JP2019203121A - 感熱孔版用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】穿孔性、製膜性、さらにサーマルヘッドの防汚性も向上させた感熱孔版用ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】示差走査熱量測定(DSC)の昇温過程における融点(Tm)が175℃以上225℃以下、かつ示差走査熱量測定(DSC)の降温過程における冷結晶化温度(Tmc)が145℃以上165℃以下である、感熱孔版用ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、感熱孔版用ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルはその加工性の良さから、様々な工業分野に利用されている。また、これらポリエステルをフィルム状に加工した製品は工業用途、光学製品用途、包装用途など今日の生活において重要な役割を果たしている。近年、電子情報機器デバイスの発達により紙を媒体とした印刷物は減少していく傾向にある。その中にあって、感熱孔版による製版は広く普及し、今なお高い需要がある。感熱孔版による製版では、「マスター」とよばれる、和紙にポリエステルフィルムを貼り合わせた積層体が用いられる。感熱孔版による製版では、マスターに貼り合わせたポリエステルフィルムに、一定形状の穴を空け(穿孔し)、その組み合わせで印刷したい版の通りに文字や絵などの形状をつくり、その穴を通してインクを紙に転写することで製版を行っている。特にサーマルヘッドを用いてフィルムを穿孔して製版する手法においては、サーマルヘッドの出力を低下させ、低エネルギー(低温)での製版を可能にすることが省エネの観点から望ましく、強い需要がある。
上記の要求に応えるためには、マスターに用いられるポリエステルフィルムを溶け易くする目的で、フィルムの融点を低下させるように制御したり(特許文献1)、穿孔時の穴を広がりやすくするため熱収縮率を制御する方法(特許文献2)が開示されている。
国際公開第00/020490号 特開2015−208944号公報
しかしながら、フィルムの融点を低下させるだけでは穿孔性向上の効果は充分ではないだけでなく、融点が低いために多く溶けたフィルムがサーマルヘッドを汚すという課題が発生する。また、フィルムの低下を制御するために非晶成分を含有せしめると非晶性が高まる結果、穿孔後のフィルムがカールするといった課題がある。また、熱収縮率を制御する方法は穿孔性向上に一定程度寄与するもののその効果は十分ではない。また、熱収縮率を制御したフィルムとするには延伸工程を経た配向フィルムを用いることが挙げられるが、さらに穿孔性を向上せしめるためにフィルムの融点を下げようと非晶成分を含有せしめた場合にフィルムの非晶性が高くなり、延伸工程でうまく製膜できないといった課題がある。本発明は上記事情に鑑み、穿孔性に優れ、さらにサーマルヘッドの防汚性も向上させた感熱孔版用ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を取る。すなわち、
[I]示差走査熱量測定(DSC)の昇温過程における融点(Tm)が175℃以上225℃以下、かつ示差走査熱量測定(DSC)の降温過程における冷結晶化温度(Tmc)が145℃以上165℃以下である、感熱孔版用ポリエステルフィルム。
[II]ポリエステルフィルムに含有するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)、2価金属元素の含有量をM2(mol/t)、3価金属元素の含有量をM3(mol/t)、リン元素の含有量をP(mol/t)とするとき、下記式(i)で求められるポリエステルフィルムにおける金属量M(mol/t)が、下記式(ii)を満たす[I]に記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
(i)M=0.5×(M1)+M2+1.5×(M3)
(ii)1.4≦M/P≦3.0
[III]示差走査熱量測定(DSC)の昇温過程におけるガラス転移温度(Tg)と結晶化温度(Tc)の差(ΔTcg)が40℃以上70℃以下である、[I]または[II]に記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
[IV]固有粘度(IV)が0.60dl/g以上0.80dl/g未満である、[I]から[III]のいずれかに記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
[V]フィルム幅方向(TD)とフィルム長手方向(MD)の、65℃における収縮応力N(TD)N/mm、N(MD)N/mmが、以下の式を満たす、請求項[I]から[IV]のいずれかに記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
4.0N/mm≦(N(TD)+N(MD))/2≦8.0N/mm
[VI]ジオール構成成分として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキシレンジメタノールから選ばれる少なくとも2種を含む、[I]から[V]のいずれかに記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
[VII]ジカルボン酸構成成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも2種を含む、[I]から[VI]のいずれかに記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
[VIII]二軸配向されてなる[I]から[VII]のいずれかに記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
[IX]感熱孔版用ポリエステルフィルムの製造方法であって、2種類以上のポリエステル樹脂を溶融混練した後、フィルムに成型する工程を含み、前記2種類以上のポリエステル樹脂のジオール構成成分として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキシレンジメタノールから選ばれる少なくとも2種を含み、前記2種類以上のポリエステル樹脂のジカルボン酸構成成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも2種を含み、前記溶融混練の混練温度が260℃以上300℃以下であって、混練時間が5分以上60分以下である感熱孔版用ポリエステルフィルムの製造方法。
本発明の感熱孔版用ポリエステルフィルムは、優れた穿孔性、さらにサーマルヘッドの防汚性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言うポリエステルとは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を重縮合してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。
かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸や1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
また、かかるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等の脂肪族ジオール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環式ジオール類、上述のジオールが複数個連なったものなどが挙げられる。中でも、熱特性制御、熱収縮応力制御の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびそのジカルボン酸構成成分の一部にイソフタル酸などを共重合させた共重合体、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、およびそのジオール構成成分の一部に1,3−プロパンジオールや1.5−ペンタンジオールなどの脂肪族ジアルコールを共重合したポリエステルが好適に用いられる。
本発明のポリエステルフィルムは、二軸配向していることが好ましい。二軸配向していると、フィルムの機械強度が向上し易滑性を向上させることができる。二軸配向ポリエステルフィルムは、一般に未延伸状態のポリエステルシートをシート長手方向および幅方向に延伸し、その後熱処理を施し結晶配向を完了させることにより、得ることができる。詳しくは後述する。二軸配向ポリエステルフィルムは、無配向のフィルムに比べてポリエステル分子のパッキングが生じているため、配向している方向(軸)の屈折率が高いことが特徴である。本発明においては、ポリエステルフィルムの最も屈折率が高い方向およびそれと直交する方向の屈折率の平均値が1.60以上1.70以下であれば、二軸配向しているとする。より好ましくは1.62以上1.68以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、示差走査熱量測定(DSC)の昇温過程における融点(Tm)が175℃以上225℃以下、かつ示差走査熱量測定(DSC)の降温過程における冷結晶化温度(Tmc)が145℃以上165℃以下である必要がある。より好ましくは、融点は178℃以上210℃以下、冷結晶化温度は148℃以上162℃以下であり、さらに好ましくは融点は180℃以上200℃以下、冷結晶化温度は150℃以上160℃以下である。最も好ましくは、融点は180℃以上185℃以下、冷結晶化温度は150℃以上155℃以下である。
示差走査熱量測定(DSC)の昇温過程における融点(Tm)は、後述する方法で測定されるものである。融点が低いと、サーマルヘッドを低エネルギーで駆動して低い温度で用いた場合でもフィルムが穿孔しやすいため好ましい。融点が225℃を超えると、穿孔性が著しく低下するため好ましくない。融点が175℃未満では、フィルムを構成するポリエステルの非晶性が高く、製膜できない場合や、穿孔時にフィルムが溶け破れる懸念がある。
示差走査熱量測定(DSC)の降温過程における冷結晶化温度(Tmc)は、後述する方法で測定される。示差走査熱量測定(DSC)の降温過程における冷結晶化温度(Tmc)の測定方法は、サーマルヘッドでフィルムが加熱される過程を模したものである。ポリエステルフィルムは一般的に、熱源によって加熱されると熱を吸収して溶融する。溶融後、熱源がなくなり温度が低くなるに従って固化していく。このとき、ポリエステルフィルムの温度が低くなる過程において、ポリエステルが結晶化し、完全に固化する温度を表すのがTmcであり、Tmcが低いほど一度溶けたフィルムが低い温度まで固まらないことを表す。Tmcが165℃を超える場合、一度溶けたフィルムが早く固まるため、穿孔性が十分でない。一方、Tmcが145℃を下回る場合、フィルムの非晶性が高く、製膜できない場合や、穿孔時にフィルムが溶けて破れる懸念がある。Tm、Tmcを上記の範囲としたポリエステルフィルムとすることで、感熱孔版に用いる際、穿孔性を良好にしつつ、サーマルヘッドの防汚性を良好にすることが可能となる。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、Tm、Tmcを上述の範囲とするための方法は特に限られるものでは無いが、例えば以下の(a)、(b)、(c)や(a)〜(c)を組合せた方法が挙げられる。
(a)ポリエステルフィルムを構成するポリエステルのジオール構成成分として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキシレンジメタノールから選ばれる少なくとも2種を含み、またジカルボン酸構成成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも2種を含むポリエステルフィルムとすること。
(b)ポリエステルフィルムに含有するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)、2価金属元素の含有量をM2(mol/t)、3価金属元素の含有量をM3(mol/t)、リン元素の含有量をP(mol/t)とするとき、下記式(i)で求められるポリエステルフィルムにおける金属量M(mol/t)が、下記式(ii)を満たすこと。
(i)M=0.5×(M1)+M2+1.5×(M3)
(ii)1.4≦M/P≦3.0
(c)2種類以上のポリエステル樹脂を溶融混練した後、フィルムに成型する工程を含み、前記2種類以上のポリエステル樹脂のジオール構成成分が、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキシレンジメタノールから選ばれる少なくとも2種を含み、前記2種類以上のポリエステル樹脂のジカルボン酸構成成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも2種を含み、前記溶融混練の混練温度が260℃以上300℃以下であって、混練時間が5分以上60分以下とすること。
前述したように、Tmは、ポリエステルの結晶成分が融解する温度、Tmcはいったん溶融したポリエステルが冷えていく中で結晶化し、固化する温度を表す。Tm、Tmcを制御して、上述の範囲とするには、ポリエステルの結晶性を制御することが好適に用いられる。
(a)の方法により、本発明のポリエステルフィルムを複数の構成成分(ジオール構成成分、ジカルボン酸構成成分)を含む構成とし、(c)の方法を用いて溶融押出によって製膜する場合、ポリエステルの構成成分(ジオール構成成分、ジカルボン酸構成成分)が溶融混練時にランダム共重合体を形成し、適度な非晶性を持つことでTm、Tmcを上述の範囲とすることができる。ポリエステルフィルムの構成成分の数が多い方がランダム共重合化が進みやすく、ポリエステルの非晶性が大きくなり融点が下がる。この観点から、ジオール構成成分とジカルボン酸構成成分の構成成分の種類の合計は、6以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
また、混練温度が260℃未満であると、ポリエステルが溶融しなかったり、ランダム共重合化が十分に進まないことがある。300℃を超える場合、ランダム共重合化が進みすぎて、TmやTmcが上述の範囲とすることが困難となったり、ポリエステルが分解して製膜性が低下する場合がある。270℃以上290℃以下であるとTmやTmcが上述の範囲とすることが容易となるため好ましい。
混練時間が5分に満たない場合、ランダム共重合化の進行が十分でなく、Tm、Tmcを適切な範囲とできない場合がある。60分を超える場合、ランダム共重合化が進みすぎて、TmやTmcが上述の範囲とすることが困難となったり、ポリエステルが分解して製膜性が低下する場合がある。10分以上25分以下であるとTmやTmcが上述の範囲とすることが容易となるため好ましい。
(b)の方法において、Mはポリエステルに含有される、ポリエステル構成成分のエステル交換に寄与してランダム共重合化の進行に寄与する金属量を表す。一方で、Pはポリエステルに含有されるリン元素の含有量を表す。リン元素は、ポリエステル中で2価の金属元素と等量で、1価の金属元素とは1:2で、3価の金属元素とは2:3で相互作用し、金属元素のエステル交換反応を進行させる効果を抑制する効果を持つ。従って、M/Pが大きければ大きいほど、溶融混練時にランダム共重合化が進みやすく、非晶性が高くなる傾向にある。M/Pが大きすぎるとランダム共重合化が進み、Tmが低くなりすぎる場合がある。M/Pが小さすぎると、ランダム共重合化の進行が十分でなく、Tm、Tmcを適切な範囲とできない場合がある。M/Pは1.5以上2.8以下であることがより好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムを感熱孔版用として用いる場合においては、サーマルヘッドの熱でフィルムを溶融し、穿孔する際にも、ポリエステルのランダム共重合化が進行すると考えられるところ、M/Pが3を超える場合、穿孔時にもランダム共重合化が進む結果、Tmcが下がってフィルムが固化しにくくなる結果、局所的にフィルムが破れたり、破れた破片でサーマルヘッドが汚れる場合がある。一方、M/Pが1.4に満たない場合、フィルムが局所的に早く固化し、穿孔の縁が盛り上がって固まり、サーマルヘッドに触れて汚染する場合がある。M/Pを上述の範囲とすることによって、穿孔性が良好で、かつ防汚性に優れたフィルムとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定条件にて求められる示差走査熱量測定(DSC)の昇温過程におけるガラス転移温度(Tg)と結晶化温度(Tc)の差(ΔTcg)が40℃以上70℃以下であることが好ましい。
ΔTcgが40℃未満では、ポリエステルのTg以上ですぐに結晶化するため、フィルムが固くなりやすく、延伸によってフィルムに配向を付与することができない場合がある。また、製膜後のフィルムをサーマルヘッドで加熱する際にも結晶が生じやすく、フィルムが融解しにくくなり、穿孔性が悪化する場合がある。ΔTcgが70℃を超える場合、フィルムの結晶化が遅いことを表し、フィルムの分子鎖が固定されにくく、延伸によって配向を付与することができない場合がある。また、製膜後のフィルムをサーマルヘッドで加熱する際、フィルムのTgを超えて加熱した場合、フィルムが変形しやすく、サーマルヘッドを汚染する場合がある。ΔTcgはより好ましくは43℃以上65℃以下である。
本発明のポリエステルフィルムの、固有粘度(IV)は、0.60dl/g以上0.80dl/g未満であることが好ましく、より好ましくは0.65dl/g以上0.75dl/g未満である。IVは、分子鎖の長さを反映した数字であり、分子鎖が短い方が、溶融混練中に他の分子鎖と接触する機会が増えるため、ランダム共重合化が進みやすい。IVが低すぎると、ランダム共重合化が進み、Tmが低くなりすぎたり、ポリエステルが分解してフィルムとできない場合がある。
本発明のフィルムの、フィルム幅方向(TD)とフィルム長手方向(MD)の、65℃における収縮応力N(TD)、N(MD)は、以下の式(iii)を満たすことが好ましい。
(iii)4.0N/mm≦(N(TD)+N(MD))/2≦8.0N/mm
サーマルヘッドは温度分布を持ち、頂点で最も温度が高く、周囲に行くほど温度が低くなる特徴を持つ。そのため、サーマルヘッドの頂点周囲の、温度が低くてポリエステルが溶融しない(穿孔しない)部分では、熱によってポリエステルフィルムが収縮し、その収縮力で穴が広がっていく。TmおよびTmcを前述の範囲としつつ、収縮応力を(iii)の範囲とすることで、効率よく溶融部分の大きさが広がり、穿孔性が向上するため好ましい。4.0N/mm未満であると穿孔性向上の効果が十分でなく、8.0N/mmを超える場合は穴が大きくなりすぎ、フィルムが破れる場合がある。より好ましくは4.2N/mm以上7.5N/mm以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の特性を損なわない範囲で、有機粒子または無機粒子、あるいはその両方を含有しても構わない。
本発明のポリエステルフィルムは、厚みが1.0μm以上5.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以上2.0μm以下であることがより好ましい。特に好ましくは1.2μm以上1.5μm以下である。フィルムの厚みが薄すぎる場合は、本発明のポリエステルフィルムを用いて加工を行う場合、フィルムが破れたり、ハンドリング性が悪くなる場合がある。フィルムの厚みが厚すぎると、穿孔性が低下する場合がある。
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法について例を挙げて説明するが、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
本発明に用いられるポリエステルを得る方法としては、常法による重合方法が採用できる。例えば、テレフタル酸等のジカルボン酸構成成分またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール等のジオール構成成分またはそのエステル形成性誘導体、およびそれらを複数種類混合したものを、公知の方法でエステル交換反応あるいはエステル化反応させた後、溶融重合反応を行うことによって得ることができる。また、必要に応じ、溶融重合反応で得られたポリエステルを、ポリエステルの融点温度以下にて、固相重合反応を行っても良い。
本発明のポリエステルフィルムは、上述した(a)、(b)、(c)あるいはそれらを組合せた方法を用いてフィルムを成型した後、延伸、熱処理工程を以下の条件で製造することにより、上述の通り好ましい物性を持つフィルムとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、必要に応じて乾燥した原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することが好ましい。
キャストドラムの温度は、より好ましくは10℃以上40℃以下、さらに好ましくは20℃以上30℃以下である。キャストドラムの温度が低すぎるとフィルムが破断する可能性がある。キャストドラムの温度が高すぎると、キャストドラムにフィルムが貼り付き、未延伸シートを得ることが困難になる場合がある。
次に、未延伸シートを、下記(iv)式を満たす温度T1n(℃)にて、フィルムの長手方向(MD)とフィルムの幅方向(TD)に面積倍率10.0倍以上30.0倍以下に二軸延伸する。
(iv)Tg(℃)≦T1n(℃)≦Tg+40(℃)
Tg:ポリエステルフィルムのガラス転移温度(℃)
フィルムの長手方向の延伸方法には、ロール間の速度差を用いる方法が好適に用いられる。
次に、二軸延伸フィルムを、下記(v)式を満足する温度(Th0(℃))で、1秒間以上30秒間以下の熱固定処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却することによって、ポリエステルフィルムを得る。
(v)Tm−150(℃)≦Th0(℃)≦Tm−50(℃)
Tm:ポリエステルフィルムの融点(℃)
面積倍率を上述の範囲とし、(v)を満たす条件によって二軸配向ポリエステルフィルムを得ることにより、フィルムに適度な配向を付与せしめ、熱収縮時の応力を好ましい範囲とすることができる。
[特性の評価方法]
A.ポリエステルフィルムの融点(Tm)、冷結晶化温度(Tmc)(℃)
JIS K7121(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mg秤量し、試料を25℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で加熱し、その状態で5分間保持し、次いで25℃まで10℃/分の速度で冷却し、25℃から300℃までの昇温過程(1stRUN)、300℃から25℃までの降温過程(2ndRUN)の示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。当該1stRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、発熱ピークである結晶融解ピークにおけるピークトップの温度を求め、これをTm(℃)とする。2以上の結晶融解ピークが観測される場合は、最も温度が高いピークトップの温度をTm(℃)とする。当該2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、発熱ピークである冷結晶化ピークにおけるピークトップの温度を求め、これをTmc(℃)とする。2以上の冷結晶化ピークが観測される場合は、最も温度が低いピークトップの温度をTmc(℃)とする。
B.フィルムのガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、ΔTcg(℃)
JIS K7121(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mg秤量し、試料を25℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で加熱し、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷する。直ちに引き続いて、再度25℃から10℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行う。2回目の25℃から300℃までの昇温過程(2ndRUN)の示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)において、ガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点からガラス転移温度を求める。2以上のガラス転移の階段状の変化部分が観測される場合は、それぞれについて、ガラス転移温度を求め、それらの温度を平均した値を試料のガラス転移温度(Tg)(℃)とする。また、吸熱ピークである結晶化ピークにおけるピークトップの温度を求め、これをTc(℃)とする。2以上の結晶化ピークが観察される場合は、それらの温度の平均した値をTc(℃)とする。得られたTg(℃)、Tc(℃)から、以下の式でΔTcg(℃)を求める。
Tgの階段状変化や、Tcのピークが得られない場合、ΔTcgは求めない。
ΔTcg(℃)=Tc(℃)−Tg(℃)
C.厚み(μm)
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A−2法に準じて、フィルムを10枚重ねた状態で任意の5ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除してフィルム厚みとした。
D.フィルムの固有粘度IV(dl/g)
オルトクロロフェノール100mlに本発明のフィルムを溶解させ(溶液濃度C=1.2g/dl)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定する。また、同様に溶媒の粘度を測定する。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記(a)式により、[η](dl/g)を算出し、得られた値でもって固有粘度(IV)とする。
(a)ηsp/C=[η]+K[η]・C
(ここで、ηsp=(溶液粘度(dl/g)/溶媒粘度(dl/g))―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)。
E.フィルムに含有するリン元素量、アルカリ金属元素以外の金属元素量(mol/t)
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定する。
F.フィルムに含有するアルカリ金属元素の含有量(mol/t)
原子吸光分析法(曰立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレンー空気)にて測定する。
G.フィルムの収縮応力(N(TD)、N(MD))(N/mm
フィルムを、測定する方向に20mm、測定方向と直交する方向に4mmとなるように短冊状に切り出し、TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、室温から180℃まで昇温速度10℃/分で加熱したときに発生する収縮力を測定し、65℃での熱収縮応力を求める。
H.フィルムの構成成分量(mol%)
試料50mgを秤量し、重ヘキサフルオロイソプロパノール0.21ml/重クロロホルム0.49mlを加えて溶解させた溶液を測定試料として、ECA−400((株)JEOL RESONANCE製)を用いてH−NMRを測定する。各構成成分に帰属されるプロトンピークの面積からモル比率を算出し、ジオール構成成分とジカルボン酸構成成分の合計が100mol%となるようにして構成成分量(mol%)を求める。
I.フィルムの穿孔性
フィルムを幅10cm、長さ100cmとなるように長方形に切り出し、ZEBRA社製プリンタZT410を用いて、フィルムを穿孔する。600dpiのプリンタヘッドを用い、印字速度4インチ/秒にて直線パターン(1本20cm、A4サイズ内に10本配置)を印刷するよう設定し、フィルムを穿孔する。印字濃度設定を2種類(1、3)設定し、ヘッド出力を変えて穿孔する(数字が大きい方が出力が大きい)。それぞれの印字濃度(ヘッド出力)にて穿孔したフィルムを白色の紙の上に固定し、直線パターンを覆うように黒マジックで着色する。紙上に黒く着色される直線の本数を計上し、10回の平均値で穿孔性とする。濃度設定1での穿孔本数にて、以下のように判断する。
6本を超える;A
5本以上6本未満;B
4本以上5本未満;C
4本未満;D。
J.サーマルヘッドの防汚性
I.項で10回の印刷に用いた印刷用サーマルヘッドのドットをランダムに50個選定し、フィルムの屑や溶け残ったフィルムが付着しているサーマルヘッドの個数を数え、ヘッド汚れ(個)とする。濃度設定1での印刷後のヘッド汚れ(個)にて、サーマルヘッドの防汚性を以下のように判断する。
10個以下;A
11個以上20個以下;B
21個を超える;C。
K.フィルムの加工性
フィルムを一辺が20cmとなるように正方形に切り出し、繊度0.2dtexのポリエチレンテレフタレート繊維からなる多孔性紙面に、酢酸ビニル系接着剤をバーコーターで塗布し、貼り合わせ、積層体を作製する。その後、一辺が10cmとなるように積層体中央部を切り出し、水平な台の上にフィルムを上側にして静置した際の、4隅の浮き上がりの平均値(mm)を測定すし、以下のように判断する。
10mm以下;A
10mmを超え、20mm以下;B
20mmを超える;C。
L.フィルムの屈折率
JIS K 7105(1999)に準じて、アタゴ(株)製アッベ式屈折率計を用いて20℃での屈折率を求める。フィルムの長手方向の屈折率(Nmd),幅方向の屈折率(Ntd)を測定し、それらの平均値を算出する。フィルムの長手方向が不明の場合、屈折率が最も高くなる方向を長手方向とし、それと直角をなす方向を幅方向とする。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[PBT−1の製造]テレフタル酸ジメチル100重量部、1,4−ブタンジオール56重量部、テトラブチルチタネート0.0025重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留出と共に反応温度を徐々に上昇させ、3時間後に210℃とした。4時間後実質的にエステル交換反応が終了したこの反応混合物にテトラブチルチタネート0.0025重量部を加えて、5時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を210℃から徐々に昇温し260℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、5時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルの固有粘度は1.2dl/gであった。
[PBT−2の製造]PBT−1の製造において、テレフタル酸ジメチル100重量部の代わりに、テレフタル酸の共重合量が45mol%、イソフタル酸の共重合量が5mol%となるようにテレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルの配合比を調整して用いた以外は、PBT−1と同様にポリエステルを製造した。得られたポリエステルの固有粘度は1.2dl/gであった。
[PBT−3の製造]PBT−1の製造において、1,4−ブタンジオール56重量部の代わりに、1,4−ブタンジオールの共重合量が30mol%、1,3−プロパンジオールの共重合量が20mol%となるように1,4−ブタンジオールと1,3−プロパンジオールの配合比を調整して用いた以外は、PBT−1と同様にポリエステルを製造した。得られたポリエステルの固有粘度は1.2dl/gであった。
[PBT−4の製造]PBT−1の製造において、1,4−ブタンジオール56重量部の代わりに、ジオールの構成成分全体に対して1,4−ブタンジオールの共重合量が40mol%、1,5−ペンタンジオールの共重合量が10mol%となるように1,5ペンタンジオールの配合比を調整して用いた以外は、PBT−1と同様にポリエステルを製造した。得られたポリエステルの固有粘度は1.2dl/gであった。
[PBT−5の製造]PBT−1の製造において、重合反応時間を3時間とした以外は、PBT−1と同様にポリエステルを製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.7dl/gであった。
[PET/I−1の製造]テレフタル酸ジメチル76重量部、イソフタル酸ジメチル24重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.11重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去と共に徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応の終了したこの反応混合物にリン酸トリメチル0.04重量部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−1−1の製造]PET/I−1の製造において、酢酸マグネシウム・四水塩の添加量を0.18重量部とした以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−1−2の製造]PET/I−1の製造において、酢酸マグネシウム・四水塩の添加量を0.08重量部とした以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−1−3の製造]PET/I−1の製造において、酢酸マグネシウム・四水塩に変えて酢酸カルシウム・二水塩を0.09重量部添加した以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−1−4の製造]PET/I−1の製造において、酢酸マグネシウム・四水塩、リン酸トリメチルに変えて酢酸マンガン・四水塩を0.08重量部、リン酸二水素ナトリウムを0.04重量部添加した以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−1−5の製造]PET/I−1の製造において、酢酸マグネシウム・四水塩の添加量を0.11重量部、リン酸トリメチルの添加量を0.07重量部とした以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−1−6の製造]PET/I−1の製造において、酢酸マグネシウム・四水塩の添加量を0.02重量部とした以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−2の製造]PET/I−1の製造において、テレフタル酸の共重合量が42.5mol%、イソフタル酸の共重合量が7.5mol%となるようにした以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−3の製造]PET/I−1の製造において、テレフタル酸の共重合量が30mol%、イソフタル酸の共重合量が20mol%となるようにした以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−4の製造]PET/I−1の製造において、テレフタル酸の共重合量が32mol%、イソフタル酸の共重合量が12mol%、アジピン酸の共重合量が6mol%となるようにした以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−5の製造]PET/I−1の製造において、テレフタル酸の共重合量が32mol%、イソフタル酸の共重合量が12mol%、アジピン酸の共重合量が6mol%、エチレングリコールの共重合量が44mol%、1,4−シクロヘキシレンジメタノールの共重合量が6mol%となるようにした以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[PET/I−6の製造]PET/I−1の製造において、重合時間を3時間とした以外はPET/I−1と同様にして製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.60であった。
[PET/I−6−1]PET/I−6の製造において、酢酸マグネシウム・四水塩の添加量を0.18重量部とした以外は、PET/I−1と同様に製造した。得られたポリエステルの固有粘度は0.60dl/gであった。
[ポリエステルAの製造]イソフタル酸の共重合量が24mol%、ナフタレンジカルボン酸の共重合量が26mol%となるように、イソフタル酸ジメチル44重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル59重量部とエチレングリコール53重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.11重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去と共に徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応の終了したこの反応混合物にリン酸トリメチル0.04重量部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[ポリエステルBの製造]テレフタル酸の共重合量が30mol%、ナフタレンジカルボン酸の共重合量が20mol%となるように、テレフタル酸ジメチル54重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル46重量部とエチレングリコール54重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.11重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去と共に徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応の終了したこの反応混合物にリン酸トリメチル0.04重量部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[ポリエステルCの製造]テレフタル酸の共重合量が36mol%、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の共重合量が14mol%となるように、テレフタル酸ジメチル72重量部と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル28重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.11重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去と共に徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応の終了したこの反応混合物にリン酸トリメチル0.04重量部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
[ポリエステルDの製造]1,4−シクロヘキシレンジメタノールの共重合量が15mol%、エチレングリコールの共重合量が35mol%となるように、テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール42重量部、1,4−シクロヘキシレンジメタノール42重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.11重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去と共に徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応の終了したこの反応混合物にリン酸トリメチル0.04重量部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmH gとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルの固有粘度は0.70dl/gであった。
(実施例1)
表1に記載の構成成分の種類と量になるように、PBT−1 46.6重量部、PET/I−4 53.4重量部をブレンドしながら160℃で2時間減圧乾燥した後、270℃の温度で、混練時間が15分となるように溶融押出してフィルターで濾過した後、ダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて、20℃に保ったキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを逐次二軸延伸機により長手方向に4倍、および幅方向にそれぞれ5倍、トータルで20倍延伸しその後、定長下100℃で熱処理し、厚み1.5μmの二軸配向フィルムを得た。二軸配向フィルムの長手方向をシート長手方向とし、該方向の屈折率と、それと直角をなす方向(幅方向)屈折率をそれぞれL.項に従って測定して得られる平均値は1.65であった。得られた二軸配向フィルムの特性等を表に示す。穿孔性、加工性ともに使用できるレベルであった。
(実施例2−20、比較例1−5)
フィルムを構成する原料の種類、構成成分の種類と量、製造条件を表に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
実施例3〜11、14〜19では、M/Pを好ましい値とすることにより、フィルムを構成する構成成分の種類が少ない場合において、Tm、Tmcをより好ましい範囲とでき、穿孔性が向上するだけで無く、M/Pの効果によりヘッドの汚れも抑制できるフィルムであった。
特に実施例15、16では、フィルムIVが好ましい範囲であり、Tm、Tmcをより好ましい範囲とできる結果、穿孔性、ヘッド汚れ抑制に優れる。
実施例6では、実施例3とおなじ構成成分の量であっても、重合時にランダム共重合化した原料を用いたため、Tm、Tmcをより好ましい範囲とでき、穿孔性、ヘッド汚れ抑制に優れる。
実施例14では、製造条件において延伸倍率を大きくした結果、熱収縮応力が大きくなり、穿孔性に優れるフィルムであった。
実施例17では、製造条件において混練温度を高くし、混練時間を長くした結果、Tm、Tmcがより好ましい範囲となり、穿孔性に優れたフィルムであった。
実施例20では、イソフタル酸共重合量と1,4−ブタンジオールの共重合量を変えた結果、Tm、Tmcが最も好ましい範囲となり、穿孔性に優れたフィルムであった。また、Tgが高くなった結果、穿孔後のカール量にも優れたフィルムであることが分かった。
比較例1においては、フィルムを構成する構成成分の種類が少なく、Tm、Tmcを好ましい範囲とすることができず、穿孔性、ヘッドの汚れ抑制に劣るフィルムであった。
比較例2においては、フィルムを構成する構成成分の種類が多くランダム共重合化が進んだ結果、Tm、Tmcを好ましい範囲とすることができず、穿孔性評価においてフィルムが破れ、評価できなかった。
比較例3では、M/Pを好ましい範囲で無いため、Tm、Tmcを好ましい範囲とすることができず、穿孔性に劣るフィルムであった。
比較例4では、M/Pが大きく、混練時にランダム共重合化が進みTm、Tmcを好ましい範囲とすることができず、穿孔性評価においてフィルムが破れ、評価できなかった。
比較例5では、M/Pが大きく、さらに混練温度が高く、混練時間も長いため、製造中に分解が進み、フィルムとすることができなかった。
Figure 2019203121
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本発明のポリエステルフィルムは良好な穿孔性を有し、加工性も良好であるだけで無く、フィルム穿孔時に用いるサーマルヘッドの汚れを防止できるため、感熱孔版用として好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 示差走査熱量測定(DSC)の昇温過程における融点(Tm)が175℃以上225℃以下、かつ示差走査熱量測定(DSC)の降温過程における冷結晶化温度(Tmc)が145℃以上165℃以下である、感熱孔版用ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステルフィルムに含有するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)、2価金属元素の含有量をM2(mol/t)、3価金属元素の含有量をM3(mol/t)、リン元素の含有量をP(mol/t)とするとき、下記式(i)で求められるポリエステルフィルムにおける金属量M(mol/t)が、下記式(ii)を満たす請求項1に記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
    (i)M=0.5×(M1)+M2+1.5×(M3)
    (ii)1.4≦M/P≦3.0
  3. 示差走査熱量測定(DSC)の昇温過程におけるガラス転移温度(Tg)と結晶化温度(Tc)の差(ΔTcg)が40℃以上70℃以下である、請求項1または2に記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
  4. 固有粘度(IV)が0.60dl/g以上0.80dl/g未満である、請求項1から3のいずれかに記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
  5. フィルム幅方向(TD)とフィルム長手方向(MD)の、65℃における収縮応力N(TD)N/mm、N(MD)N/mmが、以下の式を満たす、請求項1から4のいずれかに記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
    4.0N/mm≦(N(TD)+N(MD))/2≦8.0N/mm
  6. ジオール構成成分として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキシレンジメタノールから選ばれる少なくとも2種を含む、請求項1から5のいずれかに記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
  7. ジカルボン酸構成成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも2種を含む、請求項1から6のいずれかに記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
  8. 二軸配向されてなる請求項1から7のいずれかに記載の感熱孔版用ポリエステルフィルム。
  9. 感熱孔版用ポリエステルフィルムの製造方法であって、
    2種類以上のポリエステル樹脂を溶融混練した後、フィルムに成型する工程を含み、
    前記2種類以上のポリエステル樹脂のジオール構成成分として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキシレンジメタノールから選ばれる少なくとも2種を含み、
    前記2種類以上のポリエステル樹脂のジカルボン酸構成成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも2種を含み、
    前記溶融混練の混練温度が260℃以上300℃以下であって、混練時間が5分以上60分以下である感熱孔版用ポリエステルフィルムの製造方法。
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