カラーコーン(登録商標)のような軽量なものは、速い速度で設置が可能であるが、路外逸脱した通行車両が路外の工事区域で工事を行っている作業員を跳ねて大怪我をさせたり、逸脱車両が大事故を起こしたりする場合が生じていた。また、コンクリート製や鋼製等の仮設防護柵は、一定の強度を有するものの、設置速度が遅く、設置に時間と多額の費用が必要であると共に、交通渋滞等、一般交通への影響も長時間発生するという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するために、一定の強度があるが軽量であり、短期間で安全に設置・撤去が可能な安価な仮設防護柵の提供及びその施工方法を提供するものである。
本発明は、通行車両の路外逸脱を防止し、且つ、車両の衝突に耐えることのできる仮設防護柵において、鋼板や溶接金網などの鋼製部材を折り曲げ、ねじ止め又は溶接して設置部と防護側壁部を連続して設け、該設置部の下面側に摩擦抵抗の大きな接地部材を長手方向に取着してなる仮設防護柵を特徴とする。
また、上記仮設防護柵の形状を断面略L字形状とした仮設防護柵を特徴とする。
また、上記仮設防護柵の形状を断面略逆U字形状とした仮設防護柵を特徴とする。
更に、上記設置部を内方へ位置させた場合は、該設置部と上記防護側壁部との傾斜角度を70度乃至85度とし、該設置部を外方へ位置させた場合は、該設置部と該防護側壁部との傾斜角度を95度乃至110度としたことを特徴とする。
また、上記摩擦抵抗の大きな接地部材を長手方向に断続的に取着してなる仮設防護柵を特徴とする。
更に、上記接地部材を長手方向において断続的に取着し、断続部分となる間隙を雨水排水路としてなることを特徴とする。
また、上述防護柵壁面(防護側壁部)を波状の形状とした仮設防護柵を特徴とする。該防護柵壁面を折り曲げる等により波状にすると、衝突外力に対して更に強度のある仮設防護柵とすることができる。
また、上記鋼製部材は、その厚さや径を5mm乃至50mmとしてなる仮設防護柵を特徴とする。
更に、上記設置部は、短手方向の長さを300mm乃至800mm、防護側壁部は、高さを500mm乃至1,000mmとしてなる仮設防護柵を特徴とする。
また、上記接地部材は、厚さを5mm乃至200mmのゴム材や樹脂材としてなる仮設防護柵を特徴とする。また、上記接地部材は、突起形状をしていることを特徴とする。また、上記突起形状をした接地部材は、スパイクピン又は路面と接する側に凹凸構造を設けた構造体であることを特徴とする。路面と接する側に凹凸構造を設けた構造体としては、断面コ字状部材及び断面L字状部材を挙げることができる。更に、上記接地部材は、ゴム材にスパイクピンや路面と接する側に凹凸構造を設けた構造体等の突起形状物が埋め込まれている、又はゴム材にスパイクピンや路面と接する側に凹凸構造を設けた構造体等の突起形状物が取り付けられていることを特徴とする。
また、該防護壁部に溶接金網または防護柵性能に影響のない大きさや数のスリット孔を設けておくことにより風圧を減少させることにより、転倒や滑動を防止できる仮設防護柵を特徴とする。
また、上記防護側壁部の端部に一方端側を突出させて固定した防護側壁部連結プレートを備え、該防護側壁部連結プレートはボルト又はピンの挿入口を有し、前記防護側壁部は、前記防護側壁部連結プレートが固定された端部と反対側の端部に、ボルト若しくはピンの挿入口を有する、又はボルト形状突起若しくはピン形状突起を有することを特徴とする。また、上記防護側壁部の端部に一方端側を突出させて固定した防護側壁部連結プレートを備え、該防護側壁部連結プレートはボルト形状突起若しくはピン形状突起を有し、前記防護側壁部は、前記防護側壁部連結プレートが固定された端部と反対側の端部に、ボルト又はピンの挿入口を有することを特徴とする
また、上記設置部の端部に一方端側を突出させて固定した設置部連結プレートを備え、該設置部連結プレートはボルト又はピンの挿入口を有し、前記設置部は、前記設置部連結プレートが固定された端部と反対側の端部に、ボルト若しくはピンの挿入口を有する、又はボルト形状突起若しくはピン形状突起を有することを特徴とする。また、設置部の端部に一方端側を突出させて固定した設置部連結プレートを備え、該設置部連結プレートはボルト形状突起若しくはピン形状突起を有し、前記設置部は、前記設置部連結プレートが固定された端部と反対側の端部に、ボルト又はピンの挿入口を有することを特徴とする。
また、通行車両の路外逸脱を防止し、且つ、車両の衝突に耐えることのできる仮設防護柵において、鋼製部材(鋼板又は溶接金網)からなる防護側壁部とコンクリート部材からなる設置部とを設け、設置部の端部に一方端側を突出させて固定した設置部連結プレートを備える、又は設置部の端部に剛性突出部材よりなる凸部を形成する仮設防護柵であり、前記設置部連結プレートを備える場合は、該設置部連結プレートはボルト又はピンの挿入口、又はボルト形状突起若しくはピン形状突起を有し、前記設置部は、前記設置部連結プレートが固定された端部と反対側の端部に、ボルト形状突起若しくはピン形状突起、又はボルト若しくはピンの挿入口を有し、前記凸部を形成する場合は、前記凸部が形成された端部と反対側の端部に、該凸部が嵌合できる凹部を形成してなる仮設防護柵を特徴とする。
更に、上記凹部の縦方向となる上下寸法は、該凹部の上端部がコンクリート部材の上面部に達するまでの長さとしてなることを特徴とする。
更に、上記凸部及び凹部が複数であり、該凹部は横方向となる幅寸法を該凸部の横寸法よりやや大きめとし、縦方向となる上下寸法は該凸部の縦寸法より2倍以上の長さとしてなることを特徴とする。
また、上記防護側壁部の端部に一方端側を突出させて固定した防護側壁部連結プレートを備え、該防護側壁部連結プレートはボルト又はピンの挿入口、又はボルト形状突起若しくはピン形状突起を有し、前記防護側壁部は、前記防護側壁部連結プレートが固定された端部と反対側の端部に、ボルト形状突起若しくはピン形状突起、又はボルト若しくはピンの挿入口を有することを特徴とする。
更に、上記設置部の下面側に摩擦抵抗の大きな接地部材を長手方向に取着してなることを特徴とする。また、前記接地部材は、厚さを5mm乃至200mmのゴム材や樹脂材としてなることを特徴とする。また、上記接地部材は、突起形状をしていることを特徴とする。また、上記突起形状をした接地部材は、スパイクピン又は路面と接する側に凹凸構造を設けた構造体であることを特徴とする。更に、上記接地部材は、ゴム材にスパイクピンや路面と接する側に凹凸構造を設けた構造体等の突起形状物が埋め込まれている、又はゴム材にスパイクピンや路面と接する側に凹凸構造を設けた構造体等の突起形状物が取り付けられていることを特徴とする。また、本発明の仮設防護柵は、設置部の下面側に摩擦抵抗の大きな接地部材を取着してなることを特徴とする。本発明の仮設防護柵は、接地部材が、ゴム材であるか、又は突起形状を有する部材であることを特徴とする。更に、突起形状を有する部材が、スパイクピン、断面コ字状部材又は断面L字状部材であることを特徴とする。また、突起形状を有する部材の路面と接する側に凹凸構造を設けることを特徴とする。また、設置部の下面と突起形状を有する部材との間にゴム材を配置することを特徴とする、本発明の仮設防護柵は、設置部が鋼製部材又はコンクリート部材からなることを特徴とし、防護側壁部が、鋼製部材又はコンクリート部材からなることを特徴とする。本発明の仮設防護柵の下面に取着するための接地部材は、スパイクピン状、断面コ字状又は断面L字状をした接地部材であることを特徴とする。本発明の仮設防護柵の滑動抑制方法は、仮設防護柵の下面に、スパイクピン状、断面コ字状又は断面L字状をした接地部材を取り付けて、車両衝突時の前記仮設防護柵の滑動を抑制することを特徴とする。
また、上記仮設防護柵を通行車両区域と工事区域との間に搬入設置し、同様の形状の他の仮設防護柵を長手方向に隣接させて搬入設置し、相互の防護側壁部の端部間に連結プレートを掛け渡し、ボルトを該連結プレートのボルト挿入口より該防護側壁部の端部に形成したボルト挿入口へ或いはボルト挿入口を介して対向側のナットへ挿入固定して、若しくは他の仮設防護柵の防護側壁部の端部に設けられたボルト形状突起を前記連結プレートのボルト挿入口を介してナットへ挿入固定して、又は他の仮設防護柵の防護側壁部の端部に設けられたピン形状突起を前記連結プレートのピン挿入口に挿入固定して防護側壁部相互を連結し、仮設防護柵を延設してなる仮設防護柵の施工方法を特徴とする。
更に、相互の設置部の端部間に連結プレートを掛け渡し、ボルトを該連結プレートのボルト挿入口より該設置部の端部に形成したボルト挿入口へ或いはボルト挿入口を介して対向側のナットへ挿入固定する、若しくは他の仮設防護柵の設置部の端部に設けられたボルト形状突起を前記連結プレートのボルト挿入口を介してナットへ挿入固定する、又は他の仮設防護柵の設置部の端部に設けられたピン形状突起を前記連結プレートのピン挿入口に挿入固定することを特徴とする。
上記仮設防護柵を通行車両区域と工事区域との間に搬入設置し、同様の形状の他の仮設防護柵を長手方向に隣接させて搬入設置し、相互の設置部の端部間に連結プレートを掛け渡し、ボルトを該連結プレートのボルト挿入口より該設置部の端部に形成したボルト挿入口へ挿入固定して、若しくは他の仮設防護柵の設置部の端部に設けられたボルト形状突起を前記連結プレートのボルト挿入口を介してナットへ挿入固定して、若しくは他の仮設防護柵の設置部の端部に設けられたピン形状突起を前記連結プレートのピン挿入口に挿入固定して、又は他の仮設防護柵の設置部の端部に設けられた凹部に凸部を嵌合して設置部相互を連結し、仮設防護柵を延設してなる仮設防護柵の施工方法を特徴とする。
更に、相互の防護側壁部の端部間に連結プレートを掛け渡し、ボルトを該連結プレートのボルト挿入口より該防護側壁部の端部に形成したボルト挿入口へ或いはボルト挿入口を介して対向側のナットへ挿入固定する、若しくは他の仮設防護柵の防護側壁部の端部に設けられたボルト形状突起を前記連結プレートのボルト挿入口を介してナットへ挿入固定する、又は他の仮設防護柵の防護側壁部の端部に設けられたピン形状突起を前記連結プレートのピン挿入口に挿入固定することを特徴とする。
また、上記連結プレートは、設置部の端部及び/又は防護側壁部の端部に一方端側を突出させて予め固定してなる仮設防護柵の施工方法を特徴とする。
更に、設置部及び/又は防護側壁部は、ボルト挿入口にボルト固定用のネジ切りをしてなる仮設防護柵の施工方法を特徴とする。
また、上記連結プレート及び/又はナットは、その部材周囲を面取りしてなる仮設防護柵の施工方法を特徴とする。
本発明の仮設防護柵は、厚手の鋼板又は溶接金網を折り曲げ、ねじ止め又は溶接して仮設防護柵の全体の形状を形成することができるので製造工程を短縮することができ、部材数の少ないシンプルな仮設防護柵を得ることが可能となった。
また、積み重ねて保管や運搬することが可能となり、少ない面積の保管場所で大量の防護柵を保管することが可能となった。
更に、防護柵面を波状に折り曲げることにより一層強度の高い防護柵を形成することが可能となった。
また、防護柵面に溶接金網や鋼板にスリット孔を設けることにより、重量が軽くても大きな風荷重に対して風圧を少なくすることが可能となった。
更に、道路との接地部に摩擦抵抗の大きな部材を使用したので、車両衝突時の滑動抵抗が増えることにより本体の重量を軽くすることが可能となり、運搬トラックの台数を抑制することが出来るようになると共に、車両の衝撃に耐えることのできる所定の重量と衝撃緩和手段を得ることが可能となった。
連結プレートとボルト形状突起やピン形状突起を設けることにより仮設防護柵を強固に連結することが可能となった。また、連結プレートとボルト形状突起やピン形状突起を仮設防護柵に予め取着することにより、連結時の取扱い連結部材数を極端に減らすことができ、連結速度も格段に速くすることが可能となった。
また、保管時や運搬時には重ねることができるので効率的であり、施工現場では安全で短時間での速度の速い設置及び撤去が可能となる施工方法を得ることが可能となった。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の仮設防護柵1の側面図、図2は、同斜視図を示している。該仮設防護柵1は、厚手の鋼板部材を折り曲げ或いは溶接して防護側壁部2と接地部3とよりなる略L字型とし、道路面と接することになる該接地部3には、その下面側に摩擦抵抗の大きな接地部材4を、該仮設防護柵1の長手方向において断続的に取着している。図1(a)は防護側壁部を平面形状とした例であり、(b)は防護側壁部を波状の形状とした例である。
該仮設防護柵1は、コンクリート部材で形成した従来の単スロープ型或いはフロリダ型の仮設防護柵の防護側壁部を形成する前面の傾斜面と同様の傾斜角度で防護側壁部2を形成している。
例えば、1,200mm幅で8mの長さの鋼板を、防護側壁部2側を800mm、設置部3を400mmの長さとなるようにし、両者の角度は、上記傾斜面が得られるように、該防護側壁部2と該設置部3との傾斜角度が70度乃至85となるように一体形成している。
上記鋼板は、通常の安価な鋼板或いは美観や耐久性等の観点から錆止め塗装、溶融亜鉛メッキ鋼板、ZAM鋼板等が使用される。
鋼板は、設置部3側が通行車両側に位置しないように内側となるようにして連続している。
鋼板は、厚手の質量のあるもので所定重量が有る鋼板を選択するが、路面となるアスファルトやコンクリートとの摩擦抵抗は少なく、防護柵の自重をできるだけ大きな滑動抵抗になるよう、設置部3となる下面側に摩擦抵抗の大きな接地部材4を取着する。
接地部材4は、例えば、厚さ1mm乃至200mmの比較的柔軟性の有る免振性に優れたゴム材とし、硬質ゴムや硬質ウレタン等が使用される。免振性に優れたゴム材等は、車両による大きな衝撃となる衝突荷重を軽減することができると共に、この接地部材4により仮設防護柵1の全体重量を活動抵抗力に変えることが可能となる。図1では、接地部材としてゴム材等を使用した例が示されているが、本発明における接地部材は、突起形状をしていてもよい。突起形状物の材質は特に制限されず、鋼製等の金属製でもよく、樹脂製でもよく、ゴム製でもよく、セラミック製でもよい。突起形状物の形状は、設置部の下面に取着されて設置部の下面から突出する形状であれば特に制限されず、例えば、断面が円形、三角形、四角形、五角形以上の多角形等の形状をした柱状体、あるいはこれらの柱状体の先端を尖らせたものを縦方向に取り付けてもよく、板状のプレートをその端面が路面と接するように、あるいは柱状体を、その側面が路面と接するように取り付けてもよい。板状のプレートや柱状体を、設置部の下面に取り付ける場合、路面と接する面は平坦でもよいが凹凸構造を有することが好ましい。凹凸構造の断面形状としては、例えば、略三角波形状、略矩形波形状、略台形波形状、略円弧波形状、略正弦波形状、略鋸歯状波形状等を挙げることができる。また、突起形状物の個数や配置は特に制限されず、必要とする接地部材と路面との摩擦抵抗の大きさにより適宜設定することができる。突起形状物は、設置部に直接取り付けてもよく、設置部との間にゴム材等を挟んで取り付けてもよい。また、柱状体を縦方向に取り付ける例としてスパイクピンを挙げることができる。スパイクピンでもよい。使用するスパイクピンの形状、材質等は特に制限されず、鋼製等の金属製でもよく、樹脂製でもよい。これらのスパイクピンは、例えば、設置部である鋼板の下面側に溶接又はボルト接合等で取り付けることができる。また、ゴム材や樹脂材の板やシートにスパイクピンを埋め込んだものを接地部材として使用してもよい。この場合、スパイクピンの先端がゴム材や樹脂材の下面(路面と接する面)とほぼ同じ位置になるように、例えば、ゴム材や樹脂材の下面を基準とし、下面から外方向を+(プラス)、内方向を−(マイナス)とすると、スパイクピンの先端が−5mm〜+5mm、−3mm〜+3mm又は−1mm〜+1mmの範囲の位置にあるようにすると、ゴム材や樹脂材による摩擦抵抗と、スパイクピンと路面との引っかかりによる摩擦抵抗との両方の効果が発揮されるため好ましい。また、反対側の端部は、接地部材を設置部に取り付けることができれば、ゴム材や樹脂材の上面(設置部側の面)とほぼ同じ位置にあってもよく、ゴム材や樹脂材の上面から外方の位置にあってもよく、ゴム材や樹脂材の中に位置していてもよい。スパイクピンを使用する場合のスパイクピンの配列や間隔は特に制限されないが、例えば、隣り合うスパイクピン間の間隔として10〜50cmを挙げることができ、格子状の配列を挙げることができる。スパイクピンの種類としては、例えば、チップピン、マカロニピン、ワインカップピン等の公知の形状を挙げることができる。また、防護側壁部を波状の形状とするとより強度の高い防護柵とすることができる。図1(b)は、仮設防護柵の形状を断面略L字形状とした例であるが、仮設防護柵の形状を断面略逆U字形状とした場合も同様に防護側壁部を波状の形状とすることができ、より強度の高い防護柵とすることができる。
接地部材は、設置部の下面側に長手方向に取着されるが、連続的に取着されていても、断続的に取着されていてもよい。図2は路面の雨水を路肩に設けた排水溝へ導入するため、雨水が設置部3下側より排水できるように該接地部材4は、仮設防護柵1の長手方向において設置部3下面に間欠部5を設けて断続的に取着したものである。図2(a)は防護側壁部を平面形状の金属板とした例である。図2(b)は防護側壁部にスリット孔を設けた例であり、図2(c)は防護側壁部を金網とした例であり、共に、風圧を減少させることにより、転倒や滑動をより防止できるようにしたものである。
図3は、該設置部3への接地部材4の取着の態様を示すもので、図3(a)は、接地部材4からの雨水の通水を得るために間欠部5を形成している。また、図3(b)は、接地部材4を小片として設置部3への分散貼りとしたものである。また、図3(a)の設置部3に設けられた貫通孔は、設置部3の上面に溜まった雨水を間欠部5により通水するために用いることができ、また路面側にずれ止めアンカーを打ち込むために用いることができる。
接地部材4を細分化することにより、雨水を横断方向に導水するだけでなく道路縦断方向にも流下させることができ、ある一定量までの雨水なら防護柵の車道側が通水路となることを防ぎ、通行車両への影響を防止することができる。
仮設防護柵1が車両の衝突や風圧で滑動することを阻止するために、図4(a)に示すように、設置部3の上面側から予め設けておいた貫通孔を介して路面側へずれ止めアンカー6を打ち込んで設置強度(活動抵抗値)を更に向上させることができる。
図4(b)に示すように、仮設防護柵1の防護側壁部の上部側に単管用の取着部材7を取り付け、該取着部材7に単管等の柱状体8を長手方向にわたって所定間隔毎に固定し、該柱状体8を利用して目隠しネットや防風板や遮音板等の遮蔽材9を取り付けることが可能である。
仮設防護柵1の防護側壁部の両端部に、図5(a)に示すように、接合のための凹凸部10或いは同(b)に示すテーパー部11を設けることにより、設置箇所を確定することができ、仮設防護柵1相互の連結を速やかに行いスピード化を図ることができる。
図6に示すように、仮設防護柵1の防護側壁部2の左右両端部に連結ボルトを挿通するための挿入口12を形成し、該防護側壁部2相互に跨るようにしてボルト挿通口13のある連結プレート14を配設する。該連結プレート14は、図7に示すように、その一方端側を防護側壁部2の端部の挿入口12にボルト挿通口13を一致させ、他方端部を該防護側壁部2の他端部より突出させて予め取り付けておく。
連結プレート14は、図8(a)、(b)、(c)に示すように、(a)は長方形状のものでボルト挿通口13を左右端部に設け、本体の周縁部をテーパー状にカットした切除部17を設けている。切除部17を形成することにより、車両の衝突時に車両に損傷を与えないことができる。
上記仮設防護柵1或いは端部に連結プレート14を固定した仮設防護柵1は、図9に示すように、保管時や運搬時において重ねることができ、嵩張ることなく効率的である。
上記仮設防護柵1或いは端部に連結プレート14を固定した仮設防護柵1を、図10に示すように、該仮設防護柵1を上方或いは斜め上方より先に設置した仮設防護柵1に隣接させて設置し、連結プレート14により相互を連結することになる。
防護側壁部2、連結プレート14、ボルト15及びナット16との関係を図11に示す。仮設防護柵1相互の連結作業を作業区域側から施工することができるように、路面側へ出ることなく安全な作業とすることとしている。図11(a1)及び(a2)は、防護側壁部2の挿入口12に雌ネジ切り部を設けておき、ボルト15を連結プレート14を介して該防護側壁部2の雌ネジ切り部で螺合固定し、該防護側壁部2相互を連結するものである。
図11(b1)及び(b2)は、連結プレート14道路区域側となる外側に使用し、外側の連結プレート14に雌ネジ切り部を設けておき、ボルト15を防護側壁部2の挿入口を貫通させ、外側の連結プレート14の雌ネジ切り部で螺合固定して該防護側壁部2相互を連結するものである。該連結プレート14は、上記したように、予め防護側壁部2に固定したものとする。
図11(c1)及び(c2)は、連結プレート14a、14bを作業区域側となる内側及び道路区域側となる外側の両方に使用し、道路側からのボルト15を外側の連結プレート14b、防護側壁部2、内側の連結プレート14aを貫通させ、内側においてナット16で螺合固定したものである。
図11(d1)及び(d2)は、道路側からのボルト15を防護側壁部2、内側の連結プレート14を貫通させ、内側においてナット16で螺合固定したものである。
上記連結プレート14を利用して仮設防護柵1相互が連結され、図10に示すように、長手方向に延設することができる。
また、図6に示すように、仮設防護柵1の設置部3の左右両端部に連結ボルトを挿通するための挿入口12を形成し、該設置部3相互に跨るようにしてボルト挿通口(挿入口)のある連結プレートを配設してもよい。該連結プレートは、その一方端側を設置部3の端部のボルト挿入口12にボルト挿通口を一致させ、他方端部を該設置部3の端部より突出させて予め取り付けておくこともでき、連結プレートによる連結方法は、上記防護側壁部2に配設される連結プレートの場合と同様に行うことができる。
また、防護側壁部2及び/又は設置部3は、その端部にボルト挿入口を有する代わりに、その端部にボルト形状突起又はピン形状突起を有していてもよい。防護側壁部2では防護側壁部2の外側に向けて、設置部3では設置部3の上側に向けて突き出したボルト形状突起を設けることにより、連結プレートのボルト挿入口に前記ボルト形状突起を挿通させてナットで螺合固定することができる。また、防護側壁部2では防護側壁部2の外側に向けて、設置部3では設置部3の上側に向けて突き出したピン形状突起を設けることにより、連結プレートのピン挿入口に前記ピン形状突起を挿通させて嵌合固定することができる。
ボルト形状突起及び/又はピン形状突起は、防護側壁部2や設置部3の両端部に設けられてもよく、一方の端部に設けられてもよい。連結プレートを予め防護側壁部2や設置部3に固定しておく場合は、ボルト形状突起やピン形状突起は、連結プレートが固定された端部と反対側の端部に形成することが好ましい。また、防護側壁部2の連結プレートと設置部3の連結プレートは同じ側の端部に固定されていてもよく、反対側の端部に固定されていてもよい。
本発明において「ボルト形状突起」とは、ボルトのねじ部に相当する部分を有する突起のことであり、例えば、ボルトのねじ部の形状の部材を、防護側壁部2や設置部3に溶接等で固定することにより形成できる。また、ボルトを防護側壁部2や設置部3に溶接等で固定しても形成でき、この場合、ボルトの頭部を防護側壁部2の外側や設置部3の上側に固定してもよく、ボルトの頭部以外の部分を防護側壁部2の内側や設置部3の下側から防護側壁部2や設置部3のボルト挿入口に挿通させ、ボルトのねじ部が防護側壁部2の外側や設置部3の上側から飛び出した状態で固定することにより形成できる。
本発明において「ピン形状突起」とは、連結プレートのピン挿入口と嵌合固定されるように形成された突起のことであり、形状は特に限定されず、例えば、円柱状、角柱状(断面四角形、断面多角形を含む)等を挙げることができ、例えば、これらの形状の部材を防護側壁部2や設置部3に溶接等で固定することにより形成できる。ピン形状突起と連結プレートのピン挿入口との嵌合状態は、ぴったりと嵌め合った状態でもよく、ゆとりを持った状態でもよい。ボルト形状突起やピン形状突起を設ける場合、防護側壁部2にはボルト形状突起及びピン形状突起のいずれを設けてもよく、設置部3にはボルト形状突起及びピン形状突起のいずれを設けてもよいが、仮設防護柵を強固に連結させる観点から、防護側壁部2にはボルト形状突起を設け螺合固定できるようにすることが好ましい。
図12(a)は、仮設防護柵21の他の実施例(実施形態)の側面図を示している。該仮設防護柵21は、前記実施例1乃至5に示したものと同様、厚手の鋼板部材又は鉄筋金網を折り曲げ又は溶接し、左右の防護側壁部22a、22bと左右の設置部23a、23bとよりなる。該設置部23a、23b側の開放側が該左右の防護側壁部22a、22bに対して拡開した断面略逆U字型とした(以下、断面略逆U字型という)としたもので、各々内方へ折り曲げて形成したものである。
実施例1と同様の折り曲げ角度Rを有する略L字形のものの2個を背中合わせとし、その上端部の天端で連結して断面略逆U字型となるよう連続形成した形状のもので、該天端部は湾曲状の緩やかな曲面となるように鋼板を折り曲げ又は溶接して形成している。
鋼板を断面略逆U字型に形成することで、従来のコンクリート防護柵と同様の厚さの有る鋼板製の仮設防護柵21を得ることができる。
道路と接することになる該設置部23a、23bには、その下面側に摩擦抵抗の大きな接地部材24a、24bを、該仮設防護柵21の長手方向において断続的に取着している。
鋼板の材質や厚さ、防護側壁部22a、22bや設置部23a、23bを形成する傾斜角度、接地部材24a、24bの材質や取着位置、防護側壁部22の両端部の構造や連結のための挿入口の形成及び仮設防護柵の施工方法となる仮設防護柵の固定方法、連結プレートの形状及びその連結プレートを使用しての連結方法、遮蔽材を取り付けることができること等は実施例1乃至実施例5に示したものと同様である。
また、図13(a)に示すように、保管時や運搬時において重ねることが可能である。
図12(b)は、仮設防護柵21’の他の実施例(実施形態)の側面図を示している。該仮設防護柵21’は、前記実施例1乃至6に示したものと同様、厚手の鋼板部材を折り曲げ又は溶接し、左右の防護側壁部22a’、22b’と左右の設置部23a’、23b’とよりなる断面略逆U字型としたもので、該設置部23a’、23b’は該左右の防護側壁部22a’、22b’に対して各々外方へ突出させて形成したものである。
逆U字型と上端部となる天端部は鋼板を湾曲状の緩やかな曲面となるように幅の有る天端部として形成し、左右防護側壁部22a’、22b’間を厚みの有るものとしている。
道路と接する該設置部23a’、23b’は、該左右の防護側壁部22a’、22b’との傾斜角度(R)を95度乃至110度とし、その下面側に摩擦抵抗の大きな接地部材24a’、24b’を、該仮設防護柵21’の長手方向において断続的に取着している。
鋼板の材質や厚さ、防護側壁部22a’、22b’や設置部23a’、23b’を形成する傾斜角度、接地部材24a’、24b’の材質や取着位置、防護側壁部22a’、22b’の両端部の構造や連結のための挿入口の形成及び仮設防護柵の施工方法となる仮設防護柵の固定方法、連結プレートの形状及びその連結プレートを使用しての連結方法、遮蔽材を取り付けることができること等は実施例1乃至実施例5に示したものと同様である。
また、図13(b)に示すように、保管時や運搬時において効率的に重ねることが可能である。
図14(a)は、形状を断面略逆U字形状とした他の実施例(実施形態)の仮設防護柵31の側面図を示している。防護側壁部(32a、32b、32c)は、厚手の鋼板部材又は鉄筋金網を折り曲げて作製することができる。また、防護側壁部(32a、32b、32c)は、例えば、鋼板を折り曲げて32aと32cを形成し、別に用意した32bを溶接する等、折り曲げ加工と溶接加工を組み合わせて作製してもよく、溶接加工のみで作製してもよい。設置部33と防護側壁部32aとの傾斜角度及び設置部33と防護側壁部32bとの傾斜角度は特に制限されるものではなく、例えば、90度でもよく、防護側壁部の内側部分(内方へ位置する部分)の設置部33と防護側壁部32a及び32bとの傾斜角度は70度乃至85度(すなわち防護側壁部の外側部分(外方へ位置する部分)の設置部33と防護側壁部32a及び32bとの傾斜角度は95度乃至110度)でもよい。
設置部33は、鋼板が防護側壁部32a及び32bにボルト及びナット(15、16)によるねじ止めで固定されている。また、設置部33は、防護側壁部32a及び32bに溶接で固定されてもよい。設置部33は、防護側壁部の側面32a及び32bに対して外方へ突出しており、さらに防護側壁部の側面32a及び32bの間にもある。接地部材34は設置部33の下面側に長手方向に連続的に又は断続的に取着されている。防護側壁部(32a、32b、32c)の内側には、仮設防護柵31の強度をより向上させるために一定間隔で鋼板製のリブ18が取り付けられている。仮設防護柵31では、断面略逆U字形状のU字の底の部分である仮設防護柵の上面32cが平坦であるが、上面32cは図12に示されるように湾曲していてもよい。
図14(b)は、仮設防護柵31を内側から32a又は32bの方向を見た側面図である。リブ18並びに防護側壁部32a及び32bは設置部33にボルト及びナットで固定され、防護側壁部32a及び32bにはスリット19が形成されている。図14(c)は、仮設防護柵31を下側から見た底面図である。ただし、リブ18、防護側壁部32a及び32bと設置部33との固定の状況が分かるように接地部材は省略している。設置部33は、防護側壁部の下端における間隔(防護側壁部32aの下端と防護側壁部32bの下端との間の間隔)より広い横幅の鋼板で形成され、設置部33は防護側壁部の下端において一方の防護側壁部の下端の外方に突出した位置から他方の防護側壁部の下端の外方に突出した位置まで伸びている。また、設置部33にはスリット19’が形成されている。
図15(a)は、仮設防護柵31に連結プレートを固定した仮設防護柵41を示す斜視図である。ただし、連結部の特徴を分かりやすくするために、リブ、防護側壁部及び設置部のスリット、並びに接地部材は省略している。防護側壁部連結プレート50は、鋼板により形成され、防護側壁部(42a、42b、42c)と同様の断面略逆U字形状を有し、防護側壁部に外側からかぶせると防護側壁部の上面42c並びに側面42a及び42bと重なる又は接するような形状に形成され、防護側壁部の端部に一方端側を突出させて溶接又はボルト接合等により固定されている。防護側壁部連結プレート50は、通常の平板形状でもよいが、連結部の強度をより高める観点から、防護側壁部連結プレート50の長さを防護側壁部の上面42cの幅以上とし、防護側壁部連結プレート50が防護側壁部の側面42a及び42bと重なる部分を有するようにすることが好ましい。防護側壁部連結プレート50における防護側壁部の側面42a及び42bと重なる部分の縦方向の長さは特に制限されず、連結部の強度と仮設防護柵の重量や作業性の観点を考慮して適宜選択することができる。そして、突出させた部分のU字の底(防護側壁部連結プレート50の上面)に相当する部分の端部にボルト挿入口54が形成されている。
ボルト形状突起52は、防護側壁部の上面42cの防護側壁部連結プレート50が固定された端部と反対側の端部に設けられている。ボルト形状突起52は、42cに直接溶接して固定してもよいが更に取付け強度を大きくするために、前記防護側壁部の上面42cの端部にボルトを挿入する孔をあけ、前記孔に下から上向きに鋼製のボルトを挿通し、ボルトの頭部を防護側壁部の上面42cの下側と溶接し固定することにより形成されている。また、ボルト形状突起52は、ボルトのねじ部の形状の部材を、防護側壁部の上面42cに溶接することにより形成されてもよい。
設置部連結プレート51は、鋼板により形成され、設置部43の端部に一方端側を突出させて溶接又はボルト接合等により固定され、突出させた部分の端部にピン挿入口55が形成されている。ピン形状突起53は、設置部43の設置部連結プレート51が固定された端部と反対側の端部に設けられている。ピン形状突起53は、前記端部にピンを挿入する孔をあけ、前記孔に下から上向きに鋼製のピンを挿通し、設置部43と溶接し固定することにより形成されている。また、ピン形状突起53は、ピンの形状の部材を設置部43に溶接することにより形成されてもよい。
また、ボルト挿入口54、ピン挿入口55、ボルト形状突起52、ピン形状突起53、防護側壁部連結プレート50及び設置部連結プレート51の個数は、図15aに示された個数に限定されるものではない。また、防護側壁部の上面42cの端部にピン形状突起を設け、設置部43の端部にボルト形状突起を設けてもよく、防護側壁部の上面42cの端部と設置部43の端部の両方にボルト形状突起を設けてもよく、防護側壁部の上面42cの端部と設置部43の端部の両方にピン形状突起を設けてもよい。図15では、防護側壁部連結プレート50と設置部連結プレート51とは、同じ側の端部に固定されているが、反対側の端部に固定されていてもよい。
防護側壁部の上面42cの端部には、仮設防護柵をより強固に連結する観点から、ボルト形状突起を設けることが好ましく、図15(b)に示すように連結時にボルト形状突起52’と防護側壁部連結プレート50をナット16と座金16’で螺合固定することが好ましい。ナット16と座金16’で防護側壁部連結プレート50とボルト形状突起52’を介して隣り合う仮設防護柵41と41’を一体化させることにより、連結された仮設防護柵が車両衝突時に上下に離れバラバラになるのを防止する。防護側壁部連結プレート50を上記のように強固に固定すれば、設置部連結プレート51は車両が衝突したとき、仮設防護柵41と41’との間の短手方向のずれを防止すればよいので、設置部連結プレート51のピン挿入孔55は、短手方向の幅をピン形状突起53’の短手方向の幅とほぼ同じにすればよい。そのため、ピン挿入孔55の長手方向の幅を大きくできるため、連結するときにピン形状突起53’をピン挿入孔55に入れやすくなる。
図15(b)は、仮設防護柵41と41’を連結させる様子を示した図であり、図15(c)は、仮設防護柵41と41’を連結させた状態の図であり、図15(d)は、仮設防護柵41の連結部分の断面を示す図である。図15(b)〜(d)に示すように、仮設防護柵41を斜め上方より先に設置した仮設防護柵41’に隣接させて設置する。そして、ボルト形状突起52’を防護側壁部連結プレート50のボルト挿入口54に挿通させ、ピン形状突起53’を設置部連結プレート51のピン挿入口55に挿通させ、ボルト形状突起52’をナット及び座金で締めて螺合し、仮設防護柵41と41’を相互に連結する。
図16は、仮設防護柵31又は41を重ねた状態を示す図である。ねじ止めをはずして、図16の左側の図のように設置部33又は43を防護側壁部から分離することにより、保管時や運搬時において重ねることができ、嵩張ることがなく効率的である。図17に示す仮設防護柵61は、仮設防護柵31と同様の形状で、防護側壁部に溶接金網を用いた例である。鋼板製のリブの代わりに折り曲げた鋼棒63をリブとして使用し、溶接金網の両側面の間を支持するように複数の折り曲げ箇所で溶接金網と溶接している。
図18(a)、(b)は、形状を断面略逆U字形状とした他の実施例(実施形態)の仮設防護柵71、81の側面図を示し、図18(c)は、仮設防護柵71、81の設置部を連結する様子を示している。図18(a)に示す仮設防護柵71では、コンクリート部材を設置部71−2として使用している。防護側壁部71−1は、溝形鋼73を、その下端部をコンクリート部材に埋設する等によりコンクリート部材に固定し、その溝形鋼73に鋼板72を溶接、ボルト接合等で固定することにより形成される。仮設防護柵71では、厚手の鋼板を二つ折りにして溝形鋼73の両面と重なるように被せているが、別々の鋼板を正面側と裏面側(工事区域外側と工事区域内側)にそれぞれ固定してもよく、一方の面のみに鋼板を固定してもよい。
図18(b)に示す仮設防護柵81は、仮設防護柵71と同様に、コンクリート部材を設置部81−2として使用し、防護側壁部81−1として溝形鋼と鋼板の代わりに、溶接金網82を使用した例である。防護側壁部81−1は、溶接金網を二つ折りにして、その両端部をコンクリート部材に埋設する等によりコンクリート部材に固定して形成される。また、溶接金網82の両側面間には、仮設防護柵61と同様の折り曲げた鋼棒83のリブが取り付けられている。本発明におけるコンクリート部材への防護側壁部の固定は、コンクリートを打ち込む前に防護側壁部を型枠内に適宜の方法で固定し、その後コンクリートを打設してもよいし、コンクリート部材に防護側壁部固定用の凹部を設け該凹部に防護側壁部を嵌め込む、或いは嵌め込んだ後に更にモルタル等を充填する、又は防護側壁部をコンクリート部材にボルト接合する等の方法により行ってもよい。また、仮設防護柵31、41、41’、61のように防護側壁部の下面に鋼板を有する構造のものをボルト接合等によりコンクリート部材に固定してもよい。
図18(c)は、仮設防護柵71及び81を連結させる様子を示した図である。仮設防護柵71の設置部71−2の一方端部には設置部連結プレート74が取り付けられ、該設置部連結プレート74にはボルト挿入口75が設けられている。また、設置部71−2の他方端部にはボルト挿入口78が設けられている。二つの仮設防護柵71を一方の設置部に設けられたボルト挿入口と他方の設置部に固定された設置部連結プレートのボルト挿入口とが重なるように隣接させ、両ボルト挿入口にボルト76を挿入してボルト接合することにより設置部相互を連結し、この工程を繰り返すことにより仮設防護柵を延設する。仮設防護柵81においても、仮設防護柵71と同様に、設置部81−2の一方端部に取り付けられた設置部連結プレート84のボルト挿入口85と他方端部に設けられたボルト挿入口88とが重なるように仮設防護柵を隣接させ、ボルト86によりボルト接合することにより設置部相互を連結し、この工程を繰り返すことにより仮設防護柵を延設する。
設置部連結プレート74及び84は、設置部71−2及び81−2の上面、側面又は下面のいずれの面に固定されてもよく、設置部連結プレート74及び84の位置に合わせて、他方端部にボルト挿入口78及び88を設ければよい。設置部71−2及び81−2の形状は、特に限定されないが、図18に示すように断面台形とし、設置部端部の側面に切欠きを形成して段差を設け、一方端部の切欠き部に設置部連結プレートを固定し、他方端部にボルト挿入口を設けることにより、一方の仮設防護柵の設置部連結プレートと他方の仮設防護柵の設置部とがハの字形に合致するため施工スピードを速くできる。
図19(a)、(b)は、形状を断面略逆U字形状とした他の実施例(実施形態)の仮設防護柵91、101の側面図を示し、図19(c)は、仮設防護柵91、101の設置部を連結する様子を示している。仮設防護柵91は、設置部91−2における連結に関係する構造以外は、仮設防護柵71と同様に形成されたものである。すなわち、防護側壁部91−1は溝形鋼93と鋼板92から構成され、設置部91−2はコンクリート部材である。また、仮設防護柵101は、設置部101−2における連結に関係する構造以外は、仮設防護柵81と同様に形成されたものである。すなわち、防護側壁部101−1は溶接金網102と折り曲げた鋼棒103のリブから構成され、設置部101−2はコンクリート部材である。
仮設防護柵91では、設置部91−2の一方の端部の側面(仮設防護柵を連結するときに他の仮設防護柵と向かい合う面)に鉄筋、鋼棒、板状体等の剛性突出部材よりなる凸部94が形成されている。前記凸部94の形状は、特に制限されるものではないが、丸棒、四角棒、断面が五角形以上の多角棒或いは厚い板状体等の剛性が得られる様々な形状を挙げることができる。設置部91−2の凸部94は、これらの剛性突出部材の一方側を設置部91−2のコンクリート中に埋設し、他方側を側面表面より外方へ突出させて形成される。図19(a)では、凸部94は2箇所に形成されているが、1箇所でも3箇所以上でもよい。連結を強固にする観点から凸部は複数個所、すなわち複数本形成されていることが好ましい。
設置部91−2には、上記凸部94が形成された端部と反対側の端部の側面に前記凸部94が嵌合できる凹部97が形成されている。凹部97は、設置時において前記凸部94が嵌合できる形状及び位置に形成されていればよい。仮設防護柵91では、前記凹部97は、設置時において前記凸部94となる剛性突出部材が嵌め込まれる位置と一致する位置に設けられ、更に縦方向となる上下寸法はその上端部が上面部に至る長さとし、該上面部に前記凹部の開口部が露出している。また、前記凹部の横方向となる幅寸法は前記凸部の横寸法よりやや大きめとなっている。
先行して設置した仮設防護柵91の凹部が形成された側の端部近接の上方側に、次に設置する仮設防護柵91を吊り上げて凸部が形成された側の端部を位置させ、その状態でほぼ垂直方向に降下させることで、前記凸部が先行して設置した仮設防護柵91の凹部の上方端部側の開口部の位置で篏合されることになる。この状態下で、更に、吊り上げた仮設防護柵91を降下させることにより凸部は凹部の最下端部まで降下することになり嵌合固定される。このように仮設防護柵91は簡易に仮設防護柵相互間を連結することができる。また、連結が終了した後、連結部となる上面部において凹部の一端部が開口した状態で開口部が露出することになるので、当該箇所からモルタル等の充填材を注入することが簡単にでき、連結部をより強固に連結することができる。
仮設防護柵101も仮設防護柵91と同様に、設置部101−2の一方の端部の側面に凸部104が形成され、他方の端部の側面に凸部104と嵌合できる凹部107が形成されている。凸部及び凹部の位置、個数、寸法、材質等、及び連結の方法は仮設防護柵91と同じである。
仮設防護柵71、81、91及び101は、仮設防護柵1、21、21’、31、41、41’、61と同様に、防護側壁部に連結プレート、ボルト挿入口、ボルト形状突起及び/又はピン形状突起を設けることができる。これらの材質、形状、位置、個数等は、仮設防護柵1、21、21’、31、41、41’、61において上記で述べた内容と同じである。防護側壁部を連結プレートにより連結し、車両衝突時に連結された仮設防護柵が上下に離れるのを防止する効果を高めると、短手方向のずれを防止する効果の高い設置部の嵌合固定と合わさって、仮設防護柵相互の連結を強固にすることができる。図21は防護側壁部連結プレートの一例である。また、設置部に仮設防護柵1、21、21’、31、41、41’、61と同様に、連結プレート、ボルト挿入口、ボルト形状突起及び/又はピン形状突起を設けることができる。これらの材質、形状、位置、個数等は、仮設防護柵1、21、21’、31、41、41’、61において上記で述べた内容と同じである。また、仮設防護柵1、21、21’、31、41、41’、61と同様に、コンクリート部材から構成される設置部の下面側に摩擦抵抗の大きな接地部材を連続的又は断続的に長手方向に取着してもよい。設置部としてコンクリート部材を使用する場合においても、連結部は設置部のみにあってもよく、設置部と防護側壁部にあってもよく、防護側壁部のみにあってもよい。
図20は連結プレートを備えた設置部を示す図である。設置部は連結プレートのみを備えてもよいが、図20に示すように連結プレートと剛性突出部材よりなる凸部を備えると、設置部による仮設防護柵の連結がより強固になる。設置部121及び121’は、仮設防護柵91の設置部と同様に一方の端部の側面(仮設防護柵を連結するときに他の仮設防護柵と向かい合う面)に鉄筋、鋼棒、板状体等の剛性突出部材よりなる凸部127が形成され、凸部127が形成された端部と反対側の端部に前記凸部が嵌合できる凹部128が形成されている。さらに設置部121及び121’では、凸部127を形成した端部の上面に一方端側を突出させてボルト123及びナット124で固定した設置部連結プレート122が備えられている。また、凹部128が形成された端部には、凹部と凹部の間にボルトの先が端部上面から上方に出るようにボルト125が埋め込まれている。図20(a)は、設置部121と121’を連結させる様子を正面側から見た図であり、設置部連結プレート122の長手方向中心の断面図として示している。図20(b)は、設置部121と121’を連結させる様子を側面側から見た図であり、連結部分の短手方向の断面図として示している。図20(c)は連結した状態を、図20(a)と同様の断面図として示した図である。また、図20(d)は連結した状態を、図20(b)と同様の断面図として示した図である。設置部121の凸部127及び設置部連結プレート122が設けられた端部が、設置部121’の凹部128及びボルト125が設けられた端部の近傍上方になるように設置部121を吊り上げ、ほぼ垂直方向に降下させて、凸部127を凹部128に挿入させ、ボルト125を設置部連結プレート122のボルト挿入口に挿入させる。そして、ボルト125をナット126で締めることにより設置部連結プレート122とボルト125を介して設置部121と121’を固定する。凸部127と凹部128の嵌合による連結に加えて、ボルト接合による連結も行われ3点で固定されるため、より強固な連結が行える。この連結方法によれば、さらに防護側壁部相互を連結プレートで固定してもよいが、防護側壁部相互の固定を行わなくても十分な強度を得ることができる。
図22は、凸部と凹部を形成したコンクリート部材による設置部の他の実施形態を示す図である。設置部131において、凸部132は仮設防護柵91及び101と同様に形成される。凹部133は、上端部が設置部131の上面部に至っていない。凹部133は、縦方向となる上下寸法において前記凸部が余裕をもって嵌入することができる寸法であることが好ましく、前記凹部の横方向となる幅寸法は前記凸部の横寸法よりやや大きめであればよい。また、前記凹部の縦方向となる上下寸法は、前記凸部の縦方向の2倍以上の長さであることが好ましい。
設置部131の場合、先行して設置した仮設防護柵の凹部が形成された側の端部近接の上方側に、次に設置する仮設防護柵を吊り上げ、その後、凸部の位置が先行して設置した仮設防護柵の凹部の上端部の位置と一致する位置にまで降下させ、その位置で水平方向に移動させ、先行して設置した仮設防護柵の凹部の上端部側に凸部の先端側を嵌入する。嵌入後、斜め下方に降下させ、或いは水平移動させ、凸部の先端部を凹部の最奥部の下端部位置へ到達させる。こうして、先行して設置した仮設防護柵の凹部の下端部に、次に設置する仮設防護柵の凸部が嵌入され、相互に連結されることになる。
設置部としてコンクリート部材を使用する場合、設置部の短手方向の長さを300mm乃至800mm、設置部の高さを100mm乃至300mm、仮設防護柵の高さを500mm乃至1,000mmとすることが好ましい。設置部としてコンクリート部材を使用しても、防護側壁部として鋼製部材を使用しているので、従来のコンクリート製仮設防護柵に比べて軽量であり、連結プレートや凸部と凹部により設置部を連結し、連結プレートとボルト若しくはピン、又はボルト形状突起若しくはピン形状突起により防護側壁部を連結しているので、仮設防護柵相互が強固に連結されるため使用時の強度にも優れる。また、簡易に連結と連結の解除がおこなえるため、迅速に設置及び撤去作業を行うことができる。設置部の連結を凹部と凸部の嵌合により行うと、設置部の連結を設置場所の片側の工事エリアからの作業のみで行うことができ、連結手段が表面側に露出しないので美観上優れる。
図23は、上述したゴム材又は樹脂材の板又はシートとスパイクピンを併用して、ゴム材又は樹脂材にスパイクピンを埋め込んだ接地部材を、コンクリート部材からなる設置部141の下面側に取り付けた例を示す図である。設置部がコンクリート部材から構成される場合も、上述した設置部が鋼板から構成される場合と同様の接地部材を使用することができる。図24(a)は、ゴム材又は樹脂材の板又はシートとスパイクピンを併用した接地部材を示す模式図であり、図24(b)は、ゴム材又は樹脂材の板又はシート中のスパイクピンの状態を示すために前記接地部材の断面を示す模式図である。ゴム材の板144−1にスパイクピン144−2が埋め込まれている。スパイクピンがゴム材又は樹脂材の板又はシートに埋め込まれる状態はスパイクピンが、ゴム材又は樹脂材の板又はシートから容易に脱離しなければ特に制限されるものではないが、スパイクピンの先端(路面側)がゴム材の下面(路面側)とほぼ揃った位置にあることが、ゴム材による摩擦抵抗のみでなく、スパイクピンの路面との引っかかりによる摩擦抵抗を効果的に利用する観点から好ましい。スパイクピンの設置部側の端部の位置も特に制限されるものではないが、図24(b)ではスパイクピン144−2の設置部側の端部がゴム材144−1の上面(設置部側)とほぼ揃った位置となるように埋め込まれている。このようにスパイクピンを埋め込むためには、例えば、ゴム材の上面(設置部側)にスパイクピンの設置部側のフランジ部分が収まる大きさの凹部144−3を設け、そこにスパイクピンを打ち込むことができる。図24(c)は、スパイクピン144−2の設置部側の端部がゴム材144−1の中に位置する場合を示している。このようにスパイクピンを埋め込むためには、例えば、まずゴム材にゴム材の上面に達しない位置まで穴を開け、先端が開閉可能であり閉じている場合は先端が尖った状態になる工具を前記穴に挿入し、挿入後先端を開いてゴム材の穴を押し広げ、そこにスパイクピンを挿入する。スパイクピンの挿入後、前記工具を引き抜くとゴム材が弾性により元の形状に戻ろうとするため、スパイクピンが周囲のゴム材により締められてしっかりと固定される。図24(d)は、図24(c)の接地部材が路面145と接する状態を模式的に示した図である。ゴム材はその弾性により路面145の表面の凹凸形状に応じて変形するため路面145との接触を保つ。また、スパイクピンもスパイクピンの設置部側端部とゴム材上面との間に存在するゴムの弾性により路面145の表面の凹凸形状に応じて上下方向に動くことができるため、路面145との接触を保つことができる。このため、大きな摩擦抵抗を得ることができる。また、コンクリート部材からなる設置部141の下面側に、接地部材としてスパイクピンのみを取り付けてもよい。ゴム材又は樹脂材の板又はシートにスパイクピンを埋め込んだ接地部材は、摩擦抵抗を大きくする効果が高いので、路面上の移動を防止する必要がある構造物に好適に使用することができる。図31は、設置部及び防護側壁部がコンクリート部材で構成され、本発明の仮説防護柵と同様の大きさを有する仮設防護柵161に、樹脂材の板又はシートにスパイクピンを埋め込んだ前記接地部材144を使用した使用例を示す図である。
図25は、本発明における接地部材の他の実施形態を示す図であり、設置部の下面に突起形状物として路面と接する側に凹凸構造を設けた構造体を設けた例である。(a)は、ゴム材142−1及びプレート142−2からなる接地部材をボルト142−3で設置部142の下面に取り付けた例を側面から見た図である。また、(b)は上記設置部142及び接地部材を正面から見た図である。プレート142−2は鋼製の板を略コの字状に折り曲げたものであり、中央部をボルト142−3によりゴム材142−1を設置部142の下面との間に挟んで、設置部142に固定されている。プレート142−2の端面(路面145と接する面)は平坦でもよいが、図25では、路面145と接する面に略三角波形状の凹凸が形成されているため、路面とのひっかかりにより摩擦抵抗を大きくできる。プレート142−2には、設置部142の下面にボルトで取り付けるためのボルト挿入口が設けられている。プレート142−2の取り付け方向は特に制限されるものではないが、仮設防護柵は車両が衝突した場合、正面側から押されて裏面側に移動するため、この移動を抑えるために、プレート142−2の長手方向が仮設防護柵の長手方向と一致するように、あるいは車両が斜め方向から衝突してくることが予想される場合は、プレート142−2の長手方向が衝突してくる車両にできるだけ正対するように、取り付けることが好ましい。図25では、プレート142−2として鋼製の板を略コの字状に折り曲げたものを使用しているが、鋼製の板を略L字状に折り曲げて、一方の面を設置部との固定面としてもよい。プレート142−2は、設置部142に直接取り付けてもよいが、図25のようにゴム材142−1を介して取り付けると、ゴム材142−1の弾性によりプレート142−2が路面145の表面の凹凸形状に応じて上下方向に動くことができるため、路面145との接触を好適に保つことができ、大きな摩擦抵抗を得ることができる。また、ゴム材142−1を挟む場合、プレート142−2がゴム材142−1と接する面の大きさはゴム材142−1の大きさと同じでもよく(図(b)右側)、ゴム材142−1の大きさより小さくてもよく(図(b)左側)、ゴム材142−1の大きさより大きくてもよい。図25では、凹凸構造を設けた構造体として板状のものを用いているが、厚みのある柱状のものをその側面が設置部の下面に接するように取り付けてもよい。路面と接する側に凹凸構造を設けた構造体としては、設置部が鋼板である場合もコンクリート部材である場合も同様のものを使用することができる。(c)は、断面コ字状部材であるプレート142−2を設置部142に取り付けた状態を設置部142の下面側から見た図(底面図)である。図25(a)〜(c)では、プレート142−2の端面がプレート142−2の長手方向にあるため、プレート142−2の長手方向が仮設防護柵の長手方向と一致するように、設置部142の下面に取り付けられている。断面コ字状部材とは、断面がコ字の形状をしている部材をいうが、本願明細書において、断面コ字状部材の開放部を下向きにしたときに、上方になる部分を上部、上部の両端から下向きに伸びる部分を側部といい、側部の外側の面を側面という。上部と側部との間の角度は、路面との間に十分な摩擦抵抗を生じることができれば特に制限されないが、135°〜45°が好ましく、110°〜70°がより好ましく、100°〜80°がより好ましく、略90°がより好ましく、90°が更に好ましい。ここで、略90°とは、90°からプラスマイナス5°程度ずれた範囲内の角度のことである。図25(c)は、プレート142−2を仮設防護柵の長手方向に2列で取り付けた例である。プレート142−2の取り付け個数や方向は特に制限されるものではないが、仮設防護柵は車両が衝突した場合、正面側から押されて裏面側に移動するため、この移動を抑えるために、プレート142−2の端面が仮設防護柵の長手方向に並ぶように、すなわちプレート142−2の側面142−4が仮設防護柵の長手方向に並ぶようにすることが好ましい。あるいはプレートの側面142−4が、衝突してくる車両にできるだけ正対するように、取り付けることが好ましい。
図26も、図25と同様に断面コ字状部材として鋼製の板を略コの字状に折り曲げたプレート142−5を使用した例であるが、接地部材の突起を設置部142の短手方向の両端に設けた例である。(a)は、接地部材としてプレート142−5をボルト142−3で設置部142の下面に取り付けた例を側面から見た図であり、(b)は上記設置部142及び接地部材を正面から見た図であり、(c)はプレート142−5を設置部142に取り付けた状態を設置部142の下面側から見た図(底面図)である。プレート142−5は、両方の側面142−6が設置部142の短手方向の両端にそれぞれ位置するように形成されている。このため、突起部であるプレート142−5の側部は、設置部142の短手方向の両端に位置するようになるため、車両衝突時に仮設防護柵がより転倒しにくくなる。プレート142−5は、プレート142−5の上部142−7の幅(側面と側面との間の長さ)を設置部142の短手方向の長さとしているので、1つのプレートにより、設置部142の短手方向の両端の位置にプレートの側部、すなわち突起を設けることができ、設置部142の短手方向の両端の位置でプレートの端面と路面145とが接するようにできる。また、図26では、プレート142−5と設置部142との間にゴム材を配置していないが、両者の間にゴム材を配置してもよい。また、設置部142の短手方向の両端に突起を設けるには、1つのプレートにより設置部142の両端に突起を設けるのでなく、各端部に別々のプレートにより突起を設けてもよい。例えば、1つのプレート142−2を側部が設置部142の端部に位置するように配置し、別のプレート142−2を側部が設置部142の他の端部に位置するように配置してもよい。図27は、接地部材として断面L字状部材を使用した例であり、断面L字状部材として鋼製の板を略Lの字状に折り曲げたプレート142−8を使用した例である。断面L字状部材とは、断面がL字の形状をしている部材をいうが、本願明細書において、断面L字状部材の一方の面を設置部の下面に取り付けたときに下向きに伸びる部分を側部といい、設置部に取り付ける部分を上部というが、上部と側部との間の傾きは、断面コ字状部材の場合と同じである。(a)は、接地部材としてプレート142−8をボルト142−3で設置部142の下面に取り付けた例を側面から見た図であり、(b)は上記設置部142及び接地部材を正面から見た図であり、(c)はプレート142−8を設置部142に取り付けた状態を設置部142の下面側から見た図(底面図)である。プレート142−8には、設置部142の下面にボルトで取り付けるためのボルト挿入口が設けられている。プレート142−8は、片方の側部のみを有する点が、断面コ字形状のプレート142−5と異なるが、プレート142−8を設置部142の短手方向の片方の端部に側面142−9が位置するように取り付け、別のプレート142−8を設置部142の短手方向の他方の端部に側面142−9が位置するように取り付けることにより、断面コ字形状のプレート142−5を使用する場合と同様の効果を奏することができる。また、プレート142−8を使用する場合は、プレート142−5を使用する場合と異なり、設置部142の短手方向の端部での側面142−8の位置をずらすことができる。
本発明の接地部材は、仮設防護柵の下面に取り付けるための接地部材である。本発明の接地部材は、スパイクピン状、断面コ字状又は断面L字状をした部材であり、それぞれスパイクピン状の先端部、断面コ字状の端面、断面L字状の端面が路面と接するように仮設防護柵の下面に取り付けられる。前記先端部又は端面は、凹凸形状をしていてもよく、凹凸形状としては、例えば、略三角波形状、略矩形波形状、略台形波形状、略円弧波形状、略正弦波形状、略鋸歯状波形状等を挙げることができる。本発明の接地部材は、仮設防護柵の下面に取り付けることができ、車両衝突時に路面との間で摩擦力を発生させるものであれば、その材質は特に制限されないが、仮設防護柵を設置したときに変形せず、車両衝突時の衝撃にもある程度耐えられることから鋼製が好ましい。本発明の接地部材は、例えば、ボルトで仮設防護柵の下面に取り付けることができ、取り付けるためのボルト挿入口を有することができる。本発明の接地部材の詳細な形状、大きさ、使用方法等は上記で述べたとおりである。本発明の接地部材を取り付ける仮設防護柵の設置部は、鋼製でもコンクリート製でもよい。また、本発明の接地部材を取り付ける仮設防護柵の防護側壁部は、鋼製でもコンクリート製でもよい。本発明の接地部材を取り付ける仮設防護柵は、設置部と防護側壁部がコンクリート製でもよく、例えば、単スロープ型、フロリダ型、L型等の仮設防護柵を挙げることができる。本発明の接地部材を取り付ける仮設防護柵は、このように設置部と防護側壁部が一体となったコンクリート製でもよいが、コンクリート製の設置部にガードレールを取り付けたものや、H型鋼や鋼板を取り付けたものでもよい。また、設置部が鋼製であってもよい。下面に接地部材を取り付けることができる仮設防護柵であれば、取り付ける仮設防護柵の種類は限定されない。また、本発明の仮設防護柵は、本発明の接地部材を下面に取り付けたものであれば、仮設防護柵の種類は限定されない。図31並びに図32(a)〜(c)は、フロリダ型の仮設防護柵に本発明の接地部材を取り付けた状態を側面から見た模式図である。
図28は、仮設防護柵81及び101と同じ防護側壁部を備え、設置部121と同様にコンクリート部材からなり設置部121と同様の設置部連結プレート122を有し、加えて他の連結プレート153を有する設置部152を備えた仮設防護柵151を示す図である。図28は、仮設防護柵151を連結した状態を説明するための図であり、仮設防護柵151を連結した状態を側面から見て、内部の連結部の様子が分かるように模式的に示した図である。図29(a)は、仮設防護柵151を連結させる様子を正面から見た図であり、説明のために内部の連結部の様子を模式的に示している。図29(b)は、仮設防護柵151を連結させる様子を側面から見た図であり、説明のために内部の連結部の様子を模式的に示している。図29(c)は、仮設防護柵151を連結した状態を正面から見た図であり、説明のために内部の連結部の様子を模式的に示している。図29(d)は、仮設防護柵151を連結した状態を側面から見た図であり、説明のために内部の連結部の様子を模式的に示している。図30(a)は、仮設防護柵151を連結させる様子を上から見た図であり、説明のために内部の連結部の様子を模式的に示している。図30(b)〜(d)は、仮設防護柵151を連結した状態を上から見た図であり、説明のために内部の連結部の様子を模式的に示している。(b)は直線状に連結した例であり、(c)及び(d)は曲線状に連結した例である。
連結プレート122は設置部121の場合と同様に、埋め込まれたボルト125を連結プレート122のボルト挿入口に挿入し、ナット126で締めることにより固定する。設置部151では、設置部121の場合における、剛性突出部材よりなる凸部127とこれと嵌合できる凹部128の代わりに、設置部151の下部に連結プレート153を備えている。連結プレート153は、設置部151の下部にボルト156で固定され、設置部151の下部の端部から突出した部分にピン形状突起154が上向きに設けられている。また、連結プレート153が固定された端部と反対側の端部に、ピン形状突起154が挿入され嵌合されるピン挿入口155が設けられている。図29(a)に示すように、設置部151の上部に設置部連結プレート122が固定され、下部にピン挿入口155が設けられた端部を、設置部151’の上部にボルト形状突起125が設けられ、下部に設置部連結プレート153が固定された端部の近傍上部からほぼ垂直に降下させることにより、設置部連結プレート122のボルト挿入口にボルト形状突起125が挿入され、ピン挿入口155にピン形状突起154が挿入嵌合される。この状態でボルト形状突起125をナット126で締めることにより、3点で強固に連結される。
また、図30(a)に示されるように、ボルト挿入口及び/又はピン挿入口を円形や正方形でなく、一方方向の長さが長い形状、例えば、楕円形や長方形とすることにより、ボルトを締める位置やピンを嵌合させる位置を、仮設防護柵の連結状態に合わせてずらすことができる。図30(b)は、仮設防護柵を直線状に連結した例であり、ボルト及びピンは各挿入口の中央部で螺合又は嵌合されている。図30(c)及び(d)は、仮設防護柵を曲線状に連結した例であり、ボルト及びピンは各挿入口の左端部又は右端部で螺合又は嵌合されている。曲線状に連結する場合は、設置部の端部の側面(他の設置部の端部と向かい合う面)において、側面の端部が隣接する側面の端部とぶつからないようにするために、側面の形状を、例えば台形状や円弧状など中央部が両端部より突出した形状、又は設置部の側面と正面との間の角度及び側面と裏面との間の角度の少なくとも一方を90度超とすることが好ましい。また、防護側壁部の連結においても、ボルト形状突起又はピン形状突起を設けた連結プレートを使用し、防護側壁部に設けたボルト又はピン挿入口に挿入して連結することができる。図28は設置部がコンクリート部材からなる場合を示しているが、設置部が鋼材からなる場合も同様に、ボルト形状突起又はピン形状突起を設けた連結プレートを使用し、防護側壁部や設置部に設けたボルト又はピン挿入口に挿入して連結することができる。