軸方向の中央部に位置する第2の超電導コイルと、
前記軸方向において前記第1の超電導コイルに絶縁スペーサを介して隣接する第3の超電導コイルと、
前記軸方向において前記第2の超電導コイルに絶縁スペーサを介して隣接する第4の超電導コイルとを備え、
前記第1の超電導コイルと前記第3の超電導コイルとの間の前記軸方向における第1の距離は、前記第2の超電導コイルと前記第4の超電導コイルとの間の前記軸方向における第2の距離より大きい、超電導コイル体。 - 請求項1または5に記載の超電導コイル体を備える超電導機器。
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- 2013-05-31 JP JP2013115583A patent/JP2014236057A/ja active Pending
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