JP2019205959A - フィルタープレスの運転方法 - Google Patents
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スラリーを濾室内に供給して濾過する濾過工程を行い、ついで、濾過された澱物の水分を絞り出すために圧搾工程を行う。その後、必要ならば洗浄工程、圧搾工程を、その順に実行する。
この例では、複数ある脱水ユニットの閉枠S101、各脱水ユニットの濾室へスラリーを供給して固液分離する濾過工程S102、濾室内の澱物を圧迫して水分を搾り出す圧搾1工程S103、澱物を洗浄水で洗浄する洗浄工程S104、再度の圧搾2工程S105、脱水ユニットの原液供給孔内の残留スラリー等を排出させるセンターブロウ工、そして澱物から水分を抜き取ったケーキを取り出すための開枠S107が、その順で行われる。
しかし、そうすることは、フィルタープレスの運転コストを高くするという欠点が伴っていた。
しかし、濾過工程の後、濾室内の残留水分を脱水せずに洗浄工程を行うため、残留水分中の洗浄対象物質がそのまま洗浄工程に持ち込まれてしまい、洗浄効果を低下させるという問題があった。
第2発明のフィルタープレスの運転方法は、第1発明において、前記ケーキブロー工程が、前記フィルタープレスが備える脱水ユニットの原液供給孔から濾室内にエアーを供給して、澱物内を通過させ、かつ濾布を透過させて、濾板に形成されている濾液排出孔に向けてエアーを通す工程であることを特徴とする。
第3発明のフィルタープレスの運転方法は、第1発明または第2発明において、前記洗浄工程が、前記原液供給孔から前記濾室内に洗浄水を供給して、澱物を通過させ、かつ濾布を透過させて、濾板に形成されている濾液排出孔に向けて洗浄水を通す工程であることを特徴とする。
第4発明のフィルタープレスの運転方法は、第1,第2または第3発明において、前記運転方法が、電気ニッケル製造プロセスの浄液工程である脱Fe工程において、脱Fe澱物の固液分離に用いられることを特徴とする。
第2発明によれば、給液配管から濾室内に供給されたエアーが澱物を通過するとき澱物内にエアーの通り路を作るが、その後は濾布に対し垂直に透過して濾板が有する濾液排出孔へ抜けていく。このときのエアーの通過によって澱物は2枚の濾布にほぼ均等な厚さで付着すると推定されるので、後工程の洗浄工程での洗浄水が2枚の濾布に付着している澱物のほぼ全量を通過して洗浄することができると考えられる。このため、洗浄効率が高くなる。
第3発明によれば、洗浄水は、2枚の濾布にほぼ均等な厚さに付着していると推定される澱物を通過し、かつ濾布に対し垂直に流れて透過するので、澱物のほぼ全量を洗浄できると考えられる。このため、洗浄効率が高くなり、澱物に付着している付着液も多く洗い流せるので、付着液の希釈率も高くなる。
第4発明により、本発明の運転方法を脱Fe工程における脱Fe澱物スラリーの固液分離に用いると、脱Fe澱物スラリーは固形のケーキと濾液に分けられる。そして、洗浄工程でケーキになる前の澱物を洗浄するが、そのとき、付着液中の水溶性有価金属を多めに排出できるので、澱物中に残留して廃棄される水溶性有価金属の量を少なくでき、有価金属のロスを低減できる。
本発明の運転方法が適用されるフィルタープレスの基本構造をまず説明する。
図2から図4に示すフィルタープレスAは種々ある形態のなかの一例であり、本発明が適用可能なフィルタープレスはこれに限られない。
濾過工程や圧搾工程でしぼり取られた水分は濾布7を透過した後、濾板4aやダイヤフラム8に形成された溝9を通って、濾板4a,4bの隅に形成されている濾液排出孔に導かれる。
圧搾された後の澱物は圧密されて一体化しており、ケーキkとも称される。このケーキkは開枠時に下方へ排出される。
ダイヤフラム8を膨張させるための圧搾流体としては、液体が用いられることもあり、空気等の気体が用いられることもある。
前述の通り、従来の運転方法では、洗浄工程S104での付着液希釈が能率よく行えず、必要なレベルの希釈を行うとすれば多量の洗浄水が必要となったり、高圧の洗浄水を必要とするという問題があった。
図7は、従来技術における濾過工程S102、圧搾工程S103、洗浄工程S104からなる3工程における脱水ユニットの各状態を示している。同図において、4aは普通濾板、4bは圧搾濾板であり、多数ある脱水ユニットの一部を示している。図では濾板4a,4b間や2枚の濾布7,7間に隙間が見えるが、これは図形を分りやすくしたためであり、実際の工程では閉枠により各濾板4a,4bも2枚の濾布も外縁部分は互いに密着している。
したがってまた、この従来技術において充分な洗浄をしようとすれば、洗浄水の圧力を高めて通過抵抗の大きい澱物中も強制的に通過させるか、あるいは洗浄水の使用量を多くする等の処置が必要であった。
本発明の運転方法は、閉枠S1、濾過工程S2、ケーキブロー工程S3、洗浄工程S4、圧搾工程S5、センターブロウ工程S6、および開枠S7の各工程からなり、その順で実行される。
なお、上記工程のほか、圧抜きや水抜きなどの公知の工程も実際の運転には含まれるが、本明細書では説明を省略している。
図4は、上記各工程のうち、濾過工程S2、ケーキブロー工程S3、洗浄工程S4および圧搾工程S5における脱水ユニット4の状態を示している。また、図5はケーキブロー工程S3と洗浄工程S4における脱水ユニット4の一部を拡大して示している。
図4および図5において、濾板4a,4bや2枚の濾布7,7は少し隙間のある状態で図示されているが、これは形状を分りやすくするためであり、実際の工程中では、濾板4a,4bの外縁部分は互いに密着した閉枠状態であり、2枚の濾布7も濾板4a,4bの外縁部分で押圧され互いに閉じられて袋状になった状態にある。
図1に示す閉枠S1は、図2に示す保持フレーム1、2間の複数(通常50〜60枚)の脱水ユニット4を油圧シリンダ3で締め付けることにより行う。これにより、図4に示す各濾板4a,4bにおける外縁部間の隙間が無くなり、原液供給孔5および濾液排出孔や圧搾流体供給孔も互いに連通し、濾過工程や圧搾工程を実行できるようになる。
図1に示す濾過工程S2は、原液供給管11(図2参照)で供給されたスラリーslを、図4に示すように、各濾板4a,4bの原液供給孔5を通じて、濾室6内の2枚の濾布7,7間に供給することにより行う。スラリーslはこの濾布7,7の間に充満した後、濾過され固液分離される。分離された固形分は澱物rとなる。また分離された濾液は各濾板4aとダイヤフラム8に形成された溝9を通じ濾液排出孔に集められ、濾液排出管12(図2に図示)から外部に排出される。
図1に示すケーキブロー工程S3は、原液供給管11(図2)からエアーaを供給して、図4および図5に示すように、原液供給孔5から濾室6内の澱物r内にエアーaを送り込むことにより行う。
このエアーaは澱物r内を通過しつつ濾布7の各所から濾布7に対して垂直に透過した後、濾布7の外側にある濾板4aとダイヤフラム8に形成された溝9に沿って流れ、3カ所の濾液排出孔に集められる。
ここで全体的とは、局所的には澱物rの厚さの変動があって一方の濾布7に抜けるエアーaが多くても、別の場所では他方の濾布7に抜けるエアーaも存在するので、2枚の濾布7,7間でエアーaの通過する量はほぼ同じという意味である。
このように、本発明のケーキブロー工程S3では脱水作用と澱物厚均一配分作用を発揮すると考えられるが、後者の澱物厚均一配分作用が重要である。
すなわち、この澱物厚均一配分作用によって、濾室6内の左右両側(2枚の濾布7,7)の通過抵抗が均一になるから、後の洗浄工程S4で洗浄水の均一な量の流れが生じるのである。
また、このようにして澱物の厚みが同じになると、低圧の洗浄水でも均一な流量を流せる前提条件を生成することができる。
図1に示す洗浄工程S4は原液供給管11(図2)から洗浄水を供給して、図4および図5に示すように、原液供給孔5から2枚の濾布7,7で挟まれた澱物r内に洗浄水wを供給することにより行う。供給された洗浄水wはケーキブロー工程S3でできたと推定される隙間空間h内に充満し、さらに洗浄水wは澱物rを通過し、濾布7に対し垂直に通り抜けて透過する。そして、各濾板4aの溝9とダイヤフラム8の溝9を通じて濾液排出孔に集められ、最終的には濾液排出管12(図2参照)から外部に出される。
この際に、澱物rに付着している水溶性有価金属などが洗い流される。
図1に示す圧搾工程S5は、図4に示すようにダイヤフラム8を膨張させることにより行われる。
ダイヤフラム8を膨張させる圧搾流体は圧搾流体供給管13(図2参照)から供給され、各濾板4a,4bに形成されている圧搾流体供給孔を経て、圧搾濾板4b内の通孔からダイヤフラム8の裏面に供給される。
図4に示すように、この圧搾工程S5では、2枚の濾布7,7間の間隔がダイヤフラム8で押されて狭くなり、澱物rの固液分離が更にすすめられて、水分の少なくなった澱物rが得られる。
圧搾流体の供給を止め、ダイヤフラム8を収縮させると、濾布7に挟まれた澱物rに作用する圧搾力は抜ける。ついで、油圧シリンダ3を収縮させて各脱水ユニット4を開枠すると、図3に示すように濾板4a,4b間の間隔が開くので、澱物をケーキkとして落下させ、外部に取り出すことができる。
電気ニッケル製造プロセスにおいては、Niなどを含む原料中の金属成分を塩素浸出工程で浸出し、粗塩化Ni溶液を生成する。この粗塩化Ni溶液はFeイオン等の金属成分を不純物として含んでいるため浄液工程でこの不純物を除去したうえで電解採取により電気Niを生産する。
この浄液工程には脱Fe工程も含まれ、粗塩化Ni溶液を酸化条件下で中和することにより脱Fe澱物を生成せしめ、脱Fe澱物スラリーをフィルタープレスにかけFeを固体として除去している。除去された脱Fe澱物は工場外に払い出される。このため、脱Fe澱物に分配されたNiはロスとなる。
S1 閉枠
S2 濾過工程
S3 ケーキブロー工程
S4 洗浄工程
S5 圧搾工程
S6 センターブロウ工程
S7 開枠
1,2 保持フレーム
3 油圧シリンダ
4 脱水ユニット
4a 普通濾板
4b 圧搾濾板
5 原液供給孔
6 濾室
7 濾布
8 ダイヤフラム
9 溝
11 原液供給管
12 濾液排出管
13 圧搾流体供給管
この例では、複数ある脱水ユニットの閉枠S101、各脱水ユニットの濾室へスラリーを供給して固液分離する濾過工程S102、濾室内の澱物を圧迫して水分を搾り出す圧搾1工程S103、澱物を洗浄水で洗浄する洗浄工程S104、再度の圧搾2工程S105、脱水ユニットの原液供給孔内の残留スラリー等を排出させるセンターブロウ工程S106、そして澱物から水分を抜き取ったケーキを取り出すための開枠S107が、その順で行われる。
Claims (4)
- スラリーを固液分離するためのフィルタープレスの運転方法であって、
前記スラリーを濾室内に供給して濾過する濾過工程と、
前記濾室内にエアーを供給し、濾過後の澱物内を通過させるケーキブロー工程と、
前記濾室内に洗浄水を供給して前記澱物を洗浄する洗浄工程と、
前記濾室内で前記澱物を圧搾する圧搾工程と
をその順に実行する
ことを特徴とするフィルタープレスの運転方法。 - 前記ケーキブロー工程が、前記フィルタープレスが備える脱水ユニットの原液供給孔から濾室内にエアーを供給して、澱物内を通過させ、かつ濾布を透過させて、濾板に形成されている濾液排出孔に向けてエアーを通す工程である
ことを特徴とする請求項1記載のフィルタープレスの運転方法。 - 前記洗浄工程が、前記原液供給孔から前記濾室内に洗浄水を供給して、澱物を通過させ、かつ濾布を透過させて、濾板に形成されている濾液排出孔に向けて洗浄水を通す工程である
ことを特徴とする請求項1または2記載のフィルタープレスの運転方法。 - 前記運転方法が、電気ニッケル製造プロセスの浄液工程である脱Fe工程において、脱Fe澱物の固液分離に用いられる
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のフィルタープレスの運転方法。
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